Front Page                                                                                                                                2017,03,17

JGAURARO A3 組立て記

中国製3Dプリター( JGAURARO A3 )のキットを組み立てた。
仔細な問題は幾つか在ったが適切に対処し、高精度の印刷ができる3Dプリンターが完成した。

このキットは組み立てる過程での工作を楽しみ、完成後は3Dプリンターとして立体造形が楽しめる。
誰でもが組み立てられる程に簡単なキットではないが、スキルが在る方には御薦めの一品だ。

以下に自分が工夫した点を中心に解説した。初心者には難しいかもしれない。
                       

注1:写真ではスプール・スタンドに自作品を使っているが、キットには別置きの透明アクリル製が付属している。
注2:Y軸の電線保護チェーンSDカード延長アダプターは自作です。キットには含まれていない。
注3:Web上の機種名はJGAURORAとJG AURORA、JGAURAROとが混在しているが、記事ではJGAURAROに統一した。

1. 購入の背景

昨年、中国製CNCフライスを3Dプリンター化した。それを使ったところ大変に便利だった。
しかし高さが4cm迄しか印刷できなかった。せめて高さ10cm迄印刷できれば応用範囲が広がる。
CNCフライスのZ軸を延伸するのは不可能に近いのでReprapの製作を考えた。
Reprapはファームウエアーが開示されており部品も入手しやすそうだった。

しかし部品を買い集めるだけで、多額の出費になりそうだし労力と時間が掛る。
Amazonで3Dプリンターを検索すると5万円以下の組み立てキットが沢山出品されている。
その程度の金額ならば好奇心を満たす対価として見合うと考え買って試す事にした。

また実用にならなくともReprap用の主要部品を入手でき無駄にはならないと考えた。

2. 購入機種選定の理由

Amazonには多数のReprap準拠の3Dプリンターが売られている。
それらの中から機械的な強度が高そうな物を探した。アクリル製が主流だがアルミ角パイプ製もある。

その中でJGAURARO A3はボディが鉄板の曲げ加工で作られており、
Y軸やZ軸を支える部分には厚さ10mmのアルミ板が使われ充分な強度が在りそうだった。

Z軸駆動モーターの軸と台形ネジとが一体でフレキシブルカップリングを使っていない。
フレキシブルカップリングには伸縮製が在る。これが誤差を増やす要因なので排除したのだろう。

殆どの電線がケースの中に隠れるので蜘蛛の巣のような感じにならずスマートだ。

印刷の精度を高めるための工夫が随所に見られるが、その割には廉価で4万円強の価格は魅力的だった。

3. 購入

価格は、Aliexpressでは$418-、Amazonでは\43,928-だった。
大差が無かったのでAmazonから買った。それに翌日配送が魅力的だった。

4. 到着と開梱

注文の翌日にヤマトのお嬢さんが届けてくれた。両手で抱えていてチョッと重かったと言っていた。10kg程度か。
ダンボールを開けて梱包に驚いた。手作りと思われる厚さ1cm程の硬質スポンジの箱に入っていた。
これなら荷扱いが荒くても中身が傷む可能性は少ないだろう。

 

早速添付されていたパッキングリストと部品の照合を始めた。最終的に不足は無くネジは多めに入っていた。
下記の判らない表記の部品が在り手間取った。日本とは違う英語表記だ。

 ◎rubber gasket  :  ケーブルブッシュとかグロメットと呼ばれる。フレームの穴に電線を通す際の保護用。
 ◎M3 rubber gasket : オー・リングと呼ばれる。黒色ゴム内径3mm。添付資料には使途の説明が見つからない。
 ◎M8 flat gasket :  金属製の平ワッシャー。Y軸駆動系に使う。

5. Y軸の組立て

Y軸系は性能を左右する重要な部位なので要所の長さをノギスと物差しで測り正確に組み立てた。
組立て後のよじれを防ぐ為に、我が家では一番平らと思われる火燵の上で作業を行った。


◎バネ座金が無い
驚いた事にオリジナルの設計では、バネ座金(スプリング・ワッシャー)が使われていない。部品表にも無い。
これではネジのゆるみ止めが不十分と思われたのでM8のSUS製をホームセンターで買って組み込んだ。

添付されたSDカードに在る画像を見るとアルミ製厚板の部分は、当初の設計ではアクリル製だった。
アクリルではM8ナットにスプリングワッシャーを入れて強く締めたら割れる恐れがある。
それを避ける為にスプリングワッシャーを使わなかったのだと推測している。
アルミ厚板製に替えてもスプリングワッシャーを追加するのを忘れたのだろう。

◎M8スパナが合わない
M8のナットを廻す為に付属しているスパナが合わずガタガタだったが、僅かに掛るので何とか廻せた。

◎ナイロンナットへ置き換え
ネジ棒の両端はダブルナットにして緩みを防ぐ設計だったが、緩み防止効果の高いナイロンナットに置き換えた。
予めナイロンナットの位置をノギスで測って決めてから反対側のナットを締めたので位置決めが容易だった。

その後(3/29)、AMAZON / JGAURARO A3の商品説明に在る写真を見て興味深い事に気づいた。
拡大機能を使ってダブルナットの部分を見ると、ダブルナットに種類の違うナットが組み合わされている
しかも、その端に使われているナットはナイロンナットに酷似している。これならガッチリと締まるだろう。
キットに入っているM8のナットは一般的な物が一種類だけなので、写真に使われているナットはキットとは違う。
キットと違うナットを使った写真を商品説明に使うのは如何な物か。

アーレン・レンチが使えない
磨き棒を固定するのにM3の芋ネジが使われている。
これをまわす為にアーレン・レンチ(六角棒レンチ)が付属しているが、ゆるゆるで廻せず使えなかった
仕方なく手持ちのアーレン・レンチを使った。

◎箱型ベアリングの間隔調整
Y軸移動プラットホームを箱型ベアリングへ取り付け、滑らせたところ重くて滑らかに動かなかった。
調べたところ、左右のベアリング間の間隔よりもネジ穴の間隔が0.3mm程広い様子だった。
丸棒ヤスリで穴を僅かに横長にして組み立てたところ滑らかに動くようになった。
これで添付SDカードに在る「A-3アッセンブリ・ダイヤグラム」に示された組立て方の通りだ。


ところが、Yutubeに在る"JGAURORA A-3 installation video 1" での組み立て方は少し違った。
プラットホームを箱型ベアリングへ取り付ける際に、black shimにネジを通せと指示している。
形状から見てblack shimとは前出のM3 rubber gasket を指しているようだ。
しかし何の目的でblack shimが必要なのか判らない。騒音対策かもしれないが、
ネジ穴の間隔が0.3mm程広い問題を誤魔化す為ではないかと疑っている。

部品を余らせても無意味なのでblack shimを入れて組立て直した。
なお、前出のビデオではM3のネジをM4と間違えているようだ。

◎スプロケットの反転
X軸とY軸駆動モーターには、当初からスプロケット(歯付きベルト用歯車)が取り付けられている。
Y軸駆動モーターを、ブラケットへそのまま取り付けると歯付きベルトが斜めになってしまう。
これを防ぐために、スプロケットをモーターの軸から抜いて反転して取り付けねばならない。

添付SDカード内の動画に英文の字幕で、そのような説明が出るが見落としがちで要注意だ。

X軸駆動モーターにもY軸用と同じくスプロケット(歯付きベルト用歯車)が取り付けられている。
こちらは反転せずに、そのまま使う。ちょっと紛らわしい落とし穴だ。

6. Z軸の組立て

Z軸の支持には厚さ1cmのアルミ厚板が使われている。その固定はシャシーの内側からM6のビスで締める。
そのM6のビスにバネ座金が無い。そこに平座金とバネ座金を追加した。全部で8組だ。



7. X軸の組立て

X軸には、問題は無かったが、磨き棒を左右の昇降板へ差し込む際に簡単には入らないので工夫した。
JGAURORA A-3 installation video 2ではゴムハンマーで叩き込んでいる。



手元にゴムハンマーが無かった事と衝撃を与えて昇降板が割れては困る。
そこで磨き棒を電動ドライバーの先に取り付け、廻しながら押し込むと奥まで簡単に入った。
たぶん摩擦熱でプラスチックが僅かに溶けるからだろう。

手順は先ず右側の昇降板へ磨き棒を差し込み、穴を広げてから磨き棒を抜いた。
次に左の昇降板へ磨き棒を差し込み、穴を広げておいた右側の昇降板を嵌め込んだ。
その後、左右の間隔を駆動モーターの軸に間の幅に合わせるべく、ドライバーの柄で軽く叩いた。

これをZ軸の台形ネジに嵌めた。嵌める際に左右の台形ネジを指先で捩るのだが、
軽く回らない場合には昇降板の左右の間隔が適切ではないと思われる。

8. Y軸の傾斜と対策

添付されていた組立て資料の通りにY軸駆動系をフレームへ組み込んだ。
火燵の天板の上に置いたところY軸駆動系の後端部のアルミ板が天板に密着せず1.5mm程浮き上がっている。
前端部は密着しているのでY軸駆動系は僅かに傾斜し後部ほど高くなっていた。

Y軸駆動系を単体で天板の上に置くと前端部も後端部も密着するのでY軸駆動系の組立てミスではない。
Y軸駆動系の後端部はフレームの底板に乗っているので鉄板の厚み分だけ高くなる。
この設計だとY軸駆動系の重量の半分程度をフレームが支えるので、Y軸駆動系との結合部に複雑な力が掛る。
特に気になるのは、ベッドの移動に伴う反力をフレームの直立面が受ける事だ。
その力がフレームの歪みを生じ、ノズルのゼロ位置が不安定になる要因となると考えた。

問題を解消すべくY軸駆動系の後端部をフレームよりも後ろへ突き出したが浮きは減らなかった。
今度はY軸駆動モーターがフレームの底板に当たっていた。


仕方なくY軸駆動系の両端を少し持ち上げる事にした。
近傍のスーパービバホームで適当な材料を探したところ、ゴム製アングル棒粘着材付きを見つけた。
これをY軸駆動系の両端に貼り付け、上の方向へ2.5mmほど持ち上げた。


これでY軸駆動系は水平になったが、Z軸用の原点検出スイッチとの間隔が2.5mm狭くなってしまった。
この問題を解消するために、ゴム棒の切れ端をZ軸昇降版の原点検出スイッチと接触する部分に貼り付け補正した。

9. 電子基板の取り付けとケーブル処理

添付資料では両方の基板をプラスチックネジで固定する事になっているが、部品表にプラスチックネジは無い。
Youtubeの"JGAURORA A-3 3D printer video 3 adjusting and printing"では金属製のネジが使われていた。
どちらでも良さそうだったが、手元にポリカーボネート製のM3が在ったので、これを使った。


また液晶基板と制御基板を結ぶフラットケーブルは添付資料とは違うシールド付が使われていた。
外皮が銅箔なので液晶基板と接触すると故障や誤動作の原因になりそうだ。
そこで、その部分にビニールテープを巻いて絶縁した。

また要所にワイヤークランプを用いて電線を固定した。
開け閉めができるので試行錯誤には便利だ。

10. 電源への配線

直流電源へ繋ぐAC100Vの電線は切りっぱなしだった。下の写真は被覆を剥いたところだ。
これを繋ぎこむのは怖いので圧着端子を取り付けてから接続した。

黄色はアース線だ。日本のコンセントにはアースが無いので無意味だが繋いだ。

11. 機能試験

液晶パネルを見ながら各部を個別に操作して機能を試し総て正常に動いた。

先ずX軸、Y軸、Z軸を確認した。次にAuto Homeを行い正常に動いた。
ここまでの試験でX軸、Y軸、Z軸のモーターと原点検出スイッチの機能を確認できた。

次にエクストルーダーのモーターを確認すべく操作したが動かない。
若しやと思い手動動作でノズルの温度を180℃まで上げてから、
エクストルーダーのモーターを操作したところ回った。
エクストルーダーのモーターはノズルが低温だと回らない
フィラメントが融けていない状態でモータを廻すと故障の可能性があるので
保安機能がプログラムされていた。良くできている。

その後、Bedの加温を手動操作で行い赤外線温度計で確認した。

12. 注油

XYZ軸の磨き棒とベアリング、Z軸の台形ネジに注油した。
いつもCNCフライスの保守に使っているスプレーのモリブデングリースを塗布した。
これによってリニヤベアリングのシャーという感じの動作音が消えた。

13. Curaの設定

添付されていたSDカードにCuraと設定ファイルが入っていた。当初はそのまま使った。
しかし不便な所が在ったので修正した。

ベッドサイズの変更
当初は200*200になっていた。それではベッドの中央に印刷しないので260*260にした。
位置のオフセットを設定できれば良いのだがCuraでは、方法が判らない。
読者(T.Y氏)がオフセットの設定方法を紹介してくれたので後述した。感謝。




印刷開始時のGコード
印刷開始時のベッドとノズルの昇温、移動速度を設定した。
また印刷開始のノズル位置(X)を+30mmにしてベッドの上に掛るようにした。

;Sliced at: {day} {date} {time}
;Basic settings: Layer height: {layer_height} Walls: {wall_thickness} Fill: {fill_density}
;Print time: {print_time}
;Filament used: {filament_amount}m {filament_weight}g
;Filament cost: {filament_cost}
;M190 S50   ;Uncomment to add your own bed temperature line
;M109 S195  ;Uncomment to add your own temperature line
G21        ;metric values
G90        ;absolute positioning
M82        ;set extruder to absolute mode
M107       ;start with the fan off
G28 X0 Y0  ;move X/Y to min endstops
G28 Z0     ;move Z to min endstops
G1 Z15.0 F600      ;move the platform down 15mm
G92 E0                  ;zero the extruded length
G1 F200 E5           ;extrude 5mm of feed stock
G92 E0                  ;zero the extruded length again
G1 F3000 X30
G1 F3000
;Put printing message on LCD screen
M117 Printing...


印刷終了時のGコード
終了の際にXYZ軸を原点に戻す命令を削除し、ベッドを手前へ出すように変えた。
これによって印刷物の取出しが容易になった。
また原点検出スイッチを押したままで長時間停めてバネが歪むのを回避した。

;End GCode
M104 S0                     ;extruder heater off
;M140 S0                    ;heated bed heater off (if you have it)
G91                            ;relative positioning
G1 E-1 F300               ;retract the filament a bit before lifting the nozzle, to release some of the pressure
G1 Z+0.5 E-5 F300    ;move Z up a bit and retract filament even more
M84                            ;steppe off
G90                            ;absolute positioning
G1 X5 Y200 Z20 F1500        ;move Y to 200

ファームウエア
RepRapではファームウエアを自分で書き込まなければならないらしいが、
このキットでは最初から書き込まれている。よってArduino IDEの知識は不要だ。
ゆえにファームウエアに触る必要は全く無い。
自動ベッドレベル設定を組み込む場合には書き換えが必要になる筈だ。

14. ベッドとノズルの間隔確認

写真のように直径12cmの円を印刷してベッドとノズルの間隔を確認している。
このテストパターンを印刷して厚さが均等で全体に密着していれば問題無い筈だ。


上の写真で左は組立て直後でPLA、右は約1ヵ月後でABSだ。

組立て直後は、印刷の度にテストパターンを印刷してベッドとノズルの間隔を確認していたのだが、
狂わないので調整しなくなった。毎回調整しなくとも正常に印刷できる

上の写真で右はマスキングテープを黄土色の3M製に貼り替えてから2日後だ。
オリジナルの青テープに比べて薄い感じだったのでベッドとノズルの間隔を調整した。
その調整をしてから2日過ぎたが狂ってない。青テープの使用期間では2回しか調節しなかった。
我がJGAURARO A3は、とても安定している。Y軸の傾斜と対策が寄与しているのかもしれない。

Webにはオートレベリングの記事や動画が幾つか見られる。
目的は「印刷の度にベッドのゼロ位置調節を行う」のが面倒だからだそうだ。
自動的にベッドの要所でゼロ位置を検出し、補正計算を行ってくれる。
我がプリンターでは必要性を感じないが、技術的には面白い。

ショルダーバックの中仕切りを印刷      ( 4/8 追記 )
概ね150mm角の大きさで、厚さ13.1mm。今までに印刷した物では最大だ。
いつもと同じ様にベッドのゼロ位置調節無しで印刷できた。
先日にゼロ位置調節をしてから6日過ぎていたが、狂っていなかった。

フィラメントはeSun製ABS黒色を使った。
印刷条件は、ノズル:230℃、ベッド:90℃で3Mマスキングテープに印刷した。
ABSの印刷は2回目で経験が乏しい。反るのを心配してスティック糊を併用した。
ところが強く着きすぎて印刷物を上手く離せずマスキングテープごと剥がした。
枠の部分は厚さ1.1mmと薄く大きかったが、スティック糊の効果か全く反らなかった。


スマートフォンをショルダーバックのサイドポケットに入れている。
ポケットは大きさが合わず入れ辛いし収まりが悪い。それを改善する為に中仕切りを印刷した。


15. 印刷性能の評価

15-1 ボックス・ドライバーの印刷
性能の評価用にボックス・ドライバーを設計し印刷した。積層高は0.1mmだ。
左はM4ナット用でスライサーにSlic3rを用い、右はM5ナット用でCura 15.04.6 を使った。
直径は約3cm、高さは25mm。設計に10分、印刷には夫々50分程度掛った。


左のSlic3rは細かな設定が必要だが最適化出来ていないので、この程度だ。
しかし内部構造を蜂の巣状にも格子にもできるので強度が期待できる。

右のCuraは縫い目も糸引きも見られない。外観が美しく申し分の無い仕上がりだ。
しかし握りの部分に縦に線が在る。これは印刷後のノズルの移動で擦った傷だと推定している。
また握りの部分に波打ちが見られる。Curaには狭角減速設定が無い為だろう。

外観優先の印刷ならばCura、強度が優先ならばSlic3rだと考えている。
どちらのスライサーも最適な設定には今暫くの時間が掛りそうだ。

15-2. ARDUINO用枠の印刷
下の写真はARDUINO用の枠でThingiverseから借りたデーターで印刷した。
スライサーはCuraで積層高は0.1mm、PLA樹脂は青色だ。とても精緻に印刷されている。
ARDUINO UNOを嵌めてみたところピッタリだった。
こんな物も3Dプリンターを使えば簡単に印刷できる。しかしこの設計は面倒そうだ。



15-3. レンズマウントコンバータの印刷
以前に設計したレンズマウントコンバータをJGAURARO A3で印刷し性能を評価した。

このコンバーターは旧ライカのL39捻じ込みマウントをNikon-Fマウントへ変換する。
L39のネジは誤差が多いとレンズが入らなかったりユルユルだったりする。
JGAURARO A3の性能を評価するために、そのネジの部分を切断し断面を接写した。
L39マウントの、ネジ山のピッチは1.024mmで全体の高さは6.5mm。
それを積層厚0.1mmで印刷した。


結果は想定よりも正確にネジ山が刻まれていた。充分な精度だ。
上の写真で白く見える山の部分は、ABSがカッターナイフの刃と擦れて変色したようだ。

そのレンズマウントコンバータをthingiverseに掲示した。
http://www.thingiverse.com/thing:2308792
上の写真は、そこに掲示した蛇腹システムで接写した。
レンズはEL Nikkor 135mmf:5.6だ。

自分が組み立てたJG AURARO A3型3Dプリンターは、
趣味の工作に必要な性能を備えている
。しかし耐久性は未知数だ。

16. 工作への応用 

16-1 写真撮影用のリングライトの製作  ('17,06,22 追記 )
作品を撮影する際に、室内照明では影ができやすく見やすい写真を撮るのが難しい。
被写体と接近するとストロボを使っても影ができてしまう。
レンズの周囲から光を照らすリングライトがあれば改善できると考えた。
中国製ならば数千円で売られているらしいが、ジャンク箱に在ったLEDで廉く作った。


大部分は3Dプリンターによる印刷で作った。ドーナッツ部の直径は113mm、厚さは25mmだ。
茶筒のように前部と後部カバーが嵌合する構造にした。

LEDを嵌め込む穴は、LEDの直径よりも0.2mmだけ大きくしたがピッタリだった。
本体の前部と後部の嵌合部は、直径で0.8mm大きくしたところ、ゆるゆるだった。
この印刷ではヤスリを使う必要が無かった。JGAURARO A3は印刷の精度が高い。


LEDは自動車用のT10規格電球だ。
以前に車の番号灯をLED化しようと買ったLEDで、採用にならずジャンク箱で眠っていた物だ。
それを活用した。一個のLED電球に8個のLEDが組み込まれているので全部で80個だ。
電流制限抵抗を内蔵しているのでDC12Vを供給するだけで発光する。
電源には廃棄したコードレス電話用のACアダプターを使った。

早速完成したリングライトを使って撮影した。「15.印刷性能の評価」に在る2枚の写真がそれだ。
当初の写真が良くなかったので入れ替えた。明らかに写真の質が向上した。
ちょっと青みがかっているが、コンピューターで補正すれば改善されるだろう。

実用になるリングライトが3Dプリンターの活用で簡単に完成した。3Dプリンターは便利だ。

16-2 MR-9用バッテリーアダプターの製作   ( '17,06 23 作成 )
40年位昔の銀塩フィルムカメラには、水銀電池MR-9が使われていた。
電圧が安定した優れた電池だが、環境負荷が高いとの理由で製造されなくなった。

自分もMR-9を使うフィルム・カメラを何台か持っている。
MR-9が入手できないのでSR44にテープを巻いて太くし、アルミ箔を挟んで何とか凌いでいた。
少々電圧が高いため露出が少し狂うが背に腹は代えられない。

そこで3DプリンターでMR-9用アダプターを作った。
MR-9よりも小さな酸化銀電池SR43を使い、大きさと電圧を整合させた。
 https://www.thingiverse.com/thing:2396344



直径が15mm、高さが5mm程の小さな部品で微細な構造を印刷できるか心配だった。
配線が接触しないように線が収まる溝の深さを0.5mmと1mmに分けた巧く印刷できた。
積層厚は0.1mmで印刷したので良い結果になったと思う。


印刷と配線は簡単だった。配線には直径0.5mmの錫メッキ銅線を使った。
しかしショットキー・ダイオードの半田付けは難しかった。
使用したSB1003M3は米粒大で非常に小さい。
下の写真のように格闘の痕が残る結果となったが、機能には問題が無かった。


ABS樹脂を使ったので半田の熱で大きく溶ける事は無かった。


完成したMR-9用アダプターを下記のカメラで確認した。
PENTAX SPF、OLYMPUS PEN-F、OLYMPUS 35DC

この成功により3Dプリンターは電子工作への幅広い応用ができると判った。


16-3 鳩避けの印刷   ( '17,06 23 作成 )
我が家の南側ベランダに鳩が飛来するようになった。
営巣されては困るので鳩が嫌いそうな鷹を印刷した。
出典はhttps://www.thingiverse.com/thing:809364のデータだ。これを頂いた。


我が家の北側のベランダには、過去に何度か営巣した事が在ったので米国製の梟(みみずく)を置いてある。
しかし見晴らしの良い南側は鳩が来ることは稀で何の対策もしていなかった。
米国製の梟は値が張るので3Dプリンターで印刷できる鷹で効果を試す事にした。

大ききくて印刷後の収縮が懸念されたので、ABS樹脂は使わず収縮が少ないPLA樹脂を使った。
積層厚0.2mmで内部充填無しで印刷した。総ての印刷には12時間ほど掛かった。
印刷後はアクリサンデーで接着して組み立てた。

この鷹は剥製を3Dスキャナーでデジタル化した物のようで、尾羽の質感など見事な出来栄えだ。
問題は、自宅の周辺には鷹が生息していない事だ。鳩が見た事の無い黒い鳥を警戒するだろうか。

鷹は4個の部品に分割して設計されていた。組み立てた後の高さは20cm程度になった。
夫々の部品は高さが10cm程あり我が3Dプリンターでは過去最高の印刷物だった。
今までは5cm程度が最大だった。

尾羽の印刷終了時に事故が発生した。
エクストルーダーが上に移動した為に下部に下がっていた電線が弛み、
印刷が終わったばかりの尾羽に引っ掛けてしまった。
斜めに傾いた尾羽がエクストルーダーとベッドの間に挟まりエクストルーダーが動けなくなった。
幸い故障には至らなかったが、テーブルのゼロ位置が狂ってしまった。

再発を防ぐためにエクストルーダー用ケーブル・サポートを印刷し取り付けた。(近日掲載予定)


16-4 PASMOケースの印刷   ( '17,07 14 作成 )
自分は鉄道の駅の近くの団地に住んでいる。
都心方向へ出かける際は混み合う道路を避け鉄道を使う。
そのため料金の支払いに便利なPASUMOカードを持っている。

今まではPASUMOカードを財布の中に入れていたのだが、
改札を通る度にショルダーバックを開き財布を取出すのが面倒になった。
そこでポケットに入れようと考えたのだが、
無くさないように紐を付けられるケースを印刷した。


技術的に難しかったのは、カードを挟む溝の印刷だ。
溝の厚みはカードよりも0.1mm広い0.9mmで設計した。
狭いオーバーハングの印刷なのでサポートをつければ除去すのが面倒だ。
印刷物を急冷させるファンを回せば形は纏るが層間の癒着が弱くなる。

そこで本体と押さえ板を別々に印刷してからABS用接着剤で纏めた。
押さえ板の四隅に在る穴は接着剤を注ぐ為だ。これで強く着く筈だ。
完成したケースを手で撓ませて見たが実用に充分な強度が在る。



紐はダイソーで買った伸縮する物で先端に鉤が付いている。

この作品をThingiverseへ掲示した。
https://www.thingiverse.com/thing:2437396



16-5 シートベルト未装着警報対策の印刷   ( '17,09,10 作成 )
シートベルト未装着警報対策は以前にアクリル板をCNCフライスで切削して成功した
ゆえに必要性は無いのだが、好奇心から3Dプリンターで印刷してみた。

下の写真で左から順にアクリル切削、PLA(3D印刷)、ABS(3D印刷)だ。


3Dプリンターではアクリル板のような鏡面は印刷できないが、機能的には充分な物ができた。

興味深いのは印刷物の質感だ。
PLAはノズルの描いた糸に艶が在り安っぽく感じるが、
ABSは半艶消しのようで高級感があり一寸綺麗に印刷できたように感じる。
そのために最近の印刷ではABSを多用している。
ABSの収縮が問題になるような大きな物を印刷する場合だけPLAを使う。

JGAURARO A3を使い始めた当初にはPLAばかり使っていた。
理由は“PLAは甘い香り!!。ABSはプラスチックが焦げた臭い!!。”というWebの情報を信じたからだ。
現時点でもPLAABS匂いのキーワードで検索するとABSは悪臭が出るとの記事が見つかる。

ところが、自作の3DプリンターでもJGAURARO A3でもPLAでの印刷中に匂いは全く出ない。
そもそもプラスチックを融かしただけで匂いが出るのは変だ。
匂いが出るのは温度制御が不安定でフィラメントを焦がすからだと推理した。

そこでABSのフィラメントを購入し印刷を試したところ、悪臭どころか匂いも全く出ない。
推理は的中した。ノズル温度制御の性能が低い3Dプリンターではフィラメントを焦がし悪臭が出るのだ。
我がJGAURARO A3では、PLAでもABSでも印刷中に匂いは出ない
ノズル温度制御の性能が優れているのだと考えている。
フィラメントを焦がさないので、お焦げでノズルが詰まる事も無い。
ノズル掃除用として付属してきた細い針金を使った事は一度も無い。

この印刷に使ったフィラメントは、PLA、ABS共にeSUN製です。

この作品をThingiverseへ掲示した。
https://www.thingiverse.com/thing:2526373


16-6 メジロ用餌台の製作   ( '17,09,23 作成 )
庭にメジロが来る。みかんを半分に切って枝に刺すと房の中だけ綺麗に食べる。
ところが、みかんを見つけたヒヨ鳥がメジロを追っ払い独占してしまう。
食べ終えても高い樹上に陣取り、食べ残しが他の鳥に食べられないように見張っている。
仕方が無いのでヒヨ鳥よけの付いたメジロ用の餌台を作った。


屋根の直径が30cmもある大きなもので、全体を3Dプリンターで印刷できなかった。
そこで主要材料はダイソーで買った。園芸用の植木鉢を置く皿と鉄棒製のスタンドだ。
それらを補完する小さな部品を3Dプリンターで作り組み合わせた。

上の写真の下部にあるパイプへ取り付ける為のソケットだけは収縮の少ないPLAフィラメントを使った。

下の写真は餌台の内部だ。止り木、カップホルダー、キャッチャーなどの白い部品はABSで作った。


ヒヨ鳥の侵入を防ぐために、ナイロン製テグスを張った。
間隔は23mmを目標にしたが、上部が広く下部が狭い。
この間隔でメジロが中へ入れるのか判らない。数ヵ月後に結論が出る予定だ。

この作品をThingiverseへ掲示した。
https://www.thingiverse.com/thing:2549852


16-7 レヴォーグ用右側フットレストの印刷   ( '17,10,10 作成 )
SUBARU レヴォーグ用のフットレストを作った
下の写真で右端下部に在る小さな長方形が印刷したフットレスト。黒色なので判り辛い。


下はフットレストの拡大写真。足が当たりそうな角には設計段階で3Rの面取りを施した。


大きさは、幅20mm、奥行き20mm、長さ40mmだ。
黒色のABSフィラメントを使った。印刷条件は以下の様だ。

層高厚:0.2mm、表皮厚:1.2mm、引き込み在り、天井と底の厚さ:0.6mm、充填:20%。
印刷速度:50mm/s、ノズル温度:240℃、ベッド温度:85℃
サポート:無し、ラフト:無し

ノズルが吐き出した糸の融着を確実にして強度を高める為に、冷却ファンは止めて印刷した。
印刷したフットレストを手で壊そうとしたが、頑丈だった。強度に問題は無い。

固定用ビスを通す直径4.5mmの貫通丸穴とナットを入れる六角の穴も精度よく印刷されていた。
ナットで締め付ける部位の厚みは5mmで設計した。ビス・ナットを強く締めてもブカブカしなかった。
フットレストとして充分実用になるレベルに仕上がった。

17. フィラメント・ガイドの取付け        ( 17,04,13 追記 )

印刷をしていて変な事に気づいた。
エクストルーダーへフィラメントを導入する穴が、フィラメントの削りカスで溢れていた。
PLAで印刷していた際には気づかなかったが、軟らかいABSに替えてから顕著になった。
原因はフィラメントが穴の中に在るねじ山に擦れて削られるのだと考えた。


フィラメントが削られて細くなると印刷の誤差が増える筈だ。
また削りカスがギヤに絡んだりしてトラブルの原因になる可能性もある。対策が必要だ。

一般的なMK8形エクストルーダーでは、この穴にチューブ用継ぎ手がねじ込まれている。
そこで継ぎ手の代用となるガイドを印刷して取付ければ問題は解決できると考えた。
Thingiverse内を検索したところピッタリのガイドが在った。それをダウンロードし印刷した。
とても小さな物だが、ネジも綺麗に印刷されている。材質はABSだ。


早速出来上がったガイドをエクストルーダへ取り付けようとしたが、ねじ込めない
よく見たら、何とエクストルーダーの穴にネジ山が無いのだ!!。
この穴は入り口では直径4mmだが、4mm奥で直径2mmに絞られている。
そのエッジが直角で面取りされていない。この角がフィラメントを削っていた。
コストダウンの為の工夫だろうが、ちょっと乱暴だ。


ねじ込み方式のガイドは使えないと判ったので別の方法を考えた。

部品箱に、前に自作した3Dプリンターで使ったテフロンチューブの切れ端が在るのを思い出した。
それを取り出してきて穴に差し込んだところ丁度良い太さだった。
テフロンは滑りやすく高温にも耐えるのでフィラメント・ガイドには好適な素材だ。

そのテフロンチューブを長さ6mmに切り、フィラメントに当たる部分を
ドリルの刃で面取りしてエクストルーダへ差し込んだ。適度な抵抗感が在り良い感じだった。
使用したテフロンチューブは内径2mm、外径4mmだ。


早速ABSで印刷してみたところ削りカスは出なかった。
穴へ差し込んだだけのフィラメント・ガイドは抜ける事もなかった。問題は解消した。

想定外だったのは印刷物の仕上がりだ。
ガイドを取付ける前に比べて一段と精緻な感じがする。
フィラメント・ドライブ・ギヤがフィラメントを引き込む際に、
穴の中のエッジがフィラメントに食い込み抵抗になっていて
フィラメントの供給量を変動させていた疑いが濃厚になった。

18. SDカード延長アダプターの製作       ( 17,04,19 製作 )

JGAURARO A3は液晶表示基板にSDカードリーダーを備えている。
印刷データ(Gコード)を記録したSDカードを差し込めば、パソコンとのUSB接続無しで印刷できる。
便利な仕組みだが正面から見えず操作性が悪い。改善するために延長アダプターを製作した。



18.1 製作の目的
SDカードコネクターは液晶表示基板の裏側に在るので、抜き差しの際には裏側を覗き込むか手探りになる。
不用意にSDカードコネクター近傍の電子回路に触れて静電気で壊す恐れがある。
またSDカードコネクターに、イジェクト機構が無いのでSDカードを取り出す際の操作性が悪い。
これらの不便な点を延長アダプターで改善した。



18.2 結線図
SDカード用コネクターに差込む電線付きSDカードにはマイクロSDカード用変換アダプターを使った。
マイクロSDカードとSDカードでは端子の数が違う。マイクロSDカードは8極、SDカードは9極だ。
SDカードではVSSが二箇所に在るが、マイクロSDカードでは一箇所だ。
二箇所のVSSは、SDソケットの内部では接続されていないので下図の様にジャンパーした。
また電源電圧の安定化を図る為にバイパスコンデンサを挿入した。


18.3 SDカードコネクターからの信号引き出し
この部分にはマイクロSDカードを買うと付属してくる変換アダプターを改造して使った。
このアイデアは、「じむのとりあえずやってみたの巻」を真似させて頂きました。
http://rdstyle.cocolog-nifty.com/gm/2014/08/sd-0030.html

ケースを開け、内部の端子へリボン電線を半田付けした。線は8本だった。
電極の間隔が狭く難しい半田付けだったが、拡大眼鏡を使って何とか乗り切った。
電極には金メッキが施されていたので半田の濡れが良かった。
その後、接触事故を防ぐ為にホットメルト接着剤で固定した。



18.4 延長用SDカードコネクター
ジャンク箱に在った物を基板ごと流用した。以前に実験に使った物だ。
不要な部品を取り外したので汚れているが、機能に問題は無かった。
数年前に秋月電子から購入したヒロセ電気製でイジェクト機構を備えた高級品だ。



18.5 保護カバー
JGAURARO A3で印刷した。フィラメントにはABSを使った。
基板を収納する部分は、基板よりも0.2mm大きく設計したところ丁度良かった。
差し込んだSDカードの表側が上になるように基板の取り付け方法を工夫した。
両側にある丸いのはネオジム磁石だ。これでフレームへ吸着させ固定した。



18.6 完成
完成した延長アダプターをJGAURARO A3へ取り付けた。
磁力で吸い付くので取り付けは簡単、本体への加工は不要だ。


早速作った延長アダプターを使って印刷したところ、機能的に完璧だった。
SDカードを取り出す際もイジェクト機構の御蔭で少し押すと排出される。
製作目的の利便性は格段に向上した。難を言えば格好が今一つだ。


18.7 SDカード延長アダプターの使用方法 ( '17,09,12 追記 )
読者から市販のSDカード延長アダプターを2個買ったが、
何れもJGAURARO A3がSDカードを認識しないとのメールを受け取った。

それは故障ではない。認識させるには、ちょっとしたコツが必要なのだ。

JGAURARO A3 ( 以降JA3と記述 ) のファームウエア( 内蔵制御ソフト )では、
液晶表示基板上のSDカード・ソケットに在るカード挿入検出スイッチがONになった直後だけ
SDカード内のディレクトリ( 目次 )を読みに行くようだ。
つまりSDカードを液晶表示基板上のソケットに差し込んだ一瞬だけディレクトリを読む。

その液晶表示基板上のソケットに延長アダプターを差し込むとJA3はSDカードが差込まれたと判断し
ディレクトリを読みに行くが、延長アダプターにSDカードが無ければにディレクトリを読めない。
その後、延長アダプターにSDカード差し込んでもJA3は、ディレクトリを読まない。
延長アダプターのSDカードを抜き差ししても差込み信号が出ないので無視され認識されない。
SDカードを延長アダプターごと抜いて刺せば認識されるが、それでは何のための延長アダプターか判らない。

延長アダプターを組み込んだJA3でSDカードをJA3に認識させるには、
JA3の電源がOFFの状態で延長アダプターにSDカードを差込み、
その後にJA3の電源SWをON
にすれば認識される。

少々不便なようだが、自分の場合にはGコードを収めたSDカードの準備が出来てから
延長アダプターへSDカードを差込みJA3の電源を入れているので不便とは感じていない。
前面からSDカードを抜き差しできる利便性に比べれば、取るに足りない欠点だ。


19. フレームの補強       ( 17,04,21 実施 )

JGAURARO A3のフレームは鉄板を折り曲げて作られている。そのために強度が高い。
特にX軸とZ軸を支える正面は、縦方向や横方向に押してもビクともしない。素晴らしい強度だ。
しかし前後方向は弱く手で押すとフラフラする。

原因は底板の強度が足りない事にある。
底面の後部が折り曲げられていない為に正面を押すと底面の板が撓む。
鉄板を折り曲げ加工する際に何らかの制約が在ったのだろうか。

そこで下の写真の様にL字形の金具で補強した。
金具の固定には厚手両面テープを使った。ちょっと手抜きだ。


金具はホームセンターで一番廉かったユニクロを使った。95円だった。
( ユニクロとはメッキの種類を意味し、洋服屋さんの事ではない )


補強の結果、前後方向のフラフラは大幅に改善された。
我がJGAURARO A3は高い精度で印刷できるので、
補強が更なる印刷精度の向上へ寄与するのか判らないが、悪くはならない筈だ。

20. 電線保護チェーンの製作       ( 17,04,28 実施 )

Y軸のベッドが移動する度に、繋がっている電線がコネクターに近い部分で曲げ伸ばしを繰り返している。
これでは何れ銅線が硬化して断線するのではないかと心配になった。
そこで電線保護チェーンを印刷して取り付けた。


Tingiverseを探したところ、良さそうな電線保護チェーンを見つけた。
実に巧みな設計でサポートが無く、ABSの弾力を利用してキッチリと嵌る。

早速ダウンロードして印刷したのが下のコマだ。同じ物を11個印刷した。
ほかに両端部と押さえ板も印刷した。部品は全部で27個に上った。
チェーンの印刷には高い精度が要求されるが、一度も失敗しなかった。


Y軸駆動部へ取付ける部分には力が掛るので頑丈に設計し、チェーンのコマを接着した。


ベッドへ接続する部分も自分で設計し、チェーンのコマを接着した。
チェーンとコネクターの接着にはホットメルトを使った。

電線を組み込み、別に印刷した押さえ板をはめ込み完成した。


完成したチェーンをJGAURARO A3へ取り付けて試した結果、
滑らかに動き何の問題も無かった。これで断線の心配は解消した。

この工作で多数の部品を印刷したが、一度もベッドのゼロ位置調節をしなかった。
我がJGAURARO A3は剛性が高いので、ゼロ位置が狂わない。

21. スプール・スタンドの製作       ( 17,04,30 実施 )

JGAURARO A3に付属してくるスプール・スタンドは本体の脇に置く形だ。
狭い我が家では場所をとって邪魔だった。

また本体の横に置くとX軸の移動でフィラメントが引き出され、
スプールに巻かれたフィラメントが緩んでグズグズになる。
自分の3Dプリンターではエクストルーダーのギヤに掛る負荷を最小限にする為に、
ハブにボールベアリングを組み込んであるので顕著だ。

それらを改善する目的で下の写真のような上部搭載形のスプール・スタンドを作った。
使っている青いハブは以前のCNC3020で印刷したボールベアリング入りだ。


上部に搭載する為にプリンター本体を加工するのは面倒なので避けたかった。
そこで本体の上部に引っ掛ける形を模索した。その結論が下の写真だ。
ABSの弾力性を利用してはめ込むので、簡単には外れない。


部品は3点を別々に印刷してABS用接着剤で纏めた。プラモデル方式だ。
厚さは5mm、充填は20%に統一した。溶融糸の融着を強化するために吐出し糸急冷ファンは回さなかった。
長手方向は長さが180mmもあり、この3Dプリンターの限界に近い大きさだ。
腕木の先端部が荒れているのは、ABSが固まる際に収縮しベッドから浮き上がった為だと推定している。
印刷したABSがマスキングテープに密着したのだが、マスキングテープがベッドから剥がれた。


出来上がったスプール・スタンドを試験した結果、
X軸がゼロの位置では、フィラメントが斜めに引っ張られスプールから外れそうになった。
そこでフィラメント・ガイドを取り付けた。それで総部品数は4点になった。

新しいスプール・スタンドを使って何度かカメラ用レンズ・マウント・コンバータを印刷した。
従前の様にスプールに巻かれたフィラメントが、グズグズに緩まず良い感じだ。
しかもフィラメントを軽く引出せる。
使い勝手も申し分なく手前味噌だが素晴らしい出来栄えだ。

そのスプール・スタンドをthingiverseに掲示した。
https://www.thingiverse.com/thing:2336516

22. 改良スプール・ハブの製作       ( 17,05,25 実施 )

フィラメントを軽く引き出せて、スプールが慣性で空転しない最低限の摩擦抵抗が在るハブを製作した。
この印刷データ等をthingiverseに掲示した。 https://www.thingiverse.com/thing:2349311


左側がボール軸受け、右側が僅かな摩擦抵抗の在るスリーブ軸受けだ。



22-1 製作の背景
スプールは軽く回るほうがフィラメント・フィードギヤの負担が減り印刷の精度が向上すると考えている。
そのためスプール・ハブには以前のCNC3020で印刷したボールベアリング入りを使っていた。
ボールベアリングのお陰で大変に回転が軽く滑らかだが、
フィラメントが引き出された際にスプールの慣性で必要以上に回りフィラメントが緩んでしまう。
PLAでは目立たなかったが、JGAURARO A3でABSを使うようになってから顕著になった。

今のところ印刷に支障が出る程ではないが、最近は大きな物を印刷するようになり
長時間に亘って無人運転する事が多くなったので、ちょっと不安だ。
その不安を解消するため改良スプール・ハブを作った。

22-2  製作の要点
従前は両側ともにボールベアリングを使っていた。
その片側をスリーブ軸受けにして僅かな摩擦抵抗を持たせた。
ベアリングは外径26mm、内径6mm、厚さ7mmのポリアセタール製だ。

新たにスリーブ軸受け用のハブを設計するのは面倒だったので、
ベアリングと同じ外形26.0mm、内径11mmのスリーブ( 円筒 )を印刷してベアリング収納穴へ嵌め込んだ。

シャフトはM6の長ねじだが、ねじ山の上でスリーブが回ると横方向の力が働く。
それを避ける為にM6のホールインアンカーをシャフトに捻じ込んだ。
ホールインアンカーの穴はネジが貫通していなかったので、タップとドリルを使って貫通させた。
ホールインアンカーの端部に平ワッシャーを取り付け、スリーブが横方向へ移動するのを防いだ。

このハブは下記のフィラメント・メーカー製スプールに対応した。 ( )内は設計値。
    Polymakr    黒リール    55.2mm     ( 54.4mm )
    eSUN 黒リール             53.5mm     ( 52.8mm )
    eSUN 透明リール          51.60mm   ( 51.0mm )

22-3 運用の結果
スプールの空回りは無くなった。試作は大成功だ。
手でスプールを回しても従前と同じ程度の軽さで差異は感じない。
スリーブ軸受けの僅かな摩擦抵抗がスプールの慣性エネルギーを熱に変えた結果だろう。


22-4 M8シャフトでの試作
JGAURARO A3にはアクリル製のスプール・スタンドが付属している。そのシャフトはM8の長ねじだ。
好奇心から、そのM8シャフトに自作のハブを組み込んでスプールの回転を評価した。
スリーブ軸受けと同様に外形26.0mm、内径8.5mmスリーブを印刷した。


これを使って印刷したところ問題なく印刷できた。
手でスプールを回してみると、ボールベアリングを片側に使ったハブよりも少し抵抗感が大きい。
またスプールからエクストルーダへ至るフィラメントの張りが強いように見える。

理想的ではないが、実用上は問題無い水準だと思う。
強いて言えばネジ山の上に擦れるスリーブの磨耗が心配だ。
しかし磨り減ったら新たに印刷すれば済む事だ。

23. エクストルーダー用ケーブル・サポートの製作       ( 17,06,30 実施 )

エクストルーダーから垂れ下がった電線が印刷物に引っ掛り、引き倒す事故が起こった。
今までは厚さが5cm程度の物しか印刷しなかったが、高さ10cmの鷹で問題点が露見した。

この部分はケーブルの重量をコネクターが支える設計で耐久性や信頼性に不安があった。
従前から何とかしなければと考えていたが、何も対策を施していなかった。
この機会にエクストルーダー用ケーブル・サポートを作り原因の抜本的な解消を図った。


サポートの固定方法は冷却用ファンと共締めにする構造にした。
サポートを固定するビスは、以前の物は短く使えないが、
キットに付属してきた24mmのビスが丁度2本余っていたので好都合だった。

このケーブル・サポートの印刷データーをThingiverseに掲示した。
https://www.thingiverse.com/thing:2411806


24. Z軸バランス・ゲージの製作       ( 17,07,29 実施 )

左右に在るZ軸のバランスを簡単に調節できるゲージを作った。


JGAURARO A3のZ軸駆動ネジは、左右に1本ずつ在り夫々が別々のモーターで駆動されている。
何らかのアクシデントで右側ネジの回転角が狂うとX軸が水平にならず印刷誤差が増える。
左側ネジにはゼロ点検出スイッチが在るが、右側ネジにはゼロ点検出スイッチが無い。
そのため一度狂うと自動的には復旧しない。

滅多に狂う事は無い筈だが、鷹の印刷でのアクシデントで狂わせてしまった。
アクシデントが無くても定期的な点検は必要だ。
しかし、このZ軸の位置を測定しバランスをとるのが案外に難かしい。
従前はノギスで測っていたが、挟むのに適した場所が無いので精度の高い測定は困難だった。

そこで左右のZ軸駆動ネジにゲージを挟み込む方法を考案した。
左右に同じ高さのゲージを挟み、隙間が無くなる様にネジを指先で回して合わせれば完了だ。
下の写真はゲージを挟んだ様子だ。ゲージの高さは48mmでゼロ位置よりも僅かに上だ。


使い勝手の良い形を求めて、下の写真の様に何度も試作を繰り返した。
試行錯誤の挙句、良い感じのゲージが完成した。
3Dプリンターを使えばCADで設計した形が、すぐに立体になる。便利な機械だ。


この製作で何度も印刷したが、ベットのゼロ調節は一度もしなかった。
最後のゼロ調節は鷹の印刷でアクシデントがあった6月23日だ。
我がJGAURARO A3は、とても安定だ。

この印刷データーをThingiverseに掲示した。
    https://www.thingiverse.com/thing:2460571


25. CPU誤動作と対策       ( 17,08,16 実施 )

25-1 トラブルの発生状況
過日、印刷中にトラブルが発生した。
直径110mmの円筒状の工作物の印刷を始め2時間を経過し、残り2時間のところで止まった。
ノズルの詰りやフィラメント供給の問題ではない。
LCDの表示が印刷中ではなく停止状態になっていた。過去にも一度同様のトラブルが在った。
下の写真はトラブル発生時の様子だ。


25-2 原因の推定
直後にノブを操作してZ軸を上昇させ、ノズルを印刷物から離す操作をしたが正常に動いた。
失敗した印刷物を取除き、再度同じ物を印刷して無事に最後まで終えた。

このような再現性の低いトラブルなので原因はノイズによるCPUの誤動作と推定した。
ノイズによってCPUが誤動作し暴走して、それをWDT( CPU監視再起動装置 )が検知し
CPUをリセットさせ再起動させたので停止状態になったのだろう。

25-3 対策
何故にノイズに弱いのか検討したところ弱点が2箇所あった。

弱点1、鉄製のフレームがグランドに接続されておらず"浮いて"いる。
そのためにフレームがノイズシールドとして働かない。

JGAURARO A3の組み立て説明には、基板は金属のビスで固定するように書いてあった。
これに手持ちのプラスチック( ポリカーボネート )製ビスを使った。これが失敗だった。
基板のビス穴周辺のパターンを見るとビスがグランドと接触するように設計されている。
基板の固定に金属ビスを使えば自然にフレームがグランドと結ばれる設計だ。
それが判ったので主基板とLCD基板を固定する8本のビスを金属製に替えた。

弱点2、LCD基板と主基板をを結ぶリボンケーブルのシールドがアースに接続されていない。
初期のJGAURARO A3ではシールド無しのリボンケーブルが使われていた。
そのため添付資料には、シールド線の処理方法が説明されていない。
そのシールド線を下の写真の左端の様に、圧着端子を用いて主基板を固定するビスに接続した。



以上の処置で良くなる筈だが、改善が見られなかった場合には、
要所にフェライトコアを取り付ける予定だ。
しかし結果が出るまでには暫く時間が掛かりそうだ。

この印刷で作ったのは、Manythingに使うiPhone4s用の可変角度可変方向マウントだ。
Manythingは遠隔監視アプリだ。カメラに旧型のスマートホンを使う。
カメラの近傍にWiFiが在れば遠隔地から監視ができる。
設定した場所に動きがあると画像を記録しメールで知らせくれる便利なアプリだ。
Webには無料と思わせる記事が在るが、実際は有料で自分は毎月7$を支払っている。

自分は、このアプリで庭の監視をしている。従前は三脚と自撮棒を組み合わせていたが、
場所を取って邪魔なので窓ガラスへ貼り付けるマウントを印刷した。
この印刷で難しかったのはABSの収縮問題だ。
下の写真でも円筒部に水平方向の罅割れを接着剤で補修した痕が見える。
この印刷物は直径110mm、高さ50mm、厚さ1.6mmだが、
この位の大きさだと収縮が少ないPLA樹脂の方が適しているようだ。



ガラスに貼り付ける板の部分は、過去の工作で使ったアクリル板の切れ端だ。
穴が開いていたので蓋を印刷して嵌め込み埋めた。
3Dプリンターで大きな平面を正確に印刷するのは大変に難しい。

2台目の印刷  ('17,09,03 実施 )
我が家では2台のiPhone4SでManythingを運用している。
2台目のマウントはPLAで印刷した。設計は前回のABSでの印刷と同じだ。

下の写真で黒い部分がPLA、白い部分はABSだ。
前回のABSで収縮し罅割れた部分もPLAでは問題なく印刷できた。


26. Curaの設定 ( オフセット対応 )       ( 17,08,27 実施 )

以前に書いたCuraの設定でベッドのオフセット対策が判らないと書いた。
それに対して読者(T.Yさん)からG92命令を使ってXYのカウンターを強制的に設定し解決する方法を教えて頂いた。
さっそく試したところ巧く動いた。出典はこちら

まずベッドの大きさを200角へ修正。


印刷開始時のGコード  (start.gcorde)
;Basic settings: Layer height: {layer_height} Walls: {wall_thickness} Fill: {fill_density}
;Print time: {print_time}
;Filament used: {filament_amount}m {filament_weight}g
;Filament cost: {filament_cost}
;M190 S90 ;Uncomment to add your own bed temperature line
;M109 S230 ;Uncomment to add your own temperature line
G21                     ;metric values
G90                     ;absolute positioning
M82                     ;set extruder to absolute mode
M107                     ;start with the fan off
G28 X0 Y0             ;move X/Y to min endstops
G92 X-30 Y-30     ;Offset for JGAURARO A3
G28 Z0                 ;move Z to min endstops
G1 Z15.0 F600     ;move Z to up 15mm
G92 E0                 ;zero the extruded length
G1 F200 E5           ;extrude 3mm of feed stock
G92 E0                 ;zero the extruded length again
G1 F3000 X0
;Put printing message on LCD screen
M117 Printing...

印刷終了時のGコード  (end.gcode)
M104 S0                 ;extruder heater off
M140 S0                 ;heated bed heater off (if you have it)
G91                         ;relative positioning
G1 E-1 F300            ;retract the filament a bit before lifting the nozzle, to release some of the pressure
G1 Z+10 E-5 F300 ;move Z up a bit and retract filament even more
M84                         ;steppeoff
G90                         ;absolute positioning
G1 X0 Y200 Z20 F1500     ;move Y to 200
G92 X30                  ;Restore offset for JGAURARO A3
G1 X5 F1500           ;move X to stop position

実施後の結論
この方法は、従前のベッドの大きさを260*260に設定して誤魔化す方法に比べて二つの点で優れている。
優位点1.印刷中のノズル位置のLCD表示が正しく表示される。中央はX:100 Y:100となる。
優位点2.ノズル位置のソフトウエア・リミッターが正しく働く。
XY軸ともに200以上には移動しない。0以下にも戻らない。


27. 糸引き試験       ( 17,09,03 実施 )

今まで沢山の印刷をしたが、糸引きが気になった事は無い。
その為か、この3Dプリンターを使うようになってから一度も糸引きの試験を行っていなかった。
そこで糸を引きやすそうなテストピースを印刷して評価した。

その結果、殆ど糸を引かなかった。下の写真で左はABS、右はPLAだ。
一本の糸引きが在るが、これは印刷終了時にノズルを引き上げた際に生じた。


テストピースの寸法
六各形の対辺の間隔 20mm
六各形の厚さ 5mm
円筒部の直径 4mm
円筒部の高さ 3mm

フィラメントは何れもAMAZONから購入したeSUN製だ。

Curaの設定は下表の通りだ。温度はPLAの場合で、ABSでは240℃/80℃にしている。