去年の11月にロンドンを訪れた時のこと。ある夜、「チキ・チキ・バン・バン」というとても素敵なミュージカルを鑑賞後、大満足でホテルに帰ってきた私はなんとなくTVをつけ、お風呂にお湯を入れに行きました。そうしたら、いきなりTVから聞き覚えのある声が…見ると、画面にポール・ベタニーが映っているではありませんか!私は「ドクター!」と(心の中で)叫び、お風呂は後にして椅子の上に立ちました。(…あー、このホテル、部屋があまりに狭くて他にTVを置くところがないらしく、洋服ダンスの上に置いてあったのですよ。TVを近くで見るには椅子に立つしかなくて。)ところが、ポールは間もなく退場してしまい、私は「あー、もうちょっと早く帰ってくればよかった!」と口惜しがりかけたのですが…何と、その後にラッセル・クロウが登場! というわけで、私は20分ほど椅子の上に立ってTVにかじりついていました。一人旅でよかった…(笑)フシギなことに、私がこの旅行中に「なんとなくTVをつけた」のはこの時だけなんですよね。第六感が知らせたのかしら? それはジョナサン・ロスという人のトークショウでした。帰国してMurphsplaceをチェックしたら、嬉しいことにトランスクリプトを発見。そのうちに訳そうと思いながら、いろいろあって延び延びになっていましたが、少しづつでも始めようかと。まず、ポール・ベタニーの部から。申し訳ありませんが、ここは映画とラッセルに関係のあるところだけ訳させていただきます(それだけでも、かなりの長さになるんですが)。 トランスクリプトはこちらを使わせていただいております。 ポール・ベタニー編 (1) (2) ラッセル・クロウ編 (1) (2) (3) |
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ポール・ベタニー編(1) ジョナサン・ロス(以下JR):これからポール・ベタニーをご紹介したいと思いますが、その前に、新作映画で演技している彼を見ていただきたいと思います。今日(2003年11月28日)、全国(英国)で公開されました「マスター・アンド・コマンダー」です。これが映画のポール・ベタニーです。 <映画のクリップ> JR:みなさん、ポール・ベタニーさんです。 ポール登場。 <いきなりですが、中略> JR:君とラッセル・クロウはこの新作映画に出ているんだよね。ちなみに僕はもう観て、とても気に入ったのだけど。君は艦医を演じている。 ポール・ベタニー(以下PB):ああ。 JR:名前は、ドクター…? PB:マチュリン。 JR:オーケー、君たち二人はいろんなシーンで共演しているわけだ。しっかりした人間関係が描かれていて、キャラクターが確立しているタイプの映画だ。スクリーンの中で、(二人は)とても対照的なエネルギーを発しているね。君たちの間には、明らかにケミストリーがある。君とラッセルの間の、何が…うまくいっているのだと思う? PB:えーと、僕が思うに、セクシャルな関係だと思うよ。お互いを分かっているから…二度目はやりやすくなる。 JR:二度目のデートってこと? PB:参ったな…言うんじゃなかった!(笑)そうだね、まあ、お互いにツーカーの関係になれるから。 JR:そうだ、君たちは「ビューティフル・マインド」でも共演したからね。 PB:ああ。 JR:あの映画で初めて会ったんだね。 PB:ああ。 JR:彼(ラッセル)が君をこの映画に推薦したの?それとも、ピーター・ウィアーが君たちをまた共演させるのがいいと思ったのかな?二人が前にも共演してうまくいったから? PB:いいや。ピーター・ウィアーは…ええと…最初は、(僕を使うという)案そのものに反対していたんだと思う。でも、ラッセルは(監督に)誰かを推薦するような傲慢な人じゃない。でも、僕はピーターに会って、話をして、脚本を読んでみせて、ビデオ撮りをして、またビデオ撮りをして、その後で、ヤツはようやく僕を雇う気になったみたいだ。ラッセルはいつでもノーと言えたと思う。でも、まあ言ってみれば、昔からの伝統的な方法でそういうことになったんだ。 JR:ラッセルとはこの後話すんだけど、彼は役の準備にはものすごく凝るんだろう?どんな役でも。 PB:ああ。 JR:君は医者を演じている。君は彼と同じように役にアプローチするのかい?役の人物がやっているように、動物を解剖する方法を習った? PB:ああ、習ったよ。変だけど、習った。スクリップス海洋研究所に行って、魚の解剖方法を学んだ。 JR:僕はラッセルとは知り合いだけど…彼は全員に命じて名札を縫いつけて来させたんだって?彼は本当に指揮官になったんだね? PB:ああ、でも、僕はそういう事は一切やらなかった。 JR:どうして?他のみんなと違って、彼が怖くなかったから? PB:それもある。僕がすごい怠け者だからということもある。僕の役はそういう人物だからって言い訳したけど、映画撮影の間中その言い訳をし続けた。連中はラグビーの試合とかやっていたからね。週の間中一緒だった20人ぐらいの汗臭い男優たちとラグビーをするか、それともロサンゼルスにドライブしてジェニファー・コネリーとプールで泳ぐかという選択を迫られたんだ。それはとても… JR:どっちを選ぶ? PB:難しい選択だ。 JR:ジェニファー…みなさんはご存知ないかもしれませんが、ジェニファー・コネリーはもちろん、ポールの奥さんです。キレイだ。(米国プレミアの二人の写真を見せる) PB:ああ。 JR:彼女はいい映画にたくさん出ているね。 PB:悪くないね。顔は並だけど。 JR:は、は!…(真面目くさって)オーケイ、この映画で、君はゲイってことになっているのかい? PB:(大笑い) JR:だって、君とラッセルは…何というか、無言のうちの…いいかい、はっきりさせておこうか… PB:ある意味で、結婚のような… JR:事実を見てみよう…君たちは、どれぐらい長く海に出ているんだい? PB:(調子を合わせて)男は寂しくなって… JR:OK。君はチェロを弾く… PB:ああ。 JR:…彼はバイオリンを弾く。一緒に、定期的に。 PB:まったくその通りだ。 JR:だから、こう考えていいのかな…あるシーンで、ドアに張り紙がしてあって、「キャビンが揺れていたらノックは無用…」(大笑い) PB:まったくその通り。つまり…えーと…二人とも…僕は、大きな木の塊を脚にはさんでそこに座っているんだ…四六時中。(笑) JR:でも、原作では…これはとても高い評価を得ているシリーズの映画化だけど…そういう暗示はあるんだろう。彼らの間には愛がある、これは確かだ。肉体的な愛かな? PB:それは君の勝手な拡大解釈だろう。 JR:僕はそうだと思ったんだけどな。(ヘンな顔をする) PB:いや、そんなことはないと思う。まあ…えーと…原作の一冊で、山羊が活躍することはあるけど、でも、言っておくけど、これは家族で観られる健全な映画だから… JR:ちょっと待って。何?男と、山羊? PB:ああ。それについては突っ込んだ話はしたくない。 JR:した方がいいぞ。 PB:う〜〜ん。 JR:君は山羊に突っ込みたくはないんだね。でも、誰がそうしたんだ?原作で? PB:かんべんしてくれ。 JR:はっきりさせてくれ。 PB:誰か…水夫たち(seamen)の一人だ。 JR:あ〜〜あ。 PB:水夫たち(seamen)って言ったんだよ! JR:ねえ君、「Carry On」シリーズの映画に出るといいよ。ぴったりだ。 ポール・ベタニー編(2) JR:君の役は実にさまざまなことをするね。この映画で、君はポルトガル語を話してる。 PB:ああ、映画の中でね。 JR:ポルトガル語を習った? PB:オーディオ・テープから学んだけど、本当に難しかった。唇がどういう風に動いているかは想像するしかなくて、それはとても恥ずかしいことだった。 JR:ちょっと馬鹿げた言語だよね? PB:オブリガード… JR:ほらね。 PB:オブリガード。 JR:それ、本当の言葉じゃないよね? PB:本当の言葉だよ!「ありがとう」って意味だ。 JR:もちろん知っていたよ。君の奥さんのジェニファーだけど、広東語が話せるって本当かい? PB:ああ。イタリア語も話せるし、フランス語も話せるし、スペイン語も少し話せるんだ。 JR:頭のいい女性なんだね。 PB:ああ。 JR:赤ちゃんが生まれるんだって? PB:もう生まれたよ。 JR:もう生んだの?いつ? PB:僕が生んだんじゃないよ。そうだったら気持ち悪い。 JR:でも、ドキュメンタリーを作る価値はあるね。 PB:いいや。僕には3歳の男の子がいる。 JR:そうか、それは素敵だ。知らなかった。 PB:3歳?3ヶ月の間違いだ。まったく、僕は何を言ってるんだ? JR:3ヶ月か。ポール、このへんは全部カットしよう。僕たち二人とも、みっともない所を見せてしまったからね。 PB:そうだな。よし、再スタートだ。1、2… JR:君に赤ちゃんがいるなんて知らなかったよ。3歳だって? (スタジオ中、大笑いと拍手) JR:うわあ、ちょっと落ち着こう。二人とも緊張しているみたいだ! PB:もうここで止められないの? JR:OK。もうすぐラッセル・クロウが来る。僕はラッセルの大ファンなんだ。 PB:ああ。 JR:「ビューティフル・マインド」での君たち二人の仕事は素晴らしかった。最高だった。彼がジョン・ナッシュを演じて、君はその親友のチャールズを演じた。 PB:彼の髪型は、他にはレオ・セイヤーしかやる勇気のなかった髪型だ。 JR:よし、見てみよう。みなさんに思い出してもらいたいからね。 <「ビューティフル・マインド」のクリップ> <中略> JR:さて、今日、君はこの映画(「マスター・アンド・コマンダー」)のプレス・ジャンケットをやっていたんだね。僕は何度かプレス・ジャンケットに行ったことがあるし、自分もやったことがあるけど、君は誰に話をしたの?どんな感じだった? PB:オーケー。だいたいはこんな感じだ…繰り返し、繰り返し、「ラッセル・クロウと二度目に仕事をするのはどんな感じでしたか?」って聞かれるんだ。どうやら、それが肝心なところらしいね。 JR:ああ、まあ、僕ならそんな事は絶対に聞かないね。 (控え室のラッセルが、舌を出して目を寄せているのが映る。(<ページ下の方)) JR:ああ、彼はあそこにいるね。ご覧の通り、彼はいつものように、今夜の番組に協力してくれている。 (恥ずかしそうにして、顔をしかめる。) PB:(プレス・ジャンケットの)終わりには、腕に鉄道用スパイクでも突き刺したくなる。 JR:でも、君のところにはひっきりなしに人が来て、一人の記者には2分とか、3分とかしか時間がないんだ。君にさける時間はちょっとしかないんだよ。 PB:ああ、ひどいことだ。彼らには同情するよ。編集長に「ラッセル・クロウの質問をしろ」ってうるさく言われているんだろうな…気の毒な連中だ。 JR:まあ、僕は君自身の方に興味があるけどね。正直に言って。 PB:ありがたいね。 JR:ラース・フォン・トリアーとの仕事について聞かせてくれ。なぜって、僕は彼の映画の何本かはとても楽しんだけど、よくわからなかった映画もあったし、困惑のあまり、ぽかん口を開けたまんま座っていたって映画もあったし… PB:ああ、一体全体これは何だ?って感じ。 JR:君は彼と映画を作ったばかりなんだね。「ドックヴィル」って言う映画? PB:ああ。題名は「ドッグヴィル」だ。 JR:ニコール・キッドマンが共演だ。聞いた感じじゃ、かなり変な映画みたいだね。 PB:ああ、ちょっと変わっている。ローレン・バコールも出ているんだ。そして、セットが全然ないから、たとえば僕がニコール・キッドマンとお喋りしているシーンで、ローレン・バコールは6時間の撮影の間中、その背景でずっと掃除をしているんだ。彼は狂人だよ。 初めて会った時、彼はRV車で空港まで迎えに来てくれたんだ。 JR:監督自らが、君を空港に迎えに? PB:ああ。それで、雪の降るスウェーデンの地を、二人で車を走らせていた。ガソリンスタンドに停まった時、彼が言った。「ポール、エロ本が欲しくないか?」僕は「はあ?」って言った。彼は、「エロ本だよ。ポルノが欲しくないか?」僕は、「いいえ…でもラース、あなたが買うのは全然かまいませんよ。」って答えた。彼は、エロ本の棚を根こそぎにして…相当な量だったんけど…お金を払って、僕らは車に戻って、ドライブを続けたんだ。 彼はホテルの僕の部屋に来て、二時間ぐらい映画の話をしていた。そうしたら、ドアにノックの音がして、ニコール・キッドマンが入って来たんだ。なにしろ、僕はハーレスドンから来た田舎者で、目の前にいるのはニコール・キッドマンだ。当然、僕はちょっと緊張していた。 そしたら、監督が言ったんだ。「ハイ、ニコール。こちらはポール、ポール、こちらはニコールだ。二人だけで話をするといい。私は電話を掛けなくちゃいけないんだ。ねえニコール、見てごらん、ポールのエロ本のコレクションはすごいだろう!」 そんなわけで、僕は13歳の子供みたいになって、「これは僕のじゃない…僕のエロ本じゃないよ!」って言い続けるしかなかった。ようやく彼女に、本当に僕のエロ本じゃないことをわかってもらって、僕らは映画の話をして、彼女は「ええ、この映画って本当にヘンよ。」とか言っていて、その時、窓の外で物音がしたんだ。窓のところへ行って見下ろしたら…雪が降っていたんだけど…ラース・フォン・トリアーが非常階段にぶら下がって、僕らの会話を聞いていたんだ。僕が「ラース、大丈夫かい?」って聞いたら、彼は「ああ…いや、すごく寒い」って答えた。僕は「ああ、ああ、そうだろう。雪が降ってるんだから。部屋に入るかい?」そしたら彼は、「そうだな。」って…最初からこんな風にヘンだったけど、その後もどんどんヘンになる一方だったよ。 JR:それを聞いて、これは僕の「必ず観る映画」リストのトップになったな。 PB:ああ、観に行ってくれ。 JR:ポール、君に会えて楽しかったよ。本当だ。 PB:ありがとう、ジョン。 JR:映画での君の仕事の大ファンだ。 PB:ありがとう。 JR:ぜひこの映画(「マスター・アンド・コマンダー」)をご覧下さい。非常にすばらしい映画です。ポール・ベタニーさんでした。 PB:どうもありがとう… JR:(控え室に向うポールに)素晴らしい映画だ。君と話せてよかった。良い仕事だった。 PB:戻ってきたら、一緒に飲みに行こう。 JR:それは是非。テニスもね。 (カメラに向って) JR:彼はすごいね!何てラブリーな男だ。クロウに、ちゃんと背筋を伸ばして座れって言ってくれよ。ほら、あんなにだらしなく寝そべって… ラッセル・クロウ編(1) JR:今夜最後のゲストをお迎えしましょう。彼は、現在の映画界で最も印象的な俳優のひとり。それはもちろん、ラッセル・クロウさんです。 ラッセル登場。ソファまで来ると、彼は横になり、精神分析医の患者のようなふりをする。 ラッセル・クロウ(以下RC):(英国訛りで)ねえジョニー、今夜はどんな問題について話すんだい?ハロー、ドクター・ジョン。元気かい、メイト?ごめん、ママも来てるんだ。 JR:デビッド・ボウイのモノマネでもしているみたいな声だな。さて、ラッセルにはお祝いを言わなきゃならない。この前英国に来た時以来、君は結婚して、もうすぐ子供も生まれるからね。 RC:(起き上がって)そうだよ。 JR:予定日は? RC:1月だ。(注:ラッセルの息子チャールズ君は、ご存知のように、予定より早く12月21日に生まれました。) JR:それは素敵だ。おめでとう、本当にいいことだ。 RC:どうもありがとう。 JR:君の家はもう子供を迎える準備完了かい?君は覚悟できている? RC:実は、今ちょうど、そういう事を考え始めているところなんだ。今年の前半に新しいアパートメントを買った。僕たちは今年中のほとんどの時間を、ペンキ塗りとかそういう事をして過ごしたんだ。子供部屋ときたら、クレイジーだよ。エニッド・ブライトンの「遠い森の物語(The Folk of the Faraway Tree)」っていう本を知っているだろう? JR:知ってるよ。 RC:ダニエルは子供の頃、あの本に夢中だった。それで、子供部屋の壁には、あの本のキャラクターとかの絵が描いてあるんだ。木は床から生えていて、天井まで届いていて、ドアがついていて、人がそこから顔を出しているんだ。だから、子供はすっかり怖がっちまうか、興味を惹かれるか、どちらかだろうね。 JR:僕だったら怖がるだろうね。 RC:僕はその絵を見て、子供の視点から考えてみているんだ。 JR:子供に心理的問題を与えてしまうよ。 RC:目が覚めた時には、森林恐怖症になっているかもしれないね! JR:赤ちゃんは男の子?男の子だとわかっているのかい? RC:ああ、男の子だよ。 JR:それはいい。とても素敵だ。もう名前は考えてあるかい? RC:今考えているところだ。提案はある? JR:ディンカム。…ふっと思いついただけだよ。今すぐコメントしてくれなくてもいい。うーん、ダメだね。全然考え付かない。子供の名前を考えるっていうのは本当に難しいね。一番難しいことだ。 RC:君は結局、何ていう名前にしたの? JR:えーと、ベティだろ、それからハーヴェイとハニー。僕がつけたと言うより、妻がつけたんだけど。(控え室にいる彼の奥さんジェーンが映る。)僕はエルビス、ウルフ、ガラトクスって名前にしたかったんだ。 RC:強い奥さんで運がよかったね。 JR:ああ、妻は僕より思慮深いんだ。 RC:君の子供のために、それは運がよかった。僕はダニに、子供の名前は「ドクター」にしたいと言ったんだ。面白いと思って…あるいは「ロード」でもいいね。そうしたら学校で、それから一生の間、「ロード・クロウ(クロウ卿)」(手を挙げる真似)とか「ドクター・クロウ(クロウ先生)」(また手を挙げる真似)って呼ばれるんだ。 JR:結婚してどのぐらいになる? RC:えーと、7ヶ月ぐらいかな。 JR:自分の誕生日に結婚したんだよね? RC:ああ。 JR:何か特別な理由があるわけ? RC:まあ、結婚記念日を忘れる危険はないね。そうだろう、ジョナサン?たしかにずるいけど、頭のいいやり方だろう。 JR:結婚して、君は変わった?君はちょっとワイルドだっていう評判がある。僕は必ずしも、君がいつもワイルドだったとは思っていないけど、そういう時もあったよね。君は落ち着いた?結婚で、少しは変わったかい? RC:全然変わっていないと思う。物事に対する態度は、以前とまったく同じだ。もし…つまり、実を言うと、僕はこの国(英国)にはいつも驚かされるんだ。この国のマスコミが平気で流しているデタラメにね。彼ら(英国のゴシップマスコミ)は卑劣な、ぞっとする連中だ。でも、一番悪い事は、メディアについて話をしだすと、人は僕が、君みたいな人のことを含めて言っているんだと勘違いするんだ。でも、僕たちは友達だし、君のことは好きだ。 JR:ちょっと待って。(観客に向って)これは冗談じゃないからね。 RC:でも、オチに向って前フリをしているところなのに… JR:彼は皮肉で言っているんじゃないんだ。 RC:僕たちはとてもいい会話をしているし、君はいつも、自分の仕事とかをきちんと、実に熱心にやっている。たぶん、僕は格好の標的なんだよ。僕はいつでも、正直に反応するから。自分をミステリアスに覆い隠そうなんてしない。質問されれば、答える。 JR:でも、君は「グラディエーター」以来、大スターだから、彼らは君を追いかけるのに手段を選ばなくなっているんだろうな。君の写真を撮ったり、追いかけたり、派手な行為を書き留めたり−それが本当のことだろうと、でっち上げであろうと。たしかに、君みたいな人は気が狂いそうになるだろうね。 RC:僕は仕事を愛しているし、それについて話すのも大好きだ。それについては、何の問題もないんだ。でも、人がクソみたいな事をでっち上げて、好きなように記事にできるとなると、本当にどうしようもない。なぜなら、結局のところ、いざとなれば「裁判長、私はその時には、それが本当の事だと信じていたんです」と言えばすむ話だからね。 JR:それに、一度記事が出てしまえば、後でお詫びを載せたとしても、記事は人々の記憶に残ってしまっている。 RC:そう、その通り。 JR:今、君が気になっているのは何?さっき何か言いかけていたよね? RC:言いたかったのは、最近さかんに出回っている、英国王室に対する憶測のことだ。あれは本当に失礼だと思う。こんなこと、今まで思ってもみなかったけど、この事に関しては、僕は王党派らしい。エリザベス女王はとても立派に義務を果たしているし、素晴らしい女性だ。彼女も、彼女の家族も、敬意を払われるべきだ。 JR:えーと、オーストラリアってまだ英国のものだっけ?手放したんじゃなかったっけ? ラッセル・クロウ編(2) JR:君は巨大な牧場を持っているんだろう、オーストラリアに? RC:ああ。農場だよ。 JR:農場なのか。どのぐらい大きいんだい? RC:今は、1400エーカーぐらいだ。全部合わせるとね。 JR:でっかいなあ。実際に生産している農場なのかい? RC:ああ。アンガス種の牛を飼を飼育している。今、500頭ぐらいだ。 JR:それで、農場のどんなところが楽しいんだい?そこで働く時は、ありとあらゆる仕事をするんだろう?牛小屋で牛糞の掃除をしたり、動物たちの世話をしたり… RC:ああ、牛をドレンチしたり(水薬を飲ませること)、注射もするよ。ただ撫でて、ダニとかいないかどうか確認したりとか。僕の農場は熱帯雨林地帯にあるから、あらゆる種類のヘビとか、クモとか、麻痺ダニと呼ばれるものがいるんだ。麻痺ダニっていうのは、その名の通りのことをする。それが耳から入った動物は、数日後には麻痺してしまうんだ。 JR:オーストラリアって怖いところだなあ。そういう奇妙な生き物がたくさん…まず第一に、オーストラリア人がいるだろ。それだけでもかなり怖いところだ。それも、たくさんいる。そこらじゅうオーストラリア人だらけだ。 RC:ロンドンよりも多いね。 JR:ほんのちょっとね。数えてみないと分からないと思うよ。でも、君のところには大きな毒グモとかヘビとか、そういうのがいるだろう? RC:ジョナサン、いつになったらわかるんだ、メイト?オーストラリアでは、何もかもが噛みつくんだ。女性もね。 JR:そんなに恐ろしい所なのかい?そんな環境で子供を生んで大丈夫?別のところに住むことを考えたことある?まあ、それでも大勢のオーストラリア人が生き残っていることは知っているけど、でも… RC:シドニーにも家があるんだ。ダニは生粋のシドニーっ子だから、カフェに行ったり、友達に会ったりするのが好きなんだ。だから僕たちは、オーストラリアにいる時間を、シドニーと田舎でバランスをとっているんだ。 JR:そんな風に牧場を持っていて、いつでも行けるっていうのは素晴らしいね。僕はロンドンの北に、かなり大きなガーデンを持っているんだ。君のとはスケールが違うけど…フェレットを何匹も飼っている。ごく大雑把に言えば、同じようなものだね。 RC:フェレットを呼び集めて点呼したりするのかい?英国名物のイングリッシュ・シープドッグの背中に乗って群れを追ったりとか、それとも… JR:いや、そんなことはできない。でも、時々フンの始末はするよ。そうすると、地に足がついているって感じるんだ。 RC:ああ、すてきだ。 JR:こんなこと聞きたくなかっただろうけど、君に話したかったんだ。 RC:フェレットをズボンに入れてみたことあるかい?どんなもんだか確かめるために? JR:一度、そっちに入れてみたことはあるよ。(奥さんのジェーンが映る) RC:僕は詮索好きだな。そうだと思ったよ。 JR:まあ、どっちかというと、子供を笑わせるためにやったんだけど。意外にも、結構いい感触だった。 RC:そして今や、奥さんはそれが癖になっているんだな。 JR:オーケイ。「マスター・アンド・コマンダー」は今日から、ロンドンと全国で公開される。 RC:そうだ。 JR:ワオ、何て素晴らしい映画だ。すごく気に入ったよ。実際に船に乗っているような感じだったよ。 RC:まあ、実際にそうだった。時に最後の二日間は…僕は、この映画がイギリスで公開させるのを、長い間楽しみにしていたんだ。全てに英国人は、男性も女性も、この映画を観て映画館を出るときには、誇らしさに背が1インチかそこら高くなったみたいに感じるだろう。 JR:映画を観てみよう。 <「マスター・アンド・コマンダー」のクリップ> JR:すごいだろう?とても楽しい映画だった。撮影は、主に海でしたんだろう?水槽じゃなくて、実際に海に出たんだろう? RC:本物の船もあったよ。スタッフがNYの近くのどこかで見つけたフリゲート艦で、HMSローズっていう名前なんだ。それで、それをお金をかけて改修して、撮影が行われたメキシコまで帆走したんだ。だから、本物の船もあった。その他にも、60トンのモデルを半エーカーの水槽のジンバルの上に作って、本物の船の動きを正確に模倣できるようにしていた。 JR:海で撮影するのって、考えただけで、ちょっとした悪夢みたいだよね。君は海が平気なタイプ?それとも船酔いに… RC:本当は平気じゃないんだ。ぼくはずっと、自分はひどい船酔い体質だと思っていた。一度、船旅をしたことがあって…フェリックス・ダゼールジンスキー号という、クルーズ船ってことになっている船で… JR:クルーズ船って名前じゃないよね。 RC:ロシアのクルーズ船で、タスマニア海を横断したんだ。シドニー埠頭を離れて20分ほど行ったところで、22〜24フィートもある波が立っていた。すごい荒海なんだ。だから、1日か2日経った後には、船中ゲロと血だらけだった。ほら、廊下の角になっているところは、一つ残らず血が滴っているんだ。誰かが頭をぶつけて。階段ときたら…第一次世界大戦の病院船って感じだったよ。そういうわけで、僕は船に強いタイプだとは思ったことがなかった。二つの大きな港湾都市で育ったのに。シドニーとアックランドだ。だから、僕にとっては、(この映画に対する)主な準備の一つは、撮影が始まる前に、充分な時間を船の上で過ごしておいて、艦長が部下たちの前でひっきりなしに吐いているなんていうハメにならないようにすることだった。しめしがつかないからね。 JR:君のことで、一番すごいと思うのは…多分、他のことよりずっとすごいと思うのは、役の選び方なんだ。だって君は、とても沢山の役をオファーされるんだろう? RC:僕は、役にはできるだけ単純に、正直に反応するようにしている。脚本を読んでピンときたら、文字通り、鳥肌が立ったら、うなじの毛が逆立ったりしたら…たぶん、それが僕のやりたい役なんだ。人生は短い。自分の信じていないことなんかやっている時間はないから。それに、後でインタビューとかを受けたりすることになるなら、自分のやった仕事に対して、情熱をこめて語りたいからね。 ラッセル・クロウ編(3) JR:この前君とロンドンで会った時には、まだリチャード・ハリスが存命だったね。 RC:ああ。楽しかったよな? JR:ラッセルは何人かを飲みに誘っていて、親切にも、僕も一緒に招待してくれた。最初、リチャードはいなかった。後から来ることになっていたんだ。 RC:そう、あれはリチャードを称えるディナーだったんだ。だから、みんなが集まって…ロンドンにいた人は全員。すごかった。エマ・トンプソン、ニコール・キッドマン、ピーター・ウィアー、ロン・ハワード、それに君。すごいメンバーで、会話も素晴らしかった。でも、それはリチャードのための会で、彼はドーチェスター(ホテル)に来て、入って、「中華料理店にいます」っていうメッセージを受け取った。でも彼は中華料理店がホテルの中にあるのに気づかなくて、僕にメモを残して出て行ってしまったんだ。 JR:口をはさんでいいかな。すごい話なんだ。僕がそこに座ってお喋りしていたら、人が来て、「リチャード・ハリス様がおいでになりましたが、出て行かれました」って言ったんだ。ラッセルは「どういう意味だ?」と言って、突然、グラディエーターみたいになったんだ。僕は「うわあ、逃げた方がよさそうだ」と思った。ラッセルは「『来たけど行っちゃった』ってどういう意味だ?追いかければよかったじゃないか」って言って、そうしたら連中は、「えーと、どちらに行かれたかわかりません」「それなら、探してみたらどうだ!」「どこを探しましょうか?」「パブをのぞいてみろ!」連中、ぴゅーっと飛んで行った。 20分ぐらい後、彼らはリチャード・ハリスを連れて帰って来た。リチャードは「何が何だかわからない。一杯飲んでいたら、大男が二人入ってきて引きずり出されたよ」と言いながら入って来た。 RC:そんな感じじゃなかったぞ。怒鳴ったりしなかったよ。 JR:それで、彼らはどうやってリチャードを見つけたんだ? RC:だから、僕は彼らに言ったんだ…実際に見つけたのは後ろにいた人で、トニーっていうんだけど、僕はこう言ったんだ。サボイ(ホテル)の付近に行って… JR:彼が住んでいたところだ。 RC:…見つけるまで、片っ端からパブを当れってね。 JR:パブで見つけたんだ。 RC:のぞいてみた2軒目のパブで見つけたそうだよ。 JR:リチャードは何て素晴らしい人だったんだろう。君と彼の間の厚い友情は、どうやって育まれたんだい?「グラディエーター」で共演したよね。 RC:ああ。簡単なことだったよ。一緒に素晴らしい、長いシーンをやって、そのお陰でじっくり話をする時間ができた。意気投合したよ。すごく楽しい人で、僕の師と言っていい。彼が亡くなって、本当に寂しいよ。 <「グラディエーター」のクリップ(『謹んで辞退を』)> JR:彼は特別な人だったんだね? RC:(うなずく)ああ。 JR:もちろん、君は「グラディエーター」でオスカーを受賞した。この映画でノミネートされるかどうかわからないけど、君とポールはこの映画の演技でノミネートされるチャンスはかなりあると思う。もしそうなったら、1月に子供が生まれるけど、オスカーは来年から2月になる。 RC:ああ。 JR:それでも授賞式に行くかい?行けるかな? RC:(笑)いいや、息子の誕生のために決めたスケジュールは、何があっても変えないよ。それより大事なことなんて、何もない。 JR:君たちは、クラスを受講したりしているかい?ラマーズ法とか、そういうやつ。 RC:僕の妻はとってもはっきりした性格なんだ。この間、クラスを受講しなきゃだめだ、受講した方がいい−ってうるさく言われて、彼女はこう言ってた。「どうやって息をするかぐらい知ってるわよ!(I know how to f**king breath!)」 なんで彼女と結婚したかわかっただろう! JR:えーと、はっきり物を言う女性だね。それが君の好みなんだ。 この映画は素晴らしかった。原作は巻数が多いけど、続編はあるのかな?シリーズには20巻あるんだろう? RC:そう、20巻だ。 JR:…そして、この第1作は、2つの巻を組み合わせて作られている。 RC:ああ。 JR:君は今まで、続編を拒んできたね。この役をもう一度演じる気は… RC:続編を作る話は、最初から浮かんでいた。原作にはとても豊富な素材があるし、キャラクターは素晴らしいし、ドクターとキャプテンの友情は、他にも実に様々な状況に遭遇するんだ。 これは純粋に経済的な問題だ。つまり、もう一本作るには、相当な大ヒットにならなければいけない。製作費が、1億3千5百万ドルもかかったんだから。 JR:もし、壊血病のキャビン・ボーイ役がいるんだったら… RC:ひょっとして、ステインズ水兵? JR:水兵のステイ…ベイツ航海長だ。そうなったら、いつでも僕を呼んでくれ、ラッセル。わかってるね? RC:老けた子供だな。 JR:年寄りのキャビン・ボーイだ。どうして映画では、いつでも少なくとも一人は…船を舞台にした映画では…君の映画もだけど、必ず一人はベテランの老水夫がいるんだろう。 RC:うーん、実は、アメリカでは、君が話していたあの役、ジョー・プライスを演じたジョージ・インズを評して、"Das Koot in Das Boot"と言った評論家がいたんだ。("Das boot"はドイツ映画の「Uボート」ですが、"Das Koot"は…調べたのですが意味がわかりませんでした。すみません) JR:彼は振り向いて、こういう…(間)…「このフネは呪われてんだ…」 RC:「フネん中に悪魔がいらあね…」 JR:下に悪い噂を広めるなって、あいつを舷側から放り出した方がいい。僕が必要な理由がわかっただろう? RC:えーと… JR:君の手下として下の階にもぐりこんで、上の階に行って「あなたの悪口を言っている奴がいます」とか言うんだ。 RC:君、真面目な演技をしたことある?舞台をやったことは? JR:僕は上手くやれると思わないか? RC:君は才能あると思う。本当に。頭が演技に向いている。 JR:カリスマ性があるだろう。僕には、ある種の… RC:もちろん、君にはカリスマ性がある。ファッション・センスはちょっとアレだけど、それをのぞけば… JR:ちょっと待てよ、君の格好はまるで… RC:人の事は言えない。わかってる。 JR:配管工みたいな格好をして…君には言われたくないね。 ラッセル、また会えて嬉しかったよ。この番組に来てくれてどうもありがとう。本当に感謝している。みなさん、ラッセル・クロウでした。(ラッセルに)どうもありがとう。素晴らしかったよ。 今夜のゲスト全員に感謝を。愛すべきジェシー・クラス、チャーミングなポール・ベタニー、そしてもちろん、すばらしい名優、だけど服装はちょっとどうかと思う、ラッセル・クロウでした。 END |