Chapter 7 〜 ホーン岬


(p161〜p164)サプライズ、リオに到着。ジャックはアメリカのデラウェア号から、リオでリンゼイ卿のアスプ号が補修されているのを聞いていたので、リングル号のウィリアム・リードに、ドクター・ジェイコブを通訳につけて様子を探らせに派遣する。ポルトガル語の話せないウィリアム・リードと、ポルトガル語は堪能だが船のことはまるでわからないジェイコブのコンビの情報収集は難航するが、実は絵が上手だったジェイコブが船をスケッチし、補修の進行具合の大筋は判明する。アスプ号がほぼ修理を終えていると知って、ジャックは厳しい顔になる。

流氷がいつもの年より多く流れる悪天候の中、サプライズ号はホーン岬へ向かう。


7章はリオからホーン岬までの航路。たった15ページの短い章なので、さくっとゆかせていただきます。

この時の季節ですが、ジブラルタルで足止めされている時が夏でしたから、今は北半球では秋。つまり、南半球は春ということになります。

この章は、ほとんどがスティーブンのクリスティーンへの手紙の形式で語られます。以前の巻で、ジャックからソフィーへの手紙の形で、ストーリーが語られることはよくありました。

しかし…個人的に、ジャックのソフィーへの手紙は、ソフィーが読んでいるところが想像できるのですが、この手紙をクリスティーンが読んでいるところはピンとこないような。いや、想像はできるのですが、クリスティーンがこれを読んでどう反応するかが、全然分からないのです。私たち読者が、まだクリスティーンのことはよく知らないからなあ。

それにジャックは、航海の終わりごろに書いて、結局出す機会がなくて持って帰って来ちゃった手紙を、直接自分でソフィーに読んであげることもあるみたいで(どこに書いてあったか忘れましたが)…そういう親密さに比べて、スティーブンとクリスティーンはまだ他人行儀なところがあるから、ストーリーを追うのには十分でも、ジャックからソフィーへの手紙で語られるときのような、プラスアルファの微笑ましさがないのです。どちらかというと、地の文で語られるのとあんまり変わらないような。

(p164〜p171)サプライズ号はホーン岬に向かっている。例年のこの季節より流氷が多い。平らな流氷はよいが、氷山は美しいが危険である。

このあたりに住むインディオの女性はカヌーを操って、犬をつかった漁をする。サプライズ号、ある湾でしばらく休んだ後出航する。波が高く、小さな流氷がたくさん速く流れいてる。若い女と老女と犬が乗ったカヌーが高波の中を漂っている。サプライズ号は心配してロープを投げるが、女はそれを取らず、巧みにカヌーを操って岸へ戻ってゆく。このあたりで難破したことがある北欧系の元捕鯨船員ビョルンが女に声をかけ、しばらく会話する。

ジャック、あとでビョルンとその上官であるハンソンをキャビンに呼んでいろいろ聞く。ビョルン、ウィンガム・リーチという水路のことをジャックに教える。


ここのあたりの原住民の話は、かなり印象に残っています。まず、その部族は女性が漁をして食べ物を手に入れる上に、料理も女性がする。男は何をするかというと火を起こすだけ、ということ。(それなのに、別に女性が権力を持っているわけでもないらしいこと。)その漁が、犬が海に深く潜って魚を捕まえて来るというものだということ。あと、流氷が来るような地域だというのに人々は「部分的に毛皮を身につけているだけ」だということ。寒そうだなあ(犬も)。

サプライズ号にはいろんな国籍の元捕鯨船員がたくさん乗っています。捕鯨船員には、ホーン岬のこのあたりをよく知っている人が多いので。ビョルンというこの人はスウェーデン人で、難破してしばらくこのあたりにいたことがあるので、言葉が分かるのです。

ビョルンは荒天の時に怪我をしていてシックバースにいるのですが、その上官にあたるハンソンが頻繁に見舞いに来るのに、スティーブンは感心しています。ジャックにそう言うと、上官が部下をよく見舞うのはどこの艦でも当たり前のことだ、と言うのですが…スティーブンは「必ずしもそうじゃないんじゃないか」と疑っています。つまり、「ジャックの艦では」いつもそうだ、ってことなんでしょうね。

(p171〜p175)サプライズ、ホーン岬を回って広い海に出る。水以外の装備は乏しくなっていて、壊血病が現れはじめている。

サプライズ号、ある湾に寄って食糧を補給する。アザラシとトドが大量に虐殺され、さすがのスティーブンも流血の惨事に気分が悪くなる。肉は塩漬けにして樽詰めされる。


サプライズが寄ったこの湾は、捕鯨船が食糧補給によく使っているところだったそうです。このあたりは、5巻の終わりの「Desolation Island(荒涼島)」を思い出しますね。それにしても、アザラシとかよく絶滅しなかったものだ…というか、このあたりの固有種なら絶滅しているかもしれませんね。

それでも、アザラシやトドの肉は乗員の栄養補給にはぴったりだということで、しょうがないと言えばしょうがないですね。とっても脂っこそうで、考えただけで胸焼けがしそうですが。