7 南回り、台東、そして温泉


5/2(水)

台南站 この日は台南を出発して台東へ向かう鉄道の旅である。何時間も乗る鉄道の旅は台湾に来てから初めてで、些か気持ちが高ぶる。台南は台北〜高雄間の西部幹線の途上にあるため、台北行と高雄行は無数に運行されているのだが、高雄を過ぎて台東まで直通する列車は一日僅か3本しかない。あとは高雄始発である。そのうちの一本、台南9:23発の呂光号に乗ることにした。駅に朝少し早めに行って切符を買う(363元)。切符は無事に買えたものの、列車は路線のダイヤ乱れの影響を受けて20分遅延で出発となった。
 高雄までの30分は、昨日とは逆向きに移動。高雄で機関車がディーゼル機関車に換えられて再び出発する。沿線には畑、水田、溜め池、その合間に椰子の木が植わっている風景がただ淡々と続いていく。池に導水されて水車が勢いよく廻っているのが印象的である。やや景色も単調となりかけたところで一眠り。長距離の列車の旅ならではである。

 目が覚めたのは屏東站を出た辺りから。一旦高雄から東進した鉄路もここで再び南進に転じる。やがて、子ども達の「はい!はい!」(ハイ=海 hai、海のことですね)の元気な声が聞こえてくると、右手に南シナ海が広がっているのが目に入ってくる。ちょうどこの辺りでお昼時となり、駅弁の車内販売も来る。60元の弁当には、御飯の上に大きな排骨牛肉が乗っていてボリューム満点、味も申し分ない。枋寮站から先はわずか8年前に完成した最後の難所、南廻線へ入るが、入ると共に線路は山へと方向を変える。必然的にトンネルも多くなるのは仕方ないことか。

 大武という駅の手前から、遂に太平洋が見えだした。再び、子ども達の「はい!はい!」の歓声が起こるが、先程の勢いはない。流石に疲れているのか。皆が疲れを隠せない段になり、ようやく列車は台東新站へ13:11に到着。4時間の長旅であった。台東新站は市内から離れた場所にあるので、中心部の台東站まではバスで移動する。本に載っている金佳園旅社に入る(500元だったっけ)。

 台東に来てやることといえばただ一つ、隣町の知本温泉へ行って温泉に入ることである。バスターミナルに行くと、一時間おきのバスに丁度行かれたところだった。がっくり。バス停でぼんやり待っていると、後から来たおばさん二人組が、「〜〜〜〜にじさんじゅっぷん、〜〜〜〜〜。」「〜〜〜〜さんじさんじっぷん。」と、時間の呼び方のところで日本語を使っていていた。「おじさん」「おばさん」などの日本語が会話に混じるとは聞いていたが、実際に行くとドキッとさせられる。

知本温泉 バスで30分という知本温泉は、川沿い、山あいに巨大ホテルの立ち並ぶ温泉地区であった。折りしも降り出した雨による水煙がいい雰囲気を出している。話で聞いていたホテルでの入浴のみというのは何故か拒否されてしまい、横にあった、ホテルとは別の公共浴池へ行く。24時間営業とあるがそんなに賑わっている様子はなく不思議だ。入場料150元を払い中に入ると、そこには岩風呂があり、水着姿の人達が泳いでいた。台湾では水着着用が原則なのである。海パンのなかった私は無理矢理短パンでごまかす。水着着用の割には着替える部屋もなく???となるが強引に着替えてざぶ〜ん!冷たい!冷泉と温泉があるらしい。温泉のほうへ向かう。うんうん、これだね、と一人悦に入る。が、周りを見ると立ち泳ぎしている人ばかりで、ゆったりしているのは自分だけであった。深いし、椰子は生えているし、雨はひどくなってくるし、どうも雰囲気が違うのでしっくりこない。結局いたのは20分そこらだった。
 台東への帰り。バス停に、その短パンを置き忘れた。折り返しのバスで取って返すと、今度はその戻りのバスがドア故障で運休。台東に無事戻ってきたのは19時過ぎになってしまった。とほほ、である。一人知本のバス停で待つ私に、地元の人は話かけてくれたのがせめてもの救いだった。もうバスないんじゃないの?折り返しのバスがさっき行ったって?じゃあ大丈夫だね、と。

 夜、遅くまでやっている果物屋街で当地の名物だという釈迦頭なる果物を探したが、季節外れなのか、ないと言われた。でも果物の豊富な南部に来て何も食べないのも癪である。適当にマンゴーを選んで、一個だけ売ってくれと頼んだ。おっちゃんは笑顔(失笑か?)で応えてくれた上に、選んだものは傷物だから(よく見ると傷が付いていた)といってそれをくれた。謝々!

次へ(8 台北、再び)


last updated in 17th Jun. 2001
written by OHBA Makoto(dachang@xd5.so-net.ne.jp)