第14回 3(スリー)コードの神秘(02/04/15)

 アバの最大の魅力と言えばやはり、その親しみやすいメロディ・ラインにあることだろう。この親しみやすさはいったいどこから来ているのか?自分でも作曲をしているので、この点をアバの楽譜からなんとか読みとってやろうと研究したことがあった。

 初めてアバの楽譜を見て発見したのは、アバの曲の殆どは3コードで作られていることである。3コードとは、ドの上にできるトニック・コード、ファの上にできるサブドミナント・コード、ソの上にできるドミナント・コードのことで、日本語では主要三和音(注1)と呼ばれている。さて、この3コードだが、カントリー・ミュージック、ロック・ミュージックなどに多用されている基本中のコードである。昔、セックス・ピストルズのジョン・ライドンが「音楽なんて3コードさえ知っていりゃいいのさ」と言っていたのを覚えているが、ジャズの理論を勉強していた自分にとっては、3コードなんて初心者の使うコードで、恥ずかしくって使ってられないと思っていた。だいたい、印象に残る音楽とは、奇抜なコード進行やテンションサウンドで成り立っていると思っていたところがある。しかし、アバの楽譜を見ていくうちにそんな考え方が誤りであった事に気が付いた。例を挙げるならジ・アルバムのヒット曲「テイク・ア・チャンス・オン・ミー」。出だしの有名なメロディでは、なんとたった2つのコードが交互に出てくるだけだ。まるで、”曲なんて3コードどころか2コードがあれば作れるんだよ”とでもいっているかのよう。楽譜を読めない方でも彼等の楽譜に記載されているコードの数を調べてほしい、驚くほどその種類が少ないことに気が付くだろう。このことからビヨルンとベニーは、コード進行やコードサウンドに対してあまりこだわりを持つと、ストレートなメロディが書けなくなることを体で感じていたのではないかと思う(微妙なコード・チェンジやテンションの音を要求する「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」などはアバの曲の中では異例な曲だといえる)。実際、自分で作曲して気に入ったメロディにコードを付けると、殆どが2コード、3コード内に収まっているというのが現実なのだ。

◎アバ・ソングの特徴と分析結果。

1.シンプルなコード進行と使用コードの少なさ

 ストレートで分かりやすいメロディは、殆どが2コード、3コードで作られている。

2.3和音を優先、テンションの音(注2)はあまりたさない

 アバの曲が誰にでも分かりやすいというのは、実はここにあるのではないかと思う。基本的に彼等が使うコードは3和音であり、4和音以上のコードを使うのは、あくまで部分的にだ。テンション大好き音楽であるフュージョン、デビット・フォスターなどが書くA.O.Rミュージックなどと聴き比べれば、アバの書く曲がまったく別物であることが分かるだろう。

(注1)例に挙げたのはキーがCの時であり、キーがAの時にはラの上にできるトニック・コード、レの上にできるサブドミナント・コード、ミの上にできるドミナント・コードとなる。

(注2)テンションの音とは、コードを構成する3つの音に付け足される音のことで、Cコードで言えば、コードの構成音であるド、ミ、ソ以外のレ、ラ、シの音(ファの音は?これは禁止音と言って、他の音と不協和な響きを作ってしまう音なので使用不可)。


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