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             ガイガーカウンターの製作   (’11、04,22 掲載開始)

福島の原発が事故を起こし放射性物質をばら撒いた。
自分が住む関東地方にも放射能を帯びた雨が降った。
生活圏の放射線を把握して自分の身を守るためにガイガーカウンターを作った。

特にノイズの影響を排除するために実験を重ね最適な回路を探求した。
その結果、充分実用になる精度と安定性を備えた物ができた。

Web上に見られる作例では、殆んどがノイズ耐力不足だ。
その結果、光を感じるガイガーカウンターなど”大発明”も出現した。
それらの問題点を解説した。

以下は、ガイガーカウンターの開発経過と運用の記録です。


一号機:クラシックな外観を狙いました。
GM管をオークションで入手しWeb上に見られる先達の作例を参考にガイガーカウンターを製作しました。
下の写真は、完成したガイガーカウンターで一眼レフカメラ用レンズが出す放射線を測定している様子です。
GM管はLND712でαβγ線が測れる優れ物です。なんと990CPMを指しています。


二号機:Geiger Botと組み合わせて使います。
当初はuC(マイクロコントローラ)を使わないで作ろうとしたのですが、
挫折しました。uCなしでは自動電源断回路も簡単ではありません。


******************  目   次  ******************

    1. SI-3BGによる基礎実験
        1-1 実験装置の外観
        1-2 主要部品
        1-3 プラトー電圧の測定
        1-4 線源を使った実験

    2. J408γでの基礎実験
        2-1 プラトー電圧の測定
        2-2 パルス受信回路の検討
            (1) カソード検出方式の実験
            (2) アノード検出方式の実験
        2-3 バックグランドの低減と指向性の改善

    3. 回路の設計

    4. 製作と試運転
        4-1 測定機能の確認
        4-3 J408γ用保護管の製作
        4-4 LND712用保護管の製作
        4-5 J306β用保護管の製作

    5. 各種の測定
        5-1 J408γによる室内とベランダの測定
        5-2 LND712による測定
            (1) BG(バックグランド)の測定
            (2)ウランガラスの測定
            (3)紙を挟んで測定
            (4) ウランガラスの線種特定
            (5) カメラ用レンズの測定
            (6) 延長ケーブルの評価
            (7) Hot Spotの探索
            (8) Cool Spotの情報
            (9) Hot Spotの10ヶ月後

       5-3 J306βによる測定
            (1) 柿の実の測定1
            (2) 柿の実の測定2
            (3) カリウム塩による感度の把握
            (4) 柚子の測定
            (5) みかんの測定
            (6) 栗の測定
            (7) 柿の測定2012
            (8) とろろ昆布の測定
            (9) とろろ昆布の測定2

    6.uCを使わないGCの製作
        6-1 Geiger Botの検証
        6-2 高圧電源の検討
            (1) 入出力特性の測定
            (2) 改造と特性
            (3) 電圧安定化機能の付与
        6-3 供給電圧の安定化
            (1) NJM2360ADでの実験
            (2) 個別部品による安定化
        6-4 圧電スピーカーの直接駆動
        6-5 パルス受信回路の試作
        6-6 自動電源断回路の試作
        6-7 回路図
        6-8 組立て
        6-9 評価試験
            (1) 電源電圧依存特性の測定
            (2) 試用

 7.ノイズ耐力不足の考察
       原因1位 利得過大
       原因2位 インピーダンス過大
       原因3位 コンデンサの弊害
       原因4位 トランジスタの不適切な使用
       原因5位 カソード検出

       7-2 CK1026の問題
          (1) アノード検出の問題1
          (2) アノード検出の問題2

*********************************************




1. SI-3BGによる基礎実験
現時点では、ネットには3種ほどのGM管(ガイガー管)が出品されています。
検出部が大きい方が感度が高い筈なので大型を使いたかったのですが、
作り始めた時にはSI-3BGしか売りに出ておらず選択肢があ りませんでした。

1-1 実験装置の外観
回路はガイガーカウンターの部屋を参考にして組み立てました。
中身の濃い記事で大変勉強になりました。


1-2 主要部品
高電圧発生回路に使う昇圧トランスは使い捨てカメラのストロボ用で す。
馴染みの写真屋にお願いしたところ、フィルムが抜かれたカメラを快く提供してくれました。

昇圧トランスに流す電流を断続するトランジスタも使い捨てカメラに使 われていた物を流用しました。

高電圧のリップルを減らすためのコンデンサは0.33uF 1kVのフィルムコンデンサを使いました。
日米商事で3個100円でした。この店は耐圧の高いコンデンサを安く売っています。

アノード抵抗は14MΩを使いました。当初は4MΩでも試しましたが、違いは感じませんでした。

制御にはマイクロチップ社製のPIC12F683を使いました。
8pin-DIPのICですが外付け部品無しで動きます。
プログラム次第で色々な機能を組み込め、価格も150円と驚くほど安価です。
高圧発生回路用パルスの生成、放電パルスを受けワンショット動作でブザーを鳴らします。
将来は移動平均演算を行い電流計を振らせる予定です。

1-3 プラトー電圧の測定
GM管は加える電圧によって放射線を補足する数が変わります。
その平坦な部分をプラトー電圧(領域)と呼ぶそうです。

SI-3BGの仕様では380Vから460Vとなっています。
ところが先達がWebで公開している実験では700Vもの電圧を加えている例も在ります。
そこで実験して特性を確かめる事にしました。

回路に供給する電圧を、実験用電源を使って変えGM管に掛かる電圧を調節して
印加電圧とバックグランドパルスの数を測定しました。

電圧の測定には高圧プローブを付けたオシロスコープを使いました。
内蔵されたADCの分解能が10ビットなので電圧の精度が今ひとつですが、
今回の目的には充分です。プローブの入力抵抗は100MΩです。

パルスの積算はマイクロコントローラ(PIC12F683)のプログラムで行いました。
20分間に積算したデーターをPIC12F683に内蔵のEEPROMに書き込みます。
読み出しはPIC12F683を基板から外し、ROMライターでデーターを読み取りました。

測定結果は下表のようになりました。上が低圧部分の拡大、下は全体です。

測定結果は390Vから480Vが平坦で、プラトー電圧だと判りました。
この値はSI-3BGの仕様 (Working Voltage 380-460V) と概ね合致しています。

しかし400V以下で検出数が増加しているのは測定誤差でしょうか。
450V付近も測定すれば信憑性が増したと反省しています。

またプラトー域で計数されたバックグランド(BG)も0.15CPMで、
SI-3BGの仕様 (Own Background: 0.2 Pulses/s) に近い値です。

若干の違いはSI-3BGのバラツキよりも実験方法の問題でしょう。
適当な線源を持っていないのでバックグランド(BG)を使ったのも誤差要因です。
理由は判りませんが、時間と共に変動し多い時と少ない時があります。

GM管を使った安価なガイガーカウンターのBGは25CPM程度のようです。
それに比べSI-3BGの0.2CPMは二桁も少ない値なので、
強い放射線を測るように設計された物と思われます。
旧ソ連の軍用なので核戦争への備えだったのでしょうか。

印加電圧を650V程度迄上げれば25CPM程度の感度が得られます。
Webでの作例も700V程度を印加しており実験の結果と合致しています。
しかし電圧の変動に対し感度が急激に変化するので電圧の安定化が重要です。

Webに見られるプラトー電圧を解説した一部の記事には、
プラトー領域よりも高い電圧では連続放電になって機能しないと書いてあります。
しかし動かした感じでは放射線を感じているようです。
適当な線源を入手して試す予定です。


1-4 線源を使った実験      ('11,04,24 追記)
線源としてオークションでボヘミアンビーズと称するウランガラスを入手しました。
下の写真のような立方体で一辺が約9mm、糸を通す穴があいています。
ネックレス用でしょうか。写真には少し蛍光が在るようです。
撮影に使ったストロボに紫外線が含まれているのでしょうか。

ウランガラスをGM管に載せて検出数を調べました。
測定時間は5分です。印加電圧を変え各3回ずつ測定しました。
バックグランドの影響を抑えるためにBGとウランガラスを交互に測定しました。

先ずプラトー域よりも高い電圧で測定しました。
3回の平均は、BGが11.13CPM、ウランガラスが36.27CPMでした。
ウランガラスはBGの3.3倍です。
線種
検出数
CPM
印加電圧

[ 回 ]

[ V ]
ウランガラス
277
55.4
612.4
BG
55
11.0
612.4
ウランガラス
112
22.4
618.4
BG
58
11.6
618.4
ウランガラス
155
31.0
612.5
BG
54
10.8
612.5


次にプラトー域で測定しました。
3回の平均は、BGが0.267CPM、ウランガラスが1.8CPMでした。
ウランガラスはBGの6.8倍です。
線種
検出数
CPM
印加電圧

[  回 ]

[ V ]
ウランガラス
6
1.2
339.8
BG
1
0.2
400.3
ウランガラス
9
1.8
397.8
BG
0
0
398.2
ウランガラス
12
2.4
399.4
BG
3
0.6
399.8

プラトー域では検出数は少ないが高感度
高電圧域では検出数は増えるが低感度との結論になりました。

電気的な表現をすればプラトー域で使ったほうが高S/Nですが、
放射線が弱いと測定に長い時間が必要です。



2.  J408γでの基礎実験    ('11,04,29 追記)
ネットオークションに大型のGM管が出ていたので好奇心から落札しました。
1966年の中国製です。明らかに手作りと判る箱に仕様書と共に納められて届きました。
長さが22cmもある大型のGM管です。



2-1 プラトー電圧の測定    ('11,05,02 追記)
前出のSI-3BGを使った実験機のアノード抵抗を7MΩに替えて測定しました。

過去に2回も測定に失敗した(記事は削除)ので、先ず失敗の原因を探りました。
その結果、ノイズの影響を受けていた事が判りました。
SI-3BGに比べJ408γは大きいので電極がノイズを受けるアンテナになっていました。

GM管を通過した電流を受けるトランジスタのB-E間に100kΩを
繋いでいたのですが、   33kΩに替え12pFのコンデンサを並列に
入れて入力インピーダンスを下げ、ノイズに対する感度を下げました。

その状態で測定した結果が下図です。測定時間は各3分です。


今度は教科書に載っているような特性図になりました。
360Vから概ね400Vがプラトー域で、その間のBGの平均は88.8回です。
仕様ではBGは80回となっているので近い値です。

ウランガラスの線には小さなコブが在ります。
理由は判りませんが、ノイズ対策が不十分なのでしょうか。
そのコブを避け360Vから380Vの平均は149.5回です。

ウランガラスはBGの1.68倍
でした。

仕様では推奨電圧は400Vですが、365V辺りが具合良さそうで す。


2-2 パルス受信回路の検討      ('11,05,11 追記)

(1) カソード検出方式の実験

「プラトー電圧の測定」でノイズの影響を疑わせる所があった。
そこでGM管からのパルスを受けるトランジスタのコレクターのパルスの波形を観測しました。

結果は、下図のような波形でノイズが乗りギザギザでした。


トランジスタのベースの波形です。
電源を切り、GM管のアノード線を外して観測しました。

GM管のカソードがアンテナになって上図のノイズが乗っています。
GM間のカソードを切り離すとノイズの振幅は2割程度に減りました。ノイズは約33kHzです。
ノイズ源を探す為に周囲の電気機器を全て切ったのですが、ノイズは消えませんでした。


ノイズに対する感度を下げる為に、トランジスタのベースに入っている抵抗を22kΩに下げ、
トランジスタの利得を下げるためにコレクタ抵抗も2.2kΩに変えました。
またコンデンサを入れるとパルスの幅が広がるので撤去しました。

その結果、パルスの幅が従前の1割に狭まり矩形波になりました。
この波形なら申し分ありません。

その矩形波をオシロスコープで観測している際に、
パルスが表示されたのにピー音が出ない時が在るのに気づきました。
つまりパルスを読み飛ばしているのです。

このパルスでマイクロコントローラへ割り込みを掛けて計数しています。
その割り込み処理時間を測定したところ15msでした。クロックは8MHzです。
よって15ms以内に次のパルスが来ると計数できません。
割り込みでは正確な計数は難しいようです。

仕方無く、PIC12F683に内蔵されたTimer1をカウンターとして使い
GM管からのパルスを計数する方式に変えました。

改造が済んだ実験機を動かしたところ従前よりも安定しているように感じました。


(2) アノード検出方式の実験   ('11,05,26 追記)
カソード検出の実験では、
パルス検出回路の入力インピーダンスを22kΩまで下げ、
一見すると安定なようだったが、不完全だった。

隣室で蛍光灯のスイッチを切った際にノイズがパルスとしてカウントされたり、
GM管のガラスに指先で触れた際も異常な数のパルスが検出された。

SI -3BGのような小さなGM管では問題無いのだが、
J408γのような大きなGM管にはカソード検出方式は適さない。


そこでアノード検出方式の実験を行った。
この方式ではGM管のカソード電極がGNDに接続されるので、
GM管の中心にあるアノード電極を覆うシールドのように機能する筈です。

確認の為に下図のような回路で試しました。

結果は良好で、ノイズの影響は全く見られず安定です。
GM管のガラスに触れても変化は見られません。
圧倒的にカソード検出方式よりも優れています。

この回路でGM管をSI-3BGに換えても問題なく動きました。
SI-3BGでは出力パルスの幅が2uSとJ408γの3割程度でした。
この違いは管の性能によると考えています。

有名なCDV-700型ガイガーカウンターもアノード検出方式でGM管のカソードはGNDに接続されています。
アノード検出方式は大型GM管を使う際の普遍的な技術のようです。
強いてアノード検出方式の欠点を挙げれば高耐圧のコンデンサが必要でコスト高になること位です。



2-3 バックグランドの低減と指向性の改善   ('11,05,16 追記)
J408γではバックグランドが概ね80CPM程もあります。
これを減らせれば相対的に感度が上がる筈です。

そこで鉛の板で被えばバックグランドを下げられるのではないかと考えました。

しかしWebに見られる英文の仕様には、バックグランドを
Shielded backgroundやOwn backgroundと表記している例があります。
これは自然環境の放射線を感じてしまうのではなく、GM管の素材に含まれる
極微量の放射性物質によるカウントという意味なのでしょうか。

判らないので確認実験をしました。
鉛の薄板で被ってカウント値が下がれば自己ではなく環境放射能です。
更に測定対象物の方向以外を遮断し指向性を持たせる事ができる筈です。

写真の様に厚さ0.5mmの鉛板で被いました。


写真のメーターは計数値の半分を示しています。概ね78CPMです。
鉛の板を2枚重ね(0.5mm*2)にしているのでウランガラスが出す放射線の影響は全く見られません。
メーターはマイクロコントローラで1分間の移動平均処理を行い、その結果で駆動しています。
そのため針はフラフラしていませんが、少し遅いのが難点です。

実験の結果は下図の様になりました。
測定は従前と同じくマイクロコントローラを外して積算値をWRITERで読み取りました。
各値は5分間の計測を2度行い平均値を採用しました。


ウランガラスからの放射線は、0.5mmの鉛板で充分に遮断できました。
しかしBGは1mmで10CPM程度の低下が見られますが、それ以上 の厚さでは緩やかな低下です。

厚さ0.5mmで急激に減ったのはβ線でしょう。
Webで調べたところウランガラスの出す放射線は大部分がβ線だそうです。
J408γはγ線用ですが、β線も少し感じるようです。

残った部分はγ線と推定しています。
透過力が強く厚さ2mm程度の鉛板では僅かしか減衰しないのでしょう。

実験の結果からShielded backgroundやOwn backgroundとの
記述は不適切と判断しました。

鉛板でGM管の一部を覆えばβ線に対しては指向性を改善することができそうですが、
γ線については難しそうです。BGは1割程度は減らせそうです。

以前の実験に比べてパルスの数が少なめです。
これは受信回路を改良したことによりノイズの影響を低減できた為です。

3. 回路の設計   ('11,05,31 追記)
基礎実験を終え必要なデーターが揃ったので回路を設計しました。

回路には2個のPIC12F683を使いました。
添付した回路図(PDF)で 右側が測定部です。
高圧の発生、GM管からのパルスの受信、ブザーと電流計の駆動を行います。

高圧は、使い捨てカメラから流用したストロボ用高圧トランスの一次側をPWM信号で駆動して作ります。
この回路には共振周波数があるようで30kHz付近が最も消費電流が少なく高い電圧が得られました。
実験では無負荷で最大900V以上出ました。PWMの幅を調節して400V付近に合わせます。
ソフトで電圧を変えられるので測定モード切り替えスイッチによる変更もでき便利です。

R13:100MΩはオシロスコープの入力抵抗(高圧プローブ)の代用です。
プローブを繋いで電圧を測る際にはR13を切り離します。
これで電圧測定時と運用時の電圧を等しくできます。

GM管からのパルス検出はアノード検出方式です。
受信は、割り込み方式では読み落としが発生するので、
PIC12F683 に内蔵されたTimer1(16bitカウンター)で積算します。

ブザーは発振回路内蔵です。PIC12F683の出力で直接に駆動します。

電流計はソフトウエアによる64HzのPWMで駆動しています。
駆動周波数が32Hzでは電流計の針が震え針先が尖って見えます。

左側のPIC12F683は電源の制御を行います。
15分経過後の自動電源断と乾電池の電圧が4Vを下回ると電源を切ります。
電池を使う機器では電源スイッチの切り忘れ対策は必須と考えています。

左下のロータリースイッチは測定モードなどの機能を測定部に指示します。
今のところレンジ切り替えなどに使う予定です。


4. 製作と試運転    ('11,06,03 追記)
ユニバーサル基板を二段に重ねて作りました。
写真は機能試験の様子です。


4-1 測定機能の確認
三秒間隔でデータを更新し一分間の移動平均によるCPMを表示する1分間モードと、
10分間のパルスを積算してCPMを算出する10分間モードを備えています。

上の写真では10分間モードでの表示で、メーターは79.5CPMを指しています。

1分間モードでBGを測定すると中心は80CPM付近ですが、
最小は60CPM、最大は100CPM程度に表示が揺らぎます。

それに対して10分間モードでは、12回の測定で
中心が79.04CPM、最大が82.5CPM、最小が75CPMと
大幅に揺らぎを抑制できました。

上述の結果から10分間モードで使い方を工夫すれば
7.5CPM以上の放射線源でも有意差が出そうなので、
BGの10%程度の小さな線源も検出できる筈です。

消費電流は約20mAでした。
単三アルカリ乾電池の容量を2000mAhだとすると100時間は動かせる計算です。
自動電源断機能も備えているので問題無い性能でしょう。

何度もBGを測定して充分な再現性と安定性が在り
実用できる性能を備えていると確信しました。

4-2 ケースの製作     ('11,06,04 追記)
電子回路の機能を確認できたのでケースに入れました。
タカチのプラスチックケースで大きさは、124h*69w*39dです。
片手で持つのに丁度良い大きさで気に入ってます。


GM管は外付けにしたのでコネクターには同軸ケーブル用のBNCコネクタを使いました。
いろいろなGM管をワンタッチで差し替えられるので便利な筈です。

右はGM管とケーブルです。
ケーブルはカナレ社製の同軸L-3C2VSです。
以前にオーディオケーブルを試作した際の残材です。
通常の3C2Vは芯線が単線で硬いのですが、これは撚り線なので柔軟です。

長さは2.9mも在ります。必要な長さは60cm程度ですが、
短く切る前にケーブルの長さが測定値に及ぼす影響を調べる目的で長いまま使いました。
アノード検出方式でシールドがアースに繋がっているため安定で、
ケーブルの影響は皆無でした。

ケーブルを分岐している部分の白丸はペットボトルのキャップを流用しました。
半田付けで繋いだ部分の周りにホットメルト(熱溶融接着剤)を充填して
高電圧を絶縁してます。

ガイガーカウンターのハードは完成しました。
しかしソフトは改良の余地が在りそうです。


4-3 J408γ用保護管の製作     ('11,06,06 追記)
J408γを使って地表の放射線を測る事が想定されます。
その際に石などに当てるとガラスが割れるでしょう。
そこで実用化には保護管が必要です。

強度の高い金属管などが理想的ですが、工作が面倒です。
そこで水道管用断熱パイプを使う方法を思いつきました。
切り込みがあるのでC形の発泡ポリエチレン製パイプです。

ところが20mm用では細く、25mm用では太くてゆるゆるでした。
そこで20mm用に、幅10mmの紐状に切り出した断熱材を継ぎ足しました。


いい感じの出来栄えです。
金属管に較べればかなり弱いのですが、自分が使うには充分な強度と考えています。
足で踏みつけたりしなければ壊れないでしょう。
発泡材はβ線が通りやすい筈なので良い発想と自画自賛しています。



4-4 LND712用保護管の製作      ('11,06,09 追記)
LND712はα線、β線、γ線が測れる雲母窓のGM管です。
ちょっと値が張りましたが、奮発して入手しました。

同軸用変換コネクタ(BNC−J⇔M−J)のM形にLND712のアノードを半田付けして固定しました。
BNC中継コネクタを介してガイガーカウンタ本体に接続できます。
また同軸ケーブルを使ってGM管を本体から離して使うこともできます。


保護管はプラスチック製電線管16mm用ソケットとエンドキャップを使いました。

先端部にはα線を通すよう格子が嵌め込まれています。
格子は100均で買った流し用のプラスチック網から切り出しました。

先端部は金属電線管用エンドキャップを使いました。
周辺部のギザギザが、それらしい雰囲気を醸し気に入っています。


4-5 J306β用保護管の製作    ('11,07,08 追記)
J408γはγ線に対して高感度だが、β線に対する感度が低い。
微量のセシューム137を検出するにはβ線の感度が高いほうが、
バックグランドとの差が大きくなる為に有利です。

そこでJ306βを買いました。
届いた物を手に取って軽いのに驚きました。
ガラス製ですが、ガラスと思えない軽さで華奢に見えます。
ガラスの表面に黒い物質がコーティングされています。
ガラスの薄い部分を補強する為でしょうか。

実験中に割らないよう保護管が必要でした。
β線の貫通力はγ線ほど強くないので格子状のパイプを探しました。

百均で髪をカールさせるときに巻くボビンを見つけました。
その表面はマジックテープ状になっているのですが、それを剥がせば格子状です。
これを3本接着して適当な長さになりました。接着剤はホットメルトです。



GM管の両端に巻いたのは吸水テープです。
粘着材付きフェルトテープで百均で買いました。
2回重ねて巻くと保護管との隙間もいい感じでした。

早速Geiger Botに繋いで動かしました。
BGは82でウランガラスを載せると217でした。下の写真は、そのようすです。


J408γに比べ、β線に対する感度は2倍程です。




5 各種の測定      ('11,06,05 追記)
ハードが完成したので身近な環境等を測定しました。

5-1 J408γによる室内とベランダの測定
基礎実験を行った仕事場ではなく自宅で測定しました。
自宅は埼玉県富士見市にある鉄筋コンクリートSRC構造の14階です。
GM管を床に置き10分モードで測定した結果は下表のようになりました。
室内 窓際 1回目
89.5CPM
室内 窓際 2回目 87.0CPM
室内 窓際 3回目 90.0CPM
ベランダ 直射日光下 1 回目
96.0CPM
ベランダ 直射日光下 2 回目 92.0CPM
ベランダ 日陰 1回目 89.5CPM
ベランダ 日陰 2回目 96.0CPM

室内測定の平均は、88.8CPMで従前の仕事場(東京都板橋区、木造、瓦屋根)が
79CPMだったのに対して概ね9.8CPMほど高めです。
これはコンクリートに含まれる砂利に微量の放射性物質が含まれている為と推定しています。

部屋に較べてベランダの測定値が4CPM高いようですが、誤差でしょうか。

直射日光下と日陰は40cmほど離れています。
直射日光下と日陰を較べたのは、
Webに、「J408γは強い光が当たるとカウントが増える」との記事を見たからです。
光の影響を受けるのなら光を遮断する保護管が必要です。確認の為に実験しました。
結果からJ408γは光の影響を受けないと判断しました。

その記事で使われているガイガーカウンターの回路図を見たところ、
パルスの検出にカソード検出方式を使っていました。
J408γの大きなカソード電極が電磁波ノイズの影響を受けカウントが増えたと推定しています。


5-2 LND712による測定     ('11,06,10 追記)
LND712を使ってガイガーカウンター本体が正しく機能するか
確認するために簡単な測定を行いました。
測定値は何れも10分間のパルスを積算しCPMに換算した値です。

(1)BG(バックグランド)の測定
板橋区の仕事場では13CPM、埼玉県富士見市の自宅では16CPMです。
何度か測定しましたが同じ値を示し安定しています。

(2)ウランガラスの測定
プラスチック製格子窓の上にウランガラスを載せて測定しました。
2回測って48CPM51CPMでした。BGの3.8倍です。

J308γでは1.8倍でした。それに較べて高感度です。
マイカウインドウの威力でしょうか。

(3)紙を挟んで測定
線源(ウランガラス)とGM管の間に紙を挟んで測定しました。
下の写真で重ねた10枚の紙の上に載っているのがウランガラスです。


挟んだ紙の枚数とカウント数を測定した結果が下表です。
使った紙はプリンター用紙です。


4枚以下でパルス数が乱れているのは、ウランガラスを置く位置によって
プラスチック製格子窓を通過するα線の量が変わる為と推定しています。
そうだとするとα線を止めるには3枚程度のプリンター用紙が必要という事になります。

4枚目以降では放射線の主成分がβ線とγ線になり
プラスチック製格子窓を容易に通り抜けるため、乱れが少ないと思われます。

右下がりの傾向は紙による減衰以外に線源とGM管の間隔が
広がる事が影響しているのかもしれません。

自作したガイガーカウンターはLND712との組み合わせでも
正しく機能してます

(4) ウランガラスの線種特定     ('11,06,11 追記)
身近な通貨等でウランガラスから出る放射線を遮り線種を特定する実験をしました。
測定値は10分測定モードで2回測定して平均値を採用しました。

10分測定モードでは測定終了後にブサーで終了を知らせてくれるので
他の仕事をしながらの実験でした。


結果は下表のようになりました。
遮蔽物
CPM
備考
コメント
無し
16.5
バックグランド
 *1
無し (ウランガラスのみ)
50.0


500円 白銅硬貨
17.5
平成15年発行
 *2
100円 白銅硬貨
16.5
昭和50年発行
 *2
10円 銅硬貨
17.0
平成12年発行
 *2
1円 アルミ硬貨
22.0
昭和60年発行
 *3
料理用アルミホイル 11um
48.5
ジャパックス 中国製
 *3
1万円札 鳳凰の中央部
44.0
ホログラム在り
 *4
1万円札 透かしの部分
45.5
ホログラム在り
 *4
サランラップ 旭化成
49.0
ポリ塩化ビニリデン
 *5

*1 : 自宅は仕事場よりも3.5CPMほど高めです。
*2 : 三種の銅合金の硬貨を試しました。
  500円玉の大きさが影響するかと思ったのですが、殆ど同じです。
  減衰量からγ線は殆ど無いようです。
*3 : アルミは銅に較べβ線を良く通しました。
*4 : α線を遮断したと推定しています。
  透かしの部分は薄いのか、印刷が無いので減衰量が少ないのでしょう。
*5 : ラップでも僅かに減衰するようですが、BGのドリフトかもしれません。

実験結果からウランガラスが出す放射線は、
          α線 :  6.0CPM    17.9%
          β線 : 27.0CPM 80.6%
          γ線 :   0.5CPM     1.5% と推定しました。


(5) カメラ用レンズの測定   ('11,06,13 追記)
カメラ用のレンズに放射性の物質が含まれている物があるらしい。
Webで調べたところPentaxのレンズに在ると判った。

そこでカメラコレクションに在るPentaxのレンズを調べました。
下の写真は50mm F:1.8の測定です。


レンズにGM管の先を当て測定した結果が下記です。

SMC TAKUMAR 55mm F:1.8   前:  60CPM   後ろ:  990CPM    ボディ後部:58CPM
SMC TAKUMAR 50mm F:1.4   前:180CPM    後ろ:1200CPM   ボディ後部:180CPM

ボディ後部の測定はPENTAX SP-Fに取り付けて使いました。
国際的な規格のM42マウントで開放測光の優れ物です。

放射線が凄く多くて驚きました。
50mmレンズでは、初めて測定レンジの*100を使いました。
放射線の検出を知らせるブザーが鳴りっぱなしでうるさい。
毎秒20回程も鳴っているので当然です。

後部のほうが圧倒的に多いので、後ろ玉に放射性物質が使われている様です。

後ろ玉の小さな55mmレンズを使って線種の特定を試みました。
遮蔽物はウランガラスの線種判別に使った物と同じです。
遮蔽物無し:990CPM    1万円札:850CPM      500円白銅硬貨:260CPM  BG:16CPM
α線14% 、β線:60%、γ線:26% と推定しました。

他社のレンズも測定しましたが、放射線が出ている物はありませんでした。

(6) 延長ケーブルの評価       ('11,06,14  追記)
強力な線源が身近にあったのでGM管プローブを延長するケーブルの評価実験を行いました。
ケーブルには線間に寄生するコンデンサがあります。
そのために放射線でGM管に生じたパルスの形が若干鈍る筈です。
その結果、放射線が強い場合にパルスの読み落としが生じる可能性があります。

従来は強い線源が在るのを知らなかったので試せなかったが、
一眼レフカメラ用のレンズが使えると知ったので試みました。
延長ケーブルは50cmです。


結果は、直結した場合と同じ1200CPMでした。

3C-2Vの線間容量は67pF/mです。長さが0.5mなので33.5pFです。
この位の容量ならば3000CPMは大丈夫と読んでいます。
そんな強い線源には出会わないでしょう。


(7) Hot spotの探索     ('11,06,15 追記)
実家が某所にロッジを持っている。
果樹を植え花を咲かせ都会では味わえない田舎生活を楽しんでいる。
板橋区よりも汚染源に近いので状況を調査に行ってきました。
ガイガーカウンターを作った目的の半分はコレです。

測定したところバックグランドは26CPMと少々高めですが、
ただちに健康に被害が出る水準ではなく安心しました。

ところが屋根に降った雨が集まり地面に染み込む樋の出口を
測ったところパルス音だったブザーが連続的に鳴りました。


メーターは1100CPMを示していました。
CPMからuSvへの変換には諸説在りますが、
概ね9uSv/h程度でしょうか。年間では80mSvになります。

Hot spotは20cm四方程度です。
表土を削り取れば除染できるでしょう。

樋の出口は他に2ヶ所あったのですが、ここよりも低く半分程度でした。

実際にガイガーカウンターを使ってみるとブザーが便利でした。
汚染部位を探す時にはGM管の先端部を見ておりメーターは見ません。
たくさんブザーが鳴った所でメーターを見て数字を読みます。
ガイガーカウンターにブザーは必須の機能です。

カウンター本体からガイガー管が突き出ているのが良かったです。
上の写真のように草の間に差し込む際も本体を汚染する可能性が減ります。
また怪しい部分に手が触れないのも安心でした。
もう少し長くても良い感じでした。

延長ケーブルの必要性は感じませんでした。使うと両手が塞がり不便そうです。

写真ではGM管の部分にサランラップを巻いて検出部の汚染を防いでいます。

(8) Cool spotの情報    ('11,07,25 追記 )
GC(ガイガーカウンター)を自作して困るのがBG(バックグランド)の確認です。
GM管自体がゲタを履いているのか、自然環境の放射線を検出しているのか判りません。

放射線が少ない場所で自作GCを動かせば真のBGを確認できる筈です。
厚い鉛で囲まれた部屋が理想ですが、研究者でなければ利用できません。

地下の深い場所ならば低レベルではと考えました。
筑波エクスプレスに乗る機会が在ったので、自作GCでBGを測りました。
秋葉原駅のホームは地下30mほどの深さに在るそうです。
測定に使ったGM管はLND712です。

車両の椅子に座ってカバンの中に入れたGCの電源をON。
秋葉原を出て新御徒町付近を通過中に3CPMを示しました。
データ処理フィルターは更新3秒周期1分間移動平均です。
よって秋葉原駅と新御徒町駅の間の測定結果と思われます。

今まで10CPMを下回った事が無かったので驚きました。
その後も地下を走行中は4CPM前後を示しました。

LND712の仕様では厚さ50mmの鉛と3mmのアルミで囲って
測定した値が最大10CPMとなっています。
今回の測定では、それを大きく下回りました。

BGの定義が何だか判らなくなりましたが、
CPMをuSVに換算する際には測定値から3を引いて
係数を乗算する事にしました。

(9) Hot Spotの10ヶ月後   ('12,04,23 追記 )
実家が持っているロッジで
昨年の6月に1100CPMのホットスポットを見つけた。
それから10ヶ月を過ぎたので同じ場所を測った。


10ヶ月の間に何度か雑草を刈った。今回も草を刈った後に測定した。
当初は1100CPMだったのが、300CPMに下がっていた。何と 1/3だ。
と ころがHot Spot以外の場所では、26CPMだったのが40CPMへ と上がった。

Hot Spotの線量が低下したのは、
草に付着した線源が刈り取った事で除去されたのと
雨で洗われた事が原因と推定している。

周辺の線量が上がったのは、
Hot Spotの線源が雨で拡散したと考えている。
拡散する前に表土ごと移動して除線すべきだった。



5-3 J306βによる測定       ('11,09,22 追記)

(1) 柿の実の測定1   
実家が板橋区の南側、練馬区に近い所に在ります。
小さな庭に数本の果樹が植えられており毎年実を付けます。
秋になり小さな柿の木が沢山の実を付けました。今年は豊作です。

母から『実を食べて大丈夫か?』と訊かれたので放射線の検出を試みま した。

自作1号機はGM管を簡単に交換できる構造です。
これに中国製のJ306βを取り付けて使用しました。
J306βは型番が示すとおりβ線を感じる長さ20cmほどの大型GM管です。
セシウムの有無を探る目的なので、β線の感度が高いほうが有利と考えました。

下の写真は測定の様子です。
検出感度を上げる為にGM管を柿の実に埋めて測定しました。


自作1号機にはBG(バックグランド)のドリフトを軽減する10分間測定モードがあります。
10分間経過すると測定値を保持し、ブザーの連続音で測定終了を知らせます。
この機能のおかげで他の仕事をしながら測定できます。

先ず柿を5回測り、次にBGを5回、更に柿を5回測りました。
合計3時間弱の測定でした。これでBGのドリフトを軽減できたと考えています。

測定結果は以下のようになりました。各測定は10分間5回の平均です。
 柿の1回目     : 
96.8cpm  (  96  92  98  98  100  )
 バックグランド :  92.4cpm  (  92  90  96  92  92  )
 柿の2回目     :  96.8cpm  ( 100 96  94  96  98  )

柿はBGに比べ約5%高いカウントでした。
驚いた事に柿の1回目と2回目が同じ値です。
素晴らしい再現性で測定値に信憑性がありそうです。

僅かですが柿から放射線が出ています。
これが原発由来のセシウムから出ているのか、
自然界に存在する放射性カリウムからなのか判りません
柿にはカリウムが豊富に含まれているそうです。

何れにしても気持ちが悪いので、母と相談し食べずに捨てました。


(2) 柿の実の測定2  ('11,11,18 追記)
実家の庭には、もう一本の柿の木があります。
前回測定した柿は直径6cmほどの小さな実でしたが、
こちらは8cm位の大きな実です。店頭では一個100円で並んでいるようなサイズです。

前回と同様に母から『食べて大丈夫か』と聞かれたたので測定を試みま した。
当初はGM管の周囲に6個の柿を並べて測定したのですが、
有意差が出なかったので下の写真のように柿の上に置いて測定しました。
柿は36個。1号機を使いGM管はベーター線を感じる中国製のJ306βです。


自作1号機にはBG(バックグランド)のドリフトを軽減する10分間測定モードがあります。
10分間経過すると測定値を保持し、ブザーの連続音で測定終了を知らせます。
この機能のおかげで他の仕事をしながら測定できます。

測定結果は以下のようになりました。各測定は10分間5回の平均です。
  BGの1回目 86.9cpm  (  88  86  87  85.5  88  )
  柿の1回目     89.2cpm  (  86  89  93  92  86  )
  柿の2回目     89.5cpm  (  86  89.5  94  92  86  )
  BGの2回目   87.4cpm  (  87  88  87  88  87  )

柿のほうがBGよりも2cpmほど多いのですが、僅かの差です。BG の変動かもしれません。

そこで柿をお湯で洗って数値が減るか試しました。
蛇口から流れ落ちる湯を柿に掛けながらヘタと実の間を歯ブラシでゴシゴシとやりました。
36個を洗うのは面倒な作業でしたが頑張りました。

洗浄後の測定結果は以下のようです。
  柿洗浄後の1回目   88.6cpm  (  86.5  88.5  88.5  90  89.5  )
  柿洗浄後の2回目   88.8cpm  (  86  89.5  87  92  89.5  )
  BGの3回目            89.1cpm (  90  86  94  89.5  86  )

柿の数値は洗浄前に比べて1cpmほど下がりました。
しかしBGが上がっているので何だかわかりません。

そこで下図のようなグラフにしてみました。
横軸は時系列で間隔は50分間です。
ただしBG2と柿洗浄後の間には洗っていた20分間のブランクが加わってます。



上のグラフからBGが右肩上がりに推移しているのが判ります。
原因が自然現象に由来するのか、測定系のドリフトなのか判りません。

しかし明らかに洗浄前の柿が突出しているので、柿の表面に放射能を持った物質が付着していたと思われます。

洗浄後はBGとの関係が逆転しています。
洗浄によって放射性の物質が洗い流されたようですが、今ひとつ判りま せん。
柿が残っているので再測定をする予定です。


再測定  ( '11,11,20  追記 )
翌日に同じ柿で測定した。

BGの変動を少しでも減らすべく測定方法を工夫しました。
従前はBGを5回測ってから柿を5回測りましたが、
BG、柿を交互に5回ずつ測定しました。結果は下記です。
  BG            88.4cpm  (  90  92  88  88  84  )
  柿洗浄後 89.3cpm  (  90  88.5  89.5  89.5  92  )

柿は0.9cpm多い。洗浄の結果、放射能が半減したようです。
しかし柿からの放射線はBGの1%程度なので信頼性は低いです。

(3) カリウム塩による感度の把握   ( '11,11,23  追記 )
J306βの感度を把握するために塩化カリウム(KCL)の出す放射線を測った。
カリウム(K)には自然由来のK40という放射性同位体が含まれているそうだ。
含有率と半減期がわかるので重量あたりのベクレルも算出できる。

健康指向の調味料としてNaCLとKCLの混合塩が売られている。
入手できたのはNaとKが半々の塩です。これを測定しました。

秤を使って1gの混合塩をM字形に折った紙の溝へ線状に乗せ、
その上にGM管を載せて調味料、BGを交互に10分間ずつ5回測定した。


結果は以下の様に15cpm程の差が出ました。予想よりも大きく チョット驚きました。

  NaCL-KCL混合塩  103.9cpm  (  94  111  109.5  102 103  )
  BG                        88.4cpm  (  89.5  90.5  86  88  88  )

この結果を時系列のグラフにしたのが下記です。
混合塩とBGを同時には測れないので、BGは混合塩の10分遅れです。


混合塩の最初の値が低いのは、
電源投入直後はGM管に加える高圧が不安定なのかもしれません。

先達のホームページによると1gの混合塩では8.6Bq(ベクレル) だそうなので、
J306βの感度は概ね0.56Bq/Pulseということでしょう か。

現時点では牛肉の暫定規制値は500Bq/Kgです。
そのような肉100gを試料としJ306βで測ると90cpmが得ら れる筈です。
BGが90cpm弱なので充分なS/N比です。

実際には試料の内部でβ線が減衰すると思われるので
そう単純ではないでしょうが、J306βで食品をチェックできそうで す。


(4) 柚子の測定    ('11,12,16  追記)
実家の庭は狭いのですが、柿の他に柚子の樹があります。
何故か今年は実の数が少なかったのですが、そのぶん大きな実でした。
一個の直径が8cm程もあります。

熟れたので収穫し、GM管(306β)を柚子の中に埋めて線量を測定しました。
一回の測定は10分間でBGと柚子で夫々6回ずつ、合計120分間の測定でした。


測定には1号機を使いました。上の写真では40cpmを指しています。
J306βやJ408γを使うとBGだけで85程あります。
そのため電流計の最大表示が100だと使えるが85〜100迄の狭い範囲になります。
そこで内蔵のマイクロコントローラーにより計測値から50を引いた値を示すように工夫しました。
よって表示された40cpmに50を加えて90cpmとなります。

測定結果は以下のようになりました。
当 日は何故かBGの変動が少なく測定に好適でした。

  BG       85.5cpm  (  87  82  85  85  86  88  )
 柚子          85.3cpm  (  84  86  84  87  86  85  )

BG と柚子に有意の差は見られません。
よって放射性物質は付着していないと判断しました。

柚子の花が咲き結実したのは5月でした。
福島原発に由来するセシウムの雨が降り終えた後だったので
汚染を免れたと考えています。

とにかく汚染されていなくて良かったです。
この柚子で作るママレードは絶品の美味しさです。
今年も自家製ママレードを楽しめそうです。


(5) みかんの測定     ( '11,12.20  追記 )
横浜に住む友人からみかんの測定を頼まれました。
庭に実ったみかんを孫に食べさせても良いのか不安だったそうです。


そこで柚子と同様に測定しました。

測定値は1時間の平均でカッコ内の数字は10分間の測定値です。

10:52 環境放射線  85.4cpm ( 81 85.5 90 86 86 84 )
12:07 みかん(葉付)   85.4cpm ( 82 86 85.5 88 85 83 )
13:44 みかん(葉無)   84.2cpm ( 88 84.5 79.588 83 82 )
14:49 環境放射線  83.1cpm ( 82 82.5 81 84 81 88 )
15:56 みかん(葉無)   83.1cpm ( 82 83.5 83 84 84 82 )

環境放射線は海のようにうねります。
その中の小さな波を測るので長時間測定して
環境放射線との差で測定対象の放射製物質の有無を判別します。

今回の場合には最初の測定値と次の測定値が同じで、
最後部も環境の放射線と同じです。
よって放射性物質は無いとの結論がでました。

最初と最後では2cpmの差がありますが、
これは環境放射線のうねりと判断しました。

自分は実家の庭に在る果樹の実を食べても良いのか
判別する必要性からガイガーカウンターを作ったのですが、
自分と同じような問題を抱えた人が居るのが判りました。


(6) 栗の測定  ( '12,11,26 実施 )
実家が茨城の旧大洋村に小屋を持っており狭い庭が在る。
そこの栗の木が毎年たくさんの実をつける。

原発事故が在った去年は誰かが収穫してしまったようで実は無かったが、
今年はたくさんの実が落ちていたので拾ってきた。

食べても良いのか不安だったのでガイガーカウンターで調べた。
下の写真で栗の中にJ306βが埋まっている。


測定は自動10分間測定機能を使い、栗とBGを交互に4回測定しBGの変動を軽減した。
結果は下表のようになった。

測定時刻 栗 (CPM)
測定時刻 BG (CPM)
10:28 84
10:40 82
10:56 86
11:08 86
11:21 83
11:33 81
11:46 87
11:57 82





平均 85
平均 82.75

僅かだが明らかに栗のカウン トが多い。栗に放射性の物質が含まれている。

他の果実と違い栗は地面に落ちたイガの中から実を拾う。
地面には放射性物質を含んだ落ち葉があるので、それが付着して汚染された可能性がある。
そこで栗を食器用洗剤と湯で洗ってから再度測定した。

測定時刻
測定時刻 BG
13:23 83
13:36 86
13:47 86
13:58 88
14:10 85
14:21 89
14:34 88
14:44 81





栗の平均 85.5 cpm
BGの平 均 86 cpm

その結果、栗とBGは殆ど同 じになった。栗は除染されました。
その後、栗は妻のおなかへ無事に収まりました。


(7) 柿の測定2012
   ( '12,11,27  実施 )
実家の庭に在る柿が実を付けました。何故か今年は不作でした。
母から食べても大丈夫かと尋ねられたので測定しました。
下の写真は測っている様子です。 右上の柿には野鳥に突つかれ大きな穴が開いています。


測定結果は下表のようになりました。
測定時刻
測定時刻 BG
11:51 83
11:39 82
12:15 83
12:02 82
12:38 83
12:27 79





柿の平均
83 cpm

BG の平均 81 cpm

僅かに柿の数値が高いようで すが、BGの変動かもしれません。
昨年の経験から放射性物質は、へたの周囲の汚れに含まれている筈です。
その部分を食べなければ問題無い筈です。

(8) とろろ昆布の測定    ( '12、11、27 実施 )
以前に買い物をした北海道の魚屋さんからダイレクトメールが届いた。
その中に粗品としてとろろ昆布が入っていた。その放射線を測った。


結果は下表のようになりました。
測定時刻 とろろ昆布
測定時刻 BG
13:07 96
13:17 87
13:30 90
13:41 87
13:52 90
14:15 82
14:04 91
14:25 74
14:35 89
14:46 82





とろろ昆布の平均 91.2 cpm

BGの平 均 82.4 cpm

とろろ昆布のほうが9cpm近く高い。
今までJ306βで測定したサンプルではカリウム塩に次いで高い値だ。

自然界でも昆布は放射能を集めやすいそうだが、これほど高いのだろうか。
ちょっと心配になった。食べずにコレクションに加えた。
なお、とろろ昆布には産地や製造者、製造年月日の記述は無かった。

(9) とろろ昆布の測定2   ( '12,12,10 測定 )
先の測定で異常に高い値が出たので確認の為に同じサンプルを再度測定しました。

先ず放射線の種類を特定するためにγ線しか感じないJ408γで測定しました。
10分間3回の平均は とろろ昆布:79.3cpm  BG:79cpm で大きな差はありません。

ところがγ線とβ線を感じるJ306βでは、
10分間3回の平均は とろろ昆布:93.7cpm BG:85.7cpm差は8cpmです。

この結果からとろろ昆布はβ線を出しているのが判りました。
安価なガイガーカウンターはγ線のみを測定し、β線は検出されないので要注意です。

過去に行ったKcl混合塩の実験からJ306βの感度は0.567Bq/Pと推定している。
昆布の重量は5gだったので 4.53Bq/5g だ。 換算すれば906.7Bq/kgにもなる。

精度が低いと思われる測定だが、食べないほうが良いだろう。


6 uCを使わないGCの製作    ('11,06,20 追記)
先の製作ではuC(マイクロコントローラ)をデータの処理と電源の管理に2個も使った。
理由は、簡単に高度な機能を組み込む事ができ、低コストだからです。
例えば1分間の移動平均や累積表示等の処理をハードで行うのは面倒です。

自分はuCの扱いに慣れているので簡単でしたが、
敷居が高過ぎ手が出せないと感じる人も少なくないでしょう。

そこで実用できる水準のGC(Geiger counter)を、
uCを使わず簡単且つ安価に作る方法を検討しました。

6-1 Geiger Botの検証
先日、WebでGCの作例を検索していて
iPhoneにGCのアプリケーションソフトが幾つか在るのを知りました。

その中で無料のGeiger Botが良さそうです。
GCが出すパルス音をマイクで拾ってCPMやuSvに変換して表示してくれます。
更に時系列のグラフで表示する機能まで備えた優れ物です。

これが使えればGCのデータ処理部分は大幅に単純化できる筈です。
下の写真は、ダウンロードして試している様子です。


ブザーの音が小さくGeiger Botが音を拾えなかったので、
自作GCの裏蓋を開けて連動に成功しました。

写真はBG(バックグランド)を測っています。
概ね16CPMですが、Geiger Botは20CPMと指し合っていません。
液晶表示を注意深く眺めていて時折一度のブザーで2カウントしているのが判りました。

自作GCは1パルスで30msの間、ブザーを鳴らしています。
これを3msに短縮したところ正しくカウントしました。
音はピーピーからカリカリといった感じに変わりました。

放射線が検出されるタイミングは不規則で海のようにうねります。
自作機とGeiger Botの表示はタイミングが異なり少しズレもあります。
データー処理の計算式が違うからでしょうか。
Geiger Botと自作GCを積分モードにして5分位経過するとピッタリ同じ値を 示しました。

つぎにウランガラスで試しました。これも同じ値を指しました。

最後に強い放射線を出すカメラ用レンズで試しました。
結果は以下のように概ねGeiger Botの表示が16%程少ない表示でした。
自作GC:   990CPM   に対して   Geiger_Bot:   833CPM。
自作GC: 1400CPM   に対して   Geiger_Bot: 1158CPM でした。

原因は自作GCのプログラムに在ると考えています。
放射線パルスの積算は、割込みによるソフトウエアではなく、
uCに内蔵されているハードウエアによるカウントなので読み落としは生じません。

しかしブザーの駆動は定周期で実行される処理ルーチンが担っています。
放射線パルスが短時間に2個検出された場合でも一回しかブザーを鳴らしません。
プログラムを書いた時点では、そこまで考えませんでした。

以上の結果からGeiger Botは信用できると判断しました。
その際に組み合わせて使うブザーの駆動回路にはuCを介在させない工 夫が必要です。

Geiger Botは"uCを使わないGC"に好適なデータ表示システムで す。


6-2 高圧電源の検討     ('11,06,23 追記)
高圧電源には冷陰極蛍光管用電源などの選択肢もありますが、
使い捨てカメラのストロボ基板を使うのが良さそうです。
理由は入手が容易で品質も高く、そのうえに無料で入手できそうです。

使い捨てカメラというと低品質を想像しがちですが、実態はリサイクルカメラです。
使い終わったカメラは写真屋さんから回収され分解後、
部品毎に検査をされて合格品が”写ルンです”に再利用されます。

再利用されないのは表面の粘着シートと撮影されたフィルムだけでしょう。
ストロボユニットは再利用に耐える品質で作られています。

下の写真はカメラと取り出したストロボユニットです。
カメラにはネジが一本も使われておらず全て嵌め込みで驚異的な設計技術です。


注:電解コンデンサには高電圧が溜まっている事があります。
  乾電池を抜いてから数日間放置し、電解コンデンサの放電を
  テスターで確認してから分解する事をお薦めします。
  危険なので充分に注意して下さい。

前作では使い捨てカメラ”写ルンです”の基板から
高圧トランス、トランジスタ、ダイオードを取り出して使いました。
トランスを駆動する信号はuCで作り出しました。

uCを使わない場合にはストロボ用基板を改造して使うのが簡単です。
プログラムでGM管に加える電圧を変えられないのが難点ですが、
普通のGCではGM管を替えないので充分です。

下の写真は、取り出したストロボユニットからGCに不要な部品を取り外した基板です。
電解コンデンサを外し、同じ所に0.033uFのフィルムコンデンサを取り付けました。
電源スイッチの金属板を外すのが面倒だったので接点を半田付けして短絡しました。


"写ルンです”からストロボユニットを外したのは2回目です。
外観は違いましたが、ストロボユニットの設計は共通でした。

回路の改造には下記のページを参考にさせて頂きました。
http://abcdefg.jpn.org/elebunkai/utsurundesu/cc.html


(1) 入出力特性の測定
性能を把握するために特性を測定しました。
負荷はオシロスコープの入力抵抗(100MΩ)です。

グラフは次項と重複するので削除しました。
次項のグラフを参照して下さい。

入力電圧が1.4Vで出力は402V、1.7Vで493Vが出まし た。
GM管用には具合の良い範囲の電圧です。
しかし消費電力が1.4Vの時に40mA程と多いのが難点です。


(2) 改造と特性    ('11,06,25  追記)
オリジナルの回路では消費電流が40mA程と多い。
これを減らすために少し改造しました。
改造の内容は、R1:22kΩ、R2:1MΩ、C2をR1と並列に移動。
部品番号は前述のホームページを参照して下さい。

特性は下図のようになりました。測定点は1Vから始まり0.1V間隔です。


入力電圧が1.8Vで405V、2.2Vで508Vでした。
改造によって消費電流は10mA前後となり改造前よりも大幅に減りました。
これならば実用できる水準でしょう。

R1を更に大きくすれば一層の削減が加能ですが、動作が不安定になりました。

(3) 電圧安定化機能の付与     ('11,07,17 追記)
高圧発生回路では、入力電圧に比例した出力電圧が得られた。
この直線的な関係に飽和特性を組み込めれば
供給電圧の安定化回路は不要になるかもしれません。

R1を定電流ダイオード(0.1mA)に替え、R2を330kΩに換えて実験しました。
電圧が高くなってもベース電流を一定に抑えれば出力電圧に飽和特性を
持たせられると考えました。

予備実験で高電圧の飽和傾向を確認できたので、
GM管(SBM-20)を繋いでウランガラスが出す放射線を測りながら電圧も測定しました。
パルスのカウントはGeiger Botを使いました。回路はコレです。
下の写真は、実験の様子です。


結果は下図のようになりました。400V以上で傾斜が緩くなっています。
以前の回路では2.6Vで600Vもの高電圧が発生していたのですが、
440Vに抑えられています。


高電圧には傾斜がありますが、GM管からのパルス数は全体的に平坦です。
これはSBMー20のプラトー特性が寄与していると思われます。

マンガン電池2個を直列に使った場合の電圧は3.2V〜2.0V程度なので、
その範囲を充分にカバーする平坦な検出特性が得られました。

SBM-20の仕様では、
プラトー域の幅は100Vで検出数の変化は10%となっています。
3.2V〜2Vでの電圧変化は35V程度なので、比例計算すると3.5%の誤差でしょうか。

3%程度の感度変動を許容できるならば供給電圧の安定化回路は不要で す。



6-3 供給電圧の安定化      ('11,06,27 追記)
電源に乾電池を使う事を想定しています。
乾電池は消耗と共に電圧が低下するので
そのまま使うと測定精度に影響が出ます。

そこで電圧安定化回路が必要になりますが、
出力電圧が1.8Vだと三端子レギュレータも使える物が少なく、
使えても入出力間電圧差が3V程度は必要で使い辛い物が多い。

(1) NJM2360ADでの実験
Webを探していてMC34063Aが使えそうでした。
秋月電子に互換品のNJM2360ADが在ったので早速入手し実験しました。


部品の定数は下記のページを参考に、有り合わせの材料を使いました。
http://www.nomad.ee/micros/mc34063a/

Ct     : 330pF
Rsc   : 0Ω
L       : 220uH
Co     : 100uF
R1     : 10kΩ
R2     : 4.7kΩ
Ci     : 100uF
D      : 1S10

負荷としてストロボユニットを改造した昇圧回路を繋ぎ、
最終的な負荷はオシロスコープの入力抵抗(100MΩ)で実験しました。

供給電圧が3.8V以上で目標の1.84Vが出ました。
4Vでの入力電流は約10mAでした。
変換効率が低いのですが、発振周波数の選定や
ダイオード、チョークコイルを吟味すれば改善できるかもしれません。

実験の結果から、NJM2360ADでは単四が4本必要です。


(2) 個別部品による安定化    ('11,07,02  追記)
安定した1.8Vを得るのに単4を4本も使うのは無駄が多い。
そこでトランジスタで差動増幅回路を使った安定化回路を試しました。

電圧の基準は、手元に在った黄色のLEDと定電流ダイオードを組み合わせました。
LEDと直列にショットキーダイオードを入れれば0.2V間隔で電圧を変えられます。
回路は下図のように作りました。

FCDは定電流ダイオードで0.1mAの物です。
LEDはLND1201ではなくOSYL3133A(黄色)を使いました。
白色以外のLEDならば同じようだと考えています。

特性を測ったところ下のグラフのようになりました。


なかなか良い感じです。
マンガン乾電池2個直列の電圧は、新品で3.2V位で消耗と共に下がり
2V以下では急速に低下します。その範囲を安定化できます。
またNi-Hd蓄電池では概ね1.2Vなので、そのまま使えます。

出力電圧の平坦部は1.84V、2Vでは1.81Vです。

この方式によって1.6mA程消費電流が増えましたが、
単四乾電池2本で済むのは魅力的です。


6-4 圧電スピーカーの直接駆動      ('11,07,03  追記)
GM管で生じた放電によるパルスをiPhoneに伝える方法を検討しました。

前作ではアノード側の電圧降下をトランジスタで検出しました。

回路をもっと簡単にできないかと考え圧電スピーカーの直接駆動を思い つきました。
GM管の放電電流は僅かですが、圧電スピーカーも能率が高いので鳴る筈と考えました。
Webを検索したのですが、そのような記事は見つかりませんでした。

確かめる為に実験しました。
400Vからアノード抵抗を通じGM管へ通じる線に圧電スピーカーを組み込みました。
圧電スピーカーには100kΩの抵抗を並列に接続しました。

400V ---- 5MΩ ----- 100kΩ ------ GMT(A) - GMT(K) ----- GND
                         +---- SP-----+



動かしたところ小さなクリック音が聞こえました。
周囲の騒音源を止め静かにして、耳を圧電スピーカーから10cm程に近づけると聞こえます。
発振回路を内蔵していないのでピーピーとは聞こえません。

大きな圧電スピーカーよりも小さな物が、鋭い音を出し良い感じでした。
写真に写っているのは直径17mmです。

その後に試した13mmのほうが少し大きな音が出ました。
秋月で買ったPKM13EPYH4000-A0です。

上の写真では圧電スピーカーにエレクトレットコンデンサーマイクロフォンを載せ、
接着してiPhoneのイヤホーンジャック(マイク入力兼用)へと繋いでいます。
コンデンサーマイクは感度を上げるために前面に貼ってある不織布を剥がして
圧電スピーカーの穴とマイクの穴を向かい合わせにしました。

その状態でGeiger Botを動かしました。
GM管はJ408γなのでBGは80CPMです。表示値とピッタリです。
実は80CPMを表示したところでカメラのシャッターボタンを押しました。
実際は下の桁が変動してます。

その後、GM管を前作に繋いで測定したところ10分間で82CPMでした。

圧電スピーカーの直接駆動でGeiger Botを動かせる事が判り ました。
しかしピーピーと音が出ないと寂しい気がします。


6-5 パルス受信回路の試作    ('11,07,15 追記)
圧電スピーカーを直接駆動すればパルス受信回路は不要です。
しかしパルスの音が小さく聞こえないのでHot Spotを探すには不便です。

そこでパルスをトランジスタで増幅してブザーを鳴らす方法を実験しました。
パルスの検出回路にはノイズに強いアノード検出方式です。

下記の回路で実験し、うまく働きました。

高圧電源回路の極性に違和感がありますが、
"写ルンです"のストロボユニットを利用すると、このような極性になります。

当初はAとGNDの間に圧電スピーカーを繋いだのですが、充分な音量が出ません。
そこでパルスの反転回路を増設し、圧電スピーカーをAとBの間に入れました。

更に1個(合計2個)の圧電スピーカーを並列に繋ぎ
片方をGeiger Bot用の"サウンド カプラー"に宛て、
もう一方を人用にしました。これで実用上充分な音量になりました。
写真はココにあります。

Geiger Bot用には小さな圧電スピーカーの甲高い音が適していて、
人の耳には中型の音がガイガーカウンターらしくて良い感じです。

"サウンド カプラー”を通じて音をGeiger Botに入力し正しく動きました。

Geiger Botの実験中にiPhonenへ電話が掛かってきたのですが、
それ以降Geiger Botのマイク入力が音を受け付けなくなりました。
iPhoneのOSを再起動して再び受け付けました。

7/17:この問題を解消した改訂版がiTune storeにUpされました。


6-6 自動電源断回路の試作     ('11,17,21  追記)
実用のガイガーカウンターでは、
電源スイッチの切り忘れによる電池の消耗を防ぐ為に
電源を自動的に切る回路は必須と考えています。

これが難題でした。
電源にマンガン電池を2個使おうと考えているので
最低2Vで動く自動電源断回路が必要です。

当初は7555(タイマー)を検討したのですが、想定している20分は厳しそうです。

仕方なくマイクロコントローラで試しました。
マイクロコントローラーを使わない方針で進めたプロジェクトですが、背に腹は換えられません。
8ピンのPIC12F683を使い、全てのポートを出力に定義し並列接続して
ガイガーカウンターの回路に電源を供給しました。
電圧損失が0.25Vほどありましたが動きました。

トランジスタ(2SA1015-GR)を追加してスイッチにしたところ
電圧損失は0.15Vまで軽減されました。
uCとTRを結ぶ抵抗を1kΩから680Ωに替えたところ、
0.1V迄低減できましたが、駆動電流も1.5mAに増えました。

PIC12F683は1.84V以上で起動しました。
起動してしまえば1.5Vまで下がっても動きました。
目標の2Vを達成することができました。

uCのBORをONにすると2.2V以下では起動しませんでした。

20分経過し自動で電源が切られた後の消費電流は約70uA,
ガイガーカウンター全体の消費電流は30mAでした。


6-7 回路図   ('11,07,26  追記)
ブレッドボード上に、機能別に回路を作り評価試験行ってきました。
その結果、ガイガーカウンターとして動くようになったので回路図をまとめました。

左側は自動電源断回路です。電源SW投入後 20分で切ります。
プロジェクトはuC(マイクロコントローラ)を使わない方針でしたが、
止むを得ず使ってしまいました。

電源が電池なので自動電源断回路は必須と考えます。
uC無しで便利な機能を組み込むのは困難と思い知らされました。

言い訳ですが、冷戦時代に作られたCDV-700に は自動電源断回路がありません。
この部分を省略してもGeiger Botとの組み合わせでCVD-700以上の機能で動きます。

LED1は電源投入後の1秒間だけ点灯するようプログラムしました。節電です。
また電池が1.8Vを下回ると急激に暗くなるので交換の目安にもなります。

その後試運転をして電源パイロットランプが消えているのは具合が悪いと感じました。
電源投入後の1秒間は連続点灯、その後は1秒周期で1mSの点灯に改良した。


中央部は"写ルンです"を利用した高圧発生部 です。
オリジナルの回路に若干の改造を施しています。

ベースの抵抗R1をCRD(定電流ダイオード 0.1mA)に替えました。
これによりGM管に印可する高電圧が400V以上で飽和傾向
持たせる事に成功しました。

R2の値も330kΩへ変えました。
これはブロッキング発振回路の始動特性を改善する為です。
以前の実験でオリジナルの15kΩを1MΩに変えたのですが
始動しない事があり改善しました。

図中の端子のような四角い記号は"写ルンです"の基板との境界を示す為で部品ではありません。


右側はパルスを検出して圧電ブザーからクリッ ク音を出し、LEDを光らせる回路です。

パルスの検出はノイズに強いアノード検出方式です。
この部分のノイズ耐力が足りないと動作が不安定になり、
"光を感じるガイガーカウンター"になったりします。

R5を1MΩに換えました。
使用するGM管をSBM-20に決めたので、その仕様に合わせまし た。

圧電ブザーは2個使い、その片方はiPhoneへ信号を送る"サウンド カプラー"用です。
GCの回路とiPhoneの回路が絶縁されているので電気的なトラブルを回避できると考えています。

LED2には高輝度品がお薦めです。低輝度だとパルスが速過ぎて見えません。


6-8 組立て   ('11,07,30 追記)
日々携行する予定なので、頑張って小さめのケースに詰め込みました。
 タカチのプラスチックケース(SW-130:W40*H25*D130)です。
GM管(SBM-20)と単四電池ホルダーを並べたのケースの幅にピッタリです。

写真はGeiger Botに接続して動作試験をしています。

約1分経過後の累積表示です。10分経過後に20CPMへ収束しました。
ブレッドボードでの実験で測定した値と同じです。

安定に動きノイズの影響も受けません。実用に耐えられそうです。
自画自賛ですが良い出来栄えです。

今後、性能を確認するため評価試験を行う予定です。



6-9 評価試験
(1) 電源電圧依存特性の測定    ('11,08,06 追記)
電池が新品の時と消耗した場合では電圧が違います。
またGM管は加える電圧によって感度が変わります。
その電圧変動の影響を探る目的で実験しました。

実験用直流電源を使い供給電圧を変えてGeiger Botの表示を読み取りました。
放射線源には従前と同じウランガラス製ビーズを使いGM管の上に載せました。
実験の様子は上の写真と殆ど同じなので、写真は省きました。

結果は下図のようになりました。


経験から線源の変動があるので3回測定しました。
測定はGeiger Botの累積モードで5分間の値です。
もちろんOffsetは0に設定しました。

2.0Vと3.0Vは殆ど同じ値ですが、2.5Vではバラついています。
線源の変動による偶然の産物でしょうか。謎です。
2.5Vでの印可電圧は430V程度です。

僅かに右肩上がりの傾向が感じられますが、2Vから3Vの間は無視できる程です。
高圧発生回路に使った定電流ダイオードとSBM-20の優れた特性が 寄与したのでしょう。

作ったガイガーカウンターは問題なく実用できる性能を備えています。
これならばuSVに換算しても信憑性のある結果が得られそうです。


(2) 試用1     ('11,08,11 追記)
完成後は外出時に携行しています。

電車の中で使った際に高い値を示しました。
ドキッとしたのですが誤動作でした。
原因はGeiger Botとの接続に使ったコンデンサマイクに
ポイントを通過する際の騒音が入り誤カウントしました。

マイクカプセルをホットメルトで覆ったところ大幅に改善されました。
完全ではありませんが実用上問題無い程度です。
完全解消にはフォトカプラー等で繋ぐと良いでしょう。

測定精度を知るべく自治体が線量を公表している所へ出かけて測ってみました。
Geiger Botの最新版では予め何種かのGM管のデータが登録されています。
また管固有のOffset(ゲタ)を設定すれば減算して補正します。
SBM-20を選びOffsetを4に設定したところ自治体の数字と 合いました。

一週間弱の試用で3回程電源スイッチを切り忘れました。
自動電源断が機能したので乾電池は今も元気です。
粗忽な筆者には自動電源断の機能は不可欠です。

下の写真は一眼レフ用レンズ SMC TAKUMAR 55mm F:1.8が出す放射線を測定しています。
ケースに入れる前に測った時には2000CPM程だったので半減しました。
ケースによってβ線が減衰するのと、GM管と線源の距離が拡がった事が原因と考えています。



(3) 試用2 板橋区役所での測定    ('11,09,10 追記)
板橋区役所では日々の放射線量 を測定しWebで公表している。
当 然ですが、測定場所、測定日時、測定機器を明示しています。

他の自治体でも似たようなデータを公表しているが、板橋区は一味違うのです。

先ず測定場所です。   正面玄関付近で誰でも何時でも自由に立ち入れる場所です。
他では測定場所が曖昧だったり、立ち入りできない場合が多いです。

モ ニタリングポストなどでは空中の線量を測っているのが大半です。
板橋区は人が生活する環境での放射線を把握するのに適した地上1mです。

次に測定機器です。Fluke製451PだそうでGM管では なく電離箱方式です。
ロシアやウクライナ製の個人向け製品よりも高い精度がありそうです。

そこで仕事の帰りに自作2号機を携え板橋区役所へ立ち寄ってみました。


現地に行ってみると正面玄関が大きく、具体的な測定場所がわかりません。
そこで警備している方に尋ねたところ親切に『いつもあの辺でやってる』と教えてくれました。

敷地の北西の隅にある北村西望氏作『平和祈念像』の北側、生垣の前あたりです。
Web の写真にも測定の様子が写っています。

早速自作2号機を使って測ってみました。
生垣の際で0.11uSvでしたが、生垣から50cmほど離れると0.10uSvでした。
さらに平和祈念像の隣では0.07uSvに下がりました。
僅かですが生垣に放射線源が溜まっているようです。
測定はGeiger Botです。設定はSBM-20,CS-137,Offset=4で3分間の累積です。

板橋区がWebで公表した当日の線量は0.10uSvと発表されているので概ね合っています。

ガイガーカウンター自作派にとって板橋区役所前は、恰好の"calibration spot"です。

余談ですが、北村西望氏の平和祈念像というと長崎市の平和公園にあるのが有名です。
長崎のは台座に腰掛けていますが、板橋区のは立像です。
大きさは違いますが、上半身や顔はそっくりです。
同じ作者なので当然かもしれません。
板橋区の像も長崎市のそれに劣らず立派なのですが、何故かあまり知られていません。


(3) 試用3 耐火金庫内の測定    ('11,09,11 追記)
好奇心から耐火金庫の中にGM管を入れて線量を測りました。


上の合成写真は左側が金庫内で右側が金庫の前での測定です。

Geiger BotのOffsetを4に設定してあるので、
実際は左が14CPM、右が18CPMです。

耐火金庫の壁は厚さ5cmほどです。コンクリートが充填されているのでしょう。
金庫による遮蔽能力は-4CPMでした。
uSV表示では0.09uSVが0.06uSVに低下しました。(CS-137設定)

我が家は団地の最上階(14F)ですが、1階と同じ程度に弱まりました。
最上階は屋上に放射能を持ったチリが溜まるらしく高めです。

耐火金庫の遮蔽能力には期待していました。
放射線暗室とまでいかなくとも半分くらいに弱めてくれれば
食品に含まれる放射性物質を検出するのに有利になると
皮算用していたのですが、考えが甘かったようです。



7.ノイズ耐力不足の考察   ('11,08,25追記)
自らの必要性から2台のガイガーカウンタを自作した。
 設計の過程でWebに公開されている回路図を参考にした。
しかし充分なノイズ耐力を備えていると思われる物は少ない。
その結果、光を感じるガイガーカウンターなども出現している。

それらはパルス検出回路のノイズ耐力不足が原因で生じている。
ガイガー管は光を感じないし光電効果も無い。

現状では手作りガイガーカウンターが、 新たな風評被害を作るのではと危惧している。
Webに見られる作例を調べたところ、ほぼ共通した原因があった。
以下にノイズ耐力を低下させている主な原因を多い順に挙げた。

この記事で状況が改善される事を期待しています。


原因-1位 利得過大     ('11,10,03 )
検出回路の利得が過大と思われる作例が多い。
利得が高いとノイズも大きく増幅されS/Nが低下する。
可能な限り低利得で設計すべきだが、間違った作例が多い。

GM管(ガイガー管)が放射線を検出した際の出力が微小信号だと 勘違いしているようだ。
放射線がガスをイオン化し電流が流れるので そのようなイメージを持つのだろう。
実際は放射線によるイオン化を突破口とした火花放電だ。
極めて小さな雷がGM管内で発生している。

直列抵抗で電流を制限するので肉眼で見えるほど光らないと考えているが、
万一光が見えたら電流の流し過ぎが疑われGM管の劣化が懸念される。

放電パルスの検出回路は、後段の回路と信号レベルを合わせる機能を担っている。
GM管が出すパルスは充分な大きさがある。
後段がマイクロコントローラーならば検出回路の利得は1で大丈夫です。

一般的にはトランジスタを使うので、
コレクタ抵抗に2.2kΩ程度の 低抵抗を使っても数倍の利得が発生してしまう。それで充分です。

ところがWebの作例ではコレクター抵抗に100kΩを使ったり、 数MΩを使った作例もある。
さらにトランジスタを二段も重ねている例も見られる。

数は少なかったが、
トランジスタの後段にコンパレータをヒステリシス無しで繋いだ物まで ある。
ヒステリシス無しのコンパレーターは超高利得増幅器だ。

利得が過大だと、GM管からのパルスは飽和して頭打ちになるが、
ノイズは大きく増幅されるので相対的にS/Nが低下します。

1000倍もの利得ならば光を感じそうです。


原因-2位 インピーダンス高過ぎ   ('11,10,03)
GM管に流れるパルス電流を検出するための抵抗器に、
多くの作例で100kΩが使われている。100kΩではノイズに弱い

Webに公開されているキットの回路を模倣したと思われる。
筆者も当初は先達の回路を真似して100kΩとした。
しかしトランジスタを用いた回路では、100kΩに合理的な設計根拠を見出せない。

ガイガー管は放射線を補足しない時点では高いインピーダンス(絶縁状態)だが、
補足すると放電によりインピーダンスが大きく低下する。
その放電電流をトランジスタのベースに流し込めばパルスを検出できる。

電圧は0.6Vを越えれば充分なので放電電流が50uAだと仮定すれば12kΩ程度で動作する。
自分は余裕を見て22kΩとしている。Web上には10kΩの作例もある。

ガイガー管の技術が確立されたのは半世紀も昔で真空管の全盛期でした。
トランジスタは電流増幅素子だが真空管は電圧増幅素子。
放電電流を電圧に換えなければ増幅できない。

100kΩの抵抗を使うと5V程度の電圧が発生する。
これは真空管のグリッドに加えるのに具合の良い電圧だ。
100kΩは真空管時代の名残りと考えられます。
この100kΩがノイズ耐力を下げています。
 
真空管アンプのようにアルミ板製のシャーシに組んで
回路をシールドすれば耐力は上がりますが、抵抗値を下げるほうが簡単 です。

図は原因4位丸1丸2丸3を参照して下さい。


原因-3位 コンデンサの弊害   ('11,10,03)
GM管に流れるパルス電流を検出するための抵抗器と並列に、
100pF程度のコンデンサを繋いだ作例がある。

周波数の高いノイズを減衰するために入れているつもりなのでしょう。
確かに高周波のノイズは弱まるが、GM管からのパルスも鈍ってしまう。
Gm管からのパルスは電圧も高く充分なS/Nがある。

このコンデンサによってパルスの波高値が低下するためS/Nも低下する。

高周波数のパルスには有効だが電源由来のノイズを感じやすくなる。
コンデンサを入れてノイズ耐性が高まったと書いてある作例は 利得が過大でインピーダンスが高い物が多い。

図は原因4位に記載した丸3を参照して下さい。


原因-4位 トランジスタの不適切な使用   ('11,10,05)
トランジスタをのベースをグランドから浮かせると 近傍にあるノイズ源の影響を受けやすくなる。
これを避ける為に普通はB-E間に10kΩ程度の抵抗を繋ぐ。

これはトランジスタをアナログ回路で使う際の常識なのですが、
B-E間抵抗が無い非常識な作例も見られる。

下の図はWebで見つけた回路図の抜粋です。
オリジナルは何れもCADで丁寧に書かれた立派な図ですが、中身はお粗末です。

丸1
はGM管との間にコンデンサが入っている。
これによってTRのBは直流的にグランドから浮いており電圧は不定です。
簡単な回路ですが、高利得、高インピーダンスや他の問題も併せ持っています。
47pFを何の為にを入れたのかわかりません。
Pachubeに繋いだようですが、風評被害が心配です。

丸2はGM管とTRがダイオードで繋がれてい ます。
パルスが無い状態では、ダイオードは絶縁に近い状態なのでTRのBは
グランドから浮いています。しかも万歩計の入力抵抗は数MΩなので利得過大です。

丸3はベースと直列に47kΩが入っていま す。
グランド間の抵抗は147kΩなのでBは浮いていません。
丸1や丸2に比べれば問題は小さいのですが、
B-E間に抵抗を入れれば安定性が向上します。



なぜB-E間抵抗が必要なのか書くのが面倒なので割愛しました。


原因-5位 カソード検出
   ('11,10,14)
アノード検出に比べカソード検出はノイズに弱い。
実際に試したが、その差は大きく議論の余地は無い程だ。

アノード検出ではGM管のカソードがグランドに繋がれる為に カソードがシールドとして機能するためだ。

しかしWebに公開されている回路図では大多数がカソード検出です。
その殆どはアマチュアが公開した回路図です。
プロは回路を公開しないからでしょう。

下記にも似たような事が書かれています。
Jochen's High Voltage Page (英文)

アノード検出でもノイズに弱いと書かれた作例があります。
下の図はWebで見たアノード検出回路です。 これには原因の1位から4位迄を 含んでいます。


この回路の問題点はノイズに弱いだけではありません。

放電電流がピークで19mAと過剰なため、GM管の劣化が懸念されま す。
GM管の頭に電流を制限する抵抗が無いことが主因ですが、
カップリングのコンデンサが500pFと馬鹿デカイのも副因です。
この500pFはCK1026の仕様書に書いてある特性測定回路を推奨回路と勘違いしたのでしょう。

またトランジスタの故障も危惧されます。
GM管が放射線を検出し導通状態から遮断状態に変わった際に、500pFへ900Vが充電がされます。
その電流は100pFと1MΩを流れます。その際にトランジスタのベースに0.6Vを越える逆方向の電圧が掛かります。
短時間では故障しませんが、放射線を受ける度に劣化が進み何れ故障します。



7-2 CK1026の問題     ('11,08,27  追記)
レイセオン社製CK1026は光を感じるGM管として有名です。
しかしWebに見られる作例には幾つもの疑問があります。

(1) アノード検出の問題1        ('11,08,28  追記)
自分はSBM-20用にアノード検出の回路を設計しました。
その回路の部品番号で説明します。

CK1026のアノード検出を用いた作例には、
カップリングコンデンサC3が500pFと大きく、
限流抵抗R5が無い(0Ω)作例が複数あります。
ベースやエミッターに抵抗を入れるなど子細な違いがありますが、基本的には同じです。

GM管に放射線が通ると500pFに溜まっていた電荷が、
トランジスタ回路を通って流れます。
回路によりますが最小負荷抵抗が1MΩとの指定なのに数10kΩになってしまいます。

これにより過大な電流がGM管に流れ劣化する筈です。
たぶん放電電流が出入りした部分が溶け極めて小さな凸凹ができるでしょう。
繰り返すと電極の表面が荒れ放電開始電圧が低下すると推定しています。
CK1026ではカソードが黒鉛なので耐熱性は抜群ですが、陽極は傷むでしょう。

Webにはレイセオ ン社の仕様書があります。これが曲者です。

仕様書には特性を測る為の"TEST CIRCUIT"が記載されています。
これは波高値をオシロスコープで観測するための回路です。
そのため充分大きな500pFのカップリングコンデンサが使われています。
Webに見られる作例は、これを模倣したようです。

仕様書には1955年との日付があります。
当時もオシロのプローブは入力インピーダンス10MΩだと思われます。
10MΩならば500pFでも問題ありません。
真空管の回路ならば10MΩの高入力インピーダンスも簡単です。

トランジスタを使った検出回路では、真空管時代の”TEST CIRCUIT"を無視して
前出したSBM-20用回路のようにR5を1MΩ以上としC3を22pF程度にすれば
問題なく動く筈です。責任は持てませんが。

(2) アノード検出の問題2 ('11,09,01 追記)
Webに見られるアノード検出の作例でも
ノイズの影響を受けると報告されている例には以下の特徴があります。

 ●信号経路に多数のコンデンサを入れパルス波形を台形にしている。
 ●検出回路の利得が高過ぎ、微小のノイズも大きく感じる。
 ●真空管回路の高インピーダンスを引きずっている。
 ●検出回路の部品点数がやたらと多く複雑。

これらは何れもノイズ耐力を低下させる要因です。

筆者は一号機の回路定数を下図のように変更しました。

変えたのは、  R14を 10MΩ から 1MΩ
                       R17を    330kΩ から 10MΩ の2点です。

これはLND712の推奨する回路に合わせた為です。
LND712は現行製品で現代の回路技術に対応している筈。
また最も大きな抵抗値を指定しているので
劣化を懸念して放電電流を規定値にしました。

筆者は、5種のGM管を持っています。
SI-3BG、J408γ、J306β、LND712、SBM-20 です。
LND712だけが500V、旧ソ連製と中国製は400Vです。
たぶん旧ソ連が中国に技術供与したのでしょう。

1号機は電圧も切り替わるように作ってあるので
400Vと500Vに対応できます。

それら総ての管を上述の検出回路で試しましたが問題なく動きました。
もちろん電源からの誘導を拾ったり光を感じる事は無く極めて安定です。

GM管は大きさや材質の違いなど多様ですが、
電気的に見ると印可電圧の違い以外は殆ど同じと考えられます。

試して居ませんが、CK1026も上述の回路で正しく動くでしょう。