ここはコンビニ。 明日の深夜、密かにここでワールドカップのチケットが オークションにかけられる。今はちょうどその24時間前。 店員一人、客は自分の他に若い女が一人だけ。 林は、雑誌を読みながらほくそえんだ。  店員が棚を並べにレジを出る。その時。 「動くな。大人しくチケットを渡せ!」 客を装っていた林は、銃を店員に向けた。 「分かった。手を出せ。」 林が手を出す。店員はその上に、ポケットから取り出した 歯磨き粉のチューブを乗せた。商品名、歯磨き粉エチケット。 「駄洒落じゃねーかっ」 怒った林が銃身で店員を殴りつける。 「ふっ。」 しかし店員は、すばやく身をかわす。 そして、銃口にチューブを突き刺し、流しいれた。 「あっ。」 「はっはっは。銃ごときにビビるような私ではない。」 店員はカウンターの中に入り、レジを開けた。 中から大量の紙片が飛び出し、宙に舞い上がる。 「これは、チケットじゃないか。」 林の視界に舞い上がる数百、数千のチケット。呆気に取られる林。 「こんな事もあろうかと思い徹夜で刷り上げた偽造チケットだ。 どれでも好きなだけ持っていくが良い。」 「ちっ、なめんなよ。」 林が店員に向け、立て続けに2発、銃を撃つ。 しかし店員は空になったレジを取り外して盾にとり、 歯磨き粉塗れの弾丸を防いでいた。 「甘い。」 なったレジを取り外し、林に投げつける。 林は辛くもそれをかわし、棚の影に隠れていた 女の客をひっ捕まえて銃を突きつけた。 「本物を出せ。こいつがどうなってもいいってのか。」 店員が止まり、鼻で笑う。その時林は、 腕に当たる彼女の首が異常に冷たいことに気づいた。 「ターゲット、ロック、オン。」 彼女が笑顔で振り向き、口をあける。 その中からまた、チケットが手裏剣のように舞い飛ぶ。 「うわっ、なんだこいつ。」 ロボット娘を弾き飛ばし、棚の影に逃げ込む。 チケットで切れた頬から、血が流れ出す。 一息ついたその時、棚に並べられた商品を突き破って女の腕が伸び、 首元を力いっぱい掴まれる。 「ふっ。この日のために妻の里美を改造しておいたのさ。」 「お前それ絶対間違ってるぞ。」  その時、窓の外から回転灯の赤い光が差し込んできた。 「おや、ちょうどいい。しかし私は呼んだ覚えなどないが。」 「ワタシガ、ヨビマシタ。」 「そうか。気が効くな。」 警察官がわらわらと、銃を構えて店内に入ってくる。 「警察だ。」 「おお。今、犯人を捕まえたところだ。」 「ここの店員だな。有印紙文書偽造その他諸々の罪で逮捕する。」 あれ。 「俺なのか。」 「当たり前だ。そこにいる二人もとりあえず署まで同行だ。」 店員の両側に男が取り付き、腕を強く掴まれる。 「いや、せめて後一週間、一週間待ってくれ。」 「嫌だ。誰がお前なんかにワールドカップを見せるもんか。 テレビもない部屋に閉じ込めてやる。結果だけ先に聞かせてやる。」 「それだけは、それだけはご勘弁を。」  必死の願いもむなしく、彼は警察にしょっ引かれていった。