Anon No Memo
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Mozart

Date: Wed, 19 Sep 2001
Subject: 米国の事件について
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この話を書くと相当長くなりそうです。
取敢えず、思いついた処から始めます。

日本の状況について
報復に躍起になっている欧米のヒステリックな状況に比べて、
日本人には冷静な見方を持っている人もいて、少しホッとしています。
何しろ、仏教の国だけあって「因果応報」と言う言葉を知っています。
何か悪い事が起きた時、自分にも非があったのではないかと思う謙虚さは、
善い事です。
彼らが無差別に攻撃したのではないことは明らかで、
標的はあくまで米国の権力の象徴だったのです。
それを民主主義が標的だったと、だから報復に加われ、とは何事かと。

報復について
キリスト教倫理の根本、「隣人愛」を示す有名な「山上の垂訓」の一節、
「もし誰かが汝の右の頬を打つなら、左の頬も向けなさい」の前で、
「目には目を、歯には歯を、と言う教えをあなた方は聞かされてきたが、
 私はあなた方に言う。悪人に手向かうなと。」と言っています。また、
「汝の敵を愛し、汝を迫害する者のために祈れ」と言う一節もあります。
勿論、ぼくはキリスト教者でもなければ、キリスト教が好きでもありませんが、
キリスト教を国家理念とする(大統領就任式でも裁判所でも聖書に誓う)米国人に
とって「報復」は明らかに自己矛盾であり、イエス・キリストが世界を滅ぼすと
考えた「原罪」に他ならないと言えるでしょう。
イスラム法では「目には目を、歯には歯を」ですから、正義の戦い「聖戦」です。
尤も「ジハード」をsacred-war(聖戦)と訳したのは欧米人で、本来はモスレムの
「努め」を意味するようです。

テロか戦争か
(近代の)戦争とは主権国家間の武力衝突のことを言います。
テロ組織は国家ではないので、通常の意味では戦争と言えません。
テロは政治犯罪ですが、戦争は犯罪ではありません。
勝てば官軍、負ければ賊軍ですから、負けるまでは犯罪者ではないのです。
政治犯は亡命できますので、亡命国が犯人引渡しに応じなければそれまでです。
現に、米国にも多くの政治犯が亡命しており、米国は引渡しに応じていません。
(例えば、天安門事件の政治亡命者)
戦争と言えば、相手国の主権を侵して攻撃しても可笑しくありません。
だから、戦争と言ったのではないかと勘繰ってしまいます。
ブッシュ大統領の親父が始めた湾岸戦争が、アフガン戦争の義勇軍だった彼らを
テロに向かわせたと聞くと、正に因果応報と思ってしまいます。
(以下余談、WTCは保険に入っていたようですが、戦争だとすると免責条項で
 保険が支払われない可能性もあります。それ以外でも米国のことですから、
 犠牲者の数だけ裁判が起こるかもしれません。弁護士は大忙しになるでしょう。)

事件の象徴性
この事件は以下の点で、非常に象徴的です。
●米国の政治支配・軍事支配・経済支配の象徴であるホワイトハウス・ペンタゴン
 ・WTCを標的とした。
●武器となったのは、米国の2大エアラインUAとAAの国内線ジェット機で、
 製造元は軍事産業でも有名なボーイング社である。
●ハイジャッカーは、米国空軍関連施設および民間施設で飛行訓練を受けていた。
●ハイジャッカーは長期間米国内に滞在生活し、その他の物資も米国内で調達された
 筈で、資金の一部も米国内で調達されていたと思われる。
●テロ組織の基になったといわれるアフガン戦争のイスラム義勇軍に、資金・武器を
 提供し戦闘訓練したのは、CIAであった。

WTCはタイタニックであった
WTCがあのように崩壊するとは、ハイジャッカーを含め誰もが想像していなかった
でしょう。
寧ろ彼らは被害が少ない早朝の時間帯を狙ったのではないかとさえ思えます。
かってNYCでは、B−25がエンパイヤステートに衝突した事故があり、
WTCも設計当時最大のジェット機707が衝突しても安全な設計としたようです。
だから、ハイジャッカーもあのように崩壊するとは思っていなかったでしょう。
WTCが全壊したのは、予測できなかったかもしれませんが(僕も壊れて初めて
その弱点に気が付きましたが)、大きな意味で設計ミスと言えるでしょう。
何故、タイタニックと似ているかを説明すると長くなるので、以下は次回とします。
   


Date: Tue, 25 Sep 2001 
Subject: 米国の事件について−続き
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続きを書く前に、書き忘れたことから、

●東洋と西洋の倫理観
 論語に「己所不慾、勿施於人(己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ)」という言葉
 があります。これとよく似た西洋の諺に
 「Do as you would be done by.(己の欲するところを人に施せ)」があります。
 が、表現は否定と肯定、消極的と積極的の対比です。ここに、他人も自分と同じ
 価値観を持っていると思い込む、西洋の傲慢さが表れています。
 延いては、自分の価値観を他人に押付けることとなり、植民地の人をにキリスト教
 に改宗させるようなことに繋がります。

●WTCはユダヤの象徴でもある
 ジョージ・ソロスなどもそうだが、米国の金融界は古くから(ベニスの商人も)
 ユダヤ系資本に牛耳られてきし、ウォール街で働くヤッピー達にもユダヤ系が
 多いと聞きます。さらに、WTCは最近ユダヤ人にリースされたところらしい。

●湾岸戦争も米国の失政
 もともと米国の中東政策では、イラクを重視していたらしい。ところが原理主義者
 ホメイニがイラン革命を起こしイイ戦争が始まると、イラク支援に鞍替えしたのだ
 そうだ(イイ戦争は、アラブとペルシャの民族対立)。が、フセインが図に乗って
 サウジに侵攻したので、自ら育てたイラクを潰すことにしたのだそうだ。

タイタニックは何故沈んだか(すべて受け売り)
●タイタニックは不沈構造を誇っていて、姉妹船オリンピックは巡洋艦と衝突して
 船体に穴が開いて浸水したのですが、沈没しませんでした。
●不沈構造とは、船殻を水密隔壁で小さく仕切り、穴が開いて浸水しても、浸水を
 小さな水密区画内に留めるようにしたものです。
●氷山を発見したとき、スクリューを後進させ減速したため、反って舵利きが悪く
 なり、正面衝突を免れたものの、船首右舷が氷山に接触し、擦られた。
●そのため、外板が長く裂けて船首の連続4区画が浸水し、バランスを失って沈没。
もし、正面衝突しておけば、船首は大破したものの船首2区画程度の浸水で済んだ
かも知れない。あるいは、減速せず舵を切っていれば接触を免れたかも知れない、
と言われています。

WTCは何故崩壊したか
極単純にいうと(勿論、すべて後知恵ですが)
●ジェット機衝突の衝撃と燃料火災により、衝突階付近の床が落下。
●下階の床がその衝撃により更に落下。以下、垂直ドミノ式に次々と落下。
●終には地下階が破壊し、地下階が繋がっていた隣接建物も壊れた。
と考えられます。
つまり、どこかの床が崩れ落ちると、全体が崩壊する構造となっていたと推察されま
す。通常では何ら問題なかったのでしょうが、どこかに異常な事態が起こると、それ
が全体に及ぶ可能性があったということです。
ジェット機は明らかにトリガーとなったのですが、全体崩壊に至ったのは何らかの
構造的欠陥があったと言わざるを得ません。(不可抗力か否かは別)
尤も、犠牲者が10%なら、結果として評価されても良いのではないか、とも思いま
すが。(絶対数が多過ぎることが問題ですが。)

当たり前のことですが、予測するリスクに対しては何らかの備えをするものです。
しかし、予測できないことは多々起きるもので、その時は破滅的な事態となる可能性
があるということです。一見安全そうに思えるものも、よくよく考えれば随分と脆弱
なものだとも言えます。しかし、システムが巨大かつ複雑なため、その危険性が
ブラックボックスとなっていて、ますます見えなくなっているのが現状です。
コンピュータウィルスなどはその盲点を突いたものの典型でしょう。



Date: Sat, 06 Oct 2001
Subject: 米国の事件−それから
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「人の噂も75日」「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と言うように、WTCの倒壊よりも
報復攻撃が何時どのように始まるのかに、世の関心は移りつつあります。僕自身、
何度もWTC倒壊の映像を見、WTCの構造をウェブで調べたりしている内に、次第
と最初の衝撃が薄れつつあります。
だからと言って、現在の状況が好転した訳ではないのですが。

多くの人が、この事件を「新たな戦争」と言っています。
国家間の武力紛争が20世紀の「戦争」でしたが、今回の米国の敵はNGO軍隊と
言うべきものです。このような見方はさておき、多くの人が何かしら21世紀を暗示
する象徴的な事件と感じたことは確かです。あるいは、20世紀が築いてきた社会に
対する何かの警告ではないか、とか、米国に代表される現代社会が犯してきた咎に
対する報いの表れではないか、と感じた筈です。(米国人にもこのように感じている
人がいるのを知ると、少し救われます。)

近代の基礎は、民主主義・貨幣経済・科学技術ではないかと思います。これらが始末
に負えないのは、大方の人々が正しいと信じ込んでしまうことです。少なくとも、
その明らかな誤謬も見当たらなければ、それを超える新たな概念も生まれてきていま
せん。何よりも、その権化たる米国に明確な陰りが未だに見えていないことが、その
勢いを保つこととなっています。

もうひとつの問題は、国際化にあります。上の3つの概念は民族を超えて理解しうる
共通の概念であり、世界中に蔓延ってしまいました。その結果、社会システムは益々
複雑かつ巨大なものとなっています。

例えば、このパソコンもシリコン・金・銅・鉄・プラスチック・ガラスなど様々な
材料から作られています。これらの材料は様々な国から産出され、様々な国で加工
され、部品になり、組立てられ、僕の手元にあります。逆に、僕の支払ったお金は、
様々な企業に配分されながら、様々な通貨に両替されながら、世界中の何万人にもに
渡ることとなります。これらの仕組みは、パソコン内部の仕組みより遥かに複雑かつ
巨大なもので、追跡はほぼ不可能です。
これはパソコンに限ったものではなく、身の廻りのありとあらゆる物がそうです。
青空市場で売っている大根は、一見その総てが見えているようですが、肥料や殺虫剤
も使われていますし、耕運機・トラック・ガソリンも使われていますので、最早昔の
大根とは成り立ちが異なってしまっています。(狂牛病騒ぎで、加工食品に何が使わ
れているかメーカですら判っていないということが、判ったのはこの典型です。)

しかし、自分の生活が複雑怪奇なシステムの上に成り立っていると感じる人は、殆ど
いません。ところが、震災のように社会システムが破壊された途端に、如何に危うい
システムの上に暮らしていたのかを知ると同時に、自らの無力さを痛感させられる
こととなります。

この複雑なシステムは、自己増殖的に蔓延り進化して、制御が不可能になりつつあり
ます。豊かで便利で安全な生活を支えると同時に、環境問題や南北問題(貧富格差)
を生じるという欠陥を露呈していますが、それを是正するのは考えるほど容易では
ありません。

環境問題で言えば、米国の人口は世界の5%ですが、世界の30%のエネルギーを
消費しています。もし、世界中が米国人並みの生活をすれば、エネルギーは忽ち枯渇
し、地球は人の住めない星になると言えます。だからと言って、低開発国の人々に
米国人の生活を望むなとは言えません。先進国は今まで散々に大量消費をし、地球を
汚してきたのに、遅れて来た人々に「地球を守るために自制せよ」などと言えた義理
ではありません。
地球が全人類共有の財産とするなら、先進国の人々は明らかに他国の財産を侵し続け
ていることになります。

皮肉にも米国では、キリスト教原理主義者とでも言うべきアーミッシュやシェーカ
教徒と言う人達(米国でキリスト教原理主義者と呼ばれる人は堕胎に反対し、その
ような医院を襲撃したりするような人達で、アーミッシュなどは一般的には原理主義
とは呼ばない)が、一切の文明を排除して開拓史時代の生活を未だに続けています。
もし、米国人全員が、いや世界中が、彼らのような生活を続けていれば、こんな危機
感を抱くこともなかったでしょう。

僕は無神論者ですが、バブル末期にオウム真理教・幸福の科学・統一教会・山岸会
など新興宗教が若者に流行った時に、「これからは心の時代だ」と思ったものです。
何の不足もない豊かな時代にあって、「このままで良いのだろうか?」と疑問を抱い
たからこそ、明らかに怪しげにも関わらず宗教に惹かれていったのでしょう。

現在の世界は、人間の欲望と知恵が創り出したものです。しかも今や、全人類の欲望
と知恵がこの世界を支えていると言えます。だから、この世界を変えるには全人類が
「悔い改める」しかないでしょう。殆ど、不可能と思えますが。(この点、ドイツ人
は珍しい人達です。全員ではありませんが、環境問題など真摯かつストイックに取組
んでいるようで、感心させられます。)

悲観的な結論になってしまいますが、日本の構造改革と同じで、一人一人が危機感を
持つことが重要です。さらに、痛みを伴うことを甘受する覚悟が求められるのは確か
です。その痛みは、きっと常識では耐えられないようなものになる筈です。

話がどんどん逸れて、散漫になってきました。結論も希望も見えてこないので、止め
ますが、まだ米国では後遺症が続いているようです。テロを題材とした映画の上映が
延期されたのはまだしも、イマジンなど平和ソングの放送が自粛されたと聞いて、
(情報操作や人心操作で愛国心高揚を謀ろうとしている権力とそれにまんまと乗せ
られている米国民を見ると)ぞっとしてしまいます。
   

NYWTCの崩壊についての少し専門的なお話
阪神淡路大震災に見る鉄骨構造の問題


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