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ディジタルアンプの製作
トランジスタを使った一般的なアンプでは信号の接続回路に電解コンデンサが使われている。
この電解コンデンサで音が変わってしまう。
改造KAF-5002で は電解コンデンサをブラックゲートに交換し影響を軽減するのに成功した。
電解コンデンサの呪縛から開放されるアンプを探してネット内を彷徨っているうちに
TRIPATH社のデジタルアンプICを見つけた。使用例の回路図を見ると入力の電解コンデンサは
2.2uFなのでプラスチックフィルムコンデンサに置き換えることができる。
以下は試行錯誤の記録です。
1.TA2020-020アンプの評価実験
1-1 実験機の試聴
2.TA2020-020アンプ実用機の製作
2-1 製作
2-2 シールド板の追加 ('09,07,05)
2-3 デカップリングコンデンサの増強 ('09、07、08 追記)
3.RSDA202の改造
3-1 改造前の試聴
3-2 回路の調査
3-3 ローパスフィルタのシミュレーション
3-4 RSDA-202の改造
3-5 改造RSDA202の試聴
4. 友人T氏のTA2020アンプ
5. 若松通商の新型TA2020アンプキット
6. 読者M氏のTA2020アンプ
7. 読者T氏のTA2041アンプ ('08,08,21)
8. TA1101Bアンプの工作 ('08,08,17開始)
8-1 Windowsでの認識と問題点 ('08,08,17)
8-2 出力UPの改造 ('08,08,21)
8-2 発熱原因判明? ('08,08,30)
8-3 ダイオード追加実験 ('08,09,06)
8-4 出力UPの改造-その2 ('08,09,20)
9. 先輩H氏のディジタルアンプ ('09,07,20)
10. 中国製ディジタルアンプの改造 ('09,08,09 掲載開始)
注1:ブラックゲートは2007年に製造中止となりました。 '08年8月現在では入手が困難です。
注2:TRIPATH社の製品も製造中止のようです。入手できるのは市場在庫のみのようです。
1.TA2020-020アンプ実験機の製作
TRIPATH社のデジタルオーディオアンプIC(TA2020-020)を使った回路基板のキットが
潟Jマデンから約6千円で販売されていた。 若松通商でも同製品を扱っていた。
早速入手し組み立てた。 http://www.kamaden.com/ampkit.htm

キットに付属していた入力用の電解コンデンサと電源のデカップリング用電解コンデンサは使わなかった。
左の写真で左端の青いコンデンサは入力回路。元々は2.2uFの電解コンデンサだったが同容量の積層プラスチックフィルムを用いた。(\350/@)
また右上にある電源のデカップリングには150uFのOSコンを用いた。(\200/@)
右の写真は全体の様子です。全体をアルミ板の上にまとめた。
底部アルミ板の大きさは100mm*145mmとコンパクトだ。ICは殆ど発熱しないが、
AD変換回路とパワートランジスタが同居しており温度の変化によってAD変換回路が影響を受ける事を懸念して放熱部をアルミ板に固定した。
音量を調整できないと不便なのでボリュームを追加した。10Kが欲しかったが5KのAカーブで間に合わせた。右下はスピーカー出力端子です。

電源は秋月電子通商が販売している12V4AのACアダプター形スイッチング電源を用いた。
ノイズの影響は感じていないが、フィルターを組み込もうと考えている。
スイッチング電源が使えたので電源部の製作が凄く簡単だった。
1-1 実験機の試聴 (’05,10,09)
試聴には改造したDVDプレーヤーと円筒形スピーカーを用いた。
DVDプレーヤーの大きさに較べアンプの小ささが際立っている。
試聴には 円筒形スピーカーの試聴に使ったウイーンフィルのNEW YER'S CONCERT
2002 や
Bill Evans TrioのWaltz for Debbyなどの各種音楽をを6時間にわたって鳴らした。
聴いてみると良い音が出て驚いた。改造KAF-5002と似た音だが、更に良い感じだ。
まず解像度が著しく高い。改造KAF-5002では聞こえなかった音が聞こえる。
改造KAF-5002も解像度は高い筈なのだが、それよりも格段に良い。
Waltz for DebbyではKAF-5002で聞こえなかった聴衆の雑談が聞こえる。
しかも初めて単純な英語の会話が聞き取れて感激した。
また低音の出方が違う。音量も充分で歯切れが良く重低音までも出る。
Ray Bryantの Alone at Montreux を聴いている際に隣家が壁を拳で叩くような振動音が聞こえた。
その音が足で床を踏んでリズムを取っている音と判るまで暫し時間がかかった。
演奏者が出して いるのだろうか。低音の解像度も高いので自分の生活騒音と間違えてしまった。
ノイズが出ることが心配だったが、杞憂だった。
CDを止めてスピーカーの真上5cm程度の距離に頭を傾け耳を近づけてやっと"サー”という音が聞こえる。
皆無と言って差し支えない水準だ。
今回はデジタルアンプに対して半信半疑だったので鳴らすために最低限の部品で組立てた。
TRIPATH社のデジタルアンプが高い完成度を備えている事が確認でき
素晴らしい音で鳴ることが判ったので見栄えの良い形にまとめ実用化しようかと考えている。(’05,10,09)
2.TA2020-020アンプ実用機の製作 ('05,11,12)
2-1 製作
実用化するためケースに入れた。
ジャンク屋さんで見つけた古いコンピュータ通信装置のアルミケースを300円で買い、
横幅が広かったので150mmほど 切って縮めた。このアルミケースは上板がスライドして外せるので便利だ。
ACラインに電源スイッチとノイズフィルタが組み込まれていたのでそのまま利用し
た。
電源は実験で用いた秋月電子のACアダプター(12V4A)を分解しプラスチックケースの上半分を外して組み込んだ。
アルミケースの厚みが薄くて空間に余 裕が無かった事と放熱に配慮した。
このACアダプターの出力には300mV程度のノイズが含まれていたのでノイズフィルターを組み込んだ。
これによって 30mV程度に軽減された。
ノイズフィルタの後段にブラックゲートコンデンサ4700μFを2個挿入した。
他にOSコン150μFを4個組み込んでいるので合計1万μFだ。
スイッチ ング電源では出力に大容量のコンデンサを挿入すると電圧の制御が不安定になる事が懸念されるが、
オシロスコープで電圧変動を観測したところ安定していた。
また低音を大音量で鳴らした場合でも100mV程度の電圧変動だった。
出来るだけシンプルに作りたかったのだが、実用には入力切替が不可欠なので後部3チャンネルと
前部1チャンネルの入力端子を設けロータリースイッチで切り
替えた。
また配線には被服単線を使用し他の配線や金属部分と一定の間隔を保つように
発泡ポリエチレンを用いて空間を確保しホットメルトで固定した。
シール ド線は高音が減衰する恐れがあるので使わなかった。

試運転で電源由来のノイズがスピーカーから出た。
実験機では外部の電源アダプターから電力を供給していたので問題は無かったが、
アルミケース内に電源アダ プターを同居させる事で影響が出た。
いろいろと試し電源アダプターのアース端子をケースに接続したところ嘘のように解消できた。
なおアンプ回路のアースは ケースに落としていない。
ノイズフィルタを追加した事で実験機に比べスピーカーから出るノイズは減った。
実験機でも僅かなノイズで実用上問題は無かったが更に小さくなった。
スピーカーのコーン紙に耳が付きそうになるまで近づけてやっとノイズが聞こえる。
電源へBGコンデンサを追加した結果、実験機に比べ音が滑らかで更に自然になった。
円筒形スピーカーに繋いで2週間ほど聴いているが、良い音で飽きない。
箱の残響を利用しない円筒形スピーカーとの組合わせは相性が良く素晴らしい解像度で鳴ってくれた。
このアンプに替えてからピアノの音色が好きになった。
従来使っていた改造KAF-5002は御蔵入りになってしまった。
もう出番は無いだろう。('05,11,12)
アンプを作ってから一ヵ月半が過ぎた。毎日聞いているが全く不満が無く大いに気に入っている。
我家ではCDを聞かない時には、このアンプと円筒形スピー
カーでTVの音を出している。
紀行番組やドラマなどでは、ゆったりとしたナレーションの背景に吟味されたBGMが低音量で流れる。
このBGMが良い音で聞 こえる。圧倒的に大きな音量のナレーションに妨げられずに良い音と感じられるのは、
アンプとスピーカーの解像度が高いことによるものだろう。
もちろんナ レーションも自然で違和感は無い。
最近はiPodを、このアンプに繋ぎ円筒形スピーカーで鳴らしている。
良い音が出てCDとの差は感じない。
円筒形スピー カーは聞いていて疲れることが全く無く癒される感すらあるので長時間いてしまう。
従来は高さ20cmにも積み重ねたCDを入れ替える作業が面倒だったが、
iPodではこの作業が無くなり大変便利だ。
iPodにはリモコンが使えるアダプターが用意されているらしいので買おうかと思っている。
('05,12,19)
2-2 シールド板の追加 ('09,07,05 追記)
Fostex製SPユニットFF-85Kのフレームを削って音道を拡げてからピアノの魅力が増した。
クラッシックやジャズのピアノを頻繁に聴くようになってから気になる事があった。
フエルトのハンマーが鋼線に当たった直後の音が僅かだがザラッポイように聞こえる。
もしやデジタルアンプの出力に含まれるスイッチングノイズが入力に混入して音を濁らせているのではと疑った。
そのような観点から実物の配線を見ると出力線と入力線が5cm程の長さで平行に走っている。
しかも入力の配線には高音が減衰する事を懸念してシールド線を使っていない。いよいよ疑いは濃厚になった。
運よく入力線と出力線は上下に位置していた。その間には発泡ポリエチレン板が間隔を保つために挟んである。
発泡ポリエチレン板をはずして金属板を差し込めばシールドになると考えた。これで実験できる。
下の写真は左が加工前、右がシールド板を差し込んだ写真です。
シールド板の上に見える4本の電線が出力線で、入力線は隠れて見えません。

材料にはキッチンに転がっていたアルミの薄板を使いました。
元は500mLの缶ビールでした。もちろん中身を楽しんでから加工しました。
アルミホイールより厚く適度な強度があって良い感じでした。
まだ短時間の試聴ですが、音は明らかに変わりました。プラシーボではないと言い切れる程です。
ピアノのザラツキ感は軽減されました。
しかし高音全体が減った感じです。相対的に低音が強まった感じがします。
視聴が2時間と短いので、今の音が原録音に近いと断言はできませんが“自然さ”が増したように感じています。
今後も試聴を続け結論を出すつもりです。
ディジタルアンプには低周波回路とスイッチング回路が同居しています。
スイッチング回路はノイズ源ともいえるので充分なノイズ対策が必要ですが、怠っていました。
出力線に同軸ケーブルを使う等、更なる対策も考えられます。
回路基板の設計からノイズ対策を行い完全に対処すれば更に良い音が出るかもしれません。
2-3 デカップリングコンデンサの増強 ('09、07、08 追記)
以前の仕事でお世話になった先輩がディジタルアンプを作ろうとしている。
その電源をトランス式にするかSW電源で行くべきかと相談を受けた。
しかし結論を出せるほど詳しい知識が無い。
自分がSW電源を使った理由は安く、小さく、軽いからであって音が良いからではない。
SW電源方式でもデカップリングに充分に大きなコンデンサを使えば必要な安定性を得られる筈だ。
しかし、大きなデカップリングコンデンサを付けるとSW電源の電圧制御が不安定になるとの説がある。
電圧制御系の出来次第では起こり得る事だが、自分の電源では不安定になるのかとの疑問があった。
そこで確認の為に実験した。
下の写真は実験の最終段階での様子です。先日に取り付けたシールド板の上にBGコンを並べました。

前出の先輩から某所にデッドストックのブラックゲートが在ると教えられ3300uSを3個買ってきた。
従前のBGコンデンサに追加すると概ね2万μFになる。先輩の催促もあり早速取り付け試してみた。
電圧は従前と変わらず安定だったが、音が嫌な感じに変わった。
もしやテスターでは測定できない周波数で振動しているのかと疑ったが、
オシロスコープで見たところ電圧は横一線で振動は無かった。
翌日には嫌な感じの音は消えた。従前に比べ低音が角張った感じになった。
またウッドベースの音が自然になったような気がする。
それではと手持ちの6800uFを2個追加した。普通の電解コンデサです。
合計で3万μF強にもなるので不安定になるかと期待!!したのですが、変化は無く安定でした。
SW電源とでカップリングコンデンサの間には自作のノイズフィルタが入っています。
これが電圧の安定化に寄与しているのかもしれません。
SW電源は秋月電子で買った12V5Aの物です。廉い電源ですが良い物のようです。
3.RSDA202の改造 ('06,1,13)
3-1 改造前の試聴
友人がTRIPATHのTA2020を組み込んだデジタルアンプRSDA202を買った。
音に納得できなかったらしく私が自作したデジタルアンプとの聞き比べを頼まれた。
さっそく預かってきたアンプにDVDと円筒形スピーカーを接続して大好きなWaltz
for Debbyを鳴らした。
聞いてみると自作機に較べ音が不自然でシャリシャリのような高音が耳についた。
またピアノの音に艶が無いように感じた。結局1枚の
CDを聞き終わる前に飽きてしまった。
しかし電源を含め1.5万円弱という低廉な価格を考えれば納得できる性能と思われる。('06,1,13)
注:試聴結果は個人の感覚によるもので客観的評価ではありません。
また特殊な円筒形スピーカーを用いたもので一般のスピーカーに適用できるのか定かではありません。

3-2 回路の調査 ('06,1,17)
比較的部品の数が少ないアンプなのに何故音が違うのかと興味が湧き友人の許しを得てケースを開け調べてみた。
主な違いは出力部のローパスフィルターに使われているコンデンサの容量だった。
| 部品番号 | T社設計4Ω用 | T社設計8Ω用 | RSDA202 |
|---|---|---|---|
| Co | 0.47μF | 0.22μF | 1μF |
| Cz | 0.22μF | 0.22μF | 0.47μF |
| Cdo | 0.01μF | 0.01μF | 0.1μF |

| 部品番号 | 用途 | オリジナル部品 | 改造内容 | 改造理由 |
| R1 | 入力抵抗 | 100k | 撤去 | 不要と判断 |
| R2 | 入力抵抗 | 100k | 撤去 | 不要と判断 |
| R5 | ? | 100 | 短絡 | 不要と判断 |
| R6 | ? | 100 | 短絡 | 不要と判断 |
| R8 | アンプ利得設定 | 40k | 10kへ交換 | Tripath社の設計値 (アンプ利得を低減) |
| R9 | アンプ利得設定 | 40k | 10kへ交換 | Tripath社の設計値 (アンプ利得を低減) |
| C6 | Cdo | 0.1μF | 積セラ 0.01μFへ交換 | Tripath社の設計値 |
| C7 | Cdo | 0.1μF | 積セラ 0.01μFへ交換 | Tripath社の設計値 |
| C10 | Cz | 0.47μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C11 | Cz | 0.47μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C12 | デカップリング | 電解25V 220μF | BG 16V 220μFに交換 | 電源特性を改良 |
| C13 | Co | 1μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C14 | Co | 1μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C15 | Co | 1μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C16 | Co | 1μF | 積セラ 0.22μFへ交換 | Tripath社の設計値 (8Ω用) |
| C17 | 入力直流阻止 | 10μF | 短絡 | 重複により不要と判断 |
| C8 | 入力直流阻止 | 10μF | 短絡 | 重複により不要と判断 |
| C19 | デカップリング | 電解25V 220μF | BG 16V 220μFに交換 | 電源特性を改良 |
| C23 | 入力直流阻止 | 電解2.2μF | 積層ポリエステルに交換 | 電解コンによる音質悪化を回避 |
| C24 | 入力直流阻止 | 電解2.2μF | 積層ポリエステルに交換 | 電解コンによる音質悪化を回避 |
| VR1 | 左右バランス | 10kBボリューム | 配線を切断し回路から絶縁 | 音質最優先で不要と判断 |
下の写真は左が改造前で右が改造後だ。ブラックゲートの大きさが際立っている。
CoとCzに用いた積層セラミックコンデンサには10%程度の容量誤差があ
るので同じものを20個買い容量を測って近い6個を選んだ。
左右バランス用のVR1は回路から切り離したが外すと見栄えが悪くなるので残した。

3-5 改造RSDA202の試聴
改造後に試聴したところ私のアンプよりも良い音が出て驚いた。
上手く表現できないが、自然な感じで解像度も高くなっているように感じた。
私のアンプはCo にカマデンのキットに入っていた0.47μFが付いている。
LPFの特性がスピーカーに合っていないので0.22μFへ交換しようと思っている。
友人は改造後の音を聴いて青空のように気持ちよく澄んだ音だと言っていた。
今まで使っていたアンプでは聞こえなかった音が聞こえ各楽器の音が混じらずに個々の位置が明確にわかると驚いていた。
またバイオリンの美しい音に感動したとも言っていた。喜んでもらえて嬉しかった。
下の写真は友人が自作した入力切替装置兼電源箱だ。
電源部にはスイッチング電源にノイズフィルタ、それにブラックゲートコンデンサ4700μFが2個入っているそうだ。
回路の構成は私のアンプに良く似ている。('06,1,22)

4. 友人T氏のTA2020アンプ
別の友人(T氏)がカマデンのTA2020キットを組み立てた。
最初から入力のカップリングコンデンサは積層ポリエステルで電源のデカップリングはブラッ
クゲートに換えて、
音を劣化させない為の勘所を抑えてあった。
スピーカーを繋いで鳴らして見ると充分に満足できる良い音がでた。
数日後、電源のデカップリ ングコンデンサに4700uFのBGを2個追加して電源を強化した。
明らかに音質の向上を認められた。より良い音を得るために電源のローインピーダンス化
が重要であることが確認できた。
下の写真は4700uFのBGを追加する前の状態です。(06,08,28)

5. 若松通商の新型TA2020アンプキット
友人が秋葉原の若松通商で買ったTA2020アンプキットの組立てを引き受けた。
キットの袋を開けたところ従来同社で販売していた基板と様子の違う物が入っていた。
若松通商で売っていた従来のキットはカマデン製の転売品だった。
新しいキットは若松通商のオリジナルのようだ。基板にもWakamatsuとシルク印刷されている。
基板の寸法が僅かに大きく回路パターンもゆとりをもって設計されている。
カマデン製では出力部に使われているチョークコイルの取り付け間隔が狭くまともに付けられなかった。
斜めに付けたり裏側に付けたりして凌いでいたが、このキットではそのような事は無い。
個人的な意見だが、カマデン製よりも高級な部品を使っているようで全体に良い感じだ。
残念なのは出力部のローパスフィルタが4Ωのスピーカー用に設定されている事だ。
組込み用スピーカーでは低めの電源電圧で大出力が取り出せる4Ωが多用されているが、
オーディオ用スピーカーでは8Ωが一般的だ。
最初から8Ωに合わせてくれるとコンデンサを買い直す手間が省ける。
また出力端のEMC防止コンデンサを過大な容量にして高域を持ち上げるのは感心しない。
本来はEMC対策用の筈がローパスフィルタの一部になっていて特性を変えている。
下の写真は組み立てた後の写真だ。最良の音を求め以下の部品を交換して作った。
◎入力の電解コンデンサ(10μF)を積層ポリエステル(2.2μF)に変更
◎電源のデカップリング用電解コンデンサをOSコンに変更(電源のインピーダンスを下げる)
◎ローパスフィルター部のコンデンサ0.47μFを0.22μFに変更(8Ωに最適化)
◎出力端のEMC防止コンデンサ0.1μFを0.01μFに変更(味付けを除去)

なおカマデン社のホームページでは、TA2020KITは完売となっています。
理由はトライパス社デバイス全般供給状況の悪化によるものだそうです。
6. 読者M氏のTA2020アンプ (’07,11,6追記 )
福岡に住んでおられる読者のM氏から作例の写真が寄せられました。
M氏は、このホームページの記事を参考にして作られたそうです。
写真を拝見し丁寧に作られているのに感心しました。とても美しい仕上がりです。

福岡には秋葉原や日本橋のような電気街が無いそうで部品の入手に苦労されるとの事ですが、
それを感じさせない高級な部品を使っています。
スピーカーへの出力端子がコンパクトで格好良いのですが、秋葉原では見た記憶がありません。
東京へ出張された折にラジオセンターの3Fにあったトモカ電気で購入された物だそうです。
トモカ電気はどこかへ引っ越したそうです。
電源は若松のSW電源(PAA050 F 12V 4.16A)だそうです。
電源の強化に使われている電解コンデンサはエルナーのオーディオ用12000μFだそうです。凄い!!。
また基板へ電源を供給する端子部分にはポスト端子が使われているようです。
丁寧な仕事です。そこにあるノイズ対策用コンデンサは高級なRifaだそうです。
写真の右下に写っている音量調節用のバリオームは東京光音製の超高級品だそうですが、
以前使っていた物を活用されたとの事。
基板は新型の若松製で旧型のカマデン製ではありません。
入力のカップリングコンデンサを積層ポリエステルに、電源のデカップリングはOSコンに
変えるなど音を良くする為の勘所をしっかりと押さえてあります。
高級な部品をふんだんに使ったデジタルアンプの音を聴きたい所ですが、
写真では判らない所が残念です。
7.読者T氏のTA2041アンプ ('08,08,21)
東京に住んでおられる読者のT氏から作例の写真が寄せられました。
T氏も、このホームページの記事を参考にして作られたそうです。御役に立てて嬉しいです。
作品は車載用の4チャンネルアンプです。高級な部品を使い精緻に組み立てられています。
チョークコイルには漏洩磁束を減衰させる目的か銅テープが巻いてあり金色に写っています。
また部品の振動対策にも配慮されており全体に丁寧な仕事ぶりが伺えます。
***************************** 以下はご本人が書かれた文を転載させて頂きました。*****************************
現状の仕様について若干解説させていただきます。
・ケース内部は小川様のDACを模して制震材のレジェトレックスを貼り付けた上に発泡ポリエチレンを敷き詰めています。
・電源部のコンデンサは車載にあたり、耐圧に配慮しBGからニチコンのGOLD
TUNE(35V4700μF)に変更しています。
読者の方のを模してRifaも追加してみました。
・基板上のコンデンサはニチコンのMUSE KZ(25V1000μF)です。
・コンデンサーの制震対策として子供の遊び道具である油粘土で覆ってみました。
・リレーを搭載し、カーオーディオのヘッドユニットのリモート出力に対応させています。
・内部の配線材は実験中ではありますが、ホームセンターで安価で入手できるベル線(0.8mm銅単線)を
用いています。小川様も単線を使用されていること、カーのマニアにも単線の支持者がいることから、どうしても
使用してみたかったのです。また、単線をねじることで制震の効果を期待しているようですが、yoshii9のSP線や
小川様のアンプの内部配線とは異なる考え方であり、今後もいろいろとテストしてみたいと考えています。
8.TA1101Bアンプの工作 ('08,08,17開始)
秋月電子通商のホームページを眺めていたらTA1101Bを使ったUSBオーディオ基板が売られていた。
面白そうだったので通販で購入した。1200円だった。
8-1 Windowsでの認識と問題点 ('08,08,17)
添付されていた資料に従って改造したところWindowsXPでUSBオーディオ機器として認識された。
機能を確認するためにスピーカーの変わりに抵抗(47Ωを五個並列で9.4Ω)を繋いだ。
iTunesで駆動しオシロスコープで波形を観測した。
iTunesの音量設定を最大にしても2VP-P位しか出ない。概ね125mW/8Ω程度だ。
USBを受け取りオーディオ信号に変換するUAC3552Aの資料に記載されているVolume
Up端子(GPIO0)に
パルス電圧を入れて試したのだが、変化は無かった。利用できるようにプログラムされていないようだ。
純正のドライバーがあれば大きな出力が出せるのかと考えたのだが、
5Vから12Vに昇圧するインバーターが貧弱なので250mW/4Ω位が最大出力でもおかしくない。
しかし円筒形SPに使うには10W程度の出力は欲しい。どのように問題を解決しようかと思案している。
8-2 出力UPの改造 ('08,08,21)
オシロスコープを使ってUAC3552Aのアナログ部の波形を観測した。小出力の原因はすぐに判った。
UAC3252Aに内蔵されている電子Volumeが半分程度に絞られているので2VP-P程度の出力電圧しか出ない。
この基板ではUAC3552Aのヘッドホンアンプ用出力からアナログ信号を取り出しTA1101Bの入力へと導いている。
UAC3552Aの資料を見るとActive Lo-pass filterの後段にVolumeとヘッドホンアンプが組み込まれている。
Active Lo-pass filterの出力端子からアナログ信号を取り出しVolumeとヘッドホンアンプをバイパスすれば、
UAC3552Aの最大出力でTA1101Bを駆動する事が出来る筈だ。
早速改造して試してみた。下の写真のようにTA1101Bの入力部にあるセラミックコンデンサを外し
縦に半田付けしてセラミックコンデンサ上部の空いた端子とUAC3552AのActive
Lo-pass filter出力部と繋いだ。

なお5Vを12Vに昇圧する回路は「RUUの不定期日記」の記述を参考にさせて頂き削除しました。
動かして出力電圧を測定すると概ね4VP-Pと倍増しており改造は成功した。
出力は1W/4Ω程度に増した。充分と言える水準ではないが円筒形SPを小音量で鳴らせる。
試聴は円筒形SPに繋いで行った。音源はiTuneでVista
64bit Dualだ。
音量は最大でも夜間に近所迷惑にならずに聴く程度で小さかった。
円筒形SPはPassive Dump Systemを採用しているので投入電力の半分は抵抗器が熱にしてしまう。
実用化には、まだまだ出力が足りない。
音質は素直で味付けを感じず癖も嫌味も無い。解像度も高い。Frequency
Domainの音ではない。
殆どの人が良い音と感じると思われる水準で、流石Appleと思わせる出来栄えだ。
しかしHRDAC+TA2020アンプに較べるとシンバルの音が弱いように感じるが、無難な音にまとまっている。
問題は基板の発熱だ。赤外線温度計で測ったら63℃もあった。
12Vの消費は500mA程度なので投入電力は6W程度だ。
しかし出力は両チャンネルで2W程度なので4Wもの電力が熱になっている。
効率が高い筈のデジタルアンプで30%程度の効率では低すぎる。
これでは実用化は難しい。
このUSBアンプ基板は何か大きな問題を抱えているようだ。
8-2 発熱原因判明? ('08,08,30)
回路基板を調べていておかしな事に気付いた。
TA21101Bの出力端子とアースの間にある筈のバイパス用ダイオードが見つからないのだ。
中古で買った実体顕微鏡を使って基板上の部品を調べたがコンデンサと抵抗ばかりだ。
バイパス用ダイオードはチョークコイルが通電中に蓄えたエネルギーを非通電時に放電する
道として設けられている。このダイオードが無いと電力の効率が著しく低下する。
しかも放電する道が無いので蓄えたエネルギーがスパイク電圧となり周辺回路の誤動作を引き起こす。
しかしアマチュアなら兎も角、プロが設計した基板で重要なダイオードを付け忘れるなどという
御粗末なミスを犯すとは常識的には考えにくい事だ。
ダイオードを取り付けて確認すれば簡単に結論が出る筈だが、
基板が小さく4個も納める場所が無い。
何か工夫して確認実験をするつもりだ。
8-3 ダイオード追加実験 ('08,09,06)
ICの端子にダイオードを半田付けしようとして短絡させてしまったらしく基板を壊してしまった。
仕方なく予備基板で実験する事にした。実は二枚の基板を買っておいたのです。
ICの端子はダイオードを取り付けるには狭過ぎると判ったのでチョークコイルの脇の空いている場所の
レジスト皮膜を剥してショットキーダイオードを無理矢理追加した。
使ったダイオードは部品箱にあった1S10です。外形が小さいので良い具合でした。

通電したところ下記の様に今迄とは様子が変り安定しました。
@チップ部品の取外しやジャンパー等の改造をしなくてもパソコンにUSBオーディオと認識された。
Aパソコン側の音量調節でUAC3252Aに内蔵されている電子Volumeを制御できた。
BUAC3552Aの音量+-端子を操作するとパソコンの音量設定が変った。
しかし音は出ません。原因はTA1101BのMUTE端子がPull-Upされている為でした。
これは前出した「RUUの不定期日記」にあるR500の15kをR16の空きランドへ移動して
Pull-Downする事で解決しました。
これでTA1101Bの出力端子から概ね4VP-P程度(4.7Ω負荷)の出力電圧が得られました。
満足できる大きさではありませんが、パソコン用のスピーカーならば充分な音量が得られるでしょう。
TA1101Bの出力が小さい理由は、UAC3552Aの出力が小さいからです。
オーディオテストCDを使って1KHz/0db信号(CDの最大振幅)を入れました。
電子ボリュームが最大で320mVP-Pしか得られません。その原因は依然謎です。
ダイオードを取り付けた後の消費電流と発熱を測定したところ下表のようになった。
信号は1KHz/0dbで負荷は4.7Ωの抵抗器を左右のチャンネルに取り付けた。
肝心の温度は、ダイオードを取り付ける前には63℃だったので8℃も下がった。。
| 回路の状態 | 5V消費電流 | 基板の温度 |
| USB接続なし | 170mA | 37℃ |
| USB接続 無音 | 460mA | 50℃ |
| USB接続 最大音量 | 650mA | 55℃ |
発熱しているのはTA1101BではなくUAC3552Aと5Vのレギュレータのようだ。
データーシートでの消費電流は、UAC3552Aが100mA程度でTA1101Bは70mA程度だ。
これはUSBを接続しない場合の消費電流と合っている。
USBへ繋ぐと300mA程の電流が増えている。
これが発熱の主因だと思われるが何処が消費しているのか判らない。
8-4 出力UPの改造-その2 ('08,08,30)
UAC3552Aの出力電圧が小さく、充分な音量を得られない。
原因を調べたが埒が開かない。プログラムで大きく出ないように設定されているようだ。
音量を増すために改造した。
今度の基板ではUAC3552Aの電子ボリュームが機能し出力を最大にできるので
前回のようなバイパス配線では出力は増えない。
UAC3552AのActive Lo-pass filter部に特性を決めるフィードバック抵抗がある。
オリジナルの15kΩを33kΩに取替え利得を2.2倍に増やした。
周波数特性が変ってしまうので、フィードバック抵抗と並列に接続されている
330pFを160pFに替え周波数特性が変らないように工夫した。
更にTA1101Bの利得を決めるフィードバック抵抗も交換した。
オリジナルの22kΩを47kΩに取り替えた。
これによりTA1101Bの利得は2.136倍に強化された。
全体としては2.2倍 x 2.316倍 = 5.06倍 になった。充分な出力が得られる筈だ。
負荷に4.7Ωのダミー抵抗を繋ぎ1KHz/0dbの信号で駆動したところ6VP-Pの出力が得られた。
新記録だが、計算の半分くらいしか出ていない。
5V電源から12Vを発生させる昇圧回路の供給能力を疑い測定したところ7Vしかなかった。
搭載されている昇圧回路は1W前後の出力を想定して設計されているようだ。
5Vを12Vに昇圧する回路を「RUUの不定期日記」の記述を参考に削除した。
直接12Vを供給して試した所12.5VP-Pの出力が得られた。円筒形SPを鳴らすのに充分な水準だ。
しかし基板の温度は高く70℃に達してしまった。
最大負荷での連続運転とうい実際には考えられない厳しい条件での結果だ。
音楽を鳴らした場合の発熱を確認しなければ実用化できない。
音楽を鳴らした際の発熱を確認するためiTuneのラジオ放送でロックを選び、
最大音量で出力した。その際の基板温度は60℃だった。
この温度ならば短時間で壊れる事は無さそうだが実用には熱対策が必要と思われます。