山岳気象講座・(残雪期)



残雪期の気象概況


残雪期(5月中旬−6月上旬)は、雪や山岳気象が比較的安定した時期で、北アルプス・富士山の山岳スキーに最も適した時期です。5月初旬によくある大型低気圧(メイストーム)の来襲も少なく、帯状の高気圧に覆われて好天が続くことが多いです。ただこの時期に気をつける気象現象は、上層の寒冷渦(寒冷低気圧)でしょう。地表に比べ、3000mを超える高山では気温が低下・突風が吹きやすい、かなり荒れた天候です。が普通の地上天気図では判定し難く、北半球500hpa高層天気図等でその接近を予測する必要があります。




(1999・5・14日 気象概況)

樺太東部にやや発達した低気圧があり、ここから伸びる前線と、太平洋沖の梅雨前線が一緒になった状況です。日本付近は西から移動性高気圧に覆われて、好天になっている状況です。ただ上記の低気圧は上層に寒冷渦を持つ寒冷低気圧です。上層の寒気の流れ込みで、日本付近も影響が見られる気圧配置です。山岳スキーには要注意の気象です。地上の気温がそこそこ上がり、上層はやや冷たい為、積乱雲が発達しやすい気圧配置です。



富士山での気象


残雪期の富士山スキーで、最も重要なのは、山頂付近の気温と風です。地上で天気が良くても、山頂付近の雪は昼になっても凍ってガチガチのアイスバーンの時が良くあり、そのような時に滑るのは非常に危険です。出来れば前夜の12UT( 日本時間・午後9時 )の北半球500hpa高層天気図で上層の様子を解析する必要があります。

上記の気圧配置の場合、寒冷渦の影響を多少受ける為、正午頃の山頂付近の気温はマイナスになる可能性があります。一般に500hpaの気温がマイナス10度前後まで上がれば安心ですが、上記の場合マイナス15度前後と、やや低い為、要注意です。

また上層500hpaの等圧線の込み具合で、富士山の山頂付近の風を予想することができます。上記の場合も寒冷低気圧の影響を受けていて、やや風が強くなることが予想されます。5合目である程度強い風の時は、山頂付近は暴風になることもあり、スキー登山はせいぜい8合目までくらいにした方が安全と言えましょう。風により気温がプラスでも雪面が氷結する可能性があります




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