intermission.~little tiny or thumbelina~


 眩しくなる程の濃い青天の下、辺り一面に広がるのはクローバの緑と白。

 その中をぴょこぴょこと見え隠れするちいさな人は、まるで花から花へ飛ぶ紋黄蝶のように見え、もしくはクローバ畑に一輪咲く、たんぽぽの精のようにも見え。
「カナンさま、あまり遠くへは行かないで下さい」
「うむっ」
 セレストが声を掛けると元気良く応えがあるものの、一生懸命クローバの花をかき分け三つ葉を避けて進む。

「わっ!」
「カナンさま!?」
 慌てて傍に寄ると、土の凹凸に嵌まって転んでいたりするものだから、気が気ではない。
「ああっ、ご無事ですかっ」
 セレストの心配を余所に、カナンはぴょこんと立ち上がる。泣かない。偉い。
 そして自分でちいさな身体に付いた泥を、ぱたぱたと叩いて落とした。
「なかなか無いものだなあ」
「それはそうですよ、そんなにすぐ見付かるようでは幸運のお守りになりません」
 ましてこんなにちいさな人が地面に降りて膨大な数のクローバの葉、それを一本ずつ確かめていたのでは。

 そう思ったけれども口には出さない。何だかどうにも日々苦労の多い(誰の所為だか)セレストを見かねてか、少しでも運が向くよう言い出してくれたカナンの厚意が嬉しかったし、・・・それにあまりちーさいからちーさいからと連呼すると、容赦の無い炎の矢が飛んでくる。

「むう」
 くちびるを尖らせつつも、しかしへこたれた様子をカナンは見せなかった。よし今度はあっちで探そうなどと言い、またひよひよと金髪を春風に遊ばせて駆けてゆく。見失わないようにするセレストは必死である。
「カナンさま足元にお気を付けくださ・・・」
 言ったそばからまた、ころんと転がるミカンのような姿が見えた。深く嘆息する。
「カナンさま・・・ですから足元を」
「むかー!どうしてこう、あっちこっち土が掘り返されてるんだっ」
「もぐらが居るようですね。春になって暖かくなったので、出てきたのでしょう」

 見ればクローバの群生の隙間、あちこちに盛り上がった土塊がカナンの行く手を阻んでいる。
「おお、もぐらか!見たことないぞ」
 泥のついた顔を輝かせるカナンをやっと捕まえて手巾で拭ってやりながら、「私も見たことはないですねえ」とセレストは笑った。
「何だ、セレストも見たことはないのか」
「はい。夜行性の動物ですし、それに音に敏感で地面に伝わる人の足音だけで逃げてしまうらしいですよ」
「それなら良い案があるぞ。この僕が直々にこのトンネルへ潜入して待ち伏せをすれば」

「だめですよ」

 そう言ってセレストはカナンを胸のポケットへ仕舞い込んだ。
「もぐらに攫われてしまったら、何といたします」
「うーむ、流石に親指姫よりは大きいと思うんだが」
 それはそうですね、と微笑ってセレストは立ち上がった。もう昼が近い。

「あっ、まだ見つけてないぞ、四つ葉」
 そう言われてまた笑って、そっとポケットを手で押さえる。


「これ以上の幸運は、要りません」














あ〜あ〜あ〜、・・・

ちっちゃい物語は書いてる自分がいちばんハッピーになれるので大好きです。
煮詰まった時の現実逃避にピッタリです☆ (・・・)



同じく煮詰まり気味のなつめ嬢に捧ぐ。ガンバレ!
20030404.yuz

・・・ちゅーかワタシもガンバリなさい。(="=;)
<BGM:★CANDY POP IN LOVE★/Tommy february6>