エミリー・ディキンソン(1830-1886) アメリカの詩人

エミリー・ディキンソンは100年以上前の詩人ですが、その詩は美しく、孤高の境地に達しています。晩夏の季節の、去りゆく暑さを惜しむ頃の印象が、いつも私には感じられます。 私が日本語の訳を作りました。

百年あとには
この場所を知る人は誰もいない
ここで演じられた大きな苦悩も
平和のように静かだ

雑草がわがもの顔にはびこり
見知らぬ人々が散歩にきて
もう遠い死者の
さびしい墓碑の綴字を判読する

夏の野を通り過ぎる風だけが
この道を回想する
記憶の落としていった鍵を
本能が拾い上げて--

私が好きなその他の詩
1 Success is counted sweetest 成功を遂げたことのない人にとっては
2 If I can stop one heart from breaking ひとりの心が挫けるのを途中で抑えることができれば
3 Within my reach 手の届くところにあり
4 A wounded deer leaps highest, 傷を負った鹿は一番高く跳ぶと
5 The heart asks pleasure first, 心はまず快楽を求める
6 Some things that fly there be, -- そこを飛ぶものたち
7 To fight aloud is very brave, 大声を出して戦うのはとても勇ましい
8 When night is almost done, 夜がもうすぐ明け
9 Pain has an element of blank, 苦痛には空白な要素があり
10 I had no time to hate, because 私には憎むべき時はなかった
11 'T was such a little, little boat 湾を危なげにさまよっているのは
12 I'm nobody! Who are you? 私は誰でもない! あなたは誰ですか?
13 Hope is the thing with feathers 希望は羽根をもち
14 Delight becomes pictorial 苦痛を通して見ると 喜びは絵のように見える
15 A thought went up my mind to-day 今日 ふとある思いが私の心をよぎった
16 Before I got my eye put out, 私の目が見えなくなってしまう前に
17 I many times thought peace had come, 幾度も 平和は来たと私は思った
18 A word is dead 言葉が口から出たら もう死んでいると ひとは言う
19 It's such a little thing to weep, 泣くなんて 小さなこと
20 My life closed twice before its close; わたしの生涯はその終わりの前に二度終わった
21 While I was fearing it, it came. 恐れていたことが 訪れたけれども
22 Nature rarer uses yellow ほかのどの色よりも 自然は黄色を使わない
23 As imperceptibly as grief 悲しみのように ひそやかに
24 Presentiment is that long shadow on the lawn 予感は 芝生の上の あの長い影
25 Proud of my broken heart, since thou didst break it, あなたがお破りになったから、私はこの破れた心を誇ります
26 I like a look of agony, わたしは苦痛の表情が好き
27 I reason, earth is short, 私は思う この世ははかなく
28 If I shouldn't be alive, 駒鳥たちがやって来た時に もし 私が生きていなかったら
29 After a hundred years 百年あとには
30 Water is taught by thirst 水は 渇きによって 教えられる
参考文献
 1  「エミリ・ディキンソン 研究と詩抄」 新倉俊一 著 (1962年 篠崎書林) 
「ディキンソン詩選 THE POEMS OF EMILY DICKINSON] 新倉俊一 解説注釈 ( 1967年 研究社小英文叢書 )
「ディキンソン フロスト サンドバーグ 詩集」 新倉俊一 安藤一郎 訳 ( 1968年 世界詩人全集 12 新潮社 ) 
「エミリ・ディキンスン詩集 自然と愛と孤独と」 中島完 訳 ( 1964年 国文社 )
「エミリ・ディキンスン詩集 続自然と愛と孤独と」 中島完 訳 (1973年 国文社 )
「エミリー・ディッキンソンの生涯 −ディッキンソン家の人びとー」 アイリン・フィッシャー、オリーブ・レープ 著                       江間章子、江間美保子 訳 ( 1969年 東京メディカル・センター出版部 )
「ディキンソンの詩法の研究 ー重層構造を読むー」 古川隆夫 著 ( 1992年 研究社出版 )
「対訳 ディキンソン詩集 アメリカ詩人選(3)」 亀井俊介 編 ( 1998年 岩波文庫 )
9 「海外詩文庫 2 ディキンスン詩集」 新倉俊一 訳編 ( 1993年 思潮社 )
10 "Poems by EMILY DICKINSON" Edited by MARTHA DICKINSON BIANCHI and ALFRED LEETE HAMPSON
( 1957 LITTLE, BROWN AND COMPANY )
11 "The Complete Poems of EMILY DICKINSON" Edited by Thomas H. Johnson
( 1960 LITTLE, BROWN and COMPANY )