第7部

「いよいよ佳境に!」と言い続けて早や3ヶ月(爆)。それでもしつこく続いている「いつこい」の第7部を、どうぞお楽しみ下さいませ。




「いつこい」(笑)、再開! 投稿者:ひーちゃん  投稿日:06月29日(木)03時20分31秒

さてbridumさんも帰ってきたので(笑)、中断していた「偽りの恋人たち」を再開しまーす。
うう、くずもちさんごめんね。私って短気なんですよ。それにこういうのって、まだ
「やる気」のあるうちに一気に書かないと、いったん情熱が冷めちゃったら全く書けな
いよーな気がするので。
なので今度こそ、今度こそラストまで一気に突っ走ります!私の「やる気」が消えない
うちに!(笑)

という訳で唐突に再開しますが、中断してから間があいたので、「‥‥どんな話だった
っけ?」という方は過去ログを読んでね。実は私も読みました(爆)。

ここで、親切な方なら「ここまでのあらすじ」とかをおおまかに書くんだろうけど、
私は書かない(爆)。だって話が奇想天外すぎて、うまくまとめられないんだも〜
ん(泣)<言い訳

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ついにカーニバルが始まった。かのナポレオンをして、「世界で最も美しい広場」と言わ
しめたサン・マルコ広場は、今や「世界で最も人でごった返している広場」という称号も
獲得した。
思い思いのカラフルな衣装とマスケラ(仮面)を身につけた人々が、広場のあちこちで
ポーズを取っている。そり周りには、カメラをかまえた大勢の観光客たち。広場中央の
特設舞台の上では、大道芸人たちによる即興劇が演じられているようだ。どこからとも
なくアコーディオンの音が聞こえてくる。―――街中がお祭りムードで溢れ返っていた。
誰もが幸せそうな顏をしている―――1部の、グラサンで顏を隠したトレンチコート軍団
を覗いては。
「くそ〜っ!『カーニバルが始まるまでにアナスタシアたちを連れ戻せ』ってミーシャに
言われたのに、ついにカーニバルが始まったじゃないか〜!」
センター分けの同志『ツキノワグマ』は、目の前を通り過ぎる仮装集団をいまいましそう
に睨みつけた。「こいつらみんな、浮かれやがって!何がカーニバルだ!この中から奴ら
を探さなきゃならない、俺たちの身にもなってくれ!」
「まあそうぼやくなって。さっきドカーレ宮殿でアナスタシアたちを目撃した同志の報告
によると、奴らは一目でそれと分かる仮装をしてるそうだぜ」
と、オールバックでやや丸顔の同志『アライグマ』が、さっき屋台で買ってきた揚げ菓子
をほおばりながら慰めた。
「よく聞けよ。まずアナスタシアがシンデレラ、部下Aが赤ずきん、そんで部下Dは海賊
の仮装をしているそうだ」
「へえ〜、童話の登場人物たちに仮装してるって訳か。そいつは目立つな。それでなくて
もアナスタシアは目立つ女だし。よし、手分けして探そうぜ!」
「あの〜、ちょっといいですか?」
さあ捜索にかかろうとした所を急に呼び止められて、同志『ツキノワグマ』は怪訝そうに
振り向いた。見ると、一目で「田舎から来た観光客」と分かる野暮ったい服装の男二人が、
カメラ片手に立っている。寒いのか、二人とも帽子を目深にかぶり、マフラーで鼻まです
っぽり覆っているので顏ははっきりと分からない。厚手のコートで完全防寒している所を
見ると、きっと南からの観光客だろう。『ツキノワグマ』は邪魔くさそうに、
「なんだよ?」
「ぜひ、写真を撮らせていただきたいんです〜」
背の低い方の観光客の言葉に、『ツキノワグマ』と『アライグマ』は思わず顏を見合わせた。
「写真?」
「はい、お二人ともトレンチコートにグラサンという、いかにもアナクロなスパイの仮装
が本当に良くお似合いで‥‥むっちゃかっこいいです。惚れました。ぜひ写真、撮らせて
下さい!お願いします!」
「おいおい、俺たちは別に仮装してる訳じゃ‥‥」
と困惑しながらも、二人ともまんざらでもない様子で顏をにやけさせる。
「そこまで言うならしゃーねーな。撮らせてやるよ」
「ポーズは、こんなもんでいーかな?」
任務の事もすっかり忘れてポーズを取る二人に、観光客二人組はいそいそとカメラを構えた。
「じゃあいきますよー。はい、チーズ♪(カシャッ)」
シャッター音と同時に、カメラのレンズから一筋の光線が発射された。無色透明のその光線
は静かに、しかし確実にロシア人たちの顔面に炸裂する。いい気になってポーズを取って
いた二人は悲鳴を上げる間もなく、一瞬にして気を失った。
「おっと」
ぐらりとよろける二人の体を、ついさっきシャッターを切った観光客二人が倒れないよう
に受け止める。そして周囲の人達に気付かれないように、静かに二人を物陰へと運んでい
った。
「‥‥まったく、こんなめんどくせえやり方しなくても、背後からどタマをガツン!と
やって気絶させれば済む事じゃねーか」
さも暑苦しそうにマフラーを首から振りほどきながら、Dがぼやいた。Aも同じように
マフラーを首から外しながら、
「だからお前は単細胞って言われるんだよ。こんな人込みの中でそんな事やってみろ、
いっぺんに注目浴びて警察呼ばれるだけじゃないか。ただでさえこの時期は警察が多い
っていうのに」
「はいはい、A君の計画は俺なんかと違って、よーく練られてますよ。ダサい観光客に
扮して敵と接触するなんて、いかにもスパイの王道ってなもんさ」
Dは冗談っぽく流しながら、気絶している『ツキノワグマ』たちの服を手際よく脱がせ
ていく。あっという間に身ぐるみはがされた二人は、哀れパンツ一枚で縛られたまま、
そこらへんに放置されていたゴンドラの中に押し込められた。
「よし、これで変装は完璧と」
Aは独り言をつぶやきながら、たった今『ツキノワグマ』たちから脱がせた服を着た自分
の姿を、窓ガラスに映してみた。Dも同じようにトレンチコートを着込んでグラサンをかけ
ながら、Aを見てプーッと吹き出す。
「A!おまえほんっとに、グラサンが似合わねぇな〜!」
「‥‥ほっとけよ」
ゲラゲラ笑うDを横目で睨んでから、Aはすたすたと柱の陰に歩いて行く。そこにはまだ
シンデレラの仮装姿のアナスタシアが、両手の自由を奪われて憮然とした顏で座っていた。
「待たせて悪かったな、お嬢ちゃん。さあそろそろ行こうか」
Dは楽しそうに言うと、アナスタシアの肩をつかんで起き上がらせる。
「はーん、読めたわ。あんた達、KGBになりすましてロシア大使館に潜入しようって魂胆ね」
アナスタシアは馬鹿にしたように鼻で笑った。「そうして、大使館に捕らわれてる末端の
部下‥‥Zだっけ?彼を助け出そうってわけ?涙ぐましい同僚愛だこと」
「うっせーな(怒)。つべこべ抜かすと、また口にガムテープ貼り付けんぞ」
Dがドスの効いた声で脅しつける。だがアナスタシアはちっともこたえず、返って目を輝
かせて、
「そんな計画、つまんないって言ってんのよ。それよりもっと面白い計画があるわよ。
どう?乗ってみない?」
「へーえ、言ってみろよ」
ちょいと乗り気になっているDを見て、Aがすかさず「相手にするなって!それより早く
Zを助けに行こう」と忠告したが、Dは「ちょっと聞いてみるだけだって」とその忠告を
押しのけた。
アナスタシアは二人のやり取りを満足そうに眺めてから、口を開いた。
「あのね、今ちょうど、ヴェネチア港にGRUの揚陸艦が停留してんのはご存知?」
「ああ。俺らを追っかけてきたんだろ」
「ええ。で、その揚陸艦の中に潜入するっていうのはどう?」
「アホか。いくらKGBに変装してるからって、そんな簡単に潜入できる訳ねーだろ」
Dが馬鹿にしたように言い捨てるのを、アナスタシアは待ってましたとばかりに目を光ら
せた。
「普段はね。でも今は違うわ、カーニバルだもの。あのね、これは昨日入手したばかりの
極秘情報なんだけど、なんとGRUはカーニバルの期間中、揚陸艦を一般公開するらしい
のよ。つまり入場料さえ払えば、誰でも中に入れるってわけ。どう?これって絶好のチャン
スだと思わない?」
「へえ‥‥そいつは面白そうだな」
Dはその話に興味を惹かれた。「でもなんで、ロシア側のおまえがそんな事を提案するんだ?」
「同じロシア人でも、あたしたちKGBにとってGRUは不愉快きわまりない連中なのよ」
アナスタシアはさも憎らしそうに吐き捨てた。「冷戦中から嫌な連中だったけど、冷戦後
は露骨にあたしらを見下した態度を取ってくる、高慢ちきな軍人どもの集団よ。あんな奴ら
と協力するぐらいなら、あんたに協力するわ、D」
「‥‥罠だ」
それまで黙って話を聞いていたAが、我慢しきれなくなったように言った。「D、こんな女
の口車に乗せられるなよ。この女が味方を裏切って、俺たちに協力なんかする訳がない」
「別にこいつを信用する訳じゃないさ」
と、D。「だがあのGRUの揚陸艦に潜入するってのは面白そうだ。Z一人を助けるために
大使館に潜入するよりは、よっぽどな」
「D!」
思わず声を荒げるAを、アナスタシアは冷ややかに見つめた。
「うだうだ言ってないであんたも一緒に来れば?坊や。きっとあんたの『一番大事な人』
も、今頃揚陸艦に向かってる頃だろうし」
「な‥‥んだって?」
とたんにAの顔色が変わった。アナスタシアはその変化を面白そうに観察しながら、
「だから言ったでしょ。その『彼女』が、レンズの情報提供者だって。私と彼女は、揚陸艦
の中で落ち合う約束をしてるのよ」
「おい、いったい何の話をしてるんだ?」
二人の会話についていけないDが、イラついた顏で口を挟む。Aは首を振って、
「聞く必要なんかない。どうせみんなこの女のくだらない妄想なんだから」
「あら、これがくだらない妄想かどうかは、揚陸艦に行ってみればはっきりするんじゃな
い?」
Aの心の動揺を見逃さず、アナスタシアがたたみかける。「それとも怖いの?真実を知るの
が。だから揚陸艦には行きたくないのね。貴方って彼女を信用してるふりをして、実は疑っ
てるんじゃないの?」
「うるさい!」
たまりかねてAが怒鳴った。DがびっくりしたようにAを見つめる。ここまで怒りをむき出
しにしたAを見たのは初めてだった。
だがアナスタシアはまったく躊躇せず、悠然と笑みを浮かべながら、まるで値踏みするかの
ようにAとDを交互に見ている。Aはこの女の罠にはまっちゃいけないと頭では分かってい
ながら、怒りの感情が先に立って、冷静な判断ができなくなっている事には気付かなかった。
「‥‥そこまで言うなら行ってやる。GRUの揚陸艦に。そしたら、真実がはっきりするん
だろ?」
「その通り」
アナスタシアはしてやったりという顏で微笑んだ。「もし『彼女』がスパイじゃなかった
ら、私は貴方に土下座して謝ってもいいわ」
「おい、『彼女』っていったい誰だよ?」
Dがたまりかねて声を荒げる。アナスタシアはAに向かって顎をしゃくった。
「彼に聞いてみれば?」
「‥‥‥‥」
Aが怒りと動揺を噛み殺した顏で口をつぐむのを見て、Dも問い詰めようとした口を閉ざ
す。――――その数秒後、Aがぽつりと言った。
「‥‥僕は妻を信じてる」
だがその声はあまりに小さかったので、周囲の雑音にかき消され、Dの耳には届かなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――続く



マスコットは・・・ 投稿者:あ・や  投稿日:06月29日(木)14時33分01秒

>ひーちゃん
小説、再開ですね?このまま怒濤(?)の結末までなだれ込むのでしょうか?
・・・D君、相も変わらず単細胞だねぇ。A君、だめだよ、D君の言うこと聞いちゃ。
でもそこが、A君なんだけどね。頑張れ、A君。抑えるんだ、D君の暴走を。
では、NATO情報部の任務成功を祈ります。



おお、再開している! 投稿者:bridum  投稿日:06月30日(金)05時03分10秒

『偽りの恋人』が再開してますね?
いつものように、読みごたえあります〜。ひーちゃん。

それにしても、なんとなく、
D君とアナちゃんが、最後には、ちょっといい関係に?
なるのでは、という予感が...
喧嘩するほど仲がいいっていうし。

Z君は、拘留されたままなんですね?
拷問とかされてないといいんですけど...
あの顔に傷がついたら、大変(笑)。

最終回まで怒濤に突っ走る..。
楽しみだな〜。



美女とおちゃらけもの 投稿者:ひーちゃん  投稿日:06月30日(金)23時58分44秒

ヴェネチアのガイドブック片手に書いております「偽りの恋人たち」略して「いつこい」(笑)。
地理的におかしい所があったら遠慮なく指摘してね(^^;)。私、ヴェネチアどころかイタリ
アも行った事ない人間なので。だって海外といえば、北海道と沖縄ぐらいしか‥‥(汗)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サン・マルコ広場の特等席ともいえるカフェ・フローリアンも、カーニバルとあって一層
の賑わいを見せていた。
「サン・マルコ広場のカフェといえば‥‥なんといっても思い出すのは映画『旅情』です
な。ご存知ですか?イタリア旅行中のキャサリン・ヘプバーンが、ハンサムなイタリア男
のロッサノ・ブラッツィとヴェネチアで恋に落ちる、それはそれはロマンチックなラブス
トーリーなんですよ。やはりヴェネチアという所は、“恋”が似合う街なんですねえ‥‥」
カフェのテーブルでカプチーノをすすりながら、ロレンスはさっきからずっと一人でべら
べら喋りまくっている。だが向いに座る奥さんは、ロレンスの話などそっちのけで、手に
はめた指輪の“レンズ”を凝視している。ロレンスは眉をひそめて、
「どうしましたマダム?また“レンズ”に何か異変でも?」
「ええ」と、レンズから目を話さずに奥さんはうなずく。「ついさっき気付いたんですが‥
‥、今朝まではずっと弱々しい光だったのに、さっき見たら急に、今までにないほど強く
光ってるんです」
「という事は‥‥」
と、ロレンスは大げさに眉をひそめて考え込む。「A君‥‥いやご主人は、我々のすぐ近く
にいるという事ですか?」
「ええ、たぶん」
「はっはっはっ」
ロレンスは唐突に笑いだした。「やはり昨夜、焦って救出に向かわなくて正解でしたな。
こうしてご主人の方から、我々に近づいてきたのだから。いや、何もかも私の計画どうりだ」
得意げに語るロレンス。本当は昨夜から今日にかけてどんな仮装をしようかと、レンタル
衣装屋をあちこちうろついていただけなのだが。そしてあれでもないこれでもないと選り
好みしすぎたあげく、今になっても決まっていない。
だが奥さんはその事には突っ込まず、カフェの窓から広場を眺めながら、
「ではこの広場のどこかに、主人がいるという事かしら‥‥」と、仮装した人々でごったが
えす広場の雑踏に目を凝らした。それからまた指輪に目をやって、あっと声を上げる。
「見て下さい!光が、急に流れ出したわ‥‥!」
「おや、本当だ」
と、ロレンスも身を乗りだして目を丸くする。
「これは、いったい‥‥?」
「きっと主人は、たった今、この広場からどこかへ移動してるんですわ」
奥さんは確信を持って言い切った。「だからレンズの光が動いてるんです」
「なるほど。しかし、いったいどこへ?」
「それは、このレンズの光る方向についていけば分かりますわ」
奥さんは、何をいまさら、といった顏でさらりと言った。それからすっくと立ち上がって、
「こんな所でくずぐずしている場合じゃないわ、行きましょう!このレンズが、私たちを
主人の居場所へと案内してくれますわ!」
言い終わらないうちに、奥さんはテーブルを離れて出口へと歩きだした。昨日からの疲れを
微塵も見せないその後ろ姿を眺めながら、ロレンスはフッと苦笑を浮かべた。
(‥‥やれやれ、夫婦とはかくもやっかいなものよ。目の前にこんないい男がいるという
のに、ヴェネチアで束の間のロマンスを楽しむ余裕もないとは哀しいものだ。しかしあれ
だけの美女にあそこまで想われるとは、A君も見かけによらずなかなかやるな。NATОの
無能な雑兵とばかり思っていたが、あれでなかなか隅に置けない色男なのかもしれぬ 。なんせ
あの少佐の筆頭部下だからな。‥‥そうか、さては二人でハンブルグに、出張と称して頻繁に
女遊びに出かけているな?そこで少佐から、夜の帝王のテクニックをみっちり伝授されている
に違いない。ああなんと羨ましい。今度はぜひ私も連れてって下さいと少佐に頼んでみよう‥‥)
と、ロレンスが桃色の妄想にふけっているうちに、奥さんはカフェを出て広場へと速足で歩
いていく。しまった!とロレンスが慌ててカフェを出たときにはもう遅い。奥さんの姿は雑踏
の中に紛れ、瞬く間に見えなくなった。

ロレンスとはぐれた奥さんだが、その姿をしっかりとマークして尾行している人物がいた。
「少佐、奥さんを発見しました。サン・マルコ広場を出て、セルセオロの停留所から水上バス
に乗り込んだところです」
「よし、そのまま尾行しろ。すぐにВをそっちに向かわせる。それから‥‥」
「なんでしょう少佐」
「あの女の疑いが晴れるまで、『奥さん』という呼び方はやめろ。万が一、ロシア人どもに
盗聴されたらまずい。これからはただ単に『女』と呼べ」
「‥‥はい。分かりました」
Gはいつになく強ばった声で答えると、携帯を切った。それから速足で水上バスの停留所に
向い、チケットを買って奥さんと同じバスに乗り込んだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――続く。

という訳で、ここまで読んで気付いた方も多いように、私、ロレンス書くの苦手です(爆)。
なのでクライマックスを迎える前に、さっさと戦線離脱させちゃいました。はっはっは。
ロレンスファンの方、ごめんなさい〜。特にbridumさん!(笑)。‥‥でもこれは、「この後
のロレンス」をぜひbridumさんに書いて頂きたいという、私からのリクエストでもある
のよ(^^)。
そーゆー訳で、誠に唐突なご指名ですが、「この後のロレンスさん」はbridumさんにまーか
せたっ!<んな無責任な(笑)。難しかったら無理して書かなくていいからねー、bridumさん(^^;)。



美女とおちゃらけもの・その2 投稿者:bridum  投稿日:07月01日(土)03時14分37秒

・・・・
『なんとも、早足な人だ!』
そう、ロレンスは独り言をいうと、パチンと勘定の催促をした。
『おお、なんということだ、コーヒー2杯でこの値段...
 しかし、ここで、飲み逃げなどと不粋なことはしない...
 あとで、少佐に請求しよう..』

『お客さま、あのう、お預かりが多すぎますが...』
そう、ロレンスは、イタリアリラの単位を勘違いしていたのである。
『(う〜ん。ここで、ゼロの桁を2つ間違えたから...なんて言ったら、
 世界に冠たるSISの恥...
 フッ、ここは一つ、粋な対応を...)
君、今日はカーニバルだよ、取っておきたまえ...
 1人のイギリスの男から、イタリアへの友好のしるしに...フッ』
『はあ、では...』
『フッ、ごちそうさま』

カフェを気持ち良くでたロレンスではあったが、
すっかり、奥さんを見失ってしまった。
(これが、少佐にばれたら...生きては
 ロンドンに帰れぬ...
 この、お金の単位も間違えやすいイタリアに
ずっと足留めになんてなったら...)

すっかり、奥さんをさがさずに、少佐への言い訳を
あれこれ考えていたロレンスであった。
(おお、いつも、ハードは仕事をこなしていたばっかりに
 ソフトな方法を忘れていた...
 やはり、ここは、捜索の基本を実行しよう..

 フッ...基本と言えば思い出す..
初めて、ミスターLのもとで、あの激務をこなした日々...)

遠い目をして、ロレンスはゆっくりタバコに火をつけた...
(あれは、....おお、いけない。ハードな男は、
思い出に浸る時間も許されないのだ...フッ)

われにかえったロレンスは、
『奥さ〜ん、A君の奥さ〜ん、どこですか〜』
そう、連呼して広場を歩きだした。

そんな、スパイばなれした手段をとっていたロレンスを
B君が見つけてしまった。
『少佐、Bです、いま、ロレンスを見つけました。』
『ロレンスだとお!そのまま広場においておけ!』
『しかし、『Aの奥さ〜ん』なんて大声でさがしてますが...』
『....』
『少佐、聞こえますか?』
『...しかたない、一緒に連れていけ!』
『オレがですか?』
『また、おかしな行動をされたら、かなわんからな』
『はあ...』

しかたがなく、B君はロレンスに手を振って手招きした。
『ぬぬぬ..あれは、少佐の部下の2番手...
 なにか、サインを送っている...』
なかなか、こちらに来てくれないので、再度B君は手を振った。
(ほう、あのサインによれば、少佐は、このロレンスの
 ミスを許すということだな...
 やはり、持つべきは、苦楽をともにした、古き盟友...
 ...では、こちらもサインを送ろう...)

『君は、つるバラ...。寛大なお気使いに感謝する..
 ここは、我が盟友の任務成功を、影から、そっと見守る...』
ロレンスは、木の枝を折って、顔を隠しながら、
そういう気持ちを、サインにしてB君に送った。

『・・・少佐。聞こえますか。』
『なんだ!』
『ロレンスが、木陰に隠れてしまいました!もう、
 同行しなくていいですか?』
いつになく、焦って、動揺している、B君の声に、少佐は
『...見なかったことにして、急げ!』
と、怒鳴った。

...
こんなんで、いかがでしょうか?



本館の「しりとり」について 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月02日(日)00時50分48秒

>bridumさん
唐突なご指名に答えてくれて、ありがと〜!大感謝!
あはは、やっぱbridumさんの書くロレンスは最高だわ。期待以上の爆笑編をどうもです。
これからも、また「唐突なご指名」するかもしれないけど、その時はお願いします〜って、
調子乗りすぎ?



おお! 投稿者:かずみ  投稿日:07月02日(日)20時19分36秒

美女とおちゃらけもの・その2はbridum さまの作だったのですね。
なるほど、ロレンスさんが生き生きとしています。すばらしい!



そーか“いつこい”ってゆーのか 投稿者:美紀  投稿日:07月03日(月)20時47分51秒

わははははっ、bridumさん、やっぱりあんたぁ最高や!
“つるバラ”のブロックサインて一体どんなんなの〜〜〜〜〜?
両手を花のように合わせてくねくね腰振りながら膝折るの〜〜〜〜〜?
そーよね、B君はお気楽さが売りの善良な1スパイ(←矛盾)に過ぎないもん、
宇宙人とまともにコミュニケーション図ろうたって、所詮は無理な相談なのよ。
でも近頃とみに邪悪な私は、過日の“拷問”の1ワードの方に触発されちまいましたわ。
うふふふふー、Z坊はあの長めの金髪を同志「プーさん」(ホテルのロビーで薔薇と戯れてた彼)
に引っ掴まれ、冷たい壁にがしっと打ちつけられるのね。
自分からどんより懐くことは多々あっても、他人にやられるとこれが痛い。
もちろん弾みで唇切っちゃって、Z坊は舌に広がる重苦しい鉄の味に、今は亡きD先輩(笑)に
鉄拳制裁を加えられた日々を懐かしく思い出すんだよ。
(つ…。こうやって先輩にもよく殴られたっけ。イングランドのベッカムが生意気だって
吠え立てられても、僕にはどーすることもできないのに…)
でも一番理不尽だったのは、ハノーバー万博に付き合わされた時のことだね。
2人はイベントコンパニオンであるDの元彼女(件の傷害事件の加害者/険のある美人)
と鉢合わせ。絶対零度に凍りついた空気の中、よせばいいのにDの馬鹿が
「よぉ、最近やってるか?」ってニヤリささやきかけたもんだからさあ大変。
激昂した元彼女は案内所の14インチモニターを「天誅!」とばかりに投げつけるんだけど、
その直撃弾は当然Dに盾にされてたZ坊が受けてしまったのよ(合掌)。
そんな悲愴なエピソードも今となっては極上の蜜。
(もう2度と殴って貰えないのかな…)とZ坊はせつなく涙を滲ませて…って、
お前、その思想は危ないぞ。
…馬鹿馬鹿しいカキコですみません。



A君マグが欲しいのよぅ。 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月04日(火)00時51分41秒

おー、美紀さん久しぶりに妄想の翼に乗って、羽ばたいてますねぇ!(笑)。
その調子で、これからもどんどん乱入して下さると嬉しいわ。だってはっきり言って、
「ロシア大使館に捕らわれているZ」については私、からきし考えてなかったっちゅーか、
「どうでもいい」って感じでほったらかしてたんで(笑)。ははは。<ひどい‥‥。



D君の元彼女がこんなとこに・・・ 投稿者:あ・や  投稿日:07月04日(火)14時25分24秒

・・・Z坊、誰に助けて貰えるんだろう?やっぱり少佐かしら?
E君、早く出てきてD君の相棒を務めなきゃ、少佐の相手をしている場合では・・・。
D君のとんでもない暴走をとめられるのは、つきあいの長い君だけだからさ。A君じゃ無理なんだね。
それとももしや、A君がいない隙に筆頭部下の座を、なんて、しつこく狙っているのかしら?
灰皿を差し出す役は、今は君しかいないもんね。でもさ、君のいれるコーヒーは
A君のより微妙に不味くて、少佐は一口しか飲まないんだよ、きっと。
Gちゃんからの報告を聞いた後、さりげに少佐にコーヒーをいれるも、少佐は
「・・・まずい・・・やはりAじゃないと・・・」と心の中で呟いて、二度と口をつけないのよね。
十年早いよ、E君、筆頭部下の座は。君はとりあえず、D君の相棒を地道に務めてなさい。



いつこい〜女王様コスプレ編 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月05日(水)01時25分11秒

奥さんとはぐれたロレンスが広場でB相手におちゃらけている頃、A、D、アナスタシアの
三人は、運河を走る水上バスに乗ってヴェネチア港を目指していた。
アナスタシアは相変わらず白いドレス姿で仮面をつけていなかったが、AとDは正体を隠す
ため、カーニバルで最もポピュラーな白塗りの仮面をつけていた。こうやって顏を隠してい
ても、カーニバルという事で怪しまれないのはありがたかった。

水上バスが港に近づいた。見覚えのある巨大な軍艦が、彼らの前に姿を現わし始めた。
「あれがGRUの揚陸艦よ」
そう言って、目の前の威風堂々とした軍艦を指差すアナスタシア。だがDはぶっきらぼうに、
「知ってらぁ。俺はAを助けるためにあん中に潜入して、ロシア人どもを蹴散らしてきたん
だからな。今となっては懐かしいくらいだぜ」
「‥‥おい、嫌な事を思い出させるなよ」
Aが仮面の下から陰気な声で言った。Dは陽気に笑いながら、
「はは、あの変態軍医の事か?奴には酷い目に合わされたからなぁ。セーラー服は着せら
れるわ、腹は切り裂かれそうになるわ」
「そのセーラー服って、これの事かしら?」
唐突にアナスタシアが割り込んだ。AとDが驚いて振り向くと、アナスタシアはにっこり
笑ってドレスの背中のチャックを引き下ろした。げっ!と二人が顏をひきつらせるのも
お構いなく、アナスタシアはドレスを勢い良く脱ぎ捨てる。突然の美女のストリップに、
水上バスの他の乗客たちも一斉に彼らに視線を浴びせる。‥‥だが、彼らの好色な期待は
まんまと裏切られた。ドレスの下は裸ではなかったのだ。
「どう?似合う?」
アナスタシアは笑いながら、ひだスカートの裾をつまんで持ち上げた。AとDは見ては
いけないものを見てしまったショックで、しばし硬直している。ようやくDが我に返って、
「あ‥‥アホか!似合う訳ねぇだろ!セーラー服ってのは日本の女子高生の制服なんだぞ!
おまえみたいな年増女が着た日にゃあ、とうの立ったソープ嬢のコスプレにしか見えねえっ
ての!」
Dの罵声にアナスタシアは顏を紅潮させて、
「年増ですって?ひどいわ!私まだ30いってないのよ!」<ホントかよ(笑)。
「嘘つけ!とにかく気持ち悪いから早く脱げ!まだおまえよりAの方がよっぽど似合って
たぜ!」
「あのなー‥‥」
と、Aが怒りを押し殺してDを睨みつける。だがDはかまわず、
「それにしてもなんでおまえがそんなもん持ってるんだ?それはAが持ってたはずだが」
「ええ。Aを空軍基地から拉致した時に、彼のリュックに入ってたのよ。で、後々脅す
ネタにでも使えないかと思って密かに携帯してたってわけ」
「携帯すんのはいいけど、何も着る事はねーだろうが!」
「あら、今はカーニバルよ。女子高生に仮装したっていいじゃない。それに私、この格好
気にいってるのよね〜♪」
「‥‥悪いけど」
Aは目の前のセーラー服姿のアナスタシアを直視できずに、目をそむけながら言った。
「その服は他の人にあげる約束をしてるんだ。だから今すぐ返し‥‥」と言いかけて、
Aはあるアイデアを思いついて口をつぐんだ。そして急に口調を変えて、
「いや、やっぱりおまえにやるよ。なかなか似合ってるし。うん」
「な、何言ってんだA!どこが似合ってるんだよ、どこが!」
Dがいきりたって噛みついてくる。だがAは無視して、アナスタシアに向かって
「そのままずーっと着てていいよ」
いきなり態度を豹変させたAにアナスタシアはふふんと笑って、
「あら、そう?なんか明らかに裏がありそうだけど。でもまあいいわ、何をたくらんでる
にしろ、どうせたいした事はできないだろうし」
そうしているうちに、水上バスが停留所に到着した。三人はバスから降りて、目前にそび
え立つ揚陸艦へと歩いていく。
「ねえ、D」
自分は人質だという自覚が全くないアナスタシアが、Dの隣ではしゃぎながら言った。
「揚陸艦に潜入している間は、私たち恋人同士って事にしない?」
「‥‥はぁ?」
間の抜けた声を返すD。だがすぐに眉を吊り上げて、
「冗談じゃねぇ、誰がおまえなんかと!」
だが懲りないアナスタシアはDの胸に寄り添うようにその顏を見上げて、
「だってその方が、警戒されずに済むでしょ?その変わり一般人はとても入れないような
内部まで、案内してあげるからさぁ‥‥ねぇ、いいでしょう?揚陸艦の中にいる時ぐらい、
“偽りの恋人”を演じてくれても」
「う〜っ‥‥」
困惑した声で呻くDだが、ここはこの女の頼みを聞いてやった方が得策なのは明らかだっ
た。しぶしぶうなずく。
「‥‥しょうがねぇな。ただし、俺にべたべたしたりすんじゃねーぞ。んな事したら容赦
なくはったおすからな」
「分かってるわ」
とか言いながら、もうすっかりその気になってDの腕に自分の腕をからませるアナスタシ
ア。すかさずDはその腕をふりほどくと、女の髪をわしづかんで耳元に怒鳴りつけた。
「べたべたすんなって言っただろーが!!」
「何よ、腕組むぐらいいいじゃない!ケチ!」
(‥‥うるさいなぁ)
Aは眉間にしわを寄せながら、二人の口ゲンカを聞き流していた。聞きようによっては、
痴話ゲンカに聞こえない事もない。二人とも、呑気でいいよな‥‥と、これから自分を
待ち受けている運命を思ってAはため息をついた。
もちろん、誰が何と言おうと妻を信じている。‥‥のはずなのに、こんなに胸騒ぎがし
て落ち着かないのは、心のどこかに妻への疑念があるからだ‥‥という気がして、Aは
それが許せなかった。こんな女のたわごとにいちいち動揺している、小心な自分が。
だが、それももうすぐ終わりだ。あと少しで、この苦しみからも解放される。この女の
言う事が本当ならば、女に“レンズ”を手渡そうとするスパイと揚陸艦の中で会えるは
ず。その時、そのスパイの顔をはっきりと確認すれば、それで全ては終わるのだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――続く

>あ・やさん
>・・・Z坊、誰に助けて貰えるんだろう?やっぱり少佐かしら?

そだねー。やっぱ少佐に助けてもらうのが、一番自然な展開だよねー。
ただ私としては、Zはもうしばらく敵につかまっててもらわないと、話が上手くかみあわ
ないのだ。なのでZ、辛いだろうけど、もうしばらく同志プーさんのイジメに耐えててくれ。



ロレンスさん 投稿者:あ・や  投稿日:07月05日(水)14時13分39秒

ひーちゃん、リレー小説進んでますね?あいかわらずの、先の見えないおもしろさです。
D君てば、アナちゃんをいくつと思っていたんでしょう?
「絶対おれより5歳は上だろ?30前なんて見え透いた嘘、言うんじゃねぇよ。
 ほら、この顔、全然ハリがないじゃん、30越えたら『潤い成分配合の化粧水』使えよ」と
アナちゃんの顔を指でつっつきながら、全然関係のない場面でつっこみを入れてほしいものです。
(D君は20代後半くらいだよね?A君も)
アナちゃん、せっかくD君に惚れたのに、その惚れた男に「年増」とか「嘘つき」とか言われて、
いいかげんショックをうけて、少しは反省しなさいよ、あんたも懲りない人だよね、本当に。
それとD君、あんた、なんでそんなに日本の事情に詳しいの?
A君が中国の故事に精通しているのに張り合って、日本を選んだのか?
ところで、同志プーさんがZ坊をイジメるのは、彼がいい男で妬ましいから?(そんな訳ないじゃん)
同志プーさん、そんなコトしていると、後で少佐にかわいがられちゃうよ。



「いつこい」も忘れないでね(はぁと) 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月12日(水)00時18分01秒

一般公開されたGRUの揚陸艦は、好奇心旺盛な一般人たちで賑わっていた。
ついこないだGRUに拉致されたAを救出するべく、Eと共に銃をぶっぱなしながら
この艦に侵入した記憶が鮮やかなDは、こんなにあっさりと中に入れることが信じられ
なかった。
あの時はセーラー服姿のAを連れて艦内を銃撃戦を繰り広げながら逃げ回ったが、今度は
セーラー服姿のアナスタシアを案内役に、艦内を悠々と見て回っている。
それどころか、艦の入り口に待機していた乗組員はアナスタシアを見るなり深々と敬礼
して、
「これはこれは、アナスタシア・ドミトリィ大尉。わざわざお越し頂き光栄です。すぐに
ザーリン中将に連絡を‥‥」
だがアナスタシアはそれをすげなく断った。「よしてよ、あんな男に挨拶なんかしたく
ないわ。それに今日は仕事じゃないの。デートなのよ。見れば分かるでしょ?」
と、傍らのDに親しげに腕をからませる。途端にDは仮面の下の眉毛を吊り上げたが、
ここで騒ぎを起こしちゃマズイとかろうじてアナスタシアへの罵声をこらえる。DもAも、
仮面のおかげで、その正体は周囲にたむろしているGRUの兵士達には気付かれていな
かった。
「‥‥そうですか。では、ごゆっくりどうぞ。もちろん入場料なんていりません」
うやうやしく再敬礼する乗組員に見送られて、アナスタシアを先頭にA、Dの三人は
揚陸艦へと潜入した。

「どう?GRUにまでとどろく私の名声は」
艦内の通路を歩きながら、アナスタシアが得意げに言った。だがDは嫌悪感をむき出し
にして、
「てめぇ、いつまで腕をからめてんだっ!とっとと離せ!暑苦しい!」
罵声と共に乱暴に突き飛ばされて、アナスタシアはムッとして食ってかかった。
「ちょっと!ここでは私はVIPなのよ!もうちょっと丁寧に扱ったらどうなの?」
「うるせっ!何がVIPだ!どーせ色仕掛けでエライさんたちをたぶらかしたんだろ
うが!」
「‥‥あのー、D、あんまりわめくと正体がバレるよ?」
背後からAにぼそっと忠告されて、Dもしぶしぶ口をふさぐ。それから振り返って、
「そういやさっきから元気がないな、A。どうしたんだ?」
「え?‥‥い、いやなんでも‥‥」
返答に困って口ごもるA。まさかこれから接触するロシア側のスパイが、もしや妻なので
はと心配でしょうがないから‥‥なんて事はとても言えない。Dは何も知らないのだ。もし
知ったとしても、「女房を疑うなんて、てめぇそれでも男か!歯ぁ食いしばれ!」と怒鳴
られて、怒りの鉄拳をくらうだけだ。だから絶対に言えなかった。
だがアナスタシアはAのそんな葛藤が面白くてたまらないらしく、くすくす笑いながら、
「そんなに不安そうな顏しなくても、すぐに白黒はっきりするわよ」
その時、携帯電話の着信音が鳴った。アナスタシアはセーラーの胸元から携帯を取りだすと、
耳に押し当てる。
「ハロー」
『大尉、例の信号はたった今、GRUの揚陸艦内に侵入しました。まるで大尉の後を追う
ように、ぴったりと後にくっついて進んでいます』
アナスタシアはAたちには気付かれないように、顏を隠してニヤリと笑った。そして二人
には聞こえないよう声をひそめて、
「‥‥当然ね。だって“彼女”は、私たちの後を追ってるんだもの。‥‥正確には、私たち
のうちの一人が腹に宿している“レンズ”を追って、だけど」
『‥‥はぁ?それはいったい、どういう事でしょうか?』
部下が困惑した声を返す。だがアナスタシアは素っ気無く、
「今、理由を話すのはめんどくさいわ。とにかく計画は今のところ順調ね。これから予定
通り私たちは船倉に向かって、そこでその信号の発信者と接触して“レンズ”を頂くわ」
「“レンズ”がどうしたって?」
突然Dが割って入った。アナスタシアは一瞬ぎょっとしたが、すぐに落ち着いた態度を
取り戻して携帯を切った。
「あら、聞こえたの?」
「“レンズ”ってとこだけな。貴様、いったい何をたくらんでるんだ?」
「そんな怖い顔はよしてよ、今は恋人同士のはずでしょう?」
アナスタシアは甘ったるい声で囁きながら、Dの肩に腕を回した。「それより‥‥ねえ、
せっかくのデートなんだから、もっとムードのあるとこに行かない?二人っきりになれ
るところ‥‥船倉なんかどうかしら?」
「‥‥はぁ?ごまかすな!俺は揚陸艦の中を徹底的に探りに来たんだぞ!なんでてめぇ
なんかと!」
「だから、今から一番オイシイとこに連れてってあげるんじゃない。ここだけの話、
船倉にはね、GRUの最新兵器が隠されてるのよ」
“最新兵器”という単語が、武器マニアのDの脳細胞にヒットした。Dはとたんに
乗り気になって、
「そいつは、嘘じゃねぇだろうな?‥‥よし、なら行ってやろうじゃねぇか」
「おいD!その女の言う事は信じない方が‥‥」
とAが背後から忠告するのも無視して、二人はさっさと船倉へと続く階段を降りていく。
仕方なくAもその後についていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――続く



只今現実逃避中 投稿者:美紀  投稿日:07月12日(水)03時51分34秒

ひーちゃん、忘れてなんかないわよ、『いつこい』。
乱入の機会も一応窺ってはいるのよ。
私すぐ別ネタに脱線しちゃうし、ここ数日は多忙で身動き取れないんだけど。
いよいよ奥さんとの対決ですのね? 今から含み笑いが押さえられやせんぜ、クックック。
しかしDの「歯ぁ食いしばれ!」って何やねん。相変わらず男前な自分に酔い痴れてんのね。
でもパシリ扱いのZとは違って、有事(?)には優しく肩を抱いて庇護する対象のA君には、
ちょい手加減したげるんだろ?



忘れてません! 投稿者:あ・や  投稿日:07月12日(水)14時28分15秒

ひーちゃん、忘れてないです、ずっと続きを待ってました。
密かに「いつこい」をのせないのは、私のせいかとも思ってましたよぉ・・・。
(ヘンな妄想話をばらまいているから・・・)
A&Dのおまぬけコンビ、アナちゃんの携帯奪いなさいよ!
そして少佐に連絡とりなさいって。全く、あんたたちときたら・・・。
A君は奥さんに疑心暗鬼だし、Dは(呼び捨てじゃ、コイツは)相変わらずの単細胞だし。
気づきなさいって、それくらい。
D、出番のないE君が少佐のもとで怯えながら君の連絡を待ってるよ。



いつこい・船底でドッキリ!編 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月14日(金)01時57分13秒

巨大な揚陸艦の船底にある船倉は、さすがに広大だった。薄明かりに照らされた殺風景な
空間の至る所に木組みの箱が山積みされていて、ロシア語で何やら文字が書いてある。が、
もちろんAたちには読めない。Dはそれらの箱を眺めながら、
「おい、どこにGRUの最新兵器が隠されてるんだ?」
とイラついた声でアナスタシアに訪ねた。アナスタシアはDの手を取ると、
「こっちよ」とさらに奥の方へと連れて行こうとする。その時―――――
「待て!」
突然野太い声が響いて、三人はぎょっと振り返った。見ると、見覚えのあるハゲ頭が仁王
立ちでこちらを睨んでいた。
「‥‥ミ、ミーシャ?」
驚愕の声をあげて立ちすくむアナスタシア。AとDはミーシャの顏を見るなり片方は
逃走体勢、片方は臨戦体勢をとったが、すぐに自分たちは仮面で顏を隠していると気付き、
動きを止めた。
だがミーシャはAたちの正体を即座に見破ったかのように、つかつかと大股で歩いてくる。
その目は怒りに燃えていた。
(うわ、ヤバい!逃げよう!)
AがDの手をつかんで走り出そうとしたその横を、ミーシャはさっさと通り過ぎると、
立ちすくんでいるアナスタシアの腕をひっつかんだ。
「もう逃がさんぞこのバカ女!勝手な事ばかりしおって、KGBの恥さらしめが!!」
すごい剣幕で怒鳴りつけられて、さすがのアナスタシアもたじろいだ。ミーシャはアナ
スタシアの腕をつかんだまま、
「勝手に大使館からAたちを連れ出して、今までどこをうろついてたんだ!Aたちはいっ
たいどこに行った?まさか逃げられたなんて言うんじゃないだろうな!」
「ち、ちがうわよ!彼らは、その‥‥」
ミーシャの剣幕に押されておどおどと弁解するアナスタシアを、AとDは少し離れた
場所から物珍しそうに眺めた。怖いもの知らずに見えるあの女も、怒り狂ったミーシャ
の迫力には怖じ気づくのか。はた目には、遊びほうけて家に帰らないバカ娘をついに
見つけだした父親が、激昂して説教している様にも見えてなかなか面白かった。
「彼らは、なんだ?!はっきり言え!Aたちはどこにいる!」
「ここにいるぜ」
突然背後から声がして、ミーシャは振り返ろうとして硬直した。後頭部にぴたりと銃口を
押し当てられている。だが振り返らなくとも、その声からすぐに誰だか分かった。
「おまえは‥‥Dだな」
「そのとーり。KGBの大物に名前を覚えられてるとは嬉しいぜ」
Dはにんまり笑って言った。ミーシャはすかさず、
「女遊びが過ぎて恋人に刺され、その後改心して坊主になるもその破壊的な性格は直らず、
なぜNATОに就職できたのかさっぱり分からない、少佐の部下の中でもひときわ目立つ
単細胞‥‥と我々のデータにはある」
「なにぃ?」
ムッとして頬を赤らめるDの顏を、アナスタシアはまじまじと見つめた。
「何それ?あなた、そんな女好きだったの?硬派だとばかり思ってたのに‥‥がっかりだわ」
「おい、こんなタコ坊主の言う事を信じるのか?!」
「ふふ、ちょっとからかっただけよ。すーぐムキになっちゃって可愛いんだから、もう」
にっこり微笑むアナスタシアに、Dは気抜けしたように肩を落とした。(アホらし‥‥早い
とこGRUの最新兵器をかっぱらって、この女を追っ払おう)
「おいA、そこでボーッと突っ立ってないで、早くこのタコ坊主を縛っちまえよ」
「‥‥もう遅いよ」
陰気なAの声にDがハッと振り向くと、KGBのグラサン軍団が銃を手に周囲をぐるりと
囲んでいた。Dはチッと舌打ちする。
「そういう事か‥‥。だがこっちにゃ人質がいるんだ。おいロシア人ども!てめーらのボス
のハゲ頭に銃弾ぶちこんでもいいってのか?」
「それを言うなら、こっちにも人質がいるぞ」
と言って現れたのは、同志『プーさん』だった。その手に首根っこをつかまれて引きずり
出されてきた人物を見て、DとAは息を呑んだ。
「Z‥‥!」
「せ、先輩‥‥!」
後ろ手に縛られたZはやつれ切った顏をしていたが、Aたちの顏を見て幾らか表情が明る
くなる。
その時だった。DたちがZに気を取られるのを待っていたかのように、突然ミーシャが振り
返り、バキィッ!!とDの顏を力任せに殴り飛ばした。メダリストの鉄拳をまともにくら
って、さすがのDもズダーン!!と床に叩き付けられる。その拍子に仮面が顏から外れ、
床へと転がっていく。
「D!」
と叫んで駆け寄ったのは、Aよりもアナスタシアの方が速かった。彼女はDを抱き起こすと、
チャンスとばかりに優しくその頬をさすりながら、自分の胸に押しつける。「かわいそう
に‥‥後で必ず仇を取ってあげるからね」
「アナスタシア!貴様、NATОに寝返ったのかっ!?」
その光景を見てミーシャが怒りに声を震わせる。アナスタシアは、まだ殴られた衝撃で意識
がもうろうとしているDを胸に抱きしめながら、ミーシャに好戦的な目を向けた。
「NATОがどうとか、関係ないわ。私はこの男をロシアに連れて帰りたいだけよ」
「‥‥好きにしろ!」
ミーシャは不愉快そうに吐き捨てると、そっぽを向いた。そしてAに目を向けて、
「その男はおまえにくれてやる。わしらに必要なのは、Aだけだからな」
「‥‥」
ミーシャに睨まれながらじりじりと歩み寄られて、Aは金縛りにあったように動けなくな
った。
「仮面を取れ」
ミーシャが有無を言わせぬ声で命令する。周囲を囲むグラサン軍団に銃で脅されている事も
あり、Aは言われるままに仮面を取った。仮面の下から現れた顏を確認して、ミーシャは
ニヤリ、と微笑んだ。
「‥‥例の少佐の女の件では、よくもわしを騙してくれたな。だがもう終わりだ。わしは
アナスタシアのようには甘くない。今すぐその腹を切り裂いて、“レンズ”を取りだして
やる。もう準備はできておるのだ」
(うわわわわ)
Aは全身に冷や汗がにじむのを感じながら、傍らのDに目を向けた。が、頼みのDはよう
やく意識が回復して立ち上がったものの、同じようにKGBに銃を向けられていて身動き
できない。
―――今度こそ万事休すか、そう観念した時である。中世の王子様とお姫様に仮装した二人組
が、突然船倉に迷い込んできた。顏は仮面ですっぽりとおおわれているので分からない。た
ぶん男と女のカップルだろう。二人は揚陸艦の中を見学しているうちに、ここに迷いこんで
きてしまったらしい。銃をかまえているミーシャたちを見ても仮装だと思ったのか、ひるむ
事なく近づいてくる。
(くそ、こんな所に一般人がのこのこやって来るんじゃない!)
ミーシャはいまいましそうに舌打ちしたが、一般人に銃を向けて追い払う訳にもいかず、
仕方なく彼らが立ち去るのを待つ事にした。が、仮装カップルはますますミーシャたちに
近づいてきたかと思うと、いきなり懐から銃を抜いてミーシャに突きつけた。
「!!」
ミーシャがはっと向き直るのと、お姫様に扮した女が声を張り上げるのはほとんど同時だ
った。
「逃げてA!この隙に、早く!」
その声に、Aはやっと金縛りから解かれたように振り向いた。仮面で顏を隠していても、
あの金切り声を聞き間違えるはずがない。
「‥‥G!」
その声に、仮面の下のGの顏が一瞬ほころんだように見えたのは、錯覚だろうか?‥‥だ
がその事を確認する間もなく、Aはミーシャの脇をすり抜けて駆け出した。すかさず同志
『プーさん』がその背中に銃を向ける。だがZが縛られたまま体当たりして、『プーさん』
を突き飛ばした。
「追え!逃がすな!」
ミーシャが額に青筋を走らせながら怒鳴り立てる。一斉に銃をかまえて追いかける部下たち。
その背中に向かってアナスタシアが叫んだ。「撃ってはダメよ!わざと逃がして、泳がせる
のよ!でないと私の計画が無茶苦茶になるわ!」
「計画だと?この期に及んで何を呑気な!かまわん!撃て!」
自分もAを追って走りながら、ミーシャが毒づく。アナスタシアもやや遅れてその後を走り
ながら、
「いいから私の言う通りにしなさい!せっかくここまで計画通りだったのに、あんたが現わ
れたおかげで目茶苦茶だわ!」
「なんだと!好き勝手に動いてわしらの計画をぶち壊したのは、おまえだろうが!!」
ミーシャが頭から湯気を吹き上げてがなり立てる。「おまえがAを拉致した時にさっさと
奴の腹からレンズを取り出しておれば、とっくに任務は終わっていたのだ!」
「だから、それもみんな私の計画のうちだっていうのが分からないの?これだから頭の
固いジジィは困るのよね!まあいいわ、とにかくAを追いかけるのよ!そして私の言う
通りに彼を艦内で泳がせておけば、きっと面白いものが見れるから」

逃げ出したAを追って走り去ったミーシャたちを、D、G、Zの三人は一瞬呆然と見送っ
たが、すぐに気付いてその後を追おうとした。が、走り出そうとするDとGに向かってZ
が慌てて、
「ちょ、ちょっと待って下さいよ!その前に僕の縄をほどいて下さい!」
「うるせーそんな暇あるか!自分でほどけ!」
先輩とは思えぬ冷たい言葉を吐いて走り去っていくD。仕方なく、GがZの腕を縛ってい
る縄をほどいてやった。
「あ、ありがとうございますG先輩」
Zはやっと自由になった腕をさすりながら、ふと気付いて周囲をきょろきょろ見回した。
「あれ‥‥?そういえばG先輩と一緒にここにやってきた人は?確か王子様の仮装をして
いた‥‥」
「あら?そういえば見当たらないわね。きっとAの後を追って行ったんだわ。私たちも
早く追いかけましょう!」
Gは言うと、いかにもお姫様風のピンクのドレスのすそをまくりあげ、駆け出した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――続く



うひゃー暑そう…。外出すんの嫌だなぁ 投稿者:美紀  投稿日:07月14日(金)14時16分17秒

Dは従兄弟もNATO職員なので、微細ながらパイプがあったってのはどーでしょう。
部長と喧嘩するためにエレベーターに乗った少佐を見て、びっくりしてたトレンチ男。
彼、面差しが似てますわ(ディックにも似てる?)。



今日は蒸し暑いです。 投稿者:あ・や  投稿日:07月14日(金)14時51分35秒

>ひーちゃん
「いつこい」のミーシャ、きっと心の中で
『アンナはこんな女にならないように、妻共々きちんと教育せねば・・・』
と呟いている気が・・・。
Z坊を助けたのは少佐じゃなかったのね・・・少佐はE君と一緒に作戦本部(?)で待機中?
だって王子様はE君のはずないもん、ましてやB君のはずも。
B君、今頃少佐の目を盗んでカーニバルの屋台でなんか食べてる気がする・・・。



すまないねぇ 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月14日(金)23時26分25秒

そーなの、Z君を助け出すのは、実は少佐じゃなかったのだ。
という訳で期待して下さってた方々、特にbridumさん!ごめんよぅ。
まあ少佐は原作でいっぱい活躍してるから、せめて「いつこい」では、普段目立たない
部下たちをめいっぱい活躍させてあげたいの‥‥なんつつて、実は単に少佐書くのが苦手
なだけだったりして(爆)。
でもやっぱ少佐が出てこないと話が締まらないんだよねぇ。と分かっちゃいるんだが、
いかんせんキャラクターが偉大すぎて、私の手には負えません。とほほ(涙)
まあでも今は、あ・やさんの言うように、少佐は作戦本部で部下たちの奮闘を見守りつつ、
出番を待ってるという事で(汗)。 出番に備えて密かに爪をといでいる、といった所でしょうか?



いいえ... 投稿者:bridum  投稿日:07月15日(土)01時28分24秒

いいんです、ひーちゃんそんな。少佐が助けに行かなくても
ちゃんとチームワークでZ君を助けてくれたので...
なんとなく、もしかしたら、このままZ君は
ロシア海域で行方不明...なんてことになってしまったりして...
と心配していました(笑)。

(なんせ、以前、ひーちゃんはA君さえ..ああ、あれは美紀さんだったかな(笑))

少佐はきっとE君にコーヒーでも入れてもらって(でもA君じゃないと味が合わない)、
作戦の行方を見守っているんですね!
少佐の出番楽しみにしています。(っと、プレッシャーをかける)
それにしても、中世の王子様役は
いったい誰だったのかしら?



いつこい・黄金コンビ復活編 投稿者:ひーちゃん  投稿日:07月17日(月)01時16分31秒

絶体絶命の危機をGに助けられたAは、揚陸艦の内部をのどかに見学している一般 客の
間をすりぬけるようにして、出口目指してひた走った。幸い、仮面を取って素顔をさら
しているにもかかわらず、すれ違うGRUの乗組員たちは下っぱばかりなのかAを見て
も無関心で、「何をそんなに急いで走ってるんだコイツ?」という視線しか帰ってこない。
さっきまで追いかけてきたKGBたちも、さすがに一般客の中では銃をぶっぱなせない
らしく、銃を懐におさめて静かに追走してくる。

―――ようやく出口まで来た。が、外に飛び出そうとしたAはぎくっ!と硬直して立ち
止まり、慌てて物陰に身を隠す。出口では、ミーシャから連絡を受けた部下たちがもの
ものしい顏で待機しており、Aが来るのを待ち構えていた。
(‥‥くそっ!出口から出られないとしたら、いったいどうやってここから逃げ出せ
ば‥‥)
Aが思案している間にも、Aを追ってきたグラサン集団が姿を現わす。Aは踵を返し
て出口からUターンした。あれこれ迷ってる暇はない。とにかく今はなりふりかまわ
ず、ロシア人たちから逃げ回るしかない。奴等に捕まったら最後、3度目の正直で
今度こそ腹をかっさばかれるに違いない。いやそれにも増して怖いのは、少佐に罵倒
される事だ。「いったい何度捕まったら気がすむんだ!それでも俺の部下か!無能―!!」
という少佐の罵声が聞こえるようで、Aは息を切らして狭い通路を走り続け、隙を見て
トイレに駆け込んだ。そこでは、ダース・ヴェイダーが用を足しているところだった。
――いや正確には、ダース・ヴェイダーの仮装をした男が、だが。顏もヴェイダーの
マスクですっぽりと覆われているので男か女かは分からない。が、男子トイレで用を
足しているのだから間違いなく男だろう。
Aは彼が用を足し終わるのを待ってから、用件を切り出した。
「あ、あの‥‥すみませんが携帯持ってますか?よかったら貸して‥‥」
「それで少佐に連絡を取ろうってのか?」
マスクごしのくぐもった声で、ヴェイダーが言った。Aはギクッ!と身構える。もし
やこいつもKGBか?それともGRU?いずれにしろ“少佐”を知っているからには、
同業者である事は間違いない。やばい!逃げなきゃ!踵を返してトイレから走り去ろ
うとするAを、慌ててヴェイダーが呼び止めた。
「待てよA!俺だって!」
「‥‥え?」
立ち止まり、恐る恐る振り返ったAに向かって、ヴェイダーはかぱっとマスクを外し
て見せる。中から現れた顏を見て、Aは安堵のあまり思わずその肩に抱きついてしま
った。
「В〜!」
「ごめんごめん、驚かせちゃって」
Вは相変わらず呑気な顏で笑いながら、Aの背中をぽんぽんと叩いた。「やっぱGR
Uの揚陸艦に潜入するには、仮装しなきゃと思ってさあ。で、Eがこの仮装を俺に勧
めたんだぜ。これなら俺の体型でも疑われずに潜入できるって。‥‥食うか?」
とВはポケットから、カーニバルの屋台で買ったドーナツを差し出した。ちょうど腹
の減っていたAは遠慮なくそれを受け取り、パクついた‥‥が、一口食べてハッと気
付いて、
「こんなもん食ってる場合じゃない!逃げなきゃ!俺、KGBに追われてるんだ!‥
‥いやその前に少佐に連絡取らなきゃ!В携帯貸してくれ!」
「まあ落ち着けって。少佐なら、おまえとDがこの揚陸艦に潜入した事はとっくに
ご存知だぜ。だから俺がこうしておまえらを追ってここに潜入したんじゃないか」
「じゃあなんでおまえはここで呑気にトイレなんか入ってたんだよ?」
非常事態にもかかわらず呑気なВに、Aは苛立ちを隠せず毒づいた。「俺がミーシャ
たちに追われてるのも知らなかったんだろう?」
「まあそう怒るなって」と、相変わらずラテン系のノリでなだめるВ。「こんな時は
下手に逃げたりせずに、堂々と出口から出ていくのが一番さ」
「その出口に、ロシア人たちがうじゃうじゃたむろして俺を待ち伏せしてるんだよっ!」
「ええー、そうなの?」
とВはようやく焦った顏になり、「そりゃまずいな‥‥ど、どうやって逃げよう?A」
とたんにオロオロしだすВを見て、(つ、使えねー奴‥‥)と呆れるA(爆)。やはり
ちょっとばかし無鉄砲でも、まだDの方がなんぼか頼りになると改めて実感した‥‥か
どうかは定かではない。
「もういい、おまえはこのままここにいろよ。その仮装ならバレないし。俺は一人で
ここから脱出するよ」
すげなく言ってトイレから出ていくAの後を、Вが慌てて追いかけた。「ま、待って
くれA!俺をおいてかないでくれ〜!」

「おい、いたぞ!」
出口付近でAを見失ったミーシャの部下たちは、倉庫室の前の通路で再びAを発見して
声を上げた。Aともう一人、SF映画の悪役らしき黒ずくめの扮装の男が、倉庫室へ入
っていくのを確認する。幸い、周囲に人影はない。一気にひっ捕らえようと、部下たち
はダダダッと倉庫室に駈けこんだ。
‥‥が、いない!確かにAたちがこの部屋に入った所を見たのに、部屋中くまなく探し
てもどこにも彼らの姿は見当たらない。ひょっとして、積み荷の中に?と思い積んであ
る箱を片っ端から空けて探したが、見つからなかった。

「く、くせぇ〜!鼻がつぶれそうだ、死ぬ〜!」
むっとするような悪臭が漂う下水道を歩きながら、Вは今にも死にそうな声で愚痴り
続けた。
「A〜!なんでこんなとこに連れ込むんだよ!何もこんなとこ通らなくても、もうち
ょっとましな脱出方法があるだろう?」
「うっさいなー、だったらついて来なきゃいいだろ!」
と、悪臭に顏をしかめながら速足で歩いていくA。Bはその後をよたよたと追いかけ
ながら、
「でもよくこんな抜け道知ってたなー。まさか倉庫室の床の格子蓋,から、下水道に抜
けられるとは知らなかったよ」
「前にここから脱出する時、発見したんだ。あの時もここを通って甲板に出て、飛行機
かっぱらって脱出したのさ」
「そっかー、おまえあの“レンズ”を飲み込んでからというもの、ずっと狙われて、
拉致されまくってるからなー」
「‥‥」
人の気も知らずのほほんと笑うBを内心腹立たしく思いながら、Aは先を急いだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――続く

う〜ん、B君とことん情けなくてごめんちょ。でもかっこよく颯爽と危機を切り抜け
るB君て、あたしどうしても想像できない(笑)。原作の方のA君も、最近はB君を見限
ったのかあんまりコンビ組まないし。少佐もA君の代役にはE君起用してるし。Aとい
えばB、と言われたかってのほのぼの無能コンビ(笑)が懐かしいわ‥‥。



梅雨明けしたよん! 投稿者:あ・や  投稿日: 7月17日(月)12時56分43秒

「いつこい」でもB君って、やっぱりトイレ絡みなのね。いや、B君といえば『トイレ』だ。
E君のアイデアでその仮装とは・・・、E君、小賢しいだけじゃなかったんね。
でも、この任務が終了した頃、A君は同僚の誰一人として信頼できなくなっているような・・・。
B君はああだし、Dはアナ絡みでああだし、Z坊も二人で拉致されているときああだったし、
E君は奥さんのこと横恋慕しているし、結局、助けてくれたGちゃんに戻るのかな?
少佐もA君のことは全幅において信頼しているけど、そのA君を奪った奥さんのことは
気に入らないのね、とどのつまり・・・。



いつこい・熊出没注意!編 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月21日(金) 1時33分40秒

ロシア人の追っ手をかわすため下水道に逃げ込んだAとBだが、暗く湿った通路を進むうちに
行き止まりにぶち当たった。
「あれ?おかしいな。こないだはまっすぐ甲板に出られたのに‥‥」
急に慌ててきょろきょろ周囲を見回すAを、Bはうんざりしたように眺めながら、
「どっかで道を間違えたんじゃないのか?こんなとこで迷子になったなんて言わないでくれ
よ、A!」
「勝手についてきたのはお前じゃないか!ぼくは一人で脱出すると言ったのに!」
「お前一人じゃ心配だからついてきてやったんだろ!」
相変わらずしょうもない事で口ゲンカを始めそうになったAとBだが、すぐに「今はこんな事
してる場合じゃない」と気付いてやめた。
「とりあえず引き返そう」
とAは振り向いて、今来た道を引き返し始める。その後にBも続いた。が、少し歩いてすぐに
立ち止まり、ぎょっとした声をあげる。
「お、おい!誰かいるぞ!」
Aもその人影に気付いて、警戒して立ち止まる。向こうもAたちに気付いて、こちらに近づい
てくる。‥‥よく見ると、さっき船倉にGと一緒に紛れ込んできた王子様だった。といっても、
マスクをしているので顏が見えず、敵か味方か分からない。でもGと一緒にいたから、たぶん
味方だろう。‥‥とするとE?まさか少佐って事はないよな‥‥と思いつつちょっぴり期待し
て見ていると、王子様はまっすぐAに歩み寄った。と思うと、いきなり顏を近づけられる。
「‥‥!」
突然唇に心地よい感触を覚えて、Aは全身に震えが走った。びっくりして王子様を見つめる。
唇にキスの余韻が残っていた。
「私よ、あなた」王子様はマスクを外すと、恥ずかしそうに微笑んだ。「会いたかったわ」
「‥‥き、君は‥‥」
驚愕のあまり硬直するAにはかまわず、奥さんはひしと彼に抱きついた。思ってもみなかっ
た人物の登場に、Bもぽかんと口をあけて眺めるだけだ。
「会いたかったわ‥‥」
奥さんはもう一度、今にも泣きそうな声でささやくと、Aの背中にまわした腕に力をこめる。
だがAは妻を抱きしめなかった。明らかに困惑した表情で妻の肩に手をやると、自分の体から
引き離す。そしてこわばった声で、
「‥‥ど、どうして君が、ここに‥‥?」
「あなたを助けたくて、追いかけてきたのよ」奥さんは当然のように言った。
「追いかけて‥‥?でもどうしてぼくがここにいるって分かったんだ?」
Aが不安を隠しきれない顏で聞くと、奥さんは右手をすっと差し出した。すらりと白い薬指
に指輪が光っている。Aはその指輪を見たとたん、自分がGとの結婚式で飲み込んだ、あの
“レンズ”付きの指輪だと分かった。とたんに、全身に再び震えが走った。なんでこんなも
のを妻が持っているんだろう?まさか‥‥。
「これよ」
Aの心が疑念に激しく揺り動いているのには気付かず、奥さんは無邪気に指輪をかざして
みせた。「このレンズが光って、私をあなたの居場所へと導いてくれたの」
「‥‥ちっとも光ってないじゃないか」
と、Aはそのレンズを凝視しながら言った。言われて、奥さんはハッと自分の指を見つめる。
「あら、ほんとだわ‥‥どうしたのかしら?ついさっきまで、キラキラとまぶしく光って
たのよ」
妻の懸命の弁解も、今のAには白々しく聞こえるだけだった。
「‥‥マルガレーテ、君は‥‥」
青ざめた顏でまっすぐ自分を見つめるAを、奥さんは邪気のない顏で見つめ返した。少し
首をかしげて、
「どうしたの?あなた‥‥」
「やっぱり現れたわね」
突然割って入った女の声に、二人はハッと振り返った。いつの間に忍び寄って来たのだろ
う、アナスタシアが部下たちをひきつれて立っていた。その隣にはミーシャもいる。
アナスタシアは自信に満ちた顏で微笑みながら、
「ほらね、私の言った通りだったでしょう?坊や」
「‥‥」
Aは唇を噛みしめたまま、答えられない。アナスタシアはふっと笑うと、奥さんに向か
って手を差し出した。
「よく来たわね。さあ、私にそのレンズを渡しなさい」
「‥‥はぁ?いったい何の事でしょうか?」
きょとんとした顏で聞き返す奥さんに、アナスタシアは呆れた様に目を見開いて、
「まあ、今さら何をとぼけているの?白々しい。‥‥まあいいわ、愛する夫にだけは
自分の正体を知られたくないって訳ね。分かったわ。だったら私が無理矢理あんたから
レンズを奪った、という事にしといてあげる」
言うなり、アナスタシアはつかつかと奥さんに歩み寄ると、強引にその腕をつかみ、指
から指輪を抜き取ろうとした。
「きゃあっ!」
「何するんだ、やめろ!」
と怒鳴ったのは、AではなくBだった。Bは奥さんを守ろうとアナスタシアの前に立ち
はだかったが、それより早く、アナスタシアは指輪を奥さんの指から抜き取った。そし
てそれをしっかりと握り締めて、
「ほほほ、ついに手に入れたわ!後はAの腹からもう片方のレンズを取りだして、合体
させれば完成よ!」
「喜ぶのは後にしろ!早くそれをワシによこせ!」
ミーシャが待ちきれなくなったように怒鳴った。アナスタシアはフンと鼻で笑うと、奪
ったばかりの指輪を自分の指にはめた。そして冷たく、
「冗談じゃないわ、これは私が奪ったのよ。それよりあんたは早くAを捕らえて、腹ん
中からレンズを取りだしなさい」
「そうはさせるか!」
勇ましい声と共に現れたのは、Dだった。傍らにはGとZもいる。Dはミーシャの部下
たちを蹴散らそうと、いきなりマシンガンを乱射した。
「うわあっ!」
部下たちは慌てて散らばった。ミーシャもたまらず物陰へと身をよける。ただ一人アナ
スタシアだけは、Dが自分を撃つはずがないという確信からか、逃げずにその場から動
かなかった。
「何ボーッとしてるんだA!早くここからずらかろうぜ!」
Dは荒々しく怒鳴りつけると、Aの腕をつかんで駆け出そうとした。その声にやっとA
が我に返って、
「で、でも、レンズをあいつに奪われた‥‥!」
「そんなもの、取り返すのは後よ!」
Gが叫んで、Aの背中を押して駆け出した。「まだもう片方は、あんたのお腹の中にあ
るんだから!とにかく今は逃げましょう!」
「ここまできて、逃がすものですか」
アナスタシアは冷たく言うと、Gに引っ張られるようにして駆け出したAの背中に、
躊躇なく銃口を
向ける。だがそれより一瞬早く、Dの銃が火を吹いた。ズキューン!鈍い銃音と共に
アナスタシアの手から拳銃がはじき落とされる。
「ミーシャ‥‥!」
アナスタシアは指から指輪を抜き取ると、物陰のミーシャに向かって放り投げた。し
っかりとそれを受け取るミーシャ。Dはすかさずミーシャにも銃を向けたが、さっき
追い散らしたはずの部下たちがいつの間にか自分を取り囲んでいる事に気付き、しぶ
しぶ銃を下におろした。
「そのまま銃をこちらに投げてよこしなさい」
アナスタシアが命令する。Dは仕方なくそれに従った。アナスタシアは満足げに微笑
むと、丸腰になったDの前に歩み寄った。
「よくもAを逃がしてくれたわね。もう少しだったのに‥‥。責任を取って、あなた
にはしばらく人質になってもらうわ」
「‥‥やれやれ」
Dはさして落ち込みもせずに、ため息を吐いた。
「また、少佐に迷惑をかけちまうな‥‥」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――続く

という訳で忘れた頃に掲載される「いつこい」でした(笑)。この後、ロシア側の人質に
なったD君の運命についてはちっとも考えてないので、皆さんの乱入を歓迎しまーす。
というか、書いて下さい(爆)。なんとか逃げたA君たちについては私が書くからさ、
D君は任せたっ!

ちなみにこのお話の中では、奥さんはマルガレーテという名前になってます。「なん
で?」という方は過去ログの第5部を読んでね♪



部屋のキー! 投稿者:bridum  投稿日: 7月22日(土)02時07分54秒
・・・
『あんたはこっちよ!』
アナスタシアに腕を取られて、Dは狭い部屋に連れてこられた。
『なんか、寒いな...』
『あとで、ブランケットを用意するわ!』
また、Dと一緒に過ごせると思うと、
アナは嬉しくなってしまった。
かいがいしく、世話を焼きはじめたアナにむかって、Dは
『おまえさ。なんでスパイになんかになったのさ?』
『...』
『言いたくなきゃいいけれどさ..』
『...昔、恋人が西で行方不明になったの...
 喧嘩ぱやくて、怒りっぽい人だったけれど...
 その人が、本当は2重スパイだったのにも気付かずに..。
 捜査に協力してもらううちに、
 知らないうちに、組織の一員にさせられていたの。
 ばかよね。本当に...』
『で、恋人とは再会できたの?』
『ええ、ロンドンで』
『よかったじゃないか!』
『...そうね。元気そうだったわ。ベビーカー押してたわ。』
『・・・』
『でも、お陰で、それからは、吹っ切れたように任務ができたわ』
『ミーシャも一目おくスパイになったわけか...』
『ええ...』
ほんの少し笑ってアナは視線をおとした。
思いだしたように、
『ブランケット、持ってくるわ!』
『もういいよ。そのかわり隣にいてくれ』
『!』
『誤解すんなよ!もう...』
Dによりかかるように、アナは座った...

..
ちょっと、甘すぎたな〜
本編は、やっぱりハードなほうがいいわ!



おお、三十郎さん、お久しぶりです 投稿者:美紀  投稿日: 7月22日(土)17時04分57秒

ぎぇ―――っ、楽しい拷問教室に突入かと思いきや、こらまた激甘の展開じゃん!
そーですか、アナちゃんにも“偽りの恋人”体験があったのですか。
駄目だわ、私。ちょっとモードを切り換えて、出直して参りますわ…。
(できんの、そんなこと)



『楽しい拷問教室』・・・にはなりませんでした 投稿者:あ・や  投稿日: 7月23日(日)17時28分09秒
を、私めが執筆をするのですか?
・・・ちょっとここに来れなかった3日間に何が起こったのかと、訳がわからない状態の私でした。

「いつこい」のDはまた捕まったんかい?アンタってば本当に無鉄砲だね。
bridumさん、劇甘だよぉ、Dとアナちゃんはくっつけないでぇ〜!!!!(私の個人的な希望)
・・・女好きのDに対する『拷問』とは、やっぱり色仕掛けでしょうか?(えっ!?違う?)

「さっきミーシャが言っていたけど、女に刺されたって本当?」
アナスタシアはDによりかかったまま、ポツリと呟いた。
「・・・ああ、昔な・・・」
Dは正面を向いたまま、答えた。
アナスタシアはそんなDの顔を見上げ、腕をDの首にまわし、また尋ねた。
「見たいわ、その傷・・・どこなの?」
手をDの身体に沿って動かし始めるアナスタシア。Dは眉をひそめながらその手を掴んだ。
「やめろよ・・・ばか」
そう言ってDはアナスタシアの手を掴んだまま、じっと彼女を見つめた。
「おれは・・・おれはおまえみたいな女が嫌いなんだよ」
「それならなんで・・・」
アナスタシアは、Dに掴まれている手が言葉とは裏腹に優しいことに気がついていた。

こんなもんでやめていい?Dのこんな姿、想像したらおかしくって続けられません。
(こんな中途半端でやめていいのか?)ところでアナちゃんはまだセーラー服姿?
ああ、Dとアナはくっつけるなと言っておきながら、自分でこう書いていたら世話ないわね。
でも、くっつけたくありません、この二人。所詮は一夜の夢幻だよ、アナちゃん。
Dは単細胞だからすぐ忘れるんだ、君に対してなにかをやったことなんか。



実家でウサギ(全然なついてない)と遊んできました。 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月23日(日)22時42分31秒

く〜っ、bridumさんもあ・やさんもやるねぇ!激甘な展開にお姉さんもうクラクラよ。
>ところでアナちゃんはまだセーラー服姿?
もちろん。ケバい年増美女と清楚なセーラー服という、一見ミスマッチな組み合わせが妙に魅力的だったりするんだなこれが。
最初は「似合わねー」と馬鹿にしていたDも、場末のソープ嬢のコスプレのようなアナちゃんに妙な色気を感じてしまい、
つい純白のスカーフへと手が伸びるのだった‥‥。
「セーラー服脱がせるのって、ゾクゾクするぜ」って、 これじゃ単なるスケベおやじだ(爆)。すんません。
でもアナちゃんに“偽りの恋人”体験があったっていう設定はいいね。どこか陰のあるいい女って、
たいてい辛い過去があるもんだしね。でもロレンス氏いわく「暗い過去など女を口説く時に使うものよ」。
つまりアナちゃんはDを口説くために、わざと暗い過去をほんのりかげらせたってこと?ううむ、なかなかやるな。



毎日暑くてクラクラよ 投稿者:あ・や  投稿日: 7月24日(月)17時29分23秒

そうそう、ひーちゃん、質問です。
この後、Dはアナスタシアを連れて少佐がいる作戦本部(?)に逃走させていいんでしょうか?

いやぁ、いくら単細胞のDとはいえ、そんなこと(どんなこと?)したら、
あのDが心酔している少佐に顔向けができなくなるでしょう。
アナちゃんをソノ気にさせて、めぇいっぱい口説くんだ。
「こんな場所じゃイヤだろ?・・・どこか移ろうぜ・・・」というセリフは忘れずに。
そして艦から脱出してくれ。
D、昔取った杵柄だ!年上キラーのアンタならいくらでもできるじゃんか。
(アナちゃんはDより年上でいいんだよね?)
なお、逃走の際、アナスタシアの白いスカーフはほどけた状態ですね。

・・・勝手にあらすじを作ってしまい申し訳ありませんでした。



私が関東に行くほうが早いような気もするが。 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月25日(火)17時48分22秒

>あ・やさん
>この後、Dはアナスタシアを連れて少佐がいる作戦本部(?)に逃走させていいんでしょうか?

返事が遅くなってゴメン!もちろんいいよー。D君とアナちゃんの恋の逃避行(爆)については、何もかも皆さんにお任せしますわ。ついでに少佐もお任せしたい。だって私、ほんっとに少佐書くの苦手なんですよぅ。



今日は涼しい 投稿者:bridum  投稿日: 7月26日(水)00時12分05秒

そんな、ひーちゃん、少佐のこともっと登場させてください。
セリフが『ばかやろう』とか『ようし、いい答えだ!』とかでも
いいから。
少佐がいる、作戦本部にアナちゃんがやってきたら...
D君のかけ違えたボタンのシャツを見て、
少佐は何があったのか、を悟る..
で、『ばかやろう、任務中に!』と、
言葉ではなく、目で怒っている少佐を見て、
アナちゃんは、『少佐もいいかも!』
なんて思ってしまう...

『スカーフがほどけとるぞ』
と、注意なんてされてさっ。

『少佐って、ねえ、つきあっている人いるの?』とか
『ほんとうは、何歳なの?』と、
作戦本部の部下に聞きまくって歩く。

『私むかし、ローデを騙したことあるの!』
とか得意げに話すアナちゃん。
『NATOには、ああいう、暗い人しかいないと思っていたわ!
でも、ここの情報部は、楽しい人ばかりで気に入ったわ!』
と、あっけらかんと言うのであった。



大阪帰省は夢のまた夢 投稿者:あ・や  投稿日: 7月26日(水)12時58分29秒

まぁ、アナちゃんはあのローデを騙したことがあるんですね?
D&アナの逃走劇はどうしましょう。う〜んと・・・

「手を離してくれないかしら?」
アナスタシアはDに向かい、自分の気持ちとは違う言葉がでてくるのを止められなかった。
「・・・いやだ・・・」
Dはアナスタシアの言葉を無視して、手を離すどころか更に強く握りしめた。
「離して・・・」
「いやだね」
Dはそのまま自分のほうへとアナスタシアを引っ張り、自分の胸に抱き留めた。
「な・・・なにするのよ・・・人を呼ぶわよ」
アナスタシアは大声を出そうと顔をあげた。が、Dは一瞬早くアナスタシアの口を手で塞ぐ。
「そんなことするなよ・・・おまえだってそんな気は本当はないんだろう?」
「・・・離しなさいよ・・・もう行かないと、ミーシャに不審がられるわ・・・」
「ミーシャは今頃、Aたちを追っかけているんじゃないのか?」
「・・・」
「おれに『人質になってもらう』って、いくらなんでもAとおれを少佐が交換するわけないだろ?」
「そ・・・それは・・・」
「おまえはおれにいてほしかったんだろ?そばにさ」
Dはそう言うと、アナスタシアの髪を撫でつけた。

じゃあ、こんなもんで今回は退散します。



コンコルド墜落事故で、少佐はますますイギリス&フランスが嫌いになりそうだ。 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月26日(水)23時58分00秒

ひゃ〜!今日の「ひるおく」ってば、いつにも増して濃厚じゃーないですか!思わず赤面 ‥‥しながらも、身を乗りだして熟読しちゃったよぅ。<いいのか仕事中に(爆)。
しかしDってば、いいのー?そんなに熱くアナちゃんを口説いて、その気にさせちゃって。後で取り返しのつかない事になりそうな‥‥。そんでまた刺されるのか?
あ・やさんも、「Dとアナはくっつけたくない」とか言いながらノリノリで書いてるように見受けられるし(笑)。いやぁさすが奥様、お上手ですわ。私みたいなウブな小娘には書けません。そうよね、本当に好きな男に迫られると、女って本心とは裏腹な言動をしてしまうものなのよねー。いくらうわべでは突っ張っていても、やはりアナちゃんも生身のオンナだったのか。ああ、そんな女心をもてあそぶDってほんとに憎いあんちくしょうだぜ!



しかも、乗客はドイツ人だし 投稿者:あ・や  投稿日: 7月27日(木)13時55分22秒

あのぉ、Dの逃走劇なんですが・・・私がツラツラと書いていていいのでしょうか?
と言いつつ、続きをば・・・。

Dはアナスタシアの髪を撫でながら、何とかしてここから脱出しなければと考えていた。それにはこの女を仲間に引き入れるしかない。この女はなぜだかおれに好意を持っているみたいだから、口説き落とせばなんとでもなるだろう、この女を人質にしておけばAが捕まったとしても、取引ができるかもしれない。Aも少佐のもとに無事に戻っているのならば、別 の使い道もある。とにかく今は、この女に手引きさせてここから脱出し、少佐やEがいるところまで戻らなければ…。
単細胞、無鉄砲といわれているDであったが、自分の危機に関しては異常なまでに能力を発揮し、今までのあらゆる場面 で無事に乗り越えてきたのであった。だから今回も大丈夫だ、そう自分に言い聞かせていた。ただ、いつもなら相棒のEがいたが、今回は一人ということが、少し事情が違っていた。いや、一人じゃない、ここではEより役に立つこの女がいるじゃないか。

「どうしたの?」
いつまでたっても髪を撫で続け、それ以上なにもしてこない(おいおい!)Dに、アナスタシアは尋ねた。
「えっ?『どうした』って?」
「いつまで髪を撫でているの?」
「いやか?」
Dは、自分の腕の中ですっかり安心しきっているアナスタシアを見ながら答えた。
「いやじゃないけど…」
(これ以上求められても、おれとしては困るんだけど…)
Dはそう思いながらも、アナスタシアに向かって囁いた。
「こんなところじゃ、おれはいやだよ…もっと暖かいところがいいだろ?」
「…ふふふ…そうよね」(おい、あんたら任務は?)

アナスタシアは今、Dが自分に惹かれているのだと確信していた。Dをロシアに連れていけるのなら、あんな石のことなんか、ミーシャに任せてしまってもいいと思い始めていた。それなら、こんなところにいる必要は、全くと言っていいほどないに等しい。早くここを出て、そして…。

「ちょっと待っていて、外を見てくるわ…こんなところ、いる必要ないものね」
アナスタシアはDの腕の中から抜け出し立ち上がると、ドアを細めに開けて外を見回した。
「大丈夫よ、誰もいないわ…私の後についてきてくれれば、ここから抜け出せるわよ」
(やった!この女、役に立つじゃねぇか…)
そう思いつつ、Dは顔には喜びを出さないよう無表情を装い、立ち上がった。
「さぁ、こっちよ、早く来て」
アナスタシアはドアから出て、Dに向かって言った。今、Dは早くこの艦から抜け出して、地上に降り立ちたいと念ずるばかりであった。

こんなもんでどうでしょうか?Dには、やましいことは何一つさせてませんが・・・。(させてたまるか!)
ところで少佐たちはどこにいるのでしょうか?過去ログ読んでも(ごめん、斜め読み・・・)はっきりした場所が不明なんだけど、大使館だっけ?ホテルの一室だっけ?今からもう一回読んできます。



少佐は住所不定です。<ホームレスかい! 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月28日(金)00時08分46秒

まあ奥様、そんな遠慮なさらずに。Dとアナの逃避行は、奥様の妄想の赴くままにお書きになって結構ですわよ。その方が私も楽できるし(爆)。いやー私も、いつまでも読者に徹してないではよ続き書かなあかんね。ちなみにA君たちは、まだ艦から脱出してません(爆)。いったい何やってんだ!まあそこらへんについては明日書きます。<予告したからには絶対書けよー。
それから少佐が今どこにいるかですが‥‥すみません、過去ログ読んでもたぶん分からないと思います(^^;)。はっきり場所は特定してない。なので奥様が自由に決めちゃって下さい。ホテルでもドイツ大使館でもNATO軍基地でも、どこでもOK。大穴で、少佐が懇意にしてる女の家とか(爆)。<ないない。
カーニバルだし、少佐にもなんかに仮装してもらうっていうのもアリかもね。



うん、わからなかった、ので勝手に決めました 投稿者:あ・や  投稿日: 7月28日(金)14時02分21秒

それじゃあ今日の「ひるおく」をお送りいたしましょう。
いつかカキコしたように、私には文才がありませんのでまわりくどい文はご容赦下さい。

アナスタシアはかなり艦の中を熟知しているらしく、誰にも会わずに出口まで出てくることができた。出口には警備として何人かがいたがアナスタシアを見ると敬礼をし、さっと道を空ける。Dはマスクをしていたのと、アナスタシアが一緒にいたこともあって咎められもせず、楽々と地上に降り立つことができた。アナスタシアのほうを見ると、乗組員となにやら話しをしている。
「大尉はこれからどちらへ?」
「今から彼とカーニバルを見物がてらまわってくるから…ミーシャには黙っていなさいよ。彼に私のことを聞かれたら、『大使館に戻った』と言っておいてちょうだい」
「はっ」
そしてDのほうを向き、
「行きましょう、ミハイル」
と、腕を絡めてきた。本当ならここで『バカヤロー、ベタベタすんじゃねぇよ』と怒鳴りたいところだが、なんとか堪え、マスクをつけていたこともあって無言で歩き出す。
(どこかにEでも歩いてねぇかな?)
嬉々として腕を絡め寄り添って歩いているアナスタシアを横目に、Dはあたりに目をやる。しばらくカーニバルの人混みを歩いていると、修道僧の格好をした二人連れが目に入った。頭までスッポリと隠している二人連れ、二人とも背が高く、一人はDよりも高く見える。身のこなし方から、どう見ても修道僧には見えない。
(もしや…)
Dはふと頭をかすめるなにかがあり、アナスタシアに向かい言った。
「アナスタシア、あそこの修道僧は、もしかしたらおれが坊主の頃の、知り合いのような気がするんだ。ちょっと声をかけてきてもいいかな?よかったら紹介するよ」
「まぁ、あなたの知り合いに紹介してもらえるの?…こんな格好なのに?」
アナスタシアはDが言った『紹介する』と言う言葉に、ますます嬉しくなり、しかし、自分の格好がセーラー服ではと少しだけ躊躇した。すっかり自分の身分を忘れている彼女である。
「大丈夫さ、ここはみんなが仮装しているんだよ、おれだってこんな格好だろ?」
自分がこんなヤサ男のような言葉を吐くことに自己嫌悪に陥りながらも、Dは二人を見失わないうちにとアナスタシアの腕を引っ張った。
「よう、エドガー(仮)じゃないか?久しぶりだな」
Dはそう言って手を挙げ、二人に声をかける。その声を聞いた二人は立ち止まり、こちらを向いた。

作戦本部はホテルの一室でいいですよね?



歯痛・・・ 投稿者:bridum  投稿日: 7月28日(金)14時59分03秒

あ・やさん、『ひるおく』、濃厚ですね?
きっと、三十郎さんのお嬢さんは、読ませてもらえない(笑)

さんざん、敵のスパイをだまして、出世できたのに
ここへ来て、『恋は盲目』な女性になってしまいました。

少佐もどこにいるのかしら?
懇意にしている女性の家なんて...
(ワイシャツとかハンカチにアイロンかけてもらっていたりして...)
そんな〜。ううう。
今晩あたり、予定では、ひーちゃんが続きをかいてくださるって
ことなので、それまでまちましょう。

・・・
なんの収穫もないまま、アメリカへ帰還命令がでて、
作戦本部をきりあげようとしていたディックは、少しがっかりしていた。
『あの鉄のクラウスが、女の家にいりびたっているだと..?』
『ああ、ディック、ジャックが NATO作戦本部から少佐を付けていったら、
 女の家に入っていったんだってさ』
『信じられん!任務中だぞ』
『ディック、少佐はやっぱり。ホモじゃなかったんだな』
『てめ〜は、あと何発なぐられたらいいんだ?』
『だって、少佐もたまには羽のばしたいんじゃないの?』
『だいたい男が仕事中にな....』
『ディック、電話!』
『?.......!!!.....???....!』

『どこからの電話?』
『ああ、ちょっと...』
『どこからなんだよう?』
『妻からだ。』
『なんて?』
『娘が女子中学に合格したんだ』
『....(あの子、女の子だったんだ)...
 おめでとう、ディック!』
『ああ、ありがとう、お土産かわないとな...』
『ディック、それなら、ヴェネティアングラスは?』
『まだ。未成年にワイングラスはいかんだろ?』
『ディック、だから20になったらさ、
一緒にお酒飲もうな!って言ってさ。
ああ、息子と父が酒を酌み交わす...いいな〜』
『娘だといっとるだろっ!ボカッ』

また、それてしまいました....



ううう。 投稿者:bridum  投稿日: 7月28日(金)15時06分08秒

あ.やさん、続きは来週なのですね?酷だわ〜。

美紀さん、ストレスに負けないでくださいね。



じゃあ続きを 投稿者:あ・や  投稿日: 7月28日(金)15時46分34秒

再びやってきました。妄想終了後、「どっしようかな〜」と覗いたら、bridumさんの

>あ.やさん、続きは来週なのですね?酷だわ〜。

との一文が目に飛び込んできましたので、書き込んでおきます。
ところで、なにもさせてませんがやっぱり『濃厚』でしたか?いけませんねぇ、私の妄想は。

(やっぱり、少佐とEだ)
二人とも仮面をつけていたが、Dが二人を見間違うはずがない。二人に近づくとアナスタシアには聞こえないように少佐に報告した。
「すみませんでした、少佐、詳細は後で報告しますが連れの女は…」
「わかっとる…」
少佐はDにそう言うと、アナスタシアに向かい笑顔で言葉をかけた。
「彼の友人のクラウスとエドガーです。初めまして(初めてじゃないとは思うが…)」
「まぁ、初めまして、私、アナスタシアといいます、よろしく」
たんなる女になってしまったアナスタシアであった。Dは心の中で大笑いしながらも、真面 目な声で二人に話しかける。
「よかったらどこかで休まないか?久しぶりだから話しがしたいよ」
Dは言いながら、そっとアナスタシアの肩を抱き、逃げ出せないようにした。Eも腕をつかみこそしなかったが、Dと反対側に立つ。少佐はそのことを確認すると、
「それじゃあ、あそこのホテルでコーヒーでも」
と、二人に言葉を投げかけ、先に立って歩き出した。Eはアナスタシアを挟みDに話しかける。
「本当に久しぶりだな、あれからどうしていたんだい?」
「それはあとでゆっくり話すよ…大変だったんだから」
「そうか…アナスタシアさんとおっしゃいましたよね?こいつのどこがお気に召したんですか?」
「うふ、だってこんなにいい男なのよ、もう理想の人だわ」
と、肩を抱かれているのもあって大はしゃぎのアナスタシアである。Eは彼女に気づかれないようにそっとDを見ると、Dがかなり怒りに満ちた目をしていることに気がついた。
(これ以上言うと、こいつ怒り出すだろうからな、やめておくか…)
Eが心の中で呟いたとき、4人はカーニバルの人混みから抜け出し、ホテルの前に辿り着いていた。先に歩いていた少佐は振り返ると態度だけは丁寧にアナスタシアに言った。
「では、これからこちらに来てもらおうか、ドミトリィ大尉」
「えっ!?」
アナスタシアはとっさに身を翻そうとしたが、DとEに両脇を固められて動くことができなかった。

じゃあ、これで終わりにしていいよね?ひーちゃん。



再びごめんなさい 投稿者:あ・や  投稿日: 7月28日(金)15時50分13秒

>bridumさん

ディックの話し、おもしろいですぅ。会話の相手はもちろん「ジョー」ですよね?



差し入れはアレがいいです。 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月28日(金)23時03分21秒

あ・やさんどうもご苦労様!所在不明だった少佐とE君もちゃんと登場させてくれて感謝!

>じゃあ、これで終わりにしていいよね?ひーちゃん。

うん、後は任せて!‥‥と言いたいとこだけど、また機会を見て助っ人をお願いするかも(爆)。

bridumさんもディックのサイドストーリーありがとう!やっぱりディックにはこのまま退場してもらうには惜しいよね〜。また活躍させてあげて下さいな(^^)



いつこい・よみがえる恐怖!編 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 7月28日(金)23時05分01秒

まんまとアナスタシアをだまくらかしてGRUの揚陸艦から脱出したDとは逆に、Aたち
はまだ揚陸艦の下水道で、逃げ道を探してうろうろしていた。
「あれー?おかしいな。確かここらへんに、甲板へ通じるハシゴがあったはず‥‥」
焦った顏でハシゴを探すAを、G、В、Zの三人は一様にうんざりした顏で眺めている。
特にGは悪臭に鼻をつまみながら眉をひそめて、
「まったくもう、しっかりしてよね!せっかくDが身代わりになって私たちを逃がして
くれたのに、これじゃなんにもならないじゃないの!」
「A!おまえもしかして方向オンチじゃないのか?こんなとこで窒息死するくらいなら、
ミーシャたちに捕まってた方がマシだったよ‥‥!」
Вがそう吐き捨てた時だった。背後から複数の足音が聞こえてきて、部下たちははっと
顏を見合わせる。
「ミーシャたちだわ!まだ追いかけて来るなんて、本当にしつこいわね!」
「奴らはAの腹ん中のレンズだけが目当てなんだろ?だったらもうさっさとAを奴等に
引き渡して、俺たちはここから出してもらおうぜ」
「В、おまえなー!(怒)」
思わずВを睨みつけるA。Zも珍しく声を荒げて、
「そんな、仲間を敵に売って自分だけ助かるような真似、できませんよ!」
「あのぅ‥‥、こんな時に仲間割れはやめません?」
この場に不似合いな穏やかな声がして、振り向くと奥さんが聖母のような微笑みを浮か
べてAたちを見守っていた。Gもうなずいて、
「奥さんの言う通りよ。それより早く逃げなきゃ!」
その声を合図に再び走り出したAたち。だがそういつまでも逃げ回っている訳にも行か
ない。なんとか反撃するチャンスはないものかと走りながら思案していたAは、はたと
気付いて隣のВに声をかけた。
「おいВ!小銭持ってるか?」
「小銭?持ってるけど‥‥そんなもん今は関係ないだろ!」
「それがあるんだよ!その小銭をありったけ地面にばらまくんだ!」
「な、何言ってんだよA!そんなもったいない事できるかっての!」
「いいから俺の言う通りにしろって!早く!」
Aにせき立てられて、Вは仕方なく懐から財布を取りだし、手のひら一杯に小銭をつか
むとそれを地面に叩き付けるようにしてばらまいた。
チャリーン!チリチリーン!!
コンクリートに叩き付けられた小銭は派手な音を響かせながら跳ね返った。その音は
下水道中に反響していく。Вは思わず、
「この音聞くと、なーんか、あのゴミがどこからともなく湧いてきそうで嫌だな〜」
とおぞましそうにつぶやいた。が次の瞬間、その顏が驚愕と恐怖にひきつった。
「う、うわ‥‥ほんとに湧いて来やがった!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――つづく



いつこい・地獄にネズミ編 投稿者:ヒーチャチャンテ  投稿日: 8月21日(月)01時35分09秒

В、G、Zの三人は、暗闇から突然現れたジェイムズ君を見て硬直した。おまけに、
全身にびっしりネズミがはりついている。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっっ!」
Gが、今まで聞いた事もないようなすさまじい金切り声をあげた。その声に、またも
やВたちは全身が震え上がった。ジェイムズ君の登場は予期していたのでたいして驚
かなかったAも、Gが発した大音響に頭がくらくらした。
「あなた大丈夫?」
思わず後ろに倒れそうになったAを、奥さんがはっしと抱き留める。見ると、他の男
ども(Gも一応男だ)が皆、恐怖に顏をひきつらせているのに、彼女だけはいつもと
変わらぬ落ち着きを保っている。今まではそれが彼女の良さだと思っていたが、何故
か今はそう思えない。どころか、この落ち着きはやはり彼女が、何らかの形でこの事件
に関っているからではないか‥‥という疑念が湧いてくる。彼女はアナスタシアが言
っていた通り、“レンズ”を持って、ここにやってきた。そして一応抵抗はしたものの、
アナスタシアの計画通り、ロシア側に“レンズ”が渡ってしまったのだ。
――――という事は、やはりアナスタシアが言っていたように、彼女はロシア側の‥‥。
「ちょっとA!!何ぼけっとしてんのよ!」
奥さんに背中を支えられたまま、思案にふけっていたAをGが金切り声で叩き起こした。
「奥さんに抱っこされてうっとりしてる場合じゃないでしょ!早くこの便所虫をどっか
に追っ払ってよ!」
「そうだ!俺に小銭をばらまかせて、こいつを呼び出したのはおまえだぞ!早くなんと
かしろよ、A!」
Вも青ざめた顏で、ネズミまみれのジェイムズ君から必死に目を反らして嘆願する。当
のジェイムズ君は、床に散らばっている小銭を拾い集めるのに必死でまだAたちの存在
に気付いていない。だが小銭を拾い終わって顏を上げたとたん、凄い勢いでAにすがり
ついた。
「おいA!おまえ、この前着てたセーラー服はどうしたんだ?まさか、他の奴に売り払
ったんじゃないだろうな?」
「セ、セーラー服〜〜〜っ!?」
周囲のGたちが一世に目を丸くして聞き返した。Aは真っ赤になってどもりながら、
「ああああれは、ロシアの女スパイに無理矢理奪われたんだ!だからもう僕は持ってな
いよ、ごめん!」
「ごめんで済むと思うか!契約書まで書いたのに〜〜〜っ!」
涙目になって恨みがましくすがりつくジェイムズ君。Aは慌てて、
「だから、今からその女の居場所を探るんだって!僕も一緒に探してやるから、な?い
いだろ?」
「おいA、そのロシア人たちが現れたぜ‥‥」
Вが絶望的な声でつぶやく。はっと顏を上げると、トレンチを着たグラサン集団がいつ
の間にかAたちの前に立ちはだかっていた。逃げようにも、背後は壁で行き止まりだ。
すわ、絶体絶命!の状況になって、ようやくAは、小銭をまいてジェイムズ君を召喚し
た理由を思い出した。相変わらず自分の腰にすがりついているジェイムズ君に向かって
小声で、
「ほら、おなじロシア側のあいつらなら、セーラー服を奪った女の居場所を知ってるぞ。
聞いてみれば?」
「ほんと?」
ジェイムズ君はくるりと振り返って、ロシア人たちを見た。それだけで十分だった。ネ
ズミをびっしりはりつけたジェイムズ君の姿に、ロシア人たちはAの予想以上のパニッ
クに襲われた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
「今だ!」
ロシア人たちがパニくっている隙に、Aたちは一目散にロシア人たちの横を擦り抜けて
逃げ出した。ジェイムズ君もついてくる。「ちょっと、なんであんたがあたしらと一緒
に逃げんのよ!どっか行ってよ!」Gが走りながら罵倒する。ジェイムズ君は足を車輪
のようにぐるぐるさせて走りながら、
「嫌だ!Aがその女からセーラー服を奪い返すまで、つきまとってやる!」
「なんで僕が奪い返さなきゃならないんだよ!」
「おまえが鈍臭く奪われたんだから当然だろ!契約書まで書いたくせに、約束を破る気
か?この薄情者〜っ!」
怨念のこもったジェイムズ君の声に、Aはため息をついてうなずくしかなかった。
「あ!ここ、ここから出られるぞ!」
ジェイムズ君は叫んで、急に立ち止まった。
「え?」
Aたちも立ち止まって、ジェイムズ君が指差した方向を見た。鼻が曲がるような汚物が
たまった下水道の片隅から、ほんのわずかだが光が漏れている。どうやら、艦の外へと
つながっているらしい。
「凄い!こんな抜け道があったなんて!」
「だてにこんなゴミためで暮らしてるんじゃなかったのね!でかしたわよ、便所虫!」
Aたちは口々に歓声を上げながら、その抜け穴を通って外に出た。外は海だったが、すぐ
目の前に港の岸壁が迫っていたので、泳いで港にあがるのはたやすかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――続く

うーん、ちょっとご都合主義すぎたか?<何をいまさら(笑)。
でもほんとに今度こそノンストップで終わらせたいぜ。しかし新しい会社が噂通りかなり
忙しくて、初日から深夜の残業だったらちょっとトホホだぜ。でも、がんばるぜ!じゃあな、チャオ!



任侠編のD君もステキ! 投稿者:あ・や  投稿日: 8月21日(月)14時00分42秒

おやおや、「いつこい」が再開していますね。少佐の元に戻ったD君は、
アナちゃんとの仲を疑われないように、少佐に言い訳したいんだろうなぁ。
『おれはこんな女となんか、なにもありません!』
とかなんとか・・・。少佐から軽蔑されるのが一番いやだろうからさ、D君は。
でも少佐はそんなことより、早くA君を救出したいんだろうな。
そして最後に、A君が入れたネスカフェゴールドブレンドを、イノシシ柄のカップでおいしそうに飲んで、
「良かったな、A。何事も無事に終わって」(終わったのか?)
なんて言うのね。ちゃんとその日のために、A君はカップを常に携帯と。
A君って、本当に少佐思い・・・D&Eは太刀打ちできないよね(なんか違う・・・)。



脱出 投稿者:bridum  投稿日: 8月22日(火)01時25分16秒

やっと、A君たちは、脱出成功なんですね。
それにしても、奥様は、やはりつわもの・・・

昔、テレビで、皇太子御夫妻がどこかの、
国体に出席した時に、
ものすごい、吹雪きのなかでも、
いつものロイヤルスマイルで、選手に手を振っていましたけれども、
やっぱり、ふつうの人ではないんだな、



いつこい・基本に戻った編 投稿者:ひーちゃん  投稿日: 8月23日(水)02時41分23秒

ようやくGRUの揚陸艦から脱出して港にあがったAたち。だが油断はできなかった。港に
はロシアの水兵に扮装したGRUの軍人たちが、うろうろしていたからだ。彼らに見つから
ないよう、Aたちはこっそり水上バスに乗り込んで、港を出発した。水上バスが運河を進ん
でヴェネチア市内へと入っていく頃、ようやく彼らはほーっと安堵の息をついた。
「ここまで来ればもう大丈夫だ!早く少佐のいるホテルへ行こうぜ」
ВがAの肩を抱きながら、満面の笑みで言った。
「ここだけの話、少佐はおまえが拉致されてからというもの、すげえ不機嫌だったんだぜ。
おまえの代わりにEが身の回りの世話をしてるんだけど、Eじゃやっぱり代わりはつとまら
ないみたいだな。だいいちネスカフェの味が‥‥」
そこまで言って、Bはふと口をつぐんだ。怪訝そうにAの顏をのぞきこんで、
「どうしたんだよ、せっかく助かったっていうのに浮かない顏して。また腹が痛いのか?」
「いやそうじゃなくて、さっきからなんか、忘れてるような気がするんだ‥‥」
眉を曇らせてうつむきながら、なんとか思い出そうとするA。Вはふーんとうなずくと、
早速さっき売店で買ったドーナツを頬ぼった。
(ちなみに、奥さんとジェイムズ君は寝入ってます)
「それにしてもよくあの時、G先輩が助けに来てくれましたよねぇ」
Zが微笑みながら、頼もしそうにGを見た。「あの時G先輩が助けに来てくれなかったら、
今頃僕たち全員、ミーシャたちに捕らえられてましたよ」
「うふふ。少しは見直した?」
Gが得意げにウインクする。Вもうなずいて、
「でもよ、なんでAの奥さんと一緒だったんだ?」
「ああ、その事?港に向かう水上バスの中で、偶然出くわしたのよ。で、奥さんも今からAた
ちを救出に行くとこだって聞いて、じゃあ一緒に行きましょ、って誘ったの。で、その際その
ままの格好だとすぐばれるから、王子と姫君に変装して、一般人の振りをして潜入する事にし
たの。まんまと成功したでしょ?」
「ああ、もうばっちり。でも残念なのは、おまえがお姫さん役だった事だよなぁ。奥さんの方
が絶対似合っ‥‥いてっ!」Вが最後まで言い終わらないうちに、GはВの足を蹴飛ばした。
「いってぇなあ、もう!おまえってD並に乱暴だな、G!」
大げさに痛がるВの声に、ずっとうつむいて思案していたAが、突然がばっと顏をあげた。
「‥‥そうだ、Dだ!思い出した!あいつ、ミーシャに捕らえられたままだよ!」
「なーんだ、そんな事か」
Вは軽く笑い流した。たちまちZがムッとして食ってかかる。
「そんな言い方はないでしょう、В先輩!D先輩は僕たちを逃がすために、犠牲になってくれ
たんですよ!」
「Zの言う通りだ」と、Aも冷たい目をВに注ぐ。「ミーシャだけならまだしも‥‥アナスタ
シアがいる。あの女は前にDを自分好みの奴隷に改造しようとしたし、もしまた‥‥」
Aの言葉に、Zも恐ろしい記憶を呼び戻されて青ざめた。「た、大変だ!すぐ引き返して、
D先輩を助け出しましょう!」
「おい待て、おまえら本気か?」
Вが慌てふためいて叫んだ。「せっかく脱出したっていうのに!またあそこに引き返すだって?」
「だって、そうしないとD先輩が!」
「Dなら大丈夫よ」
突然、背後から力強い声が聞こえた。振り向くと、いつの間に席を外していたのか、Gが立っ
ていた。
「さっき少佐に携帯で報告したの。そしたらDはとっくに脱出して、今少佐のとこにいるんだ
って。あのロシアの女スパイも一緒だそうよ」
「えーっ!」
「さすがD先輩!たった一人で、どうやって脱出したんだろ?」
「あの女スパイをたらしこんだに決まってるさ。あいつ女好きだからな、手慣れたもんだよ」
と、当然のように言い切るВ。←意外に鋭い。
AもDの無事を知ってほっとしたが、すぐに笑顔が消え、不審そうな目でGを見た。
「G、ちょっと」
Aはすっくと立ち上がると、Gの腕をつかんで水上バスのデッキの端まで連れていった。そして
ここならВ達に会話を聞かれない事を確かめてから、真剣な顏でGに向き直った。
「おまえ、急にいなくなったと思ってたら、少佐に電話してたのか?」
「そうよ。いいじゃない別に!あたしたちが無事脱出できた事、早く知らせて少佐を安心させて
あげたかったの。悪い?」
「いや、それはいいけど‥‥なんで僕らの前で電話しないんだ?急に僕らの前から姿を消して、
こそこそと隠れて少佐に連絡するなんて‥‥。なんか、僕らに聞かれちゃまずい事でもあるのか?」
「な、何言ってんのよA!あんたに聞かれてまずい事なんか、ある訳ないでしょ!」
「あんた‥‥?」
Aに聞き返されて、Gはしまった!と口を押さえる。だがもう遅かった。AはGの目をのぞき
こんで、有無を言わせぬ口調で
「あんたって、なんだよ‥‥?僕は、『僕ら』と言ったのに。‥‥やっぱり、それは『僕に』
聞かれちゃまずい事なんだな、G?」
「‥‥」
困惑した表情で唇を噛みしめるGの両肩を、Aは無意識のうちに両手でつかんでいた。職業柄、
大事な事を隠している人間の顔は、すぐに分かる。今のGはまさにそんな顏をしていた。
「‥‥G、おまえ何を隠してるんだ?」
Gがうつむいたまま答えないので、Aはもう一度聞いた。
「教えてくれ。さっき、いったい何を少佐に報告したんだ?」
「‥‥少佐に聞いてよ」
Gはやっとの事でそう言った。「あたしの口からは、とても言えないわ」
「それは‥‥僕の妻に関する事か?」
Aは意を決してカマをかけてみた。途端に、Gの顔色が変わる。その反応を見て、Aは全てを
悟った。
「やっぱり、そうか‥‥」
沈痛な声で言うと、AはGの肩から手を離した。
「少佐は、見抜いていたんだな。僕の妻が怪しいって事‥‥」
「A‥‥」
Gは泣きそうな目をAに向けた。だがAはGのそんな視線を振り払うようにして、Gから顏を
そむけ、デッキの手すりに手をかけて流れる運河に目をやった。ヴェネチアはちょうど夕暮れ
時で、静かに波打つ水面を夕日が赤く染めている。運河の両岸では色とりどりに変装したカッ
プルたちが、うっとりと身を寄せ合って、沈む夕日を眺めている。きっと彼らは心から、互い
の愛を信じきっているのだろう‥‥。そこには偽りの愛など、ひとかけらもないはずだ。Aは
ふと、この任務でヴェネチアに来た当初、今そばにいるGと偽りの恋人役を演じていた事を思
い出した。それがどうだ。今や、これまで決して疑う事のなかった妻との愛が、“偽り”へと
変わろうとしている。Aがやりきれない思いを噛みしめていると、Gがそっと隣に寄り添って
きて、手すりに手をかけて運河を見つめた。はた目には、どう見たって恋人どうしだ。だが二
人の間には重苦しい空気しかなかった。
Aはしばしの沈黙の後、Gに向かって低い声で、
「さっき言ってた、港に向かう水上バスの中で偶然妻に出くわした、というのも嘘なんだろ。
本当は少佐に言われて、妻を尾行してたんだろ?」
「‥‥そうよ」
Gはうなだれた声で認めた。こうなっては、もう隠してはおけない。
「それで、少佐にはなんて報告したんだ?やっぱりAの奥さんはロシアのスパイでした‥
‥ってか?」
Aは運河を眺めながら、なかばヤケになったような口調で聞いた。Gは首を振って、
「違うわ。そんな事、まだ決めつけられないじゃない!」
「でも、妻が“レンズ”を運んできて、それがロシア側の手に渡った事は言ったんだろ?」
「‥‥ええ。でも、だからって奥さんがスパイだと決まった訳じゃないわ!」
GはなんとかAを慰めようと、懸命に否定する。だが、今のAには何の慰めにもならなかっ
た。ため息をついて、
「少佐はもう、そうだと決めてかかってるよ。ここまで証拠が揃ったんだから」
「A、まさか‥‥あんたも決めてかかってる訳じゃないでしょうね?」
Gが食い入るようにAを見つめた。Aは唇を噛みしめる。それから力のない声で、
「分からない‥‥でも、妻が“レンズ”を運んできたのは確かだし‥‥」
「あのレンズは、あんたの居場所を知るために、奥さんがずっと指にはめてたのよ!向き
によって、光ったり光らなかったりするんだって。それで、光る方向に行けばきっとあん
たがいるはずだって、奥さん私に言ってたもの!」
「ああ、妻からもそう聞いたよ。でも‥‥僕が見た時にはちっとも光ってなかった」
「だから何?あんた、奥さんが嘘をついてるとでもいうの?」
「そうは思いたくないよ、だけど‥‥」
苦しそうな顏でそこまで言うと、Aは口ごもってしまった。次の瞬間、GはAの頬に派手
なビンタを食らわせていた。
「げ、G‥‥?」
いきなりひっぱたかれて、AはびっくりしてGを凝視する。Gは我慢できなくなったよう
に顏を紅潮させて、
「見損なったわ、A!自分の奥さんを信じられないなんて、なんて薄情な男なの!」
「え‥‥」
「そりゃあ、少佐が奥さんを疑うのはしょうがないわよ!そういう職業なんだもの!でも
あんただけは何があろうと、最後まで奥さんを信じてあげなきゃだめじゃない!!」
金切り声でまくしたてながら、Gは涙がこみ上げてくるのを感じた。が、もう止まらない。
あふれる涙をぬぐおうともせず、
「だってあんた、前にあたしに言ったじゃない!あたしとあんたがニセの恋人役を演じて
た時‥‥『互いに愛し合ってこそ、人は幸せになれるものだ』って‥‥。言ったよね?あ
たしあの時、なんてクサイ事言うんだろうコイツと思ったけど、ほんとはすごく羨ましか
ったんだから!夫にそんな風に言ってもらえるなんて、なんて幸せな奥さんなんだろう
って‥‥」
「G‥‥」
「なのに何よ?あたしにはあんな事言っておいて、自分は何よ?ちょっと疑わしい事がある
と、もう奥さんへの愛をなくしちゃうわけ?そんな薄っぺらい愛しかなかったの?あんたた
ち!それでも夫婦なの!?」
Gは今やすっかりしゃくりあげていた。泣きながら男に抗議するその姿は、どう見ても別 れ
話のもつれでキーキーわめく女にしか見えなかった。事実、周りの乗客たちは一様にびっく
りした顏で、だが興味津々な視線でAとGを見ている。Aも周囲の視線が気にならなくはな
かったが、それよりこんなに泣いてまで自分たちの仲を心配してくれるGの気持ちに、強く
胸を打たれた。しゃくりあげるGの肩に手を伸ばし、なだめるようにその肩をさすってやる。
それでもGは泣きやまずに、ハンカチで鼻をすすりながら、
「お願いよ、A‥‥奥さんを信じてあげて‥‥。部外者のあたしがこんな事言うのは余計か
もしれないけど、でも‥‥他の全員が奥さんの事疑っても、あんただけは最後まで、奥さん
を信じてあげてよ‥‥」
「分かったよ、G‥‥」
Aは優しく言うと、Gの肩に置いた手に力をこめた。
「もう一度、妻を信じてみる事にする」
「‥‥ほんとに?」
「うん。おまえの言う通りだ。情報部員としては徹底的に疑ってかかるべきなんだろうけ
ど‥‥でもその前に、僕は彼女の夫だからな」
「A‥‥」
Gは涙の光る目でAを見上げる。Aは照れたような笑顔でうなずくと、Gの肩から手を離した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――続く

うわー、くっさ〜っ!くさすぎる〜っ!みんな、吐くなぁ!吐いたらあかん!と言ってる
私が吐きそうじゃあ!オエ〜ッ。
おまけにネタが古い。読んでみて訳分からなかった人、もう一度一番初めの過去ログ読ん
でね。でも紆余曲折の末、ようやく基本の「A&Gストーリー」に戻ったよ。やれやれ。
長い道のりだった‥‥。しかしなんで「A&G」やると、こんなにクサくなるんだろーか。
とりあえず、今後はもっともっと噴飯もののクサさが続出するストーリーが待っている事
を予告しておきます。見捨てずに、ついてきてねー。
という訳で、この続きは
第8部で‥‥。

HOMEDWM/妄想