実際その首に手を掛けてみると意外とかっちりしているのが判って、ああ男の身体だな、とも思ったりする。
引き寄せると、こちらの背丈に合わせるかのように身を屈めてくれるのが、ちょっと嬉しかったり、癪に障ったり。
その左頬に目元をぐりぐりと擦り付けてみる。擽ったいです、とくつくつ笑う喉元に手を当てて喉仏の動く感触を確かめてみたり。
悪戯を窘めるかのように手を取られたから、そのまま首筋に顔を埋めて、くすんと匂いを嗅いでみたり。
一日外で干した、布団のような匂いがする。日向の匂いとそれから、摘んだ若葉のような匂い。
ざらついたところのない、きれいな顎。そういえばいつ、髭を当たって居るのだろう?昔から、こういう身嗜みだけはそつなくきちんとこなす男だ。剃り残しを探してやろうと、唇で少し掠めてみたり。
いつの間にか長い腕が腰に巻き付いて、引き寄せられている。
大きめの掌が尻の辺りを撫でるのが何とも手馴れているようで、むっとしたり。ぺち、とその手を叩いて睨み上げると苦笑いをされつつ唇が降りてきた。
最初はやわらかく。触れるだけだったそれが、どんどんと深くなっていって。
痛いほど跳ねる鼓動に、息があがる。夢中になって首筋にしがみ付くと、折れる程の力で抱き締め返された。
もうちょっと、骨太くて肉付きの有る方が抱き心地としては良いんじゃないかと唇を合わせたまま、少し落ち込んだり。
どうされましたか、と問われてもう少し太りたい、と言うと大慌てで駄目です駄目ですと止められた。
しかしこの年になってこんな体重では、軽いにも程が有る。
そう言うと困ったような笑みを浮かべて身体が沈んだと思ったら、足元から掬い上げられた。
「んなっ!?」
「あまり重くなられてしまうと、こうしてお抱えすることが出来なくなってしまいます」
「!」
恥ずかしさの余りじたばたと暴れて、離せと言ったら歯切れ良く了承され、ぱっと一瞬手を放された。
落ちそうになった驚駭に、慌ててしがみ付く。
「き、急に離すな!」
「ですが、離せと仰せに」
「馬っ・・・は、離さなくていい!」
「はい」
嬉しそうな顔が前よりも近くなって、うまく騙されたような気分になったり。
・・・どうにも負けっぱなしで悔しかったりする。