散策記録 2004 後期
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2004/12/22
一年中で昼が一番長く、夜が一番短い日の夜に、その草花の滴が魔法の薬になるという。
その草花とはワイルドパンジー系のもので、数滴を身体に垂らしてみた。
しばらくすると、手足がムズムズして、じっとしていられなくなった。
イタズラ妖精のように、飛び跳ねまわり加速してゆく。
ほいきた、都内を数秒で一回りで走れそうな勢いだ。
ソレキタ、数分で東海道53の名所周り。珍騒動やらかす。
いたずら仔犬はやりたい放題のスラップスティックス。
サイボーグ009の加速装置、広瀬正のタイムマシン、平井和正や筒井康隆たちの発案の
時を超える世界。
真冬の夜になして此のような夢をみているのかというと、寝ても醒めても仕事では
「真夏の夜の夢」の舞台の上にいるからか。

2004/11/18
身体から夢が抜け出て、紅葉の風景によこたわっている。
はみ出て滲んで見聞できる、メディアチップスのようだ。
こちらのハードディスクとは分離している夢の断片。
魂が形式ならば蒼ざめてふるえているものはなにか。
地にかがみ耳をおおい眼をとじてふるえているものはなにか。

2004/11/03
エーゲ海の周辺から百の大理石の断片となった翼の部分が見つかり復元された女神
「ニケの像」。
翼をもったニケは勝利を祝福する時にのみ地上に降り立ち座ることはないという。
そのドキュメントの撮影にクルーのヨットをチャーターしてきた。
スポンサーは女神の語源から社名にした「Nike」というスポーツメーカー。
古代では戦艦の先につけられた勝利の女神像らしいと現地の長老は語る。
「戦の勝利がアテネから飛んで逃げないように翼がない像を拵えてた。
だからアテネのニケの像には翼はないのだよ」
女神アテネの分身かも知れない。サモア島のニケ像は、どこかで見覚えがある翼の
彫像だった。
そうだ、JR奈良駅の待合室には、この形状のレプリカント彫像あったはずだ。

2004/10/22
中東アジア諸国を遍歴し、イタリアの南にある小さな島へ着いた。
百合の花が咲き乱れて、ラテン乗りの男の歌が聴こえる坂道を登った。
港の見える食堂へはいって、現地製造のワインを飲み干した。
オリーブオイルと料理のどれもが旨くて、忘れていた豊穰な感覚を思い出す。
匙は味を知らない、匙はそれが運ぶ糧を味わえない。
わんわんはワインを飲みすぎて、パタパタ上機嫌の尻尾が止まらない。
さあ来週はピュタゴラスがいるという、サモス島へ船を奔らせようかな。
ピタゴリオの画像
http://www.geocities.jp/awaya_s/samos.html
http://sapporo.cool.ne.jp/cappa/A5_1.htm

2004/10/01
山から白い蛇が川へ、うねうねと移動している。
そして海へと向かっているようだが、天の潜りまでは付合いきれないな。
十月は八百万の神々が、根の堅州国に集まって神不在となるので、「神無月」といわれ
ているそうだ。
カンナといえば、生まれた家の先隣が大工さんで、鉋(かんな)でシュルシュルと材木
を際削って、蛇行するカンナ屑で遊んだものだ。科学合成物が含まれていないから、
燃えて白い灰となりゴミにならない。
全ての神々の一時不在も空白となる事で穢れが禊払われ清められて、新しい命が更新
されるという。
「神無月」ふしぎなならびの文字ではある。
文字というよりは映像がうかぶ、絵画にちかい絵文字に見える。

2004/9/9
世俗に汚れずにありのままで在り続けてきた場所があるという。
古(いにしえ)より多くの人が聖地を求めたのはありのままの本当の自分に出会うため
だったのか。
奥深い歴史と清々しい自然に身を浸しながら考えよう、世俗に汚れずにきた所は本当
にあるのだろうか。
天体からの光を遮り人々の眼を塞ぐ雲は、喉を潤すの雨をもたらすものだ。
雨に濡れながら、聖なる地もまた何かに塞がれつつあると感じて「聖地行きの切符」
を破り捨ててた。
そうしたら途端に、雲間から射す陽のように晴々とした気持ちを取り戻した。ワン。
「私は吸気(inspiration)ではなく呼気(perspiration)で言うだろう」
あらゆる神の名も聖なる名も鵜呑みにするのは如何なものか。
ひとつのブランドメーカーを崇め奉りて儲けさせるようなものだろう。

2004/8/12
航海中の甲板から海へ飛びこむと、海豚の群れが歌いながら取り囲み、マカジキやマグロや
奇妙な顔の魚たちも寄ってきた。笛かオカリーナ−があれば、その歌を一緒に演奏したい。
名詩人 アリオンが海豚の群れに奏でた竪琴がここにあったらいいなあ。
魚たちはどう聴こえるのか。
太陽の子アポロンが少年の頃から持っていたものだった。
盗賊の神ヘルメスが子供の時に、アポロンから盗んだ牛から盗った弦と亀の甲羅で作られた
という。
その音にすっかり魅せられたアポロンが、牛を盗まれた事も忘れ黄金の杖ケリュケイオンと
交換した竪琴。
アポロンが竪琴を弾くと、動物や小鳥や蝶や花や樹木や石や岩までが聞き入って、
心を和ませ動きを止めて音楽の魅力に惹かれててしまうそうだ。
泳ぎながら海豚の放つ陽気な笑い声を聞きながら、この鳴き声にはアポロンが竪琴の音の
成分が記憶されているのかも知れないと耳の鼓膜は時を超克してゆく。
一滴の水のように意識の中に現れるものを霊魂というなら、すべての海のような現象の中の
隠された魂と結びついているようだ。
人がすべての現象の中に魂を見ようとするのなら、自然海原の中に自身を見るのと同じ仕方
で波間に見ることを、海豚の声は語りつづけるようだ。
喜びと楽しみという生命の養分を豊饒なリズムで供給してくれるような声だ。
頭上にサンサンと降りそそぐ太陽の光のせいなのか、今ならアリオンが奏でた音楽を鼻歌
でも歌えるし、波にゆられながら弦も自在奔放に弾けるようだ。
どこまでも青い海がつづく。

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