赤彦の童謡は、当時「赤い鳥」を中心とした芸術的な歌謡とは一線を画していました、 「赤い鳥」の鈴木三重吉の「芸術味豊かな、即ち子供らの美しい空想や情緒を優しく育むような歌と曲を」、北原白秋の「童謡は本来児童の歌謡である、しかも成人の作るところの童謡も、童心童語であらねばならぬ」といった論に対し、赤彦は「大人は大人である、焼いても煮ても子どもにはなれない、
子どもになれない大人が、仮に子どもになったつもりで起居動作したらどうであるか、気の毒な滑稽ではないか、子どもの心になって童謡を作せ という人はさきの滑稽を移して、そのまま童謡へ持っていこうとする人ではないか、大人が童謡を作すというのはどこまでも大人が子どもと交通することである、
大人は大人の愛を突き詰めて子どもと交通していればいいのである、そこに相互の同情が融然として合致してくるべきである」、 「子どもになれという童謡論者は蓽竟大人に子どもの物真似をせよという人々である、(中略)子どもはどこまでも質素で朴直な大地の上に立って居らねばならぬ」
と論じました
赤彦の童謡を読んでいると身のまわりの自然、動物、素朴な人を題材に、よく観察されていて、言葉の調子とともに、
土のにおいのする暖かな雰囲気に包まれてきます
赤彦は最後にこう言っています「私の質素といい朴直と言うたのは、それが貧弱なみすぼらしさを意味するつもりではない
、質素の中に豊かさがあり、朴直の中に品位の具わっていることは優種族人の特徴である、古事記の伝説を生み、万葉集を生み、
さらに奈良朝の美術を生んだ民族の心が夫れである」と、そして、赤彦は童謡集の最初で「(前略)この本は皆さんを浮き立たせません、
華やかな歌は一つもありません、そのつもりで読んでください、あまり口早やでなくそろそろと読んでみて下さい」といっています
赤彦の童謡の世界をゆっくり味わって下さい
諏訪湖博物館・赤彦記念館 館長 宮坂
赤彦の童謡を紹介するに当たり、「宮坂増雄写真集==懐かしの-諏訪==」からの写真も掲載させて頂いております、「土のにおいのする、大地に足をつけた・・・」と述べた赤彦の思いにふさわしい写真集だと思ったからです、写真も同時にお楽しみ頂きながら赤彦の童謡に親しんで頂けたら幸いです
宮坂増雄氏の写真のすばらしさは”暮らし”を撮っているところだと思っています、昭和30~40年代の諏訪の人々のくらしを生き生きとしたタッチで写し撮っています
そして、これはもう諏訪の民族を語るのに欠くことの出来ない貴重な資料でもあります
尚 「宮坂増雄写真集==懐かしの-諏訪==」は、博物館でも展示しています、お頒ちもしていますので、ご希望の方は諏訪湖博物館(TEL0266-27-1627)迄お問い合わせ下さい
諏訪湖博物館・赤彦記念館 館長 宮坂