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マンドリンの種類について

 マンドリンには大きく分けて以下の3種類があります。

ラウンド・バック・マンドリン
 リュートのようにボディの裏面が丸いマンドリンです。マンドリン・オーケストラなどで使用されているタイプです。

フラット・マンドリン
 もともとブルーグラスなどで使用されていたタイプですが、アイリッシュなどでもよく使われます。表板と裏板の両方に独特の膨らみ(アーチ)があります。明るく張りのある音色です。

アイリッシュ・マンドリン
 元祖はポルトガルのもので、多くは表板も裏板も平らです。ボディはペア・シェイプで、厚みはメーカーにより異なります。トラッド系の奏法に合わせてネックの幅が広くなっているものもあります。やや甘く線の太い深みのある音色です。

 ブルーグラスなどにおいてはアタックの効いた明るく張りのある大きな音が必要とされます。このため弦も太めのミディアム・ゲージを使ったり、ピックも厚く硬いものを使ったりします。これに対し、アイリッシュ系では甘く渋い音色が好まれるため、ライト・ゲージを薄く柔らかいピックで演奏したりします。楽器自体もそのような要求に応えるように作ってありますので、弦やピックのチョイスを間違えないようにする必要があります。もちろん、奏法スタイルも大きく異なるわけです。
 但し、アイリッシュ系でもロック寄りの音の大きなバンドなどでは、ブルーグラスと同様の音が必要になる場合もあるでしょう。そのような場合は本来のアイリッシュ・マンドリンよりも、ブルーグラス系のFモデルの方が適当かもしれません。
  

   
   
ケルト(アイリッシュ)系のマンドリン類について

 ケルト系のマンドリン類は主にそのスケールの長さやチューニング方法により分類されますが、実際には明確な境界線の存在しない部分もあります。

マンドリン
 チューニングは下からGDAE、スケールは330〜360mm(通常は350〜360mm)です。

マンドーラ
 「テナー・マンドーラ」「テナー・マンドリン」とも呼ばれます。チューニングは下からCGDA、スケールは410〜430mmです。

オクターブ・マンドーラ
 「オクターブ・マンドリン」とも呼ばれます。チューニングはマンドリンよりも1オクターブ低いGDAEです。5フレットにカポをすればマンドーラと同じチューニングになります。スケールは範囲が広く515〜580mm(多くは530mm)です。従って、ショート・スケールのブズーキと区別がつかなくなる場合もあります。無理に区別する必要もないでしょう。

アイリッシュ・ブズーキ
 ギリシャの「グリーク・ブズーキ」がアイルランドで独自に変化したものです。チューニングはGDADで、スケールは580〜670mmです。

シターン
 10弦5コースでスケールは550〜670mm(多くは580mm)です。チューニングは様々でDGDGD、DADAD、DGDAD、DGDAEなど、奏者によって異なります。ルネサンス・シターンとはまったく別の楽器ですので、注意してください。
  

    
   
グリーク・ブズーキとアイリッシュ・ブズーキの違い

*ボディの形
グリーク:ラウンド・バック
アイリッシュ:フラット・バックでペア・シェイプ(梨形)
*チューニング

グリーク:DAD、CFADなど(低音弦のペアはオクターブ違い)
アイリッシュ:GDAD(低音弦のペアはユニゾンにすることが多い)
*弦の数
グリーク:6弦3コースまたは8弦4コース
アイリッシュ:8弦4コース
*スケール
グリーク:長いものが多い
アイリッシュ:長いものも短いものもある
*ネック幅
グリーク:狭いものが多い
アイリッシュ:広いものが多い
*音色
グリーク:明るく金属的
アイリッシュ:比較的ソフトで太く深みがある

 つまり、GDADのチューニングで低音弦はユニゾン、短いスケールでネック幅が広く、甘い音色のものが最もアイリッシュ的と言えます。但し、メロディアスな奏法は用いず、コードによる奏法をメインとするなら、ある程度グリーク的な特徴を持ったもの(スケールが長く低音弦をオクターブ違いにしたもの)の方がよい場合もあります。
  

   
  
テナー・バンジョー
 ついでに説明しておきます。ブルーグラスなどで使用される一般的なバンジョーは5弦でロング・スケールですが、アイリッシュ系の音楽では主に4弦でスケールの短いテナー・バンジョーが使用されます。多くはスケールが580mmで、チューニングはオクターブ・マンドーラと同じくGDAEです。稀にマンドーラと同様のCGDAにチューニングされることもあります。デキシーランド・ジャズなどではCGDAで主にコード・ストロークのみで演奏されていました。このためCGDAを「スタンダード・チューニング」、GDAEを「アイリッシュ・チューニング」と呼ぶこともあります。特にマンドーラのようにスケールの短いテナー・バンジョーもあり、こちらは「スタンダード・チューニング」専用です。
 アイリッシュ系のテナー・バンジョーの演奏スタイルは、5弦のバンジョーの奏法とは大きく異なり、むしろマンドリンに近いものです。
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