よろずや「漂亮(ピオラン)」奇効奇談

〜古書好娘ケイファ、恋愛に憧れること〜

 この世のどこかにその店はあるのです。その名は「漂亮」。
 どんな願いや望みも叶う、不思議な薬や道具を扱うのだとか。
「漂亮」へ行ってみたいとお考えですか?
 まあ、あわてずに。
 願いを叶えられてしまう前に、この話を読んでみてはいかが?
「…哀れな物語はこの世に幾らでもあろうが、融密我と橘梨阿徒との恋物語ほど痛ましいものは他にあるまい」
 娘は古書を胸にきつく抱き、ぽろぽろと涙をこぼした。
「あぁ〜。なんて悲しいお話なの!」
 力いっぱい叫ぶと、娘はその場にうずくまった。
 結い上げた黒髪を振り乱して、嗚咽をあげて。
 この娘、名をケイファという。
 先祖代々、商売で栄えたリー家の一人娘。
 母親はおらず、木匠である父親のドゥスイと、二人きりで暮している。
 娘はひとしきり泣いた後、おもむろに立ち上がった。
 水がめから桶へ水を入れると、綿布を浸して絞る。
 涙で汚れた顔を綿布でひとぬぐい。
「あー、すっきりした」
 娘は、こうして家事の傍ら、毎日のように古書を読んで暮らしていた。
 年頃だというのに、浮いた噂の一つ、聞こえてこない。誰もが父親を恐れて近づかぬ。
 それもそのはず。ドゥスイは見上げんばかりの大男で、力自慢。
 昼は木匠として他の男の三倍働き、夜は大酒飲んで大暴れ。
 ドゥスイの独りっきりの愛娘に、誰も手出しできるはずもない。
 町に住むおせっかいな婆たちも、娘に婿を見つけてこようとはせぬ。
 娘はそんな自分の、恋したくてもできない境遇を重ね合わせているのか、古い悲劇的恋物語に夢中であった。
 
 娘は、桃色の絹布で丁寧に古書を包み、小脇に抱えて外へ出た。
 行きつけの古書店へ行き、別の悲劇的恋物語と交換してくるつもりなのであろう。
 さて。

 狭い路地を通り、茶館の角を曲がって、娘は歩いていく。
 食料問屋の前で立ち止まると、置物のように座っている、でっぷりとした白猫を撫でた。
 次の角を左へ。
 いつもの古書店の木戸を引いて、中へ入る。
 娘はぴたりと足を止めると、店内を見回した。
 壁に立ち並んでいるはずの棚がない。びっちり積んである古書がない。
 大きさの違う木箱が、壁を覆い隠すように無秩序に積み上げられている。ふたの隙間からは、金属のような輝きを持つ妙な形のものが…。
「ここは?」
 驚いて立ち尽くす娘の前に、一人の背の高い男が現れた。
「ようこそ、いらっしゃいませ」
 声の主を見て、娘は思わず布包みを床に取り落としてしまった。
 整った白い顔。まばらに垂らした長い前髪の間から、切れ長な黒い瞳で娘を見つめている。
 娘は心の中で叫んでいた。
「素敵!」
(いつものヨウお爺さんじゃないわ。ヨウさんに店番を頼まれた人かしら。ヨウさんったら、こんなに素敵な人を知っているなら、早く紹介してくれれば良かったのに。っていうより、ここは古書店じゃないんだから、ヨウさんと関係ない人なんだった。ああ、それにしても、こんな風に出会うなんて、もう運命。でも、父はきっと許さないんだわ。だって、お店を持っている人が、婿入りしてくれるはずがないし。それにしても、このお店って一体、何屋なの〜?)
 などと、娘が考えている間に、男は布包みを拾い上げた。
「どうぞ」
 良く通る低い男の声に、娘は我に帰った。
「あ、あぁ、あの、謝謝…」
 口の中でもごもごと礼を言い、布包みを受け取る。
「どうぞ。こちらへ」
 男は、店の片隅に置かれた、西域風の木椅子を指し示した。
「あ、あの」
 娘はしっかりと布包みを抱えて口を開いた。
「あの、その。ここは古書店…ではありませんよね」
「はい。残念ながら、うちはよろずやです」
 男は微笑を浮かべながら答えた。
「わ、私。てっきり、ヨウさんの古書店だと思って、ここに来てしまって、その。間違ってしまったみたいで」
 娘は上目遣いで男を見つめた。
「ここはよろずや「漂亮」。私は店主のワイ・シィワンです」
 そう言って、男は仰々しく頭を下げた。
 「あ、あの。私は、リー・ケイファです!」
 娘は思わず、力いっぱい名乗り返して、顔を高潮させた。
「どうぞ。ここには色々な道具がありますから、お茶でも飲みながら見物していきませんか」
 店主が再び木椅子を指し示して言う。
「ありがとうございます」
 娘は高鳴る胸を押えながら、木椅子に腰をおろした。

 店主は卓子の上に茶具を取り出すと、慣れた手つきでお茶を入れた。
 茶碗に飴色のお茶を注いで差し出す。
 暖かい茶碗を受け取って、娘は訊ねた。
「こちらには、最近お店を出されたんですか?」
「いいえ。昔からやっております」
 店主の答えに、娘は店内を見回した。
「よろずやって、一体どんなものを売っているんですか」
 その問いに、店主は微笑みながら答えた。
「願いや望を叶える、道具や薬を扱っております」
「願いや望み…」
 娘はお茶を一口飲みこんだ。
(願いや望みっていえば、やっぱり父のことよね。大問題よ。あんなんじゃなければいいのに。って、いつもいつも考えていたのよ。それにしても、甘いお茶。口の中が甘くなっちゃった。あ、もしかして、甘い恋をしようって意味? って、そんなことないって判ってるんだけど)
 ニヤニヤしながら考えこんでいた娘は、店主の言葉にひっくり返らんばかりに驚いた。
「お父上のことで、何かご希望でもございますか」
「え? わ、わたし…」
 娘は顔を真赤にして、手で口を塞いだ。
「いえ。リーさんといえば、もしかして木匠をなさってるリーさんのことかな、と思ったものですから」
 その店主の言葉に、娘はほっとして口を開いた。
「その通りです!父はドゥスイです。いつもお酒を飲んで暴れて、迷惑だし恥ずかしいんです」
「それでしたら、こんな薬はいかがでしょう」
 店主は足元の箱へ手を伸ばすと、小さな革袋を取り出した。
 口紐を緩めて、卓子の上へ置く。
「力を弱める薬ですよ」
 そう言って、店主は微笑んだ。
 革袋の中で何かが銀色に輝いている。
 娘は形のよい眉をひそめた。
「木匠は力仕事だもの。困るわ」
「そうですよね。すみません」
 店主は謝りながら、素早く革袋を箱へ戻した。
(なんだかちょっと、気が弱そうな感じ。でも、でも、でも、素敵〜。望みは、あなたとずっと一緒に居ること。なんて言ってみたら、どんな顔するのかなぁ。って、そういえば、既婚かどうかも判らないのに。私ったら、そんなの訊けるわけがないじゃないの)
 などと娘が考えこんでいる間に、店主はごそごそと箱を探っている。
(そういえば、こういうお店って、儲かるのかしら。いやあ。私、何考えてるの〜。物語に出てくる素敵な女性は、そんなこと考えちゃ駄目なのよ。でも、なんか気になっちゃう! やっぱり、商魂たくましい、リー家の血がそうさせるんだわ〜。きっと)
「…というわけで、これをはめていれば効果が現れますから。お役に立つと思いますよ」
 娘はあわてて、卓子の上を見つめた。妄想していて、店主の話の前半を聞いていなかったのだ。
 卓子の真中には、鈍く輝く白金色の腕輪が置かれていた。
「どうぞ、手にとって見てください」
 店主に勧められるまま、娘は腕輪を持ち上げた。娘が考えていたよりもずっと軽く、細かい文様が内側と外側に彫られている。
「珍しいものですから、お貸しするしかできないのですが、効果は確かです」
「貸してください!」
 思わず、娘は叫んでいた。肝心の効果がどんなものなのかを聞いていなかったのだが、貸してくれるというなら、会いに来る口実になると考えたのだ。
「どうぞ。お似合いになると思いますよ」
 店主の言葉に、娘はさっそく左腕を通してみた。そして、自分の腕を見つめた娘は、いつもの古書店へ出かけるつもりで、なんのお洒落もしてこなかったことを思い出した。
「ああ。思っていたとおり、よくお似合いです」
 店主は奇妙に口元を歪めてニィっと笑った。けれど、娘は気づかなかったようだ。
「あ、あの。お幾らですか?」
「お貸しするものですから、二環でいいです」
 娘は思わず叫んでいた。
「そんなに安くていいの!?」
「はい」
 微笑んでいる店主に、娘は二環を差し出すと、残りのお茶を一気に飲み干した。
「ありがとうございます。また来ます」
 娘は布包みを抱えると、そそくさと店を後にした。

「あー、髪を結いなおすのも忘れてた。もう、恥ずかしい」
 娘はしきりに前髪を撫でながら、道を歩いていった。
 ふと、立ち止まって、振り返る。既によろずやの姿は見えず、いつもの通りなれた路地の夕景が見えるばかり。
 鼓楼から、夕刻を告げる音が鳴り響いている。
 娘は小走りに、路地を抜けていった。


 次の日、娘は再び古書包みを抱えて、路地を歩いていた。
 もう一度、よろずや「漂亮」へ行ってみたいと思ったのだ。
 昨日歩いたとおりに、道を進んでいく。
 と、たどり着いたのは。
「おやおや、ケイファさん。いらっしゃい。もう読んでしまうとは、相変わらず早いのう」
 現れた店主を見て、娘は肩を落とした。
 「漂亮」の店主、ワイ・シィワンに会いたくて、腕輪に合わせた髪飾りをつけて、ほんのり紅までひいてきたというのに。
 店主のヨウお爺さんは、顎鬚を撫ぜながら後ろを向いた。
「次は何を読みますかな。これなんて、どうじゃろう」
 ヨウお爺さんは、古書の並んだ棚を、爪先立ちで眺めては横移動している。
「あの。ワイさんっていう人、知ってる?」
 娘の言葉に、ヨウお爺さんは首を傾げた。
「はて。聞いたことがないのう」
「それじゃあ、よろずや『漂亮』は?」
 娘は期待のこもった目でヨウお爺さんの背中を見つめた。
「『漂亮』とな」
 ヨウお爺さんは、くるりと振り向いた。
「昔、そういう名前の店があったが、確かよろずやではなく、家具店じゃったのう」
「そんなぁ…」
 娘は昨日のシィワンとの会話を思い出した。あの時、確かに、「昔から店をやっている」と、言っていたはずだ。
 訳が判らなくなって、娘は頭を抱えた。


 二日目の朝。
 娘は再び、「漂亮」を探して路地を歩き回った。行商から買った肉包子を片手に持ちながら。
 あっという間に食べ終えた娘は、点心舖から漂う甘い香りに誘われるように近寄っていった。
 二種類の糖包子を買って、娘は呟いた。
「なんで、こんなにお腹が空くのかなぁ」
 ただ歩き回っているだけだというのに、娘はすぐにお腹が空いてしまうのだった。
 歩きながら包子を食べていると、太った猫が座っているのが見えた。
 娘は立ち止まると、まじまじと猫を見つめた。
 真っ白な毛並。ふてぶてしい顔つき。短めの尻尾。どっしりと動かない様子。
 何から何まで、いつも食料問屋の前にいる猫に似ている。
 屈んで撫でてみると、猫はいつものように、もっと撫でてくれと言わんばかりに顎を上げた。
 娘がふと顔をあげると、小さな煤けた看板に「よろずや『漂亮』」とあった。
「あぁ!こんなところに」
 娘は包子の残りを口に詰めこんで、大あわてで飲みこんだ。
 一通り身だしなみを確かめて、口元を絹布で軽く拭ってから、戸をくぐった。


「ようこそ、いらっしゃいませ。ケイファさん」
 そう言って、店主は微笑んだ。
 娘は顎の下で手を組んで、うっとりと言った。
「嬉しい! 私の名前、覚えててくれたんですね」
「忘れたりしませんよ。さぁ、こちらへどうぞ」
 娘は誘われるまま、椅子へ腰掛けた。
 店主は、奥の棚から籠を持って来て、卓子へ置いた。
 籠の中には様々な大きさの月餅や、木の実の乗った焼き菓子が山盛りに入っている。
 香ばしい匂いに思わず菓子を見つめていると、店主がお茶を入れながら口を開いた。
「どうぞ、お召し上がりください。遠慮なさらずに」
 娘は勧められるまま、焼き菓子を手に取った。
「いただきます」
 一口ほどの大きさにちぎって、娘は少しづつ口へ入れた。
 次第に、口へと運ぶ手の動きが早くなり、あっと思ったときにはすでに、娘は焼き菓子にかじりついていた。
 あわてて口を離して、上目づかいで店主を見つめる。彼の目線が茶具へ注がれているのを見て、娘は急いで歯型つきの菓子を一気に口の中へ放りこんだ。
 喉へ詰まらせかけた娘は、あわてて出されたお茶をすする。
 青臭いような、草の香りが辺りに漂う。
「これは、栗あんですよ」
 店主が月餅を示しながら言う。娘は言われるまま手を伸ばした。
 上品にしていたいと思うのに、食べずにはいられない。空腹感が消えないのだ。
「お腹がお空きでしょう。どんどん召し上がれ」
 店主に勧められるまま、娘は次々と菓子へと手を伸ばした。
 そうして、あっという間に、菓子の山を食べ尽くしてしまった。
 呆れられているのではないかと思い、娘は恐る恐る口を開いた。
「あの。いつもはこんなに大食じゃないんです。何故か、今日はとってもお腹が空いて…」
 店主はにっこりと微笑んで答えた。
「ええ、そうでしょう。腕輪の効果ですから」
 娘は目を丸くして、自分の左腕を見つめた。
(ええ、どうして? 手首で輝いているだけじゃなかったんだ。でも、どんどんお腹が空いて、それでどうなるんだろう。結局、どうなるんだっけ?)
 店主は、娘の考えを見透かしたかのように言った。
「あと五日ほどで願いが叶いますよ。楽しみにしていてください」


 娘は、その後も異様な空腹が収まらずに、ずっと食べつづけた。夜中にお腹が空きすぎて眠れないほどだった。


 菓子を買いに町に出ては、「漂亮」を探して歩いたけれど、ついに探し出せないまま五日経った。
 その晩のこと。


 父のドゥスイはいつものように、家で酒を飲み酔っ払っていた。
「ケイファ。ケイファ! 酒持って来い!」
 近づくのが嫌で部屋の隅に居ると、ドゥスイが暴れだした。
 酒瓶をひっくり返し、卓子を叩き、大声で怒鳴り散らす。
「何やってるんだ、ケイファ」
 ドゥスイは娘に詰め寄ると、酒臭い息を吹きかけた。
「嫌! もう、飲まないでよ」
 娘はドンと、父を突き放した。
 ドゥスイはすごい勢いで向こうへ飛ばされて、床に転がった。
 何が起きたのか判らずに、娘がぽかんとしていると、むっくりとドゥスイが起き上がった。
「いてぇじゃねぇか。何すんだ、この!」
 ドゥスイは顔を真赤にして、両腕を振り回した。
「わ、私、何もやってない。ちょっと押しただけだもの」
「何だと? ちょっとこっちへ来い」
 娘がじっとしていると、ドゥスイはますます怒った。
「いいから、早く。こっちへ来い!」
 娘は仕方がなく、父親の傍へ歩いて行った。
 座ろうとして、卓子へ手をつく。
 すると、大きな音を立てて、卓子が真っ二つに割れた。
「ええー!」
 娘はまじまじと自分の手を見詰めた。
「なんだ、それは。そんなもの、いつの間に覚えた? 西域の魔術かなんかか」
 父の言葉に、娘は口を尖らせた。
「私だって、訳がわからないわよ! とにかく、もうお酒は飲まないで!」
 娘はドゥスイの持つ酒盃を取り上げた。
「あ」
 陶器の酒盃は、娘の手の中で粉々に砕けた。
「な、なんだ。なんだ。なんだー!」
 ドゥスイは酒瓶を蹴散らしながら後ずさった。
「何よ、何よ、何よ〜!」
 娘が片付けようと酒瓶を掴むと、みんな粉々に壊れてしまうのだった。
 父が唖然と見つめる前で、娘は腕輪を見つめた。
(そういえば、あの時、父の話をしていたんだっけ。いつも暴れて困るから、なんとかしたいって。そうだ、そうだ。そうだった。父の力を弱めちゃったら、仕事にならないから駄目だって言ったんだった。だから、代わりに私の力を強くする道具を?)
 娘はドゥスイへ視線を移した。
 すっかり酔いが覚めたのか、青い顔をして、部屋の隅に縮こまっている。
 ここぞとばかりに、娘は叫んだ。
「父が悪いんだからね! いつも酔って暴れるから。自分より力の強い者が暴れたら、どんなに怖いか判った? 私はいっつもそんな思いをしてきたんだから。もう、ぜったい止めてよ。判った?」
 ドゥスイは黙ったまま、頭を垂れて聞いていた。
 その様子に娘は満足すると、自室へ戻って腕輪を外した。
 腕輪をはめたままだと、家まで壊してしまいそうだったのだ。


 ぐっすりと眠ったあくる日。
 娘はいつもと違う寝心地に、目を覚ました。
 なんだか、体がはみ出ている。布団をひっぱると、こんどは反対側がはみ出てしまう。
 娘は起き上がろうとした。
 だが、起き上がれない。体が重くてしょうがない。
 腕を上げてみると、自分の腕はどこにも見えずに、知らない人の腕が見えた。
 肉がたっぷりついて、赤子のように手首でくびれている、腕。
「…この、腕!?」
 娘は手をついて、ゆっくりと体を起こした。
「嫌〜!」
 娘の叫び声が、朝を知らせる鐘楼の音に重なって辺りに響き渡った。
 何事かと部屋へ駆けこんできたドゥスイは、娘の姿を見てその場に凍りついた。
 娘は父の姿を見ると、足を踏み鳴らして大声をあげた。
「わーん。うわーん。父の馬鹿。父が悪いんだから。父のせいなんだから!」
 動きに合わせて、床が揺れ動いた。


 娘は、食べた分だけ太った姿になっていたのだ。
 あわててもう一度腕輪をはめようとしても、もはや、腕の太さが勝って、はめることができない。
「漂亮」を尋ねようにも、娘は恥ずかしくて、店主に今の姿をどうしても見せたくなかったのだ。
 ドゥスイはすっかり困り果てて、その晩から酒を一滴も飲まなくなったとか。


 さて、いかがでしょう。
 店主の話をよく聞いていなかった娘が悪いのだって?
 本当に、そうでしょうか。
 もし、あなたが、願いや望みをお持ちなら、お気をつけなさい。
 特に、女性の方はご注意を。
 あの店主に、願いを叶えられてしまわぬよう。
 店主の容姿に、うっかり見惚れたりしないように。

(了)  

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