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トラッドのリズムについて(2) |
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【リズムの違い】 以前の「トラッドのリズムについて」でトラディショナルなリズムと現代風のリズムの違いについてご説明させていただきましたが、リズムの話を文章で読んでもわかりにくかったかも知れません。そこで、やや即席ではありますが、ブズーキを中心に MP3 の音声ファイルを作ってみました。曲は『Johnnie McCle John』というDメジャーのシンプルなリールです。 最初のファイルは楽譜通りに現代風に演奏したものです。均等でシンプルなビートです。(う〜む、ちょっと苦しいかな?) 次はこれを伝統的なスタイルのリズムで演奏したものです。少しハネた感じになります。(こちらの方が自然にできます) 違いがおわかりいただけますでしょうか? テンポ自体はどちらも同じです。違いがわかりにくい場合は、どちらか一方を3回ほど続けて聴いてから、もう一方を聴くと、わかるかも知れません。伝統的なスタイルでは奇数番の八分音符が長めになり、その分、偶数番の八分音符が短くなります。 このモダンな方のソロに、リズムに合わせた伴奏をつけると以下のようになります。 「トラッドのリズムについて」でもご説明したとおり、このモダンな均等のリズムであれば、様々なパターンのバリエーションが考えられます。続いてトラディショナルなスタイルのリズムの場合は以下のようになります。 ケーリー・バンド風になり、伝統的なダンスの伴奏に適しています。 重要なのは、このリズムの違いをハッキリと認識し、メロディから伴奏の打楽器まですべてグルーヴを揃えることです。メロディや一部の楽器だけがトラディショナルなリズムで、その他がモダンなリズムだったりすると、グルーヴが揃わず、マトモな演奏とはなりません。 【グルーヴについて】 この「グルーヴ」という言葉はよく耳にしますが、正確に意味を認知している方は意外と少ないようです。狭義においては「リズムのゆらぎ」を指します。機械的に正確で単純なリズムとは異なり、そこから微妙にずれた人間臭いビートを「グルーヴ」と呼びます。これは1〜4小節単位で常に一定です。また、広義においては、そのリズムが持つアクセントの味わいを「グルーヴ」と呼びます。「いいグルーヴだ」という場合は、そのリズムの持ってるフィーリングが良いという意味です。「グルーヴがない」という場合は、その演奏の各パートのグルーヴが揃っていないか、リズムにキッチリと「のった」演奏ができていない場合と思われます。 ジャズやロック、フォークなどのポピュラー系の音楽を演奏されてきた方々には「音楽はリズムにのって演奏する」という概念が染みついているので、特に意識しなくても、グルーヴにのった演奏が可能かも知れません。但し、トラディショナルなアイリッシュのグルーヴは独特なので、身体で覚えるのには少々時間が掛かるかも知れませんし、この独特のグルーヴに「田舎くさい」「ダサい」と拒否反応を示す人もいらっしゃるようです。 クラシック系の音楽教育を受けてしまった方々の多くは、基本的に「リズムにのって演奏する」ということができません。バックがモダンなものであってもトラディショナルなものであっても、テンポだけ合わせて適当にメロディを演奏してしまいます。ポピュラー系の音楽がリズムを中心としてできているのに対し、クラシック系の音楽はメロディを中心として成り立っているためです。クラシック音楽にはリズムにのっていたら演奏できない部分も多く、メロディ自体に抑揚をつけてしまうというスタイルも、基本のリズムを無視しなければできません。 【楽器と演奏スタイル】 前編の「トラッドのリズムについて」でもご紹介したとおり、楽器によってトラディショナルなスタイルのリズムに馴染みやすいものと、そうでないものとがあります。また、演奏スタイルが伝統的なものとなれば、リズムも伝統的なものになりやすくなります。 たとえばボランの場合、ビーター(スティック)のヘッドを効かせた伝統的な奏法は自動的にトラディショナルなスタイルのグルーヴとなります。ボランでモダンなビートに合わせる場合には、伝統的な奏法ではなく、ヘッドを使わないボトムだけの奏法がよく使われています。 他の楽器の場合もほぼ同様で、伝統的な装飾音等を取り入れると、自然と伝統的なグルーヴに近づきます。伝統的なスタイルの演奏でモダンなグルーヴに合わせるには、かなり高度な技術が必要となります。 【グルーヴの統一】 前記しましたとおり、ポピュラー系音楽の演奏経験のある方々なら、一定のグルーヴにのった演奏ができるかもしれませんが、クラシック系の方々には難しいかも知れません。最悪の場合、メロディごとに異なったグルーヴで演奏してしまうパターンも考えられます。単純なフレーズは単調で均一なリズムで演奏し、アイリッシュ独特の節回しや装飾音を用いた部分だけは伝統的なグルーヴとなってしまうケースです。あくまでもグルーヴは一定のものですから、身体全体でリズムにのるようにしてください。逆に言うと、身体全体でリズムにのってしまえば、意識しなくても一定のグルーヴで演奏できます。 同様のことが曲ごとにも言えます。曲によって伝統的なグルーヴになりやすいものとそうでないものとがあります。たとえばリールを3曲続けて演奏する場合、一定のグルーヴにのっていれば3曲とも同じグルーヴで演奏できますが、ノリが不充分だった場合には、曲ごとに異なったグルーヴで演奏してしまうかも知れません。この点にも注意してください。 【ジグの場合】 例としてご紹介したのはリールでしたが、ジグになるともう少し複雑です。伝統的なスタイルでは3つずつ並んだ八分音符の1番目が長めとなるパターンや3番目が長めとなるパターンがあり、その割合にも地域的なバリエーションがあります。アタマで考えているよりも、聴こえてくるビートにのってしまった方が早いでしょう。 ※サイト全体の容量の関係で、このページは予告無く削除される可能性があります。 |