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ステレオマイクの製作 (2008,1,14新規掲載)
2007年の12月中旬にスタジオエンザで開催されたタイムドメイン社の由井氏による試聴会で、
由井氏が直前に訪問されたオランダで自ら録音された音楽を聴かせて頂いた。
録音と再生にはコルグ社のMR-1が使われていて素晴らしい音だった。
驚いたのはマイクだった。
実物は拝見できなかったのだが手作りのマイクを使われたそうだ。
市販のエレクトレット コンデンサ マイク カートリッジに電線を繋いだだけの物を
テープでスーツケース(記憶が曖昧)に固定して録音されたのだそうだ。
そのマイクの要点を由井氏に教えて頂いたので自分なりの工夫を加えて作ったのが下の写真だ。
組合わせて使うサウンドレコーダーにはコルグ社のMR-1を想定している。

1. エレクトレット コンデンサ マイク カートリッジの選定
ネット上に見られる作例ではパナソニックのWM-61Aの評判が良いようだ。
WM-61Aは感度が優れているが、他の性能はWM-62PCやWM-E13UYと同様だ。
録音しようとする音が室内楽やジャズなので音量は充分にある。
高い感度のマイク カートリッジは不要と考え、小さく半田付けがしやすいWM-E13UYを選んだ。
2. マイク カートリッジの取り付け
電線の先に直径6mmのエレクトレット コンデンサ
マイク カートリッジを取り付けてある。
マイク カートリッジと電線を半田付けした部分はホットメルト(熱溶融接着剤)で固めてある。
方向を固定する為にホットメルトは必須と考えた。
常識的にはマイクにカバーを取り付けようと考えるのだが、
由井氏から 余計なものを付けるほど音が悪くなる との助言を頂いていたのでマイク カートリッジは剥き出しのままだ。
3. マイク カートリッジの間隔保持
マイク カートリッジの間隔を保持するためにゴム製中空棒を使った。
ゴム製中空棒には振動から絶縁する効果も期待した。
間隔はバイノーラル録音風に考え20cmとした。
これよりも広い間隔でマイク カートリッジを設置したい場合には電線を強く引けば長く引き出せる。
電線はゴム製中空棒の穴との摩擦で固定されているだけで接着されていない。
ゴム製中空棒は中に太さ4mmのアルミ製丸棒を挿入してある。
ゴムの棒は振動を伝えにくいのだが、強度が足りず両端が垂れ下がるのをアルミ製丸棒が防いでくれる。
またマイク カートリッジの向きを変えるときにゴム製中空棒を曲げるとアルミ製丸棒が曲げた状態を保ってくれる。
端面に穴が見えるのは格好がよくないので木ネジの頭に被せるビスキャップを接着した。
ドーム状で誂えたようにピッタリだった。
4. 三脚への取り付け
写真の中央部に在る六角のネジはカメラの三脚に取り付ける為の長ナットだ。
カメラのネジ穴は一部の特殊な物を除いて1/4インチだ。
インチ規格のネジを扱っている店は少なくホームセンターを探し回って見つけることができた。
これで安価な小型デジカメ用の三脚が使える。
長ナットの上に差し込んであるのは、パイプ椅子の脚に被せるゴムだ。
その上部をU字形に切り込みゴム製中空棒を嵌め込み固定している。
簡単に外せるのでカメラの三脚に取り付ける際にゴム製中空棒を外し長ナット部だけを回せて便利だ。
5. 電線
両端に3.5mmのモノラルホーンミニプラグが付いた長さ3mの延長用ケーブルを入手し半分に切ってステレオ用にした。
対象としたコルグ社のMR-1は左右のマイク用にモノラルのホーンジャックを2個備えているので、それに合わせた。
ホーンミニプラグを2個と電線を買って作るよりも安価で見栄えが良い。
延長用ケーブルの袋にはOFCと印刷してあった。中国製だが無酸素銅と理解して良いのだろうか。
6. 直流電源
エレクトレット コンデンサ マイクを使うには電池のような直流電源が必要だ。
しかし気の利いた機器にはプラグイン・パワーという機能がありマイク用フォーンジャックに直流を供給できる。
コルグ社のMR-1もその機能を備えており、使用するマイクに合わせて直流の供給をON-OFFするスイッチがある。
この機能の御蔭で直流電源を用意する必要がなくなり全体が簡単になった。
極性が判らなかったので手元にあったオーディオテクニカ製マイクアンプで実測した。
フォーンプラグの先端が+極だった。(自作される方は自分で調べてください。責任は持てません)
7. 試用結果
1月12日にスタジオエンザで開かれたジャズセッションでコルグ社のMR-1と組合わせて使われたそうです。
当日は自分の都合で試用に立ち会う事ができませんでしたが、大変良い音で 吃驚していますとメールで連絡がありました。
同スタジオはプロ用の録音設備を備えていますので、お世辞が半分でしょうが、なかなかの出来栄えだったようです。
作ったマイクは今後も定期的に同スタジオで開催されるジャズセッションで使われる予定です。
8.試聴 ('08,1,28追記)
1月26日にスタジオエンザへ伺い録音したドランカーズのジャズ演奏を再生していただいた。
再生にはコルグ社のMR-1とYoshii9を繋いで行った。録音は素晴らしく、生演奏のような生生しい音で驚いた。
録音を担当したスタジオエンザのスタッフに懸念していた感度不足の有無を尋ねたところ、
感度不足は全く無かったが、サックスの指向性方向ではマイクが飽和することが在ったそうだ。
マイク カートリッジの選択は適切だったようだ。
試聴に同席した関係者は一様に700円程度の投資で作ったステレオマイクで素晴らしい録音ができた事に驚いていた。
同じ演奏をコルグ社のMR-1からパソコンへ移動して信号形式を換えCDに書き込んだ。
これをHRDAC-01とYoshii9を繋いで再生した音も聴かせて頂いた。
良い音だったがMR-1で再生した場合に較べて鮮烈さが劣ると感じた。
サンプリング周波数の差が音に出たのだろうか。
9.部品表
使用した部品は下表のとおりです。費用の総額は約700円でした。
| 部品名 | 仕様 | 数 | 単価 | 小計 | 購入元 | 備考 |
| エレクトレット コンデンサ マイク カートリッジ | WM-E13UY | 2 | 25 | 50 | 秋月電子通商 | 1 |
| 両端ミニホーンプラグ付ケーブル | 3.5mm 3m | 1 | 270 | 270 | 千石電商 | |
| ゴム製円筒棒 | 10mm*4mm*300mm | 1 | 241 | 241 | 東急ハンズ池袋店 | |
| ビスキャップ | 十字穴2番使用 | 2 | 10.5 | 21 | スーパービバホーム | 2 |
| アルミ棒 | 直径4mm * 1m | 1 | 31 | 31 | スーパービバホーム | 3 |
| ユニクロ 長ナット インチネジ | 1/4B *30 | 1 | 50 | 50 | スーパービバホーム | |
| 椅子脚ゴム | パイプ脚用 12mm | 1 | 45 | 45 | スーパービバホーム |
備考 1: 4個で100円
2: 8個で81円
3: 1mで155円