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電気機関車「クロコダイル」

ゴッタルド線の旅・その6



(ゴッタルド線のために開発された電気機関車「クロコダイル」)(Roco社のHOゲージ、Ce6/8 II 14258)

このページは、「2002年の旅」の中にあった
「スイスの機関車・その2」を元に再構築しました。

★独創的なクロコダイル

 スイスの機関車の中で、最も有名なのが「クロコダイル」という愛称で親しまれた独創的な凸型の貨物用電気機関車で しょう。これは交通の難所であるゴタルドトンネルを含む路線のために開発されたのです。

 1882年の6月1日にゴッタルド線(開通時はゴッタルド鉄道)が営業を始めたときは、旅客列車も貨物列車ももちろんSLが牽引していました。ループ線 などで傾斜を抑えたとはいえ、26から28パーミルの傾斜はSLにとっては大変厳しい急傾斜でした。このためスイス国鉄は、1916年に最初の電化路線と してゴタルド トンネルの区間を選び、電気機関車などの検討に入りました。その結果、1920年に誕生したのが「クロコダイル」です。

 8軸の車輪、うち6軸が動輪という大型機でありながら、重い変圧器を中央に載せ、4軸ずつまとめた前後の車体は、首を振るようになっています。このた め、ゴタルド越えのカーブの連続を切り抜けられたのです。
 上の模型の写真を見てください。中央部と前後の低い部分とのつなぎ目に隙間があります。この模型は曲線レールに載っているのですが、レールに沿ってボ ディー全体がカーブしているのがわかるでしょうか。
 真上から見るとよくわかると思います。このように車体が左右に曲がるところが、ワニが体をくねらせる様に似ているため、「クロコダイル」という愛称が付 いたようです。 

★開発の歴史と現状

 「クロコダイル」と呼ばれる機関車は、スイス国鉄の他にも、レーティッシュ鉄道やオーストリア国鉄にも存在します が、ここではスイス国鉄のCe6/8 II、Ce6/8 III、Be6/8 II、Be6/8 IIIの4種類だけを取り上げます。

 最初に作られたのはCe6/8 II型です。1918年3月に14251号機から14260号機までの10両を発注。19-20年に14261号機から14283号機までの23両を追加 発注。1920年に最初の発注分10両が運転を始めたそうです。
 その後、1926-27年に Ce6/8 III型が14301号機から14318号機まで18両作られました。

 またII型33両のうち13両(14251号機から14259号機、14261号機、14263号機から14265号機)は、その後1942-47年に パワーアップされて最高速度が65km/hから75km/hに引き上げられ、これに伴って形式名がBe6/8 II型となりました。またCe6/8 III型の18両も同様にパワーアップし、形式名はBe6/8 III型に変わりました。
 CeからBeに変わるのと同時に、車両番号の二桁目が4から3に変わりました。つまり14xxxが13xxxとなったのです。ややこしいですね。
  ヨーロッパには詳しく解説しているページもあります。たとえばこの「THE LEGENDARY SWISS CROCODILE 」。51両すべての機関車についての一覧表があり、引退の年月が載っています。

 51両のうち次の3両が「歴史的機関車」として動態保存されています。
Ce6/8 II型14253号機(エルストフェルト機関区)
  1947年に改造されてBe6/8 IIの13253になったが、74年4月に元の形式名にもどる。
Ce6/8 III型14305号機(バーゼル機関区)
  これも改造後Be6/8 IIIの13305になったが、79年7月に元の形式名に。
Be6/8 III型13302号機(Modelleisenbahn Club Horgen)

 また静態保存で有名なのは、次の2両。
・Be6/8 II型13254号機(ルツェルン交通博物館)
・Ce6/8 II型14270号機(エルストフェルト機関区構内)

 交通博物館のクロコダイルはこれです。
 さすがに迫力があります。ただし場所が狭いので、横からの全景が写せません。

 エルストフェルトの静態保存機Ce6/8 II型14270号機は、ゴッタルド線を走る列車の車窓から見ることが出来ます。(「ゴッタルド線の旅・その4」で紹介しました。)

 またエルストフェルトの動態保存機Ce6/8 II型14253機は、DVD「Gotthardbarn - damals heute morgen」の中で詳しく紹介されています。画面キャプチャーはこれ。

 3両の動態保存機はそれぞれ、様々なイベント列車として活躍しています。特に1997年9月14日には、スイス国鉄開業150周年の記念イベント列車 「ゴッタルドエクスプレス1930」を三重連で引っ張るという大変豪華な催しもありました。この模様は「鉄道ファン」の1998年1月号で岩沙克次氏がレ ポートを寄せています。
 スイスの鉄道イベントは大がかりなものが多く、上のDVDには、クロコダイルが牽引する特別列車が、SLが牽引する特別列車と複線の本線で併走!する シーンが入っています。
★車体の特徴と違い
 Ce型とBe型の違いは上に書いたように、パワーアップされて最高速度が向上したことです。ではII型とIII型 の違いはどこにあるのでしょうか。
 外見でわかる違いは、モーターの動力を動輪に伝えるロッドの形状です。
 上は交通博物館 のBe6/8 II型13254号機、下は交通博物館のジオラマを走っていたBe6/8 III型13302号機の模型です。いずれも写真の右手側が機関車の前になっています。
 II型は、中央のモーターと前側の動輪が、「スコッチ・ヨーク」と呼ばれる三角形の太いロッドで結ばれており、動輪のさらに前側には大きなバランスウェ イトが付いています。
 一方III型では中央のモーターと、後ろ側の 2軸の動輪が一般的なロッドで結ばれているのがわかります。
 II型の「スコッチ・ヨーク方式」に対し「斜めロッド・ドライブ方式」と呼ばれています。
 「鉄道ファン」の1987年4月号で、「スイス電機のクラシック」を書いている加山昭氏によると、スイス国鉄の技術陣はCe6/8 II型の設計審査にあたり、斜めロッド・ドライブ方式では高出力の動力伝達には不適であるとの判断を下し、複雑なスコッチ・ヨーク方式を採用したとしてい ます。ところがこの判断は根拠のないものとわかり、III型からは斜めロッド・ドライブ方式が採用されたそうです。

 いずれにせよ、電気機関車でありながら、SLのようなロッドの動きは独特です。実際に動いているのを見ると、思ったよりシャカシャカと忙しそうに動いて います。
 DVD「Gotthardbarn - damals heute morgen」の中から走行シーンのサンプルをご覧ください。 Quicktime形式で852KBあります。
★模型でも大人気
 クロコダイルは模型でも人気があり、いろいろな模型店のページでも紹介されています。「swissmodell」 という店のこ のページはクロコダイルの特集で、ドイツ語と英語の2か国語で解説。上で述べたII型とIII型の違いも写真で説明しています。

 またスーパーモデルと称する大型で精密な模型もあります。例えば「Fine Art Model」。 ここのク ロコダイルは、1/32スケールで、全長61cm。そして大きいだけでなく、実際のクロコダイルの音をデジタルサウンドとして再生で き、ブレーキを緩めたときの空気が抜ける音や、変速機が切り替わる音、ホイッスルなどを聞くことが出来ます。さらに専用のディスプレーケースに入れると、 その場で動輪を動かすことが可能で、独特のロッドの動きを目の当たりにすることが出来るそうです。
 価格もびっくりの7500ドル(80万円!)。既に売り切れのようですが……。
★スイス国鉄の象徴に
 こんなクロコダイルは、すっかりスイス国鉄の象徴になっています。
 スイスの鉄道時 計で有名なMondaine(モンディーン)が、1997年のスイス鉄道150周年を記念して作った限定版時計には、裏面に七宝風にクロ コダイルの絵が描かれています。
 表記はドイツ語で「Krokodil」と書かれています。ちなみにフランス語だと「Crocodile」となります。発音はともに「クロコディル」。英 語だとフランス語の綴りで「クロコダイル」です。
 「Krokodil」の下には「Be6/8 II」と「13251...65」とのナンバーが書かれています。
 Ce6/8 II型33両のうち、13両がBe6/8 II型になったのですが、「開発の歴史と現状」のところでも書いたように、14251号機から65号機のうち、14260号機と14262号機の2両だけ はパワーアップされなかったのです。
 この時計は1番から4999番までのシリアルナンバーが入った限定版で、この製品はNo.0631でした。左の写真のようにプラスチックのケースに入っ ており、ウェンガーの限定版ナイフとセットになっています。このナイフにも「スイス鉄道150周年」のロゴマークなどが入って います。
 またケースには右の写真のように、イラストが描かれたクロコダイルに関する英仏独3か国語の説明書も 入っていました。下に一部を紹介してみましょう。

 When the Gotthard rail line switched to electrical power it required more powerful locomotives. For this purpose, the Swiss locomotive manufactures (BBC Baden, MFO Oerlikon and SLM Winterthur) designed a multi-structure engine which is still considered as a wonder by today's railway professionals.
 The axle drive shaft on the Gotthard rail engine is powered by four 3,640 hp electric motors, nested in two mobile transmission units. Its motion is transmitted by means of gearwheels, lodged on both sides of the motor housing. From the ball pivot of the big gearwheels, the power transmission attaches to the outer axle drive with the aid of a blind shaft and a triangular bar with glide support. From this point dome-shaped bars carry the transmission to the drive assembly in the rear bogie.
 Because it looked like a crocodile, this locomotive was quickly micknamed <Krokodil-Loki> or <Croco-Loco> by people living and working along the Gotthard rail line.

  短い文章ですが、きちんとこの機関車のことを説明していると思います。


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