| 平井伸治氏 |
次に、地元倉吉市出身で、東京や中国を舞台に様々な分野で活動されている福井さんに、 外から見たこの鳥取県中部と、その魅力についてお話いただきましょう。 |
| 福井 |
大学卒業後、長男であったため、地元の銀行に入ったのだけれど、入った途端に上司からは 「銀行は斜陽産業だから早く辞めた方がいいよ」ということを言われて驚いたんですが、 その後どうも「自分の人生」なんてものを考えてるヒマもない銀行員生活に疑問を抱き、 東京の会社からの誘いもあり、東京へ・・・。 そこから上海再開発をする合弁会社で仕事することになりました。あの江澤民が上海市長時代 の最後の批准プロジェクトで「古い北」と書いて「古北」という50ヘクタールくらいのエリア なんですが、今ではあそこに沢山の日本人が住んでらっしゃいます。 その後、上海での野菜事情、遅れた農業事情を知り、米子の米子青果さん、京都のタキイ種苗さん と組んで、上海での外資系スーパー、ファースト・フード店を対象にしたサプライヤーの合弁会社 を作り、同時に上海の観光局との付き合いから、上海のお土産グッズを作る会社を作ったりしました。 ここにおいでの皆さんの中で、もしかすると上海旅行をなさり、私のデザインしたお土産を買って くださった方もいらっしゃるかもしれませんね。で、当時から中国の映画とか音楽関係者の付き合い が多く、今は、日中合作の映画のプロデュースとか、とにかく上海がらみのものに声をかけていた だいております。隣の山崎さんとも上海がご縁で知り合った訳です。 私は、十数年に亘り、右肩上がりで経済発展を続けている・・・まぁ、自分としてはバブルだな、 と思って見ていますが・・・「上海」に関わってきたのですが・・・今の日本は産業の空洞化が どんどん進み、その中でも地方都市はどんどん活力を失っています。 この中部地区も、ジワジワと産業の地盤沈下が進み、このままでは10年後にどうなってるのかな? と心配になってきます。今は、たしかにインターネットなどの発達で、どこにいても仕事をやり やすくなってますし、私も倉吉に実家があり、将来帰ってきて生活する、という選択肢も持って おり、友人達も沢山暮しているんですが、その頃中部地区がどうなっているのか、とても心配なん です。 最近は、今までの大量生産、大量消費、経済成長だけを目指した流れを見直し、少子高齢化の流れ、 資本のグローバル化の流れの中で、とにかく自然環境と調和した、ゆったりとした生活を目指そう という流れが注目されるようになってきております。 しかし、生活の基盤となる産業の基と成る資本、お金というものは、自分を増殖させるために流れて いくという大原則は変わりませんので、そういうゆったりとした自然との調和の中での生活を望んでも、 この「資本の意志」というものを忘れて地域社会を維持することはできない。また資本がどんどん 海外に流出し、税金を集めて再配分するという国家のシステムさえも危なくなってきています。 こういった現状の中で、今後の地方都市の存続、自立を考えていかなくてはならない。では、私の 故郷であるこの中部地区はどうかな?と考えてみたわけです。 どこでもよく見かけるんですが、街づくりということになると、「明るく住みやすい街づくり」ってな スローガンが出て来たりするんですが、誰も「暗くて住みにくい街」を望む人はいませんよね。 今回の合併へ向けての様々な意見交換を拝見していても、合併へ向けての手続きとか方法論的な話は 沢山出ているようなんですが、叩き台となり目に見えるような具体的な構想が出てこないように感じ まして、最初は、新しい雇用を生み出すような叩き台なんだから、例えば「関空がその離着陸料の高さ から、アジアのHUBになれないんだから、北条砂丘にカーゴ/貨物専用の空港を作ろう!」なんてな カンフル剤的企画はどう?なんて、言ってみたりしたんです・・・けれど、これはちょっと問題も多い ですしね・・・。 で、再度ゆっくりりと中部を見直してみると、最近の流れの中で、地域社会を維持するのに必要な資源を 既に持ってるんじゃないか?と感じたのです。 後で述べる様に、海の幸、山の幸、豊かな野産物、多くの温泉、綺麗な水、があり、全国を対象にした アンケートでは老後住みたい街の上位に位置されている。これを活かさない手はないんじゃないかな? 他の地方都市がやってるのと同じような機械産業などの工場誘致とかではなく、既に持っている資源を 再確認して、後で述べるような「漢方と養生の郷」的な方向を日本で最初に打ち出してやっていったら どうかな?と思った訳です。 |
| 平井伸治氏 | 特色あるまちづくりへの提言をお持ちだそうですが・・・ |
| 福井 |
最近の風潮では、先ほど申しました「少子高齢化の流れ」と合わせて、どんどんと自分の健康を大切に する・・・毎日、みのもんたさんの一言でスーパーの商品の売れ行が変わる世の中です。 日本の人口がどんどん減っても65才以上の方の占める人口比率は変わらず、そういう方たちがお金を かけても一番欲しいものは健康な生活です。 時間の関係でここでは詳しくお話できませんので、お手許のパンフレットで紹介されているHPサイトを 見ていただければと思うのですが、先ほど申し上げましたように、中部には、海の幸、山の幸、豊かな 農産物、多くの温泉、綺麗な水、があり、こういう、既に持っている資源を再確認して、長期滞在でも いわゆる観光でも、ここで採れた材料を使った薬膳のような料理を食べ・・・漢方というと中国のもの のようですが、言葉自体はオランダから入って来た蘭方と区別するために作られた日本語ですし、内容は 特殊な生薬ばかりをつかうものではなく、昔からの民間医療、おばあちゃんの智恵みたいなものを活かし た部分が多く、西洋医学が病気そのものと闘うのに対し、体全体のバランスを取り戻そうとする考え方の もので、「オルタナティブ・メディスン/代替医療」としてどんどん注目されているものです。昨今の 健康食品ブームもこれと近いものです。 先ほど会場でお会いした関金町長もとても共感してくださっているのですが、減反政策で荒れ地となって いる土地や、後継者問題で悩む農家が、そういった食材を生産し、これを温泉で提供して、「美容と健康」 とか最近見直されている温泉での「湯治」といった商品を再度開発するのです。 他の温泉地と同じような商品…「カニと豪華料理で1万円!」とかいう同じ土俵で闘っても、地理的に 不利なここでは競争力が弱いのです。三朝や関金温泉は単純放射線温泉で、ガンとかに効くホルミシス効果 を持っていると言われているのですから、これと組み合わせて商品化するのです。 最近では、中部地区の人口減少を危惧し、中部地区のお客さん相手だけでは先細りだと、インターネット による全国を対象とした健康食品の販売なさる地元企業も出て来ましたし、昨年からは、殆どの病気の原因 になっているのではないか?と言われている「活性酸素」をやっつける力を持った「還元水」が倉吉で採れ るようになりました。これらと「薬膳」「健康食品」といったものを組み合わせて商品化していくことが できると思います。 また、こういった動きを全国にアピールし、健康食品や野菜を研究する機関、企業に誘致を働きかけるのです。 「健康食品」のもとになる生薬を粉砕して粉にする工場は生産地に近い方が効力がある、と、ある健康食品 企業は言ってますし、水の分子の小さい倉吉の「還元水」には、飲料メーカーさんたちが注目しています。 他所の地方都市がやっているのと同じような企業誘致で、企業がこの鳥取県中部を選んでくれる動機づけ は弱いのです。 余談ですが・・・、たまたま先ほどの基調講演で神野直彦先生(東京大学教授)も同じ様なことをおっしゃって いましたが、ここで注意しなくてはならないのは、「単純に企業が進出してくれるから」、「最初は雇用が 生まれるから」、と「大都市型」の低価格による大型量販店などの流れだけを安易に受け入れ、しばらくした 後、「サプライヤーとして着いて行けませんでした」、「逆に仕事がなくなりました」、「結局は地元産業は 参入できませんでした」、というような流れになり地元の企業を殺してしまい、車の運転のできない老人は 買い物ができなくなりました・・・ってな流れになる近視眼的な企業誘致をしないように注意しながらやって いかなくてはならないという事です。 日本全体が、資本のグローバル化で大陸に教えた技術による商品輸入などが引き起こしたデノミの流れで苦し んでいることを忘れてはならないと思います。 「漢方と養生」というコンセプト、流れに沿った研究機関、企業を誘致し、地元の企業にも参画してもらい、 それに対する農産物、生薬を提供し、短期、長期の観光客も増え、雇用も増え、若い人も働く場所が出来、 という継続できる流れを作って行ってはどうか?と思うのです。 |
| 平井伸治氏 |
経験をもとにした起業の進め、発想の転換、魅力づくり戦略、イメージづくり、PRの方法等についての提言が ありましたら・・・ |
| 福井 |
先ほど申しました、すでにここにあるものを組み合わせて、中部地区を活性化させようとする動きの中で、 よその地方都市との差別化を図り、その動きを全国にアピールして、ますます中部地区の作り出す農産品、 観光商品、健康食品などを目だたせる戦略が必要だと思います。 新潟のコシヒカリが有名ですが、コシヒカリは全国どこでも採れます。でも、新潟の・・・というブランド化 により(確かに美味しいのですが)その価格は高く設定しても競争力があり、米を使ったお菓子の企業が沢山 存在しています。 時々、倉吉の長谷川市長が「遥かなまち」という表現を使っていらっしゃいますが、先ずはそういうイメージ、 自分の地域の「売り」を全国にアピールすることが大切なのだと思います。 これも、パンフレットで紹介されているHPサイトを見ていただければと思うのですが、今までのファースト・ フードに代表されるような、工業化路線の社会発展ではなく、その反対にあるような、体に良いものを食べ、 人に優しい環境の中で良く眠り、子供達は健康にすくすくと成長する。その暮らしを持続するために、環境と 共存できる生活基盤の確立と同時に、私たちの身体との健康を考える、あるいは実践しながら生きることが 必要である。という、いわばファースト・フードの反対にあるようなスローフード、それから発展した「スロー ライフ」を提唱なさっている雑誌「SOTOKOTO」さんに私の「漢方と養生」というコンセプトをお話しました ところ、大いに賛同していただき、これを膨らまして、地域主体で行われる天神川流域の新しいまちづくりの プロセスを、マスメディアを活用し、全国に情報公開を行うことで、一つのモデルケースとしてアピールして いく。「日本初のスロータウン」ということで日本全国からの注目を集めることにより、「地元市民の参画意識」 を高める …地域住民自らが、「ウチらにできるだらぁか?」という意識を捨てて、まるでNHKのプロジェクトX の主人公の様に、新しいまちづくりに挑むのだという意識… とともに、「新しい産業の創成」、「関連産業の誘致」、 「地域のブランド化」による「経済競争力の強化」、将来に亘る継続的な地域経済の発展を目指す。 「日本初のスロータウン」に向けたいくつかの市民参加型の分科会を作り、これと同時にサポーターとして参加する 外部有識者を起用したフォーラムを開き、また、彼らの現地レポートを雑誌メディアにおいて継続的に情報発信を 行います。これらを軸として、まちづくりの過程における節目にテレビ(報道系)を誘致、また、プロジェクトの 活動をまとめた書籍の出版等を行います。そして、この分科会をNPO化して、継続的な行政との継続的な協調関係を 構築します。 そして、これらの情報発信に対する各地からの反響は、「新市」の住民自らが「主人公」であることを再認識させ、 具体的な「新しいまちづくり」への参加意識をより高めていくことになる。 という、「新市のブランド化/地産地消・医食住同源のスロータウンプロジェクト」という題名ですが・・・ こういった戦略をとって、地元住民が自分達で情報の発信側にたち、自分達で自分に軽いプレッシャーを与えていき、 このプロジェクトXの主人公なんだと自覚していく戦略が有効ではないかと思います。 |