ゲルマニウムラジオを作って災害に備えよう


●ゲルマニウムラジオとは?

皆さん、ゲルマニウムラジオと言うものをご存じでしょうか?そもそもラジオってどうして音が鳴るんでしょう? 電子工作を始めた頃に大抵ラジオの制作から入り、そのような疑問を持ったことがあると思います。
詳しい原理は専門書に譲るとして、昔は検波を鉱石で行っていたのをゲルマニウムダイオードでやるようになったからゲルマニウムラジオなのです。じゃあゲルマニウムダイオードを使っているラジオを全て「ゲルマニウムラジオ」と呼ぶかというとそうではありません。実際にラジオの内部を見ると、ゲルマニウムダイオードを使っていないラジオは殆ど見あたらないのでは無いでしょうか。それでは何故ゲルマニウムラジオなのか?
一般的にゲルマニウムラジオと言った場合、電源を使わないラジオのことを言います。そんな馬鹿な、電源が無くて音が出るはず無いじゃないか…と文句の一つも言いたくなるのですが、事実電源が無くてラジオが聞こえてくるのです。電子工作を始めて一番最初に作ったゲルマニウムラジオ、しかも何故か電池が要らない。それが完成し、イヤフォンから音が聞こえてきたときの感動は忘れられません。同じ様な体験をされた方も多いのでは無いでしょうか。
さて、では何故今さら初心者の題材でもあるゲルマニウムラジオなのでしょう?それは、たまには初心に戻ってみようと言うのもありますし、当時の技術では上手に出来なかったけど今はそれ以上に仕上げられるだろうし、なにより電源が要らないので災害時にもってこいなのです。放送局が壊れたらおしまいですが…。
皆さんはいわゆるクソゲーにハマったことがありませんか?凄くつまらない、くだらないゲームなのに一生懸命レベルを上げてるとか、テクニックを磨いてるとか。ゲルマニウムラジオも今作れば、その対象になり得るのでは?例えば帽子に組み込んでみるとか、思いっきり小さく作ってみるとか。仕組みが単純ゆえにカスタマイズ心をくすぐられるのは私だけでしょうか…

●用意するもの

さて、前置きが長くなってしまいましたが早速作ることにしましょう。
必要なものは、
AM用ポリバリコン,AM用バーアンテナ,ゲルマニウムダイオード(1N60等)
クリスタルイヤフォン,コンデンサー(100PF)×3

それと、以外と忘れがちなのが
配線用スズメッキ線,配線用ビニール線,ケース,基板を止めるネジ
基板(ユニバーサル基板とかラグ板とか)

です。どの部品も正確なものを揃える必要はありません。ポリバリコンとバーアンテナ、クリスタルイヤフォンは選択の余地がありません(それぞれ数種類しか出回っていない)し、ゲルマニウムダイオードはガラスパッケージのダイオードなら大抵どれでもOKです。コンデンサーなんてその辺に落っこちている電気製品を引っ剥がせば3個は見つかるでしょう。
もしどうしても部品が見あたらないとか、どこで売ってるのかわからないのでしたら左図の店に行きましょう。ラジオストアの2Fにある店です。ここならすべてのゲルマニウムラジオ用部品が手に入ります。まあ安いわけではありませんが…私も昔お世話になりました。
その他にラジオ用の部品を売ってるところは何カ所かありますが、大抵すぐ見つかるので歩き回って捜してみて下さい。FM用のポリバリコンも存在するので注意が必要です。AM、FM共用ポリバリコンの場合はどの端子がAM用か店の人に聞いて置いて下さい。ケースはプラスチックの200円位のものを使えばいいでしょう。路地裏の千石電商という店で数種類扱っています。

●回路図

これが回路図です。今さら説明の必要も無いくらい皆さんご存じでは?
バーアンテナ、ポリバリコン、ゲルマニウムダイオード一個、クリスタルイヤフォンは必須ですが、その他の部品は無くても構いません。無視して作ってもちゃんと音が鳴ってくれます。が、ダイオードだけは2個付けた方がいいでしょう。音量が大きくなるはずです。これくらいの回路図でしたら空中配線(笑)でもいけますが、一応基板に組んでおきましょう。ラグ板でもユニバーサル基板でも好みの方でやって下さい。ユニバーサル基板だとだいぶ小さく組むことが出来ます。
アンテナにはビニール線を使います。ありったけの長さのビニール線を、大地と水平に横にピーンと張ります。ベランダの物干し竿を利用すればいいでしょう。その他に、家の中にあるアース端子にアンテナを接続すると聞こえる場合があります。アンテナを張る場合には、ピーンと張ったアンテナの垂直二等分線の延長上に放送局が来るような角度に調節します。これがずれていると思ったように鳴ってくれないので注意が必要です。

●実際に使ってみて

どうでしょう?実際に作ってみると電波の影響にもよりますが、思ったより大きな音で鳴ってくれるのではないでしょうか。東京地区なら問題は無いと思います。
が、東京地区では聞こえる事は聞こえるのですが一つ問題があります。文化放送の電波が強すぎるのです。恐らく何処にチューニングを合わせても文化放送しか聞こえないのではないでしょうか。しかも他局と混信します。こればっかりは性能の限界で、ゲルマニウムラジオではどうしょうもありません。実際のラジオでは混信を防ぐために工夫がしてありますが、自分での工作程度ではそこまで凝る必要はないでしょう。
敢えて言うなら、今度はもっとはっきりした音が出る、又はスピーカーを使ったラジオを作りたいと思ったのでは?既にそんなの卒業したぜ、という声も聞こえてきそうですが、昔作った頃を思い出しながらもう一回作っても損はないのでは。そして出来たラジオは従兄弟とか友人にあげてしまいましょう。

ゲルマニウムラジオは電池が要りません。一家に一つ、防災袋の中に入れておいても無駄では無いと思います。是非馬鹿にせずに一度試してみて下さい。昔の感動が蘇るハズです。
1997 Copyright JSRC<Y.Hayashi>