クラシックギター独習者、初心者のための弾き方FAQ



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質問の受付は終了しました
 ホームページ開設以来継続しておりました、クラシックギター独習者からの質問の受付は、99年1月末をもちまして一旦終了いたします。独習者の誰もが一度はぶつかると思われるような一般的な質疑応答は概ね出尽くした感があること。その結果として、実際の演奏を見ずにメールだけで回答するには無理のある質問が増えつつある傾向を考慮し、とりあえず誰もが自由に質問を寄せられる今までの方式を終了することにしました。

 今後は、私自身の生徒をはじめとする多くのギター愛好者や専門家の方々との交流の中で、新たに見出されるであろう上達を阻害する様々な障壁について、逐次こちらから問題提起し、それに対するアドバイスを公開することをもって、当コーナーの趣旨を継続して実現するものとします。




質問一覧 ・・・実際に寄せられた質問の中から一般的な内容のものを抜粋しています

質問1)クラシックギターのレパートリーにはどのようなものがあるのですか?

質問2)以前エレキギター少年だった私も、新たにクラシックギターを始めたいと思うのですが、エレキギターとクラシックギターとで、左手の構え方に違いはありますか? 

質問3)ギターを弾いているとすぐ腰が痛くなるのですが、何が原因なのでしょうか?

質問4)クラシックギターの上達のために、コードフォームを覚えることは有益でしょうか。

質問5)現在50歳代の会社員です。これからギターを始めたいと思うのですが、ちゃんと弾けるようになるでしょうか。音楽経験はほとんどありません。

質問6)楽譜に指示された指使いは、常に守らなければならないのでしょうか。

質問7)クラシックギターを弾く人達って、何となくマニアックな男の世界というイメージがあるのですが、女性の愛好者も多いのでしょうか?

質問8)女性ということで、ハンディーはありませんか? 

質問9)三度の和音が連続するとき、綺麗に音をつなげるのがとても難しいのですが、コツがあったら教えて下さい。

質問10)スラーのやりかたに何かコツはありますか? あるいは、なにかよい練習方法はないでしょうか?

質問11)ギターを始めて3年ほどですが、「美しく、太くて、芯のある音」の出し方について教えていただきたいのですが。また、そうした音を出すための練習方法にはどのようなものがありますか。爪の形や削り方、右手のタッチについても教えて下さい。アルアイレでアポヤンドのような音を出すにはどうしたらよいでしょうか。

質問12)アコースティックギター、エレキギタ−、クラシックギタ−、全て弾けるようになりたいと思っていますが、クラシックギターを習う事でそれは可能でしょうか?    

質問13)ギターを始めて6年ほどになります。初歩の段階を終え、現在中級程度の曲をさらっていますが、トレモロの名曲「アルハンブラの想い出」に挑戦しようと思います。トレモロ奏法の練習法を中心に、同曲を弾けるようになるための日常的な練習方法をご教示願います。

質問14)「アメリアの遺言」に挑戦しているのですが、17小節目からのハーモニクスの弾き方がわかりません。ハーモニックス奏法について教えて下さい。

質問15)音楽の知識について質問させてください。私が楽譜から読みとれる情報といえば「クレッシェンド」や「フォルテ」などのように文字や記号で書かれたことだけです。しかしプロのギタリストというのは楽譜から読みとる情報量が私とは比べものにならないくらい多いのです。楽譜に書いてないことまで読みとっているのです。私はこれにはいつも圧倒させられます。どうすればそのような演奏が出来るようになるかというのが私の質問です。一般的な音楽の知識に加えて「和声」という分野も勉強したほうがいいのでしょうか? 「和声」に照らし合わせて考えれば、この音は少し強めに弾くといったことなどは自然と分かるものなのでしょうか?

質問16)最近小学校3年と6年の娘たちにギターを教え始めました(夢を託し)。しかし、私のもっているギターは2本とも弦長650ミリのものです。小6の娘は手も大きいほうで、どうにか扱えるのですが、小3の娘はまだ手が小さくて無理をさせています。親としては小さなスケールのものを買ってやりたいのですが、あと2・3年もすれば大人並みの手の大きさになることを考えると少々もったいないような気もします。さて、子供の時期には手にあった小さなギターを与えることが必須なのでしょうか。私自身もちろん理想だと思いますがいかがでしょうか。

質問17)手が小さく困っています。どこかクラシックギタ−のメーカ−で弾き易いギタ−を教えてください。

質問18)アコギ歴5年からクラシックギターに転向して1年になります。クラシックギタリストを見ると結構みんな指が長くて、自分の指は短いので、やはり指の長さによっては弾けない曲とかあるのでしょうか。たとえば「森に夢見る」の最終部の18フレットを押さえる所などは自分には無理なような気がします。手がすごく小さくてすばらしいギタリストなどいれば教えてください。

質問19) いままでずっとフォークギターを弾いてきて、今回クラシックギターを弾き始めました。しかし私はタブ譜しか読めません。なんとか楽譜から運指がわかるようになりたいのですがどのような練習を始めたら良いのでしょうか?

質問20)Ovation(スティール弦用)にナイロン弦を張ったのですが、チューニングがすぐに下がってしまって困っています。このぺグでは無理なのでしょうか? 良い方法があれば教えてください。



 (ご注意)以下の文面について、無断転載はお断りいたします。

質問1)クラシックギターのレパートリーにはどのようなものがあるのですか?

アドバイス) 一般にクラシックギターのレパートリーと言った場合、第一にクラシックという音楽ジャンルに属する曲の数々が上げられます。ピアノやバイオリン、あるいはオーケストラなどの曲と同じように、音楽史に名を残す多くの作曲家が、ギターのためにたくさんの曲を作っています。

 従って、一般クラシック音楽同様、音楽史の流れに沿って、それぞれの時代に対応する多くの作曲家を挙げることが出来ます。音楽史の流れとは、ルネッサンスからバロック、古典、ロマン、近代・現代へと進む流れのことです。それぞれの時代にどのような作曲家がいるのかについては、ここで述べるには膨大なスペースを必要としてしまうのでご自分で調べて下さい。そして、時代構成の違いによって、演奏表現にどのような違いがあるのかをよく聴き比べて下さい。参考に、以前実施したギター曲人気投票のアンケート結果を覗いてみてください。概ね作曲年代の古い順に、一覧表にしてあります。→アンケート集計結果へジャンプ 

 いずれにせよ、これらのどの曲もクラシックギターのために作られたオリジナルの曲(他の楽器のために作られたものをギター用に編曲したのではなく)と言えますが、ただ、ルネッサンスやバロック時代の昔から今日使われているギターが存在したわけではなく、長い時代の流れの中で楽器も色々と進化・発展した結果、今日ではそれら古い時代の音楽が現代のギターを使って演奏されている、といった曲も多くあるのです。ただし、古典派以降の音楽については大きさや細部の違いこそあれ、当時も今の楽器とほぼ同じものが使われていたと考えて良いでしょう。楽器の変遷についての説明もここでは省略します。

 以上述べたように、クラシックギターのレパートリーとしてまずあげられるのは、数百年に及ぶ音楽史の流れの中で作曲された、オリジナルのギターのためのレパートリーです。今日演奏されている曲だけでも数百曲に及ぶでしょう。 
(但し、アルベニスやグラナドスの作品のように、他楽器のために作曲された曲をギター用に編曲して演奏されるレパートリーも有ります。)

 そしてさらに今日では、そうした純粋なクラシックギターのための曲だけでなく、多くのジャンルのアーティストたちが、あえてクラシックギターを使って自分の音楽を表現しています。ジャズやフュージョンの世界でもクラシックギターが使われています。スチール弦を張ったアコースティック・ギターをクラシックギターの奏法で演奏する(指で弾くことによって独奏楽器として弾く)ギタリストも、ずいぶん増えたように思います。

 時代は正に、エレクトリックからアコースティックな時代へと移行しつつあるように思えるのです。人工的なものからより自然なものへと回帰しているとも言えるでしょう。

 ジャズが好きな人は是非、「ラルフ・タウナー」というジャズ・ギタリストの演奏を聴いてみて下さい。彼は私が最も敬愛するギタリストの一人なのですが、クラシックギターを使ってジャズを演奏する名手の一人です。彼は、カール・シャイトというクラシックギター界の大御所的指導者(編曲や研究者としても有名)に師事してクラシックギターの演奏法を修め、その上で、自らの音楽をジャズという全く異なる世界で表現しています。

 もっとも、ジャズギタリストとは言っても、ジム・ホールやウェス・モンゴメリー、ケニー・バレルやジョー・パスなどといった正統的なジャズギタリストとは違った、独自の個性・美学を追求した音楽家なのです。それは、彼がECMレーベルに属することからも明らかです。タウナーはクラシックギターだけでなく、スチール弦の12弦ギターも弾いています。それが何と、クラシックギターのように指で弾くのです。爪は大丈夫なのでしょうか?! 参考に、彼のCDを一枚ご紹介しておきます。

「ラルフ・タウナー・ソロ・ギター/ANA」 ポリドール(ECM) POCJ-1378

バーデン・パゥエルでお馴染みのボサノバ音楽で使われるギターも、もちろんクラシックギターですね。

 その他、映画音楽やビートルズ・ナンバーなど、ポピュラー音楽のスタンダード曲をクラシックギターの独奏用に編曲されたものなどもたくさんあります。さらには独奏だけでなく、二重奏や三重奏、他楽器とのアンサンブルなど、様々な演奏形態があります。

というわけで、クラシックギターとはいっても必ずしもクラシック音楽だけが演奏されるわけではありません。が、中心となるレパートリーはあくまでクラシック音楽に属するギター曲であると言うべきでしょう。
(2002.4.15 一部加筆訂正)

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質問2)以前エレキギター少年だった私も、新たにクラシックギターを始めたいと思うのですが、エレキギターとクラシックギターとで、左手の構え方に違いはありますか? (千葉県 N.Kさん 他より)

アドバイス) 私の教室に来る生徒さんの中にも、ここ数年エレキギターからクラシックギターに乗り換える若者が増えています。あるいは両刀使いを目指す人もいるでしょう。エレキとクラシックでは、演奏フォームが随分と違います。ざっと上げてみると、
1.クラシックギターは常に座って演奏する。
2.楽器は左足の太ももの上に乗せる。
3.左足を足台の上に載せ、楽器のヘッドの先端を、視線の高さくらいまで持ち上げる。
4.ピックを使わず指で弾く。
といったところでしょうか。

 そしてご質問の左手のフォームについてですが、クラシックギターはエレキギターやフォークギターよりも、ネック(指板)の太さが遙かに太くできています。その理由は、ギターのページの「クラシックギターとは?」の項目で述べたとおりです。

 クラシックギターの左手のフォームでもっとも大切なのは、親指の位置です。親指はネックの裏に隠れていますので弦を押さえることはしませんが、その位置は原則としてネックの中心線あたりに置いておかなければなりません。試しに、親指をネックの中心線より上の方、あるいはネックから上に飛び出した位置に置いてみて下さい。つまり、ネックを握り締めてしまう感じですね。これでは5弦や6弦まで指が届かないでしょう? そればかりか、きゅうくつで指が拡がらないはずです。

 クラシックギターのネックは幅が広いので、手首を十分下げた状態で、かつネックの裏にある親指が中心線よりも上に上がらない辺りに、置いておくことが非常に重要なポイントになります。これは、よほど特殊な奏法をするとか、思いっきり指を拡げなければならない時などを除いて、基本的なフォームとして常に守られていなければならないことです。こうした構えを維持することによって、左手首、あるいは左手全体の不要な動きを抑え、結果としてミスタッチを防ぐことに繋がります。

 一方、エレキギターなどは、ネックが細いということ以外に、左手の親指で6弦を押さえたり、消音したりすることがありますので、必ずしもネックの真ん中に親指を置いておく必要はないようですね。

 もう一つ。掌がネックに触ってはいけません。とは言っても開けすぎる必要もありません。押弦する指は関節を十分に曲げてしっかり立て、指の先端で弦を捕らえます。そうしないと指は立たないはずです。指をしっかり立てておかないと、指の腹が隣の弦に触れて、隣り合う弦との和音がうまく鳴りません。 

 一度付いてしまった癖を直すのは容易なことではありませんが、エレキからの乗り換え者や、独学で変な癖が付いてしまった人は、まず正しいフォームを体に覚え込ます努力をして下さい。しかし、これを自分でチェックするのはなかなか難しいことです。やはり先生に師事することが理想ですね。

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質問3)ギターを弾いているとすぐ腰が痛くなるのですが、何が原因でしょうか?  (東京都中野区 T.Kさんより)

アドバイス) 腰痛の原因がギターの練習にあるとすれば、まず間違いなく、ギターを弾く姿勢に原因があると思います。実際に楽器を構えている姿勢を見てみないとなかなか適切なアドバイスは出来ませんが、基本的なポイントをいくつか上げておきます。

 左足は足台の上に載せて右足より高くし、ギターの窪みの部分(人の体で言えばウエストの部分)を左足の太ももの上に載せますよね。この時、右足の太ももの上にも楽器が載ってしまってはいけません。これではヘッドの位置が低くなってしまいます。ヘッドの高さはほぼ視線の高さまで持ち上げなければいけません。つまり、楽器は左太ももの上にだけ載せ、ヘッドの高さが視線の高さに持ち上がるまで右足を開きます。右足は十分開いて、太ももの内側で楽器を支えるだけです。右足を閉じていたのではヘッドの位置が低くなってしまいます。

 次に、両方の足の位置を確認します。左足は常に肩幅の位置に置き、ヘッドが視線の高さに来るまで右足を開きます。つまり、右足の開き加減だけでネックの角度を調整するわけです。開くのは右足だけです。そして、一番しっくりくる高さに足台の高さを調整して下さい。

 仮に両方の足を左右に均等に開いた状態で楽器を左の太ももに載せると、楽器は体の中心よりも左の方へ偏ってしまい、この状態でギターを弾くと背筋も左に曲がってしまうわけです。実は、独学でギターを弾いてきた人に大変多く見られる構え方です。体が傾いているかどうかは後ろから見るとよく分かるのですが、これが腰痛の原因と考えられます。

 背筋が曲がった状態で長い時間座っているのは、健康に良いわけがありません。左足が肩幅よりも拡がっていないかチェックして下さい。

 その他に、練習の時に使っている椅子にも原因があるかも知れません。普通、クラシックギターのコンサートでは、背もたれ付きのピアノ椅子を使用します。最近ではギター専用の、しゃれたデザインの椅子も売られていますが、高すぎず低すぎず、適度な座高を持った堅めの椅子を使うのが普通です。ベッドやソファーなど、ふかふかした椅子や座高の低い椅子では、前屈みになりすぎたり背筋が左に曲がったりしますので、避けた方がよいでしょう。

 参考までにピアノ椅子の高さを測ってみたところ、最低の高さで42.5センチ位でした。これ以上低い椅子は避けた方が良いと思います。

 ピアノ椅子やギター用の椅子を買わなくても、ダイニングテーブル用の椅子や勉強机の椅子など、代用できるものはたくさんあると思いますが、座高の高さが低くなりすぎないように注意して下さい。

 注意:あぐらをかいて練習するなど、もってのほかですぞ!

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質問4)クラシックギターの上達のために、コードフォームを覚えることは有益でしょうか。(広島県 K.Y.さんより)

アドバイス) もちろん有益です。クラシックギターは独奏楽器なので、楽譜に書かれた音符を一つ一つ拾っていくという感じがすると思います。フォークギターで歌の伴奏をする時のように、CやG7 Am やEm など左手でコードフォームを押さえておいてから、全ての弦を右手でかき鳴らす様な弾き方はほとんどしませんよね。けれどもアルペジオを弾くときには、フォークやエレキギターで押さえるコードフォームと同じか、それに近い型を作っていることがとても多いのです。

 また、アルペジオ以外の部分でも、常にメロディーに対応する和声(コード)が存在するるわけで、メロディーの進行とともに、対応すべき和声も変わっていくわけです。よく、歌の楽譜などコードネームが記入されていますよね。クラシックギターの楽譜にはコードネームは書かれていませんが、実は同じようにコード進行があり、コードチェンジしているのです。

 例えばイ短調で書かれた曲であれば、Am はもちろん、E や Dm のコードフォームが頻繁に出てきます。ただ、皆さんが知っている一般的なコードフォームそのものズバリが出てくるとは限りません。コードフォームの一部分を押さえているというケースがとても多くなります。

 そして、これらのコードフォームを知っていて、しかも押さえ方に慣れていれば、コードフォームを知らない人よりは遙かに有利だし、和声進行が理解しやすくなるため暗譜も早いはずです。

 もっとも、何のコードの一部分を押さえているのかを認識できなければあまり意味がないのですが、メロディーの流れや自然な和音進行の繋がりが感覚的に分かってくると、コードの種類も自ずと分かってきます。

 コードフォームを知っておくということは、和声の流れを理解する上でも大変重要なことで、基本的なコードくらいは是非覚えるべきだと思います。

 フォークギターやエレキギターの経験者で、すでに幾つかのコードフォームを知っている人は、この点で随分と有利だと言えます。ただ、コードチェンジするときに、フォークやエレキと同じようにやってしまっては問題がある場合がありますので、注意を要するでしょう。

 特にアルペジオを弾く際、フォークやエレキギターでは左手のコードフォームを先に、あらかじめ押さえてしまう人が多いですね。つまり、コードが変わるところで、次のコードフォームを一気に全部押さえてしまうわけです。ところがアルペジオは弦を1本づつ順番に弾いていくのですから、無理して全部押さえる必要など無いのです。

 弾く弦に対応する指から順番に、しかも弦を弾くのと同時に一つづつ押さえていかなければいけません。というよりも、そうした方が易しいし、指の動きに無理がありません。当然ミスも少なくなるのです。また、左右の指の動きをぴったり一致させることで(押弦と弾弦のタイミング)、テンポの揺れを防ぐことにも繋がります。順番に押さえていってコードフォームが完成したら、その構成音が続く限り左指はずっと押さえたまま維持します。コードチェンジと同時に、弾かない弦まで先に押さえることは、自然な音の繋がりを損なう原因になってしまうことが多いのです。ただ、これはあくまで原則であり、例外も十分ありうることをお断りしておきます。

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質問5)現在50歳代の会社員です。これからギターを始めたいと思うのですが、ちゃんと弾けるようになるでしょうか。音楽経験はほとんどありません。(香川 K.S.さん)

アドバイス) 若い頃は仕事三昧で趣味を持つ時間などとてもなかった人が、ある年齢になってそれなりに時間に余裕が出てきたとき、以前からやりたかったギターの勉強を始めたい。あるいは、学生時代にやっていたギターを、20年振りでまた始めたい。そのような人は少なくないと思います。

 音楽を楽しむことに年齢制限などは無いと言って良いのではないでしょうか。どの程度上達するかはやってみないと分かりませんが、持てる技術の範囲内で演奏の喜びを感じることが出来れば、十分幸せなことだと思います。歳がいくつであっても、練習を続ける限りは少しづつでも上達するはずです。欲張りすぎずに楽しむことを心がけて、一生を通しての趣味にまでして欲しいですね。

 実際、教室に来る生徒さんを見ていると、歳が若いからと言って上達が早いとは限りません。上達の度合いは年齢だけでなく、音楽経験の有無や指先の器用さ、音楽への愛着や情熱、練習時間の多少など、様々な要素が絡んでいます。それぞれの要素に個人差があるので、ただ年齢が高いというだけで不利だと考える必要など全くないのです。しかも、音楽は他の人と上達を競うものではありません。ゆっくりと少しづつ続ける心構えで始めた方がよいと思います。

 中高年の方は若い方に比べるとやはり体が固く、筋肉や関節の柔軟性も劣ってくるのが現状かと思います。従って、無理な練習を続けると、腰痛や肩こり、さらには腱鞘炎など肉体的な支障を来すことになりかねません。腰痛や肩こりは正しい姿勢を体得し、そうした演奏姿勢に慣れることでほぼ解消されるようですが、過剰な練習時間や力み過ぎが原因で、手や腕の故障を誘発するケースも意外と多いようです。

 中高年からギターを始める方は、とにかく無理をせず、肉体的に疲労を感じたら直ちに休憩を取るなどして、自分の体をいたわりながら練習をすることが大切です。セーハなど、ある程度腕力を要する奏法も、一気に全ての音を出そうなどと考えず、じっくり時間を掛けて少しずつ音が出せるようになれば良いのですから、決して頑張りすぎないように。でも、少しずつ時間をかけて練習を続けることで、難しいセーハやスラーなどもきれいに発音出来るようになるものです。大切なのは基本に忠実に!ということに尽きるでしょう。

 無理に大きな音を出そうとするのも良くありません。右手が力むと、左手も必要以上に力が入ってしまうものです。大きな音よりも、小さくてもきれいな音を目指せば良いのです。

 練習に夢中になっているといつの間にか時間が経過して、肉体的な疲労を忘れてしまい勝ちです。同じ姿勢を持続するのも良くないと言います。意識的に休憩を取りましょう。そしてここでも、正しいフォームの大切さを痛感します。長く続けるためにも良い指導者を見つけることが理想だと思います。

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質問6)楽譜に指示された指使いは、常に守らなければならないのでしょうか。(長野 K.Sさんより)

アドバイス) 原則として、楽譜に指示されている運指(指使い)は尊重するべきでしょう。指示されている指を使うのが最も合理的で弾きやすいことが多いのです。

 特に初心者の人達は、運指には作曲者なり編曲者なりの合理的な理由が隠されているのだということを認識して下さい。今その理由に気が付かなくても、もっと上達したときに運指の意味に気が付くはずです。練習曲の中には、指の訓練として敢えて難しい運指が付けられている場合もあるでしょう。他の押さえやすい指を使ったのでは練習にならないことだってあります。

 また、運指には、どの指を使うかを指定する番号・記号だけでなく、弦を指示する番号もありますよね。

 弦楽器であるギターはピアノや管楽器と違って、ある特定の音を色々な弦やポジションで出すことが出来る楽器です。例えば、1弦開放弦のミの音は、2弦の5フレット、3弦の9フレット、4弦の14フレット、5弦の19フレットでも出すことが出来ます。従って、ある音をどのポジションで取るかということがとても重要な問題になることがあります。何弦を使うか、ハイポジションかローポジションかで、ギターの音色はかなり変わります。ということは、音を何処で取るかによって音楽の表現にも変化が生じます。

 例えばタレガの曲によく見られるように、ローポジションで取れる音を、あえて低音弦のハイポジションで弾くよう指示される場合などが良くあります。作曲家や編曲者は、ポジションの違いによる表現の違いを考慮して運指を指示している場合がとても多いのです。当然、演奏者はこうした運指の意味を理解し、その指示に従うべきでしょう。やむを得ず、何らかの理由でポジションを変更する場合には、元の運指の意味が無にならぬよう、十分配慮しなければいけません。そうしないと、運指を換えたことによって作曲者の意図する曲の雰囲気が変わってしまうことだってあり得ます。それに作曲者に失礼ですよね!

 ただ、上級者の場合には積極的に自分で運指を考えることも大切だと思います。作曲者自ら運指を付けている曲の場合はともかく、他楽器や古楽器のために作られた曲をギター用に編曲された曲もたくさんあります。そうした曲の場合、編曲者によって運指は勿論のこと、音も若干違っていたりします。練習する際に、誰の版を使うかが大きな問題にもなってくるわけです。

 編曲者の指示する運指には当然編曲者の意図が含まれていますから、最も自分が共感できる版を選べばよいのですが、同時に、どの版を使うにせよ、オリジナルの楽譜があればなるべくそれを参考に、自分なりの運指を考えてみることが重要だと思います。

 最後に、上級者に限らず、初心者以外の人はより積極的に運指を考えてみる習慣を付けると良いと思います。運指は常に与えられるものだと考えるのではなく、曲の部分部分でどの指を使うのが最も合理的か、曲想にあったポジションはどこか、などを自分で考えることがとても大切なのです。

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質問7)クラシックギターを弾く人達って、何となくマニアックな男の世界というイメージがあるのですが、女性の愛好者も多いのでしょうか? (神奈川 H.S.さん) 

アドバイス) 確かに、クラシックギターの世界はマニアックな人も多いと思いますが、考えてみれば取り立ててギターの世界だけに言えることではなく、マニアックな世界は他にも色々あると思います。クラシックギターもそれだけ奥が深い世界だということの証だと言えるでしょう。ただ、あくまで一般的に言って、とことん入れ込むマニアックな人は、やはり男性の方が多い傾向にあるとは思います。

 しかし、近年は女流の若手ギタリストが人気を集めたり、コンクールなどを見ても女性の参加者がとても増えています。そればかりか毎年のように女性の入賞者を排出しています。もはや、ギターは男の世界だとは言えなくなっていると思います。

 愛好者全体を見ても、以前は女性よりも男性のギター人口が圧倒的に多かったように思いますが、特にここ数年の間に随分と変化してきたように思います。私の教室でも、特に目白教室では20代の女性の生徒さんが大変多くなりました。自宅教室では以前から主婦の方達が来ていますし、若い女性も少しづつ増えています。場所柄もあると思いますが、目白教室では生徒さんの半分が女性です。OLの人達が、アフター5にレッスンを受けに来るというパターンがとても多くなりました。

 神奈川のH.S.さん、何の心配も要りません。男ばかりのむさ苦しい世界では決してありませんよ!

 それともう一つ、クラシックギターは他の楽器に比べて音量が小さいので、特別な防音施工などをしなくても家庭で練習できるという大きなメリットがあります。楽器の練習にはかなり気を使うのが昨今の住宅事情だと思いますが、練習する時間帯さえ気を付ければ、家で気兼ねなく練習を楽しめる数少ない楽器だと言えます。主婦層の愛好者が意外と多いのも、こうしたメリットがあるからかも知れませんね。

 しかもピアノと同様、和声楽器であるが故に独奏が出来る数少ない楽器なので、幾つになっても、何処でも、好きなときに存分に演奏を楽しむことが出来るわけです。

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質問8)女性ということで、ハンディーはありませんか? (京都 E.Sさん)

アドバイス) 女性ということでのハンディーとは、恐らく体力的なことをおっしゃっているのだと思います。確かに、男性と女性とでは体力に差があるのは致し方ないところだと思います。一般的に言って腕力は男の方が強いし、体格や手の大きさも男の方が大きいですね。

 でも実際にレッスンをしてみて思うのは、そうした肉体的な違いは余り関係ないようなのです。どんなに手の大きい人でも初めは指が拡がりませんし、筋骨たくましく腕力のある人でも、いきなりセーハは出来ません。ご自分でギターを弾く方は経験があると思いますが、セーハを克服するのには皆さん苦労したと思います。

 セーハはある程度腕力も必要かと思いますが、長く練習しているうちに指が慣れてきて、音がビリ付かないコツを無意識のうちに自然とつかんでいくのだと思います。

あるいは、指そのものがセーハに適した形になっていくようにも思います。いずれにしても、本人の努力と工夫次第で必ず克服できるもので、結果的には腕力も指の太さも関係ありません。

 とは言っても、体力や体格の差がまったく無関係かと言われたら、そうとも言えないでしょう。指が細い女性が男性的な太い音を出すのは難しいかも知れませんし、男性的なダイナミックな演奏をしようとすると、無理が出て逆効果になることもあると思います。そうした演奏にはやはり余裕が必要だからです。

 音質の太さや音量、あるいはダイナミックな迫力ある男性的な演奏を求めるのではなく、女性ならではの繊細感や優しさを生かした表現を目指した方が良いかも知れません。演奏表現は何と言ってもバランスが大切だと思います。自分の個性を良く見極めて、それにあった表現を心掛けることで、総合的なバランスが取れるし、結果的に、あなたならではの個性が引き立ってくるでしょう。これは男性女性を問わず、誰に対しても言えることだと思います。

 ということで、女性ということでのハンディーは何もありません。今すぐ、クラシックギターを始めましょう!

 但し、女性の方へ一つだけ条件があります。それは爪を伸ばせないということです。弦を弾く右手は爪を若干伸ばしますが、弦を押さえる左手に関しては、まったく爪を伸ばせません。爪が長くては的確に弦を捕らえることが出来ません。右手に関してもただ単に爪を伸ばしているわけではなく、良い音を出すために形を整えて削ります。必ずしも格好良い形にはならないのです。

 爪を伸ばすオシャレはあきらめて下さい。でも、ピアノだってバイオリンだって爪は伸ばせません。音楽を楽しむためだと思って、我慢して下さいね。

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質問9) 三度の和音が連続するとき、綺麗に音をつなげるのがとても難しいのですが、コツがあったら教えて下さい。 (秋田 J.K.さん)

アドバイス) う〜ん・・・。これはやはり練習するしかないかも知れませんね。おっしゃるとおり、三度の和音の連続はギタリストにとって鬼門だと思います。例えば、ソルのエチュード作品6の6、すなわちセゴビア編ソルのエチュード12番が典型的な例でしょう。ゆっくりのテンポから始めて次第に早く、正確に弾く練習を地道に続けるしかないでしょうね。私も苦手です!

 ただ、三度の和音には、ポジションや運指に一定の法則があることはご存じでしょうか。暗譜や初見の際に手助けとなるかも知れませんので、少し解説してみます。初心者の人は是非覚えておいて下さい。

 三度の和音は、カンパネラを除いて、通常隣合った2本の弦でなければ取ることが出来ません。1弦と2弦。2弦と3弦。3弦と4弦のように。

 そして、2弦と3弦で三度の和音を作る場合以外は、二つの音のポジションが常に、隣り合ったフレット、もしくは1フレット開けたフレットのどちらかになります。

 具体的に言うと、例えば1弦g(3フレット)と2弦e(5フレット)の場合、4フレットを飛ばした位置になるので、左指の運指は1と3、もしくは2と4 になることが多くなります。これは音程差が短三度の和音の場合です。では長三度の場合はどうでしょう。例えば、1弦a(5フレット)と2弦f(6フレット)の場合、左指の位置は隣り合ったフレットにあります。運指は1と2、2と3、3と4 の3通りのどれかが多くなります。

 一方、2弦と3弦で三度の和音を作る場合には、位置がちょっと変わります。まず短三度の場合、例えば2弦c(1フレット)と3弦a(2フレット)では、隣り合うフレットを押さえます。では長三度の和音の場合、例えば2弦e(5フレット)と3弦c(5フレット)、どちらの音も同じフレットになります。運指は色々ですが、この場合セーハもよく使われます。つまり2弦と3弦で三度の和音を取る場合には、2つの音の間に1フレット開けることはないわけですね。

 ギターの調弦は3弦と2弦の間を除いて、隣り合う弦はすべて完全四度の音程差で調弦されています。3弦と2弦の音程だけ長三度で調弦しますので、例外が生じるわけです。

 このように三度の和音を取る場合、ポジションには一定の法則性があるわけですね。ということは、例外こそあれ、運指のパターンも自ずと決まってきます。(以上挙げた例には、増・減及び重増・重減三度は含まれていません)

 同様のことは三度の和音だけでなく、八度(オクターブ)や六度の和音にも当てはまります。どのようなパターンになるかは、皆さんで考えてみて下さい。三度の和音と同じく、一定の法則性が見つかるはずです。

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質問10) スラーのやりかたに何かコツはありますか? あるいは、なにかよい練習方法はないでしょうか? (奈良県 K.K.さん)

アドバイス) クラシックギターにとって、スラーは大変重要なテクニックですね。セーハと並んで、克服しなければならない壁の一つだと思います。

 スラーは初心者にとっては大変難しいテクニックだと思いますが、長年ギターを弾いている人でもスラーだけはうまくいかなくて困っている、という人が大変多いようです。

 特に、独学の経験が長く、きちんとした押弦の形が出来ていないまま、独特な押さえ方が癖になってしまっている人にとっては、綺麗にスラーを出すのは困難かも知れません。

 まず、スラーの弾き方を考える前に、きちんとした押弦が出来ているかをチェックして下さい。質問2に対するアドバイスも参照して下さい。押弦する指は関節を十分に曲げてしっかり立て、指の先端で弦を捕らえます。そうしないと指は立たないはずです。

 但し、人差し指と小指が傾くのは一向に問題ありません。人差し指にできるタコは親指側に、小指にできるタコは逆側になります。ギターを構えた姿勢で押弦した左手を見ると、人差し指は左に傾き、小指は右に傾いているはずです。指を拡げたときは、特にこの傾きが顕著になるはずです。第一関節をしっかり曲げて指を立たせ、先端で押さえなければなりませんが、1と4の指が傾くのはむしろ自然なフォームです。人の指はそのように出来ているから仕方ないのです。

 また、手の平がネックに触っていたりしていませんか。これでは窮屈で、とてもスラーなど出来ません。まずは、左手のフォームを確認して下さい。

 スラーは大きく分けて、上行スラーと下行スラーに分けられます。上行スラーは初めの音から高い音程の音へかけられたスラーで、後の音は弾弦せずに叩いて鳴らしますよね。下行スラーは逆に低い音程に向かってかけられたスラーで、初めの音を弾弦した後、左手の指先で弦を引っかけるようにして鳴らします。

 上行スラーは比較的簡単に出来ると思いますが、問題が多いのは下行スラーだと思いますので、下行スラーに的を絞って話を進めます。

 まず、弦を左指先で引っかけて鳴らす際に、スラーが掛けられた後の音がしっかりと押弦されていなければなりません。引っかけると同時に後の音を押さえたのでは、間に合わないと思います。特にテンポが速いときや、スラーが連続するときには、スラーが掛けられている二つの音を同時に押さえるくらいでないと間に合いません(例えば、ソルの魔笛の第一変奏など)。

 第二に、スラーが掛けられた、二つの音を押さえる左指の力加減が問題になります。初めの音を押さえた指(すなわち引っかける指)ではなく、後の音を押さえた指の方に、より力を入れておかなければなりません。力の配分が逆になってしまうと、弦を引っかけた時に、引っかけた力で弦そのものが下に引っ張られてしまい、はっきりと音が出ないだけでなく、音程が上ずってしまいます。つまり、後の音を押さえた指が軸となって、しっかりと弦を支えられていなければ、綺麗なスラーにはなりません。

 第三に、弦を引っかける際に、左手全体が回転してしまわないように気を付けます。手そのものを動かさず、指だけで弦を引っかけなければいけません。指の長さが短く、力の入れにくい小指でも、なるべく指が伸びきらない状態で弦を押さえ、手の平を回転させないで、指だけの動きで弦をしっかりと引っかけられるように練習をして下さい。

 練習のポイントは、スラーに限らず、とにかくゆっくりのテンポから始めることと、指の動きをしっかりと見据えることだと思います。

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質問11) ギターを始めて3年ほどですが、「美しく、太くて、芯のある音」の出し方について教えていただきたいのですが。また、そうした音を出すための練習方法にはどのようなものがありますか。
 爪の形や削り方、右手のタッチについても教えて下さい。アルアイレでアポヤンドのような音を出すにはどうしたらよいでしょうか。(熊本 K.N.さん)

アドバイス) 一度に随分とたくさんのご質問を頂きました。けれど、結局は共通の問題だと思いますので、まとめてアドバイスしたいと思います。

 ギターを始めて3年目ともなると、もっともっと音色を魅力的なものにしたいという欲求が出てくる頃だと思います。「美しく、太く、芯のある音・・・」ギターを弾く誰もが願う永遠の願望ですね。

 音色、音質に影響を及ぼす要素には様々なものがあり、一気にそのすべてを語り尽くすのは困難だとは思いますが、一般的に考えられることを少し述べてみたいと思います。但し、人によって体格の違いや指の太さや長さ、爪の形や質に違いがあるので、必ずしもすべての人に当てはまるとは限らないし、絶対的なものとは言い切れないことも多々あるかと思いますので、その点を十分理解した上でお読み下さい。

 まず、一般的な右手の構え方のポイントをまとめてみます。初めに、親指と他の指との関係ですが、親指は左に、他の指は右方向に置きます。ギターを構えた自分の右手を見下ろした時に、親指と人差し指、そして6弦を底辺とする、三角形の空間が出来るはずです。そのような位置関係になるよう、それぞれの指を置いてみて下さい。手首に力が入っていてはいけません。また、親指以外の各指の間に透き間が空いてはいけません。実際に弦を弾く際には、親指以外のそれぞれの指が軽くこすれ合う感じになります。

 この時、人差し指は弦に対して幾らか斜めにタッチしているはずです。つまり指そのものを親指よりも右側に置くため、imaそれぞれの指が多少左に傾くので、弦を弾く位置は指頭の中心ではなく、やや左側、すなわち親指側で弦を捕らえることになります。中指はどうでしょう。これも人差し指ほどではないけれど、やや親指側に傾いていると思います。そして、薬指。これはほぼ指頭の中心が弦に触れているか、やや親指側でタッチする感じになると思います。

*基本的な右手のフォーム

 これと全く逆に、imaそれぞれの指を親指の位置よりも左の方で構えたり、親指とほぼ同じ位置で弾弦しようとした場合、imaの各指は小指側でタッチすることになり、すくい上げるような弾弦の仕方になり易くなります。これではクリアな音が出難いし、弾弦する度に手が動いてしまい、音色の統一がとれなかったりミスを頻発する原因にもなります。独学でギターを弾いてきた人に、大変多く見られるタッチです。やはり前述のように、親指側で弾弦する方法が、もっとも一般的でしょう。

 ここで考えるべきことは、親指以外の指をどの程度傾けるかです。つまり、初めに話した三角形の底辺を、どの程度の長さにするかということです。底辺の長さが拡がれば拡がるほど、指は斜めになりますから、一層親指側で弾弦する感じが強くなります。理想的な底辺の長さは、手の大きさや指の長さ、更には親指が反り返るかどうかでも変わってきます。最も自然に感じる底辺の長さを研究しなければなりません。

 また、親指を除いて、指の先端(指頭の中心)ではなく、親指側で弾弦するわけですから、爪の形も弦の当たる親指側がなだらかになるような形にします。つまり、爪の頂点が指頭の中心よりも小指側になるように削るわけです。その加減は、指の傾け加減で変わってきます。そのように削ることによって、弦が爪に当たる面積が広くなり、結果として太くしっかりした音を出すことにつながるのです。

 ただ、前述の通り中指と薬指の弾弦の位置は人差し指ほど親指側にならないので、爪の頂点は人差し指よりは中心に近くなるでしょう。薬指はほぼ爪の中心に頂点を持ってきても良いかも知れません。つまり完全な左右対称の形になります。このあたりは人によって微妙に違います。薬指も他の指同様、爪の頂点が小指側にくるよう、斜めに削る人もいます。色々と試行錯誤をして、理想の形を探すしかありません。爪の長さも、人差し指を最も短く、薬指を最も長めにするのが一般的ですが、すべての人にとってそれがベストかどうかは分かりません。

 また、親指の爪も、同様な理由から、爪の頂点が小指側になるよう斜めに削るのが一般的です。

 爪の形や長さを考える際、ただ単に音色や音質のことだけを優先するのではなく、弾き易さも考慮しなければなりません。仮に爪が長い方が良い音だと思っても、アルペジオや早いスケールがもたついて弾きずらくなってしまっては意味がありません。そのあたりの加減も考えましょう。

 右手の構え方で重要なポイントをもう一つ。手首を適度に持ち上げているかどうかです。つまり、楽器のボディと右手首の間に空間が開いているかをチェックして下さい。この空間が無く、右手の腕がボディとほぼ並行になっているとしたら、指先だけで弾いていることになります。弾弦する右指はしっかり伸ばし、指全体を使って弾弦しなければなりません。手首とボディの間に空間を開けないで弾くと、指の関節が曲がり過ぎてしまい、指先だけで弦を弾くことになります。指全体を使って弾かなければ、力強い芯のある音は出ませんし、自由な指の運動を阻害する原因にもなります。
*手首を突き出して表面板との間に空間を設ける

 その他、弾弦する際の指の動き、方向、力の入れ具合など、考えたら切りがないほど、色々な要素が音に関係しているでしょう。けれど、余りミクロに考えすぎても意味がないと思います。要は、どのような音を良い音としてイメージし、追求するかが肝心なところであって、そうしたイメージを常に追求しつつ日々の練習を続けていれば、自ずと音は良くなるものと思います。

 そして音にこだわる以上に大切なのは、音楽を表現することです。私たちが演奏を聴くとき、演奏家の出す音を聞いているのではなく、彼の音楽を聴いているのだということを忘れてはいけません。音楽の表現力を高める努力をすれば、自ずと音も磨かれていくし、ニュアンスの出し方も豊富になっていくに違いありません。つまり、無意識のうちに、理想的な音を出す技術が身に付いていくのです。従って、良い音を出すための特別な練習法などないでしょうし、逆にどのような曲を弾いても、それは良い音を出すための練習になりうるはずです。

 巨匠セゴビアの演奏ですら、発音するすべての音が魅力ある美しい音だとは言えないと思います。ただ、時折見せる官能的な美しい音色には、確かに誰にも真似の出来ない魅力はありますが、彼の演奏が音楽的に素晴らしいからこそ、多くの人達が魅了されてきたのです。

 より良い音を出そうとする姿勢は大切だと思いますが、音ばかりにこだわっていたのでは決して良い演奏にはつながりません。大切なのは音楽を表現することであり、豊富なニュアンスを使い分ける技術を身につけることでしょう。すべての音をアポヤンドのような太い音で弾く必要などまったくありません。アルアイレがアポヤンドのような太い音になってしまったら、両者を区別する意味が無くなってしまいます。実際のギター演奏は、アルアイレが主体で、アポヤンドは意図的に使うのが普通です。

 仮に、爪が薄い、指が細いなどの肉体的条件が原因で太い音が出せないとしても、それをハンディーと考える必要などまったくありません。むしろ、そうした弱点を武器にするくらいのつもりで、均整の取れた音楽性豊かな演奏を研究し、志すことの方がどれだけ大切か分かりません。楽器や弦に対し、必要以上にこだわりすぎるのもどうかと思います。

 より良い音楽表現を追求することが、結果的に音を良くする為の最高の練習につながるものと、私は確信しています。

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質問12)アコースティックギター、エレキギタ−、クラシックギタ−、全て弾けるようになりたいと思っていますが、クラシックギターを習う事でそれは可能でしょうか? (T.S.さん)

アドバイス) 音楽には様々なジャンルがあり、色々な種類があるギターの場合、演奏するジャンルによって楽器の種類を使い分けるのが一般的ですね。

 クラシックギターは本来クラシック音楽に属する音楽を演奏するためにあるわけで、クラシックギターを勉強するということは、演奏の技術だけを学ぶのではなく、クラシック音楽としての演奏・表現方法を学ぶということなのです。クラシックギターを演奏したり教授したりする人たちは、当然クラシック音楽を中心に研究し、クラシック音楽を演奏するための技術と音楽性を追求してきたと言えます。

 つまり、演奏の技術はあくまでも音楽を前提としているわけですから、どのような音楽を演奏したいのかという欲求に応じて、楽器の選択はもちろん、指導者もそれぞれの専門家を選ぶべきだと思います。極端な話ですが、クラシックギターを習っても、その結果としてハードロックの演奏が上達するとは思えません。

 すなわち、クラシックギターを勉強したからといって、それが直接、クラシック以外の音楽の勉強になるとは限りません。クラシックの演奏家が、ジャズやポピュラー音楽を演奏しても、さっぱりジャズに聞こえなかったり、正確なだけで全然おもしろくない演奏になってしまったりすることはよくあります。逆に、ジャズの演奏家がクラシックを演奏しても、何かしっくりしません。餅は餅屋なのです。クラシックはすべての音楽の基本だとよく言われますが、それは音楽を勉強する上で必要な基礎を否応なく学べるという意味であり、それによってすべての音楽を極められるということでは決してありません。

 音楽を基礎からしっかり身に付けたいと願うならば、究極的にはやはりクラシックの勉強から始めるべきだと思います。ただ、人生そう長くはありません。あなたがまだ年齢的に若いのであれば、クラシックの勉強から始めることをお勧めしますが、そうでないならば、まずは一番やりたいと思っている音楽にふさわしい楽器を選択し、同時に適切な指導者を選択すべきではないでしょうか。

 ただ、昨今の音楽界の傾向として、クラシック以外のジャンルでもクラシックギターが使われたり、アコースティックギターやエレキギターを指で弾く演奏者が現れるようになりました。しかも単に指で弾いているというだけでなく、既成のジャンルという概念を越えた独自の音楽を表現する手段として、クラシックギターの演奏法を取り入れる演奏家が多く見られます。質問1で触れたラルフ・タウナーはもちろん、Windham Hill レーベルからリリースされている一連のギタリスト達、アンドリュー・ヨークなどもその例に挙げられると思います。彼らは必ずしもクラシックギターだけを弾いているわけではありませんし、彼らの音楽や演奏はクラシック音楽とは異なる音楽です。けれども、クラシックギターの演奏法及び表現法の延長線上にあるものが大変多いと思います。そうした音楽を目指すのであれば、当然クラシックギターの勉強は不可欠だと思いますし、それによって自己の音楽を表現する新たな可能性が芽生えるかも知れません。

 ただ、前述したとおり、あくまでも演奏技術は音楽の前提ですし、クラシックギターを勉強することで得たものを、他の種類のギターや音楽で生かせるかどうかは、あなたの能力次第だと思います。音楽はやはり、最終的には本人の持てる能力如何に関わってきます。それだけでなく、上達するために最も不可欠なものは、何と言ってもあなた自身の情熱です!

 夢と希望に向かって進んで下さい。
(2002.4.15一部訂正)
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質問13)ギターを始めて6年ほどになります。初歩の段階を終え、現在中級程度の曲をさらっていますが、トレモロの名曲「アルハンブラの想い出」に挑戦しようと思います。トレモロ奏法の練習法を中心に、同曲を弾けるようになるための日常的な練習方法をご教示願います。(秋田県 H.F.さん)

アドバイス) トレモロを綺麗に弾くのはなかなか難しいですね。トレモロの練習法の前に、トレモロが綺麗に弾けない一般的な症状を幾つか挙げてみます。

 第1に、pamiで弾く各音が完全な均等の間隔で発音されていない。特にamiの順番で弾く3つの音のいずれかが重なってしまい、2つの音しか聞こえてこない。よくある例は、miがほとんど同時に発音されてしまうため、pami4つづつの音符が三連譜のように聞こえてしまう症状です。

 第2に音色にばらつきが目立つ。つまり、amiそれぞれの指で弾く音が均質な音色になっていない。これはトレモロの演奏に限った問題ではありませんが、同じ音を連続して弾くトレモロの場合、普通の演奏以上に、音色のばらつきが目立ってしまうようです。また、トレモロの時だけ極端に音質が細くなってしまう人もよくいますね。

 第3に、無理なテンポで弾いている。もっとも、ゆっくり弾くとミスが目立ってしまうので、敢えて早めのテンポで弾いてしまう人もいるようですが・・・。

 では、日常どの様な練習をすべきかですが、一口で言えば、以上挙げた一般的問題点を念頭に置いて練習することです。具体的には、pamiの各音が完全に均等に発音できるように、とにかくゆっくりのテンポから練習をすること。均等に発音するだけでなく、音量も同じでなければなりません。トレモロの粒が揃わない原因には、音質だけでなく、音量のばらつきも関与しています。どの指の音に問題があるのかをよく見極め、その指に対してより注意を払って練習すると良いでしょう。

 トレモロは同じ指の運動を延々と繰り返さなければなりませんので、ある程度右手にもスタミナが必要です。始めのうちは力が入ってしまい、右腕全体が堅くなって右手の動きが大きくなりがちです。腕に余計な力が入らず、自然で柔軟な状態を長く維持できるように、時間を掛けて練習を続けて下さい。重ねて言いますが、テンポ設定も決して無理をせず、少しづつ速くしていくべきでしょう。

 テンポを速めると、amiの音が団子状態に固まってしまいがちです。もしそうなってしまうようならテンポ設定が速すぎます。各音がはっきり分離し、均等な間隔で発音できるテンポでの練習を繰り返し、少しづつテンポを速め、そして少しづつ長い時間弾き続ける練習をすることで、右手のスタミナを養います。

 以上述べたことはすべて右手に関する事ですが、実際の曲の演奏には当然左手も関与しています。トレモロの曲は、アルペジオのようにコードフォームを押さえ換えていく場面が大変多いですね。アドバイスコーナーの質問4の中で述べた、アルペジオを弾く際の左指の押弦に関する注意点も参照して下さい。つまり、あらかじめコードフォームを作ってから弾くのではなく、必要に応じて、弾弦するのと同時に左指を押さえ換えていかなければ、音の繋がりが維持できなくなる、ということですね。

 アルハンブラの思い出は誰もがあこがれる曲ですが、決して易しい曲ではありません。1弦のトレモロは比較的やりやすいのですが、アルハンブラの場合、途中イ長調に転調する部分以外、ほとんど2弦のトレモロが中心になります。右手の各指が常に的確に弦を捕らえられないと、うっかり1弦を弾いてしまいやすいですね。

 それから、左手に意識を取られると右手のトレモロが乱れやすくなりますので、完全に暗譜をするのは勿論のこと、苦労することなく音を取れるように、左手に関しても十分練習しておくことが大切でしょう。

 もし無理を感じたら、もう少し易しいトレモロの曲から始めるのも良いかも知れませんね。

 と言うことで、アルハンブラへのステップとして、中級程度の人でも無理なく練習できる、比較的やさしいトレモロの曲を挙げてみます。

 モツァーニ作曲 ラリアーネ祭。トレモロの入門曲として、自分の生徒にもやらせています。テーマからトレモロ変奏まで、左手の運指がほぼ同じなので、右手のトレモロに神経を集中させることができます。楽譜は色々なギター曲集に修められていますが、万一お持ちでないかも知れませんので一応ご紹介しておきます。現在、もっとも入手しやすいと思われる曲集は、ドレミ楽譜出版の「ギター名曲170選 グレードA」。この中に収録されています。

 バリオス作曲 最後のトレモロ ラリアーネ祭よりはずっと難しいですが、とても美しい曲だし、本格的なトレモロの曲としてお勧めできると思います。左手をかなり拡げなければならない箇所があったり、セーハが連続する部分など、決してやさしくはありませんが、トレモロ自体は比較的弾き易いと思います。

 他にもあると思いますが、以上の曲をしっかり綺麗に弾けるようになれば、アルハンブラの想い出もそう難しくは感じなくなると思います。

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質問14)「アメリアの遺言」に挑戦しているのですが、17小節目からのハーモニクスの弾き方がわかりません。ハーモニックス奏法について教えて下さい。(福島県 G.S.さん)

アドバイス)ハーモニックス奏法に関する質問ですね。大きく分けて、ハーモニックスには二つの種類があります。Natural Harmonics(自然的ハーモニックス)とArtificial Harmonics(人工的または技巧的ハーモニックス)です。どちらもおかしな日本語訳ですが、昔からこう呼ばれていました。ちなみにHarmonicsは英語ですが、ギター曲の場合スペイン語でアルモニコス(Armonicos)と表記されることも多いですね。

 ご質問にある「アメリアの遺言」(カタロニア民謡〜リョベート編が最も一般的)ですが、ここに出てくるハーモニックスはArtificial Harmonics(人工的ハーモニックス)を使って演奏します。その説明の前に、まずは二種類のハーモニックス奏法について解説しましょう。

 まず一般的によく見られるNatural Harmonicsの方ですが、フレット金具の真上に左指を載せ、右指で弦を弾いた後すぐに左指を離す奏法で、鐘のような音色がします。調弦の際にも利用しますね。但し、全てのフレット上で鳴るわけではなく、12,7,5フレット上が最も良く鳴ります。(左指はフレットとフレットの間に置くのではなく、必ずフレット金具の真上の弦の上に載せます)左指はあくまで弦の上に載せるだけ、と言うより触れるだけで弦を深く押し込んではいけません。弦を弾いた直後に左指を離しますが、タイミングが早すぎると開放弦の音が鳴ってしまいますし、遅すぎると綺麗に響かず鈍い音になってしまいます。

 12フレットは弦長の中間点(二分の一)、7フレットは三分の一、5フレットは四分の一の位置です。12フレットのハーモニックスの場合、右手で弾弦する位置はどこでも良く鳴りますが、7フレットのハーモニックスの場合、弾弦する位置がブリッジ側から同じ様に三分の一の位置で弾弦しても音が出ませんので注意が必要です。5フレットのハーモニックスも同様に、ブリッジ側から四分の一の位置で弾弦しないよう、注意を要します。結局何フレットのハーモニックスでも、ブリッジ近くで弾弦しておけばまず大丈夫でしょう。

 9フレットや4フレット上のハーモニックス(いずれも五分の一の位置)も時々出てきますが、音程が正確でなかったり綺麗に響かなかったりと、実用上問題ある位置ですが作曲家が指示している以上従わざるを得ませんね。

 さて、もう一つのハーモニックス奏法、Artificial Harmonics(人工的ハーモニックス)について説明しましょう。これは、12フレット上のNatural Harmonicsを人為的に作ってハーモニックスをする奏法です。12フレットは前述の通り弦の中心です。弦の中心であればハーモニックスの音が鳴りますので、人為的にそのような状況を作ることによって、どのポジションの音でもハーモニックスする事ができます。

 例えば、1弦の1フレット(fファ)をハーモニックスするには12フレットプラス1フレットで、13フレットが弦の中心になります。ただ、左指は1フレットを押さえていますので、13フレットをも左指で触れることは出来ませんね。そこで、右手の人差し指(i)で13フレット上の弦に軽く触れ、薬指(a)で弾いてハーモニックスの音を出すのです。例をもう一つ。2弦の3フレット(dレ)の時は2弦の15フレット(12+3=15)にiの指を載せ、aで弦を弾きます。これは慣れないとかなり難しいかも知れません。慣れるまではイライラすること間違いなしでしょうね!

 しかも実際にはメロディーラインだけ単音でハーモニックスをすることは少なく、ハーモニックスと同時に親指(p)で低音を弾いたり、和音を弾かなければならないこともあります。「アメリアの遺言」も正にその代表的な例です。念のために言っておきますが、ハーモニックスで弾くのはメロディーライン(音符の棒が上を向いている声部の音)だけです。それ以外の声部の音は普通に弾きますが、右手の位置がサウンドホールの左側あたりになりますので、普通に弾弦する音もかなりこもりがちになりますし音量もあまり出ません。でも出なくて良いのです。無理して大きな音を出そうとする必要はありません。繊細な音色を出すのが目的なのですから。

 練習法は、まずハーモニックスのメロディーラインだけを単音で綺麗に音を鳴らせるように練習します。その後で、pで弾く低音やメロディーに挟まれた和音を挿入していきます。その時点では完全に暗譜をし、左手を一切見ないでもきちんと押弦出来るようにしておかなければなりません。左指で押さえるポジションに応じて、iで触れるフレットの位置がめまぐるしく変わります。右手iの指をしっかり見て正確な位置に運ばないと、まったくと言って良いほど音が鳴りません。左手を見る余裕などまったく無いのです。

 慣れるまではとにかくイライラすると思いますが、リラックスして練習して下さい。普段右手の位置を変えるということはあまりないだけに、右腕全体が堅くなってしまう初心者も多いようです。「アメリアの遺言」以外にも同様の奏法が出てくる曲は結構ありますので、この機会に是非マスターして下さい。左手に関しては決して難しいことはありませんので、左手を一切見ないで弾く練習を先にしてしまうのも良いかも知れませんね。

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質問15)音楽の知識について質問させてください.私が楽譜から読みとれる情報といえば「クレッシェンド」や「フォルテ」などのように文字や記号で書かれたことだけです。しかしプロギタリストというのは楽譜から読みとる情報量が私とは比べものにならないくらい多いのです。楽譜に書いてないことまで読みとっているのです。私はこれにはいつも圧倒させられます。どうすればそのような演奏が出来るようになるかというのが私の質問です。一般的な音楽の知識に加えて「和声」という分野も勉強したほうがいいのでしょうか? 「和声」に照らし合わせて考えれば、この音は少し強めに弾くといったことなどは自然と分かるものなのでしょうか? (熊本K.N.さん)

アドバイス) K.N.さんもおっしゃるとおり、楽譜には表情記号や発想記号などしっかりと記譜されている情報以外にも様々な情報が隠されていて、それをしっかりと読みとることが大変重要なことだと思います。演奏には演奏家ぞれぞれの個性があり、一見自由な発想やインスピレーションで、思い思いの表現を勝手にしているように思われる人もいるかも知れませんが、それはとんでもない話で、実は個性を発揮する前提として、楽譜に書かれていることを分析し、作曲者の意図を十分くみ取り、理にかなった演奏を心掛けることによって、誰が聴いてもおかしくない、自然な流れを持った演奏を実現しているのだと思います。そうした前提をふまえた上で、あるいは楽譜に書かれた制約を超えない中で、演奏家独自の個性を発揮することが許されるものと考えます。それでなければどんな演奏でも許されてしまいます。自分勝手な演奏をしても、共感してくれる人は少ないでしょう。

 楽器の演奏がうまくなるということは、音が良くなるとか指が速く動くとか、単に技術的に上達することだけではないですよね。楽譜という音のない記号の集積から、実体を持った音楽を作り出すのが演奏行為です。けれど、ただ単純に音符を正確に繋いでいけばそれで音楽になるというものではありませんよね。楽譜に書かれた様々な種類の記号を見逃してはならないのは当然ですが、それだけではなく、もう少し深く楽譜を分析できるようになると、もっと色々なことが見えてきますし、作曲者の意図をより明確に認識することが出来ます。

 そうした意味で、理論の勉強はより良い演奏を目指す者にとっては避けて通ることの出来ない必修科目だと言っても良いかも知れません。但し、理論の知識に習熟していても、それを実際の演奏に生かすことが出来なければ、何の意味もありません。音楽をこよなく愛し、色々な演奏をたくさん聴いてきた人の中には、理論の勉強なんかしたことが無くても、無意識の中でフレーズや和声進行の美しさを感じ取り、自然なアーテュキレーションを生み出して魅力ある演奏表現を実現出来る人も多くいると思います。つまり、頭で考えることも大切ですが、それ以前に豊かな感性を持って心で感じ取れることの方がどれだけ意味があるか知れません。優れた演奏をするためには、音楽理論の勉強や楽譜の分析に習熟することよりも、豊かな感性を持って理にかなった演奏を自然に再現し、なおかつ演奏家自身の個性と積極的な主張が感じられる表現を実現する事だと思います。

 だからといって、理論的な勉強はまったく必要ないと言っているわけではありません。ある程度の理論的な考察は必要だと思います。我々は天才ではありません。神の啓示を受けるがごとく、天から降って湧き出るように、魅力的なニュアンスが生み出されるわけでもないでしょう。曲を仕上げるプロセスの中で、冷静に考え、分析する姿勢も必要になってくると思います。

 実際の譜読みについては、あまりにも多くのポイントがありすぎてとてもこの場では語り切れません。しかも楽曲の分析は和声分析だけとは限りません。旋律線の上昇・下降・跳躍、フレージングの認識(和声分析も関係あり)、スラーやアクセント、ちなみにスラーの記号はギターの奏法だけを指示しているわけではなく、スラーの頭の音にアクセントが付くことも忘れてはいけません。アクセントは>記号の部分だけにあるわけではなく、例えば和声進行の中でも、強調すべき和音もあれば逆の場合もあります。カデンツにおいてドミナントはやや強調し、次に続くトニックは穏やかに終止させるなどもその一例です。その他、非和声音に対するアクセントには倚音、係留音、先取音などがありますが、これらはアクセントのほんの一例に過ぎません。これらを理解するためにはある程度、和声の知識が必要になりますし、その大前提として楽典の知識がなければなりません。理論の勉強を始めるためだけでなく、音楽の常識を高めるためにも楽典の本くらいは読んでおくべきだと思います。すべての表現法が和声法の理論に基づくわけではありませんが、和声法の勉強はやはり、しないよりはした方が良いでしょう。

 和声の実習は作曲に近いものがあってなかなかおもしろいと思いますし、和声の仕組みや響きを再認識することで、それまで漠然と感じていたことがはっきりと理解できるようになるので、ある種の感動すら覚えます。興味があるならば是非勉強してみることをお勧めします。ただ、作曲家を目指すわけでもないでしょうから、極めるところまでやらなくても良いと思いますし、そこそこのところまでかじった程度でも十分演奏に役立てることは出来ると思います。前述したように、理論の勉強も実際の演奏にプラスにならなければ意味がありません。それと、理論的な考察に従うことが、常に最良の演奏表現を導くのだ、何て考えないで下さい。理論に反する表現だって多々あり得ます。理論の知識を生かすも殺すも、結局は感性次第だと思います。

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質問16)最近小学校3年と6年の娘たちにギターを教え始めました(夢を託し)。しかし、私のもっているギターは2本とも弦長650ミリのものです。小6の娘は手も大きいほうで、どうにか扱えるのですが、小3の娘はまだ手が小さくて無理をさせています。親としては小さなスケールのものを買ってやりたいのですが、あと2・3年もすれば大人並みの手の大きさになることを考えると少々もったいないような気もします。さて、子供の時期には手にあった小さなギターを与えることが必須なのでしょうか。私自身もちろん理想だと思いますがいかがでしょうか。(静岡県 Y.Y.さん)

アドバイス)最近、ギターの世界でもようやく子供への教育に関心が寄せられるようになり、大変喜ばしいことだと思います。ただ、子供用のギターはそれほど需要が無いためか、大人用の量産ギターとあまり値段が変わらないのは困ったものだと思います。おっしゃるとおり、いずれは使えなくなるわけですからね。

 私の場合、実際に楽器を構えた姿勢を見て、大人用のギターでは無理があると思われる場合には、やはり子供用のギターを勧めています。楽器を構えた時に、あごがボディーの上に載ってしまうようではちょっと無理ではないかと思います。大きすぎる楽器を無理して使うよりは、やはり体格にあった楽器を無理なく使うことの方が良いに決まっているわけですが、小学校3年生だと、もうしばらく待てば大人用の楽器でも大丈夫かもしれませんね。難しいところです。実際、子供によって結構体格に差がありますので、大柄な子供ならば、3年生くらいでも何とか大人用で大丈夫な場合もあると思います。そのあたりは実際の構えを見ないと何とも言えません。

 ただ、子供の小さく細い指先で弦を押さえるのはかなりしんどいものです。大人ですら初心者のうちは指先が痛いと訴えるほどですから、子供の場合はなおのこと大変です。楽器の大きさの問題だけでなく、張力の柔らかい楽器を与えるという配慮も必要かもしれません。

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質問17)手が小さく困っています。どこかクラシックギタ−のメーカ−で弾き易いギタ−を教えてください。(神奈川 K.Z.さん)

アドバイス)ギターの大きさは標準サイズの弦長で650ミリですが、640ミリや630ミリなど、小さめの楽器もあります。どこの量産メーカーでも作っていますし、手工品のギター制作家も大概の人は作っていますので、クラシックギターの専門店に行けば容易に手に入れることが可能です。 


質問18)アコギ歴5年からクラシックギターに転向して1年になります。クラシックギタリストを見ると結構みんな指が長くて、自分の指は短いので、やはり指の長さによっては弾けない曲とかあるのでしょうか。たとえば「森に夢見る」の最終部の18フレットを押さえる所などは 自分には無理なような気がします。手がすごく小さくてすばらしいギタリストなどいれば教えてください。(新潟県 E.A.さん)

アドバイス)ギターを弾くにはそれは手の大きい方が有利でしょうが、実際には関係ないと思います。手の大きさよりも手の柔らかさ、つまりいかに指が拡がるかが肝心なところです。手がどんなに大きくても、指を拡げることに慣れていない初心者よりも、手が小さくてもギター歴の長い人の方がはるかに指が拡がります。それでなければ、もともと手の大きい西洋人のために作られた楽器を、手の小さい日本人が弾くこと自体無茶なことになってしまいます。

 但し、効率よく指を拡げるには、単なる経験だけでなく、持ち方(左手のフォーム)にも大きく関わっています。正しいフォームが出来ているかをよく確認して下さい。ネックの太いクラシックギターは、エレキやアコギと同じ左手のフォームでは絶対に無理があります。


質問19)いままでずっとフォークギターを弾いてきて、今回クラシックギターを弾き始めました。しかし私はタブ譜しか読めません。なんとか楽譜から運指がわかるようになりたいのですがどのような練習を始めたら良いのでしょうか?(山形県 K.S.さん)

アドバイス)五線譜を読めるようになるには、その手の解説本が出版されているはずですのでそれで勉    強して下さい。ギターだけでなく、あらゆる音楽に共通です。ギターの運指については、左手の人差し指から順に 1.2.3.4 です。弦の指示は○の付いた数字で指示します。@は一弦を指します。右手の運指は、親指がp 人差し指がi 中指がm 薬指がa です。小指は通常使いませんが、ch という記号があります(ほとんど見たことありません)。但し、すべての音符にこれらの指示が付記されているわけではありません。付記されていない音符は、常識的に考えれば判断できる場合が多いからです。

 しかし、まったくと言って良いほど運指の指示が無い楽譜も現実にはたくさんあります。そうした場合の判断にはやはり、それなりの経験が必要です。判断する上での重要な要素として一般的に言えるのは、フレーズの途中でのポジション移動は極力避ける。メロディーラインの音色に統一感を持たせる。なるべく易しい(弾きやすい)運指を選ぶ。などが挙げられると思いますが、一言で規定できるほど単純なものではないでしょう。可能であるならば、先生を探してきちんと勉強するのが最良です。

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質問20)Ovation(スティール弦用)にナイロン弦を張ったのですが、チューニングがすぐに下がってしまって困っています。このぺグでは無理なのでしょうか? 良い方法があれば教えてください。(愛知県 H.K.さん)

アドバイス)ナイロン弦はスチール弦に比べると、音程が落ち着くまでにかなりの時間がかかります。弾く時間にもよりますが、上級者で2〜3日、初心者などでは2週間くらい時間がかかります。張り替えたばかりの頃は、ほんの数分(数秒)で弦がゆるみます。たくさん弾くにつれ、音程は次第に安定し、やがてほとんどゆるまなくなりますが、その頃には弦が本来持つべき弾力が失われ、伸びきった状態になっています。従って、音程が安定しきってしまったら、もはや弦の換え時だということになります。実際には、我々の場合、1〜2週間くらいで新しい弦に張り替えます。初心者の場合なら半年くらいは問題ありません。練習時間が多く、難しい曲を弾く人ほど弦の消耗も激しいということですね。

 スチール弦を張る楽器はクラシックギターよりも弦高がかなり低いので、そのままナイロン弦を張ると音がビリ付くのではないですか? スチール弦よりもナイロン弦の方が弦の振幅が大きいので、クラシックギターは指板と弦の隙間(弦高)を広く開けないと、振動した弦がフレットにぶつかって音がビリ付いてしまいます。大きな音で弾くとビリ付くでしょう?

 弦の違いだけでなく、クラシックギターとスチール弦を張るギターとでは、ネックの形状も太さもかなり違います。ナイロン弦の音を楽しむためには、やはりナイロン弦を張ることを前提に作られたギターでなければ無理だと思います。

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