アメリカ西海岸を中心に活躍するジャズトロンボーンの名手、アンディ・マーチンのリーダーアルバム。同地の大物ジャズドラマーであり、著名なバンドリーダーでもあるビクター・ルイスがプロデュースした作品で、ウェイン・バージェロン、ボビー・シュー、ピーター・アースキンをはじめとする豪華ミュージシャンが参加しています。バンドの編成は、ビッグバンド×3曲、トロンボーンアンサンブル×1曲、コンボ×3曲、ウィズ・ストリングス×3曲、と様々ながら、いずれもアンディを大々的にフィーチャーした内容になっています。企画として面白いのはトロンボーンアンサンブルで演奏される「Love Dance」で、何とアンディがオーバーダブ(多重録音)で5パートを演奏!個人的にはニュアンスがきっちり合い過ぎて、逆に不自然に感じる部分もありますが、アンディのバストロ演奏(これが上手い!)が聴ける貴重な録音です。しかし、アンディが本領を発揮しているのは、やはりビッグバンド編成の3曲でしょう。ビル・ホルマン、トム・クービス、ゴードン・グッドウィンという強烈アレンジ陣が1曲ずつ編曲したもので、3曲とも素晴らしいのですが、ここで紹介したいのは「Everything You Is」です。アンディとビル・ライケンバック(バストロ)の2トロンボーンをフィーチャーした曲で、名人2人による息のあったテーマ演奏とソロのバース交換はとても味わい深く、暖かな”語り合い”を感じます。全体を通じて、曲毎のカラーがあまりにバラバラなので、アンディの演奏のサンプラーのような印象ですが、演奏内容はどれも素晴らしく、また、サイドメンも活躍も見逃せません。西海岸のジャズが広く楽しめる一枚です。
▲Andy Martin, Charlie Loper, Bruce Otto, Bob McChesney, Bill Reichenbach(tb) Wayne Bergeron, Gary Grant, Stan Martin, Larry Hall, Bobby Shew(tp) Dan Higgins, Gary Foster, Pete Christlieb, Scott Martin, Greg Huckins, Tom Kubis(sax) Tom Ranier, Christian Jacob(p) Trey Henry, Chuck Berghofer, Dave Stone(b) Ray Brinker, Peter Erskine, Pete Pfeiffer(ds) 他 ▲I'll Be Around, Love Dance, Wait Till You See Her, Paz Y Jazz, The Charm Of You, Everything You Is, It Never Entered My Mind, Kubis Shuffle, The Ballad Of The Sad Young Men, So Close And Yet So Far (A Tribute To The San Francisco Giants) ▲2002年録音