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化石のでこぼこ道 15




トラの牙・ネコの牙・セイウチの牙・サーベルタイガーの牙

2012・2・18
田中利雄

 昔、友人がインドに行った際、空港で子供から「トラの牙だよ、買ってくれ」と言われた。
 それが本当にトラの牙かどうか分からなかった。けれども、買って帰って僕に本物かどうか? と聞いてきた(写真1)。

写真1

 持ってる本を次々と調べた。出て来ない、これもだめ、これも…
 中には、頭骨になってしまうと、ライオンとトラの区別は出来ない、と書いてある本まである始末。

 そんなときに思い出したのが、10年以上前に買っておいた子ども用の「動物の顔」全3巻でした。さっそく開いてみると大きく口を開いた写真が載っていて、トラの牙には1〜2本の溝がある。ところがライオンには溝がない(現在売られている幼児向きの本には、トラの牙が写っている本が数册あるようです)。

 思うに、溝がある方が、ない方よりも丈夫なのではないか、例えば、トタン板に平たいものより、浪板トタンの方が丈夫だから家の壁などに使われているではないか。で、トラの牙と判定しました。インド産ならベンガルトラだろう。これぞ、最強の牙。と言って持ち主に話しました。そしたら、差しあげますよ、と言われました。それ以来、それを受講生などに巡覧して喜んで貰っていました。

 それから数年後、ネコの牙にも溝があるのに気づきました(写真2)。イヌにはありません。ところで、生きているネコは、厭がって、溝があるかどうか見せてくれません。

写真2

 後日、セイウチの牙を入手しました。その牙にも、緩やかな波構造が見られました(写真3)。

写真3

 そして、本日、納屋を整理していて見つけたのが、アメリカで1万年前に絶滅したサーベルタイガーの牙のレプリカです(写真4)。この牙にも、歯根部に波ジワ模様がありました。

写真4

 動物にとっては、歯はもっとも大切な器官です。その歯に溝や波ジワがあるのは、どの様な進化の経過を経てきたのでしょう?



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