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Dragon's Jazz Corner

「ライブ・レポート・2010」

注:詳しいライブ・レポートは下↓へスクロールしてご覧下さい。

■続木徹・カルテット 続木徹(p)、向井滋春(tb)、古野光昭(b)、平山恵勇(ds) 2010/12/30
■鈴木良雄・カルテット 鈴木良雄(b)、井上信平(fl)、山本剛(p)、セシル・モンロー(ds)
2010/12/17
■ポール・フライシャー・カルテット ポール・フライシャー(ts)、椎名豊(p)、山下弘治(b)、勘座光(ds)
2010/12/10
■DenJap Sound Ensemble キャスパー・トランバーグ(tp)、ハンス・ウルリク(ts,fl)、
加藤崇之(g)、水谷浩章(b)、外山明(ds)
2010/11/23
■竹内直・トリオ 竹内直(ts)、市野元彦(g)、田中徳崇(ds)
2010/11/20
■峰厚介・カルテット 峰厚介(ts)、清水絵理子(p)、杉本智和(b)、村上寛(ds)
2010/11/16
■中本マリ&大石学・トリオ 中本マリ(vo)、大石学(p)、米木康志(b)、セシル・モンロー(ds)
2010/11/11
■藤陵雅裕・カルテット 藤陵雅裕(as, ss)、福田重男(p)、高瀬裕(b)、安藤正則(ds)
2010/11/01
■清水秀子&大徳俊幸・トリオ 清水秀子(vo)、大徳俊幸(p)、斉藤誠(elb)、関根英雄(ds)
2010/10/24
■バート・シーガー・トリオ バート・シーガー(p)、金澤英明(b)、池長一美(ds)
2010/10/19
■イーデン・アトウッド イーデン・アトウッド(vo)、デイヴィッド・モーゲンロス(p)、谷口雅彦(b)
2010/10/16
■ザ・ディジー・ガレスピー・
アルムナイ・オールスターズ・
フィーチャリング・ザ・ヒース・ブラザーズ
ジミー・ヒース(ts)、アル・トゥーティ・ヒース(ds)、アントニオ・ハート(as)、
グレグ・ギスバート(tp)、ベニー・グリーン(p)、ジョン・リー(elb)
2010/10/14
■ラーシュ・ヤンソン・トリオ+1 ラーシュ・ヤンソン(p)、トーマス・フォネスベック(b)、ポール・スヴァンベリー(ds)
ウルフ・ワケー二ウス(g)
2010/10/08
■モヒカーノ・関・カルテット モヒカーノ・関(p)、中路英明(tb)、吉岡大典(b)、平川象士(ds)
2010/10/06
■土濃塚隆一郎・トリオ 土濃塚隆一郎(fln)、清水絵理子(p)、織原良次(elb)
2010/10/01
■川上さとみ・トリオ 川上さとみ(p)、池田潔(b)、田鹿雅裕(ds)
ゲスト:尾川太郎(ds)
2010/09/29
■力武誠・カルテット 力武誠(ds)、ショーン・スミス(b)、清水絵理子(p)、太田朱美(fl,picc)
2010/09/20
■平井庸一・クインテット 平井庸一(g)、増田ひろみ(as)、橋爪亮督(ts)、蛯子健太郎(b)、井谷享志(ds)
2010/09/17
■鈴木道子&渥美幸裕・トリオ 鈴木道子(vo)、金子雄太(org)、渥美幸裕(g)、小森耕造(ds)
2010/09/16
■大石学・トリオ 大石学(p)、米木康志(b)、セシル・モンロー(ds)
ゲスト:西任暁子(vo)
2010/09/15
■小林陽一&J・J・M 小林陽一(ds)、松島啓之(tp)、浜崎航(ts)、熊谷泰昌(p)、高道晴久(b)
ゲスト:ダン・ニマー(p)
2010/09/10
■田鹿雅裕・カルテット 田鹿雅裕(ds)、多田誠司(as)、川上さとみ(p)、高道晴久(b)
2010/09/08
■続木徹・カルテット 続木徹(p)、向井滋春(tb)、金沢英明(b)、安藤正則(ds)
2010/09/04
■宮野裕司・カルテット 宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds)
2010/09/03
■ジョージ・ブレイス・トリオ ジョージ・ブレイス(ブレイス・ホーン)、小林陽一(ds)、河合代介(org)
ゲスト:レイモンド・マクモウリン(ts)、西川奈々(org)
2010/08/02
■中村梅雀・クインテット 中村梅雀(elb)、羽仁知治(p)、岡部洋一(per)、八木のぶお(hca)、竹野昌邦(ts,ss)
ゲスト:田中健(ケーナ)
2010/07/28
■竹内直・カルテット 竹内直(ts,bcl)、片倉真由子(p)、井上陽介(b)、江藤良人(ds)
2010/07/20
■酒井俊&田中信正 酒井俊(vo)、田中信正(p)
2010/07/10
■渕野繁雄・カルテット 渕野繁雄(ts,ss)、和泉聡志(g)、佐藤有介(b)、橋本学(ds)
2010/07/07
■板橋文夫&川嶋哲郎 板橋文夫(p)、川嶋哲郎(ts)
2010/07/02
■三輪知可&佐藤浩一 三輪知可(vo)、佐藤浩一(p)、小杉敏(b)
ゲスト:上田裕香(vo)、舞(ds)
2010/06/30
■チャリート&堀秀彰・トリオ チャリート(vo)、堀秀彰(p)、佐藤慎一(b)、加納樹麻(ds)
2010/06/25
■清水くるみ・カルテット 清水くるみ(p)、津上研太(sax)、工藤精(b)、力武誠(ds)
ゲスト:マイク・モラスキー(p)
2010/06/18
■増田ひろみ・トリオ 増田ひろみ(as)、竜野みち子(p)、平井庸一(g)
2010/06/11
■久米雅之・カルテット 久米雅之(ds)、岡淳(ts,fl)、関根敏行(p)、高瀬裕(b)
2010/06/10
■ダニー・グリセット・トリオ ダニー・グリセット(p)、ビセンテ・アーチャー(b)、マーカス・ギルモア(ds)
2010/06/02
■上田裕香&大口純一郎 上田裕香(vo)、大口純一郎(p)、橋本信二(g)
2010/05/28
■エリック・アレキサンダー・カルテット エリック・アレキサンダー(ts)、ハロルド・メイバーン(p)、ジョン・ウィバー(b)、
ジョー・ファーンズワーズ(ds)
2010/05/19
■マグナス・ヨルト・トリオ マグナス・ヨルト(p)、ペーター・エルド(b)、池長一美(ds) 2010/05/17
■石井彰・トリオ 石井彰(p)、俵山昌之(b)、江藤良人(ds) 2010/05/10
■宮下博行・トリオ 宮下博行(p)、佐藤有介(b)、大村亘(ds)
ゲスト:矢野眞道(vo)、章まりこ(vo)
2010/05/01
■国貞雅子&リン・ヘイテツ 国貞雅子(vo)、リン・ヘイテツ(p)、佐藤有介(b) 2010/04/28
■奥平真吾・カルテット 奥平真吾(ds)、太田剣(as)、清水絵理子(p)、須川崇志(b)
2010/04/03
■荒武裕一朗・トリオ 荒武裕一朗(p)、安東昇(b)、力武誠(ds)
2010/04/02
■カート・ローゼンウィンケル・トリオ カート・ローゼンウィンケル(g)、マット・クローシー(b)、ロドニー・グリーン(ds)
2010/03/15
■中村誠一・クインテット 中村誠一(ts)、平山順子(as)、吉岡秀晃(p)、沼上励(b)、川口弥夏(ds)
ゲスト:田村陽介(ds)、
2010/03/11
■ザ・イエロー・ジャケッツ ラッセル・フェランテ(key)、ボブ・ミンツァー(sax)、ジミー・ハスリップ(elb)、
ウィル・ケネディ(ds)
2010/03/05
■岡田勉・カルテット 岡田勉(b)、峰厚介(ts)、村上寛(ds)、橋本信二(g)、梶原まり子(vo)
ゲスト:トオイ ダイスケ(p)
2010/02/24
■梶原まり子&鈴木道子 梶原まり子(vo)、鈴木道子(vo)、橋本信二(g)、小杉敏(b)
ゲスト:村田憲一郎(ds)
2010/02/19
■鈴木良雄&Generation Gap 鈴木良雄(b)、中村恵介(tp)、山田拓児(sax)、ハクエイキム(p)、大村亘(ds)
ゲスト:佐藤恭子(as)
2010/02/10
■池田篤・クインテット 池田篤(as)、岡崎好朗(tp)、辛島文雄(p)、島田剛(b)、高橋徹(ds) 2010/02/08
■橋本信二・トリオ 橋本信二(g)、金子雄太(org)、加納樹麻(ds)
ゲスト:梶原まり子(vo)
2010/01/26
■松本治&橋本一子 松本治(tb)、橋本一子(p) 2010/01/22
■小杉敏・トリオ 小杉敏(b)、片倉真由子(p)、マーク・テイラー(ds) 2010/01/14

[ライブ・レポート]
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■続木徹・カルテットを聴いてきました。
続木徹(p)、向井滋春(tb)、古野光昭(b)、平山恵勇(ds)

これが2010年最後のライブ・レポートになりました。
続木さんのカルテットを紹介するのは今年2回目になります。
ホーン奏者を替え、トリオのメンバーを替え、常に変化と新鮮さを求めているようですね。
この日は時間の関係で1stの終わりに入店しましたが超満員の盛況でした。
ベテラン同士の組み合わせは年末にふさわしく大いに盛り上がりました。

2ndは、「Do You Know What It Means to Miss New Orleans」、「El Gaucho」、
「Yardbird Suite」、「Little B's Poem」、「How Insensitive」、「Bolivia」など。

続木さんは最近、独特の雰囲気を持つウエイン・ショーターの曲をよく演奏します。
この日はボサノバで「El Gaucho」でした。
その他、ボビー・ハッチャーソン(vib)の「Little B's Poem」やシダー・ウォルトン(p)の「Bolivia」など、
60年代のモダンな名曲が聴けました。
かと思えば古いスタンダードの「Do You Know What It Means to Miss New Orleans」も・・・。
この曲における向井滋春さんのトロンボーンが良かったです。
こういう曲想にはトロンボーンの音色がなんとしっくり合うことか。
前回、調子がいまひとつと思われた向井さんもこの日は絶好調で見事にリベンジしてくれました。
続木さんのスイング感溢れる切れ味は相変わらず気持良いです。
古野光昭さんのよく歌うベースも気合が入っていました。

今回の大きな目的に平山恵勇(ds)さんを見ることにありました。
平山さんは実にユニークで面白いキャラクターのドラマーです。
2ヶ月ほど前になるかな、、ちょっとお話したことがあります。
私:「いやぁ〜、面白いですね、こちらが予想した音が出てきたためしがありませんよ」
平山さん:「面白いですか、なにしろ変態ドラマーですから・・・」
私:「変態って、アハハハ・・・やっぱりそうですか」
私:「名前、何て読むんですか」
平山さん:「しげおって読むんですが、まぁ〜、誰も読めませんね」
二人で顔を見合わせてニヤリとしました。
私は一発でファンになってしまいましたよ。
アイデア豊富で切れ味鋭い怒涛のドラム・ソロはパワフルでスタミナも十分です。
平山さんにはモダン・ドラム奏法の開祖、ケニー・クラークの影を強く感じました。
当然ながらマックス・ローチ、フィリー・ジョー・ジョーンズの流れもあります。
ところで続木さんが平山さんを「三平ちゃん」って呼んでたけど愛称かな。
今度機会があったら聞いてみよう。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/12/30



■鈴木良雄・カルテットを聴いてきました。
鈴木良雄(b)、井上信平(fl)、山本剛(p)、セシル・モンロー(ds)

珍しいメンバーなので出かけましたが2年ぶりの組み合わせだそうです。
ベテラン同士の組み合わせはリラックスしてアット・ホームで温もりを感じさせる楽しいライブになりました。

演目は「オリジナル」、「Girl From Ipanema」、「Falling In Love With Love」、
「Caravan」、「Kelly Blue」、「Recorda-Me」、「Summertime」、「One Note Samba」、
「Crazy He Calls Me」、「Night In Tunisia」など。

ご覧の通り、スタンダードのオン・パレードでサービス精神旺盛な選曲になりました。
中でもウィントン・ケリー(p)の「Kelly Blue」やジョー・ヘンダーソン(ts)の「Recorda-Me」など、
モダン・ジャズの名曲が聴けたのも嬉しかったです。
鈴木良雄(b)さんの安定感は定評のあるところでリーダーとしての資質も十分です。
鈴木さん率いるベーストークはもう10年も続いているそうです。
井上信平(fl)さんは日本を代表するフルーティストで世界的に知られています。
3本のフルートを駆使、自然体でまったく力が入っていない感じ、まさにフルートと一体化していました。
今回の目的のひとつに山本剛(p)さんを見ることにありました。
アイデア豊富のユーモア溢れるプレイは聴いていて楽しかった。
ボサノバの「Girl From Ipanema」や「One Note Samba」を4ビートに展開したのは新鮮でした。
今回、セシル・モンロー(ds)さんが大きくフューチャーされました。
いつもはこれほど叩くことはないのでこのメンバーに相当触発されたのではないかな。
鮮やかなスティック捌きと切れのいい音色、うねるグルーブ感・・・引き締まったドラミングが素晴らしい。

エンジンが暖まった後半は一層盛り上がりました。
ベストは「Crazy He Calls Me」のバラード一発。
これをアルト・フルートで演奏するとあまりにピッタリはまるので驚きました。
大人のカルテットが醸し出すロマンチックな雰囲気がなんともたまりません。
一気にクリスマス・ムードがぐっと高まりました。
来週はもうクリスマスだもんなぁ〜。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/12/17



■ポール・フライシャー・カルテットを聴いてきました。
ポール・フライシャー(ts)、椎名豊(p)、山下弘治(b)、勘座光(ds)

ポール・フライシャー(ts)さんは初見です。
どうやら大阪を地盤に活躍しているようですね。
バックに椎名豊(p)さんの名前を見つけたので行こうと決めました。
勘座光(ds)さんにも興味がありました。

演目は
「There Is No Greater Love」、 「Nature Boy」、「All The Things You Are」、
「Skylark」、「Surrey With The Fringe On Top」、「Star Eyes」、「Body And Soul」、
「Like Someone In Love」、「In Memory Of」、「Here's That Rainy Day」、
「Stella By Starlight」、「My Funny Valentine」、「Stablemates」、など。

ご覧の通りのスタンダード・ナンバーのオンパレードで楽しかったです。

ポールさんはオールド・ファッション・スタイルで聴いていてホッとするサックス奏者でした。
ソニー・ロリンズやベニー・ゴルソンの曲を取り上げていますね。
雰囲気的にはスコット・ハミルトン(ts)に近いかも・・・。
この日はちょっと思い通りの音が出なかったようです。
何度もリードを取り替えていましたがしっくりこないのか、いまひとつの感じがしました。
慣れてくるうちに徐々に良くなったのでウォーミング・アップ不足だったのかもしれません。
やっぱりバラード演奏に聴きどころがありました。
「Nature Boy」、「Star Eyes」、「My Funny Valentine」など、
特にただ1曲のオリジナルの「In Memory Of」は素晴らしかったです。

椎名さんはさすがのプレイで観客を沸かせていました。
事実、椎名さん目当てのお客さんも多かったようです。
スピード感溢れる強靭なタッチとスケールの大きなプレイは魅力あります。
彼のスタンダードをこれだけ聴けるライブもないでしょうね。
山下弘治(b)さんを見るのは2回目かな。
安定感のある実に端正なベーシストだと思います。
音に乱れを見せない正確なピッチと美しいメロディ・ラインに感心しました。
顔見知りのジャズ・ファンも「いいなぁ〜」と絶賛していましたよ。
勘座光さんも評判の高いドラマーの一人です。
相手なりに合わせてくる好センスの持ち主で緩急自在が持ち味です。
オーソドックスながら瑞々しいドラミングは今後の期待を抱かせるのに十分なものでした。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/12/10



■DenJap Sound Ensembleを聴いてきました。
キャスパー・トランバーグ(tp)、ハンス・ウルリク(ts,fl)、
加藤崇之(g)、水谷浩章(b)、外山明(ds) 

デンマークのフロント2人と日本のリズム3人の組み合わせです。
今回の目的はデンマークの鬼才、ハンス・ウルリク(sax)を見ることにありました。
ウルリクは45歳で近年はより前衛的になってきて難解になってきています。
私としては久し振りのフリー系・ジャズ・ライブになりました。

ハンス・ウルニクとキャスパー・トランバーグは
近作の「Hans Ulrik Quintet / Slow Procession 」(2009)でも共演していて気心の知れた仲です。
このCD中の曲も何曲かあったと思います。
共演は加藤崇之(g)さん、水谷浩章(b)さん、外山明(ds)さんでこういったジャズ・シーンでは絶好の人選になりました。

演目はオリジナルが中心、エリントンやデンマークの古い民謡などもありましたがいずれも一筋縄ではいかない展開です。
この日のウルリクはテナーとフルートを駆使、基本的にクールなサウンドでやわらかでやさしい音色がしました。
対してキャスパー・トランバーグ(tp)はホットに突き抜ける音ですがこちらもトランペットを自在にコントロールして上手いです。
即興演奏では二人の応答というか掛け合いの妙が聴けました。
トランペット&サックス、ドラムス、ギター、あるいはサックス&ドラムス、ギター、ベースなど。
加藤さんはサウンド・エフェクトを使うのが実に巧みなのでこういったムードにバッチリはまっていました。
水谷さんはフレットレス・エレキ・ベースを使用、落ち着いた対応でまとめ役です。
サウンド的にここでのキーマンは外山さんのドラムスだったと思います。
瞬間湯沸かし器というか、現場即時対応型ドラマーの面目躍如たるものがありました。
多彩な応対力とリズムの変化が一番の聴きどころになりました。
これは面白かったです。

この日は日本ツアーの最初の日で手探りの状況にあったと思います。
これから何回かやるようなので徐々に練れてくるのではないかな。
正直、すんなり乗れるというわけではないのでストレートなジャズ・ファンには厳しかったかもしれません。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/11/23




■竹内直・トリオを聴いてきました。
竹内直(ts)、市野元彦(g)、田中徳崇(ds)

興味深い組み合わせなので出かけて行きました。
竹内直(ts)さんに市野元彦(g)さんと田中徳崇(ds)さん注目の二人です。

演目はウエイン・ショーターが2曲とスタンダードにオリジナルの構成です。
デューク・エリントンもあったけど失念しました。
「Children Of The Night」、「United」、「I've Never Been In Love」、
「Dedicated To You」、「I Remember April」、オリジナルなど。

聴きどころはオリジナルにありました。
フリー・フォームを含めてサウンドに広がりがあり、ここでのグルーブ感は凄かったです。
混沌〜集合〜テーマ〜竹内さんのソロ〜市野さんのソロ〜二人のインタープレイ、
その間、連続的に田中さんがリズムを送り出すパターンです。
竹内さんの根っこには民謡や歌謡曲があると感じています。
たとえフリーに突き抜けても馴染めるのはそんなところに因があるかもしれませんね。
市野さんはクールで浮揚感をもつ新感覚ギタリストで注目されています。
飛び跳ねるようなサウンドが特徴的でした。
田中さんは最近、日野皓正さんのグループで活躍中の新世代型の気鋭のドラマーです。
「I Remember April」では田中さんが大きくフューチャーされました。
多弁で多彩な表現力は今後の活躍と飛躍を十分に感じさせるものでした。

竹内さんの和と二人の洋のコラボレーションが最大の聴きものになると思います。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/11/20




■峰厚介・カルテットを聴いてきました。
峰厚介(ts)、清水絵理子(p)、杉本智和(b)、村上寛(ds)

モダン・ジャズの王道をいくパワフルで重厚なカルテットです。
なんというか、身体にズシンと響いてくるような感じがしました。
演目はオリジナルやあまり知られていない曲だと思います。
スタンダードはほとんどやらないのでオリジナリティ重視の選曲です。
ベテラン二人に中堅の二人が挑むという構図でしょうか。
峰さんと村上さんの二人は長い付き合いでツーカーの仲、「あ、うん」の呼吸がありました。
無意識のうちに溶け込んでいる感じがしました。
多彩なサックス奏法とハード・バップなドラミングの一体感が素晴らしいです。
それにしても峰さんと村上さんは元気溌剌としています。
グイグイと豪快に突っ走る様は爽快そのものでした。
峰さんは今回テナー・サックスのみ、ソプラノ・サックスも聴きたかったのでちょっと残念。

清水絵理子さんは一皮むけたのではないかな。
バランス良く実にスケールの大きな演奏を聴かせてくれました。
強靭なタッチとリズム感が魅力あるフレーズを生み出します。
この日、見に行くと決めたのは杉本智和さんの存在がありました。
このメンバーでやるのは珍しいと思いました。
杉本さんは綾戸智絵さんやケイ赤城・トリオで知られる人気ベーシストの一人です。
弦を弾くように「ブ〜ン」とよく伸びる音が印象的でした。
ここでも大きくフューチャーされてアイデア豊富のベース・ソロにも魅力がありました。
不動のメンバーの良さはもちろんありますが新味が加わることによって起きる変化も見逃せません。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/11/16




■中本マリ&大石・学・トリオを聴いてきました。
中本マリ(vo)、大石学(p)、米木康志(b)、セシル・モンロー(ds)

中本マリさんを見たのは、ほぼ30年ぶりになります。
行こう行こうと思いながら生憎とタイミングが合いませんでした。
今回、ようやく見る機会を得ました。

演目は
「Dindi」、「Fly Me To The Moon」、「What A Diference A Day Makes」、
「Like Someone In Love」、「No Moon At All」、「When You Wish upon a Star」
「Autumn Leaves」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Sunflower」、
「My Favorite Things」、「Love For Sale」、「Ps I love you」など。

私が予想していたのとはだいぶイメージが違っていました。
もっとオーソドックスにストレートに歌うかと思いきやアレンジが効いていました。
パンチ力があるのでバラードよりブルースやアップ・テンポにより魅力を感じたのも意外です。
前半は「No Moon At All」、後半は「枯葉」や「ユード・ビー」が良かった。
スタンダードの名曲がずらりと並んでいますが、この味付けが興味深かったです。
他にも分からない曲がありましたがこれが聴きどころになりました。
ボーカル・ライブではあまり有名曲でないところに名唱が隠れていることも多いですね。
歌手にとってのこだわりの曲が出てくるからです。
久し振りに中本マリさんの元気な姿が見られて良かった。

先日、紹介した大石学・トリオの素晴らしさはいうまでもありません。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/11/11




■藤陵雅裕・カルテットを聴いてきました。
藤陵雅裕(as,ss)、福田重男(p)、高瀬裕(b)、安藤正則(ds)

藤陵雅裕(as,ss)さんも久し振りに見ました。
ソプラン・サックスのトップ・プレイヤー、もちろん、アルト・サックスも達者な人です。
演目には2年前に出した初リーダー・アルバムからでマービン・ゲイやステービー・ワンダーの曲を
取り上げていることからも藤陵さんの音楽性がつかめると思います。
オリジナルを含めて演奏されました。
「What's Going On」、「Escape To Paradise」 、「Triangle」、
「Irreplaceable Days」、「Too High」など。

艶やかでやわらかな音色は健在、スマートでよどみないフレーズも聴きどころになりました。
ジャンルを問わないフレキシブルなプレイヤーなのでクロスオーバーやフュージョン・テイストがあります。
実に乗りやすく爽やかで美しいサウンドでした。

こういったサウンドには福田重男さんもピッタリだと思います。
多様なスタイルに順応できるピアニストです。
美しく、メロディアスなタッチとスイング感溢れるプレイは申し分ありません。
安藤正則さんも売り出し中の人気ドラマーの一人です。
切れのある安定感があるドラミングが聴きどころです。
高瀬さんの堅実なベースと共にリズム・セクションが素晴らしい。

At The "Motion Blue" Yokohama On 2010/11/01



■清水秀子を聴いてきました。
清水秀子(vo)、大徳俊幸(p)、斉藤誠(elb)、関根英雄(ds)

清水秀子(vo)さんも時々聴きたくなります。
多くの色んなプレイヤーと共演して益々幅を広げていると思います。
深く丁寧に歌うところが魅力、声量も豊かで声質も好みです。
歌は上手いし味もあります。
安定感は十分なので正統派のジャズ・ボーカリストといえます。

ボサノバのリズムで「Night And Day」からスタート、以下「I Remember You」,
「Falling In Love With Love」、「Everything Happens To Me」、
「On The Sunny Side Of The Street」、「I Wish You Love」、「Autumn Leaves」、
「On A Clear Day」、「Too Close For Comfort」、 「My Favorite Things」など。
とてもいい歌があったけれど曲目がどうも・・・
エルトン・ジョンの「Someone Saved My Life Tonight」かな。

バックのトリオとも長い付き合いのようで楽しかったです。
大徳俊幸(p)さんはハービー・ハンコック・ライクのピアノでモダンな感覚の持ち主。
斉藤誠さんはこの日はエレキ・ベースを駆使していました。
お得意の口笛も聴かせてくれました。
関根英雄(ds)さんは叩く、叩く・・・機関車のように疾走するドラミングが聴きどころ。
私はついつい笑顔になる・・・これを聴いていると元気が出ますよ。
ここでも大徳さんと関根さんのピアノ&ドラムスの掛け合いが面白かったです。

このメンバーの和やかでアットホームな雰囲気がとても気に入っています。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/10/24




■バート・シーガー・トリオを聴いてきました。
バート・シーガー(p)、金澤英明(b)、池長一美(ds)

毎年秋に行なわれるバート・シーガー&池長一美・トリオの日本ツアーは楽しみにしています。
今日のライブは金澤英明(b)さんを迎えての新味なので、さてどうなるか。
金澤さんは日野皓正(tp)・クインテットなどでお馴染みのベテラン・ベーシストです。

演目はスタンダードにオリジナルを交えての構成でした。
スタンダードは「All Or Nothing At All」、「Summer Night」、「Like Someone In Love」、
「What Is Thing Called Love」、アンコールに「I Remember You」などです。
良かったのは、1stで「Summer Night」、2ndで「What Is Thing Called Love」でした。

ぶっつけ本番のジャズの魅力が満載です。
シリアスで緊張感溢れる演奏を聴かせてくれました。
何というのか、硬質で流されない、いかにもジャズ・ピアノ・トリオという感じがしました。
三者が絡み合うシーンはビル・エバンス・トリオを彷彿とさせるものです。
バートは最もエバンスに近いところに位置するモダンなジャズ・ピアニストだと思います。
独特のタイミングとタッチを生むタイム感覚は個性的で最大の聴きどころになります。
間合いが絶妙なので多くの音は使いませんがその一音一音に主張があるんです。

金澤さんの野太く伸びのあるベースも存在感がありました。
特にスタンダードではそれが顕著でグイグイと押してくるベース・ラインに痺れた。
池長さんのドラムの素晴らしさは語る言葉もありません。
どう表現していいか分からないです。
バートとの掛け合いはまるで会話のよう、二人のコラボレーションには心底感心しました。
20年来の友人ということで信頼関係の証しということでしょうね。

端正で格調高く好バランスで、音楽性にも優れたピアノ・トリオの王道が聴けました。
これだけのピアノ・トリオは中々聴けないと思います。
バード・シーガーの名前がまだまだ知られていないのが惜しいです。
機会があったら是非聴いて欲しいピアニストです。

At The "JZ Brat" Shibuya On 2010/10/19




■イーデン・アトウッドを聴いてきました。
イーデン・アトウッド(vo)、デイヴィッド・モーゲンロス(p)、谷口雅彦(b)

イーデン・アトウッドは昨年に引き続き2回目の登場です。
イーデンはお店の雰囲気にもすっかり慣れてリラックスしていました。
明るいキャラクターと変な日本語で観客を笑わせ、持ち前のエンタテイナーぶりを発揮して大好評。
アット・ホームなとても楽しいライブになりました。

演目はCDからのスタンダードが中心で各ステージの最初と間にインストが2曲づつ入る構成です。
歌は以下のような選曲でした。
去年とのダブりもありましたがリラックスした分、だいぶ趣も変わりました。

「Home」、「Pure Imagination」、 「So Nice (Summer Samba)」、 「Forget To Remember」、
「Like Someone In Love」、「All My Tomorrows」、「Sister」、「Someone To Watch Over Me」、
「Deep Purple」、「Here's To Life」など、アンコールはバカラックの「Alfie」でした。

やっぱりイーデンはバラードに聴きどころがあると思いました。
会場を沸かせておいてフッとバラードを歌い出します。
その動から静の落差がより一層彼女の歌唱力を際立てることになりました。
根っこにはカントリー・ソングの影響もあるのでかすかに土の香りもします。
1stではボサノバの「So Nice」とフランク・シナトラの歌で知られる「Forget To Remember」
のアプローチが素晴らしく、
2ndではバラードの「Deep Purple」と「Here's To Life」が心に沁みました。

デイヴィッド・モーゲンロス(p)はアレンジも秀逸、谷口雅彦(b)さんと趣味の良いプレイが光ります。
二人共にヴォーカルのバックにピッタリとはまっていました。


At The "Cafe' Sings" Kunitachi On 2010/10/16



■ザ・ディジー・ガレスピー・アルムナイ・オールスターズ・
フィーチャリング・ザ・ヒース・ブラザーズ を聴いてきました。
ジミー・ヒース(ts)、アル・トゥーティ・ヒース(ds)、アントニオ・ハート(as)、
グレグ・ギスバート(tp)、ベニー・グリーン(p)、ジョン・リー(elb)

ジミー・ヒースは84歳、アル・ヒースは75歳で気になる年齢です。
加えてアントニオ・ハートとベニー・グリーンは見てみたい。
興味ある組み合わせに行きたいと思いました。
演目は5曲でしたが分かったのは以下の4曲です。
ディジー・ガレスピー(tp)なら「グルーヴィン・ハイ」と「チュニジアの夜」は外せないところか。
「Groovin High」、「Woody'N You」、「Round Midnight」、「A Night In Tunisia」など。

なにしろ聴いていて楽しいのが一番でした。
プレイヤー自身が楽しんで演奏しているのでそれがこちらにも伝わってくるんです。
「みんな、今日、初めて会いました」とか言って、ステージ上で握手のパフォーマンスも面白かった。
中堅との組み合わせも上手くいきました。
プレイそのものはアントニオ・ハートとベニー・グリーンが聴きどころです。
アントニオのとどまるところを知らぬ熱く火の出るような怒涛のアルト・ソロ、
身体を跳ねながらバンバンとピアノを強打するベニーのバップ・ピアノが豪快かつ強烈でした。
ジミーはさすがにマイペースで演奏していました。・・・わが道を行くですね。
でも、84歳でこれだけ吹ければ立派・・・ほとんどストレスは感じさせませんでした。
テナーから出てくるやわらかな音色がまた素晴らしかった。
小柄だけど間違いなく「リトル・ジャイアント」の一人です。
がっちりとした体格のトゥーティ・ヒースは75歳とは思えないパワフルなドラミングで切れ味も鋭い。
抜群のリズム感の持ち主でメロディアス・・・やっぱり超一流のドラマーは一味も二味も違うと思いました。
技術に人間味が加わっています。
叩いてもうるさくなく実にスムーズに展開するのでとても心地いいんです。
バンド・リーダーのジョン・リーはフレットレス・エレキ・ベースでした。
ガレスピー・サウンドには欠かせないラテン系リズムを刻むのでベース奏者がここでのキーマンです。
グレグ・ギスバート(tp)は律儀な感じがしました。
ハイトーンをキッチリと吹き切って盛り上げました。
全体的にベニー、ジョン、トゥーティが繰り出すグルービーなリズムが凄かったです。
まとめ役はジョンとグレグの二人でこれは息もピッタリでした。

帰り際にジミー・ヒースとアル・ヒースに挨拶して握手してもらったのが嬉しかった。
大感激・・・ふっくらとしてやわらかな温かい手でした。
それにしても弟のアルは大きいけど兄のジミーは小柄な凸凹兄弟で微笑ましいです。
ジャズの黄金時代を飾ったジャズ・メンに会えて良かった。


At The "Cotton Club" Tokyo On 2010/10/14



■ラーシュ・ヤンソン・トリオ&ウルフ・ワケーニウスを聴いてきました。
ラーシュ・ヤンソン(p)、トーマス・フォネスベック(b)、ポール・スヴァンベリー(ds)、
ウルフ・ワケー二ウス(g)

今回の来日公演は新譜の発売記念でもあったようです。
この日は最終日で弾けたライブが聴ける予感がありました。
結果は見事に大当たり・・・今年一番のライブになりました。
メンバーも元気溌剌のノリノリで会場は興奮の坩堝と化した。
名手の真髄は聴衆と一体化したライブ演奏にある・・・改めてこのことを強く感じました。
この感覚はCDでは決して味わえないものです。

演目はその新譜CDからが中心でスタートは「What's New」でした。
2ステージの最初の2、3曲はトリオで、以下、次のような曲が演奏されたと思います。
「Latour」、「Hilda Smiles」、「The Masquerade Is Over」、「Biginners Blues」、
「Everything Happen To Me」等々。
アンコールは2曲、「Willow Weep For Me」、「Come Rain Or Come Shine」だったか。
知っているメロディなのに思い出せないので曲名は相変わらず定かでありません。
トリオのベストは2曲目に演奏された「Latour」でこの迫力には度肝を抜かれました。

4人とも大男でした。
ラーシュ・ヤンソンが大きな身体を揺らせながら叩くピアノは強烈そのものです。
それに呼応してのベース、ドラムスの反応も凄い。
ラーシュは「ウォー、ウォー」と声を出しながらのプレイは迫力満点、身体がグーッと熱くなりました。
観客は拍手喝さい・・・超高速調に展開する演奏はもう、もの凄いとしかいいようがありません。
そのスピード感とスイング感にはグイグイと引きずり込まれるようで気持が良かったです。
反面、あまりにテンションが高くてバラード表現はいまひとつでしたが・・・。

今回のライブのもう一つの目的にウルフ・ワーケニウス(g)を見ることにありました。
ウルフが登場して「Teach Me Tonight」だったか、オリジナルもあったと思う。
圧倒的な迫力とテクニックを目の当りにしました。
猛烈に速いけど確実な運指・・・目にも止まらぬ早業とはこういうことをいうんでしょうね。
オスカー・ピーターソン(p)が絶賛したギター・プレイに嘘はありません。
黒のエレキ・ギターでしたが大事にしています。
演奏が終わるとすぐにケースに入れて保管、トリオが演奏中もそれに合わせて一人ギターの練習をしていました。
これくらい徹底しないとこういう名手にはなれないのかと思い感心しました。

ベーシストのトーマス・フォネスベックはラーシュのお弟子さんのようですがこれも良かった。
骨太の音色で豪腕ながら安定感のあるベース・プレイが持ち味、
高速のラーシュやウルフにピタリと合わせてきます。
北欧にはお手本になる素晴らしいベーシストがいますね。
デンマークの故ニール・ヘニング・オルステッド・ペデルセンです。
ヨーロッパには彼を目標とするベーシストが多いんじゃないかな。
ドラムスのポール・スヴァンベリーはラーシュの息子さんだそうです。
クールな表情で余り笑わない、3人の熟年に囲まれて、なんで俺がここいるんだという感じだったです。
でも、ライブ・ハウスの素晴らしい雰囲気に感化されて次第に熱く叩くようになってきたのが面白かったです。
どうも最初は相当緊張していたのかも知れませんね。
若さ溢れる疾走感のあるドラミングでした・・・もちろん笑顔も見えましたよ。
ラーシュもトーマスも思いっきり叩いている姿を見てとても嬉しそうだったのが印象的でした。

それにしても凄いライブだったです。
行って良かった。
一晩明けてもその興奮が冷めやらずというところです。
明日はフランスのパリ、その後はアメリカのダラスに行くと言っていました。
一流ジャズメンは世界を飛び回って演奏しています。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/10/08



■モヒカーノ・関・カルテットを聴いてきました。
モヒカーノ・関(p)、中路英明(tb)、吉岡大典(b)、平川象士(ds)

久し振りにラテンが聴きたくなって出かけて行きました。
もう一つの目的は中路英明さんのトロンボーンを聴くことにありました。
スタンダードは「Everything Happens To Me」、「Caravan」、「Footprints」というところ、
あとはキューバのチューチョ・バルデス(P)やパキート・デリヴェラ(as)、
ミシェル・ペトルチアーニ(p)の曲などにオリジナルを交えての構成です。


ラテンのリズムはハッキリしていてグングンと乗っていけるのがいいです。
またラテンは原色の赤や黄色の連想させるので熱い気分になります。
モヒカーノ・関さんのヘア・スタイルはユニークで、一度見たら忘れないと思いますよ。
真ん中が尖がっていて黄色だったけど「赤が色落ちした」と笑わせていました。
ピアノはもちろん情熱的で力強く、リズミックに展開します。
やっぱり中路さんのトロンボーンは良かったです。
引き出しが多くて多彩な表現力を持っているのでフレーズがスムーズです。
ソロの最中に時折知ったメロディが出てきてニヤリとさせる・・・これは楽しめました。
至難の楽器、トロンボーンの魅力を堪能しました。
吉岡大典さんは5弦ベースを駆使してノリノリでした・・・ラテンにはエレベがピッタリきます。
平川象士さんはパーカッシブなドラミング、なんというかダンサブルで呪術的なリズムを刻みます。
ついつい踊りたくなる気分になりました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/10/06



■土濃塚隆一郎・トリオを聴いてきました。
土濃塚隆一郎(flh)、清水絵理子(p)、織原良次(elb)

フリューゲル・ホーンの土濃塚隆一郎さんも年に何度か聴きに行きます。
そのエネルギッシュでパワフルな演奏には元気をもらえるからです。
相変わらずの思いっきりのいいプレイが最大の魅力。
この日はかすれた音色が新味で表現力がグンと広がりました。
研究熱心で独自の奏法を手の内に入れつつあるようですね。

ウディ・ショウ(tp)の「スウィート・ラブ・オブ・マイン」からスタート、
サド・ジョーンズ(tp)の「ア・チャイルド・イズ・ボーン」、
ジョン・コルトレーン(ts)の「ジャイアント・ステップス」と続きました。
この後は土濃塚さんのオリジナルを中心に清水さんの曲も演奏されました。
ラストはスタンダードの「朝日の如く爽やかに」で締めました。
この日のベストは4曲目のオリジナルでしたがまだ「無題」だそうです。
バラードですが無限の広がりを持つ曲想で面白かったです。
ここでの清水絵理子(p)さんのソロが素晴らしかった。
我慢の効いたテンポのキープ力が聴きどころ。
グッと抑えたプレイぶりが見事で切れ味もだいぶ戻っていました。
腱鞘炎も快方に向かっているようです。
織原良次さんのフレットレス・エレキベースも良かった。
至難の楽器だけれどストレスは感じさせない力量の持ち主です。
土濃塚さんはフュージョン・テイストも強くオリジナルではエフェクターを使って音の広がりを出します。
そんなことからエレキ・ベースが一番しっくりくると思います。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/10/01



■川上さとみ・トリオを聴いてきました。
川上さとみ(p)、池田潔(b)、田鹿 雅裕(ds)
ゲスト:尾川太郎(ds)

「最近の愛聴盤」で紹介したCDが良かったので早速聴きに行きました。
「ダイヤモンド/川上さとみ」 発売記念ライブです。
演目はそのCDが中心で、その他スタンダードは「All The Things You Are」、
「Satin Doll」、「Autumn Leaves」など。

先日、ライブで見た川上さんとCDとのイメージが変わったので興味がありました。
「果たしてどちらが本物なのか」・・・確かめたい気持があった。
基本的にクールなタッチ、美しい音色は健在、音数は少ないほうだと思います。
全体的にはもう少しメリハリがあってもいいのではないかな。
抑えてしまうのか、盛り上がったところではそのままホットに突っ走って欲しい気がしました。
ファースト・ステージではそれを感じましたがエンジンが温まったセカンドではグッと良くなりました。
川上さんには独特の気だるさがあります。
ボサノバやサンバのリズムにはぴったりとハマってつい引き込まれそうになりました。

池田潔さんの弾むベースはビート感が凄い。
どこまでも乗っかっていたいと思うほどに心地良かった。
田鹿雅裕さんも好センスなドラマーでブラシは本当に上手いです。
日本のルイス・ナッシュか。
ゲストに若手の尾川太郎さんが登場しました。
尾川さんは田鹿さんの一番弟子だそうです。
今後の精進を期待しています。

At The "Jay-J's Cafe" Meguro On 2010/09/29



■力武誠・カルテットを聴いてきました。
力武誠(ds)、ショーン・スミス(b)、清水絵理子(p)、太田朱美(fl,picc)

力武さんも出会う機会が多いドラマーですがリーダー・セッションは初めてです。
今年初めのアメリカ行きでショーン・スミスさんと親しくなったそうです。
ショーンさんは知らなかったけれどニューヨークで活躍するベーシストならそのプレイも気になりました。
共演の清水絵理子(p)さんと太田朱美(fl)も魅力です。

初顔合わせなので演目はスタンダードになるだろうとの予想は見事に外れました。
力武さんやショーンさんのオリジナル中心に演奏されました。
スタンダードは「I Love You」 , 「All The Things You Are」, 「There Is No Greater Love」,
「Oleo」、アンコールは多分「My One And Only Love」だったと思います。

ドラマーはロマンチストが多いのか、みんな美しい曲を書きますね。
やっぱり力武さんもそう、初めて聴いたけど良かったです。
当たり前ですが曲にリズムやテンポがぴたりとはまります。
ショーン・スミスさんは実にオーソドックスなスタイルの持ち主で堅実なベーシストです。
まずは手が大きいので驚いてしまいました。
ウォーキング・ベースも弦上を自在に動いてフレーズも新鮮でした。
オリジナルは和風テイストもあって凝った作りなので雰囲気とはちょっと違いました。
ちなみに弾いていたベースは安東昇(b)さんのものだそうです。
力武さんが「安東さんの恋人(ベース)を借りて悪かったかな」と笑っていました。

太田朱美(fl,picc)さんは久し振りに聴きましたがぐっと進化していました。
以前気になっていた息継ぎもスムーズで音量、切れ味共に申し分ありません。
フレーズも斬新で鋭く突き抜ける音は最高です。
清水絵理子(p)さんはフレキシブルな感覚が持ち味でバッキングの上手さにも定評があります。
安定感、安心感のあるスタイルは貴重な女性ピアニストの一人です。

今回、清水さんは左手が痛かったようでいまひとつ切れ味が足りませんでした。
腱鞘炎はミュージシャンの職業病ですね・・・早く治るといいです。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/09/20



■平井庸一・クインテットを聴いてきました。
平井庸一(g)、増田ひろみ(as)、橋爪亮督(ts)、蛯子健太郎(b)、井谷享志(ds)

平井さんのレニー・トリスターノ理論バンドに興味があって出かけて行きました。
ここまでトリスターノ派にこだわるバンドは珍しいです。
演目は全てトリスターノ関連に占められていました。
トリスターノ(p)、リー・コニッツ(as)、ワーン・マーシュ(as)、テッド・ブラウン(ts)の曲です。

トリスターノ派のギタリストといえばビリー・バウアーが頭に浮かびます。
平井さんはバウアーを研究し尽くしているのではないかな。
その超絶技巧には恐れ入りました。
さしずめ増田ひろみ(as)さんはコニッツ、橋爪亮督(ts)さんはテッドというところか。
トリスターノは幾何学的で複雑なので演奏するには相当の力量が必要です。
蛯子健太郎(b)さん、井谷享志(ds)さんのリズム陣もバッチリと決まっていました。
超クールなサウンドなのでに乗れるかというと今ひとつですが独特のスタイルは面白かったです。
ここにもジャズの一つの形があります。

今回、マシュマロ・レーベルの上不さんが見えていてちょっとお話しする機会を得ました。
自分の信念を貫いてコンスタントにCDを制作しているのは実に立派です。
ジーン・ディノビ(p)を知ったのはマシュマロだったし、
ボブ・ロックウェル(ts)やオリヴィエ・アントゥネス(p)なども紹介してくれました。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/09/17



■鈴木道子を聴いてきました。
鈴木道子(vo)、金子雄太(org)、渥美幸裕(g)、小森耕造(ds)

この組み合わせを見るのは3度目になります。
最初が去年の7月でしたが共演するたびに密度が増しています。
鈴木道子さんの持ち味の一つであるソウル&ファンキーな感覚が全開します。
この若手との共演には大いに刺激をうけているようです。
思い切った歌唱法で普段とはまったく違うステージが展開されました。

幕開けは渥美幸裕(g)さんとのデュオで「I Didn't Know What Time It Was」からスタート。
後半では金子雄太(org)さんとのデュオで 「Embraceable You」もありました。
インストで前後半1曲づつは渥美さんのオリジナル。

圧巻だったのは先ほど亡くなったアビー・リンカーンに捧げた2曲。
「Bird Alone」と「Throw It Away」は情感たっぷりに歌い上げて素晴らしかった。
レゲエのリズムで展開されたコミカルな味を持つ「That's All」も面白いです。
その他「Estate]、「In The Dark」、「Candy」、「Good Morning Heatache」など
アンコールは「Summertime」で大いに盛り上がりました。

渥美幸裕さんのギター・プレイは斬新でいいです。
どんな音が出てくるのかまったく予想がつきません。
ジャンルに収まらないビョ〜ンと弾けるサウンドが魅力です。
金子雄太さんはスマートなオルガン・プレイが持ち味ですがこのところ今ひとつだと思います。
少し迷いがあるのかも知れませんね。
小森耕造さんはこういったグルーブ感にはピタリとハマる波のうねりを持つドラマーです。

At The "Body And Soul" Minami Aoyama On 2010/09/16




■大石学・トリオを聴いてきました。
大石学(p)、米木康志(b)、セシル・モンロー(ds)
ゲスト:西任暁子(にしと あきこ)(vo)

このトリオをひと言でいえば掛け値なしに「素晴らしかった」です。
なぜ大石学(p)さんの評価が高いか、聴いてもらえば一目瞭然です。
美しいメロディ・ラインを持つオリジナルにスタンダードを交えての構成。
スタンダードは「My Foolish Heart」、「What A Wonderful World」、「Just In Time」など。

静から動、冷から熱の落差が大きく、心底には底知れぬ情念を感じさせます。
観客も単に演奏を聴いているというよりメッセージを受け取る感じがします。
直情的に訴える打撃力は肉声に近いと思った。
やりたいこと、伝えたいことがハッキリしているので迷いがありません。
それが聴き手にもストレートに響いてくるんです。
特筆すべきは素晴らしい音色・・・繊細かつ強烈なタッチはピアノの持つ音を出し切っています。
溢れるアイデアとフレージング、抜群のリズム感、それらが圧倒的な迫力で迫ってきました。

バックの二人も共に幅広い音楽性を持つフレキシブルなプレイヤーです。
米木康志(b)さんを初めて見たのはもう15年ほど前になるかな、大西順子(p)・トリオでした。
大石さんとは付き合いも長く「あ・うん」の呼吸・・・確固たる信頼関係にあるようです。
ここでも安定感のあるベース・ラインとソロを聴かせてくれました。
このトリオの決め手はセシル・モンロー(ds)さんにあると思いました。
このくらいの力がないと大石さんには対抗できません。
セシルさんは身体も大きいけれど元々の地力が違います。
軽く叩いてるようでもズシン・ズシンと響いてくる力強さは強烈です。
相手なりにいかようにも合わせてくる好センスなドラマーなので共演者は気持ちいいでしょうね。

ゲストには西任暁子(vo)さんが登場して、「Skylark」と「Day By Day」を聴かせてくれました。

三位一体というより名実共に大石さん中心のトリオです。
形としてはほぼ完成されたトリオだと思います。
熱心なファンが多いのも十分にうなずけるライブでした。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/09/15



■小林陽一&ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズを聴いてきました。
小林陽一(ds)、松島啓之(tp)、浜崎航(ts)、熊谷泰昌(p)、高道晴久(b)
ゲスト:ダン・ニマー(p)

もうね、カッコ良くて気持ち良いハード・バップ・サウンドを満喫しました。
思いっきりのいいドラミングに煽られてグループ全体が突っ走ります。
身体が自然に揺れてきてカーッと熱くなりました。
ライブ・ハウス全体がグイグイと引き込まれていくのが分かります。
掛け値なしに楽しめるグループなので機会があったら是非見に行って下さい。

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルバー・クインテットが根っこにあります。
これらの曲や、ウディ・ショーやハンク・モブレイの曲などを取り上げていました。
スタンダードは「Skylark」、「Autumn Leaves」、「Nearness Of You」、「A Night In Tunisia」など。
その他CDに収録されたオリジナルを含めて演奏されました。

思うにトランペットとテナー・サックスのフロント2管は久し振りでなかろうか。
気になってちょっと調べてみました。
そうしたらなんとライブ・レポートを書き始めてから6年間で日本人は初めてでした。
アルトサックス&トランペットはけっこうありましたが・・・。
この組み合わせはマイル・デイビス・クインテットに代表されるモダン・ジャズの王道です。

このメンバーも魅力的ですね。
今回の目的のひとつに注目の浜崎航(ts)さんと熊谷泰昌(p)さんを見ることにありました。
小林陽一(ds)さんと松島啓之(tp)さんは長い付き合いのツーカーの仲、
このラインがしっかりしているのでまったくブレがありません。
その二人に浜崎、熊谷、高道晴久(b)さんの若手が絡む構図です。
浜崎さんはあちこちで名前を見かける期待のテナー奏者です。
ここでも張り切ったプレイを聴かせてくれました。
フレーズはスムーズに展開して達者、やや高音部の伸び不足が気になりました。
全体的に力強さが出ればもっと良くなると思います。
若手を相手に松島さんも気合が入っていたので、浜崎さんとのコンビは新鮮です。
前回の熊谷さんは加入したばかりで手探り状態でしたが今回は違いました。
切れるタッチでグングンと飛ばしていたので面目躍如です。
スイング感に溢れ、流れるピアノはウィントン・ケリーを彷彿とさせるものでした。
高道さんは図らずも2回続けて聴くことになりました。
バップ系のベーシストとして頭角を現してくるのは確実でしょう。
骨太の安定感のあるベースを聴かせてくれました。

ゲストにはなんとダン・ニマー(p)が登場しました。
こんなハプニングは本当に嬉しいです。
ニマーは日本でもアルバムを出していますがウィントン・ケリーの再来と言われていますね。
図らずも熊谷泰昌&ダン・ニマーのウィントン系二人の競演も聴きどころになりました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/09/10



■田鹿雅裕・カルテットを聴いてきました。
田鹿雅裕(ds)、多田誠司(as)、川上さとみ(p)、高道晴久(b)

田鹿雅裕・カルテットは60年代のハード・バップの香りを色濃く持っていました。
シダー・ウォルトン(p)、サド・ジョンーズ(tp)、ハンク・モブレイ(ts)、
ジョー・ヘンダーソン(ts)、デイブ・ブルーベック(p)などの曲を取り上げていました。
あとはスタンダードとオリジナルの構成です。
「What's New」、「Everything Happens To Me」、「All The Things You Are」など。

田鹿さんは落ち着いたセンス良いドラミング、特にブラシが上手いと思いました。
サウンドにスーッと馴染んでくるドラムスは心地良いです。
オリジナルも曲作りはむずかしいと照れながらどうしていい曲が並んでいました。
多田誠司(as)さんは久し振りに見ました。
相変わらず音に力があるので説得力のあるプレイを聴かせてくれました。
ライブ・ハウスを突き抜ける音だった。
私は基本的に音に力があるプレイヤーが好きです。
ライブではまずは「音がしっかりでているかどうか」を聴きます。
川上さとみさんのピアノは無駄な音を使わないという感じ、研ぎ澄まされた感性を感じた。
弾き過ぎないのが魅力的でこれが至難の技・・・中々むずかしいと思います。
高道晴久さんはバップ・テイストあふれる期待のベーシストの一人です。
しっかり押さえてしっかり弾く、基本に忠実なのは安心感があります。
ベースとドラムスの掛け合いは息もぴったりで聴き応えがありました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/09/08



■続木徹・カルテットを聴いてきました。
続木徹(p)、向井滋春(tb)、金沢英明(b)、安藤正則(ds)

ここでの続木徹・カルテットは毎回トリオにゲストでホーン奏者が加わります。
今回のゲストはトロンボーンの向井滋春さんでした。
急にトロンボーンの音色が聴きたくなって出かけて行きました。
金沢英明(b)さんの参加も珍しいと思います。

幕開けはJJジョンソンの名曲「ラメント」からスタート、向井さんにはピッタリの曲ですね。
以下、演目は次のごとく続きました。
1st
「Lament」、「On Green Dolphin Street」、「Chan's Song」、「You've Change」、
「Up Jumped Spring」、「Speak Low」
2nd
「I Remenber You」、「Black Nile」、「Miyako」、「Bluesette」、
「Someone To Watch Over Me」、「Bolivia」

続木さんは今、独特の雰囲気を持つウエイン・ショーターの曲に魅せられているそうです。
その他ハービー・ハンコック(p)やフレディ・ハバード(tp)、トゥーツ・シールマンス(hca)の曲もあります。
1stのベストはアップテンポに展開したスタンダードの「スピーク・ロウ」、
2ndはそのショーターの「ブラック・ナイル」とシダー・ウォルトンの「ボリビア」の2曲でした。
続木さんはスイング感溢れる切れ味鋭い演奏で切り込んできます。
金沢英明さんの強靭なベースはさすがでその存在感は抜群です。
野太く伸びる音色にグイと引き込まれてしまいました。
安藤正則さんは注目の若手ドラマーの一人、オーソドックスなスタイルが持ち味で、
ハイハットの使い方が実に巧みです。
叩いてもうるさく感じないのはスナップが利いていて繊細にリズムを刻むからだと思います。
若さ溢れるドラム・ソロも聴きどころになりました。
このピアノ・トリオの疾走感も凄かった。
今日の向井さんは全体的にいまひとつの出来とみましたがどうか。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/09/04




■宮野裕司・カルテットを聴いてきました。
宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds)

このグループは結成当時から追いかけています。
年に2、3度、聴く機会があるでしょうか。
結成から5年が経過して益々密度が濃くなっています。
50年代のウエスト・コーストの伝統的なクール・ジャズが聴ける日本随一のグループだと思います。
リーコニッツ(as)やポール・デスモンド(as)、ジム・ホール(g)といったところの曲が聴けます。
今回、ジェリー・マリガン(bs)の「Nights at the Turntable(ターン・テーブルの夜)」が演奏されました。
私はマリガン・ファンですが、この曲をライブで聴いたのは宮野さんが初めてです。
まさか聴けるとは思っていなかったのでこれは心底嬉しかった。

宮野裕司さん独特のアルトの音色はどこからくるのか。
近いのはポール・デスモンドですがもっと低めでやわらかな感じがします。
以前、宮野さんに聞いたことがあります。
私:「この音色は楽器ですか?」
宮野さん:「いいえ、どんな楽器を吹いてもこうなります」
つまり、身体そのものが楽器になっているんですね。

演奏される曲はどれも凝っていてテンポもノリもむずかしく一筋縄ではいきません。
吉野弘志(b)さんと池長一美(ds)さんのバックならばこそと思います。
このリズム・セクションの安定感は抜群です。
二人に支えられて宮野&中牟礼貞則(g)さんの絡みがバッチリ決まった時の心地良さはたまりません。
今回は2セット目でそれが聴けました。
カナダのベーシスト、ドン・トンプソンの「For Bill Evans」と
サンバで演奏されたヘンリー・マンシーニの「Two for the Road」です。
この気だるさが出せるのはこのカルテットの真髄じゃないかな。
あまりの気持ち良さにスーッと眠りに誘われそうになりました。
このピアノレス・カルテットのクール・ジャズはしっとりとした大人の雰囲気を醸し出しています。
もっと知られてほしいけどなぁ〜。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/09/03



■ジョージ・ブレイス・トリオを聴いてきました。
ジョージ・ブレイス(ブレイス・ホーン)、小林陽一(ds)、河合代介(org)
ゲスト:レイモンド・マクモウリン(ts)、西川奈々(org)

最初、ジョージ・ブレイスって誰だろうと思っていました。
当日になってふと、「あのジョージ・ブレイスなのか?」と思って出かけていきました。
ブレイスは60年代にブルーノートに3枚のリーダー作があります。
異才といえるでしょうね。
2本のサックスを同時に吹くのはあのローランド・カーク(sax)に通じるものがあります。

演目は「インヴィテーション」、「ボデイ&ソウル」、「チュニジアの夜」、「サマータイム」、
「ソング・フォー・マイ・ファーザー」、「ハイ・フライ」、「ラウンド・ミッドナイト」、
「バグス・グルーブ」、「枯葉」、「キャラバン」などのスタンダードが中心でオリジナルが少々。

独自に考案したアルト・サックスとソプラノ・サックスをつないだブレイス・ホーンなるものを駆使していました。
実際、2本のサックスを一緒に吹く必要がどこにあるのかと思います。
音が濁るし、たどたどしく、もどかしい、ヘタウマ系にも聞える。
E♭のアルトとB♭のソプラノの音が混じった一人アンサンブルです。
でも、ビシッとハマると実に効果的で一度聴いたら忘れられない個性があります。
こちらが予期した音が出てきたためしがないので変な感じになりました。
この音を聴いていると単音では満足できなくなるかもしれません。
クセになる音・・・だからこそブレイスもこの表現方法を続けている。
ベストは「サマータイム」か、「ハイ・フライ」、「ラウンド・ミッドナイト」も面白かった。
もう70歳になるので座りながらの演奏は大人しめ、しっかり音が出てくるまで時間がかかりました。

ここでの実質的なリーダーは小林陽一(ds)さんでした。
今年から「グッド・フェローズ」に代わって「ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ」を名乗っています。
アート・ブレイキーの精神を受け継ぐつもりの満を持しての命名でしょう。
ドライブ感溢れるドラミングは健在、あのシンバルをシャッ、シャッと切るスティックさばきはカッコイイ。
河合代介(org)さんは初見ですが上手いです。
自分のやりたいことをストレートに即表現できる力量を持っています。
ユニークなブレイスはオルガン・トリオが最良の形なのでピッタリの起用だと思いました。
楽譜もipodで呼び出すなどテクニカルでした。
ゲストにレイ・マクモウリン(ts)が参加して「バグス・グルーブ」と「枯葉」、
西川奈々(org)さんは「キャラバン」を聴かせてくれました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/08/02



■中村梅雀・クインテットを聴いてきました。
中村梅雀(elb)、羽仁知治(p)、岡部洋一(per)、八木のぶお(hca)、竹野昌邦(ts,ss)
ゲスト:田中健(ケーナ)

吉祥寺サムタイムの35周年記念ライブの第一弾です。
中村梅雀さんのベース奏者としての実力もよく知られているところです。
絶好の企画とということで出かけて行きました。
当然ながらライブ・ハウスは超満員の満員御礼です。
中村さんの気取りがなく明るくて楽しいキャラクターはそのままで、ほのぼのとしていいです。
会場全体が彼の温かい人柄で包まれたようになりました。
何よりベースが大好きで演奏するのが楽しく楽しくててしょうがないという感じが伝わってきました。
4弦ベースと6弦ベースを駆使、見るからにいかにも高そうなベースでした。
中村さんもジャコ・パストリアス・フリークとして有名ですが、そのジャコが使っていたベースらしい。
ジャコはエレキ・ベースのカリスマ・・・オークションにかけたら一体いくらの値段がつくのか。
ついそんな不謹慎なことを考えてしまいました。

梅雀さんの最大の持ち味はリズム感でしょうね。
やはり一芸に秀でた人は何をやらせても一味違うと思いました。
半端じゃない何かを持っています。
お話も流れるように面白く、抜群のテンポがあります。
演目はオリジナル、ブルース、スタンダードの構成でした。
そのジャコ・パスの「チキン」、「サマー・タイム」、チック・コリアの「スペイン」など
オリジナルはメロディ・ラインが美しく、これにも才能を感じました。
感性豊かなロマンチストの一面が見えます。
羽仁知治(p)さんと岡部洋一(per)さんは共にファンキーな感覚の持ち主でこういった場面ではピッタリの人選です。
音楽監督は羽仁さん、多彩なリズムを繰り出す岡部さんにも存在感がありました。
実はもう一つの楽しみは八木のぶお(hca)さんと竹野昌邦(ts,ss)さんを見ることでした。
八木さんのブルース・ハープは強烈なインパクトを感じた。
ハーモニカの音色は心に沁みると同時にビンビンと響くものがありました。
たった10穴で3オクターブ、信じられない多彩な表現力を持っていました。
テーマにはクロマチック・ハーモニカを使用、マイクがまた素晴らしい音を出しています。
八木さんをフューチャーして「ウォー」の曲を取り上げてくれたのが嬉しかった。
「ウォー」にはリー・オスカーというハーモニカ奏者が在団していました。
竹野さんも良かった。
オーソドックスでストレートな感覚の持ち主で繊細かつ丁寧、音色のよさが目立ちます。

さらに嬉しいことにこの日は田中健さんがゲスト出演するというハプニングもありました。
田中さんはケーナ奏者としてもよく知られているところです。
ドラマでの共演は案外少ないということでしたが二人は音楽仲間なんでしょうね。
私にも多くのジャズ友がいますが趣味のつながりは本当にいいものです。
演奏したのは「サマー・タイム」・・・ジワーッと味わいある演奏で驚きました。
ケーナのやわらかくやさしい音色は郷愁を誘います。
ハーモニカとのコラボレーションは新鮮でした。
つい近くに座ってくれたのでちょっと話もできて良かったです。
田中さんも梅雀さんもテレビの場面で見るよりずっと若々しくていい男でした。
そうそう、麻丘めぐみさんの姿もちらっと見えました。

余談ですが、以前、渡辺裕之(ds)さんのライブで原日出子さんを見ました。
これで「信濃のコロンボ」の夫婦役の二人をライブ・ハウスで見たことになります。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/07/28



■竹内直・カルテットを聴いてきました。
竹内直(ts,bcl)、片倉真由子(p)、井上陽介(b)、江藤良人(ds)

竹内直さんも時々聴きたくなります。
暑い時には辛いカレーを食べるのと同じような感覚かな。
男3人の重量級メンバーでは濃厚な味ですがここはピアノに女性が入ります。
ちょっと前までは清水絵理子さんでしたが片倉真由子さんが新加入しました。
女性が入ると一服の清涼剤になって爽やか味付けになります。
そんなこともあって新メンバーにも興味津々で出かけました。

演目はオリジナルにスタンダードを混じえた構成です。
竹内さんはテナー・サックスとバス・クラリネットを持ち替えての演奏。
今度バス・クラだけのアルバムを出すそうでこれから出番が多くなると思います。
演目で心に残ったのは「Tray A Little Tenderness」、「My Shining Hour」、
「All The Way」といったところのスタンダードでした。
3人が重厚なので少し大人し目の4ビート・ジャズが最高なんです。
金属的でかすれるような音色、日本的フレーズとリズム感、
連続的な高速演奏を可能にするノンブレス奏法など竹内さんの個性が光ります。
井上陽介さんと江藤良人さんのリズム・セクションの迫力は申し分ありません。
グイグイと押してくるところで片倉さんが入るとスッと軽くなる感じがしました。
片倉さんの女性らしい、しなやかなで流れるようなタッチは素晴らしいです。
ピアノ・トリオで聴くとまったく別の様相になるのが面白かったです。
竹内さんとのアンバランスな魅力もあります。
このグループはピアノレス・トリオ&カルテット&ピアノ・トリオの3つを楽しむことができました。

忘れていけないのが富山民謡の「こきりこ節」ですね。
これを聴かないと収まりません。
今回も「窓のサンサはデデレコデン はれのサンサもデデレコデン」で盛り上がりました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/07/20



■酒井俊&田中信正を聴いてきました。
酒井俊(vo)、田中信正(p)

酒井さんと田中さんの組み合わせにも興味があったので出かけて行きました。
酒井俊さんは確固たる自分の世界を持っています。
心の奥底をさらけ出して歌う歌には強烈な個性があります。
メッセージを伝えようとする力が聞き手の心にもビンビンと響いてくるんです。
かといって凄く濃いのかというとそうではなくて繊細で可愛らしい歌い手でもあります。
あまり歌い込まれるとしんどいですが自然体でサラリがとてもいい感じでした。
自作の詩には訴えかけてくる何かがあって、感受性が豊かな人だと思います。
日本語で歌う歌にはシャンソンの香りを強く感じた。
シャンソンは訴える力が強い歌です。

ベストは「どうしょうもない男だけどやっぱり私にとっては一番のいい男」と歌った「My Man」でした。
語りから入ったこの曲は心に沁みた。
たしかに魂の歌い手といわれることはあります。
父ちゃんのためなら エンヤコラ
母ちゃんのためなら エンヤコラ

美輪明宏さんのヒット曲で知られる「ヨイトマケの唄」も懐かしかったです。
もちろん、「満月の夕」も歌ってくれましたよ。
俊さんは歌い終わるとスーッとやさしく穏やかな素顔に戻るのが印象的でした。
たたずまいやお話も飾り気のない、あるがままの素朴な人です。


田中信正さんも評価の高いピアニストです。
凄くシャイな性格のようですが出てくるピアノの音には主張がありました。
そういう意味でも二人共にアンバランスな魅力があるといえます。
即興でフリーに展開するのはまさしくジャズそのものでした。

「これにはハマる」・・・聴いていると多くの熱心なファンがいるのも十分にうなずけます。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/07/10




■渕野繁雄・カルテットを聴いてきました。
渕野繁雄(ts,ss)、和泉聡志(g)、佐藤有介(b)、橋本学(ds)

淵野繁雄(sax)さんは幅広い分野で活躍するスタジオ・ミュージシャンです。
バックもそれぞれがジャズ以外のところにも興味がありそうなメンバーです。
事実、こういう狭間のところに魅力的なプレイヤーが隠れていることも多い。
私はクロスオーバーやフュージョンも好きなので出かけて行きました。
淵野さん以外は見たことがあります。

演目はオリジナル、ソウル系、古いスタンダートの組み合わせです。
淵野さんはさすがに多彩な演奏を聴かせてくれました。
テナー・サックスは見るからに年代物でしたが味のあるいい音をしていました。
素晴らしかったのは4ビートのスタンダードで「Crazy She Calls Me」のバラード一発。
これにはグーッと来たなぁ〜。
この曲は女性が演ると「Crazy He Calls Me」になります。
懐かしい「My Blue Heaven」も良かった。
この曲を聴くといつもエノケン(榎本健一さん)を思い出します。

和泉聡志さんも達者なギタリストで江藤良人(ds)さんとの弾けるプレイが好きです。
この日はちょっと大人しめ、もっと突っ込んだプレイが聴きたかった。
佐藤有介さんは前面に出てくるようになったと思います。
歌うようなベース・ソロに魅力があります。
橋本学さんはリズミックでフュージョン系のサウンドにはピッタリのドラマーです。
この日も安定したリズムを叩き出していました。

惜しむらくは選曲が淵野さん寄り(リーダーなので当たり前ですが)なので
曲に慣れていない部分が見えた・・・演奏が練れていないという感じがしました。
探り合いながらというか、思いっきりに欠けたところがあります。
みんながやりなれた曲を2、3曲入れても良かったのではないかな。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/07/07




■板橋文夫&川嶋哲郎を聴いてきました。
板橋文夫(p)、川嶋哲郎(ts)

板橋さんと川嶋さんのデュオ。
この組み合わせは珍しく多分初めてじゃないかと思います。

いきなりのフリー・フォームから突入。
がっぷり四つに組んだ汗が飛び散る体力勝負になりました。
1曲目が終わったところで軽いトークを入れてお客さんを和ませるところはさすがのエンターテイナーです。
一息入れたところで怒涛の演奏が続きました。
圧巻だったのは川嶋さんのオリジナルの「月のしずく」。
これがこの日の一番の曲だったと思います。
美しいテーマを持つバラードは生のテナー・サックスの響きが素晴らしい。
続く板橋さんがグングンとイメージを膨らませて広大な世界へと引っ張っていく。
一人オーケストラのようなピアノが展開されました。
ライブで感動するところまでは中々いきませんがこれには心底感動しました。
板橋さんの激しい動きはそれだけで魅力的ですが
そればかりに目が向くと繊細で美しいピアノを聴き逃がすことになります。
板橋さんのバラード・プレイは素晴らしい。
実は板橋さんの真髄はここにあると思っています。
動と静、熱と冷、揺れや音の大小など振幅が大きいほどインパクトが強くなります。

川嶋さんはテナー・サックス、ソプラノ・サックス、フルートを駆使して対抗。
板橋さんの弾き倒しに川嶋さんの吹き倒しという構図か。
低音から高音まで吹き切ってくるので見ているこちらまで息も絶え絶えになりました。
「オレオ」を原曲のイメージはほとんどないアップテンポのフリーに展開しました。
ソニー・ロリンズ(ts)のこの曲はやりなれた曲なので五分に渡り合ったと思います。

体力の限界の2セット、満員の観客から鳴り止まぬ拍手。
お疲れのところ、アンコールに応えてくれました。
凄いライブを見た・・・いやぁ〜、面白かった。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/07/02




■三輪知可を聴いてきました。
三輪知可(vo)、佐藤浩一(p)、小杉敏(b)
ゲスト:上田裕香(vo)、舞(ds)

三輪知可さんを聴くのは2回目になります。
今回は佐藤浩一さんとの組み合わせに興味があったので出かけて行きました。
二人ともに若手の注目株なのでどんなライブが見られるのかと興味津々でした。
初めての組み合わせは新鮮そのものです。

 Set 1
「How Deep Is the Ocean」、「Joy Spring」、「East of the Sun」、「So Many Stars」、
「Flor de Lis」(ユリの花)、「I Wish You Love」、「Come Rain or Come Shine」、
「My Romance」、「Se Todos Fossem Iguais a Voce(Someone to Light up My Life)」

Set 2
「I Should Lose You」、「Crazy He Calls Me」、「That’s All」、
「Travesia(Bridges)(ミルトン・ナシメント)」 (Special guest, 上田裕香; vo.)、
「Day by Day (以下Special guest, 舞; (ds.)」、「Love Dance(イヴァン・リンス)」、
「On a Clear Day You Can See Forever」、「Over the Rainbow」

知可さんは順調に成長していると思います。
見た感じと声質が違うのでアンバランスな魅力もあります。
深く響いてくる声質に特徴があるし、声も良く出ています。
今回は「I Wish You Love」〜「Come Rain or Come Shine」の2曲が印象に残りました。
初共演の手探りから始まった4曲目と5曲目、この流れは素晴らしかったです。
声質からもボサノバやラテン系はぴったりだし、バラードのノリもいいと思います。
ただ、今のところは選曲によってだいぶ差があるように感じました。
軽くスイングする曲が重たく感じるのでもう一工夫する余地がありと思います。
もっとストレートにスーッと歌った方がいいような気もしますがどうか。
知可さんは少し天然も入っているようなのでお話ものんびりとして中々面白いです。

佐藤さんは布川俊樹(g)さんと何度か聴いたことがあります。
若手ピアニストの注目株の一人です。
その時は同じコード楽器ということで控え目でしたがこの日は違いました。
思いっきりが良く、奇を衒わないオーソドックスなプレイが印象的でした。
ただ、時おり詰まるところがあったのでもう少しゆったりめでもいいと思います。
インストで演奏した「Joy Spring」が良かった。
クリフォード・ブラウン(tp)の有名曲ですがピアニストが取り上げるのは珍しいです。

5月にレポートした上田裕香(vo)さんとは仲のいい友達のようで一緒に歌ってくれました。
やっぱり二人で歌うと迫力が違いますね。
私は隣のI氏に話しかけていたんです。
「ドラムスが入ってトリオで聴きたいね。」
そうしたらいつもカウンターの中にいる舞(ds)さんが参加してくれました。
やはり願いは通じるもんだと思いましたよ。
「舞さん、どうもありがとう。」・・・お陰で厚みがグンと増しました。

小杉さんはもう安定感は十分です。
重しがあるのでなんの心配もありません。

若い人が一生懸命に歌ったり、演奏するのを聴くのは本当に嬉しいです。
「ジャズってやっぱりいいなぁ〜」、「永遠に不滅」と思えるからです。
「みんな、頑張ってちょうだい!!」


At The "Gate One" Takadanobaba On 2010/06/30



■チャリートを聴いてきました。
チャリート(vo)、堀秀彰(p)、佐藤慎一(b)、加納樹麻(ds)

チャリートさんと若手の組み合わせに興味がありました。
熱い時には熱いジャズを聴いてスッキリしましょうというわけです。
チャリートさんを見るのは久し振り、「ライブ・レポート」を始める前なので6年振りほどになりますか。
相変わらずのエネルギッシュなヴォーカルを聴かせてくれました。

最初にピアノ・トリオでインストを2曲の構成です。
「LONG AGO AND FAR AWAY」、「UP JUMPED SPRING」、「SO IN LOVE]、
「SO MANY STARS」、「YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS」、「THEY SAY IT'S WONDERFUL」、
「I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN」、「THE INVITATION」、「LULLABY OF BIRDLAND」、
「I'LL BE THERE」、「THE END OF A LOVE AFFAIR」、「ISN'T SHE LOVELY」、
「BYE, BYE BLACKBIRD」など。

チャリートさんの歌はアレンジが面白く自由度が高いです。
心のおもむくままの自然体、サラ・ヴォーンがお手本のようです。
南国系の明るさが持ち味で、歌は上手いし、スキャットもいいです。
ノリの良い曲はもちろんですがやはり聴きどころはバラードにあると思います。
ベストはじっくりと歌い上げた「They say so wonderful」で「The End of a love affair」も素晴らしかった。

バックのメンバーはそれぞれに幅広い音楽性を持っています。
やっぱり若いっていうのはいいですね。
エネルギーとパワーに溢れている・・・聴いているだけで元気をもらえます。
堀秀彰さんはあちこちに引っ張りだこの今一番の売れっ子ピアニストの一人です。
北欧系の美しいピアノ・スタイルですがスイング感溢れる演奏も魅力です。
この日の加納樹麻さんはけっこう叩いていました。
フレキシブルなドラマーなので今後も活躍の機会が増えると思います。
ここでのキーマンは佐藤慎一さんで、チャリートさんと若手の間をを上手くまとめていました。
ぶっつけ本番のジャム・セッション的面白さはベーシストが鍵になることが多いです。
この日はウッド・ベースだけでしたがエレキ・ベースの名手でもあります。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/06/25



■清水くるみ・カルテットを聴いてきました。
清水くるみ(p)、津上研太(as,ss)、工藤精(b)、力武誠(ds)
ゲスト:マイク・モラスキー(p)

このカルテットも一度聴きたいと思っていました。
予想通り、このメンバーも面白かったです。
この日はみんな絶好調だったと思うのでライブでこういう日に当たると嬉しいです。

特徴は「何でもあり」のつかみどころがないサウンドです。
店主の村上さんが万華鏡カルテットと紹介していますが的を射た表現です。
観客もただボーっと聴いているわけにはいきません。
突っ込まれるというか、音が前面に出てくるので緊張感を強いられます。

演目はオリジナルにスタンダードの組み合わせ。
いつもの事ながら曲名が思い出せないのが残念でした。
セロニアス・モンク、ウエインショーター、ブラジル音楽、映画音楽などもやったと思うけど・・・
情けないけどすんなり分かったのは2曲だけ・・・「Stablemates」と「East of the sun」。

清水くるみさんは尖がっているピアニストで一筋縄ではいきません。
フリーとのはざ間で行き来するスタイルがスリリングです。
フットワークが軽くて指先が鍵盤を跳ね回る、音遣いが繊細でブロック・コードも強烈でした。
津上研太さんのアルト・サックスは上下に揺れる短くかすれるような音色が刺激的で個性があります。
多彩な表現力はどこに飛んでいくか分からない危うさがあってギリギリ踏ん張っている感じがしました。
ソプラノ・サックスはよりストレートな感じでこれも良かったです。
1曲しか聴けなかったけれどもう少し聴きたかった気がします。
工藤精さんはオーソドックスで安定感のあるベーシストです。
良く伸びる、あたたかい、太い音色を持っているのでホッとします。
ここでは潤滑油の役目を果たしていると思いました。
ここでも力武誠さんの持つ幅広い音楽性とリズム感が生きています。
これだけ変化が激しいと相当柔軟性がないとドラマーはもちません。
変幻自在に状況の変化に対応するのでこのカルテットのキーマンになっています。
基本的には清水、津上の突っ走る二人をリズムの工藤、力武が支える構造だと思います。

この日は特別ゲストにマイク・モラスキーさんが登場しました。
日本文化研究者で日本人以上に日本人らしいアメリカ人です。
音数は少ないけれど本当に気持がいいピアノを聴かせてくれました。
テンポやタッチのタイミングが絶妙なんです。
今年、『「ジャズ喫茶論」─戦後の日本文化を歩く』を出版しました。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/06/18



■増田ひろみ・トリオを聴いてきました。
増田ひろみ(as)、竜野みち子(p)、平井庸一(g)

増田ひろみさんの名前はあちこちのライブ・ハウスのスケジュールで見かけていました。
初リーダー・アルバムが出たというのも知っています。
そんなわけで、興味があったので出かけて行きました。

1曲目がリー・コニッツ(as)で2曲目がテッド・ブラウン(ts)の曲ということで
レニー・トリスターノ派のサウンドを持っているのは一目瞭然でした。
当然ながらチャーリー・パーカーやポール・デスモンド、エリック・ドルフィー等のラインもあります。

演目はその他にスタンダードの「I remember you」、「How deep is the ocean」、
「You'd be so nice to come home to」、「What is this thing called love」、
「Tico Tico」、あと、「Out of nowhere」、「Meybe september」もやったような・・・。
珍しいところで「ショパンのNo.20」なんていうのもありました。

ちょっとかすれたような独特の音色は心地良いです。
息使いが聞えてきそうなフレーズがとてもリアルで、まるで歌を聴いているような感じがしました。
これほどクールな感覚を出せる女性プレイヤーは少ないんじゃないかな。
スタンダードのアプローチも新鮮で個性的です。
いきなりのリフから入る大胆で自由な手法もあって展開が読めない面白さがあります。
たとえば「You'd be so nice to come home to」にコニッツの「Subconscious Lee」を混ぜる
といったような試みもありました。
欲をいえばスロー・バラードにゆったりとしたスイング感が増せばもっと良くなると思います。

平井庸一(g)さんを見たのは2回目になります。
この超絶技巧は凄い、エフェクターを使って色々な表現法を模索しているようです。

竜野みち子(p)さんは初見、女性らしい繊細でやわらかなピアノを聴かせてくれました。
アヴァンギャルドではまた表情が変わるんでしょうね。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/06/11



■久米雅之・カルテットを聴いてきました。
久米雅之(ds)、岡淳(ts,fl)、関根敏行(p)、高瀬裕(b)

中々に個性的で面白いカルテットでした。
オリジナルが中心ですがメロディが美しくリズムも多彩なので飽きさせません。
久米さんはドラマーでこれほど作曲も好きというのは珍しいのではないでしょうか。
メロディ・メーカーとしての面目躍如といったところです。

スタンダードは「ナイト・アンド・デイ」と「マイ・ロマンス」の2曲。
チャールス・ロイド(ts)やマッコイ・タイナー(p)、ジョン・コルトレーン(ts)の曲も取り上げていました。
白眉の1曲はロイドの「Sweet Georgia Bright」でした。
これは面白かったなぁ〜。
最初、変拍子に岡さんはとまどっていたようですが慣れたらグイグイと乗ってくる構図になりました。
普段やってない曲をいきなりやると思わぬ展開になって実に新鮮な感じになります。
一期一会はそれこそジャズ・ライブの醍醐味です。

久米雅之さんの跳ねるような、パーカッシブなドラムスは表現力が多彩、歌うドラムそのままに引き込まれました。
つい見とれて感心してしまうほどで、多種多様な動きは本当に面白かったです。

岡淳さんはテナー・サックスにフルートを持ち替えての演奏。
テナーの名手ですが美しくもうねるようなフルートの音色にも魅力あります。

初めて見た関根敏行さんにも驚きました。
この日は絶好調だったようですね。
なんといったらいいのか?・・・表現がむずかしい。
ねじれているというか、クセ球というか、実に個性的なピアノを聴かせてくれました。
誰にも似ていない、クセになりそう、これにはハマる人も多いと思いますよ。

高瀬裕さんはきっちりと仕事をこなす職人肌のベーシスト。
安定したベース・ラインを繰り出していました。
3人の動きが激しいので重要な役目を背負っています。

このカルテットはバランスが良くて楽しめました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/06/10




■ダニー・グリセット・トリオを聴いてきました。
ダニー・グリセット(p)、ビセンテ・アーチャー(b)、マーカス・ギルモア(ds)

ダニー・グリセットも聴いてみたいピアニストでした。
背が高くスラリとした細身で、物静かで真面目な印象を受けました。
いかにも端正という感じそのままにストレートでオーソドックスなスタイルの持ち主です。
演目は新しいCDからのオリジナルが中心でした。
知っていたのは3曲、「Body And Soul」、ジョン・コルトレーン(ts)の「Momen't Notice」、
アンコールでベニー・ゴルソン(ts)の「Stablemates」が演奏されました。
やはりグリセットの持ち味は美しいバラード・プレイにあると思います。
ゆっ〜たりと演奏されるとなんとも心地良くて、そのまま寝てしまいそうな感じになりました。
クールでありながら熱いものを秘めている、でも突き抜けるまではいかない。
基本的にトリオより、管楽器のバックで生きるのではないかと思いました。
ちょうどマルグリュー・ミラー(p)みたいな感じかな。
地味ですが繊細で好センスなので使いたくなるピアニストだと思います。

今回の最大の見もの、聴きものはマーカス・ギルモアのドラミングにありました。
要注目のドラマーの一人です。
24歳の若さであの怪物ロイ・ヘインズ(ds)の孫という毛並みの良さです。
最初のドラム・セットは10歳の時に祖父のロイから与えられたものだそうです。
間違いなくDNAが繋がっていて、スティックさばきも鮮やかに流れるようなドラミングは素晴らしい。
リズム感もよく、多彩な表現力を持ち、細かく刻んでうるさくない、抜群のセンスがあると思いました。
小さい時から馴染んでいてドラムスという楽器を手の内に入れているという感じがしました。
軽く歌を口ずさむように叩く、まったく無理がなくて自然体なんです。

ビセンテ・アーチャーも何度か見ていますがこちらもオーソドックスなベーシストです。
きっちりと仕事をこなす職人風で安定感がありました。

At The "Swinghall" Musashinoshi On 2010/06/02



■上田裕香を聴いてきました。
上田裕香(vo)、大口純一郎(p)、橋本信二(gt)

上田裕香さんは去年の11月にちょっとだけ聴いています。
その時のラテンのノリにショックを受けたのでじっくりと聴いてみたいと思いながら
延び延びになっていましたがようやくその機会が巡ってきました。
やっぱりというか、上田裕香さんにはインパクトがありました。
裕香さんの歌にはグイと引き付けられる凄みがあります。
ストレートに丁寧に歌っているのも好感が持てました。
パッショネートな歌声が最大の持ち味で思わず身体が熱くなりました。

演目はジャズ友のIさんが教えてくれました。
1st
「O Grande Amor」、「Ricardo Bossa Nova (or The Gift)」、(p、gのデュオ)
「Insensatez (or How Insensitive)」、「Danca da Solidao」 (孤独のダンス)、
「So Danco Samba」、「Shinji (or Dindi)」、「O Bebado e a Equilibrista」( 酔っ払いと綱渡り芸人)

2nd
「Danny Boy」、「Things We Did Last Summer」、(p、gのデュオ)
「Somos Novios」、「Coracao Leviano」、「Desafinado」、「Presentimento」(予感)、
「Corcovado」 (vo、pのデュオ)

ボサノバで有名な曲も並んでいますが特に初めて聴く曲に惹かれました。
ベストは「酔っ払いと綱渡り芸人」でしたが酔っ払いは政府で芸人は政治家を指したものだそうです。
どうしょうもないのはどこかの国と同じ・・・。

私はブラジル音楽をほとんど聴いていません。
聴いているのはジャズに近いボサノバだけです。
ポルトガル語で歌うとアクセントが異なり微妙にリズム感が変わります。
身近なボサノバやサンバとして聴いてもちょっと異質な感じがします。
そういう意味でも刺激的で新鮮な思いがしました。
ブラジル音楽がどういうものだか分からないけれど、もっとダンサブルで軽いものと思っていました。
彼女の歌を聴いていると実はメッセージ性の強い説得力を持つ音楽なんだと思いました。

声がよく出ていて、伸びもあるし、コントロールも上手い。
パンチ力があって、声質もいい、自然に軽いビブラートがかかっているような深い歌声の持ち主です。
個性的だし、何より抜群のノリがあります。
大きな原石の魅力、磨けば磨くほど光る感じがしました。
今は一生懸命でいいと思います。
一方でボサノバが持つ魅力、力が抜けて気だるさが身に付いたらどういうことになるでしょうか。
またまた将来性豊かで楽しみな歌手に出会いました。
順調に成長していって欲しいです。

バックは大口純一郎(p)さんと橋本信二(g)さんのベテラン二人です。
実に楽しそうに演奏していました。
二人にとっても裕香さんの歌伴は新鮮なんでしょうね。
お互いが刺激を受けてのやりとりが面白かったです。
この二人のデュオも味わいがありました。
気心の知れた仲で遠慮がありません。
いわば「あ、うん」の呼吸が素晴らしかった。
グーッと盛り上がって緊張した中での「ダニー・ボーイ」には参りました。

At The "Gate One" Takadanobaba On 2010/05/28




■エリック・アレキサンダー・カルテットを聴いてきました。
エリック・アレキサンダー(ts)、ハロルド・メイバーン(p)、ジョン・ウィバー(b)、ジョー・ファーンズワーズ(ds)

前回見に行った時がいまひとつの出来だったのでリベンジに出かけて行きました。
エリックとは長い付き合いで師匠と言ってもいい、ハロルド・メイバーンにも興味津々でした。
結果は?・・・・・見事に試みは成功しました。

演目はメイバーンとエリックのオリジナルが中心でした。
ただ1曲のスタンダードは「What is this thing called love」だったと思います。
素晴らしかったなぁ〜、ノリノリの演奏。
やっぱりメイバーンが凄いです。
74歳という年齢を考えると驚異的なスタミナと元気です。
足を踏みながら、バン・バン・バン・バンと叩き出すピアノはもう最高です。
スイング感に溢れソウルフル、完全にノックアウトされました。
これほど強烈なグルーブ感を発するジャズ・ピアノは聴いたことがありません。
ブロック・コードも強力の一語・・・恐るべし、ハロルド・メイバーン。
むずかしいことは何も考えていない、ただただ心のおもむくままにスイングしている感じ。
ともすれば頭でっかちでこのことを忘れがちになるでしょう。
そんな思いを吹っ飛ばす快演でした。
ビ・バップの洗礼を受けた最後の年代なので貴重な存在です。

メイバーンをバックにアレキサンダーも飛ばしに飛ばしました。
こちらも負けじといつ終わるか分からない延々としたソロはタフガイ・エリックの面目躍如でした。
自己の能力を出し切るがごとく鳴り響きます。
高音から低音までテナー・サックスの能力を極限まで追い求めた多彩な演奏が聴けました。
アレキサンダーは年々進化していると思います。
表現力のアップが尋常ではありません。

ジョン・ファーンズワーズも相変わらず元気一杯のプレイで会場を沸かせました。
ジョー・ウィバーは一人クールな感じなんですが安定したリズムを送り出していました。
アンコールはブルースで客席からの拍手に合わせてメイバーンのお得意の演奏が聴けました、


At The "Cotton Club" Tokyo On 2010/05/19



■マグナス・ヨルト・トリオを聴いてきました。
マグナス・ヨルト(p)、ペーター・エルド(b)、池長一美(ds)

去年のライブが良かったので再来日公演の情報を得た時にすぐ行こうと決めました。
結果は予想通り、進化した3人の姿を見ることができました。
マグナス・ヨルト(p)もペーター・エルド(b)も共にデンマーク出身の26歳です。
これほど若いヨーロッパの新進ジャズ・プレイヤーを見ることは少ないので貴重だと思います。
現在のヨーロッパの若手ジャズ・シーンではいったい何が起こっているのか。
単なる変拍子とは違う、1曲の中で何度もリズムを変化させる行き方か。
実際、リズムの変化が激しいので先行きがまったく読めずに最初は面くらいました。
決まりはないようであるような気がしますがどうだろう。

演目はオリジナルにスタンダードの組み合わせ。
1st
「Everything I Love」、「Lacrima Lake (M Hjorth )、「Fannonica」 (M Hjorth )
「Leia (M Hjorth )」、「Ask Me Now」、「Someday My Prince Will Come」

2nd
「Body and Soul(piano solo)」、「In the Crease (with Morning Glory )」
「Days of Wine and Roses」、「Peace and Queues (M Hjorth )」、
「Between Two Moods (M Hjorth )」、「Ballroom Steps( Hjorth )」、
「In A Sentimental Mood」

マグナスのスピード感溢れるプレイはもちろんですがバラードもいいです。
この若さでこれはどういうことかと思います。
昔のジャズメンにたくさんいたけれど最近では珍しいです。
2セット目の初めに「ボデイ・アンド・ソウル」をソロピアノで聴かせたけど素晴らしかった。
ゆったりとしたリズム感とタイミング、テンポやタッチが見事に冴えました。
オリジナルの「Leia」も美しい曲で印象的でした。

今回、一番目立ったのはペーター・エルドだったです。
これほど気合の入ったベース・ソロは聴いたことがありません。
驚異的なベースプレイ、延々と続く強靭なベース・ソロは強烈な印象を残しました。
時にピアノを凌ぎ主役の座を奪う勢いでした。
やっぱり若さかな・・・体力とアイデアに溢れています。
「今、私は凄いベーシストをリアル・タイムでに見ているんだな」って思いました。
必ずやヨーロッパを代表するベーシストになると思います。

池長さんも張り切っていましたね。
MCでは「私がここに入ってもいいのか」と笑いを誘っていました。
しかし、池長さんも若い二人に刺激を受けて気合が入っているのは確かです。
持ち前の繊細で語るドラミングは健在でその安定したドラミングは素晴らしい。
彼らとの共演でまたひとつ高みに上るのは確実です。
このトリオは6月にデンマークでスタジオ録音が決まっているそうです。
楽しみに待ちたいと思います。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/05/17




■石井彰・トリオを聴いてきました。
石井彰(p)、俵山昌之(b)、江藤良人(ds)

石井彰さんも長い間一線級のピアニストとして活躍しています。
日野皓正(tp)クインテットでの活動が一番知られているかな。
石井さんの結成10年にもなるというレギュラー・トリオを聴いてきました。

演目はオリジナルとスタンダードが程よく配分されていました。
スタンダードは「Solar」、「Over the rainbow」、「I've never been in love before」、
「I loves you,Porgy」、「Some day my prince will come」など。

各セット1曲目にオリジナルから入りますがこの曲が特徴的だと思います。
石井さんの目指すスタイルはここだと思いました。
1曲目だけを決めて、あとはやりたい曲をやる。
一般的に主張のあるミュージシャンには起承転結の物語性があると思っています。
テーマ〜テーマの発展〜転調〜まとめ、あるいは混沌〜集合〜解放〜まとめといったような形で演奏されます。
その時々でそれぞれのメンバーがどう受け止めて反応するかが聴きどころになります。
先が読めないのでやや難解にはなりますが魅力ある展開とサウンドです。
石井さんには独自の世界がありました

俵山昌之さんはクールな感覚のしなやかなベーシストで名手の一人だと思います。
安定感のあるビート感が持ち味でベースの音色が素晴らしい。
この日は誕生日だったそうでお店からプレゼントがあって照れていました。

江藤良人さんも出会う機会が多いドラマーです。
現在もっとも忙しいドラマーじゃないでしょうか。
柔と剛のメリハリの利いたドラミングは最高です。
スナップのきいたスティック捌きで大胆さと繊細さを持ち合わせています。
私はスネアから叩き出されるパルスのような音に痺れています。

At The "Sometime" Kichijoji On 2010/05/10




■宮下博行・トリオを聴いてきました。
宮下博行(p)、佐藤有介(b)、大村亘(ds)
ゲスト:矢野眞道(vo)、章まりこ(vo)

このライブはジャズ友のMさんのプロデュースとシングスのTさんの協力により実現しました。
宮下博行さんは兵庫、大阪が地盤ですが年に何回かの東京公演を続けています。
自分の音楽を追求し昇華させるのが目的だと思います。
本場の東京でトリオ演奏を発信する意欲は買えるし、まさに継続は力なり。
多くのプレイヤーとの共演が血となり肉になっています。
また、熱心に応援するファンがいるのも大きな力になっています。
ベースの佐藤有介さんは5年来の付き合い、今回ドラマーには若手の大村亘さんが起用されました。
ゲストに男性ボーカルの矢野眞道さんが加わるという興味ある組み合わせです。

演目は1st
「With the flow of time」、「Mystic Encounter」、「Lullaby for kanako」(オリジナル3曲)
「You must Believe in spring、「what are you doing The rest of your Life」、
「whitch what happens」(ボーカルはミシェル・ルグランが3曲)
「Days of wine and roses」(スタンダード)

2nd
「As Time goes by」(スタンダード)、「Little sentimental things」(オリジナル)
「On green dolphin street」(章まりこさん)
「I hadn't anyone till you」、「That's All」(ボーカル2曲)
「Afterdark fantasy」、「Loyall followers」(オリジナル2曲)
アンコールは「The very thought of you」(ボーカル)

宮下さんは「HOT & COOL」のバランス感覚が絶妙のピアニストだと思っています。
しかし、いわゆる泣きや甘さのフレーズは多用しないオリジナリティに溢れています。
スローではグッと我慢がきくし、アップテンポでの疾走感も聴きどころになります。
スタンダードのアレンジも面白く、リズムも多彩、とても一筋縄ではいきません。
常に全力投球の姿勢にも好感が持てる名手の一人です。

佐藤さんは若い大村さんの加入により強い刺激を受けています。
宮下さんと大村さんの間に入って潤滑油の役目を果たさねばならない立場になりました。
手ごたえを感じていると思うし、俄然、表面に出るようになってきました。
メロディアスなソロに益々磨きをかけて欲しいです。
新風を吹き込んだのは大村さんで、煽られたのは宮下さん。
バランスを考えればこのトリオのキーマンは佐藤さんになるのではないか。

ドラムスはオーストラリア帰りの期待の大村亘さんです。
今回の目玉は間違いなく初共演の大村さんにありました。
マイク・ノック(p)のバックを務めたほどの逸材で硬軟織り交ぜた多彩なドラミングが魅力。
私は鈴木良雄(b)さんのグループでも何回も見ています。
若いだけにエネルギッシュで思い切りがいい、スタミナも十分です。
特にアップテンポではこの起用が生きました。

1stはぶっつけ本番のやや手探り状態でしたが、2ndになると俄然本領を発揮してきました。
この日のベストは6/8拍子にアレンジされた「As Time goes by」だったか。
ラストのオリジナルの「Loyall followers」も良かった。
グイグイと突っ走るスピード感溢れるプレイはゾクゾクするほど凄い。
身体がカーッと熱くなる。
観客からは声がかかり、私も思わず声が出た。
このスリリングで刺激的な展開には何回聴いても痺れてしまいます。

ゲストの矢野眞道さんは正統派のジャズ・ボーカリストです。
男性ボーカルを聴く機会はほとんどありませんが、正直、こんなボーカリストがいたのかと思いました。
圧倒される声量と声質の持ち主で、本当に素晴らしい歌声だったです。
長い間アメリカできっちりと勉強してきたそうです。
事実、女性客はみんなうっとりとして聴き入っていましたよ。
加えて章まりこさんの「On green dolphin street」も聴けました。

このトリオは魅力、矢野さん共々機会があったら是非聴いてみて下さい。

At The "Cafe' Sings" Kunitachi On 2010/05/01




■国貞雅子を聴いてきました。
国貞雅子(vo)、リン・ヘイテツ(p)、佐藤有介(b)

国貞雅子さんをじっくりと聴いたのは去年の8月以来です。
成長著しいと思いました。
パンチ力はそのままに表現力を増し、声もよく出ていて、可愛らしさも増しました。
高音部が伸びて声質もグンと良くなったと思います。
一番の違いは自然体でストレートに歌えることになったことでしょうか。
ゴスペルやソウル・フィーリングが強いとどうしても力が入ってしまいます。
その分、声はやさしいほうがいいなんてこちらは勝手な要求をしています。
聴いているほうにしたらその案配が実に微妙なんですが安心して聴けるようになりました。

演目は「Beautiful Love」、「That's All」、「I Feel the Earth Move」、
「My Shining Hour」、「Just Squeeze Me」、「Smoke Gets In Your Eyes」、
「You've Got A Friend」、「Love For Sale」、「New York State Of Mind」、
「Smile」、「Will You Love Me Tomorow」、「Bye Bye Blackbird」等々

この日は国貞さんが大好きだというキャロル・キングの3曲が含まれているのが特徴です。
そういった意味でも幅広い選曲になったのは良かったと思います。
「That's All」、「Smoke Gets In Your Eyes」、「New York State Of Mind」、
「Smile」、「Will You Love Me Tomorow」などのバラードが聴きどころになりました。
惜しかったのは「Smile」で、もう少し抑えてゆったりと歌ってくれたら最高だったと思う。

佐藤有介(b)さんは出会う機会が多いプレイヤーです。
幅広い音楽性の持ち主でスマートなプレイが身上だと思います。
ボーカルのバックにピタリとはまるベーシスト。
そのメロディアスなベース・ソロは魅力十分です。
反面、いまひとつ控え目なのでもっとグイと前面に出てきてもらいたい思いもあります。

リン・ヘイテツ(p)さんは初めて聴きましたが独特のリズム感とタイミングの持ち主です。
タッチの強弱や抑揚にも個性を感じて面白いと思いました。
いたずら心やユーモアもあるので聴いていて楽しかった。
こちらのタイミングと少しずれるところがたまらなく刺激的だった。
こうくるかというところで微妙に外されるのはジャズ聴きの醍醐味のひとつです。

グッと抑えたスロー・バラードが素晴らしくて、ガツンとくるものがありました。
横から見ていると手が大きいと感じたので見せてもらいましたがやっぱり大きかったです。

この組み合わせは良かったです。

At The "Naru" Yoyogi On 2010/04/28




■奥平真吾・カルテットを聴いてきました。
奥平真吾(ds)、太田剣(as)、清水絵理子(p)、須川崇志(b)

奥平真吾さんの新しいバンドに興味があって見に行きました。
メンバーも魅力的だと思いました。
ケニー・ギャレット(as)の「Computer "G"」からスタートして、いきなり盛り上がりました。
2曲目に春にちなんだ曲で「枯葉」と言って会場が笑いに包まれて一気に和みました。
冗談で、ここで演奏したのはフレディ・ハバード(tp)の「Up Jumped Spring 」です。
続いてハービー・ハンコック(p)の「Cantaloupe Island」が演奏されました。
スタンダードでは「I'll Be Seeing You」、「Sweet And Lovely」、「What Is This Thing Called love」など。
ブルー・ミッチェル(tp)のカリプソのリズムの「Fungii Mama」も面白かった。
奥平さんはアル・フォスター風に叩いたと言っていましたね。
アンコールではその「枯葉」を聴くことができました。
圧巻だったのは「What Is This Thing Called love」で、ここでの各人のソロが素晴らしく、
特に奥平さんには痺れてしまいましたよ。この日一番の出来だったと思います。

奥平さんにはやっぱり凄みがあります。
緩急自在にビシバシと決まって、まさに切れてるドラマーっていう印象です。
リズム感が抜群でスナップの効いた引き締まったドラミングは素晴らしかった。
正確なリズムでグイグイと引っ張っていくのはまるで機関車みたいで安定感は抜群です。
このスピード感というか疾走感にはどこまでも乗っかっていきたいほどの心地良さです。
驚いたのは体力ですね・・・連続の高速演奏・・・叩きづめでも全然疲れを感じさせません。
練習のたまものかな、これは凄いと思いました。
太田剣さんはあちこちのライブ・ハウスで目にする人気サックス・プレイヤーです。
幅広い音楽性を持っていて、アップ・テンポにおける疾走感溢れるプレイが身上です。
かすれたような丸みのある音色にも特徴があります。
清水絵理子さんも出会う機会が多いピアニストで自在性に富んでいて実力は十分です。
このクラスの女性ピアニストは案外少ないと思うので貴重な存在だと思います。
峰厚介さん、山口真文さん、竹内直さん、井上淑彦さん、Qいしかわさん、等々
なぜか、テナー・サックス奏者との共演が多いですね。
須川崇志さんは初めて聴きました。
28歳の若さ、動きの激しいベーシストで躍動感があります。
ソロに特徴があって、ホーン・ライクなスピード感あるソロを聴かせてくれました。
今度、日野皓正さんのグループに入るそうなので目が離せません。

奥平さんは20年暮らしたニューヨークを引き払ってこの夏に帰国するそうです。
これからの新たな挑戦と活躍が楽しみです。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/04/03



■荒武裕一朗・トリオを聴いてきました。
荒武裕一朗(p)、安東昇(b)、力武誠(ds)

荒武さんのレギュラー・トリオといえるもので前々から聴きたいと思っていました。
今回、ようやくその機会を得ましたが予想通りの実に刺激的なトリオでした。
このトリオの最大の魅力はワイルドで野性味溢れるところだと思います。
アップテンポにおける動とスローテンポにおける静の落差が大きければ大きいほど
こちらに訴えかける力は強くなります。
このコントラストが激しいほどいいですがこのトリオにはそれがありました。
さらに一つ一つの音に力強さがあるのが特徴です。
結成してから何年になるのか、バランスが良く、完成度も高いです。
3人が同年代で同じ価値感や感覚を持ち、気心が知れているのも影響していると思います。
「さぁ〜、これでどうだ〜」・・・それぞれに主張があるのがいいです。
バラードやロマンチックな曲でも興が乗ってくると徐々に激しくなってきます。
この展開の読めない緊張感がいいですね。
演目はスタンダードとオリジナルを含めて全8曲、各人のソロも十分、15分の熱演です。
オリジナルは荒武さんと彼が敬愛する本田竹広さんが1曲づつでした。

1st
「It Could Happen To You」、「Alone Together」、
「Water Under The Bridge (T.Honda)」、「It Don't Mean A Thing」

2nd
「Falling In Love With Love」、「Talking Junction (Y.Aratake)」、
「In A Sentimental Mood」、「Spain」

ラストの「スペイン」のノリは凄かったなぁ〜。
意外やこの曲をライブのピアノ・トリオで聴いたのは初めてかもしれない。
全員が30代半ばで羨ましいくらいに元気溌剌としています。
格闘技的要素が強く、がっぷり四つに組んだぶつかり合いという感じがしました。
安東さんのブンブンと引き回すベース・プレイは一度聴いたら忘れられません。
力武さんのタイトなドラミングと押してくるパワーにはこちらまで煽られてしまいます。
この二人のリズム・セクションはまったく素晴らしいです。
荒武さんは抜群のセンスがあると思います。
フィーリング、リズム感、タッチ、フレーズ共に文句なし、個性的でグイと引き込む力があります。
もちろん、伸び幅も半端でないので日々の努力も並大抵ではないと推察しています。

躍動感に溢れた思い切りの良い刺激的な主流派ピアノ・トリオを聴くことができました。
トリオでこれだけの迫力は中々出ないです。
ライブに足を運んで、グーッと盛り上がった時の圧倒的な迫力を是非体感してみて下さい。
この3人がどこまで成長していくのか・・・本当に楽しみです。


At The "Thelonious" Higashinakano On 2010/04/02



■カート・ローゼンウィンケル・トリオを聴いてきました。
Kurt Rosenwinkel(g), Matt Clohesy(b), Rodney Green(ds)

さすがにカート・ローゼンウィンケル(g)は人気があります。
40人限定ライブだったのですぐに完売となったそうです。
会場に入るのが少し遅くなったら座る場所がないほどの盛況でした。
観客の平均年齢が低いのと女性の数が少なかったのが目立ちました。
一般的にはまだちょっとマニアックなのかな。
目の前30センチで見た若者は感激したでしょうね。

開始は時間が押していて50分遅れ、2ステージの予定が1ステージで一気にやるということになりました。
一瞬、そんなんで大丈夫かいなと思いました。
始まってみればなんてことない、そんな杞憂は吹っ飛ぶ快演で90分、
アンコールを入れたら100分強をきっちりやり通して、カートは律儀な男でした。
じっと耳を傾けるオーディエンスの質の良さもあったと思います。
カートは去年、スタンダード・トリオで「reflections」というアルバムを出しています。
私はそれを聴いていなくて、正直、私が持っていたイメージとはだいぶ変わっていました。
先鋭的で硬質でもっと難解、先端のジャズ・サウンドを予想していたんです。
でもそれよりずっとストレートで聴きやすかったです。
以前見た時はマーク・ターナー(ts)が主役だったので明らかに立場が違っていました。
今回は自己のトリオということもあって能弁で多彩な表現力を見せてその実力を十二分に発揮していました。
彼のギタリストとしての全貌が垣間見えたような気がします。
斬新なのは当然ですがこれほどのテクニシャンとは思っていませんでした。
エフェクター使用のサウンド作り、音の広がりや独特の浮揚感は凄いです。
いつも感じるんですが横ノリ前ノリじゃなくて縦ノリなんですね。
乗ってくると身体が上下に伸び縮みするんです。
これが彼らの独特のノリを表現しています。
演奏はジョー・パス(g)、リズム感はジミー・ジェフリー(ts)・スリーのジム・ホール(g)を思い浮かべました。

演目はセロニアス・モンク(p)の「Reflections」、「Ask Me Now」、ベニー・ゴルソン(ts)の「Stablemates」、
チャーリー・パーカー(as)の「Cheryl」、ジョー・ヘンダーソン(ts)の「Inner Urge」、
スタンダードから「Invitation」、「More Than You Know」、
ボサノバはアントニオ・カルロス・ジョビン(g)の「How Insensitive」など。
アンコールの曲目は分からなかったけどオリジナルだったかもしれません。
この曲が私の持っていたイメージに一番近かったです。
目立つのはホーン奏者の曲、面白かったのは「Reflections」と「How Insensitive」と「Inner Urge」で、
特にカートが演じるボサノバは刺激的で新鮮でした。
演目は例によって定かではないです。

アルバムとメンバーが違いますがロドニー・グリーンも注目すべきドラマーでした。
グレグ・オズビー(as)やエリック・リード(p)、山中千尋(p)さんのアルバムで聴いています。
食後だったようでエンジンがかかるまで少々時間がかかりましたが、こなれてきたらグングン良くなりました。
実に安定したリズム感の持ち主でどんなに動いてもまったく乱れがなかったです。
マット・クローシー(b)は初見、しごくオーソドックスなベーシストでこれまた安心感がありました。
リズムの二人が安定しているので良かった。
現在のジャズ・シーンの最先端をいく第一線のジャズ・ギタリストの実力を目の当たりにしました。
グイと引きつける力は「やっぱり、凄い」という印象です。
押さえて弾く、ギターはやはり至難の楽器ですね。
これだけのギター・プレイを見せられると改めてそう感じました。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/03/15



■中村誠一・クインテットを聴いてきました。
中村誠一(ts)、平山順子(as)、吉岡秀晃(p)、沼上励(b)、川口弥夏(ds)
ゲスト:田村陽介(ds)

中村誠一さんのグループは間違いなくノれるサウンドを持っています。
当日になって急に聴きたくなって出かけて行きました。
今回は若い女性が二人も加わるということでみんな張り切らざるを得ませんね。
内容もその通りでノリノリの楽しいライブになりました。
相変わらずのバップ・テイストがいっぱいで気持良かったです。
ソニー・ロリンズ(ts)やホレス・シルバー(p)、クリフ・ジョーダン(ts)はともかく、
ジョン・ジェンキンス(as)、ジェームス・スポールディング(as)などの珍しい曲を取り上げていました。
スタンダードでは「Stardust」、「Meditation」、「How deep is the ocean」、
「If you could see me now」、「Just friends」等々。
面白かったのは中村さんが夢の中で誰かが演奏しているの見てアレンジしたという「Cherokee」でした。
「夢に見たチェロキー」・・・これがベスト・プレイだったと思います。

中村さんのストレートで艶があってセクシーな音色はいいです。
実にスムーズな展開で上手いです。
吉岡さんはいつも楽しそうにピアノを弾いてくれます。
素早い動きでグイグイと乗ってくるともう止まりません。
沼上さんのスイング感溢れるプレイも相変わらずでした。
あちこちのスケジュール表で見かける平山順子(as)さんも一度見たいと思っていました。
平山さんは笑顔が良くて和みます。
柔らかな丸みを帯びた音色が特徴で、なとなくほんわりした気分になれました。
ベテラン勢との共演でこの日はやや緊張気味だったかもしれませんね。
いきなりの初見の曲はちょっときついかと思いました。

持ち味からいうとあんまり気合を入れて吹かないほうがいいような気がします。
川口弥夏(ds)さんは元気いっぱいで面白かったです。
若さにまかせて思い切りよくグングン突っ走っていました。
表現力が豊富で手数が多かったけど今はこれでいいんじゃないかと思います。
女性特有の繊細でソフトなドラミングが魅力でドラムが語っていました。
まだまだ荒削りだけど将来性は十分なので期待したいです。
最近は女性ドラマーの進出が目立つようですね。

ゲストには田村陽介(ds)さんが登場しました。
フレキシブルでセンスあるドラマーです。
澤田一範(as)さんと共演しているようなのでまた見る機会があると思います。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/03/11



■ザ・イエロー・ジャケッツ を聴いてきました。
ラッセル・フェランテ(key), ボブ・ミンツァー(sax), ジミー・ハスリップ(elb), ウィル・ケネディ(ds)

イエロー・ジャケッツは1981年に発足した少し遅れてきたフュージョン・バンドです。
ボブ・ミンツァー(ts)が見たくて出かけて行きました。
根強いファンがいるようで会場のあちこちから声が掛かり大いに盛り上がりました。
フュージョン・バンドは文句なしにノれるのでいっぱいの元気をもらえます。

ここでまず驚いたのはウイル・ケネディのドラミングです。
ドラムが壊れんばかりにぶっ叩く群を抜くパワーと圧倒的な迫力でした。
最初から最後まで走りっぱなしで汗が飛び散る、これほど激しいドラマーは見たことがありません。
ジミー・ハスリップは左ききで6弦ベースを駆使、そのテクニシャンぶりには目が点になりました。
この二人が繰り出すリズムとスピードがもの凄いグルーブ感を生み出していました。
リーダーのラッセル・フェランテ(key)は知的で大人しい感じだったです。

演目はオリジナルが中心です。
8ビート、16ビートはもちろんですが4ビートやバラードも良かったです。
ボブ・ミンツァーは思った通りの名手でした。
スムーズな音色、変幻自在の展開は聴く者を魅了します。
がっちりとした体格で迫力も申し分ありません。
ミンツァーは知る人ぞ知るの才人ですが幅広い音楽性を持っているので
主流派のジャズ・ファンにはいまひとつ認知されていないのではと思っています。
器用で色々できることの負の部分なのかな。
でも、マイケル・ブレッカー(ts)〜ボブ・バーグ(ts)亡きあと、一番近いところにいる存在かもしれませんよ。
特筆すべきは管楽器シンセのウィンド・シンセサイザーの名手でもありました。
表現の幅がグンと広がるのでコンテンポラリー・シーンのサックス奏者には必需品になりつつある電子楽器です。

外国人プレイヤーはエンターテイメントというより、いかに自分達の音楽を真摯に演奏するかだと思います。
その真剣さが観客の我々にも伝わってきて興奮の音楽空間を共有することになります。
このイエロー・ジャケッツにはそれを感じたので大満足でした。


At The "Cotton Club" Tokyo On 2010/03/05



■岡田勉・カルテット + 梶原まり子を聴いてきました。
岡田勉(b)、峰厚介(ts)、村上寛(ds)、橋本信二(g)、梶原まり子(vo)
ゲスト:トオイ ダイスケ(p)

岡田カルテットのレギュラー・ピアニストは野力奏一さんですが
この日は野力さんに代わって橋本信二さんが加わりました。
これは見逃せないと思って出かけました。
年齢も近く旧知の仲ということでリラックスした演奏が聴けるのは予想していました。
案の定、アットホームで楽しい演奏が聴けました。
ライブに行って面白いのは熟年のほうが熱い演奏が聴けるということです。
一般的に若手はクール、熟年はホットというパターンがあるように思います。
演目はオリジナルを含めてスタンダードが中心、まり子さんのヴォーカルも加わって大いに盛り上がりました。

1st
「I Hear Rhapsody」、「After the Check Out」、「Words and Mood」、
「Willow Weep for Me (まり子)」、「But Not for Me (まり子)」、
「I Thought about You (まり子)」

2nd
「First Show」、「Everything Happens to Me」、「Stella by Starlight」、
「Cry Me a River(まり子)」、「Exactly Like You(まり子)」

岡田さんの手を見せてもらいましたが、がっちりとした大きな手をしていました。
しっかりと押さえて弾くのでベース音がブ〜ン、ブ〜ンとよく伸びます。
峰さんのテナーは大好きです。
自己のグループでは突き抜ける演奏も聴かせますがここではストレートに吹きまくってくれました。
さらに貴重なボーカルのバッキングも聴けたので嬉しかったです。
村上さんは抑揚があり押し出しのきく安定感のあるドラマーです。
この日は改めてブラシも上手いと思いました。
お店のドラムを修理したそうで「修理屋は今からでも遅くない」と言って笑わしていました。
今日の岡田カルテットは橋本さんの参加でいつもとは違った感覚と魅力がありました。
私は橋本さんのギターにすっかり魅了されてるし、まり子さんのヴォーカルにはグッときています。
また、この日は後半2曲目からトオイ ダイスケさんがピアノで参加してくれました。
トオイさんの本職はベーシストですがピアノも捨てがたいです。
ストレートでオーソドックスなスタイルはかえって新鮮で個性的だと思いました。
最初の「Everything Happens to Me」では徐々に緊張感が取れてくるのを感じて微笑ましかった。
才能を感じさせるこのピアノも相当面白いです。

岡田さんのレギュラー・カルテットのCDが出るようなので楽しみに待っています。


At The "Gate One" Takadanobaba On 2010/02/24



■梶原まり子&鈴木道子を聴いてきました。
梶原まり子(vo)、鈴木道子(vo)、橋本信二(g)、小杉敏(b)
ゲスト:村田憲一郎(ds)

梶原まり子(vo)さんと鈴木道(vo)子さんの組み合わせには興味がありました。
どんな展開になるのか蓋を開けてからのお楽しみだったけど面白くなる予感はありました。
それはともかく一度に二人を聴けるのは凄く得した気分になります。
構成はインスト1曲、まり子さん2曲、二人2曲、道子さん2曲の構成でした。

1st
「Secret Love 」(guitar & bass duo)、「Don’t Go to Strangers 」(まり子)、
「I’ve Got the World on a String」 (まり子)、「East of the Sun」 (道子&まり子)、
「Crazy He Calls Me」(道子&まり子)、「Estate」(道子)、「I Remember You」(道子)

2nd
「I’m Confessin’」 (guitar trio)、「You Don’t Know What Love Is」(まり子)、
「I Thought about You」 (まり子)、「Ain’t Misbehavin’」(道子&まり子)、
「I’ll Be Seeing You」 (道子&まり子)、「Romance in the Dark」 (道子)、
「I Didn’t Know What Time It Was」 (道子)、「Exactly Like You」(道子&まり子)

やっぱり、この二人には強烈な個性と主張があります。
まり子さんには心にグイと踏み込んでくる力があり、道子さんには心にジンと沁み込んでくる力があります。
私的ベストは、まり子さんはバラードの「Don’t Go to Strangers 」、
道子さんはソウルフルな「Romance in the Dark」でした。
二人が超スローでじっくりと歌い上げた「I’ll Be Seeing You」も素晴らしかったです。

二人の明るいキャラクターもあって和気あいあいの楽しいライブになりました。
バックは橋本信二(g)さんと小杉敏(b)さんでしたが、さすがに姐御二人が相手では黒子に徹するしかないですね。
後半にはゲストの村田憲一郎(ds)さんが加わってくれてサウンドが厚くなりました。

最後の曲ではお客さんにもマイクが回ったんですがこのスキャットがみんな上手いので驚いてしまいました。
聞けばお弟子さんとのことで「やっぱりそうか」と納得した次第です。
一瞬、自分のところにも回ってくるかとヒヤヒヤしましたがマイクが届かず窮地を脱した。
「やっぱ、”長崎は今日も雨だった”じゃダメだろうね」


At The "Gate One" Takadanobaba On 2010/02/19



■鈴木良雄&Generation Gapを聴いてきました。
鈴木良雄(b)、中村恵介(tp)、山田拓児(as,ss,bcl)、ハクエイキム(p)、大村亘(ds)
ゲスト:佐藤恭子(as)

鈴木良雄(b)さんが率いるジェネレーション・ギャップは結成2年ほどになるそうです。
鈴木さんは「一人でギャップを生んでいる」と言って笑わせていました。
たしかにギャップを感じることは多々あると思いますが常に若手を育てる姿勢には感銘します。
ベテランがジャズの心を伝え、若手に修行の場を与えることは大事なことだと思います。
そんな鈴木さんが真ん中でド〜ンと控えているので安心感と安定感がありました。
当然ながらここは若手のプレイを聴くことにあります。
中村恵介(tp)さん=山田拓児(as)さんのフロント2管と
ハクエイキム(p)さん=大村亘(ds)さんのオーストラリア・コンビが聴きどころになります。
演目は鈴木さんとハクエイさんのオリジナルが中心です。
このグループは中近東を含むオリエンタルなリズムが特徴と見ましたがどうか。
ジャズで知られた曲では「マイルストーンズ」と「フリーダム・ジャズ・ダンス」の2曲でした。
中村さんはマイルス・デイビス命かも?
抑圧されたクールさと解放されたホットのバランスがよくて若さの特権の思い切りもありました。
注目の若手トランペッターは元気が身上、吹いた時の血管がはち切れそうなパワーが気持いいです。
これからもブンブンとぶっ飛ばしてガンガン鳴らして欲しいです。
山田さんはアルト・サックス、ソプラノ・サックス、バス・クラリネットを聴かせてくれました。
久し振りにコルトレーン系の若手アルト・サックス奏者を聴いたような気がします。
エリック・ドルフィー〜オーネット・コールマン、ソニー・フォーチュンやゲイリー・バーツといったところか。
サックスの音色は艶やかにコントロールされ丁寧で端正なフレーズ作りと突き抜ける部分もあります。
ただバス・クラはまだ音が抜けていない感じなので精進が必要かな。
ハクエイさんは撫でるような左手の動きが独特でそれが微妙なタイミングを生んでいると思いました。
師匠はオーストラリアのマイク・ノック(p)さん、イケメンなので女性の人気も上々のようです。
本人はそう言われるのが嫌なようですがジャズ活性化の一翼を担っているので突っ走って欲しいです。
大村さんはフレキシブルでバランスのいいドラマーだと思います。
最初に見たのはもう3年くらい前になりますがその時から注目していました。
ドラム・ソロはアイデア豊富、相手なり合わせる部分とグイグイと煽り、押し出す部分を持っています。

ゲストに佐藤恭子(as)さんが参加してくれました。
小柄な身体から熱くパワフルなアルト・プレイを聴かせてくれました。
こちらの根っこはリー・コニッツ〜ポール・デスモンドのクールにあると思いました。
山田さんとの対照的なアルト・バトルには観客のみなさんも大喝采でした。

これだけの若手を一度に見られる機会はそれほどありません。
ジャズの王道を行く鈴木さんがいるのでそんなに好き勝手をやれるわけでもない。
だからこそ素晴らしかった・・・いっぱいの元気をもらいましたよ。
若手のみなさんにはより一層精進して頑張って欲しいと思います。
若手の演奏を聴いているだけで本当に嬉しい。
日本のジャズの未来も明るいです。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/02/10



■池田篤・クインテットを聴いてきました。
池田篤(as)、岡崎好朗(tp)、辛島文雄(p)、島田剛(b)、高橋徹(ds)

久し振りにフロント2管の重量級サウンドが聴きたくなって出かけました。
メンバーも魅力的ですね。
池田篤(as)さんと辛島文雄(p)さんは共演歴も長くツーカーの仲です。
安定感のある高橋徹(ds)さん、島田剛(b)さんは今回初めて見ました。
それにアメリカから帰国してあちこちに引っ張りだこの活躍を見せる岡崎好朗(tp)さんがメンバーです。
池田さんが去年、このメンバーでライブ盤を出しているので演目はここからが中心だったと思います。
いわゆるスタンダード・ナンバーはボサノバで演奏された「コール・ミー」だけで、
あとは自身のオリジナルを含めてモダン・ジャズの曲が取り上げられました。
CDではチャールス・ミンガス(b)やセロニアス・モンク(p)が中心なのでその線に沿った選曲です。
その他マイルスの「マイルストーンズ」やロリンズの「オレオ」などが演奏されましたが例によって曲名が出てきません。

池田さんは言わずと知れたアルト・サックスの名手の一人です。
この日はいつになくガッツあるプレイを聴かせてくれました。
よりふくよかでまろやかな音色を目指しているようですね。
アルトというよりテナーサックスに近い音色で個性がありました。
フレーズのつながりは相変わらず素晴らしくて、アイデア豊富で刺激的なラインが次々に生まれてきました。
辛島さんの疾走感あるドライブ感に満ちたピアノ・プレイも相変わらず素晴らしかったです。
バラードにおける絶妙な間合いといい辛島節を堪能しました。
岡崎さんは他流試合が多く活躍の場がグ〜ンと広がっているので幅と技が広がっています。
ストレートながらややかすれたクールで切ないトランペットの音色に益々磨きが掛かっています。
自信にあふれていて、今最も脂の乗っているトランペーターではないかと思います。
高橋さんはこういうサウンドにはぴったりですね。
押し引き自在のちょうどいい案配というのを心得ているドラマーです。
押すか受けるか、普通はそのどちらかに傾いているんですがそのバランスがとてもいいんです。
島田さんは始めて聴きましたが辛島さんや後藤浩二(p)さんのトリオで活躍中のようで注目のベーシストですね。
リズム感溢れるランニング・ベースが心地良かったです。
ポン・ポン・ブン・ブンと特徴的な強烈なリズムを刻んできてソロイストも存分に乗れるという感覚です。

もちろんバラードもいいですがこのグループ魅力はグングンと突っ走るアップ・テンポにあると思いました。
ライブ・ハウス全体に熱気が伝わり、観客の皆さんが自然に揺れてくる感じが最高です。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/02/08



■橋本信二・トリオを聴いてきました。
橋本信二(g)、金子雄太(org)、加納樹麻(ds)
ゲスト:梶原まり子(vo)

元来オルガン・トリオのフォーマットといえばオルガン、ギター、ドラムスが定番ですね。
近年、ヴォーカルのバック以外にこの組み合わせを見ることはなかったので大いに興味ありました。
今回”狙い撃ち”で見に行きましたが結果は予想以上に素晴らしいものでした。

1セット
「P. S. I Love You」、「Stompin’ at the Savoy」、「Mellow Tone」
「If You Could See Me Now」、「Georgia on My Mind」 、「All Night Long」

2セット
「I Wish You Love」、「For the Love of You」、「Will You Still Be Mine」
「Someone to Ride up My Love」
「Crazy He Calls Me」 (vo)、「But Not for Me」 (vo)
「Cry Me a River」、「La Place」

選曲も凝っていて面白く、特にソウル・ファンキー路線の曲にハマりました。
ウェス・モンゴメリーの「Mellow Tone」、ケニー・バレルの「All Night Long」は極め付きの出来で良かった。
シャンソンの「I Wish You Love」やボサノバの「Someone to Ride up My Love」の
オルガン・トリオでの演奏も聴きどころになりました。

橋本信二さんのギターは円熟の極みで本当にカッコイイです。
ファンキーでセクシーで痺れる、橋本さんも団塊の世代ですが今が旬と思えるほどです。
金子さんも「ギターはこう弾け」みたいなことを言っていました。
その金子雄太さんのオルガンも去年何回か聴く機会がありました。
これからの日本オルガン界を背負っていく存在であるのは間違いありません。
今日のベストは「If You Could See Me Now」だったと思います。
ゆったりとしたノリのソウルフルでスマートなプレイがたまりませんでした。
加納樹麻さんのドラムスも好センスで魅力あります。
叩くというより軽く弾くという表現がピッタリで音色がタイトで心地良いです。
特に4ビートのシンバルの音がいいんだなぁ〜。
ゲストにはママの梶原まり子さんの登場でディープな歌声を2曲で聴かせてくれました。
「オルガンの音色はまた違ったムードが出るので歌っていてとても新鮮」と言っていました。

橋本、金子、加納の組み合わせは最高です。
このオルガン・トリオの魅力はもっとみんなに知って欲しいと思います。

ところでここに来るとジャズ友のIさんに会えるのが嬉しいです。
Iさんは曲名をズバリと当ててしまう稀有の才能の持ち主です。
プロデューサーでもあるんですがこれだけ詳しい人はちょっといないと思う。
いつも教えてもらっているので全曲自信を持ってお伝えできるんですよ。


At The "Gate One" Takadanobaba On 2010/01/26



■松本治&橋本一子のデュオを聴いてきました。
松本治(tb)、橋本一子(p)


これも興味ある組み合わせだったのでスケジュールを見た時に即行こうと決めました。
やっぱりというか、聴いた途端にこれは相性がぴったりだと思いました。
一子さんのなめらかでクリアなピアノと松本さんのまろやかで暖かい音色がマッチして絶妙なコラボレーション、
バラードでは美しくも幻想的な音楽空間が広がりました。
演目はスタンダードが中心、オリジナルも2曲やりましたがオリエンタルな曲想で一子さんのボイスが効果的でした。
二人はお互いに歌い合うというより、フレーズをパッパッパと切る語り合う感じのデュオです。

一子さんも話していましたがスタンダードをやるのは久し振りだそうです。
そのせいか、アプローチもトリッキーで新鮮、実に刺激的だったです。
特に歌ものが良かったと思います。
ベストはバート・バカラックの「アルフィー」でこれはもう最高でした。
定番の「ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ」、「アイ・ラブ・ユー」、「ジャスト・フレンズ」なんかも面白かったです。
ジャズ名曲からはソニー・ロリンズの「セント・トーマス」、ジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」、
チャーリー・パーカーの「スクラップル・フロム・ザ・アップル」?を聴かせてくれました。
最近はしょっちゅう曲名が分からなくなりますが「ビリーズ・バウンズ」だったかもしれません。

一子さんのCDはHPでも何枚か紹介していますがライブで見たのは初めてです。
超クールなイメージをもっていましたが意外に明るいキャラクターなので楽しかったです。
松本さんのトロンボーンは定評のあるところですが改めて素晴らしいのひと言です。
表現力も抜群で至難の楽器のトロンボーンをここまでコントロールできるとは驚きました。
アンコールではフリーに突入しましたがこれはちょっと消化不良気味で物足りなかったのが残念でした。
二人のコンビネーションは抜群なので次回機会があればまた聴いてみたいと思います。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2010/01/22



■小杉敏・トリオを聴いてきました。
小杉敏(b)、片倉真由子(p)、マーク・テイラー(ds)

2010年の最初のライブ・レポートです。
スケジュール表を見た時に「このトリオは外せないなぁ〜」と思いました。
今、最も注目されている片倉真由子(p)さんに二人のベテラン・プレイヤーがどう絡むのか。
なんとも刺激的な組み合わせであります。
3人がそれぞれの個性を発揮しながらも三位一体のオーソドックスなピアノ・トリオの王道を行きました。
ストレートでスムーズなサウンドが実に心地良く響いてきました。
聴いていてほとんど気になるところがないというのも珍しいかと思います。

演目で特徴的なのはモンクの曲です。
「モンクス・ドリーム」、「ルビー・マイ・ディア」、「エヴィデンス」などは3人が得意とするところとみました。
小杉さんがベースでテーマを弾いたのは「チェルシー・ブリッジ」と「イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ」の2曲です。
片倉さんのオリジナル「ポートレイト・オブ・フレディ」は大好きなフレディ・レッドに捧げた曲でCDにも入ってました。
その他、スタンダードでは「シークレット・ラブ」、「アイル・クローズ・マイ・アイズ」、「ジャスト・フレンズ」、
「酒とバラの日々」、マイルス・デイビスの「ノー・ブルース」などが聴けました。

評判通り、やっぱり、片倉さんはいいですね。
女性らしく繊細でしなやかなタッチと美しい音色の持ち主です。
流麗で瑞々しい感覚、清冽といったイメージを持ちました。
仙台出身、 音楽家のご両親の元で育ったとのことなので天性のリズム感があると思いました。
このリズム感が彼女の一番の財産であり、魅力ではないのか。

テンポのいい疾走感溢れるプレイはもちろんのこと、バラード演奏のスムーズさにもそれがよく現れています。
新鮮なアプローチをみせるモンクやスタンダードの解釈も聴きどころになりました。

小杉敏(b)さんはいわゆる腰の入ったリズム感溢れるベース・プレイが身上です。
太くて温かい音色の持ち主ですが、硬派というか、頑固というか、突っ張っている部分もあります。
以前の小杉さんは縁の下の力持ちに徹していた部分がありました。
でも最近は自信に満ち溢れ、グッと前面に出るようになってその存在感が一段と増しています。
とてもいいですね。
小杉さんを聴いているとジャズ・プレイヤーの旬の年齢は一体何歳なのかと考えさせられてしまいますよ。
団塊の世代はまだまだ元気な人が多いです。

マーク・テイラー(ds)さんは日本ではおなじみの方も多いと思います。
定期的に日本に来て演奏活動を続けているようですね。
秋吉敏子(p)さんやルー・タバキン(sax,fl)さんとの関係で日本に親しんでいるのかもしれません。
幅広い音楽性を持つ安定感のあるドラマーだと思います。
身体が大きいので軽く叩いても迫力があります。
押し引き自在の細やかなドラミングをみせますがテクニックをひけらかすこともなく、
オーソドックスなスタイルを貫いています。

このトリオの心地良さは何だろうと考えてみるにリズム感にあると思い至りました。
それぞれのリズム感が実に安定しているんです。
難解なモンクの曲をやっても然り、スーッと心に入ってくる感じがします。
自然だから聴いていて全然疲れないのがいいです。
なめらかに流れるように・・・ストレートなピアノ・トリオが聴けました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2010/01/14




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