NO WAY BACK 逃走遊戯 No Way Back

出演:ラッセル・クロウ=ザック・グラント(シングルファーザーのFBI捜査官) 豊川悦司=ユウジ(NY在住のスリムなヤクザ) ヘレン・スレイター=メアリー(世界一ひどい日本語を話すスチュワーデス) マイケル・レーナー=フランク・セラーノ(マフィアのボス) イアン・ジーリング=ヴィクター・セラーノ(マフィアのボスのドラ息子) ケリー・フー=セイコ(ザックの部下、FBI女性潜入捜査官)



何が可哀相ってこの映画のイアン・ジーリング君。こんなヘンタイな役で、顔もロクに映らず、しかしお尻だけはしっかり映っていて、ファーストシーンで殺されてしまうなんて…日本資本のこの映画に起用されたのは、「ビバリーヒルズ青春白書」のスティーブ役での知名度を買われての事だったろうに、もっとマシな使い方をして上げればいいのに。

…なんて言ってますが、本当は彼の事などどうでもいいのです。えーと、ラッセルの話…

ま、とにかくイアン君はロスアンゼルスのマフィアのボスの息子役。彼を殺したのは、娼婦に化けて潜入したFBIの日系女性捜査官、ミス・セイコ。(この女優さんは、どう見ても中国人ぽいんですが)彼女を送りこんだ責任者が、上司のFBI捜査官、シングルパパのザック・グラント←我らがラッセルです。

盗聴機を仕掛けるだけのはずだったザックの部下、新米捜査官のセイコが、突如としてスーパーヒットウーマンに変身、ターゲットのイアン君とその護衛たちを皆殺しにして、自分は自殺してしまいます。この事から、ザックはマフィアとFBI上層部の両方ににらまれるはめになり、窮地に追いこまれる…というのがこのお話の発端です。

このザック・グラント捜査官、主人公ですから有能という設定のはずなんですが、その割に時々「おいおい」とつっこみたくなるような事もしてくれます。その一つがこのミス・セイコを、ロクに背景も調べんと大事な任務に送り出した事だと思うんですが…。で、調べてみるとこのミス・セイコ、ニューヨークのヤクザ、ユウジと接触を持っていたことがわかります←これが豊川悦司。ニューヨークに飛んだザックはユウジを逮捕するのですが…

以下、ストーリーは省略。

実は私、このあたりまではあんまり感心しませんでした。ストーリーはまあまあですが、セリフと演出がいかにも安っぽくて…TVの刑事ドラマ(それも、日本の)って感じ。ザックは男やもめで、カワユイ息子がいるのですが、「ザックが夜遅く帰って来ると息子はもう寝ていて、枕元には彼の描いたパパの絵が…」というシーンなんて、「ドラマでよくある風景」のベスト10に入りそう。まあラッセルも売れる前だし、こういう映画に出てるのもしょーがないかなあ、などと思いながら観ていたのですが…

しかし…ありがたいことにこの映画、それだけでは終りませんでした。

ユウジを捕まえてロスに護送しようとするザックですが、いろいろあって非常にやっかいな状況に陥り、2人は仲良く(?)車で旅する羽目になります。しかもなぜかここに、二人の乗っていた飛行機のスットンキョーなスチュワーデス、メアリーが加わります。これがザックにとっては不運、観客にとっては幸運。…ここからこの映画は「日本の刑事ドラマまがい」から「アメリカ映画の十八番、珍道中ロードムービー&バディムービー」に変身します。

このスッチー(<この呼び方は嫌いなんですが、彼女にはぴったりかも)、怪しげな日本語を話し、妙な性格分析論を振り回し、生きるか死ぬかって状況の時には突然歌い出す…というようなワザを繰り出して、ザックをイライラさせてくれるのですが…演じるはヘレン・スレイター。この映画における彼女の功績は、なかなか大きいと思います。ヘレン・スレイターは「端正な美貌が災いして売れない」女優のひとりですが(<私の独断)、こういう女優にはやっぱり、コメディですっとぼけた役を演らせるに限る!という好例ですね。ブルック・シールズも「フレンズ」でストーカーに扮してジョーイの手を舐めまわしていた時が一番生き生きしてたし…(わが国における例:沢口靖子)まあ、本人にコメディセンスがなければ悲惨なことになりますが…おっと、話がそれました。

ロードムービー&バディムービー(=最初は対立しているけど、一緒に旅しているうちに友情が芽生えるというパターンの映画)には、主人公たちが仲良くなってゆく過程でユーモアが不可欠。しかしこの映画のラッセルは割と普通のタフガイキャラで、おまけに心にトラウマを抱えています。(トラウマと言っても、バドやコートやマキシマスには「甘い!」と言われそうな程度ですが…)この人とコンビを組むなら彼とは対照的な、もっとお調子者のキャラの方がバランスが取れると思うのですが、残念ながらユウジ(トヨエツ)もどよーんと暗いキャラ。(2人の体型は対照的ですが。)このコンビだけではかなりツラいものがあるのですが、メアリーというボケ役が加わったことでトリオとしてバランスがとれ(<芸人かい)、あとはなかなか快調。ほのぼのとしたオマヌケ感が漂い、最後まで楽しく観られます。(うーん、アクション映画の感想とは思えん…)

結局、シリアスよりすっとぼけたのが好きだという、単なる私の好みの問題なんでしょうけどね。

ところで、ネタバレ==>事件の後、ザックはメアリーと、つきあっているんでしょうかね?それともただのお友達?メアリーにイライラしながらも、息子の命の恩人なのでムゲにもできずに付き合う→そのうちに息子がなついてしまい→気がつけば押し切られて結婚、なんてパターンになりそうな気が…<==ネタバレちょっと見てみたかった気もします。


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