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ディミニッシュコードに対するスケール

どう捉えて、どう弾きこなすべきか?
ここ数日、清水君と一緒にジャズスケールの解釈について、「Someday My Prince Will Come」を題材に分析作業を行っています。特に今回は「Diminished Chord」に注目して研究をしてみました。

DiminishedはRoot、b3rd、b5th、bb7thというインターバルを持つコードで調性感が薄く、しばしばパッシングコードとして楽曲に現われてきます。大抵の場合、無視してその楽曲のKeyのスケールを演奏しても特に楽曲にダメージを与える事もないので、放置しがちなのですが、そこに正しいスケールを持ってくる事で更にコントロールされたアドリブメロディーを生み出す事もでき、また解釈を大きくすることで面白いスケールで弾いたり、シンプルなアドリブコンセプトを持ってくる事ができます。

以下にアコースフィアで分析したDiminished Chordの解釈を書き留めておきたいと思います。

Diminished Chord自体の解釈
まずDiminished Chordそれ自体の解釈を考えてみました。構成音はRoot、b3rd、b5th、bb7th。このうちbb7thは6thと解釈することができます。Diminished Chordを他の呼び方で置き換えると「Minor 6th b5(マイナーシックスフラットファイブ)」と言うことができます。

では実験。このうちb5thの音を#5thの音に代えてみます。もしギターなど近くにあれば鳴らしてみてください。コードの機能は変化しません。

コードの構成音の中のb3rdと6thの間におこるTritone(#4thのインターバルになる2つの音が不安定な響きを生み出す現象)の方がRootとb5thの間におこるTritoneよりも重要な役割を果たしていることがわかります。

それを踏まえて更に新しい名前をつけてみるとDiminished Chordは「Minor 6th alterd5(マイナーシックスオルタードファイブ)」と呼ぶ事ができ、こう考えることで選択できる音程が増え(b5thと#5th)、より自由に響きを選択できるようになります。

Diminished Chordにおけるb5thと#5thの関係は、Dominant 7th Chordにおけるテンションb9thと#9thの関係に似ています。ギターの場合Diminished ChordのRootを4thに置き換えることでDominant 7th b9thのコードが現われます。4th上にあるDominant 7th b9が代理コードであると言う事ができます。 以下にここまでの結果をまとめてみます。

■Diminished ChordはMinor 6th Chordと捉えることができる。
■b5thの音はコードの機能との関わりは薄い。
■b3rdと6thの間におこるTritoneが重要。
■Tritoneを含むのでDominant 7th的な響き方をする。
■Minor 6th ChordはDominant 7th的な響きを内包している。

■4th上のDominant 7th b9thコードが代理コードになる。

Available Note Scaleの選択肢
以上の結果を踏まえて、Diminished Chordに対するアヴェイラブルノートスケールを探してみましょう。

まず考えられる大事なスケールはDiminished Chordのアルペジオです。Root、b3rd、b5th、6thの4つの音によるスケール。コードトーンそのままなのでコードとの協和はベストです。

これに先程言及した#5thの音を加える事ができますので、Root、b3rd、b5th、#5th、6thというペンタトニックスケールも考えられます。これもコードトーンと言えるので協和を乱す要素はないと考えます。

それではこのコードトーンの間にある可能性ある音を探してゆきましょう。

Combination Of Diminished ScaleはDiminished Chordのスケールの代表格ですね。まずひとつ目のコンディミは半音上に位置するDiminished Chordのコードトーンを合わせたスケール、すなわちRoot、b9th、#9th、3rd、b5th、5th、6th、b7thによる8音のスケールです。このスケールを合わせて弾く場合、b9th、3rd、5th、b7thの音はテンションもしくはアウトする音として捉える事ができますので、これらの音でフレーズが終わると不協和音を生み出す可能性があります。ですが実際に合わせて演奏してみますと、得に問題なく全ての音が協和してるように思います。

ここから考えられるのは、Diminished Chord自体が調性感が薄いコードである為にNon Tonalな機能を生み出し、全てのノート(12音)を受け止めることができるようになっているのでは?という仮説です。

それを実証する為に選択できるスケールはChromatic Scaleです。いわゆる12音全てを演奏するスケールですが、半音階を連続させて使用するということに留意しながら演奏するのが大事になります。その意味ではノートのFree Choiceとは違うコンセプトであると考えます。

構成はRoot、b9th、9th、#9th、3rd、4th、b5th、5th、#5th、6th、b7th、7thとなります。こちらもDiminished Chordに対して問題なく使用することができます。

では最も自由なコンセプト「Free Note Choice」、つまり12音全てを好き勝手に何のしばりもなく演奏するのはどうでしょう?これも問題なく使用できます。シンプルに考えればDiminished Chordが来たらギターの指板上のどの音でも自由に弾く事ができるという事です。ですが何の脈絡もないフレージングをすることはあまり音楽的とはいえません。自由に音を選択できるからこそ、そこに自分なりの解釈を加えたフレーズを挿入してゆくことが大事だと考えます。

それを踏まえて例としてあげるなら、Keyに対して半音上にあるMajor Scaleを弾くなどというアイデア。またなんらかのツーファイブフレーズを使うなどが考えられます。ホールトーンなども使えます。アイデア次第で可能性は無限と言えます。 ここまでをまとめると以下のように言えると思います。

■Diminishedのアルペジオのスケールが使用できる。
■Root、b3rd、b5th、#5th、6thのペンタトニックスケールが使える。
■Combination of Diminished Scaleが使える。
■Chromatic Scaleが使える。
■12音全てを自由に選択しアドリブフレーズを作ることができる。

■好きなコード進行を想定してフレージングできる。

最もメロディアスなAvailable Note Scaleは?
かなり拡大解釈してDiminished Chordに対するノートの考え方をまとめてきましたが、以上の事を踏まえた上であえて一番使いやすく、馴染みやすく、協和している雰囲気をもつスケールは何か試してみるとモードのLocrian(Root、b9th、b3rd、4th、b5th、b6th、b7th)のように思います。このモードでしたらMajor Scaleを弾ける人なら誰でもちょっと練習すればすぐに合わせる事ができるようになります。

ただ問題は4thの音がDiminished Chordと不協和音になるということ。もちろんアウトしてると捉えれば見すごせるノートではありますが、より協和するスケールを求めるならば4thをAvoidするか、他のインターバルと置き換えるべきでしょう。

他のインターバルと置き換えて最も協和するメロディアスなスケールはSuper Locrian(Root、b9th、b3rd、b4th、b5th、b6th、b7th)になります。Locrianとの違いは4thがフラットしているところです。通常は3rdと表記される音程ですが、Diminished Chordに対して演奏された場合は3rdの機能はなく、テンションとして響いていますので、あえてb4thという解釈で表記します。

またこのスケールはAlterd Scaleとしても有名で、Melodic Minor(Root、9th、b3rd、4th、5th、6th、7th)から派生するスケールになります。ジャズを演奏される方には馴染みのあるスケールです。

このSuper Locrianが最もDiminished Chordの響きを表現できるスケールと言えると思います。以下にまとめておきます。

■Locrianのスケールを使用できる。4thの音をAvoidできればBetter。
■Super Locrianが最も協和するメロディアスなスケール。
■Super LocrianとAlterd Scaleは同一のものと考える事ができる。

かなり難しいトピックスの今回でしたが、最近の研究成果としてここに発表しておこうと思い、まとめてみました。実はまだまだ解析が進んでいないコードや和音、音楽の世界がたくさんあります。それらを正確に把握することでより良いメロディーを生み出す事や、自由なアドリブを可能にしてくれます。音楽家にとって大事なのは創造をする事と同時に研究をすることだと思います。学ぶ時間を大事にしてくださいね。

from Acousphere Shigeyuki Okuzawa
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