山岳気象講座



厳冬期の気象概況


一般的には、高気圧が来ると晴れ、低気圧が来ると雨・雪という感じで気象を捉えるのが判り易いのですが、厳冬期の気象は他の季節とやや違い。主に上層の寒気と、下層の暖気との関係によって変化します。

冬のはじめ、及び春先は大きな低気圧が発達することが多いのですが、1月頃は日本付近で発達することは稀で、大抵はカムチャッカ半島付近で発達して、大雪をもたらす、西高東低の、いわゆる冬型の気圧配置 (低気圧と高気圧に挟まれた)になることが多くなります。



(1999・1・11 気象概況 )

上記の可視衛星画像は、日本海側に大雪をもたらした典型的な冬型の気圧配置です。低気圧が千島列島沖で発達し(はっきりとした渦巻きが見えている)一方シベリア大陸から高気圧が張り出してして、等圧線が南北に込み入った気圧配置です。このような気圧配置の時はシベリアから強風と共に寒波が日本付近に流れ込み、日本海で雪雲が発達し、衛星画像で筋状の雲に写っています。

特に若狭湾から伊勢湾ヘ抜けるはっきりとした筋状の雲が見事に写っています。寒波が強いので、その流れは太平洋の遥か沖合いまで届いています。典型的な山雪型ですが、寒波が強いので、日本海側の平野部でもかなり積雪がある状況です。



降雪条件について


一般に、気温が低いと多くの雪が降るように考えられていますが、実際のところはそう単純なものではありません。例えば、シベリアの様な極寒の場所では、空気の中に含まれる水蒸気の量がかなり少なく(例・気温5度の空気には、マイナス40度の空気の約50倍の水蒸気が含まれています) 降雪量も以外と少な目です。

日本海側の降雪を分析すると。大雪の目安として、(1)海岸線・山麗付近の気温がプラスと高め、かつ湿度が100%に近いこと(2)上層5500m(500hpa) の気温が低いこと(マイナス35度以下が条件として挙げられます。気象専門用語でいう ”鉛直安定度”条件付不安定の状態になる時、即ち上昇気流が発生しやすくなると、スキー場での大雪が期待できます。



山岳での降雪


山雪型・里雪型と、雪の降り方の傾向の差はあるものの、平均して山での降雪は平野部を大きく上回ることが多いものです。特に上記のような強風の時は山雪型となります。強い風が北アルプス等の高山にぶつかり、そこで強い上昇気流が発生し、雪を降らせる積雲が発達します。

山が高ければ高いほど、寒波はそこを乗り越えることが出来ず、その場所で新しい寒波が次々に新しい積雲を発生させ、長い時間雪を降らせます。北アルプスでは、ひと冬の累計積雪量は数十メーターにも達し、3月には麓のスキー場上部で平均3m、山頂付近では倍の6m程の雪が積もります。4月に入ると少しづつ減り、5月になると急速に減り出し、夏には一部の雪渓に残るのみとなります




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