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Dragon's Jazz Corner

最近の愛聴盤

くつろぎ系 初心者の人や、疲れ気味の人におすすめです。
まじめ系 ジャズをしっかりと聴きたい人におすすめです。
中間系 そのどちらでもない人とそのどちらかの人向きです。


注: ここで言う愛聴盤とは私が寝る前によく聴くアルバムです。

10枚限定です。


(10) JD ALLEN QUARTET / RADIO FLYER


jd allen(ts),
liberty ellman(g), gregg august(b), rudy royston(ds)
2017/Savant/


 1  Sitting Bull
 2  Radio Flyer
 3  The Angelus Bell
 4  Sancho Panza
 5  Heureux
 6  Daedalus
 7  Ghost Dance


JD・アレン(ts)を聴くのも久し振りです。
ちょっとは重たいものも聴かないといけないかなと思って手が伸びました。
アレンは硬派のテナー奏者でベースとドラムスの不動のピアノレス・トリオを率いています。
今回は新たにギターが加わったワン・ホーン・アルバムに興味を引かれました。
ジョン・コルトレーン〜ファラオ・サンダースにプラス、ソニー・ロリンズはギンギンの主流派と言えると思います。
それにオーネット・コールマンやアルバート・アイラーといったところのアプローチもあります。

全7曲は全てアレンのオリジナルで1曲目から彼の世界が広がっていました。
テーマはあってもないようなもので基本的にはフリー・スタイルを貫き通しています。
ソロイストの主張にメンバーが即座に反応する・・・即興性のジャズの魅力が詰まった作品と言えます。
特にルディ・ロイストンのドラムとの絡みが素晴らしくて、ここが一番の聴きどころになるかな。
リバティ・エルマンのギターがまた長年のレギュラーのようにメンバーに馴染んでいるのにも驚かされました。
まったく違和感がありません。
先の展開の見えないスピリチュアルな演奏が魅力です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(9) MIGUEL ZENON QUARTET / TIPICO


miguel zenon(as),
luis perdomo(p), hans glawischnig(b), henry cole(ds)
2016/Song X Jazz/


 1  Academia
 2  Cantor
 3  Ciclo
 4  Tipico
 5  Sangre De Mi Sangre
 6  Corteza
 7  Entre Las Raices
 8  Las Ramas
 9  La Novia Que Nunca Tuve


ミゲール・ゼノン(as)の新作はジャケ買いです。
ある種一抹の不安を抱えながら13年振りにリーダー作品を買いました。
ゼノンはバークリーの出身、キューバのダニーロ・ペレス(p)や先輩格のデヴィッド・サンチェス(ts)等と共演して頭角を現してきました。
ユニークで強力なアルト奏者として注目していましたが余りにシリアスでダークな世界・・・聴いていて疲れるので離れてしまいました。
これはゴンザロ・ルバルカバ(p)や前述のデヴィッド・サンチェスにも同様の思いがあります。

今作は原点であるプエルトリコに回帰する曲想で全9曲中8曲が自身のオリジナルです。
ジャケットの雰囲気が良くて、もう1回「買ってみようか」という気になりました。
結果は買って良かった・・・これはゼノンの最高の一枚になったと思います。
超クールな音色のゼノンの特徴もよく出ているし、盟友ルイス・ペルドモ(p)の素晴らしいピアノも聴けます。
思うにジョニー・ホッジス〜ポール・デスモンド〜マリオン・ブラウン〜ミゲール・ゼノンの流れが出来ました。
このラインはサウンド的にとても重要で、アルト・サックスの特徴的な高音部の奏法が受け継がれています。
細く、薄く、繊細でクール、透明感のある美しい音色を持っています。

私的ベスト・トラックは感動的な(2)「Cantor」、ハイセンスなリズム感の(6)「Corteza」にも注目しました。
表題曲の(4)「Tipico」や(3)「Ciclo」も良かった、フリー・フォームで演奏される(7)「Entre Las Raices」も入ってます。
相も変わらず日本盤のみのボーナス・トラックの(9)ですがこの先進のラテン・サウンドも聴きどころになりました。
全体を通してペルドモの存在感が光っていて、ペルドモ居ればこそのゼノンという感じがしました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(8) FRANCO D'ANDREA TRIO / TRADITIONS TODAY


franco d'andrea(p), daniele d'agaro(cl), mauro ottolini(tb)
2017/Parco Della Musica Records/

CD1-Live Session
 1  The Telecasters/Afro Abstraction/I Got Rhythm
 2  Basin Street Blues
 3  Via Libera
 4  Naima
 5  Muskrat Rumble/King Poters Stomp/Grapes
 6  Saint Louis Blues/I've Found A New Baby
 7  Staccato 1

CD2-Studio Session
 1  m2+M3
 2  Savoy Blues
 3  I Got Rhythm
 4  Lychees
 5  Staccato 2
 6  m2+M3 (Alternate Take)
 7  Savoy Blues (Alternate Take)
 8  Lychees (Alternate Take)


イタリアのベテラン・ピアニストのフランコ・ダンドリアを久々に聴きました。
ピアノ、クラリネット、トロンボーンの組み合わせって珍しいですね。
それでどんなものかと思って手が伸びました。

ダンドリアが考えるジャズの伝統とはこういうものか。
それを具体的に表現した作品になっています。
ライブ録音とスタジオ録音の2CDです。

1920年代、30年代、うらぶれた小さな酒場のホンキー・トンクなピアノでこんなジャズが演奏されていた。
ブルース、ブギウギ、チャールストン、スイング、特にブルースは古典的な3曲が選曲されています。
ダンドリアのストライド・ピアノが聴きどころで表題の「Tradition Today」がピッタリです。
でもやっぱり私はハード・バップ以降のモダン・ジャズの方が好きだけど・・・回帰型ジャズは向いていません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(7) NAJPONK TRIO / AND TENER TITANS


ondrej stveracek(ts), osian roberts(ts),
najponk(p), taras voloschuk(b), marek urbanek(ds)
2017/Gats/


 1  Introdiction By Glenn Spicker
 2  All Crean (D.Gordon)
 3  Rhythm-a-Ning (T.Monk) / dedicated to Hans Groiner
 4  Take The Coltrane (D.Ellington)
 5  Blue Monk (T.Monk) / dedicated to Hans Groiner
 6  Impressions (J.Coltrane)
 7  All Crean (D.Gordon) - afternoon rehearsal take


もう10年位前になるのかな、チェコのナイポンク・トリオが大きな話題になったのは。
ナイポンクが紹介されるや否や確かな実力と個性的な名前で日本のピアノ・ファンを席巻してしまった。
バド・パウエル系のジャズの王道をいくピアニストで、メリハリのある切れ味鋭い演奏が素晴らしいです。
どれを聴いても間違いないという安定感と安心感があって聴き味がとても良いです。
やはり大人気のようで毎年新作も次々に発売されています。

ジャケットを見た途端に「これはいいぞ」という予感がありました。
3週間前に紹介したばかりの
チェコのOndrej StveracekとイギリスのOsian Robertsの2テナーの競演です。
企画は日本の「ガッツ・プロダクション」なので演出もバッチリと決まりました。
テナー二人の個性がハッキリしているので聴いていて面白かったです。
共にコルトレーン系でパワフルであるけれどOndrej Stveracekは切れ味、Osian Robertsはうねるテナーが特色です。
デクスター・ゴードン(ts)を彷彿とさせる豪快さも持っています。
そのデックスの1曲目の「All Crean」でギュッと心を鷲づかみにされました。
(7)「Impressions」では二人の個性が浮き上がる・・・ナイポンク・トリオの素晴らしいバッキングにも注目です。
チェコ・ジャズの最高峰が聴けたと思います。
テナー・バトルの作品は数多く存在しているけれど、これもまた記憶に残る一枚になりました。
最後にリラックスしたリハーサルの1曲が加えられているのもプロデューサーの心の中が見えるようです。
雰囲気がいいので「どうしてもお蔵入りにしたくはなかった」という気持が・・・。


なお(3)と(5)の2曲はモンク研究のオーストリアのピアニスト、ハンス・グロイナーに捧げるものになっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(6) GRANT STEWART TRIO / ROLL ON


grant stewart(ts), paul sikivie(b), phil stewart(ds)
2017/Cellar Live/


 1  Thinking Of You (H.Ruby/B.Kalmar)
 2  Here I'll Stay (K.Will)
 3  After You've Gone (T.Layton/H.Creamer)
 4  Just As Though You Were Here (J.B.Brooks/E.Delange)
 5  Un Poco Loco (B.Powell)
 6  End Of A Love Affair (E.C.Redding)
 7  Fats Flats (F Navarro)
 8  Do You Know What It Means To Miss New Orleans (E.Delange/L.Alter)
 9  Roll On (E.Hope)


グラント・スチュアート(ts)のピアノレス・トリオ盤です。
グラント・スチュアートについてはあまり興味がなかったのでほとんど情報を持っていませんでした。
テナー奏者にしては茫洋としていてちょっとぼやけた感じがしたからです。

グラントは1971年生まれの現在46歳です。
ちなみにエリック・アレキサンダー(ts)は48歳でハリー・アレン(ts)は50歳なので一番若いです。
解説を読んでみるとグラントはカナダ出身、トロントでパット・ラバーレラ(sax)とボブ・ムーバー(sax)に師事したとありました。
今作のルーツはソニー・ロリンズ(ts)のトリオ盤で「Way Out West」(1957)、「Village Vanguard」(1957)、「Freedom Suite」(1958)だそうです。
サックス奏者がある程度のキャリアを積んでくるとピアノレス・トリオをやりたくなる傾向にあるようですね。
そんなこともあって有名サックス奏者のほとんどにピアノレス・トリオ盤が出ています。
グラントとっては2枚目のピアノレス・トリオになります。

改めて私がグラントのテナーにピンとこないのはなぜだろうと考えてみました。
落ち着き過ぎている・・・抑揚がないというか、どうも一本調子に聴こえてしまうのです。
くねる奏法・・・音域も狭いような気がするし、無理してない、冒険していない感じがします。
私はテナー・サックスが大好きだけど突き抜ける鋭い音色と切れ味が欲しいです。
まあね、最後はやはり好みの問題だと思います。

ピアノがないとなればサックスに歌心が欠かせませんね。
で、ここではサラ・ヴォーンとフランク・シナトラをイメージしたと書いてありました。
私は今作でのグラントは今まで聴いた中で一番良いと思いました。
特に(4)、(6)、(8)のバラードが聴きどころになりました。
マイペースでのんびり、ゆったりと歌う感じがぼんやりとした音色に合っています。
グラントは牧歌的、演歌的歌い方をするサックス奏者だと認識しました。
表題曲はエルモ・ホープ(p)の曲ですがホープには作曲の才もあったので取り上げられたのは嬉しいです。
なおドラマーのフィル・スチュワートはグラントの弟だそうです。


「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(5) ATSUSHI KANNO TRIO / ATSUSHI KANNO TRIO


atsushi kanno(tp), takashi ohashi(p), nobuyuki yano(b)
2017/YPM/


 1  Swing That Music (1936/H.Garland&L.Armstrong)
 2  Black And Tan Fantasy (1927/D.Ellington)
 3  Liza (1929/G&I.Gershwin)
 4  Lotus Bloosom (1967/B.Strayhorn)
 5  You're Getting To Be A Habit With Me (1932/H.Warren&A.Dubin)
 6  It Don't Mean A Thing (1932/D.Ellington&I.Mills)
 7  Should It ? (1930/N.H.Brown&A.Freed)
 8  Under A Blanket Of Blue (1933/J.Livingston&M.Symes, A.J.Neiburg)
 9  Riverboat Shuffle (1924/H.Carmichael)
 10  Do You Know What It Means To Miss New Orleans (1944/E.De.Lange&L.Alther)
 11  Panama (1912/W.H.Tyers)
 12  There's A Small Hotel (1936/R.Rodgers&L.Hart)
 13  West End Blues (1928/J.K.Oliver)


帯中の”ほろ苦い大人のトラッドジャズ”に惹かれました。
トランぺッターの菅野淳史さんの名前は初めて聞きました。
中堅のジャズ・マンで名前を知らないというのも珍しいです。
私はモダン・ジャズが中心ですが菅野さんはデキシー&ニューオリンズ畑なので接点がなかったかも。

ここはトラディショナルな選曲が魅力だと思います。
1920年代と30年代が中心でめったに聴けない曲も入っていました。
大橋高志(p)さんと矢野伸行(b)さんとのドラムレス・トリオでのんびり、ゆったりとした気分になりました。
心地良いトランペットの音色と軽やかなスイング感の雰囲気は昼下がりのコーヒー・タイムにピッタリです。
静かに時間が流れていきます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(4) ONDREJ STVERACEK QUARTET / SKETCHES


ondrej stveracek(ts),
klaudius kovac(p), tomas baros(b), gene jackson(ds)
2016/Stvery Records/


 1  Song Nr.226 (O.Stveracek)
 2  I Want To Talk About You (B.Eckstine)
 3  Bunch Of Gypsies (T.Baros)
 4  Sketches (O.Stveracek)
 5  It Could Happen To You (J.V.Heusen)
 6  Three Card Molly (E.Jones)
 7  Before Then (G.Jackson)
 8  Lullaby-dedicated to my daughter Anna (O.Stveracek)


ondrej stveracekは初見ですが何と読めばいいんでしょうか。
チェコのベテラン・テナー奏者だそうです。
サングラスにテナー・サックスとくればブルー・ノートのハンク・モブレー(ts)を思い出します。
いかにも1960年代のジャケットが気に入って手が伸びました
馴染み深いジーン・ジャクソン(ds)の名前があるのも安心感がありました。

聴いてみると中身はモブレーではなくてジョン・コルトレーンそのものでした。
1曲目からグイグイと飛ばす飛ばす、その圧倒的なスピード感に引き込まれてしまいました。
2曲目になるとまるでコルトレーンの「バラード」を聴いているみたいに錯覚してしまうほどです。
サウンド的に一番面白かったのは(3)「Bunch Of Gypsies」で独特のお国柄が出ていました。
表題曲の(4)「Sketches」はピアノとドラムスのコンビネーションが凄いです。
アルバム全体を覆う重量感があります・・・コルトレーン・カルテット風味がする。
全員が一丸となって切れ味鋭く強靭なタッチで迫ってくるという表現が一番ピッタリときます。
チェコのジャズ・シーンの底力を見た思いがしました。

ジーン・ジャクソンの名前は東京のライブ・ハウスでもよく見かけます。
大の親日家のようでしょっちゅう日本にも来ているようです。
私も何度か聴く機会がありました。
当然ながら彼の多彩なドラミングも聴きどころになります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(3) JOEY DeFRANCESCO + THE PEOPLE / PROJECT FREEDOM


joey defrancesco(org,key,tp),
jason brown(ds), troy roberts(ts,ss), dan wilson(g)
2017/Mack Avenue/


 1  Imajine (Plelude) (J.Lennon)
 2  Project Freedom (J.Defrancesco)
 3  The Unifier (J.Defrancesco)
 4  Better Than Yesterday (J.Defrancesco)
 5  Lift Every Voice And Sing (J.W.Johnson&J.R.Johnson)
 6  One (J.Defrancesco)
 7  So Near, So Far (T.Crombie&B.Green)
 8  Peace Bridge (J.Defrancesco)
 9  Karma (J.Defrancesco)
 10  A Change Is Gonna Come (S.Cooke)
 11  Stand Up (J.Defrancesco)


最近オルガンが聴きたくなったこともあってチャールス・アーランドにハマっています。
そんな中で久々にジョーイ・デフランチェスコを買ってみました。
オルガンに関してはどうしてもジミー・スミスやジャック・マクダフのイメージが強過ぎます。
それでデフランチェスコにしてもスマートさがネックになってほとんど聴いてなかったです。
色んな楽器が演奏できるマルチプレイヤーの器用さもマイナスだったかもしれません。
今作はいわゆる有名なスタンダードが1曲も入っていなかった。
それが「かえっていいかな」と思って手が伸びました。

全11曲は自身のオリジナルが7曲とその他4曲の構成です。
予想は正解だったです。
サウンド的に最先端のオルガン・ジャズが聴けました。
題名が「Project Freedom」です。
デフランチェスコはこういうものがやりたかったんですね。
広がりのあるサウンドでデフランチェスコのスタイルにはピッタリだと思いました。
サックスのトロイ・ロバーツは初めて聴いたけど中々いいと思いました。
私的ベストは最もジャズっぽい雰囲気を持つ(9)「Karma」でこれはカッコ良かったです。

ジャズ・オルガニストの層は薄いけれどデフランチェスコは経験、実力も十分です。
知名度も高いのでやはりこの人にはオルガン・ジャズの先頭に立って引っ張ってもらいたい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(2) YOICHI KOBAYASHI & GOOD FELLOWS / TAKE THE YELLOW TRAIN


vincent herring(as), eric alexander(ts), erena terakubo(as)(2,6,7),
anthony wonsey(p), motoi kanamori(b), yoichi kobayashi(ds)
2017/Monky's Records/


 1  Manteca (D.Gillespie)
 2  Sweet Clifford (C.Brown)
 3  Just Squeeze Me (D.Ellington)
 4  Take The Yellow Train (Y.Kobayashi)
 5  You Don't Know What Love Is (G.D.Paul)
 6  Two Bass Hit (D.Gillespie)
 7  Franks Tune (F.Strozier)
 8  Giant Steps (J.Coltrane)
 9  Good Morning Heartache (D.Fisher)


小林陽一&グッドフェローズの新譜です。
日本人はJJM(ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ)と外国人が入るとグッドフェローズになるようです。
小林さんが率いるグループのライブは楽しめるので機会があれば見に行くようにしています。
長年若手の登竜門にもなっているので新人のプレイ振りが一番の楽しみです。
ここから巣立って行った一線級のプレイヤーがいったい何人になるのか?
以前小林さん本人に聞いたことががあるけど、数が多過ぎて「もう、分からない」そうです。

さて今作はライナー・ノーツを小林さん自身が書いています。
80年代ニューヨークでストリート・ミュージシャンとして知り合ったのがヴィンセント・へリング(as)なので盟友ですね。
以前、小林さんに「ストリートの稼ぎは凄く良かった」と聞いたことがあります。
その後ヴィンセントはメジャーへの道を歩むことになります。
ストリート出身のジャズ・ミュージシャンは貴重で実戦向きの強力で独特の雰囲気を持っていると思います。
そのヴィンセント・へリングつながりでエリック・アレキサンダー(ts)との共演も多くなりました。

ここは話題の寺久保エレナ(as)さんが参加していてフレッシュな演奏を聴かせてくれました。
さらに日本で演奏することも多いアンソニー・ウォンジー(p)と才能溢れる金森もとい(b)さんが共演です。
聴きどころはまずエリックとヴィンセントのワン・ホーンになるかな。
エリックの(5)「You Don't Know What Love Is」はボサノバで演奏されますがこの曲のボサは珍しいかも。、
ヴィンセントの(9)「Good Morning Heartache」のバラード奏法も素晴らしいです。
(7)「Franks Tune」ではヴィンセントと寺久保さんのアルトの競演が聴けました。
フランク・ストロジャー(as)は近年再評価されているような気がするけどこの曲もいいです。
唯一の3管アレンジは(6)「Two Bass Hit」で聴けました。
やはり寺久保さんの参加が大きいと思う・・・初共演ということもあって緊張感が漂っています。

なお今までヴィンセント・ハーリングと書いていましたが正しくはヴィンセント・へリングのようです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(1) PETER & WILL ANDERSON / CLARINET SUMMIT


peter anderson(cl)(solo1), will anderson(cl)(solo2),
ken peplowski(cl)(solo3), paquito d'rivera(cl)(solo4)
tardo hammer(p), david wong(b), kenny washington(ds)
2016/Storyville/


 1  How About You ? (B.Lane) (solo1,3,2)
 2  When You Wish Upon A Star (L.Harline) (solo2,3,1)
 3  Very Saxy (Eddie.L.Davis) (solo1,3,2)
 4  Prelude To A Kiss (D.Ellington) (solo1)
 5  I'll Never Be The Same (M.Malneck) (solo2)
 6  Cry Me A River (A.Hamilton) (solo3)
 7  Make Someone Happy (J.Styne) (solo2,3,1)
 8  How Insensitive (A.C.Jobim) (solo2,1,3)
 9  Groovin' High (D.Gillespie) (solo4,2,1,3)
 10  Creole Love Call (D.Ellington) (solo4,2,3,1)
 11  A Night In Tunisia (D.Gillespie) (solo3,4,2,1)


ピーター&ウィル・アンダーソン、兄弟(双子)サックス奏者のクラリネット作品です。
普段はピーターがテナー・サックスでウィルがアルト・サックスを吹いています。
二人は軽快でスイング感溢れるクラシカルなジャズ・スタイルを持っています。
柔らかく優しい音色、スマートで優等生、爽やかなウエスト・コーストの風を感じる。
そんな二人のクラリネットならピッタリじゃないかと思いました。
その上共演がケン・ペプロウスキーとパキート・デ’リヴェラときたら興味津々です。
ペプロウスキーはベニー・グッドマンを彷彿とさせる名手でパキートはキューバ出身のアルト奏者。
久々にパキートのクラリネットが聴けるのは嬉しかったです。
ライブ盤ですが4人のクラリネット奏者が並んだステージは壮観だったでしょうね。
つくづく「見てみたいなぁ〜」と思いました。

今時、スイング系のクラリネット作品は珍しいのではないかと思います。
でもオールド・スタイルはいつの時代でも一定の支持があるのは確かです。
全11曲は良く知られたスタンダードが中心です。
唯一の例外は(3)「Very Saxy」でエディ”ロックジョウ”デイヴィス(ts)の曲です。
”ロックジョウ”の曲が取り上げられるのは珍しいけどバトル曲としてはピッタリかな。
各曲のソロの順番を書いてくれているのも親切ですね。

ベテランのペプロウスキーとパキートの上手さはすでによく知られています。
ピーター&ウィルの兄弟もそれに勝るとも劣らない好演を聴かせてくれました。
複数のクラリネットによるユニゾンやアンサンブルがまた新鮮です。
クラリネットが堪能出来るジャズ・アルバムとして貴重な作品になると思います。
疲れている時に最適な癒し系・・・4人のクラリネットが一度に聴ける大徳用盤です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)