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化石のでこぼこ道 16




センニンガイの化石

2012・4・21
田中利雄

 貝殻のケースを眺めていたら、センニンガイが3個入っているのを見つけた(写真)。そのうちの1つ(左)には殻の表面の模様が残っているが、他の2つには、螺塔に摺り切れた筋が1本あるものと、2本あるものとがある。

 よく見ると、この筋のある貝の表面は全体に磨り減っている。これは、浅い地中に化石として長い間埋まっていて、殻の周囲を地下水が流れ、貝の表面が溶け出したものだろう。これと同じ現象は、このHPの、「化石のでこぼこ道 11 イボウミニナ(?)化石の崩壊仮説」 に、書いておいた。そこでは、イボウミニナと思しき貝殻の一部のものに、地下水によって殻表面が溶けて筋状の穴が生じたものがあることを紹介した。

 そして今回、同じように表面の溶けてしまったセンニンガイを見つけたというわけである。この貝は、1994年4月に、土生紳吾氏から入手したもので、彼は、この貝を沖縄の西表島の組内の川で拾ったと言っていた。しかも、同じ場所で時々拾えるという。

 センニンガイは、本来は、沖縄以南の汽水域、湾内の泥底やマングローブ湿地に生息するものだから、川に死殻があってもさして不思議ではない。写真の左側のものはそういった、わりに新鮮なものであろう。

 しかし、磨り減って筋の入っているものは、川の周辺の地中から出現した化石で、恐らくまだ1万年を経ていないのではないか、と思われる。



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