MagicLink - The Missing Link between PalmTop and Palm

みなさんは Magic Link という PDA を覚えているだろうか? というよりも,そもそも知っているだろうか? PDA の名機 U.S.Robotics Pilot の発売よりも前にアメリカでは発売され,日本でも1995年,NTTによって実験サービスPaseoが行われた時に使用されたソニー製 PDA,それが Magic Link だ。通信機能に重点をおいたデバイスで,それゆえ PDA ではなく PIC (Personal Intelligent Communicator) と呼ばれていた。左の写真が Sony Magic Link PIC-1000 Personal Intelligent Communicator である(日本のPaseoサービスでは後継のPIC-2100Jが使われた)。 NTT Paseo サービスの実験ではこのソニー製MagicLinkと松下製デバイスの2種類が使用された。
PIC-1000 のおおまかなスペックは次のようになっている。

マイクロプロセッサ モトローラ32ビットマイクロプロセッサ 68349 16MHz
表示装置

480x320 ドット(ハーフVGA),モノクロ4階調
感圧式ペン入力

モデム

データ 2400bps 全二重
ファックス 9600bps

メモリカード PCMCIA TypeII x 1
赤外線通信 MagicLink同士での 38.4kbps データ通信可能
電源 専用ACアダプタ,充電式バッテリNP510,単4乾電池x6
寸法 195.0mm x 38.0mm x 141.5mm
重さ 約580g

68349 プロセッサは Dragon I と呼ばれる 68000系 MPU だ。ちなみにPalmに搭載されているのは68329 DragonBall で,いってみれば兄弟みたいなもの。
MagicLink は米ジェネラルマジック社の開発した携帯型情報端末用オペレーティングシステム MagicCap を搭載している。ジェネラルマジック社は,アップルコンピュータでQuickDraw を開発したあのビル・アトキンソンが設立した会社で,優れたユーザインタフェースと高度な通信機能によって個人の日常生活をサポートする情報管理・検索機能を提供するソフトウェアの開発を目指していた。ジェネラルマジックの開発した2つの大きな技術が MagicCap と Telescript だ。MagicCap は情報端末装置向けのオペレーティングシステムである。オブジェクト指向OSであり,GUI機能をはじめとしてすべての要素をオブジェクトとして扱っている。MagicCap による画面のイメージは右の写真のような感じで,Macintosh の HyperCard に近い感じもしたりする(HyperCard を開発したのもビル・アトキンソンなのだから当然といえば当然)。机の上の状態を再現していて,左から,電話(をかける),アドレス帳,メール,メモ帳,スケジュール帳となっている。また,中央の壁のところには受信箱(InBox),送信箱(OutBox)が掛かっている。右端のキャビネットにはメールを分類して保存することができる。右の引出しには電卓などのツールが,左の引出しには手紙のテンプレートが入っている。非常に分かりやすく遊び心に溢れたインターフェースではあるが,その反面慣れてくると少々まどろっこしい操作感がナニな感じでだったりした。そして,このMagicCapのコミュニケーション機能を支えているのがTelescript。エージェントがネットワーク上を自由に行き来して,情報収集やチケット予約,複数の人の間でのスケジュール調整などを「賢く」こなしてくれる,そんなエージェントワールドが描かれていた。
このジェネラルマジック社のすばらしい技術は次世代の情報端末の本命と目され,ジェネラルマジック・アライアンスとして通信,コンピュータメーカがこぞって提携関係を結んだ。提携関係にあった日本企業は,
ソニー(株),松下電器産業(株),NTT,富士通(株),(株)東芝,三菱電機(株),沖電気工業(株),三洋電機(株)
である。MagicCap/Telescriptのサービスには独自の通信インフラの構築(Telescriptサーバ他)が必要であったのだが,ちょうどインターネットの勢いが一気に加速していた時期にあってこの流れに乗り切れず,優れた技術であったにもかかわらず消え去ることとなった(合掌)。
そんなゼネラル・マジック社であるが,今では,音声を使ったサービス・コミュニケーションのためのソフトを開発する会社に生まれ変わっている。myTalkとPorticoの2つの製品がそれである。生き残ってはいるもののMagicCapが蘇ることはあるまい。
ソニーはMagicLinkの前にもPalmTopというPDAを発売していた。そして今,ソニーが Palm のライセンスを受けることが発表された。 PalmTop と Palm,その間の missing link として MagicLink は確かに存在していた…

Posted on April 26, 2002 | Permalink

エクセ(ル)シオールの謎 - Lか,Iか?それが問題だ

ドトール[1]は,それぞれの業態に合わせた複数のブランドを使い分けて展開している。その中で「サラリーマンの憩いの場 - ドトール」を,スターバックス[2]に対抗すべく「こジャレた貧乏人」向けにアレンジしたものが「エクセルシオール・カフェ」である。

エクセシオールとエクセルシオール
ここでひとつ注意していただきたいのが,「エクセルシオール・カフェ(Excelcior Cafe)」が登場するよりも以前に,「カフェ・エクセシオール(Cafe Exceicior)」「エクセシオール・カフェ(Exceicior Cafe)」が存在していたということである。会社沿革[1]によれば,「カフェ・エクセシオール1号店」の出店は1991年2月で,「エクセシオール・カフェ1号店」の出店は1997年4月のようである。そして,「エクセルシオール・カフェ1号店」は1999年8月出店となっている。以下,この「エクセ3兄弟」について概説する。

カフェ・エクセシオール

「カフェ・エクセシオール」は「優雅なカフェ」をテーマとし,コーヒーだけではなく,夜にはビールやフードを提供する業態である。つまり,対プロント[3]として昼と夜の両方に対応するカフェを展開した。このようなカフェ・バースタイルの店舗はコストがかかるため撤退。

エクセシオール・カフェ

「エクセシオール・カフェ」は「パリの小粋なデザ−トカフェ」をコンセプトとした,デザートメニューを充実させた業態である。イタリアン・エスプレッソを提供するエクセルシオール・カフェとは,名前以外は似ても似つかぬ店であり,オレンジを基調とした店舗デザイン,ロゴデザインも全く異なっている。現在,池袋、新宿、恵比寿、大宮など数店舗のみが出店されているに留まる。

エクセルシオール・カフェ

「エクセルシオール・カフェ」は「イタリアン・モダンをテーマに本格イタリアンエスプレッソが楽しめるエスプレッソ・カフェ」である。対スターバックスとしていわゆる「グルメコーヒー」の提供をターゲットとしているが,エクセシオール・カフェ等でこれまでに培ったフードの充実がスターバックスとの差別化となっている。

以上が,「エクセ3兄弟」である。このように名前こそ似てはいるものの,それぞれが全く異なったコンセプト,ロゴデザイン,店舗デザイン,業態をもっており,これらを明確に区別することができる。区別できるハズなのである…。しかし,ここに一つの問題がある。エクセルシオール・カフェは出店時期によってはエクセシオール・カフェ(※エクセルシオールでないことに注意!)の名前で展開されていたのである。つまり,デザートカフェではなくイタリアンエスプレッソのエクセシオール・カフェが存在するのである。これだけでも十分ややこしいのだが,さらに問題は奥深いことが発覚した。

Lか,Iか?それが問題だ

右の写真は五反田の「エクセルシオール・カフェ」の写真である。これを見て,重大なことに気づくはずだ。店のロゴが明らかに EXCEISIOR なのである。最初のは l (小文字のエル)で2つめが I (大文字のアイ)とは言わせないぞ。五反田店は「エクセルシオール」じゃないのか? L なのか I なのかハッキリしてくれ!入り口にかかってるカップのロゴマークは上の「エクセルシオール・カフェ」の項に示したロゴになっている。つまり,EXCELSIORになっているのだ。


ちなみに,名古屋にある「エクセルシオール・カフェ」は右の写真にあるようにちゃんとEXCELSIORになっている。

まとめ
以上のように,ドトールにおける「エクセ」ブランドは,時流に合わせ,その時々のオシャレ感を取り込む変幻自在なブランドであることが判明した。しかし,その変化の過程で,ブランドの扱いにドトール自身も混乱をみせているようである。また,google などの検索エンジンで「エクセルシオール」「エクセシオール」をキーワードに検索してみると,一般人の間での混乱も深刻なものであることが見て取れる。店の顔,商品の顔であるブランドの,このようなお粗末な扱いもまたドトールらしいのであろうか。
嫌煙派の私はドトール/エクセ嫌いなので,全面禁煙のスターバックスに感謝。でも,ドトール/エクセのフードにはとりあえず感謝しておこう。そして,エクセの謎を指摘して下さった taka 氏にとても感謝(ようやく,まとめました ^^;)。

後日談
いつ変更されたのかは不明だが,2002年8月1日に確認したところ,五反田エクセの看板ロゴがEXCELSIORに変わっていた!

参考文献
[1] (株)ドトールコーヒー: http://www.doutor.co.jp/
[2] スターバックス コーヒー ジャパン (株): http://www.starbucks.co.jp/
[3] プロント: http://www.pronto.co.jp/pronto/

Posted on April 01, 2002 | Permalink
April 2002
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