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D/A変換器の製作 ('07,01,01
作成 / '08,12,27 改訂)
円筒形SPは箱型SPに比べ箱の寄生振動が少ないので格段に高い解像度を備えている。
しかし廉価な市販のCDプレーヤーは解像度が低く円筒形SPの実力を引き出せなかった。
円筒形SPの性能を生かせるCDプレーヤーを求めて市販品の改造を行った。
改造により音は大幅に改善されたが、満足できる性能ではなかった。
改造による音質の向上には、機械的構造や電子回路の構成に制約が伴い限界が見えた。
しかし改造作業を通じて既存CDプレーヤーの問題点を把握できた事は大きな収穫だった。
それらの問題点はCD駆動部とD/Aコンバーター部を分離し、適切な回路設計で一掃できると判った。
良い音を求めて総ての問題点を解消したD/A変換器を設計製作した。
殆んどのCDプレーヤーが採用している周波数特性優先(Frequency
Domain)ではなく時間特性優先(Time Domain)を採用した。
これにより音質が劣化する電解コンデンサを使ったキンキン音対策は不要になりました。
その透明で繊細な音はバイオリンやチェロなどの楽器自体が持つ魅力を再現できる程です。
特にボーカルの生々しさは素晴らしく目の前で歌っているようだ。
以下に製作したD/A変換器の詳細を解説する。
1 既存CDプレーヤーの問題点 ('08,12,27 改訂)
1-1 CDの規格に問題がある ('08,12,27 作成)
1-2 周波数特性崇拝が音色を変える
('08,12,27 作成)
1-3 録音におけるLPFの問題
('08,12,27 作成)
1-4 再生におけるLPFの問題
('08,12,27 作成)
1-5 キンキン音対策は巧妙なトリック
('08,12,27 作成)
1-6 OPアンプは音を変質させる
1-7 電源トランスの振動が音を悪化させる
1-8 CD駆動部は 雑音源
1-9 大量生産で音が犠牲に
1-10 回転の震えが嫌味な高音を生み出す ('09,1,4 作成)
2 試聴
2-1 バイオリンによる試聴
('07,01,16)
2-2 チェロによる試聴
('07,06,06
2-3 Yoshii9での試聴
('07,07,05)
3 電気的性能の測定 ('07,08,07)
4 振動対策の強化 ('07,08,17)
4-1 ケースの防振
4-2 回路基板の振動対策
4-3 電子部品の振動対策
4-4 振動対策の確認実験 ('07,08,19)
5 試聴と試験販売のお知らせ
6 購入者による試聴報告 ('07,11,11)
6-1 K氏の試聴報告
6-2 K.A氏の視聴報告 ('09,06,22追記)
7 バイオリンの高音問題
('08,12,24 改訂)
8 Blu-ray Discの試聴 ('08,1,30 追記)
光S/PDIFの音質低下問題
('09,06,08 新規掲載)
9 ONKYO ND-S1での試聴 ('10,02,03 追記)
9-1 iPhone3GSでの試聴
9-2 iPhone4Sでの試聴
('11,12,01 追記)
9-3 試聴会での3GS4Sの比較
('11,12,18 追記)
11 S/PDIF、光と同軸の音比べ ('11,04,2 追記)
12 NOS-DACは粉飾
('12,01,11 追記)
1. 既存CDプレーヤーの問題点と解決方法 ('08,121,27 修正)
一部の超高級品を除いて複数の音質低下要因を抱えている。
音質低下要因には次のようなものがある。自作したD/A変換器では、それらの総てを解決した。
1-1 CDの規格に問題が在る
CDの規格では44.1KHzのサンプリング周波数で20KHzまでの音を忠実に録音し再生できると多くのオーディオ愛好家は理解している。
理論的には正しいのですが、実際には再生周波数の最高値とサンプリング周波数が2倍強しか離れていない為、絵に描いた餅なのです。
現在のアナログ回路技術では楽器の出す倍音を正確な振幅でタイミングを狂わさずに再生するのは困難です。
周波数特性と時間特性の両立は困難なので何れかを優先した回路設計を選択しなければなりません。
殆んどのCDプレーヤーやD/Aコンバータは周波数特性を優先した(Frequency
Domain)回路で作られています。
D/A converterを製作した後に知ったのですが、WADIA社が採用しているtime
domain interpolation algorithmは、
時間特性優先をデジタル技術で実現したものと思われます。
問題のある規格ですが、規格を作った時点で実現できる技術の範囲で妥協したものです。
しかし、それまでのLPレコードに比べ扱いやすさやスクラッチノイズが無いなど大きな前進でした。
1-2 周波数特性崇拝が音色を変える
多くのオーディオ愛好家は20KHzまで平坦に再生する事が良い音に繋がると考えているようです。
これに応えるべく大多数のメーカーは周波数特性測定試験で良い数値を出す回路を設計しています。
カタログに20Hz〜20KHz±0.5dBなどと表記して如何にも良い音が出そうです。
しかし、これが楽器の音色を変え透明感を損なう元凶なのです。
常識的に考えれば平坦な周波数特性は良い音に繋がる筈ですが、
それは正確なタイミングを伴った場合であってタイミングが乱れては良い音になりません。
LPレコードの時代には周波数特性の良いMCカートリッジが美しい高音を再生するための鍵でした。
メーカーは溝に記録された微細な情報を損なう事無く読み出せるように針圧が軽く周波数特性の良いピックアップの開発に凌ぎを削りました。
LPレコードでは倍音のタイミングが狂う要素が少ないので周波数特性の追求は良い音に繋がりました。
時代がCDへと変わっても、この時代の考えから抜け出せないのでしょう。
デジタルオーディオにはLPレコードには無かったLPF(Lo
Pass Filter)という厄介な物が必要です。
しかし再生周波数の最高値とサンプリング周波数が2倍強しか離れていない為に
周波数特性と時間特性を両立したLPFを作るのは困難です。
一般に周波数特性優先でLPFが設計され、これが音を悪くしています。
1-3 録音におけるLPFの問題
アナログ信号をデジタル信号へ換える際にもLPFが使われます。
アナログ信号に22KHzよりも高い周波数の成分があると折り返し雑音を生じます。
LPFを使って20KHzよりも高い周波数の成分を排除します。
このLPFについては情報が無いのですが、大変に難しいフィルタです。
通過させたい周波数と排除したい周波数が2倍強しか離れていないために急峻な遮断特性が求められます。
急峻な遮断特性のLPFは寄生振動を生じキンキンしたり倍音のタイミングを狂わせたりします。
倍音のタイミングが狂うと音色が変わり、音の奥行き感が損なわれます。
LPレコードにはLPFがないためCDよりも豊かな奥行き感が得られます。
遮断特性は緩慢だと折り返し雑音が生じ、キンキンした音を加えてしまいます。
遮断特性が急峻でも緩慢でもキンキンした音を出しやすいのです。
近年は高い周波数でサンプリングした後にデジタル処理でサンプリング周波数を44.1KHzへと
下げる技術が進歩したので録音におけるLPFの問題は軽減されました。
しかし製作した時期が古いCDには問題が多いようです。
1-4 再生におけるLPFの問題
デジタル信号をアナログ信号に戻した際に生じるギザギザを消す為にLPFが用いられます。
録音用LPFと同様に、通過させたい周波数と排除したい周波数が2倍強しか離れていないために急峻な遮断特性が求められます。
通常は急峻な遮断特性のバターワースフィルターが使われています。これが音を変質させています。
バターワース特性では,周波数-振幅特性において平坦な通過帯域と急峻な遮断特性を得られます。
問題は通過時間です。信号の周波数によって通過時間が違うのです。
楽器の音色は基音と倍音で構成されています。その基音と倍音に時間的なズレが生じます。
そのためバイオリンの音や女性のハスキーな声のような周波数の高い部分で音が変わります。
また急峻な波形が入力されると遮断周波数付近の振動を生じます。
キンキンした嫌な音が作り出されますが、音に出さない巧妙なトリックがあります。
対策: 多くのCDプレーヤーでは迷うことなく周波数特性優先設計(Frequency
Domain)を採用していますが、
HRDAC-01では時間特性優先設計(Time
Domain)を採用し透明感のある美しい音と奥行き感を再現するのに成功しました。
再生周波数帯域を最高級LPレコードプレーヤー並の15KHz程度に抑えタイミングの狂いを解消しました。
殆んど聞こえない20KHz付近の高音を再生するためにタイミングを狂わせるべきではないと考えました。
下図はフィルターの遅延特性をシミュレーションした結果です。横軸は周波数、縦軸は遅延時間を示しています。
緑色の25KHz付近にピークがあるカーブは一般的なCDプレーヤーに使われている4次のバターワース特性ローパスフィルター、
赤色の平坦なカーブは通過時間が均一なタイムドメイン設計のフィルタです。

1-5 キンキン音対策は巧妙なトリック
CDのを再生した音には、録音した時点で生まれたキンキン音と再生で生み出されるキンキン音が含まれています。
しかし大部分のCDプレーヤーやD/Aコンバーターでは巧妙に隠蔽され聴き手の耳に届くことはありません。
キンキン音は再生周波数の上限を15KHz程度に絞れば解決できます。
しかしユーザーの周波数特性崇拝があるのでカタログに20Hz〜20KHz±0.?dBなどと表記しないと売り上げに響きます。
そこで電解コンデンサを使った巧妙なトリックで処理します。
電解コンデンサの誘電体は酸化アルミニュームの皮膜ですが、電解液中のイオンが電子の移動を仲介しています。
液中でのイオンの移動速度が遅いため信号に遅れを生じます。この遅れを巧みに活用します。
信号のカップリングに電解コンデンサとフィルムコンデンサを並列に接続して使います。
電解コンデンサを通った信号はフィルムコンデンサを通り抜けた信号よりも遅れるために
干渉して音の微細な部分が潰れて平坦になり高音が減衰します。反面低音は相対的に強められる事になります。
これによってキンキン音は隠蔽されますが、バイオリンの倍音やトライアングルの衝撃音が弱まります。
また音の透明感や奥行き感が損なわれます。
しかし周波数特性には影響が出ません。
周波数特性の測定には実際の音楽ではなく正弦波を使います。
正弦波には楽器のような倍音が無いので高い周波数で干渉が起こっても位相が変わるだけで音量に影響はありません。
仕様に示す20Hz〜20KHz±0.?dBの周波数特性は嘘ではありませんが、実に巧妙なトリックです。
実力は20Hz〜10KHzで-3db程度だと推定しています。このトリックを考案した技術者は凄く頭の良い人です。
売り上げを伸ばしたい気持ちはわかりますが、ユーザーの誤解を招くような表現は改めるべきではないでしょうか。
超高級な外国製CDプレーヤーでは誤解を生じやすい周波数特性をカタログに表記するのを避けたり、
正直に18KHz-3dBなどと特性を公表している物もあります。
対策:HRDAC-01には、トリックは全く在りません。
録音時に発生したキンキン音はLPFの遮断周波数を15.?KHzに設定して排除しました。
LPFには緩やかな遮断特性を採用しキンキン音作り出しません。
カップリングにはブラックゲートコンデンサを採用しました。
ジェルマックス社のブラックゲートはイオン伝導を利用しない理想的な電解コンデンサです。
残念ながらジェルマックス社は廃業したため新たに入手するのは困難な状況ですが、当面必要な量のストックがあります。
1-6 OPアンプは音を変質させる
オーディオで音を悪化させる要素の一つにNFB(負帰還)がある。OPアンプはNFBの塊のような部品だ。
正弦波を用いた特性評価実験では素晴らしい特性を示すが、殆どの楽器は正弦波ではないので問題が生じる。
CDプレーヤーではアナログ回路に多用されている。特にローパスフィルタには必ずと言って良いほど使われている。
OPアンプの性能により程度の差はあるが、何れでも通過させると確実に音質が低下する。
調べたCDプレーヤーでは廉価な物で三個、高級機種では六個ものOPアンプを通過していた。
両者の音を較べると三個の方が劣化の少ない音だった。
六個も使った高級機種では人の声を再生した場合の劣化が顕著だったが、心地良い音ではあった。
対策:真空管アンプファンの間ではMCカートリッジ用マッチングトランスをローパスフィルタの代わりに使う方法が知られている。
しかしトランスの周波数特性には疑問があり避けた。個別部品を巧みに組合わせてローパスフィルタを構成し、
OPアンプを使わずに済ませる方法を考案した。マッチングトランスを使う方法よりも安価で性能が良い筈だ。
1-7 電源トランスの振動が音を悪化させる
電源に使われるトランスが振動する。振動は鉄心が磁力で伸縮することによって発生する。
振動がアナログ回路に伝わると音が悪くなる。また漏洩磁束も音に影響する。
高級機種では機械的な強度を上げ物理的な制震や防磁を施している。この部分にお金が掛かる。
ウオークマン等のポータブル機器は電池で稼動するので、この問題は生じない。
対策:D/A変換器のケース内に電源トランスを内蔵させずACアダプターを用い外付けにした。
スイッチング方式のACアダプターを採用し漏洩磁束と振動の周波数を可聴周波数外にして影響を排除した。
1-8 CD駆動部は雑音源
CDの読取りヘッドはトラックに追従させるためのサーボ機構を備えている。
CDプレーヤーを裸にして動かすと読取りヘッドのレンズが激しく動くのに驚かされる。
CDメディアの反りや撓みに対応するため、回転に追随し同じ周期で振動する。
サーボ機構が消費する電力もCDの回転と同じ周期で増減を繰り返す。
このサーボ機構から発生する振動電流が音声信号に混入し音を悪くする。
CDが静電気を帯びると読取りヘッドのプラスチックレンズとCDメディアとの間で
吸引や反発を生じて更に振動電流が増える。
これによる音質の低下は電池を電源としたCDプレーヤーで顕著に現れる。
静電気による問題は帯電防止スプレーを用いると改善される。
対策:CDプレーヤーに内蔵されたD/Aコンバーターを使わずに光デジタル出力から信号を取り出した。
光ケーブルを用いて自作D/A変換器と結び電気的に絶縁して完全に解消した。
1-9 大量生産で音が犠牲に ('07,09,10)
大量生産では効率良く、高品質で性能の揃った物を作らねばならない。
そのため無調整で所定の性能が得られる回路を採用している。
例えば増幅回路では、利得を正確に設定できるOPアンプの採用は音が悪くなると判っていても避けられない。
またローパスフィルタでは、心地良い音と疲れる音は紙一重の差なので正確な遮断特性が求められるが、
無調整では難しいので電解コンデンサの特性を活用して巧妙に“解決?”している。これで解像度が低くなっている。
これはCDの規格が難しすぎる事に遠因がある。SACDはこれを解決する答えだろう。
対策:大量生産では使いにくい回路でも調整する手間を惜しまず音質最優先で採用した。
OPアンプを使わずに特性が揃ったトランジスタを100個の中から厳選して使った。
ローパスフィルターではコンデンサの容量を10pF単位でトリミングし遮断特性を正確に調整した。
1-10 回転の震えが嫌味な高音を生み出す ('09,1,4 作成)
CDは水晶振動子の作り出す周波数を基準としたサーボ機構で回転数を制御しています。
平均回転数は正確なのですが、油を流したような滑らかな回転ではなく小さく震えながら回っています。
音程の基準はLPレコードと同じように回転速度なので、
この回転の震えが原録音に含まれている高音と干渉し鋭く耳にきつい音が発生すると考えられます。
また空気感を損なうといわれています。
CD回転の震えによる時間軸の狂いは1μS以下といわています。
一回転が0.3秒から0.12秒であることを考えれば僅かな狂いですが、人も耳は感じてしまうようです。
PCオーディオで音楽を聴けば問題は解消できます。
HRDAC-01でバイオリンを聴く場合にはPCオーディオをお勧め
します。
2. 試聴
製作したD/A変換器の音を単独で聴いても差が判らないので、所有している未改造の機器と比較した。
勿論SPは円筒形SPでアンプはTripath TA2020を使ったデジタルアンプだ。
2-1 バイオリンによる試聴 ('07,01,16)
試聴するCDにはHenryk Szeryngが弾くBachの無伴奏バイオリンソナタを選んだ。
理由はフィルターの遅延特性で差が開いている2KHz以上の周波数を沢山含んでいて音の差が顕著に出そうだったからだ。
下の表は試聴での感じを独断で五段階にて評価したもので5が最良です。
| 機種 | 心地良さ | 生々しさ | 美しさ | 和音の鮮明さ | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| SONY CD WALKMAN D-E999 | 4 | 3 | 3 | 3 | |
| Apple iPod Model No:A1136 | 5 | 5 | 5 | 4 | 非圧縮で使用 |
| 自作D/A変換器 | 5 | 5 | 5 | 5 |
講評:聞き比べて自作したD/A変換器とiPodの音が似
ていて驚いた。 交互に聴いたのでは差が判らなかった程だ。
CDプレーヤーとiPodを同時にスタートさせアンプの入力切替スイッチを活用し曲の途中で頻繁に切り替えて聴き比べた。
1秒周期くらいで切り替えても継ぎ目が判らない程だが、高音域では明らかに違う部分がある。
iPodは自作D/A変換器に比べ高音の周波数帯域が僅かに狭い感じなのだが、何故か部分的に高音を強く感じた。
2-2 チェロによる試聴 (07,06,06)
試聴するCDにはPaul Tortelierが弾くBachの無伴奏チェロ組曲を選んだ。
手元にある無伴奏チェロ組曲のCDの中で最も演奏と録音が良いからだ。
| 機種 | 心地良さ | 生々しさ | 朗々感 | 奥行き感 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| SONY CD WALKMAN D-E999 | 3 | 3 | 3 | 3 | |
| Apple iPod Model No:A1136 | 4 | 5 | 4 | 3 | 非圧縮で使用 |
| 自作D/A変換器 | 5 | 5 | 5 | 5 |
講評:WALKMANは最低音部が弱く全体的に軽い感じの
音だった。
イヤホーンやヘッドホンでは再生が難しい低域を切り捨てているのかもしれない。
iPodの音と自作したD/A変換器の音はとても良く似ているが、iPodではチェロの高音部が僅かだが五月蝿く感じた。
自作D/A変換器ではチェロ独特の朗々と鳴る感じが心地良く何時間も続けて聴きたくなるのだが、iPodの音ではそれを感じない。
長時間の試聴で自作D/A変換器と他の音源との大きな差異を見出した。
自作D/A変換器では演奏している部屋の奥行きを感じるが,他の音源では希薄だった。
驚いた事に人の聴覚は音源から直接伝わってくる音と壁で反射してきた音の伝達時間差から音源までの大まかな距離を
感じ取ることができるようだ。蝙蝠やイルカには及ばないだろうが人の聴覚も素晴らしい能力を秘めている。
自作D/A変換器では音の周波数に関わらず音が出るタイミングが正確なので“奥行感”までも再現している。
iPodや先般入手したPhilipsのLHH500Rは高い水準の良い音を出すが、“奥行感”は乏しく平面的な音になっている。
“奥行感”に興味が湧き他のCDでも試したが、“奥行感”まで正確に録音されたCDは多くない事がわかった。
デジタル録音では壁からの反響が混濁しているものがある。
多数のマイクを用い別々に録音し、後に編集して纏める際に混じってしまうのが原因と思われる。
それに対して二昔前に全盛だったアナログ録音を素材に用いたCD(ADD)には、“奥行感”の良いものが多いようだ。
LPレコードに根強いファンがいる理由の一つは、アナログ録音による“奥行感”の心地良さではないだろうか。
最近は風呂桶に浸かりながらリビングで鳴る無伴奏チェロ組曲を楽しむのがの習慣になってしまった。至福の時だ。
円筒形SPは何故かリビングから離れた風呂でも心地良い音で楽しめる。風呂の後も無伴奏チェロ組曲が晩酌の友だ。
2-3 Yoshii9での試聴('07,07,05)
スタジオエンザを営む大先輩の御好意で
Yoshii9に自作したD/Aコンバーターを繋ぎ4時間に亘って試聴させて頂いた。
その素晴らしさは思わず溜息が出るほどで筆舌に尽くせない驚きの世界だった。
強いて言えば限りなく繊細で自然な音だ。まるで演奏している空間に浸っているような心地良い感じだ。
我が円筒形SPも工夫を重ねた結果Yoshii9に似た雰囲気の音を出すようになった。
手前味噌だがWalkmanで鳴らすYoshii9とならば互角の勝負ができると思っている。
しかし自作したD/Aコンバーターを繋いだYoshii9には歯が立たない。繊細さが段違いだ。
塩ビ管とアルミ管との強度の差が、音の違いになったのだろうか。
Timedomain社は比較的廉価で味付けの薄い音源を推奨しているようで、それで心地良い音を楽しめる。
しかし市販されている音源の殆どはFrequency
Domainで設計されているらしく解像度が高くない。
その為にYoshii9が備えている解像度の高さを引出すことが難しかったようだ。
解像度の高いYoshii9に解像度の高い音源を組合わせると比類なき繊細な音を楽しめる事が判った。
私の耳には魅力が倍増したように感じた。Yoshii9は素晴らしいシステムだ。
3. 電気的性能の測定 ('07,08,07)
試聴で心地良い音が出ることを確認できたので電気的な特性はどんな具合か知りたくなった。
発振器や歪率計などで測定するのは時間と手間が掛かり面倒な作業なのだが、
パソコンで自動的に測定してくれる無料のソフト「Rightmark
Audio Analyzer」を見つけた。
http://audio.rightmark.org/index_new.shtml (リンクしていません)
「Rightmark Audio Analyzer」はパソコンのオーディオ入出力を利用して測定する。
そのためサウンドカードの性能が測定データーのバックグランド(下駄)になってしまう。
サウンドカードの性能が良くなければ「Rightmark
Audio Analyzer」は使い物にならない。
手持ちのカードやオーディオ用と宣伝している某社の製品を購入して試したが使い物にならなかった。
周波数ー振幅特性で波打つのだ。特に肝心な10KHz以上で波打つので困ってしまった。
まさかチェビシェフフィルターを使っているのではないだろうが、形が似ている。
ネット上を探した所M-Audio社製2496を「Rightmark
Audio Analyzer」で試したデータを見つけた。
素晴らしい性能で申し分無い。その上に新品でも1.5万円程度と手頃な値段だ。
ちょうどYahooオークションに中古品が出ていたので5千円弱で落札した。
宅配便で届いたM-Audio社製2496をパソコンに組み込み「Rightmark
Audio Analyzer」で試した。
殆どの測定項目でExcelentとの評価が並び思わず“こりゃ凄い!!”と呟いてしまった。
早速自作したD/A変換器を測定した。その結果の要旨を下記に引用した。
全体に平凡な数値だ。歪に関係する特性が今一つだが、NFB(負帰還)を使わない事が原因だろう。
聴いて判るほどの歪ではないので全く問題はない。
アクティブローパスフィルタにOPアンプを使い充分なNFBをかければ数値の改善は容易だが、
OPアンプやNFBは音質を低下させる。数値が良くなっても音が悪くなっては本末転倒である。
Stereo crosstalkは優秀との評価だ。これは電源回路のインピーダンスが充分に低い証だ。
左右チャンネル間の電源回路は別々ではなく共通だが、漏れは生じていない。
「Rightmark Audio
Analyzer」には音楽を忠実に再生するために重要なファクターである基音と倍音の
タイミングを測定する機能が無い(測定できる計器は無い?)ので表示された数値から音の良し悪しを断定するのは無理がある。
しかし作ったD/ACが設計どおり動いていることを確認するするには大変に便利な道具だ。
| Testing device | My_DAC |
| Sampling mode | 24-bit, 192 kHz |
| Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB |
+0.08,
-0.66
|
Good
|
| Noise level, dB (A) |
-94.9
|
Very
good
|
| Dynamic range, dB (A) |
92.3
|
Very
good
|
| THD, % |
0.038
|
Good
|
| IMD + Noise, % |
0.058
|
Good
|
| Stereo crosstalk, dB |
-89.6
|
Excellent
|
| IMD at 10 kHz, % |
0.033
|
Good
|
| General performance |
|
Very
good
|




