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古楽系ハープの取り扱い中止について
誠に勝手ながら当オフィスでは現在のところ
古楽系のハープの取り扱いを中止させていただいております。
  
*数多くの種類

 古楽ハープには無数の種類があり、すべてが異なります。「普通の古楽ハープ」というものは存在しません。また、購入された機種によって演奏できる音楽の範囲が決まってしまいます。逆に言うと、最低でも演奏する音楽の時代や地域が限定されていないと、どのタイプのハープをお勧めしたらよいのかもわかりません。

  
*膨大なお問い合わせ件数

 古楽ハープに関しては非常に多くのお問い合わせをいただきました。以前はお問い合わせをいただくたびに資料を揃えて発送していました。しかも、それだけではすべての種類のハープの違いを把握することはできませんので、お問い合わせをされた方の多くは、おひとりで複数回のお問い合わせをされることになります。
 但し、残念ながらほとんどの方が古楽ハープに関して正しい知識をお持ちでないため、正しい情報も誤解されてしまうケースが非常に多く、説明の量に比例して誤解も膨らんでしまうという悪循環がありました。
 また、詳しく説明すればするほど、そのお客様が考えていらしたものとは異なるものであることが明確になってしまい、資料と手紙の数回のやりとりの後にご注文を断念されるというケースがほとんどでした。処理しなければならないお問い合わせの数は膨大なのに、実際に購入される方は極端に少数だったのです。

  
*様々な誤解

 ハープも他の楽器と同様に「難しい」楽器です。しかし何故か「買ったその日に演奏できる単純な楽器」と考えておられる方が多いのです。
 古楽ハープは古楽を歴史的なスタイルで演奏するために復元された楽器です。従って、それ以外の用途は想定されていません。演奏にあたっては各ハープ、各時代、各地方の音楽や奏法に関してかなり綿密に研究する必要があります。場合によっては留学、或いは海外のセミナー等に参加する必要があるうえに、各機種に合わせて個人的に資料を分析して独力で研究しなければなりません。
 ほとんどの方は気楽に(オモチャのように)簡単に遊べる小さな安いハープを探しておられたのだと思います。もちろん、細かいことは気にせずに、思ったまま気楽に演奏することも可能です。ところがそれはあくまでもそのハープと奏者の能力の範囲内に限られます。17弦の中世ハープでビートルズやユーミンの曲を演奏しようと思っても無理ですし、それなりの音楽的な実力も必要となります。感覚的に自由に楽器を弾きこなすことのできる人というのは、残念ながら非常に稀な存在です。ほとんどの方は1から10まで丁寧に教えてくれる先生と完璧な楽譜を必要とされています。その点、古楽ハープには適当な指導者がいませんし、各機種ごとに音域も機能もまったく違う楽器ですので市販の楽譜は使えず、自分自身で編曲しなければなりません。

  
*製作側の問題

 古楽ハープの製作家は「職人」でも「商売人」でもなく、むしろ「研究家」「学者」といった感じです。従って、ビジネスの分野に関しては無頓着で、注文を受けたハープの製作には半年から数年かかり、造っている本人にもいつできあがるのかわからないといった状況がありました。

  
*日本側の事情

 我が国では古楽ハープはまだまったく知られていません。古楽自体の存在も知られていないのですから、無理もありません。このため歴史的に忠実に復元するということの意味が理解されず、その存在価値にも疑問を持たれ、様々な誤解やトラブルの「タネ」になってしまいました。

  
*市場の現状

 本当に古楽ハープを必要とされている方は滅多にいません。従って、一般的な市場には参入することができません。その反面、「中世ハープ」「ルネサンス・ハープ」などという名前や古楽ハープの外見上のデザインは非常に一般ウケしてしまいます。結果として市場には名前や外見のみを取り入れた「現代のハープ」が多くなってしまいました。もちろん、それらは「復元楽器」ではなく、全体の構造、弦の間隔、弦の張り、音色、音量等々、歴史的なハープとは言えないものです。それによって演奏される音楽も、本来の古楽からはかけ離れたものになってしまいます。
 ところがそれらは現代のグランド・ハープの奏者に合わせて製造されており、彼らにとっては本来の古楽ハープよりも扱いやすくなっています。また、歴史的ではないものの、ひとつの「楽器」としては良くできたものである場合も多いのです。つまり「ニセモノ」ではないのです。しかし当方が古楽ハープについて説明を行なうと、逆にそれらのハープの存在価値を否定しているように聞こえてしまいます。これはそのようなハープを製造しているメーカーや取り扱っている業者、演奏しているハープ奏者にとっては「大問題」です。「蟻一匹が象の大群に向かって喧嘩を売っている」ように見える状況というのは少々エグイもので、この誤解も解くことはできませんでした。

  
*バックアップの不備

 当方としては、楽器を販売しているからには、最低限のバックアップとして様々な教本や資料、情報、補充用の弦などを取り揃え、できるだけ有効なアドバイスのできるような体制を取っていきたいと考えています。
 しかし、古楽ハープの分野は非常に広く専門的で、そのような体制を取ることができませんでした。このようなバックアップの不備は、トラブル発生の原因にもなりますし、その処理も難しくなってしまいます。

  
 これら以外にも様々な事情があり、古楽ハープの取り扱いは中止させていただきました。最初は「しばらく状況をみて好転したら再開しよう」と思っていたのですが、現在のところ、あまり変化はないようです。
  
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