Front Page
       D/A変換器の製作   ('07,01,01 作成 / '08,12,27 改訂)

 円筒形SPは箱型SPに比べ箱の寄生振動が少ないので格段に高い解像度を備えている。
しかし廉価な市販のCDプレーヤーは解像度が低く円筒形SPの実力を引き出せなかった。

 円筒形SPの性能を生かせるCDプレーヤーを求めて市販品の改造を行った。
改造により音は大幅に改善されたが、満足できる性能ではなかった。
改造による音質の向上には、機械的構造や電子回路の構成に制約が伴い限界が見えた。

 しかし改造作業を通じて既存CDプレーヤーの問題点を把握できた事は大きな収穫だった。
それらの問題点はCD駆動部とD/Aコンバーター部を分離し、適切な回路設計で一掃できると判った。

 良い音を求めて総ての問題点を解消したD/A変換器を設計製作した。
殆んどのCDプレーヤーが採用している周波数特性優先(Frequency Domain)ではなく時間特性優先(Time Domain)を採用した。
これにより音質が劣化する電解コンデンサを使ったキンキン音対策は不要になりました。

 その透明で繊細な音はバイオリンやチェロなどの楽器自体が持つ魅力を再現できる程です。
特にボーカルの生々しさは素晴らしく目の前で歌っているようだ。

 以下に製作したD/A変換器の詳細を解説する。

           1 既存CDプレーヤーの問題点            ('08,12,27 改訂)
               1-1 CDの規格に問題がある         ('08,12,27 作成)
               1-2 周波数特性崇拝が音色を変える       ('08,12,27 作成)
               1-3 録音におけるLPFの問題          ('08,12,27 作成)
               1-4 再生におけるLPFの問題          ('08,12,27 作成)
               1-5 キンキン音対策は巧妙なトリック         ('08,12,27 作成)
               1-6 OPアンプは音を変質させる
               1-7 電源トランスの振動が音を悪化させる
               1-8 CD駆動部は 雑音源
               1-9 大量生産で音が犠牲に
               1-10 回転の震えが嫌味な高音を生み出す   ('09,1,4 作成)

           2 試聴
               2-1 バイオリンによる試聴            ('07,01,16)
               2-2 チェロによる試聴             ('07,06,06
               2-3 Yoshii9での試聴            ('07,07,05)

           3 電気的性能の測定                 ('07,08,07)

           4 振動対策の強化                 ('07,08,17)
               4-1 ケースの防振
               4-2 回路基板の振動対策
               4-3 電子部品の振動対策
               4-4 振動対策の確認実験          ('07,08,19)

           5 試聴と試験販売のお知らせ

           6 購入者による試聴報告                ('07,11,11)
               6-1 K氏の試聴報告
               6-2 K.A氏の視聴報告           ('09,06,22追記)

           7 バイオリンの高音問題                 ('08,12,24 改訂)

           8 Blu-ray Discの試聴              ('08,1,30 追記)

           光S/PDIFの音質低下問題               ('09,06,08 新規掲載)

           9 ONKYO ND-S1での試聴            ('10,02,03 追記)
                                               9-1 iPhone3GSでの試聴
                                               9-2 iPhone4Sでの試聴                                ('11,12,01 追記)
                                               9-3 試聴会での3GS4Sの比較                       ('11,12,18 追記)

           11 S/PDIF、光と同軸の音比べ           ('11,04,2 追記)


           12 NOS-DACは粉飾                ('12,01,11 追記)



1. 既存CDプレーヤーの問題点と解決方法  ('08,121,27 修正)
 一部の超高級品を除いて複数の音質低下要因を抱えている。
音質低下要因には次のようなものがある。自作したD/A変換器では、それらの総てを解決した。

1-1 CDの規格に問題が在る
 CDの規格では44.1KHzのサンプリング周波数で20KHzまでの音を忠実に録音し再生できると多くのオーディオ愛好家は理解している。
理論的には正しいのですが、実際には再生周波数の最高値とサンプリング周波数が2倍強しか離れていない為、絵に描いた餅なのです。
現在のアナログ回路技術では楽器の出す倍音を正確な振幅でタイミングを狂わさずに再生するのは困難です。
周波数特性と時間特性の両立は困難なので何れかを優先した回路設計を選択しなければなりません。

 殆んどのCDプレーヤーやD/Aコンバータは周波数特性を優先した(Frequency Domain)回路で作られています。
D/A converterを製作した後に知ったのですが、WADIA社が採用しているtime domain interpolation algorithmは、
時間特性優先をデジタル技術で実現したものと思われます。

 問題のある規格ですが、規格を作った時点で実現できる技術の範囲で妥協したものです。
しかし、それまでのLPレコードに比べ扱いやすさやスクラッチノイズが無いなど大きな前進でした。

1-2 周波数特性崇拝が音色を変える
 多くのオーディオ愛好家は20KHzまで平坦に再生する事が良い音に繋がると考えているようです。
これに応えるべく大多数のメーカーは周波数特性測定試験で良い数値を出す回路を設計しています。
カタログに20Hz〜20KHz±0.5dBなどと表記して如何にも良い音が出そうです。
しかし、これが楽器の音色を変え透明感を損なう元凶なのです。

 常識的に考えれば平坦な周波数特性は良い音に繋がる筈ですが、
それは正確なタイミングを伴った場合であってタイミングが乱れては良い音になりません。

 LPレコードの時代には周波数特性の良いMCカートリッジが美しい高音を再生するための鍵でした。
メーカーは溝に記録された微細な情報を損なう事無く読み出せるように針圧が軽く周波数特性の良いピックアップの開発に凌ぎを削りました。
LPレコードでは倍音のタイミングが狂う要素が少ないので周波数特性の追求は良い音に繋がりました。
時代がCDへと変わっても、この時代の考えから抜け出せないのでしょう。

 デジタルオーディオにはLPレコードには無かったLPF(Lo Pass Filter)という厄介な物が必要です。
しかし再生周波数の最高値とサンプリング周波数が2倍強しか離れていない為に
周波数特性と時間特性を両立したLPFを作るのは困難です。
一般に周波数特性優先でLPFが設計され、これが音を悪くしています。

1-3 録音におけるLPFの問題
 アナログ信号をデジタル信号へ換える際にもLPFが使われます。
アナログ信号に22KHzよりも高い周波数の成分があると折り返し雑音を生じます。
LPFを使って20KHzよりも高い周波数の成分を排除します。

このLPFについては情報が無いのですが、大変に難しいフィルタです。
通過させたい周波数と排除したい周波数が2倍強しか離れていないために急峻な遮断特性が求められます。
急峻な遮断特性のLPFは寄生振動を生じキンキンしたり倍音のタイミングを狂わせたりします。

倍音のタイミングが狂うと音色が変わり、音の奥行き感が損なわれます。
LPレコードにはLPFがないためCDよりも豊かな奥行き感が得られます。

遮断特性は緩慢だと折り返し雑音が生じ、キンキンした音を加えてしまいます。

遮断特性が急峻でも緩慢でもキンキンした音を出しやすいのです。

近年は高い周波数でサンプリングした後にデジタル処理でサンプリング周波数を44.1KHzへと
下げる技術が進歩したので録音におけるLPFの問題は軽減されました。
しかし製作した時期が古いCDには問題が多いようです。


1-4 再生におけるLPFの問題
 デジタル信号をアナログ信号に戻した際に生じるギザギザを消す為にLPFが用いられます。
録音用LPFと同様に、通過させたい周波数と排除したい周波数が2倍強しか離れていないために急峻な遮断特性が求められます。
通常は急峻な遮断特性のバターワースフィルターが使われています。これが音を変質させています。

 バターワース特性では,周波数-振幅特性において平坦な通過帯域と急峻な遮断特性を得られます。
問題は通過時間です。信号の周波数によって通過時間が違うのです。

 楽器の音色は基音と倍音で構成されています。その基音と倍音に時間的なズレが生じます。
そのためバイオリンの音や女性のハスキーな声のような周波数の高い部分で音が変わります。

 また急峻な波形が入力されると遮断周波数付近の振動を生じます。
キンキンした嫌な音が作り出されますが、音に出さない巧妙なトリックがあります。

対策:  多くのCDプレーヤーでは迷うことなく周波数特性優先設計(Frequency Domain)を採用していますが、
    HRDAC-01では時間特性優先設計(Time Domain)を採用し透明感のある美しい音と奥行き感を再現するのに成功しました。
    再生周波数帯域を最高級LPレコードプレーヤー並の15KHz程度に抑えタイミングの狂いを解消しました。
    殆んど聞こえない20KHz付近の高音を再生するためにタイミングを狂わせるべきではないと考えました。

    下図はフィルターの遅延特性をシミュレーションした結果です。横軸は周波数、縦軸は遅延時間を示しています。
    緑色の25KHz付近にピークがあるカーブは一般的なCDプレーヤーに使われている4次のバターワース特性ローパスフィルター、
    赤色の平坦なカーブは通過時間が均一なタイムドメイン設計のフィルタです。




1-5 キンキン音対策は巧妙なトリック
 CDのを再生した音には、録音した時点で生まれたキンキン音と再生で生み出されるキンキン音が含まれています。
しかし大部分のCDプレーヤーやD/Aコンバーターでは巧妙に隠蔽され聴き手の耳に届くことはありません。

 キンキン音は再生周波数の上限を15KHz程度に絞れば解決できます。
しかしユーザーの周波数特性崇拝があるのでカタログに20Hz〜20KHz±0.?dBなどと表記しないと売り上げに響きます。
そこで電解コンデンサを使った巧妙なトリックで処理します。

 電解コンデンサの誘電体は酸化アルミニュームの皮膜ですが、電解液中のイオンが電子の移動を仲介しています。
液中でのイオンの移動速度が遅いため信号に遅れを生じます。この遅れを巧みに活用します。
信号のカップリングに電解コンデンサとフィルムコンデンサを並列に接続して使います。
電解コンデンサを通った信号はフィルムコンデンサを通り抜けた信号よりも遅れるために
干渉して音の微細な部分が潰れて平坦になり高音が減衰します。反面低音は相対的に強められる事になります。

 これによってキンキン音は隠蔽されますが、バイオリンの倍音やトライアングルの衝撃音が弱まります。
また音の透明感や奥行き感が損なわれます。

 しかし周波数特性には影響が出ません。
周波数特性の測定には実際の音楽ではなく正弦波を使います。
正弦波には楽器のような倍音が無いので高い周波数で干渉が起こっても位相が変わるだけで音量に影響はありません。

 仕様に示す20Hz〜20KHz±0.?dBの周波数特性は嘘ではありませんが、実に巧妙なトリックです。
実力は20Hz〜10KHzで-3db程度だと推定しています。このトリックを考案した技術者は凄く頭の良い人です。
売り上げを伸ばしたい気持ちはわかりますが、ユーザーの誤解を招くような表現は改めるべきではないでしょうか。

 超高級な外国製CDプレーヤーでは誤解を生じやすい周波数特性をカタログに表記するのを避けたり、
正直に18KHz-3dBなどと特性を公表している物もあります。

対策:HRDAC-01には、トリックは全く在りません。
    録音時に発生したキンキン音はLPFの遮断周波数を15.?KHzに設定して排除しました。
    LPFには緩やかな遮断特性を採用しキンキン音作り出しません。
    カップリングにはブラックゲートコンデンサを採用しました。
    ジェルマックス社のブラックゲートはイオン伝導を利用しない理想的な電解コンデンサです。
    残念ながらジェルマックス社は廃業したため新たに入手するのは困難な状況ですが、当面必要な量のストックがあります。


1-6 OPアンプは音を変質させる
 オーディオで音を悪化させる要素の一つにNFB(負帰還)がある。OPアンプはNFBの塊のような部品だ。
正弦波を用いた特性評価実験では素晴らしい特性を示すが、殆どの楽器は正弦波ではないので問題が生じる。
CDプレーヤーではアナログ回路に多用されている。特にローパスフィルタには必ずと言って良いほど使われている。
OPアンプの性能により程度の差はあるが、何れでも通過させると確実に音質が低下する。
調べたCDプレーヤーでは廉価な物で三個、高級機種では六個ものOPアンプを通過していた。
両者の音を較べると三個の方が劣化の少ない音だった。
六個も使った高級機種では人の声を再生した場合の劣化が顕著だったが、心地良い音ではあった。

対策:真空管アンプファンの間ではMCカートリッジ用マッチングトランスをローパスフィルタの代わりに使う方法が知られている。
     しかしトランスの周波数特性には疑問があり避けた。個別部品を巧みに組合わせてローパスフィルタを構成し、
     OPアンプを使わずに済ませる方法を考案した。マッチングトランスを使う方法よりも安価で性能が良い筈だ。


1-7 電源トランスの振動が音を悪化させる
 電源に使われるトランスが振動する。振動は鉄心が磁力で伸縮することによって発生する。
振動がアナログ回路に伝わると音が悪くなる。また漏洩磁束も音に影響する。
高級機種では機械的な強度を上げ物理的な制震や防磁を施している。この部分にお金が掛かる。
ウオークマン等のポータブル機器は電池で稼動するので、この問題は生じない。

対策:D/A変換器のケース内に電源トランスを内蔵させずACアダプターを用い外付けにした。
     スイッチング方式のACアダプターを採用し漏洩磁束と振動の周波数を可聴周波数外にして影響を排除した。


1-8 CD駆動部は雑音源
 CDの読取りヘッドはトラックに追従させるためのサーボ機構を備えている。
CDプレーヤーを裸にして動かすと読取りヘッドのレンズが激しく動くのに驚かされる。
CDメディアの反りや撓みに対応するため、回転に追随し同じ周期で振動する。
サーボ機構が消費する電力もCDの回転と同じ周期で増減を繰り返す。
このサーボ機構から発生する振動電流が音声信号に混入し音を悪くする。

 CDが静電気を帯びると読取りヘッドのプラスチックレンズとCDメディアとの間で
吸引や反発を生じて更に振動電流が増える。
これによる音質の低下は電池を電源としたCDプレーヤーで顕著に現れる。
静電気による問題は帯電防止スプレーを用いると改善される。

対策:CDプレーヤーに内蔵されたD/Aコンバーターを使わずに光デジタル出力から信号を取り出した。
     光ケーブルを用いて自作D/A変換器と結び電気的に絶縁して完全に解消した。

1-9 大量生産で音が犠牲に ('07,09,10)
 大量生産では効率良く、高品質で性能の揃った物を作らねばならない。
そのため無調整で所定の性能が得られる回路を採用している。
例えば増幅回路では、利得を正確に設定できるOPアンプの採用は音が悪くなると判っていても避けられない。
またローパスフィルタでは、心地良い音と疲れる音は紙一重の差なので正確な遮断特性が求められるが、
無調整では難しいので電解コンデンサの特性を活用して巧妙に“解決?”している。これで解像度が低くなっている。
これはCDの規格が難しすぎる事に遠因がある。SACDはこれを解決する答えだろう。

対策:大量生産では使いにくい回路でも調整する手間を惜しまず音質最優先で採用した。
    OPアンプを使わずに特性が揃ったトランジスタを100個の中から厳選して使った。
    ローパスフィルターではコンデンサの容量を10pF単位でトリミングし遮断特性を正確に調整した。

1-10 回転の震えが嫌味な高音を生み出す   ('09,1,4 作成)
CDは水晶振動子の作り出す周波数を基準としたサーボ機構で回転数を制御しています。
平均回転数は正確なのですが、油を流したような滑らかな回転ではなく小さく震えながら回っています。
音程の基準はLPレコードと同じように回転速度なので、
この回転の震えが原録音に含まれている高音と干渉し鋭く耳にきつい音が発生すると考えられます。
また空気感を損なうといわれています。

 CD回転の震えによる時間軸の狂いは1μS以下といわています。
一回転が0.3秒から0.12秒であることを考えれば僅かな狂いですが、人も耳は感じてしまうようです。

 PCオーディオで音楽を聴けば問題は解消できます。
HRDAC-01でバイオリンを聴く場合にはPCオーディオをお勧め します。

2. 試聴
  製作したD/A変換器の音を単独で聴いても差が判らないので、所有している未改造の機器と比較した。
勿論SPは円筒形SPでアンプはTripath TA2020を使ったデジタルアンプだ。

2-1 バイオリンによる試聴 ('07,01,16)
 試聴するCDにはHenryk Szeryngが弾くBachの無伴奏バイオリンソナタを選んだ。
理由はフィルターの遅延特性で差が開いている2KHz以上の周波数を沢山含んでいて音の差が顕著に出そうだったからだ。

下の表は試聴での感じを独断で五段階にて評価したもので5が最良です。

機種 心地良さ 生々しさ 美しさ 和音の鮮明さ 備考
 SONY CD WALKMAN D-E999    4     3    3      3
 Apple iPod Model No:A1136    5     5    5      4 非圧縮で使用
 自作D/A変換器    5     5    5      5

講評:聞き比べて自作したD/A変換器とiPodの音が似 ていて驚いた。 交互に聴いたのでは差が判らなかった程だ。
    CDプレーヤーとiPodを同時にスタートさせアンプの入力切替スイッチを活用し曲の途中で頻繁に切り替えて聴き比べた。
    1秒周期くらいで切り替えても継ぎ目が判らない程だが、高音域では明らかに違う部分がある。
    iPodは自作D/A変換器に比べ高音の周波数帯域が僅かに狭い感じなのだが、何故か部分的に高音を強く感じた。


2-2 チェロによる試聴 (07,06,06)
 試聴するCDにはPaul Tortelierが弾くBachの無伴奏チェロ組曲を選んだ。
手元にある無伴奏チェロ組曲のCDの中で最も演奏と録音が良いからだ。

機種 心地良さ 生々しさ 朗々感 奥行き感 備考
 SONY CD WALKMAN D-E999 3 3 3 3
 Apple iPod Model No:A1136 4 5 4 3 非圧縮で使用
 自作D/A変換器 5 5 5 5

講評:WALKMANは最低音部が弱く全体的に軽い感じの 音だった。
    イヤホーンやヘッドホンでは再生が難しい低域を切り捨てているのかもしれない。
    iPodの音と自作したD/A変換器の音はとても良く似ているが、iPodではチェロの高音部が僅かだが五月蝿く感じた。
    
    自作D/A変換器ではチェロ独特の朗々と鳴る感じが心地良く何時間も続けて聴きたくなるのだが、iPodの音ではそれを感じない。

    長時間の試聴で自作D/A変換器と他の音源との大きな差異を見出した。
    自作D/A変換器では演奏している部屋の奥行きを感じるが,他の音源では希薄だった。
    驚いた事に人の聴覚は音源から直接伝わってくる音と壁で反射してきた音の伝達時間差から音源までの大まかな距離を
    感じ取ることができるようだ。蝙蝠やイルカには及ばないだろうが人の聴覚も素晴らしい能力を秘めている。
    自作D/A変換器では音の周波数に関わらず音が出るタイミングが正確なので“奥行感”までも再現している。
    iPodや先般入手したPhilipsのLHH500Rは高い水準の良い音を出すが、“奥行感”は乏しく平面的な音になっている。
    
    “奥行感”に興味が湧き他のCDでも試したが、“奥行感”まで正確に録音されたCDは多くない事がわかった。
    デジタル録音では壁からの反響が混濁しているものがある。
    多数のマイクを用い別々に録音し、後に編集して纏める際に混じってしまうのが原因と思われる。
    それに対して二昔前に全盛だったアナログ録音を素材に用いたCD(ADD)には、“奥行感”の良いものが多いようだ。
    LPレコードに根強いファンがいる理由の一つは、アナログ録音による“奥行感”の心地良さではないだろうか。

    最近は風呂桶に浸かりながらリビングで鳴る無伴奏チェロ組曲を楽しむのがの習慣になってしまった。至福の時だ。
    円筒形SPは何故かリビングから離れた風呂でも心地良い音で楽しめる。風呂の後も無伴奏チェロ組曲が晩酌の友だ。

2-3 Yoshii9での試聴('07,07,05)
 スタジオエンザを営む大先輩の御好意で Yoshii9に自作したD/Aコンバーターを繋ぎ4時間に亘って試聴させて頂いた。
その素晴らしさは思わず溜息が出るほどで筆舌に尽くせない驚きの世界だった。
強いて言えば限りなく繊細で自然な音だ。まるで演奏している空間に浸っているような心地良い感じだ。

 我が円筒形SPも工夫を重ねた結果Yoshii9に似た雰囲気の音を出すようになった。
手前味噌だがWalkmanで鳴らすYoshii9とならば互角の勝負ができると思っている。
しかし自作したD/Aコンバーターを繋いだYoshii9には歯が立たない。繊細さが段違いだ。
塩ビ管とアルミ管との強度の差が、音の違いになったのだろうか。

 Timedomain社は比較的廉価で味付けの薄い音源を推奨しているようで、それで心地良い音を楽しめる。
しかし市販されている音源の殆どはFrequency Domainで設計されているらしく解像度が高くない。
その為にYoshii9が備えている解像度の高さを引出すことが難しかったようだ。

 解像度の高いYoshii9に解像度の高い音源を組合わせると比類なき繊細な音を楽しめる事が判った。
私の耳には魅力が倍増したように感じた。Yoshii9は素晴らしいシステムだ。

3. 電気的性能の測定 ('07,08,07)
 試聴で心地良い音が出ることを確認できたので電気的な特性はどんな具合か知りたくなった。
発振器や歪率計などで測定するのは時間と手間が掛かり面倒な作業なのだが、
パソコンで自動的に測定してくれる無料のソフト「Rightmark Audio Analyzer」を見つけた。
     http://audio.rightmark.org/index_new.shtml   (リンクしていません)

 「Rightmark Audio Analyzer」はパソコンのオーディオ入出力を利用して測定する。
そのためサウンドカードの性能が測定データーのバックグランド(下駄)になってしまう。
サウンドカードの性能が良くなければ「Rightmark Audio Analyzer」は使い物にならない。
手持ちのカードやオーディオ用と宣伝している某社の製品を購入して試したが使い物にならなかった。
周波数ー振幅特性で波打つのだ。特に肝心な10KHz以上で波打つので困ってしまった。
まさかチェビシェフフィルターを使っているのではないだろうが、形が似ている。

ネット上を探した所M-Audio社製2496を「Rightmark Audio Analyzer」で試したデータを見つけた。
素晴らしい性能で申し分無い。その上に新品でも1.5万円程度と手頃な値段だ。
ちょうどYahooオークションに中古品が出ていたので5千円弱で落札した。
宅配便で届いたM-Audio社製2496をパソコンに組み込み「Rightmark Audio Analyzer」で試した。
殆どの測定項目でExcelentとの評価が並び思わず“こりゃ凄い!!”と呟いてしまった。

 早速自作したD/A変換器を測定した。その結果の要旨を下記に引用した。
全体に平凡な数値だ。歪に関係する特性が今一つだが、NFB(負帰還)を使わない事が原因だろう。
聴いて判るほどの歪ではないので全く問題はない。
アクティブローパスフィルタにOPアンプを使い充分なNFBをかければ数値の改善は容易だが、
OPアンプやNFBは音質を低下させる。数値が良くなっても音が悪くなっては本末転倒である。

 Stereo crosstalkは優秀との評価だ。これは電源回路のインピーダンスが充分に低い証だ。
左右チャンネル間の電源回路は別々ではなく共通だが、漏れは生じていない。

 「Rightmark Audio Analyzer」には音楽を忠実に再生するために重要なファクターである基音と倍音の
タイミングを測定する機能が無い(測定できる計器は無い?)ので表示された数値から音の良し悪しを断定するのは無理がある。
しかし作ったD/ACが設計どおり動いていることを確認するするには大変に便利な道具だ。

RightMark Audio Analyzer test report

Testing device My_DAC
Sampling mode 24-bit, 192 kHz

Summary

Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.08, -0.66
Good
Noise level, dB (A)
-94.9
Very good
Dynamic range, dB (A)
92.3
Very good
THD, %
0.038
Good
IMD + Noise, %
0.058
Good
Stereo crosstalk, dB
-89.6
Excellent
IMD at 10 kHz, %
0.033
Good
General performance
 
Very good


4. 振動対策の強化 ('07,08,17)
 電子回路は振動の影響を受ける。コンデンサの極間距離が音圧の影響で変動するからだろうと推測しているが、
友人は振動で配線が地磁気を横切り起電力を発生する為ではないかと言っている。真偽の程は判らない。
兎に角、影響を最小限に抑えるためにチップ部品を多用し振動しないように工夫した。
チップ部品はリードが無いので振動しにくい。また回路基板を小型化できるので音圧を受ける面積を小さくできる。
しかしどの程度の効果があったのかも判らない。

 気になったのは箱の共振だ。箱を指先で弾くとカーンと金属特有の音が響く。その音が箱の共振周波数だ。
スピーカーから出た音にその周波数が含まれていると箱の内部で共鳴する筈だ。これを改善した。

4-1 ケースの防振
 以前に使っていた箱はコネクターを取り付けている面のアルミ板が溝に嵌め込まれているだけでなので小さなガタが残った。
箱の構造に問題があると考え小さく堅固な箱に替えた。また箱の内面に防振材を貼り付けた。
防振材にはXETOROゼトロ制振シートを用いた。ブチルゴム系自己粘着型の制振材だ。自動車の室内騒音低減に使われているそうだ。
防振材を貼り付けた事により箱を指先で弾いた際の音はトントンの様に変わり素材が金属と判らない程に効果があった。



4-2 回路基板の振動対策
 回路基板を固定する方法も振動を伝えないように工夫した。
普通はビスで箱に固定するのだが、この方法では箱の振動がプリント基板へ伝わり易い。
ビスによる固定を避け発泡ポリエチレンの厚板で保持具を作った。
材料の商品名はサンペルカL-1400シリーズで厚さ10mmの板から適当な寸法に切り出した。
これをホットメルト(熱溶融接着剤)で接着して組み立てた。
ポリエチレンは通常の接着剤では着き難い素材だが、ホットメルトではとても良く着く。
しかも溶剤が乾く時間を待つ必要が無く、臭いも無いので大変に具合が良い。



4-3 電子部品の振動対策
回路基板にも振動対策を施した。配線パターンを検討した当初から振動対策を念頭に設計した。
振動の影響を受け易いアナログ回路を取り囲むようにブラックゲートコンデンサを配置し、その中にシリコンシーラントを充填した。
また基板裏面のチップ部品を取り付けたアナログ回路もシリコンシーラントで覆った。




 肝心の音だが、バイオリンとピアノの艶が増した。またバイオリンの音に個性が感じられるようになった。
僅かだが解像度も高まった。Keith Jarrettのケルンコンサートで奏者のハミングが従来よりも鮮明に聞える。
やはりスピーカーから出た音が電子部品に干渉していたのは間違いない。


  DENON製DCD-S10では天板に鉄板と塩ビ?を積層した板を用い振動に対処している。
またPhilips製LHH500Rでは側板に鋳鉄製の厚板を用い重さと強度で振動を抑え込もうとしている。
しかしネットに見られる個人の作例には何故か振動対策は見られない。
振動対策の重要性を認識していないと思われる。



4-4 振動対策の確認実験 ('07,08,19)
 振動対策の効果を確認する為に防振を施していない基板の音と較べてみた。
比較基板は、予め「Rightmark Audio Analyzer」を使い電気的特性に差が無い事を確認した。
100円ショップで買ったプラスチックケースの底にスポンジを敷き、基板を置いて蓋を開けたままで試聴した。
音はそっくりなのだが、防振対策を施したD/A変換器のほうが自然で心地良い音だった。
未対策の基板では僅かだが、刺刺しい感じの音が含まれている。やはり音が電子回路に干渉している。




5 試聴と試験販売のお知らせ
 複数の友人にD/A変換器の評価試験を依頼し、とても高い評価を頂きました。
試聴を御願いした全員が欲しいと言い出したのです。
そこで商品化を目指しHRDAC-01という商品名で試験販売を始めました。

 試聴と試験販売はタイムドメイン南流山試聴室(StudioEnza)に御願いしました。
同試聴室では毎月第四土曜日の午後に無料のサロンコンサート(試聴会)を開催しています。これにHRDACが使われます。
Yoshii9の美しい音に慣れた同スタジオのスタッフも劇的な音質の向上に驚き協力して頂ける事になりました。

 是非一度Yoshii9とHRDAC-01との組合せが生み出す高解像度オーディオの試聴に南流山までお出掛け下さい。
秋葉原駅から南流山駅へは筑波エクスプレスで僅か30分、駅から徒歩で3分です。
聴き慣れたCDを試聴用にお持ち下さい。バイオリンが御勧めです。特に和音を弾く曲だと違いが顕著に現れます。
なお使用機材の都合等がありますので、お出掛けの際は下記に確認して下さい。

    タイムドメイン南流山試聴室  (StudioEnza )    http: //www.studioenza.com/index.htm


6. 購入者による試聴報告 ('07,11,11)
HRDAC-01を御買い上げ頂いたお客様から試聴報告を頂きました。ご協力に感謝しています。
御本人の承諾を得て下記に掲載させて頂きました。
プライバシーに関する記述には手を加えさせて頂きましたが、内容に一切の改竄はありません。

6-1 K氏の試聴報告 
('07,11,11)
私のオーディオ機器のメイン構成は、Apple社のMac mini光デジタル オーディオ出力ポートから「HRDAC-01」を経由して
Yoshii9エンジン(アンプ)、Yoshii9ス ピーカを繋いだシステムとなってい ます。

音源はiTunesのソフトを使って、CDを非圧縮、44.1KHzの 設定でハードディスクに取り込んだものです。
その他CDプレーヤ、CDWalkman、アナログプレーヤとiPodなども使っています。

スピーカーとしては色々試聴体験した結果、「ソースの持っている音源をそのま ま再現する」と言う点から
タイムドメイン以外にはないと判断し、数年前から愛用し現在もその音質には十分満足しています。

問題はDAコンバータ(DAC)でした。
DACにより音質が変わってしまうことは、オンキョーSE−U55GX、CEC DA53などを使ってみて理解していました。
しかし高いものでは100万円クラスのものもあり、音がいくら良くても全く手がでません。
あるときタイムドメイン社南流山試聴室で「HRDAC-01」の音を聴く機会を得ました。
聴いてみて あまりの音の良さにビックリ。その場で「HRDAC-01」の購入を決めてしまいました。
次は今まで愛用していたDACを「HRDAC-01」に変えて試聴した比較感想です。

(1)解像度が高くなっている
コンデンサーや部品などの振動対策の結果、余計な共振音が聞こえないからでしょうか、
解像度が高くなり、ゆったりとした心地良い音で、いくら聴いても聴き疲れしません。
音の粒立ちもよく分かります。私もBill Evans Trioのライブ録音Waltz for Debbyを聴いてみました 。
彼の演奏は大好きで何枚もディスクを持っています。
確かに今まで聴き取りにくかった「酔客の話し声やグラスの音」がハッキリと聴き取れました。
不思議ですね1974年の録音なのに古さを全く感じられない。

(2)演奏している部屋の奥行きを感じる
ライブ録音による歌手の声には感激しました。音の空間が広がったような感じです。
パトリシア・ バーバーの「ナイト・クラブ」を聴いてみましたが、歌い手、バックの演奏、
そ してグラスを飲みなが ら楽しんでいる観客の雰囲気もよく伝わってきます。
ナイトクラブの部屋の広さ ・奥行きが手に取 るように感じられます。
今までのDACではこの空間に浸っているような心地良い感じは得られませんでした。

(3)バランスがよくとれている
NewYork・Trioのビギン・ザ・ビギン~コール・ポーターに捧ぐを聴きました。
ピアノは華麗に明るく、ドラムスはシンバルの音がシャープな響きで捉えられてます。
ベースは渋く落ち着いた表現がされています。
高中低域にバランスがとれていて各楽器の定位が今までよりハッキリと分かります。
また別途聴いた「BEST SELECT LIBRARY和太鼓/日本の太鼓」の勇壮な和太鼓の音色は素晴らしかったです。

「HRDAC-01」は、コンテンツの持つ情報を損なうことなく、アーティストの演奏をそのままに、
ひたすら音楽そのものの感動を私に伝えてくれる素晴らしいDAコンバータでした。
何よりもオーディオ を意識させず自然体で生活の一部として楽しめるというのは嬉しいことです。
今後とも御社の商品に期待しています。



6-2 K.A氏の試聴報告
こんばんは、○○です。
ただいまの時刻は2009/06/21 (日) 19:44:26です。
いつもお世話になっております。

突然のメール失礼いたします。
2週間ちょっと前に、スタジオエンザさんにて、Yoshii9専用のDAコンバーター
「HRDAC-01」を購入させていただきました。
取り扱い説明書のアドレスに送ったらリターンメールが戻ってきましたので、
ホームページより送信させていただきました。

2年前の8月、タイムドメイン南青山試聴室で聴いたYoshii9の音を忘れることができず、
同等性能のDimension 09を昨年冬のボーナスで購入させていただきました。
googleでYoshii9と相性の良いプレーヤーを探していたところ、
スタジオエンザさんで試験販売されている本製品に出会うことができました。
※違いはカラーリングと、脚部です。Dimension09はカメラの3脚のように広げています

今年5月のゴールデンウィークにスタジオエンザさんにお邪魔させていただき、
2時間ちょっと持ち込んだCDを聴いてみて、その音の違いに脱帽しました。

Dimension09単体の音も十二分に良いのですが、これを聴いて家に帰ってからも、その音を忘れることができず、
SE-U55GXなどのDAコンバーターも調達してみまし たが、スタジオエンザで聴いた音とはかなりの差があると痛感しました。

そこで夏のボーナス支給を待たずに手配させていただいた次第です。
前段が長くなりましたが、感想を述べさせていただきます。

1.ボーカルの定位がはっきりした
 ホームページの方ではジャズやクラシックを主に試聴されておりましたが、
ロックではどうだろう?ということで、矢沢永吉のCDをTSUTAYAで借りてきて、昨日、本日と続けて鳴らしてみました。
 SE-U55GXで聴いたときと比べると、明らかに声が引き締まっていて、立体感が違うような気がします。

 それはライブ音源のCDでも遺憾なく効果が発揮され、観客席の歓声なども面白いほど綺麗に聴き取ることができました。
本当に会場にいるかのような、素晴らしい音が出てきます。
Yoshii9の力を、これまでのプレーヤーでは満足に引き出せていなかったのでしょう。

2.チェロ独奏の魅力が倍増した
 あわせて、溝口肇さんのCDもレンタルして、拝聴させていただきました。
 こちらもSE-U55GXで変化の違いが感じとれたものでしたが、HRDAC-01から出る音は明らかに違います。
いわゆるブラシーボなどではなく。聴いてみると誰でもわかるレベルだと思います。
機械的な音を感じることがあったSE-U55GXと違い、自然なチェロの音そのものです。
 風呂上りにお茶を飲みながら聴くHRDAC-01から出るチェロの音は格別の魅力があります。

3.プレーヤーを選ばなくなった
 タイムドメインが推奨しているプレーヤーはどれも販売終了品ばかりです。
 調達にはオークションや中古ショップなどを介さねばならず、明らかに手間がかかります。

また、推奨されているIPODでは、CDを全部PCに転送せねばなりません。
IPODから出る音が良いのはわかりますが、たとえば、300枚CDを持ってる人がいて、
音が良いからという理由で300枚をPCに入れるのは大変な手間です。

 やはり本当の意味で音楽を鳴らすのは、CDであると思います。
IPODに曲を入れて歌詞カードやジャケットはお蔵入りでは、さびしすぎます。

 現行販売されている製品で満足の行く音を鳴らしてくれたソニーのポータブルDVDプレーヤー
DVP-FX720にはデジタル出力があり、これをHRDAC-01のデジタル入力につないでおります。
 すごくシンプルなリスニング環境になりました。

 でも、そこから出てくる音は文字通り従来とは激変しました。
 何より、Yoshii9と違い、カラーリングが「黒」ですので、見た目にもYoshii9とのセットより綺麗です。

バイオリンのキンキン音が気になるのではというご意見ですが、葉加瀬太郎さん
のTraveling Noteを聴いている限り、そのような違和感は感じませんでした。
プレーヤーのピックアップが優秀なのか、それとも環境によるのか、なんともいえません。

このたびは素晴らしい製品の開発、ありがとうございました。
これからもホームページの方、熟読させていただきますね。
以上、よろしくお願いします。


7.  バイオリンの高音問題  ('08,12,24 改訂)
HRDAC-01を試験販売し、素晴らしいと絶賛して頂く声が圧倒的ですが、
一部のユーザーにバイオリン独奏のCDで高音が、耳にきつく辛いとする意見がありました。

キツイ高音は音源のCDに録音されている音と考えていましたが、間違いでした。

パソコンにWindows Media PlayerやiTuneをインストールして
HRDAC-01につないでYoshii9を鳴らすとキツイ高音を全く感じません。
それどころかバイオリンの音が艶やかに生々しく聞こえます。
Windows Media PlayeとiTuneとを比較しても違いはありませんでした。

これらの事から耳にキツイ高音はCDプレーヤーが作り出しているとの結論に達しました。

HRDAC-01で美しいバイオリンの音を楽しむ為にはPCオーディオが 一番です。

8. Blu-ray Discの試聴  ('08,1,30 追記)
HRDAC-01はCD専用という事にしているが、内部の回路は96KHzに対応している。
手持ちの機器に96KHzのディジタルオーディオ信号を出せる物が無く検証できなかった。

SutudioEnzaで独自に96KHzの評価実験を行い良い音が出たという事で特別に試聴させて頂いた。
使用した機材はPLAYSTATION3とHRDAC-01、そしてYoshii9だ。
PLAYSTATION3でBlu-ray Discを読み取り、96KHz/24bitの光出力でHRDAC-01へ導いた。

試聴したのはHank Jonesがブルーノート東京で行ったライブを納めたThe Legend of Jazzだった。



肝心の音は素晴らしく、ピアノの音が艶やかで自然な美しさに溢れていて痺れました。
今までにYoshii9で聞いた音楽の中では最高の音で感動しました。

Blu-ray Discのプレーヤーが欲しくなったが、狭い我家では何か捨てないと置く場所が無い!!

注:SutudioEnzaでは毎月第四土曜日にサロンコンサートが開かれますが、通常Blu-ray Discの試聴は行っていません。


9. ONKYO ND-S1での試聴      ('10,02,03 追記)
HRDAC-01のユーザー K.A氏からONKYO ND-S1が良くて廉いと教えて頂いた。

ONKYO ND-S1はiPod用のドックで光S/PDIFの信号が出力されます。
HRDAC-01の為に誂えたようにピッタリの商品です。
仕様の詳細はONKYO のホームページを見て下さい。

ネットでAMAZONから\12,260ーで買いました。発注の翌日には手元に届きました。
送料は無料なので買いに行く交通費を考えると価格COMの最安値よりも安価でした。

音は凄く良い感じです。今迄に試したどのCDの再生装置と比べても最高の音です。
ND-S1で聴くと、何れの曲目も今迄よりも自然で嫌みが無いように感じます。

顕著だったのはビブラホンの余韻です。
板垣誠氏の演奏が好きで時折ライブに出 かけるのですが、CDの音が生に近づきました。

S/PDIF信号のジッタが音質に与える影響の大きさに驚いています。

問題点もあります。
筆者のiPodは60GBのHDDを内蔵した初期の物ですが、
ファームウエア(組み込みソフト)がND-S1と合わないらしくリモコンが正しく動きません。
そのためiPodの前面を操作して選曲しますが、ちょっと不便なだけです。

数日後に街を散歩していたらiPhoneを実質0円で販売していたのでSoftBankと契約しました。
iPhoneの操作に慣れた らND-S1に挿して試そうと思っています。

9-1 iPhone3GSでの試聴     ('10,02,07 追記)
iPhoneをND-S1に 差し込むと『このアクセサリーはiPhoneでは動作しません』と表示が出ましたが、
無視して『はい』をタッチ、次にiPodのアイコンをタッチすると普通に動きました。

リモコンは、やはり変です。一部動くのですが正しく機能しないボタンのほうが多いです。

古いiPodでは液晶に『ONKYO』と表示されるだけなので演奏している曲が判らず不便ですが、
iPhoneでは曲名や演奏時間が表示されるので便利になりました。

音を比較する為、iPodとiPhoneにWAVで同じアルバムを入れて比べたのですが、違いは感じませんでした。

iPodにWAV、iPhoneにロスレスを入れて比べた所、iPhoneのほうが良い気がしました。
ロスレスのほうが若干音が大きいので、そのせいかもしれません。
また以前に行ったPCオーディオの実験ではロスレスが良かったので先入観があったのかもしれません。
少なくともiPhoneの方が劣るという事は無いようです。

iPodにロスレス、iPhoneにWAVの組み合わせで試すと良いのですが、
iPodには沢山の曲が入っていて入れ替えるのに時間が掛り面倒なのでしませんでした。


9-2 iPhone4Sでの試聴    ('11,12,01  追記)
SoftBank が3GSから4Sへの乗り換えると残金をチャラにするとのキャンペーンをやっていた。
それに乗り先月に4Sへ替えました。それ以降3GSはND-S1専用になっています。

原発事故以降は身を守る為に、ガイガーカウンターの製作に専念していたのですが、
それも一段落しオーディオを楽しむ精神的な余裕が生まれました。

そこで改造し たND-S1とiPhone4Sの組み合わせを試しました。

すぐに違いが出ました。『このアクセサリーはiPhoneでは動作しません』との警告が
すぐに出ません。音楽の演奏を始めて暫くしてから出るので操作が楽になりました。

音楽を鳴らしている最中に電話が掛かって来ると音楽は止まるのですが、
無音になるだけで呼び出し音が鳴らない事がありました。

下の写真は視聴した機器です。現時点で最良の組み合わせです。

アンプは改 造KAF-5002です。
SPをダンパーレスにしたためアナログアンプのほうがダンピング効果が大きく低音が引き締まります。

HRDACー01は2台重ねになっていますが上を使っています。
先日、試聴に貸し出した機械が戻ってきました。

アンプとHRDAC-01と結ぶケーブルはNCC3で す。


肝心の音ですが、3GSと比べ楽器の音色などに違いは感じません。
しかし何故か4Sのほうが心地よい気がします。
何が良いのか自分でも判りませんが、良い感じです。

4Sのほうが処理速度が数倍高速なので、信号のジッターが少ないと思われます。
しかし人の耳はそのような僅かなジッターも感じるのでしょうか。

使用したiPhoneは2台とも32GBのモデルです。
同じiTunesと同期したので音楽データーも同じです。
ロスレスで入れているので圧縮率が低くメモリーを食います。
残りは8GB程度になってます。

今、ミッシャマイスキー氏の無伴奏チェロ組曲を聞きながら炬燵で書いています。
マイスキー氏のチェロやロンカーター氏のベースを聞きながら炬燵でうたた寝を
するのが至福の時です。実に安上がりな癒しです。


9-3 試聴会での3GSと4Sの比較  ( '11,12,18 追記 )
17日に恒例の試聴会を開きました。 場所は団地の音響ルームです。
会場へ早く来られた二人にiPhone3GSと4Sの音を聞き比べて頂きました。

3GSと4Sを交互に改造 ND-S1へ挿して同じ曲を試しました。

使用設備は、iPhone  -  改造ND-S1  -  AT-SDP2000/1.3  -  HRDAC-01  -  NCC3A
               -  改造KAF-5002  -  ダンパーレス円筒形SP(チューリップデフューザー付) です。
  注:NCC3AはNCC3を改良した新作インターコネクトケーブルです。 (近日掲載予定)

試聴した二人の意見は以下のようでした。
4Sのほうが良い音
プラシーボのレベルではなく明らかな差がある。
4Sは体を包むように豊かな音が拡がり心地良い。
それにくらべ3GSは音が痩せたように感じる。

筆者も顕著な違いを感じました。
試聴会では4Sから3GSへ替えた途端に音が悪くなったと感じました。

しかし自宅では、それほど大きな差とは感じませんでした。
試聴会を開いた音響ルームは壁に防音処理が施され、
内側も吸音材が貼ってあります。
そのためスピーカーから出た音の反響が少ない筈です。
自宅には特に吸音材など無いため差が判りにくかったのでしょう。

4Sの音が良いのはDual core CPUの威力でしょうか。

音が良い4SですがND-S1とソフトが合わない所があります。
曲を指定しても演奏しない事が時々起こります。
その際はND-S1から抜いて差し込むと復旧します。



10.試聴販売の御知らせ    ('10,09,28  追記)
試聴販売を始めました。
通信販売のクーリングオフの様なシステムです。

従来HRDAC-01はYosii9で試聴して頂き、音に納得して頂いた方に販売していました。
首都圏にお住いの方は千葉県の南流山にあるスタジオエンザ迄ご足労願っていたのですが、
遠方の方には甚だ不便でした。 そこで試聴販売を始めました。

商品の代金(9万円弱)を振込んで頂いた後に、
着払いの宅配便で試聴機を貸し出します。
一週間の試聴の後に購入の意思を確認させていただきます。
確認してから製作に着手します。納品は一ケ月程度です。

キャンセルの場合には、
試聴機を返送して頂いた後に経費と送金手数料を差し引き返金します。
経費は梱包費等で2千円を頂きます。

今迄に大阪と名古屋の方に試聴販売を適用しましたがキャンセルはありません。
販売窓口は、従来通りスタジオエンザです。
お問合せは、スタジオエンザにお願いします。
http://www.studioenza.com/index.htm

10-1 試聴販売の実施報告      ('10,11,04 追記)
先月の前半に試聴販売のシステムを適用しました。
ホームページで公表した後では最初の御客様です。

意外だったのは、スタジオエンザで試聴され注文した方でした。
南流山まで試聴に来られない方を想定していたので少々驚きました。

しかし良く考えてみると”自分の部屋で試聴したい”と思うのは当然の事でしょう。
音楽の質は聴く環境によって大きく影響を受けます。
それに使っているCDプレーヤにも左右されます。

売る側としても充分に聴いて頂き、納得して買って頂きたいのです。

今回の方は一週間の試聴の後に
今までにない音色の自然さと解像度の高さ」と
評価し御買い上げ下さいました。

今後は、スタジオエンザで試聴された方でも希望される方には
試聴販売のシステムを適用する方針です。


11 S/PDIF、光と同軸の音比べ      ('11,04,2 追記)
ディジタルオーディオの信号伝達に使われるS/PDIFの媒体には光ケーブルと同軸ケーブルがあります。
HRDAC-01では光ケーブルを使っています。

Web上に見る高価なオーディオ機器では同軸が使われている物が多いようです。
その理由は同軸のほうが音が良いと思われているからです。
たしかに光には不適切な設計に起因するジッタの問題があるので事実かも知れません。

筆者は光でも同軸でも設計が適切ならば音質に有意差は無い筈と考えています。
しかし聴き比べた事がありません。またWebにも比べた記事は見当たりませんでした。
そこで確認実験を企画しました。

11-1 試聴用HRDAC-01の製作     ('11,04,2 追記)
実験の為に新しく光入力と同軸入力のHRDAC-01を作りました。
手元に2台のHRDAC-01があるのですが、充分にエージングが進んだ物と新しい物の比較では実験結果の信憑性が怪しくなります。
また使用した部品のロットによる差が音に出ては困るので可能な限り同じように作りました。違いは入力部だけです。


写真で上が同軸入力、下が光入力です。
同軸入力は、RCAでは紛らわしいのでBNCコネクターを採用しました。
外観上の違いは、コネクター部だけです。

もともとHRDAC-01のプリント基板は、設計した時点で光にも同軸にも対応できるように配慮したので
僅かなチップ部品の取り付けを変えるだけで同軸入力に対応できます。

周波数特性もARTAを使って確認しました。またエージングも100時間を超え良い音が出ています。


11-2 試聴に使った機器
下記の機器を使いました。
節電の為に、アンプは効率の良いディジタルアンプです。

スピーカーは円筒形SPです。
SPユニットは大改造したタイムドメインラボ製プロトタイプユニットを鳴らしています。
改造を終えてから100日程過ぎましたが、大いに満足しています。

 Case1:光入力での使用機器
  iPhone3GS - 改造NDS1 - 石英ケーブル - HRDAC-01 - NCC3 - 改造TP21 - 円筒形SP

 Case2:同軸入力(Noise cut cable)での使用機器
  iPhone3GS - 改造NDS1 - 同軸ケーブル(Noise cut cable) - HRDAC-01-Coax - NCC3 - 改造TP21 - 円筒形SP

 Case3:同軸入力(3C2V)での使用機器
  iPhone3GS - 改造NDS1 - 同軸ケーブル(3C2V) - HRDAC-01-Coax - NCC3 - 改造TP21 - 円筒形SP

11ー3 試聴結果
時間を掛けてじっくり試聴しました。
試聴にはシェリング氏、クイケン氏のバイオリンとロンカーター氏のベースで奏でたバッハの無伴奏を聴きました。

(1) Case1とCase2の比較 ( Case1 > Case2 )
  どちらも高水準の良い音が出ています。
  Case2のほうが微妙に嫌味があるようにも感じますが、
  ブラインドテストを行えば間違えそうな僅かな違いです。

  同軸ケーブルではノイズ(電磁波)の影響が懸念されます。
  それを想定してNoise cut cable を使っていました。
  普通の同軸を使えば音質が下がるのではと考えました。

(2) Case1とCase3の比較 (Case1 >> Case3 )
  そこで普通の同軸ケーブル(3C2V)を使って光と比べました。
  これは明確な差が出ました。Case3の音に嫌味があります。

  Case1では心地の良い音で数時間続けて聴いても飽きません。
  Case3に変えると短時間で嫌になりCase1に戻してしまいます。
  Case3ではロンカーター氏のベースの音の魅力が減ります。

(3) 試聴の結論
  筆者の耳では、Case1 > Case2 >> Case3 です。

  Case1 と Case2の差は微妙です。
  筆者には同軸はノイズに弱いだろうとの先入観がありプラシーボかもしれません。

  Case2とCase3の差は同軸ケーブルがノイズに敏感な事を裏付ける結果でした。


12 NOS-DACは粉飾    ('12,01,11 追記)
『NOS-DACは良い音が出るそうだが、作る気は無いか』との問い合わせが在った。
当然ですが作る気は無いと返事しました。
注:NOSとはオーバーサンプリング技術を使わないDA変換器の意味です。

初期のDA変換器は総てNOSでした。その問題点は充分に承知しています。
正直なところ、今更NOSなど何が良いのか判りません。
そこでWeb上に在る回路図を調べてみました。

自分が知っているNOSとは違って、凄く乱暴な回路です。
以下に新NOSの問題点を挙げました。


12-1 問題点1: 電流電圧変換回路が抵抗器一個
TDA1543のようなR-2R式DACは入力インピーダンス0Ωの電流-電圧変換回路を使うよう設計されている。
しかし入力インピーダンス0Ωを実現するためにはOPアンプのような能動素子を使わねばならない。

OPア ンプはNFBの塊なので倍音のタイミングが変わり音質が低下する。
OPアンプの型式によってタイミングの変わり具合が違うので差し替えると音が変わる。

音が良いと書かれている新NOS-DACでは、これを抵抗器一個に置き換えていた。
当然0Ωではないが、OPアンプによる音質低下は無い。

しかし抵抗一個にした事によって大きな問題が生じる。
電流-電圧変換に抵抗を使うとデジタル入力とアナログ出力の関係が直線にならず飽和する傾向になります。
極端な表現ですが正弦波を入れても歪んで台形波に近づく感じです。

抵抗を可変抵抗にして心地良い音に合わせられる物までありました。

歪むと高調波が増えます。音楽的表現では倍音が増えた事になります。
波の上下が非対称になるので偶数倍の倍音が増えます。
人の耳は倍音が豊かなほうが良い音と感じてしまいます。

本来の録音に含まれていない電気的な歪みを良い音と錯覚してしまうの です。
とくに偶数倍の倍音が多いと特異的な心地良さや奥行きを感じるようですが定かではあり ません。

出力が大きいほど飽和傾向が大きくなるので、
広いダイナミックレンジを必要とするオーケストラやジャズのビッグバンドには向きません。

Webに見られる制作記事には電気的な検証を行った例が見られません。
パソコンと無料でも使える
Rightmark Audio Analyzer等で容易に測れるので、
作られた方は是非測定され
歪み データを公開してほしいものです。 
通常のDACは0.1%以下ですが新NOSでは多分数%の値が出るでしょう。


12-2 問題点2: LPFが無い
LPFとはローパス・フィルターの略語です。

DACの出力は階段状になっています。
この段々を取り滑らかな波に変えるのがローパスフィルターの役割です。

しかしサンプリング周波数と再生帯域が2倍程度しか離れていないために
急峻な特性のフィルターが必要です。
そのためバターワース特性やチェビシェフ特性のフィルターが使われるのですが、
これが過渡特性で振動を生じたり倍音のタイミングを狂わせたりして音質を悪化させます。

新NOSにはLPFがありません。当然出力は階段状です。
LPFが無いので音質を低下させるOPアンプもありません。

LPFは絶対に必要ではなく後段の再生装置の特性と聞き手の耳の能力によっては省略できます。

アンプとスピーカーを含めた周波数特性が20kHz以上を再生できない場合、
アンプやスピーカーが44.1kHzを入れても壊れない場合、
そして聞き手の耳が高音(10kHz以上?)を聞き取れない場合です。

筆者は友人が作ったProject85 DACを 試聴会で聞いたことがあります。
他の参加者は何も言わなかったのですが、
筆者の耳には一定周波数で振幅が同じ高音が常時聞こえて耐えがたい苦痛でした。
我が耳は13kHzまでしか聞き取れないので折り返し雑音だったのでしょうか。


12-3 新NOS-DACの実態
NOS-DACと称しているが、その実態はNo-LPF-DACです。
LPFとOPアンプが無いために倍音のタイミングが狂いません

その上に原録音には含まれていなかった倍音を添加してくれます。
これによってシャープな感じの音を創り出します。つまり粉飾です。

オーディオの目的が癒しならば新NOS-DACは良いかもしれません。
趣味のオーディオでは、聞き手が満足していればそれで良いのですが、
筆者が目指している『何も足さない。何も引かない』音ととは違いま す。

倍音を添加したいのなら古いNOS-DACチップでなくオーバーサンプリングを行い
デジタルフィルタを内蔵した新しいチップで
No-LPF -DACを作った方が
簡単に心地良い音を得られると思いますが、作る気は全くありません。