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最近の手術症例 :  早期胃癌に対する胃全摘術 (LATG) 2008年3月

 

今回は70歳代の男性の患者様です。3年前健診で胃カメラを受けたところ、早期胃癌が見つかりました。そのときは胃カメラで病巣を切除して手術を受けませんでした。しかし今回癌が再発していることがわかり、手術の適応となりました。今回の病巣は胃の中部から上部にわたる広範囲のものでしたので胃を全部取らなければなりません。からだの負担が少ない手術を受けたいという希望がが強く、患者様は私の外来を受診されました。

 <左は今回行ったLATGのきずあと>      <右は従来の開腹による胃全摘のきずあと>

 左は、この患者様の胃カメラの写真です。見ているところは、胃の上の方です。胃と食道のつなぎ目からほんの少しの距離です。右半分に、なんとなく胃の粘膜襞が集まって見える局面があります。その様子がよくわかるように、青い色素をまいてあります。このヒダの集まりの中心だけでなく、周辺からも癌細胞が検出されました。直径はおよそ6センチを超える広範囲の癌です。しかし、超音波内視鏡検査では、癌は粘膜の下の層に限局しており、筋肉にまで達していませんでした。CTスキャンなどの検査でも、肝臓やリンパ節に癌が転移している様子はなく、腹腔鏡補助下胃全摘術の適応と判断しました。

 腹腔鏡補助下胃全摘術は、専門家の間では、LATGと省略されます。Laparoscopicaly assisted total gastrectomy の略語です。腹腔鏡下胃全摘術と呼ばれることもあります。

すでに胃は切り離した。食道と小腸を器械で吻合する。

食道空腸吻合が終了。左下にはリンパ節郭清後の総肝動脈。

 右は切除した全胃。右側が食道側。左端が十二指腸。三角で囲った範囲から胃がんが検出された。平坦で範囲が判りにくい病巣だ。 郭清したリンパ節は33個。顕微鏡の検査(病理検査)では、がんの転移はひとつもみられなかった。病巣の深さは手術前の診断どおり、粘膜下層(SM)だった。根治手術となった。

 患者様の術後経過はすこぶる順調でした。手術翌日には自力で歩行され、水を飲むことができました。術後2日目から流動食を食べられました。術後1週間目にはおかゆを食べ、歩いて自宅まで帰られるくらい元気に回復されました。 LATGは2年前王監督が受けられ話題になりましたが、難易度の高い手術のため、まだ普及率が低く、行っている病院は多くありません。