クイック&デッド The Quick And The Dead

出演:シャロン・ストーン=エレン(一応主役) ジーン・ハックマン=ヘロッド(悪役) ラッセル・クロウ=コート(元ガンマンの牧師) レオナルド・ディカプリオ=キッド(ヘロッドの息子)

この映画、私は実は大好きなんですが、まず、欠点から言ってしまいますと…「シャロン・ストーン!」

…はい、この映画が彼女の映画だということはわかってます。ラッセルはじめ、レオ君やジーン・ハックマンも、そもそも彼女の力あってこそこの映画に出ているんだということもわかってます。でも、出来あがった映画を見ると、彼女がバランスをくずしているんだからしょーがない。

そもそも、主役であるエレンのキャラが、よくわかんないんですよ。このひとは、知る人ぞ知る凄腕女ガンファイターなんでしょうかね?それとも、そこらでちょっと空き缶撃って練習してきた、人を撃ったこともない普通の女の子(?)なんでしょうか?映画をすなおに観ていると後者のようなんですが、それならばシャロンのような年齢と貫禄の女優がやるのは違和感があるのですよね。前者(凄腕女ガンファイター)という設定ならば、「おお、彼女があの噂のレディ・エレンだったのか!」てなシーンがないとおかしいし。

エレンの背景も、もったいぶってフラッシュバックする割にはつまんないんですよね。「父を殺された復讐」って、あんまりヒネリもないし。それよりも、ヘロッドとキッドの話(屈折した親子関係)と、ヘロッドとコートの話(屈折した擬似親子関係+ホモセクシャルな含みもあり?)の方が面白い。

いや、ヘロッドがクローゼットゲイ(もちろん愛しているのはコート)だというのは私が勝手に思ってるだけの超拡大解釈なんですけど、でもそういう気しない?コートへのあの歪んだ執着ぶりは。それに「町の権力者」の割には、愛人のカゲもないし、娼館に出入りしている様子もないし、エレンに「君にどうしようもなく惹かれてきたよ」と言った口調のウソ臭さといったら。ラスト近くでエレンにあらためて「お前は何者だ!」と聞くけど、今まで調べてなかったんか?よっぽど興味なかったんだなー、と笑ってしまいました。ホンとにヘンな映画…主役が悪役にこれほど気にされてないなんて(笑)。

ヘロッドが気にしているのは終始一貫、コートなんですよね。「決勝戦」で興奮した様子で「ずっとお前と対決したかった、初めて会った時から」ってあなた、それは普通は主役に言うセリフよ。しかし彼の執着にくらべて、コートの方はいたってクールで、エレンが色仕掛け(?)でセマってきて「アタシにヘロッド、殺させてねー」と言われたらあっさり「うん、いいよ。」と言うし。哀れヘロッド、片思いですね(笑)。

それからキッドくん。彼の父親は本当にヘロッドなんでしょうか?それともヘロッドが疑っていた通り、母親の浮気相手との子供なんでしょうか?私は後者に一票(笑)。(ヘロッドが実の父親では、レオファンも納得すまい…)彼はナマイキな口をきく割には、人の好さが顔にあらわれていて、そのへんがヘロッドに「俺の子ならこんなに可愛らしいはずはない」と思われてしまうゆえんなんでしょうね。(ついでに言っておくと、やっぱりレオ君って演技うまいよね。)考えてみれば、キッドってかわいそうな奴だよなあ。母親は父親に殺されてしまうし、父親はよその早撃ち少年連れて、どっかに銀行強盗しに行ってしまうし、悲惨な少年時代(笑)。それなのに、父親に認められたい一心で一生懸命早撃ちの練習をするキッド少年の姿を思い浮かべると、おもわず笑える…いや、泣けてしまいます。

これだけの含みをもちながら、話自体はエレンが主役で進むんで、なんかバランス悪い感じの映画になってます。でも、そのバランスの悪さが逆に魅力になっている気もする。これで単純にコート主役で話を作ったら、モロに「マカロニ・ウェスタン」になりすぎる気もするし。(といっても、マカロニ・ウェスタンあんまり見たことなくてよく知らないんですが…)



この映画について私が知っている2、3の事柄

The Quick And The Dead Unofficial Site
この映画のエキストラをやっていた人が作った非公式サイトです。

このサイトのラッセルについてのの欄によると、ラッセルは「カメラが止るととたんにベタのオーストラリア弁が戻ってきて、カメラが廻りはじめるととたんに消え失せるところが面白かった」そうです。
また、コートが酒場で「首吊り」されるシーンはある夜に16時間もかけて撮影されたそうで、ラッセルはその間ずーっとつまさき立ちで首にロープをくいこませてなければならなかったそうで、それを見ていてこの方はラッセルのことを「すごく尊敬してしまった」そうです。

・この映画、特にラッセルの演じた「コート」には、かなり聖書とのパラレルが感じられます。名前からしてCORT(キリスト=CHRISTと綴りが似てる)だし、悪役の名はヘロッド(=ヘロデ、聖書に出てくるヘロデ王)だし、あの手首の傷だし、それに舞台となる町の名前がレデンプション(Redemption=贖罪)と来たもんだ。…でも、だから何なのか、と考えてもやっぱり深いイミはなさそうなところがまたこの映画らしいです。こういうことを考えさせるのがまた、サム・ライミのイタズラなのかも。 (2000.11.16追記)

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