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Dウィスルについて

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円筒管のウィスル

 現代の多くのウィスルのボア(内孔)は、まっすぐな円筒管になっています。このタイプに共通した特徴は、低域のピッチが高めとなり、高域のピッチが低めになってしまうということです。これは空力(空気力学)上、逃れられない構造的な制約(自然現象)によるもので、息の強さで可能な限り一定のピッチを保つようにコントロールしなければなりません。そのため、低域は弱く、高域は強く吹く必要があり、音も低域は小さくソフトで、高域はかなり大きく鋭くなります。
 このようなアンバランスは欠陥のようにも思えますが、メロディの上下に合わせて自動的にクレシェンドやデクレシェンドがかかるようなもので、音楽的な表現においてはプラスの面もあります。
 また最近は単純にストレートなボアではなく、部分的に太さを変えたり、頭部管の造りを工夫するなどして、オクターブ・バランスを補正しているモデルも出てきました。
 このタイプの多くはプラスティック製の頭部管を持っており、ウインドウェイやリップの成型が正確なため、比較的少ない息量できれいな音を出すことが可能です。

逆円錐管のウィスル

 現代風の円筒管のウィスルが出現するまでは、19世紀の中頃に登場した、薄いブリキの板を円錐形に巻いたテイパード・スタイルのウィスルが一般的でした。本来はこれが『ティン・ホイッスル』または『ペニー・ホイッスル』と呼ばれていたもので、上部が太く、末端部分に向かって徐々に細くなっている逆円錐形ボアです。このタイプは円筒管と比べて空力上のロスが少ないため、高域と低域の音程・音色・音量のバランスが取りやすいとされています。しかし、19世紀スタイルではブリキの板を巻いただけの手作りとなるため、ウインドウェイやリップの正確な成型が困難で、かなり多くの息量を必要とし、音もカスレ気味になります。品質のバラつきもあります。
 但し、正確に成型されたプラスティック製の頭部管を持つモデル(『スウィトーン』)には、これらの弱点はありません。また、ウッド・ウィスルの一部(スウィートハート)では比較的角度の浅い逆円錐管が採用されており、プラスティック製のスザートの2ピース・モデルでは非常に微細な角度の逆円錐管が用いられています。

※逆円錐管は高音と低音のバランスが取りやすいため、殆どのルネサンス・リコーダーとすべてのバロック・リコーダー、すべてのバロック・フルート、及び殆どのアイリッシュ・フルートで採用されています。歴史上、ウィスルもルネサンス期以降からは逆円錐管が採用されていたと思われますが、おそらく20世紀の大量生産の際に、より作りやすい円筒管に「先祖帰り」したものと考えられます。

ウィスルのサイズ(キー)

 標準的なサイズはD管です。最低音は「レ」で、普通に吹くと「ファ」と「ド」にシャープが付きます。伝統的な曲を伝統的なスタイルで演奏していれば、このD管だけで充分なのですが、そうでないケースをカバーするとなると様々なキーのウィスルが必要となります。
 小さなサイズのものはそれなりに使えて問題も少ないのですが、表示に『low』とつく大きなサイズのものにはやや問題があります。まず、全体的に指穴が大きくなり、指先の細い人には押さえられなくなります。またその指穴の間隔が極端に遠くなり、殆ど演奏不可能と思われるものもあります。更に必要とされる肺活量もかなりのものになります。
 一般的に言って、無難なのはB♭まで、どうにかなるのが low G まで、low D 以下は殆ど非現実的と思ってください。指の使い方をバグパイプ風に変更する必要もあります。残念ながらlow D のウィスルをマトモに演奏できる人は、非常に少ないのが現実です。これらの標準サイズ以外のウィスルに関しては「Low D ウィスルについて」及び「その他のサイズのウィスル」参照してください。

チューナブル

 現代の標準的なピッチはA=440Hzですが、実際の演奏現場においては438Hzから450Hzと、かなりバラつきがあります。このような実情に合わせるためには、ピッチ調節の可能なチューナブル・タイプのウィスルが便利です。
 プラスティック製の頭部管と金属製の胴管を持つスタンダード・タイプのウィスルの多くは、頭部管が固定されており、無理に動かそうとすると壊れてしまうものもあります。また、動いたとしてもスムーズではなく、チューナブルとは言えません。頭部管のジョイント部分をお湯で暖めて動かすという作業はかなり一般的に行なわれていますが、失敗して壊してしまう場合もありますので、あくまでもご自分の責任で行なってください。
 また、チューナブル・タイプのものであっても、幅広く全域にわたって使えるわけではなく、実用的な調整範囲は3ヘルツ前後に限られます。

※関連トピック 『ピッチと音程』

よいウィスルとは?

 音色・音量・音程などの他、吹き心地や扱い易さなど、ウィスルの善し悪しの判断基準は人それぞれで、好みの問題です。各個人の奏法との相性の問題もあります。
 きれいな音色がよいと思われる方が多いようですが、ウィスルの場合はカスれたスカスカの音を好む人もいます。音にならないような「シュ〜」という音を音楽的な表現に用いて、味わいや雰囲気を出すわけです。実際、澄んだきれいな音のウィスルを聴いて、かえって何か物足りないと感じられることもあります。音程は奏者自身が息の強さで調節するものと考えてください。ただ漫然と吹いている状態では、低域と高域のピッチが合わなくなってしまいます。また、ウィスルの設計自体がはじめから高めのピッチを想定している場合と、そうでない場合があります。
 どんなものであっても、優れた奏者によって演奏されると「よい音」に聴こえ、初心者が吹くと「よい音」には聴こえません。この差はどんなウィスルを使っても埋まるものではありません。吹く人の技量の差による音色の違いは非常に大きなものです。

※関連トピック 『よいウィスルとは?』

 以下に当オフィスで扱っているウィスルの具体的な特徴について標準的なD管を例に挙げてご紹介します。主に現在入手可能なモデルについてのもので、以前に購入されたもの(旧モデル)とは異なる点もあるかもしれませんので、ご注意ください。各楽器の設計や特徴などは、常に予告なく変更されています。また、当方で品質等を確認できていない機種も数多くあります。

 各ウィスルの特徴については、当方自身によるチェックの他、複数(2〜5人)のプロ奏者による品質チェックなどで得られた情報のうち、各者間全体の最大公約数的な意見のみを要約して取りまとめてあります。また、そこに一般の方々からのフィードバックも活かされている部分もあります。演奏法に関してプロ奏者からのアドバイスも含まれていますので、興味のない笛に関する部分でもひと通り読んでみてください。

 「※」印で始まる部分やリンクは当方独自で付け加えたものです。複数のプロ奏者の意見を取り入れたものではない場合もあります。随時、臨時情報も加えていきます。

※関連トピック 『ウィスルの評価方法』

  

クラーク (Clk)

『スウィトーン』:逆円錐形のボアを持ちながら頭部管はプラスティック製という、独自の規格のウィスルです。バランス上有利なボアと正確に成型された頭部管の両方の長所を兼ね備えたものです。低域はやや多めの息量を必要としますが、高域は比較的楽です。音色はわずかにハスキーで甘口。渋さはありませんが、軽やかでカワイイ感じがします。スタンダード・タイプと比較すると高低のバランスがよく、高域でもうるさくなりません。
 頭部管が動く「チューナブル」タイプで、通常の円筒管のウィスルよりもかなり広範囲のピッチでの調節が可能になります。その分、正しく調節しないと音程が取りにくくなってしまう場合もあります。推奨品。現在の当方の標準機種です。


※写真上から「黒」「金」「青」「赤」「緑」「ケルト(メタリック・グリーン)」

※他の業者(海外?)で『スウィトーン』を購入された複数の方々から「頭部管は動かないのでチューナブルというのは間違いではないのか?」というご指摘をいただいてます。確かに通常は頭部管が動かないのですが、当方ではメーカーに頭部管の動くものを特注して取り寄せて販売しています。尚、動かない状態の頭部管を無理に動かそうとすると、頭部管や胴管を壊してしまう危険性もありますので、充分注意してください。

※「無塗装」のモデルもありますが、サビが出やすい、息漏れしやすい等の問題があるため、取り扱いは「自粛」しています。(2006.11 追記)

※新色の「金」が加わりましたが、実際には「黄土色」という感じです。落ち着いた色で安っぽさはありません。
(2010.05 追記)

※「緑」の色が濃くなりました。(2011.01 追記)

 

『メグ』:『スウィトーン』と同じ設計・素材を使用した廉価版モデル。色は「黒」と「シルバー」「ゴールド」などがありますが、表面がツヤ消し加工してあるので高級感があり、安っぽさはありません。音や機能も『スウィトーン』とほぼ同様ですが、メーカー側は「チューナブル」ではないとしています。※現在このモデルは取り扱いを休止しています。(2010年10月追記)

クラーク『メグ』

  

『オリジナル』 :19世紀からの伝統的なスタイルを継承している逆円錐形のウィスルで、ボディはブリキ製です。音はかなりカスれたハスキーなもので、全体的にソフトでおとなしい印象です。演奏にはかなり多くの息量を必要とします。ピッチは標準的です。実際の演奏に使用するには少々苦しい笛で、あまりオススメはできません。肺活量のある人が頻繁にタンギングしながら2小節ごとに息継ぎをすれば、苦しくないのかもしれません。実際、海外では意外と人気のあるモデルです。

クラーク『オリジナル』

※関連トピック:『オリジナル』の存在意義

   

ディクソン (Dxn)

『D』:頭部管も胴管も黒い合成樹脂(PVC)で成型されており、比較的広い範囲でピッチが調節できます。音は適度にハスキー、少々ソフトでパステル調の独特の甘さがあります。同じ合成樹脂製でもスザートとは対照的な存在で、線が細くてチープな本来のウィスル臭さを残したまま高級化したような笛です。吹き込みの弱い人向きです。推奨品。

Dixon D

ディクソン製品の取り扱い法

『D-BS』:上記のウィスルにブラス製のチューニング・スライドを使用した高級バージョンです。音は通常の『D』モデルと比べてやや締まって密度が濃くなった感じで、レスポンスも良くなりますが、この差はごくわずかです。残念ながらハイエンドの音程がやや低めとなっています。
※最近入荷したモデルでは2オクターブめの下半分が高めになっていました。残念ながら少々扱いにくいバランスです。(2008年12月追記)

Dixon D-BS

 ブラス製チューニング・スライド(少しだけ引き抜いた状態)

  

『D-ATNS』:従来からのモデルを大幅に変更した、新しいモデルです。胴管はツヤ消しのアルミ製、チューニング・スライド部分はニッケル製になっています。音色は明るく、ディクソンの笛としては音もやや大きめで、これまでのイメージとは少々異なります。メーカーは「セッションやアンサンブルの中でも埋もれない音色と音量を狙った」としていますが、スザートほどではなく、その分、ウィスルとしての「味」を残した感じです。今のところ、音程にはやや凸凹があります。

Dixon D-ATNS

  

『D-BTNS』:前記の『D-ATNS』の胴管を厚手のブラス製にし、チューニング・スライド部分もニッケル製にしたものです。非常に重いので気になる方もいらっしゃるかも知れません。太く重い音で、独特の味わいがあります。使っているうちにかなり変色します。

  

『D-TRAD』:低価格でシンプルなウィスルです。胴管は他社製の安価なモデルとほぼ同様の薄手のブラス製。音色は明るく、ウィスルとして親しみの持てる線の細いチープな音を上品に整えた感じです。チューナブルですが音程はイマイチで、吹き込みの弱い人向きの笛です。胴管はサビによって変色しやすいタイプです。   
『D-TRAD-N』:上記のモデルと同様のシリーズで、こちらは胴管がニッケルとなっており、音色は更に明るく、やや大きくなっています。その他の特徴はほぼ同じです。
 写真上:D-TRAD  下:D-TRAD-N

【TRAD シリーズ用オプション】
 上記の TRAD シリーズ用にはオプションでファイフ(ピッコロ)用の頭部管があります。差し替えることによってウィスルがフォーク・ファイフに変わります。

 ※ D-TRAD にファイフ・ヘッドを装着

   

スザート (Sst)

 頭部管・胴管ともに黒いプラスティック(ABS 樹脂)製です。D管の場合は「NB」(ナロウ・ボア)と「SB」(スタンダード・ボア)があります。

『NB』:2002年からの製品。カスレがなく、太く甘くクリアで、強くて美しい音色です。高音域まで比較的バランスが取りやすくなっています。

『SB』:こちらが従来(1990年代)からのモデルです。新世代のウィスルとして高く評価され、新しい「スタンダード」として高い人気を保持し続けています。「NB」よりも更に強く太く大きな音で、その分、息量も必要で「渋さ」はありませんが、圧倒的な存在感があります。吹き込みの強い人向きです。

 写真上:D-NB 写真下:D-SB

 いずれのモデルもリコーダーの響きに近い独特の音色は大きく好みの分かれるところですが、ある程度の肺活量のある奏者にとっては汎用性の高い優れた楽器といえるでしょう。推奨品。

※ボディ側のジョイント部分には輪ゴムのようなリングが溝にはめられていますが、長年使用していると摩耗してしまい、充分なグリップが得られなくなってしまうケースがあるようです。お困りの方は当方までご相談ください。

『オリオールD』:2011年の新製品。上記の『D-SB』の廉価版といえるものです。音量があり、甘く独特のホッコリとした素朴な音色ですが、必要とされる息の量は多く、特にハイエンドは極端に強く吹き込む必要があります。

   

ゴールディ(Gld) 旧称:オーバートン (Ovt)

『D』:バーナード・オーバートン氏によって設計され、その後のアルミ製ウィスルの元祖となった手作りのモデルです。現在ではコリン・ゴールディ氏によって製作されています。ドスの効いた独特の太くハスキーな音色で、ノイズもありますが「鳴り」も良く、このタイプのものとしては比較的明るい音に聞こえます。吹き込む息に対する抵抗感があり、独特の吹き心地です。ウインドウェイに水分が詰まりやすいのですが、その水分を吹き飛ばしながら演奏する感じです。
 昔のモデルのような音程の凹凸は無くなりましたが、上のオクターヴの下半分が高めに出ます。最高音部はかなり強く吹き込む必要があり、安定して吹きこなすのは難しいかもしれません。それでもこの笛独特の深い味わいには魅力があり、長年に渡ってマニアックな人気を誇っています。温度の上昇による変化が特に顕著なモデルですので、ある程度、暖めてから吹いた方が無難です。

 写真の上が「1ピース」下が「2ピース」モデルです。従来からのオーバートンらしさは「1ピース」の方がありますが、ピッチ調節はできません。「2ピース」の方はピッチ調節はできますが、やや息の抜けが悪い感じで、音量や迫力は少々落ちます。


※スライド部分には水道管用のビニールテープが巻かれています。

※ブランド名がオーバートンからゴールディに変更となりましたが、笛そのものの変更はありません。(2009年8月追記)

※このメーカーの製品の入荷に関しては、当初予想していたよりもかなり長い期間が掛かることがわかりました。在庫中の場合もありますが、2年以上お待ちいただくこともあるかもしれません。あらかじめ、ご了承願います。

   

バーク (MB)

 登場と同時に注目を集めた新世代のアルミ製ウィスル。従来からの円筒管でありながらオクターブ・バランスが良く、かえってハイエンドの音が高めに出るという「常識破り」の設計です。2ピースのチューナブルで、意外と軽量です。音はウィスル本来の渋さと高級感を兼ね備えています。
 レギュラーとしては標準的なアルミ管の『D』とブラス管の『D-Brass』、わずかにボアの細い『D-NB(ナロウ・ボア)』があります。
 『D-NB』はわずかにクリアな音色で音程が取りやすい感じもしますが、音量や渋味、音の太さや押し出しの強さなどの点においては『D』の方が上です。但し、両者の違いは微妙なもので、下の写真のとおり、見た目にも区別がつきにくい感じです。
 ブラス管は変色が特に激しく、入荷した時点で既にある程度変色している状態で、1ヶ月ほどでアンティーク風になります。サビ等が気になる場合はアルミ管を選択してください。ブラス管の音はアルミ管よりもわずかに甘く渋い感じです。

Burke『D-NB』

Burke『D』 ベスト・セラー・モデル

Burke『D-Brass』

 いずれのモデルも強くオススメできる推奨品です。やや高価ですが、プロ奏者がメインの1本として使うのに充分なクオリティを持っています。

ヘッドの先端には黒いデルリン(プラスティック)が取り付けられています。

要チェックバーク製ウィスルの注意点

【hatao 氏による Burke『D』の演奏】

   

スウィートハート(Swt)

  

『スウィートD』:同社初のプラスティック製ウィスルで、外観はブラックウッド風です。設計は従来からの木製のものを継承していますが、音色は特に甘くソフトになっています。音がかなり大きく、スザートの『D-SB』と同程度です。特筆すべきなのは、全域に渡って音の表情が変わらず、しかも正しい音程が取りやすい点です。プラスティック製の笛としては高価ですが、それだけの価値は充分にあります。胴管は同モデルのDファイフと共通です。

『スウィートD』プラスティック

【hatao 氏による『スウィートD』ファイフとウィスルの実演】

『プロD』:基本的には上記の『スウィートD』と同じ設計コンセプトで、ローズウッドによるウィスルです。音も『スウィートD』に近いのですが、更に甘く優しい感じになっています。以前の木製モデルとはかなり異なっていますので、ご注意ください。

『プロD』ローズウッド
 ジョイントは木がそのままのように見えますが、実際には頭部管のジョイント部分の内側にコルクが貼ってあります。コルク・グリースは必需品です。
 シンプルな布製ケース付です。保管する時は必ず頭部管と胴管を外してください。掃除用のブラシとコルク・グリースも付属しています。

※他社のウッド・ウィスルと同様、標準的なピッチに合わせるとジョイント部分に隙間ができるので、当方では独自にニトリル製の黒いリングをはめて出荷しています。高いピッチに合わせる場合はこのリングを取り外してください。

※スウィートハートは長年にわたってウッド・ウィスルを製造し続けており、その間にモデル・チェンジも何回も行なっています。そのため一般には新旧の異なる様々なタイプのモデルが混在しています。比較検討される際はご注意ください。

   

選び方

 全体的なバランスを考えると、最も楽で使いやすく、価格が安いのは『スウィトーン』です。最初の1本としては最も無難な選択でしょう。

 実際のところ、バンドなどで使用することを目的にウィスルを購入される殆どの方々は、『スウィトーン』かスザートの「NB」または「SB」を選ばれています。ロック系のバンドのように音量が必要な場合はスザートの「SB」が選ばれています。これらの方々にとっては「標準ピッチでの演奏」と「正しい音程の取りやすい笛」が必要なわけです。クラシック系のアンサンブルの場合も同様です。他に考えられるのは、クリアな音色ならスウィートハートの「プロD」、ソフトな音色ならスウィートハートの「スウィートD」、ウィスルらしい渋さのある音色ならバークの「D」です。

 本来のやや古いスタイルのアイリッシュ独特の渋さを追求する方々にとっては、「ピッチ」や「音程」の正確さよりも、音色や演奏自体の「雰囲気」や「味わい」の方が重要だったりします。これらの方々にとってスザートやスウィートハートなどは「優等生」臭くて、物足りないかもしれません。その点でオススメできるのはディクソンの各機種、特に標準的な「D」と廉価版の「D-TRAD」です。

 現在のところ、低価格でウィスルらしく線が細めで渋い音の笛の多くは、残念ながら演奏性の点で何かしらの問題を抱えてしまっています。また、「渋くて味わい深い音」というのはむしろ「ハスキーでヌケも悪い音」だったりしますので、その点も考慮してください。「欠点」と思われている部分が、実は「味」だったりするわけです。また、タンギングを多用する奏法であれば、息をやや多めに消費する笛であっても演奏は可能と思われます。

 息の吹き込みの「強い人」と「弱い人」ではかなりの違いがあります。どちらが良いというわけではなく、また性別や身体の大きさとは関係なく大きな違いがあり、これによって笛の「好み」「向き・不向き」も大きく左右されます。比較的少ない息の量で演奏可能なのはディクソンですが、『スウィトーン』やスザートの「NB」、バークの「NB」なども息は楽な方です。逆に吹き込みの強い方々に向いているのはスザートの「SB」で、その他にはバークの「D」、スウィートハートの「スウィートD」、ゴールディなどがあります。

 しかしながら、どれも楽器としては安価なものばかりですので、違いを知るために試しに購入するということも可能でしょう。長々と悩んでいるよりは、その方が早道で勉強にもなります。

ご注意

 ウィスルは基本的にはダイアトニックな楽器です。具体的に言うと、D管の場合、楽譜で♯がひとつかふたつの場合の旋律しか演奏できません。それ以外の調性の音、半音、臨時記号の音などには対応できません。また音域は(D管の場合)高い『シ』までしか想定されていません。
 ウィスルは他の楽器と比べて予告なしの設計変更が多く、当方で把握しきれない部分もあります。
 メーカーや機種によっては極端に入手の難しい場合があります。入手が不可能となってしまうこともあります。

 このページの楽器に対する評価は、当方での品質チェックと、アイリッシュ・スタイルで演奏している複数のプロ奏者の評価を総合し、それを各者間の最大公約数的な内容で要約したものです。従って、初心者が演奏した場合や、異なるスタイルで演奏した場合の評価とは異なる可能性があります。

  

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