細く見えるようでいて、実は意外としっかり整った体格の青年の、背中からぎゅっと抱き付いてみた。
「カナン様?」
自分の腕で、一巡りがやっとの硬い体格。大人の男性のもので。
「どうなさったんですか?」
まったくうろたえる様子も見せないのが、気にくわない。
だから更にきつくしがみ付いて、離さないとばかりに両手を組んだ。
「・・・」
ぽんぽんと、手を軽く叩かれる。その仕草がまるで、子供をあやしているようでいて、ますます気に食わない。
「・・・せれすと」
「はい」
「・・・」
自分から言うのは、ひどく勇気の要ることばだ。しかも背中から抱き付いてしまったこの状況では、行動に訴えることも難しい。
・・・しまった。失敗だ。この僕ともあろう者が。
「何でもない」
こんな意味の無い行動を起こしてしまったことが、恥ずかしい。
両手を解いて、何気なさを装って離れると、そうしたら。
「カナン様」
笑い含みに振り返られて、今度は逆に背中から抱きしめられた。
「・・・なっ、・・・んっ」
頬に添えられた手に上向かされて、口付けられる。
そうか、こうすれば後ろからでも。
そう思ったのを最後に、意識が白くなってゆく。
すこし、くちびるを離して言われた言葉。
「・・・身長差で、私の勝ちです」
「・・・っ!!」
やっぱり気に食わないので、鼻を抓んでやった。
見てろ。今度は、真っ向勝負だ。