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愛知県三河山麓 2




家の中に入ってきた動物たち

2014/10/14
田中利雄


 今回は、写真がありません。思い出話です。

 僕が育ったのは愛知県岡崎市保母町です。家の南は田んぼとマッタケの採れた小山。東も田んぼと民家と小山。この山の奥には、やはりマッタケが採れました。
 家のすぐ北側には農業用水が流れていて、色々な魚や昆虫が棲んでいました。
 夏になるとカトリヤンマというトンボが、家の中のうす暗い廊下の中へ入ってきて、その名の通りに蚊を食べにきていました。終戦直後の頃のことで、カワトンボ、シオカラトンボ、アキアカネ、日本最少のハッチョウトンボなどがいました。

 知立市の南端の谷田町に住むようになって、ここは見渡す限りの水田地帯ですが、シオカラトンボの群れも次第に少なくなって、この数年間は見かけたことが有りません。
 でも、20年ほど前のこと。夕方に、部屋の中にコウモリが一匹飛んで入ってきました。捕まえてみると、とても軽くて、顔は深い皺だらけのキクガシラコウモリでした。入口の戸を開けて、追いたてるようにして逃がしました。家のすぐ近くに神明社があり、そこに棲んでいるのだろうと思います。今でも、夕方になれば田んぼの上を飛び交っています。また、この神明社の森には、いろいろ珍しい小鳥がやってくることがあります。ヒ・ツキ・ホイホイ(星)と鳴くサンコウチョウ(三光鳥)が来たこともありました。

 トラツグミは、昔、ヌエという怪物と怖れられていたのですが、我が家の硝子戸に2度もぶつかって、1羽は死んでしまいました。もう1羽は、気絶していましたが、5分ほどしてから息をふきかえしたので、3,4日ばかり餌と水を与えてあげましたが、やがて元氣になって飛び去りました。窓ガラスにぶつかって脳震とうをおこすスズメは、時々見られます。大学の講義室のガラスにぶつかったというスズメを4,5人の学生が心配そうに見つめていましたが、5分ほど後に飛び去りました。名古屋市博物館の食堂のガラス窓にもぶつかってのびていましたが、これも、5分で飛び去りました。

 コサギの幼鳥が、家のすぐ前の農業用水に流されてきたことがあります。家内が見つけました。拾いあげてみると、かなり衰弱しており、立つこともできません。それで、よく体を拭いてから、座敷に古い毛布を敷いて、電気炬燵を2台並べて、1台にだけ電氣を入れて温め、水とミミズを沢山与えていたら、3日ほどで元気になりました。町の西の方にサギが集まる竹薮がありますので、そこまで抱えて、家内の運転で行って放ちました。お礼に、糞をかけられましたので、帰って着がえをして出勤しました。

 そして今日の夕方のことです。スズメが捕まりました。
 前日、台風19号が、沖縄、九州枕崎、土佐、大阪、名古屋、甲府、仙台というコースで通過して、今日は吹きかえしの強風が終日続いていました。西向きのトイレの窓のサッシを半分開けておきました。夜になったので、サッシを閉めたところ、バサバサと音がします。

 よく見ると、サッシと網戸の間に、スズメが1羽挟まっていました。家内を呼んで、その珍客を眺めた後、サッシを開けたのですが、そのままの姿勢で動きません。家内が手を伸ばして押してやると、はじめて闇の中に消えて行きました。これは、今年生まれたスズメの子で、強風のため、スズメの群からはぐれてしまった可哀相なスズメだったのでしょう。
 天敵のキツネは何十年も前に居なくなり、ヘビも、ここ数年前から見かけませんので、スズメも、明日には兄弟たちの居る群れに合流できるだろうと思います。

そうそう、ここの神社には長いことマムシが生息していましたが、今は、見かけません。市内の東海道筋に知立神社がありますが、江戸時代には、知立神社の「なが虫封じ」のお札が江戸でとても喜ばれたそうです。なが虫とは、マムシの古称です。うちの大ばあばも知っている言葉です。


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