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  粘膜下腫瘍教室 連載 第15回 症例紹介 #006  2017年07 月15日

 

 

胃粘膜下腫瘍(特に胃GIST)と診断された患者様へ

連載を続けてきました胃粘膜下腫瘍教室ですが、第10回で総論を終わります。「健康な胃をできるだけ残す。無駄に大きく切らない。 神経を残す。」こだわりの手術方法をご理解いただけたものと思います。 第1回から第10回までの基本勉強に戻りたい方は、こちらからどうぞ メディカルトピア草加病院に異動してから、年間およそ60例ペースで胃粘膜下腫瘍の手術行っています。これは世界的にもトップレベルの数でではないでしょうか。 これからはこの豊富な症例数を生かして、「最近経験した粘膜下腫瘍」として症例紹介を連載したいと思います。 ほかの症例を見る

 

 

 

 

 

case 006 胃の変形を最小限にする最新の粘膜下腫瘍手術法 CLEAN-NET

CLEAN-NETを動画で見たい方はこちらから

2015年12月から画期的な手術方法を導入しました。CLEAN-NET(クリーン・ネット)と呼ばれる方法です。この新しい術式のすばらしいところは2点あります。まずは、手術による胃の変形や損失を最小限にとどめることができる点です。胃粘膜下腫瘍の治療方針は、腫瘍だけを完全に切り取ればよいので、できるかぎり健康な胃を残したいと私は思っています。自動縫合器(ステイプラー)と呼ばれる手術器具で、胃の壁を腫瘍もろともバサッと切ってしまうと、腫瘍を包み込むようなかたちで、腫瘍のまわりの健康な胃がかなりの面積で一緒に取れてきてしまいます。このことに関しては、以前にも詳しく書きましたので、もう一度読みたい方はこちらにジャンプしてください <胃粘膜下腫瘍教室 第10回 便利なステイプラーに潜む落とし穴>。 CLEAN-NETはこの、ステイプラー切除法の欠点を補うべく開発されたのです。CLEAN−NETでは、腫瘍のまわりの健康な胃はほんの少ししか取れてきません。もうひとつのメリットは、手術中に胃の中が解放しないので、おなかの中がきれいなまま手術できます。これはバクテリアなどの問題だけではなく、腫瘍細胞がおなかのなかにバラまかれないという重要な点が含まれています。私はこの1年半の間におよそ80人の胃粘膜下腫瘍の患者さんを手術しましたが、そのうち36人にCLEAN−NETを行いました。およそ半分の患者さんがCLEAN-NETの適応になっていることがわかります。今回は最近CLEAN−NET手術を写真で提示します。

写真左端:CTスキャン画像。胃の出口手前に3cm程度の粘膜下腫瘍が見える。増大傾向ありとして紹介された。

写真左:手術中の画像。胃の出口手前(前庭部という)に腫瘍のふくらみが見える。

写真左端:CLEAN−NETを行う。胃の壁の筋肉の層だけを切り、粘膜は残す。ここが最も大切なところ。

写真左:腫瘍のまわりの筋層をすべて切ったところ、腫瘍はぶらぶらに伸びるようになった。その首根っこをねらって、ステイプラーで挟み込もうとしているところ。

写真右:伸びた胃の粘膜だけを、ステイプラーで挟み込んだところ。

写真右端:ステイプラーで挟み込んだ状態で、胃の変形が強くおこっていないか、手術中の胃カメラで確認している。この安全確認はとても大切です。

 

写真右:手術中に見た胃の中。胃カメラで胃の狭窄がないことを確認するのは重要なこと。

写真右端:ステイプラーで腫瘍の切除が終わりました。まだ手術は終わらない。これから筋肉の切れ端を、丁寧に縫い合わせます。

 

写真左端:筋層の縫合が終わって手術が終了。胃の変形を最小限にとどめることができた。容量も変わらないので、術後の食生活ももとどおりになります。

写真左:切除された胃粘膜下腫瘍。大きさ3センチ4ミリ。健康内はほとんど切られていないのがわかる。

術後1か月半で外来に来られたときのおなかの写真だ。きずはおへそに3p程度のものが1か所、そして右わきばらに2mmが1か所。目立たないきずによる手術で、しかも胃の働きはまったく術前と変わらず、患者さんはとてもハッピーそうだった。単孔式内視鏡手術によるCLEAN-NETは、術後のQOL(生活の質)向上にものすごく役立つ手術だと思います。これからも研鑽を積んで、さらに安全で信頼されるCLEAN-NET法を確立していきたいと思います。

注意:すべてのケースでCLEAN-NETが適応になるわけではありません。個々の腫瘍の部位や大きさ、発育形式で適切な術式は変わってきます。わたしはおひとりおひとりに応じた、テイラーメイド手術を行うことが大切だと思っています。

 CLEAN-NETを動画で見たい方はこちらから

 ほかの症例も見たい方はこちらから    第1回から第10回までの基本勉強に戻りたい方は、こちらからどうぞ

   

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 私は胃内手術を始め、腹腔鏡での胃粘膜下腫瘍手術を1993(金沢大学病院勤務時代)から開始しました。2012年からメディカルトピア草加病院でこの手術を行っています。 年間の粘膜下腫瘍手術件数は50件を超えます。全国から胃の温存希望が強い患者様が手術を受けに来てくださいます。 中国からも手術を受けにいらっしゃいました。

   

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