独断と偏見に満ちた登場人物紹介
※巻数は原書(英語版)における巻数です。



キャプテン・ジャック・オーブリー

英国海軍の艦長。1巻目でマスター・アンド・コマンダー(海尉艦長)に、2巻目でポスト・キャプテン(勅任艦長)に昇進。身長約6フィート(183cm)、体重約16ストーン(102キロ)、明るい金髪、瞳はブルー。船の上では運動不足になるせいかちょっと太り過ぎ。陸上の作戦遂行では息が切れたりもする。1巻ではソフィー号、2巻ではポリクレスト号及びライヴリー号、3巻ではサプライズ号、4巻ではボアディシア号、5巻ではレパード号を率いる。

性格はとことん陽性で、よく飲みよく食べよく笑いよく歌う。女性には可愛いと思われ、部下には熱烈に慕われるタイプ。陸にいる時の行動は子供っぽく、まるで抜けているのだが、海では勇猛果敢でひたすらカッコいい。(「海ではユリシーズ、陸ではただのカモ。」)でもそのギャップがまた魅力。趣味は音楽、ヴァイオリン演奏。

若い頃には上官と折り合いが悪く、また艦に女を連れ込んだのがバレて士官候補生から降格され、平水兵にまじって6ヵ月を過ごしたことがあった。しかしこの期間がかえって、その後の艦長としての彼に良い影響を与えたと思われる。

母親は亡くなっている。父親は陸軍の将軍だが、若い女と再婚しようとしていたり、政治の世界で問題発言を繰り返して息子の立場を悪くしたり、どちらかというと迷惑な存在。

女性に関してはわりと惚れっぽいところがあり、上官の妻(モリー・ハート)と不倫の恋に落ちたこともある。これが彼のキャリアに影響したかどうかは不明。その後、色っぽい未亡人ダイアナ・ビリャズを巡って親友スティーブンとライバル関係になり(王道だわ)、友情の危機に見舞われたりもするが…

部下たちからは密かに「ゴルディーロックス(金髪ちゃん)」と呼ばれている。(Goldilocks:キンポウゲ、または童話の主人公で3匹の熊の家に迷い込む女の子)

軍服の下は海の男らしく傷跡だらけ。また耳は銃弾に吹っ飛ばされて半分ない。

いろいろ不運が重なって借金取りに追われており、捕まったらスポンジング・ハウス(債務者拘置所)行きという立場のため、うっかり本国に上陸できない羽目に陥っている(2巻現在)。しかし貧乏にもめげず、怪我にもめげず(これがまた海戦のたびに怪我をする。でも世界一の軍医がついてるから大丈夫)、失恋にもめげないタフな心と身体の持ち主


ドクター・スティーブン・マチュリン

ジャック・オーブリーの親友、医師。ある音楽会で、音楽に合わせて思わず手拍子を取っていたジャックに「調子っ外れだ」といちゃもんをつけたところから友情が始まり、彼の軍艦に軍医として乗りこむことになった。身長5フィート6インチ(168cm)、髪は黒、瞳は薄い色、「死人のように」痩せていて顔色悪し。とにかく天才的に頭がいいのだが、複雑で繊細な神経の持ち主で、時にアヘンチンキに頼ったりもする。

ブラック・ジャックばりの名医であり、超博識の博物学者で船員たちの尊敬を集めているが、世間的基準から見るとたしかに「変人」。生態観察のため軍艦にミツバチの巣を持ち込んで顰蹙を買ったり、船のネズミを使って怪しげな実験に精を出したりしている。船が新大陸やインド洋に向かうと、各地で珍種の動植物をコレクションすることが出来て本当に幸せそうである。趣味は多岐にわたるが、ジャックとの共通の趣味として音楽にも通じ、チェロを演奏する。

アイルランド人将校とカタロニアの貴婦人との間に生まれた私生児。その過去には謎の部分が多いが、アイルランド独立運動にかかわっていたこともあるらしい。医師として、博物学者としては有名人なのだが、英国海軍の有能な諜報員(シークレット・エージェント)という知られざる一面もある。

意外にもフェンシング、射撃の達人。泳ぎは出来なかったが、ジャックの指導によってかなり泳げるようになった。フランス・スペイン語をはじめ語学にも堪能。因習に囚われない自由な考えの持ち主。

弱点は、何年船に乗ってもいっこうに船乗りらしくならないこと。帆船用語は憶えられないし、舷側やマストを登るのはいつまでたっても下手だし、とにかくよく海に落っこちる

水兵に慕われる献身的な医者としての顔、珍しい動物見て喜んだり、またやたらに動物に好かれたりする可愛いところ、冷酷とさえ思える諜報員としての面…とにかく底知れぬほどの多面性を持つ奥の深い人物で、単純明快なジャックとは好対照。

冷静沈着な外見とはうらはらに情熱的なところもあり、ダイアナに対する一途な愛には心を動かされずにいられないものが。実は現在筆者はジャックよりスティーブンに惚れ込んでいたりする…(ジャックも好きだけどね。)


ソフィア(ソフィー)・ウィリアムズ

ジャックに恋する清純派お嬢様。金髪、肌の色のきれいな超美人。初登場の時27歳…にしてはかなりカマトト(<死語)か?意外に頑固で一途なところは評価できるが、ママに逆らえないという意気地のないところもあり、ちょっとイライラするタイプ。でも結局最後に勝つのはこのタイプか。(ちぇっ。)


ウィリアムズ夫人

ソフィーのママ。ケチで俗物の未亡人。ソフィーとジャックを最初はくっつけようとしていたくせに、ジャックが借金まみれと分かると掌を返したように猛反対するようなヒトだが、基本的にわかりやすい性格なので憎めない。(純情可憐なソフィーもいずれママそっくりになるに違いない、と悪意をこめてつぶやく私であった。)


ダイアナ・ビリャズ

ソフィーの従妹、黒髪の美女。ソフィーより年下だが未亡人。若くして軍人と結婚し、インドに行っている時父と夫が死んだため、文なしの身で単身帰国、嫌々ウィリアムズ家の世話になっている。その美貌、強気な性格、肉食動物を思わせる仕草の優美さでジャックとスティーブンを(特にスティーブンを)魅了する。しかし彼女自身はハードな身の上ゆえか、恋愛そのものを信じていないようで、男に求めるのはお金、あるいは社会的地位と割りきっている。スティーブンに好意を感じながら、打算でジャックに近づくが…


バレット・ボンデン

オーブリー艦長のコクスン(艇長)。かつて地中海に落っこちたところをジャックに助けられて以来、艦長命(笑)の優秀な船乗り。非番の時はマストの上でスティーブンに字を習ったりしている。また艇長という職種柄、スティーブンが艦を離れて単独行動する時送って行くのは彼の役目。寡黙で素朴で逞しく、頼りになる男。


トーマス(トム)・プリングズ

ジャックが初めて艦長になった時の士官候補生。後にジャックの副長になる。長身で痩せ型。ジャックが最も目をかけている部下。真面目で非常に有能なのだが、コネも金もない家の出身の上に運に恵まれず、なかなか艦長になれない。このシリーズの登場人物中最もマトモな人かも。


ウィリアム・バビントン

ジャックが初めて艦長になった時の士官候補生その2(その時はまだいたいけな少年であった)。プリングズと違ってお坊ちゃま君なので、海尉→ドーヴァー海峡を往復する艦の艦長→スループ艦の艦長と順調に出世している。背はあまり伸びなかったが明るい性格でけっこうモテる。有能だが、女に見境がないのが玉に瑕か。ドクターには第2巻で切断の危機にあった左腕を救ってもらった他、悪癖から来るさまざまな怪しい病気も治してもらった恩義がある模様。


ジェームズ・マウアット

ジャックが初めて艦長になった時の士官候補生その3。海軍生活のあれこれを詩に詠むのが特技…というか癖。詩人としてはなかなか優秀なようなのですが、詩が出てくるととたんに読むスピードが落ちてしまう外国人にとっては憎たらしい存在。(特に翻訳者の方は「もう黙っててくれよ」ってな感じでしょうねえ。)


キリック

ジャックのスチュワード(給仕)だが、けっこう無礼で、何かと口うるさく、文句の多いヒト。(あ〜そんな風に上着を放り投げちゃ肩章が傷むじゃないですか!食事する時は袖のフリルに気をつけろって何度言ったらわかるんです。一番いい軍服で戦闘に行くなんて何考えてるんですかetc....)


クイーニー(レディ・キース)

ジャックの子供時代の隣人、年上の幼なじみ。幼い頃に母親を亡くしたジャックの母親代わりのような女性(だが10歳と離れてはいない)。ヘブライ語や数学の得意な才女で、『ジャッキー』に勉強を教えてくれたり、お風呂に入れてくれたり(?)した。後にキース提督と結婚。平水兵に降格されていたジャックが復活できたのは彼女のお陰。


メルセデス

メノルカ島ポート・マオンにおけるジャックの常宿「クラウン亭」の可愛いウエイトレス。


サー・ジョセフ・ブレイン

海軍省委員。諜報活動を指揮している。つまりスティーブンの上司だが、友人でもある。趣味は昆虫学。


オーブリー将軍

ジャックの父親。「ジャック・オーブリーは父親を選び損ねたな、あの父親さえいなければもっと出世できたのに…」と言われるほどの人。でも、熱中すると周りが見えなくなる、後先考えない性格は遺伝かも…


ミセス・ブロード

ロンドンにおけるスティーブンの生息地「グレープス亭」の女主人。長年のつき合いで「ドクターのちょっとした癖」(<夜中にチェロを弾く、部屋でアライグマを解剖する、戸棚からいきなり解剖用の死体が出てくるetc...)に慣れ、ちっとやそっとの事では驚かなくなった「肝っ玉母さん」のような人。



H.M.S.(His Majesty's Ship=英国海軍軍艦)サプライズ号

(え、これは「人物」じゃないだろうって?でも船は『彼女』って呼ばれるのよ。)

オーブリー艦長の率いるフリゲート艦。第3巻「H.M.S.サプライズ」に初登場。映画でもこの艦が活躍するらしい。ジャックは若い頃、士官候補生としてこの艦に乗り組んでいて、フォアトップマストに「JA」のイニシャルを刻み込んだ。彼にとっては想い出の艦。(「H.M.S.サプライズ」に、ジャックがスティーブンをマストの天辺まで連れて行ってこの「青春の記念」を見せるとても美しいシーンが…)



BACK