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告井土暖の個人美術館へようこそ
ここは つげい どだん の個人美術館付属
陶芸デザイン講座館
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陶芸デザイン講座・初めての陶芸・陶芸のデザインとは・デザインの考え方・発想方法・コーディネート・グラフィックデザイン
告井土暖の陶芸デザイン講座
はじめに・・・
陶芸はそれほどの知識がなくとも始められ、自由な発想で楽しく作ることができ趣味には最高ですね。
でも、ある期間制作を楽しんでいるうちに、壁にぶち当たることも少なくないのです。
ロクロで生活雑器を専門に作る人は目的が明確なので良いかもしれませんが、
自由な発想で常にオリジナル作品を作りたい人にはそれなりのセンスが必要だと思います。
センスとはアイデアとかデザインを生み出す力ですが、これは感覚の問題でもあり、
どうしていいのか分からないことも結構あると思います。
しかし陶芸において窯とか土とか釉薬、そして製作工程などの記述は数多くあっても、
デザインとかアイデアに関する記述はどこにも見当たりません。
そこで多くの人は市場や本で気に入ったデザインを探してはそっくり真似ることを思いつきますが
次第にこれも行き詰る結果となることが多いのです。
そんな状況を打開するには、デザイン力やアイデアを生み出す力を自分に持ち備えることしかなく、
特に、オリジナルな陶芸を作り続けたいと希望される方のために
私、告井土暖が考えるアイデアの出し方やデザイン方法をご紹介いたします。
デザインは好奇心
人間は物事に興味を持つと、自然とそちらに目が行くようになりますね。
陶芸も好きになったとたん、その形とか色、景色(表面の変化)、絵付け方法や文様、技術やバランスなど
自分でもびっくりするほどあらゆることに興味がわきます。
しかし、私は陶芸の場合、あまり間口を広げることをしませんでした。
土の種類とか釉薬の変化とか焼き方とかいったことよりも自在に変化する土で自分の思う形を作り、
そこに自分の考える絵柄を自分流に表現したかったためです。
ですから、木で物を作るとか、ぬいぐるみで魚を作るとか、水彩画を描くとか
絵や文章を装丁することなどと基本的には同じであり、作る楽しみに加えそれらをトータルに
デザイン構築することがメインの楽しみだったのです。
流れの中での陶芸デザインの役割
何を作りたいか・・・・・・・・ 作りたいものを自分で考え決定します。
↓
アイデアの具現化・・・・・・・ どんな形にするか、絵はどうするかとラフスケッチを描いてみる。
↓
成形方法の検討・・・・・・・ ロクロかタタラ作りか手びねりかを考える。
↓
成形加工・・・・・・・・・・・・ スケッチを元にイメージを近づけながら制作をする。
↓
乾燥・素焼き
↓
染付けなど下絵を施す・・・ イメージスケッチを元に絵付けをする
↓
施釉・・・・・・・・・・・・・・・・・ 形や目的に合わせどんな釉薬を施すかを考える。
↓
焼成
↓
上絵を施す・・・・・・・・・・・・ 上絵付けをする場合は専用の絵の具で絵付けをする。
↓
絵付け焼成
↓
完成品を楽しむ・・・・・・・・・ 実際に使ってみる、使い方を考える、演出を楽しむ。
ご注意
上記基本的流れの中でも特に私は、意匠とかデザインに関する項目を重点に述べようと思います。
なにぶん、感覚的なことが多く説明不足や誤解が生じるかもしれませんが、あくまでも参考として
いただければ幸いです。
* * * * * * * アイデアの具現化 * * * * * * *
陶芸は泥遊びとか土こねとか言われていますが、ただこねくり回していても何も出来てきません。
何をどのくらいの大きさでどんな形に作りたいかをはっきりさせることが不可欠です。
どこかの陶芸教室で数個作るだけでしたらその場の思いつきで問題はないのですが、長く続けたい場合は
特にアイデアを紙に具現化してから作陶することを強くお勧めします。
絵を描くことが苦手な人には苦痛でしょうが、頭の中だけで考えて作陶しても
なかなか気に入った形に近づけることは難しいのです。
最初のうちはどんなにへたでも、いい加減でも、とにかく書いてみることが大切なのです。
まず線で描いてみる。
線はイメージを具現化するための手段ですから、精密画のようにそれほど忠実に描く必要はありません。
濃い色の鉛筆を使って上の絵のようにまず直径5cmほどの丸をぐるぐると数回まわして正円を目指して描きます。
右からも左からも描けるように練習しましょう。
正円が描けるようになったら横楕円とか縦楕円に挑戦してみましょう。
線は、ちまちま慎重に正円を帰して描くのではなく、力を抜いて軽くリズミカルに一本の長い線で描きます。
少々ゆがんでもはみだしてもかまいません。
外周の形が描けたら写真のように斜線で描く影を入れます。
立体的な円に見えるように場所や濃淡を考えながらたくさん描いてみます。
立体的に影をつけるのは難しいのですが、影があるのとないのではまったく違いますので何度となく練習しましょう。
平面的な丸とか球をイメージしながら斜線の幅や濃淡でグラデーションを作ることが大切です。
絵を建築設計図のように三面図(正面側面俯瞰)で描いて形を作る人もいますがなれない人には
完成品のイメージがつかみにくく、やはり立体図がいいですね。
円が描けるようになったら縦線横線に挑戦します。
用紙の左端から右端まで直線を何本も引く練習と用紙の右上から下に縦線を何本も引く練習です。
ここでも、真っ直ぐに引こうとあまり慎重に引くのではなく軽いタッチで引きます。多少のゆれは問題なし。
次に、縦線や横線と円を組み合わせて筒状とか壷様の形を描いてみましょう。
上の壷の絵のように、まず、口の部分の楕円と底の部分の楕円をそれぞれの直径で上と下に描いたら、
縦線(サイドライン)を入れればもう立派な筒状の絵が描けますよね!
意識的に変化を作ってみる。
縦線のどこかを意識的にふくらましたりへこませたりすれば、もうそこでいくつかの壷の形ができあがります。
最初からうまくは描けないかもしれませんが、あせらず描き続けることが上達の早道です。
自分の好きな形を想像しながら、少しづつ違った形を描いてみます。
左右対称の線がうまく描けないときは中心線を入れ、それを基準に描いて見ましょう。
ここでも立体感を意識しながら、影を入れることをお忘れなく。
影こそ立体の立役者
影がうまく入ると立体感が強く出て形がはっきりしてきます。
陶器の背景とか床の部分にも影を描いてしまいましょう。
影は横線でも縦線でもいいのですが、右利きの人は右上から45度の左下への斜線が描きやすいと思います。
影を描くときのコツはグラデーションを(陰影の濃淡)つけながら45度の角度で早いタッチで描くこと。
始めは力を入れないで薄く、徐々に力を入れて最後は黒になるまで少しづつ移動しながら連続諧調をつくります。
線と線があまり交差しない平行線で描くと美しく見えます。
簡単なようですが結構難しい作業です。慣れるまでがんばるしかありません。
ここでもゆっくりと慎重に線を引きますと硬い線になってしまいますので、早いタッチで引く練習をいたしましょう。
円に影を入れるときは45度の直線ばかりではなく円に沿った曲線も併用しても良いでしょう
グラデーションの入れ方とか場所によっては膨らんで見えたりへこんで見えたりしますので、意識しながら描きましょう。
基本を少しづつ応用しながら、難しいものに挑戦してみる。
線が引けるようになったら、具体的に自分が作りたいものの形を描いてみましょう
立体的に絵が描けないうちは平面的な絵でもいいのですが、
平面的な絵でも頭の中は立体的なイメージを持って描くよう習慣づけることが大切です。
いくら図面があっても、手作り陶芸では力の入れ具合、水分量、乾燥方法
その他の理由でその通りには行かないのが常識です。
その点から言うと下絵を描くのは無駄のような気がしますが、後になってその重要性がわかってくると思います。
思いついたらすぐメモをする
陶芸を始めたころはあれもこれもと、作りたいもので頭がいっぱいですね。
しかし、浮かんだアイデアもすぐどこかに忘れてしまっていざ作るときになると「さあ、どうしよう?」となります。
絵が描けるということはとても得なことです。
仕事の合間でも思いついたらすぐメモをしましょう。絵ばかりではなく文章だけでもよいのですが、
どんなに下手でもやはり絵を中心に文章で補足するようにメモすることが後になって何を考えたのか思い出しやすく、
作るものがはっきりしているとその後の段取りが容易になります。
制約をふまえながらバリエーションを考える。
アイデアがひとつでも出た時点ですぐメモを取ることはとても大切なこと。
しかし、それだけではまだ手作り陶芸に応用できるとは限りません。
工業生産品的に作るときは制約がはっきりしているのですが、手作りの場合手先の器用さに
よっても違いが出るし、水分量とか乾燥方法によっても違いが出ますので、
経験的に自覚しながら自分流スケッチをいたしましょう。
形状におけるアイデアバリエーションの考え方
1)粘土の特性や作業性を考えてデザインする。
形状によってストレスがかかりやすい部分とかゆがみやすい条件とかがあるので、
その特性を知りデザインの過程で対策をしておく。
背の高いものは支えをデザイン的に付け加えたり、陶箱など蓋の中心部は少し高くしておかないと
自重で垂れたりゆがんだりしますので、いろいろな過去の失敗やら経験的を生かしながらデザインしましょう。
2)足したり切り落としたりしてアイデアを広げる。
何もないところから立体を作り上げる作業ですので、何も思いつかない時ももあると思います。
そんなときは+・−・×・÷方式がお勧めです。
+・−・×・÷方式とは、私が常々実践している方法で、
たとえば丸を基本形とした場合、上に同じ丸を積み上げたらどうなる横に丸をつなぎ合わせたらどうなる、
斜めなら、大小なら・半分に切ったものを・・と位置や大きさなどを変化させながら
足し算や引き算的に考えて形を見つけていく方法です。
丸に丸ばかりではなく丸に三角・四角・楕円・筒・円錐などと広げればもうこれだけで無限の広がりを
得ることができるのです。
3)道具を使う
足したり引いたりで無限大の可能性はわかるような気がしますが、やってみると意外に難しいことかもしれませんね。
大丈夫です。もっと簡単にバリエーションを見つける方法があるのです。
それは鏡を使う方法で、10センチか15cm角の四角い鏡二枚を使って無限大に挑戦です。
二枚の鏡のミラー面を内側にして向かい合わせ、一辺をテープで貼りあわせます。
二つ折りの鏡を少し開いて雑誌の上とかスケッチの上とかに載せて眺めます。
そして少しずつ移動するととても不思議な世界が現れます。
そう、万華鏡の世界です。
万華鏡もこのように使えば無限大のデザイン創出アイテムなのです。
4)自然から学ぶ
土を素材に手触りで作り上げるプリミィティブな手作り陶器は、
西洋的な磁器から来るイメージとは大きく違って素朴でやわらかいのが特徴です。
その形状も絵柄も磁器の持つ冷たさとか均質感とは異にして、
それは日本人の心に根強く染み付いている気候風土と合いまった独特の意匠となっています。
そんな陶芸の意匠にはやはり、日本の自然から学ぶのが一番素直な考え方のような気がします。。
四季折々に咲く花の形とか木の実の形は、よく観察すると実にうまくデザインされていることに気がつきます。
たとえば、どんぐりの実の形とかヘタの部分のなどの形状はもうデザインそのもの。
手作り陶芸のためだけでなく、あらゆるデザインの基礎的部分を自然から学ぶということは、
その洗練された造形の妙に自分が近づく一番の近道でもあり成功への近道なのです。
5)自然の造形を自分流にアレンジする。
自然の造形はすごい。といってもそのままの利用ではいつかは行き詰ることが目に見えていますね。
そこで、ここでも上で述べた+・−・×・÷方式を取り入れることが必要になってくるのです。
どんぐりを上下二つ並べたらどうなるか、つなげた後半分に割ったらどうなるか?
などと紙に描きながらアイデアバリエーションを数限りなく模索するのです。
思いつく限りのパターンを描いてみて、その中から作ってみたいデザインを探します。
こうすれば、複数のアイデアを考え付く可能性も大きく、
たくさん出来たアイデアはデザイン在庫としていつでも使うことが出来るのです。
6)影絵パズルを楽しむ
自然からえた図形をそのまま利用できない場合など、
バリエーションを広げる一つの方法として私は下記の図形のような考え方をすることがあります。
たとえば、丸(○)から得た形に対してそこに隠れた絵を探すのです。
球はどこから見ても丸いのですが、球を影絵だと思って考えると下図のように三角錐を基準に考えても
その組み合わせだけでも思わぬ形が隠れていたりすることがあります。
上から見て円だと思っていても、半円だったり三角錐が二つ重なっていても上から見れば円に見えますので、
その横から見た形を空想することで新しい形が生まれることがあります。。
こんな図形の基礎的考え方を身につけると、もうあなたは万能デザイナー。図形のデザインのみならず、あらゆる
方面の創作に生かせること請け合いです。
さてここで問題です。真上から見て円に見える形のバリエーションを10個考えましょう。