円筒形スピーカーを鳴らす為に中古のミニコンポ用アンプを何台か入手し実験した。 何れのアンプでも心地よい音が出たのだがアンプによって音が違う事がわかった。 周波数特性が平坦なアンプを自作するための材料を得る目的で中古のKENWOOD KAF-5002を購入した。 カバーを開けてみるとトロイダルコアの電源トランスや大型の放熱器など良質の部品を使いゆったりと組み立てられていた。 方針を変え最小の改造を施し活用する事にした。

注意: 電気製品の改造には感電や火災などの危険が伴います。技術に自信の無い方は避けてください。 また改造される方は自己の責任で行ってください。当方は一切の責任を負いません。

このアンプは内部が整然と組まれていて簡単に分解できる。上の写真で右下にある基板が入力切替回路だ。 左上の電源トランスから最も離れ漏洩磁束の影響を受けにくい場所に配置されている。 半導体のアナログスイッチでCDやチューナーなどからの入力信号を切り替えている。 上位機種のKAF-7002では同じ大きさの基板にリレーを多数搭載し接点で切り替えている。

入力切替基板を外し拡大したのが下の写真です。 アナログスイッチ以外にOPアンプを搭載しユニティイゲインでインピーダンスを変換している。 そのOPアンプの入力と出力にアルミ電解コンデンサが使われ信号のカップリングをしている。 このアンプは製造されてから10年ほど経過しており電解コンデンサの劣化が懸念された。 それらのコンデンサを総てOSコンに交換した。 効果は素晴らしく同じアンプとは思えないほど透明感のある音へと変わった。 なお三洋電機のホームページにはOSコンを直流電圧が加わらないカップリングに使うと漏洩電流が増えるとの警告が書かれているが、 今のところ障害は起きていないる。

回路を調べたところ音色を調整するために挿入されていると思われるコンデンサが見つかった。 上の写真で、青線で囲った4個がそれです。コンデンサの片ピンを浮かせて切り離した。 その結果高音と低音のバランスが良くなり定位性も向上したように感じた。

OSコンは普通の電解コンデンサに比べると直径が太い。 電解コンデンサが接近して配置されている場合には取り付けられないので下の写真のように裏面に取り付けた。 また電源のデカップリング用にチップの積層セラミックコンデンサを要所に追加した。

下の写真で左中央部に垂直に取り付けられている中段アンプ部の基板に取り付けられていた電解コンデンサもOSコンや ブラックゲートに交換した。
右下の電源部にある平滑用コンデンサは42V 8200μF。 これをブラックゲートに交換すると更に良くなると思われるが、大容量のブラックゲートは値が張るので躊躇している。

KENWOOD KAF−5002の改造

改造は試聴しながらデカップリングコンデンサの追加、入力段のコンデンサ交換、中段のコンデンサ交換と進めた。 進めるごとに音が良くなるのがわかった。このアンプで円筒型スピーカーを鳴らすと素晴らしい音が出る。 繊細な高音も良いが、特に低音が自然で芯のある音を奏でてくれる。
出力段に用いているKENWOOD社だけの温度補償回路を内蔵した特殊なトランジスタ“TRAITR”の効果かもしれない。 中古のKAF-5002はオークション等で安く売られている。 劣化したコンデンサを替えるだけで素晴らしい音を奏でてくれるアンプに蘇るので御買い得かもしれない。 予備にもう一台購入しようかと考えている。('05年6月14日)

性能を確認するために周波数特性を測った。 アンプに正弦波を入れスピーカー出力には4.7Ωのダミー抵抗器を接続して両端の電圧をデジタルテスターで測定した。 正弦波の発生には吉正電子株式会社のDFFS3を使わせていただいた。ネットからダウンロードでき、一ヶ月間の試用ができる。 素晴らしいソフトなので何れ購入したいと考えている。肝心の周波数特性は下図のように平坦な特性だった。 しかし10KHzに小さなピークがあった。ちょっと気になっている。('05年7月25日)

好奇心からOSコンをブラックゲートに換えてみた。 BGコンは高価だが耐電圧が6.3Vの22μFや47μFは200円程度で買える。 電位差の無いカップリングに使われている物をBG-NXに交換した。 小さいBGだったので総て表面に付ける事ができた。 またドライバー基板(下の2枚の写真)では2.2μFと3.3μFを積層ポリプロピレンコンデンサに交換した。

結果は僅かな変化だが聞き易い穏やかな音に変わった。 歪が減ったようにも感じた。しかし高音が少々物足りないようにも感じる。 若干は波形が歪んで高調波が加わったほうが人の耳には新鮮な音に聞こえるのかもしれない。 再度周波数特性を測って確認する予定だ。('05年7月30日)

周波数特性を測ったところ、従来の測定で気になっていた10KHzのピークが消え平坦な特性を示した。円筒形アンプの実験用としては申し分無い性能だ。この状態でBill Evansの Waltz for Debbyを聞いたところ聴衆の雑談が従来よりも多く聞こえた。アンプ内での位相の乱れが減った為に分解能が向上したと推定される。しかしおとなしい音で物足りない。人の耳はアンプ内で生じる歪みによる僅かな高調波を心地よく感じてしまうらしい。また高音が減ったためか円筒形スピーカー内の残響が気になりだした。吸音材の長さを変えて改善を試みる予定だ。('05年8月04日)