1945年4月25日、ビヨルン・ウルバースは彼の父の所有する造船所があるゴゼンバーグという港町で誕生した。

 ビヨルンが音楽にめざめたのは、ラジオから流れるプレスリーや、リトル・リチャードなどのアメリカンポップスの影響だという。そして、12歳の頃ギターを買ってもらい、友達とフォークグループを結成する。しかし、彼にとって音楽とは、大学に入るまではただの趣味の一つに過ぎなかったと言う。そんな中、芸能界に興味のあった彼の母親は、彼に無断でバンドのデモテープを国営放送のタレント・コンテストに送ってしまうことになる。おもしろいことに、彼のバンドには名前がついていなかった為、彼の母親は家族が住んでいた町の名前をとって”ザ・ウエスト・ベイ・シンガーズ”という名前を即興で考え、申込書のグループ名の記入欄に書き込んでしまったのだ。「本当に驚きました。母がかってにこんなことをするなんて、恥ずかしくてエントリーを取り消してもらおうかと思ったんですが、メンバーに話してみると、チャンスかもしれないからいいじゃないかと薦められたんです」結局、彼等は入賞を逃したのだが、コンテスト会場の中に当時有名なスカウトマン、ベント・ベルンハグが彼等の才能に大いなる可能性を見い出していたのだ。

 彼は早速、彼の上司である音楽プロデューサー、スティグ・アンダーソン(後のアバのマネージャー)に連絡をとり、ビヨルンたちのグループを強く推薦したのだった。興味をもったスティグ・アンダーソンは、ビヨルン達にデモ・テープを送るように指示を出した。「本当に、突然のことだったので困惑してしまいました。なにせ当時、スウェーデン最高の音楽プロデューサーからの連絡だったもので」デモテープを気に入ったスティグは、彼等をテストする為にストックホルムのスタジオに呼び寄せた。「最初は凄く緊張していましたが、スティグがとても穏やかな態度で接してくれた為、リラックスして演奏することが出来ました」と語るビヨルン。テストは順調に進み、”ザ・ウエスト・ベイ・シンガーズ”はスティグとレコード契約を結んだ。ビヨルンは意外なまでスムーズに、音楽業界に潜入することに成功したのだ。

 スティグは契約するにあたって、彼等のグループ名をもっと新鮮なものにしたかった。そこで彼は、当時のミュージック界の主流を占めていたアメリカン・フーテナニー・サウンドからヒントを得て、”ザ・フーテナニー・シンガーズ”と名付けたのである。又この時、スティグはポーラー・レコードを設立したばかりで、彼等はこのレーベルの第1号アーティストとなった。”ザ・フテナニー・シンガーズ”のデビュー曲は、森で働く労働者のことをテーマに歌った「アイム・ウェイティング・アット・ザ・チャー・コール・キルン」という曲で、発売以来数週間の内に大ヒットを収めてしまう。「いつかは成功するグループだとは信じていたが、こんなにも早く売れてしまうなんて夢にも思わなかったよ」と語るスティグ。

 1964年、フーテナニー・シンガーズは初の国内ツアーを始めた。ビヨルンが当時を語る。「かなりハードなスケジュールでしたね。とにかく、移動、移動の連続だったのです。しかし、これも人生経験の一貫と考えれば、辛さもすぐ忘れましたね」しかしグループのメンバー内には、この先本当にうまくやっていけるだろうかという不安があったのも事実だ。たった1曲のヒットで終わってしまうことも充分に考えられたからだ。ビヨルンも当時ひどく悩んだ時期があった。大学で法律を学び、弁護士になる夢も完全には捨てきれなかったのだ。だがそんな中、彼を説得し、励まし続けたのはスティッグだった。このままスターへのチャンスを逃していいのか?好きな音楽を捨てられるのか?名プロデューサーであるスティッグの質問は、彼の迷いを一掃するだけの説得力があった。もしここでビヨルンがスティグと分かれていたなら、世紀のモンスター・グループ”アバ”がその姿を現わすことはなかったであろう。この後、ビヨルンはスティグのような音楽業界のプロになることを強く心に決めたのである。又、”ザ・フーテナニー・シンガーズ”もスティグの策略通り、満足のいく結果を残すことになる。


注意1)この文は【原書】ABBA(Harry Edgington and Peter Himmelstrand著)【訳書】アバ世界の恋人たち(山本沙由理訳)及び、かまち 潤さんのアバ年表を参考文献として書かれたものです。

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