Larry King Live(1)

これは2002年1月18日、「Larry King Live」にラッセルが出演した際の会話の翻訳です。(2002/1/23〜)

「ラリー・キング・ライブ」後編


(1)
ラリー・キング、ホスト:今夜は、バッド・ボーイ、レディ・キラー、大胆不敵な俳優、ラッセル・クロウをクローズアップし、深く掘り下げてインタビューします。今までに交際した女性についての真実、そして新作映画で演じている分裂症の天才のこと。そして一緒にロン・ハワード、TV番組のオピー少年がいかにしてオスカーの呼び声も高い監督になったのか。彼はどうしてタブロイドネタにならないのか?次はラリー・キング・ライブです。

ラリー・キング・ライブのスペシャル・エディションへようこそ。

すごい映画が拡大公開されます。大都市ではもう上映中ですが、この週末全米公開になります。題名は「ビューティフル・マインド」、主演は「グラディエーター」で去年のアカデミー賞を受賞したラッセル・クロウ。そして、素晴らしいジョン・ナッシュ役で今年も有力候補との声が高くなっています。

そしてロン・ハワード、アメリカでもっとも有名な監督、俳優の一人です。彼は「ビューティフル・マインド」の監督です。1996年、「アポロ13」で監督協会賞の優秀監督賞を受賞しました。そして、もちろん、年配の視聴者の方は「アンディ・グリフィス・ショー」のオピー、「ハッピー・デイズ」のリッチー・カニンガムとしておぼえていらっしゃるでしょう。長い間、彼はアメリカ的風景には欠かせないキャラクターでした。

ラッセル、どうしてこの役を引き受けたのですか?

ラッセル・クロウ、俳優:僕が映画に出るかどうか決める時は、たいがいいつも似たような感じなんですが、脚本の内容が全てなんです。実はその時テキサスに…オースティンにいました。真夏で、僕は映画以外の仕事でそこにいたんですが、エージェントのジョージ・フリーマンから電話があって、後でジェフリー・カッツェンバーグ(ドリームワークスの幹部)からも電話があって、二人とも「ビューティフル・マインド」という脚本に相当入れ込んでいる様子でした。

だから僕は、すごく蒸し暑いテキサスの夏の夜、裏庭のポーチに座ってその脚本を読んだんです。そうしたら、すごく…ものすごく反応して…つまり、僕はそういうのを「鳥肌もの」って呼んでいるんだけど、もし…こういう…

キング:…脚本に出会ったら、絶対に引きうける。

クロウ:基本的には…そういう事です。つまり、その仕事が有名な人や大会社の依頼かどうかなんて関係ない。脚本を読んで、そういう反応が起こらなければ…つまり、自然に役を演じ始めてしまうことがなければ。読みながら『僕ならこんな風には言わない、こんな風に言うだろう。まあ、もし言うなら…こっちのシーンのセリフだな』とかいう具合に決め始めて、役作りを始めてしまうんです。1回目に読み終わる頃には、もう覚書きが出来ているし、実際に身体が反応してしまうんです。

キング:(ハワード監督に)あなたはどうしてこの映画を監督することに?

ロン・ハワード、監督:えっと、僕たちの会社、イマジン・フィルムがこれを企画したんです。ブライアン・グレーザーは僕のパートナーですが…

キング:本を買った?

ハワード:はい。本の権利を買いました。発見したんです。ブライアンはこの本がとても面白いヒューマン・ストーリーだと感じたんです。主人公の辿る道はユニークで非凡なものだと。

僕は、この本は2つの点ですごいと思いました。ひとつは、これがはアウトサイダー的な人物を描く上で、前例のない、大変ユニークなアプローチになるということです。

キング:確かに…

ハワード:確かに、(彼は)アウトサイダーで、最終的には心の病気とも闘わなくてはならない…分裂症です。

二番目には、僕にとっては大変大きいことなんですが、これは役者の力を引き出す上で最高の役になると感じたことです。その時点では、ラッセルがやるとはわかっていなかったんですが。

キング:そうなんですか?

ハワード:でも、僕は面白いシーンで俳優を演出するのが大好きなんです。

キング:あなたがラッセルを選んだんですか?

ハワード:まあ…

キング:どういう経緯で俳優を選ぶんですか?

ハワード:まあ、ブライアン・グレーザーと僕はパートナーだから、映画を作る度にじっくりと…

キング:いろんな名前を検討するんですね。

ハワード:…話し合いから始めるんです。

キング:「この役には誰がいいか」って?

ハワード:この役には誰がいいか?ラッセルは常に、トップの数人の中に入っているんです。つまり、もし「希望リスト」みたいなものがあるとしたら。

キング:あなたたち二人は…(ラッセルに)監督を好きになることは必要ですか?

クロウ:僕の考えでは…映画において、共演者とか、監督とか、他の主なスタッフ…例えば撮影監督とか…との絆は深く、強くなるほど良いと思います。

一緒に演技するのに、共演者を好きになる必要はありません。監督に好意を持つ必要もありません。でも、もし好感を持っていればより良いというだけです。それに、まず敬意を払うことから始めるべきだと思います。僕はロンの仕事に敬意を払って…ロンの前作や、撮影前の話し合いで僕にぶつけてきたアイデアを尊重していました。

彼は非常にきちんとした、能率的な人です。彼は何を引き出したいかをよくわかっていて…『OK、まず田園風景って感じから始まって…フレームはこう、ショットの構成はこう』というような事をよく把握している。

彼は映画というものを理解しているんです。映画の作り方を知っているというだけではなくて、隅々までを自分のものにしている。そういう事が、僕にとっては重要なんです。

もし…そういう関係が築かれていれば、感情を爆発させることもない。静かにお互いを見て、仕事を始めます。お互いの性格がわかってくれば、相手が攻撃された時どういう風になるか、プレッシャーがかかったときどうなるか、理解出来てきます。そういう事です。

キング:俳優と監督との間には、ケミストリー(※科学反応、ここでは人と人の間に起こる本能的な反応を指す)のようなものがあるんですか?

ハワード:まあ…

キング:(あなたとラッセルに限らず)どの俳優、どの監督でも?

ハワード:いつもそうとは限りません。つまり、映画を完成するまで我慢して最善をつくす、自分の仕事をする、という時もあります。

キング:絆が出来た方が映画の出来はよくなりますか?

ハワード:はい、もちろん。全然違います。それは、微妙な点を理解しあえるせいだと思います。特にこの映画はニュアンスが大事でしたから。

例えば、僕はこの映画のことを考えていて、『この映画は時系列で撮影したらいいんじゃないか』と思っていました。つまり、全てのシーンを順番に撮影するんです。でも、スケジュールと予算を考えて、比較的低予算で作ることにしていた事もあって、それはやめようと自分に言い聞かせたんです。現実的じゃないと。

ラッセルはオーストラリアにいました。表面的には、(順に撮影するというのは)現実的でないように思えました。それで、どういう話でそうなったのかわからないんですが、ラッセルがEメールか電話で「スケジュールはどういう風になる?」と訊いてきて、よく覚えてはいないんですが、「年代順にやることはできないのか?」と言ったんです。

クロウ:撮影前にEメールで話していた時だと思うんですが、監督は、映画の中盤か、中盤から終盤にかけての辺りから撮影を始めると言っていました。それで、メーキャップを決めなくてはならなくて。

それで、考え始めたんです…『何てこった、この分だと多分…』結局どうなったんだっけ?『メーキャップは6段階ぐらいに分れることになる…』

ハワード:そう。

クロウ:…それに、その6段階の中にがまた細かく分かれているんです。だから、彼は『さあ、まず「3の4番」のメイクをして、その後「3の9番」に移ろう』みたいな指示をしなきゃならない。それで…

キング:それで、「なら、順番にやればいいじゃないか?」と思ったんですね。

クロウ:要するに、すごく面倒くさいことになると思って。結局はその方が金がかかるんじゃないかと。

キング:それでは、演劇のようにやったんですね。

ハワード:まあ…普通よりは演劇に近かったですね。映画というのは通常、演劇と違って…

キング:そう…

ハワード:…通常は、モザイクのように入り組んでいるんです。

キング:そうですね。

ハワード:でも、考えてみれば…ラッセルがそう言ったとたんに僕は、「なんだ、単なる思い込みだった」と考えました。それでスタジオに話したら、幸いスタジオも理解してくれて、概ね受け入れてくれたんです。

キング:ラッセル、ジョン・ナッシュを演じるに当って、彼を好きになる必要は…

クロウ:いいえ。

キング:…ありますか?

クロウ:非常に古い…僕は古いと思うんですが…古風な考えを持っている俳優もいます。「…もいる」と言うか、本当はほとんどの俳優がそう思っているようなんですが…役の人物を愛さなくてはならないと。

僕は非常にバラエティに富んだ役を演じてきました。ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもある。スキンヘッドのネオナチからカタブツのウェールズ系バプティストの童貞、ローマの将軍、あるいはジェフリー・ワイガンドみたいな人物…

キング:はい…面白いですね。

クロウ:いろんな人物を。だから、必ずしも…その役の意見や生き方に賛成なわけではない。俳優が役を愛してしまうのは問題だと思います。何かを愛すると、客観性を失うから。役を演じるのは全てをさらけ出すことです。

役の感情の動きを本当にさらけ出すためには、客観的である必要があります。『そうだね、この時点では…そう、多分彼はあまりいい状態とはいえない。でも、それが人間ってもんだ』という事を言えるようでないと。

だから、僕は自分の仕事を愛し、映画の仕事を愛しています。役を作り上げる事は大好きです。しかし、必ずしも役の人物を愛する必要はないと思います。

キング:そんな風に言った人は初めてですよ。

CMの後もラッセル・クロウとロン・ハワードのインタビューを続けます。映画は「ビューティフル・マインド」、ビューティフルな、素晴らしい映画です。チャンネルはそのままで。

*「ビューティフル・マインド」のクリップ*

*CM*

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*「ビューティフル・マインド」のクリップ*

キング:ロン・ハワード、ラッセル・クロウのインタビューを続けます。ラス、この映画ですが、こう思う人もいるかもしれません−「この映画は分裂症の男の話で、しかもすごくいい奴ってわけでもない。こんな映画、どうやって売ったらいいんだ?こんなアンチ−ヒーローにどうやって客を引きつけたらいい?」

クロウ:ありがたい事に、それは僕たちの仕事じゃありません。どちらかと言うとロンの仕事だけど…彼はイマジンの共同経営者ですから。でも、僕は自分の仕事で最善を尽くすことだけ心配していればいい。それから、いつでも映画の宣伝にも協力して、出来る限り責任を果すようにしています。

キング:受け取るギャラを少なくしたり。

クロウ:まあ、そうですね。

とにかく、これはどうしてもやりたかったんです。この脚本の中には人を惹きつける要素が元からあって、脚本家が目の前に置いたその要素をロンが監督として表現することが出来れば、必ず観客を呼ぶ事が出来ると思ったんです。

キング:(ハワードに)(ナッシュは)非常に複雑な人間です…

ハワード:はい。

キング:…我々の知らない病気に罹っている。

ハワード:その通り。

キング:世の中の人の98%は、このような人を見たら引いてしまうでしょう。

クロウ:はい。

キング:街角で出会ったら、道の向う側に渡ってしまうでしょう。

ハワード:とてもミステリアスな人物です。

それと、違う話なんですが…この病気をかかえた家族は、誰に気持ちを打ち明けたらいいのかもわからないでいるのです。家族に分裂症患者がいるということを他人に打ち明けることすらしない。この映画のことで驚いたのは、街で見知らぬ人たちが僕のところに来て、「この映画を作ってくれてありがとう…私の兄が分裂症なんです」とか「娘がそうなんです」とか言ってくれたことです。

街角で他人とそんな風に交流出来るのは本当に感動的でした。この映画が、この病気に対する偏見を晴らしてくれたのなら嬉しいです。

キング:そうですね。このような人物を演じる時は、どうやって…彼には会ったんですよね?

クロウ:はい。

キング:実在の人物を演じる時には。

クロウ:本当は、もっと早く会う計画だったんですが、ある映画の仕事を優先させなければならなくて…リハーサルに当てられる時間が3週間半しかなかったんです。

ハワード:ほとんどないようなものでした。

クロウ:…それに、その間にも他の用事でロスアンゼルスに2回行かなくてはならなかったので…

ハワード:アカデミー賞を受賞するとか。

クロウ:まあ…そうです。

キング:アカデミー賞の時、撮影中だったんですか?

クロウ:実は、撮影の初日がアカデミー賞の翌日だったんです。僕にとっては残念でした。祝賀パーティをキャンセルしなきゃならなくて…祝賀されるのは僕なのに(笑)。

キング:お祝いはやったでしょう?聞きましたよ。

クロウ:(笑)噂ですよ。いつもついてまわる。(ハワードを指差して)噂は彼が広めたんです。

キング:ナッシュとはあまり長く会う機会はなかったんですね。それでは、どうやって…

ハワード:ちょっと口を挟んでいいですか?僕は、どちらかと言うと二人を会わせたくなかったんです。

ラッセルが、ジョン・ナッシュの物真似をする誘惑にかられるんじゃないかという気がして心配だったんです。僕はそんなものには興味はありませんから。

伝記を…伝記的作品を…作る目的はそういう事ではありませんから。ジョン・フォーブス・ナッシュの人生の全てを語り尽くそうというわけではないんです。それは例えば、ある人の人生を見て、「ワオ!この人の話の中にはすごい要素が揃っていて、障害を描くとても魅力的なドラマを作ることができそうだ。余計なことは全て省いて、彼の人生の真実、彼の人生のスピリットだけを使って、この物語を伝える面白いやり方を考えよう…」

キング:そうでしょうね。

ハワード:ラッセルが(本人と会うことによって)身動きがとれなくなってしまうのがいやだったんです。

キング:それで、本にはあったバイセクシャル(両性愛)的な要素などを省いたのですね?何もかもを入れるわけにはいかないから?

ハワード:本の中にはありますが、非常に異論のある点だという事がわかったんです。

クロウ:ナッシュは否定しています。それに、考えてみて下さい…この現代のメディア社会で、あの本が出版されたのは…94年?95年?その頃ですよね?

ハワード:そう。

クロウ:OK、彼が肉体関係を持った人物っていうのは、一体どこにいるんです?(もしいるなら)名乗り出る人がいてもいい頃でしょう。それに、彼が最終的にどうなったかはみんな知っていますが、彼が肩をたたかれたあの夜に(※)本当は何があったのか、誰にもわからないんです。結局、起訴は取り下げられたし、有罪判決も受けなかったんです。(※ナッシュ博士が男子トイレで公然猥褻罪を働いた疑いで逮捕された件。)

ハワード:それに、本の著者のシルヴィア・ナッサーが真っ先に認めている事なんですが、あれは50年代の人々の憶測に基づいた事なんです。50年代には彼は「変人」だと思われていた。「『変人』ってどういう意味だどう?」とね。

それに、他の理由もあります。50年代には、とても危険な考えがあって…関連付けて描くのは無責任だと感じたんです。なぜなら、50年代には、同性愛と分裂症は結び付けて考えられていて、もちろん、間違った考えですが。

キング:そうですね。(クロウに)分裂症を演じるのはどうやったんですか?つまり…いろいろな演技がありますが、どうやってそれを考えついたんですか?

クロウ:ある一人の分裂症患者−ジョン・フォーブス・ナッシュに限って言うと、かなり謎だらけでした。

ジョンの子供の頃の白黒の写真が17枚あって…一方では、存命のジョンがいる。若い頃のジョンの映像も、声の録音もない。そして、写真と、本に書いてある話の知識の断片の間には…35年から40年の空白があるんです。その間には薬物療法とか入院とかあって…彼は歳を取った。

それで、リハーサルをしている間に、僕はいろいろ質問を書いて、ジョンに訊いて欲しいとロンに頼んだんです。答えをビデオに撮って欲しいと。

ハワード:とてもいいアイデアでした。

クロウ:それで、いくつかの点で、はっきり証拠が残っているのに彼自身はまったく覚えていない事があるのに気づいたんです。例えば、「髭を生やしていたことはありますか?」「記憶にある限りでは、ありません」…でも、ヨーロッパにいたころの彼が髭を伸ばしている写真があるんです。だから、彼は自分自身の人生の証人にはなれない…僕が求めたような具体的な事では。

キング:ほう。

クロウ:だから…一方で年老いた彼がいます。一方で彼の生まれた所がわかっています。その間には大きなギャップがある。それで、分裂症の発病前、発病後の情報を、何人かの患者について調べたんです。病気に罹る前と、罹った後では、言葉の発声法と、身体的な面で大きな変化があることがわかりました。

ジョン・ナッシュは若い頃は、大柄で逞しい男性でした。数学者と聞いて人が想像するタイプとは違ったんです。でも、歳をとったジョン・ナッシュは肉体を意識させない程です。

だから、老人になったジョン・ナッシュを基準に若い頃の彼を演じたら、いろいろな要素を落としてしまうことになる。それで、もっと大雑把な事実を利用するしかありませんでした。ウェスト・ヴァージニアで生まれて、何年何月にどこへ行って…というような事を。そういう事を利用して、はっきりわかっている事実を元に作り上げていったんです。

キング:あのユニークな喋りかたはどこからきているんですか?あなたはニュージーランド人ですよね?

クロウ:はい。

キング:オーストラリアに住んでいる。

クロウ:そうです。

キング:二重国籍を持つことになると聞いています。本当ですか?

クロウ:いずれはね。

キング:どうやってウエスト・ヴァージニア訛りを身につけたのですか?

クロウ:ジュディ・ディカーソンという、素晴らしい女性がいるのですが…一緒にもう、7、8本ぐらいの映画をやっています。

キング:あなたが同じ話し方をしている映画は2つとありませんね。

クロウ:はい…でも、それも役作りの一部なんです。つまり、俳優と言うのは、僕が思うに、完全に没頭するんです。

「レイジング・ブル」のロバート・デニーロみたいに…もし、毎日仕事をしていて、演技を始めた時に完全に役に入り込めなければ、僕が望むような演技はできない。僕は人を驚かせるような本当にいい仕事をしたいんです。人を心の旅に誘うような。

キング:それで、彼女の手を借りて…

クロウ:はい…それが彼女の仕事なんです。もし僕が、細かい発音方法の事にまで責任を負っていたら、感情表現の邪魔になります。まあ、全部憶え込むこともできますが、彼女がそばについていると、シーンの直前に「このシーンはどこに気をつけたらいい?」と訊けば、彼女が「そうね、Rが2つあるから気をつけて」とか、「ここの音はこう発音して」とか言ってくれます。

そうすれば、僕は演じる直前にその情報を直接、頭に入れることができます。もちろん、一旦頭に入ってはいるけれど、いつでも思い出せるわけじゃありません。僕が思い出せるのはその日のセリフと、それが他の事とどう関連しているかだけですから。

キング:(ハワードに)すごいと思いませんか?

ハワード:ええ。

キング:…監督として?

ハワード:ええ。僕は俳優としてアクセントには苦労しましたからね。本当に驚きです。彼は耳がいいんです。ミュージシャンでもありますから。

クロウ:あれは実を言うと、ロバート・バード上院議員の喋りかたなんです。

キング:そうだ!どっかで聞いたと思ってた!(笑)彼は何度もこの番組に出ているんです。よく知っています。

CMの後も「ビューティフル・マインド」のラッセル・クロウとロン・ハワードのインタビューを続けます。まだまだ話すことが沢山あります。そのままご覧下さい。

*「ビューティフル・マインド」のクリップ*

*CM*

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*「ビューティフル・マインド」のクリップ*

キング:ラッセル・クロウとロン・ハワードのインタビューを続けます。さて、一緒に仕事にする前に、お互いの事は聞いているわけですが…(ハワードに)あなたはラッセル・クロウと仕事をするのを楽しみにしていましたか?

ハワード:そうですね、楽しみでした。まず、映画で彼を見て素晴らしいと思っていたからです。会ったことはあったんですが、会議の席で一度だけでした。それからこの映画について話し合いを始めました。話すうちに、彼が出ればどんなに素晴らしい映画になるか考えてどんどん興奮してきたんです。それに、大勢の監督たちと話したんですが、みんな口を揃えて言うんです…要は、こちらの準備が出来ていてちゃんと答えることさえ出来れば、彼はとても鋭い質問をたくさんするよ、と。

キング:それを嫌がる監督もいますか?

ハワード:さあ。僕は全然嫌じゃないですよ。頼りにしているぐらいです。

クロウ:(同時に)いますよ。嫌がる人は多いです(笑)。

キング:それが気難しいとか、厳しいと言われる所以なのでしょうか?

ハワード:僕が俳優だったから、俳優と仕事をするのは好きだろうと感じたんでしょうね。みんな「いい経験になるだろう」と言いました。本当に、素晴らしい経験でしたよ。

キング:あなたは頑固ですか?

クロウ:はい。でも…不当なことは言いませんよ。自分のために言ってるんじゃないんです。僕はこの仕事のプロとして雇われているわけです。役を演じるために、馬鹿馬鹿しいほど高いギャラももらっている。

そして、僕はこう言うんです−「役を引き受けた以上、僕は役になりきって、完全に責任を果たす。

それから、常に監督の指示が必要だ。なぜなら、僕が思いつくささやかなアイデアがあって…映画全体の事を決めるのは監督だから。映画は監督のものだから。」監督との関係ではいつもそれをはっきりさせておくんです。僕は責任者ではない。僕が責任を負うのは僕の役だけです。 そして、僕はいろんな事を考えつくんです。役を作り上げる過程で…質問とか浮かんでくる。映画を半分撮り終えた後や、3分の2ぐらい終った後で考えつくこともあります。「そうだな。ここはこういう感じを入れてみよう」みたいに。だから、人から見れば、僕は…

キング:完璧主義者?

クロウ:そうですね、人から見ればそうでしょう。でも、僕は自分が完璧主義とは思いません。なぜなら、率直に言うと、こういう事が完璧に出来るってことはないからです。

ハワード:それでも、前へ進んで行かなきゃならない。

クロウ:そう、それに…

キング:(ハワードに)仕事上はどうですか?彼は時間通りに来ますか?

ハワード:ええ、もちろん。

キング:役者の中には…

ハワード:扱いにくいというわけではないんです。ラッセルはすごく独創的な人なのに…

キング:話がしやすい?

ハワード:はい、とても。

クロウ:いつも協力し合っているから…でも、こういう事があったんです…撮影も終盤にさしかかったころ、ロンが「疲れたよ。もう今日は終りにしよう」と言う日があって、僕は「何言ってるんだ、今日の予定は終らせよう。さあロン、がんばろう」って…

キング:救いの手を差し伸べたんですね。

ハワード:そうです。

クロウ:お互いに助け合うんです。

ハワード:その通り。

クロウ:それが共同作業というものです。共同作業と細部へのこだわりが映画を作るんです。

ハワード:それに、この映画は誰にとってもやり遂げる甲斐のあるものでした。アキヴァ・ゴールドマンの素晴らしい脚本…それに、映画会社がこの映画に出資してくれたのはすごいことです。それ自体非常に稀なことなんです。

クロウ:ナッシュがすごい人物だという事を別にしても、現実のこの話は…これは撮影が始まるまで気づかなかった事なんですが…ロマンスなんです。この話の中にはロマンスがある…現実に、二人はまだ一緒にいるんです。それが一番すごい事だと思います。

キング:確かにそうですね。ジェニファーが先週のゲストだったんですが、彼女もラブ・ストーリーだと言っていました。

クロウ:(先週の番組の話をハワードにしている)彼(キング)がイントロダクションをやって、カメラがジェニファーに切り替わって、僕らがどのぐらい長くジェニファーと過ごしたかって話をして、ジェニファーは「Oh my God!」って感じ…(※ごめんなさい、ジェニファーの回を見ていないせいか、このへん何を言ってるのかよくわかりません。)

彼女がものすごい美女だってことを忘れてますね。ほんとに美人ですよ。

キング:彼女に恋をしてるんですか?

クロウ:もちろん…ある意味でね。共演する女優みんなと恋をしていると言ってもいい。つまり、役の上で恋愛をする相手なら…彼女は役に献身していましたから。つまり…彼女はすごい、特別な女性ですよ。

キング:それは…

クロウ:でも、彼女とつき合ってはいませんよ。ニューヨークの新聞が何を書こうと…

キング:そんな事を書いているんですか?

クロウ:はいはいはい。出鱈目ばっかりですよ。

キング:あなたはどうですか…無視することの出来る人もいます。毎週のようにタブロイドに載ることもあるわけです。でも、人によっては…トム・クルーズは怒り狂ってましたよ。

クロウ:そうですね。

キング:あなたはどう反応しますか?

クロウ:内容によりますね。単に馬鹿馬鹿しいことなら、気にしません。しかし、もし僕の家族に影響のあるような事なら、うんざりしますね。

キング:腹を立てますか?

クロウ:腹を立てるというのではないと思います。僕の仕事柄、仕方ない部分もあるから。ただ僕は、「有名人になったら生活も人に知られて当然だ」という考えには賛成出来ないんです。まったく馬鹿げた考えです。

有名になったって人間は人間だし、プライバシーを持つ権利があります。ゴミを調べられたりするいわれはない。僕は毎日、自分の仕事をする。それだけの事です。たまたま、その仕事が俳優だというだけで…まあ、もしかしたら人よりこの仕事にのめり込んでいるかもしれませんが、タブロイドに怒ったりして時間を無駄にしたくありません。

キング:いつかフランク・シナトラが私に言ったことですが、「人々に対しての私の義務は、仕事で最善を尽くすことだ。それ以上の事をやるとすれば、それは私がやりたくてやっている事だ。」もっともだと思いますか?

ハワード:ええ。本当にそうですね。

キング:このインタビューを受ける義務はないんです。

ハワード:ええ。

キング:こういう事は義務じゃない。やりたいと思ったからやっているわけです。義務ではない。ただ、仕事には最善を尽くす義務がある。

ハワード:ええ。

キング:(ハワードに)…あなたはそういう経験はありませんよね?タブロイドに載った事はありますか?

ハワード:ありますよ。

クロウ:それがあるんです(笑)。

キング:本当ですか?

クロウ:(ハワードに)あの話をしようか?(笑)

ハワード:つい最近のことです。(クロウに)君が話す?

キング:どうして?何をしたんです?

クロウ:ラリー、すごく笑える話なんだ。

キング:教えて下さいよ。

ハワード:君が話せよ。

クロウ:えーと、ロンは家族や親戚と、車4台に分乗して旅行したんです。子供が沢山いて、あっちの車に乗ったり、こっちの車に乗ったりしていました。それで、ヨセミテに行く途中だったんだっけ?

ハワード:そう。

クロウ:ヨセミテに行って、やっと到着したら携帯電話が鳴って…彼が出たんですが、それは長年彼のアシスタントをしている女性からで…

ハワード:20年以上。

クロウ:20年以上。彼女が言うには、「ロン、リードはどこにいるの?」

ハワード:僕の末息子です。

クロウ:それでロンは、「あれ、どこだろう。他の子と一緒にその辺にいると思うけど…」そうしたら彼女は…(ハワードに)彼女のマネは君の方が上手だ。(笑)

ハワード:こう言ったんです…「あの子、フレズノにいるわよ!フレズノの『クリスピー・クリーム』に忘れて来たでしょう!フレズノの警察が保護してるわよ!」突然、怒りのあまりアシスタントからガミガミおばさんに変身して…(笑)

キング:息子さんはいくつですか?

ハワード:14歳です。

キング:どうして忘れたんですか?

ハワード:息子が言うには、みんなでそこにいた時…ラリー、まったく「ホーム・アローン」みたいな話なんです…息子は「パパ、トイレに行って来るから待っててね」とか言ったそうなんです。僕は「わかった、わかった…このドーナッツ美味いな」とか言っていたみたいです。

キング:タブロイドがそれをネタにしたんですか?

ハワード:ええ。でも、昔…「ハッピー・デイズ」に出ていた頃にもありました。

キング:本当に?

ハワード:結婚する直前のことです。当時の婚約者で今の妻のシェリルがゆったりした服を着ている写真を見つけて、「二人が結婚するのは彼女が妊娠7ヵ月だからだ」と…それで、ルイジアナにいる彼女の親戚がとても怒ったんです。

キング:出鱈目な記事を読んだら気になりますか?

ハワード:はい。そうですね、あの時は本当に頭に来ましたよ。彼女と彼女の家族を傷つけたんですから。

クロウ:そういう事なんです。出鱈目を書かれても自分は我慢できるけど、例えば姪と話す時に…13歳で、まだ本当の現実と勝手な報道との区別がつかないんです。

キング:世の中の全ての人が、あなたとメグ・ライアンとの関係を知っているというのはどういう気分ですか?ちなみに、彼女と私は誕生日が同じなんですが。

クロウ:そうなんですか。

キング:自慢なんです。11月19日です。私生活が人目にさらされるのは変な気分じゃないですか?

クロウ:はい。まして、その記事たるや、非常に大雑把な事実に基づいた内容で、具体的な事は現実とかけ離れているんです。僕たちの場合ならこんな状況、こんなタイミングで、こんな風に起こったのなら一番似合うとか、僕らがこう言ったなら面白いとか言うだけの事を書いているんです。

それに…記者たちは、その記事が嘘なのを重々承知していても、それらしい話だったら載せてしまうんです。法廷とかに訴えて決着をつけようにも、時間もお金もかかりすぎるっていうのを知っているから。卑怯だと思いますね。

キング:(ハワードに)撮影中に恋に落ちることはよくあるんですか?密接なつきあいをするから、当然の帰結のような気もしますが。

ハワード:僕の経験では二回ほど…言わば「休暇中のロマンス」のようなものがあっただけです。

キング:その事によって、演技は難しくなりますか?

クロウ:いいえ。難しくもなりませんし、簡単にもなりません。つまり、メグと僕は…仕事をしているんで、個人的なことはまったく切り離して考えていました。それはとても…

キング:撮影中はプロとしてふるまった?

クロウ:完全に。と言っても、非常にゆっくりしたものだったんですが。7ヵ月ぐらい後になって、監督が映画のプロモーションをやっていた時の話をご存知だと思いますが(※)、その時まで、監督は僕たちがつきあっていた事も知らなかったんです。別に隠していたわけでもないのに。(※「プルーフ・オブ・ライフ」のハックフォード監督が、「メグとラッセルのスキャンダルのせいで映画が成功しなかった」と記者に語り、それをラッセルが怒った件を指していると思われる。)

キング:監督は知らなかったんですね。

クロウ:監督は知らなかったんです。僕たちは一緒に撮影をして、僕は出来る限りの良い仕事をしました。僕は今だに疑問を持っているんですが…

ハワード:それなら、実は何度もあったかもしれませんね、ラリー。僕が知らなかっただけで。(笑)

キング:(ハワードに)一緒に仕事をしている人の私生活というのは影響しますか?

ハワード:全く気になりません。ちゃんと現れてちゃんと仕事をしてくれる限り。僕が気にかけるのはそれだけです。

キング:それだけですか。

ハワード:そういう話はしたくないですね。もし、僕に相談したいって言うのなら、喜んで聞きますが…仕事をする助けになるなら、何でもします。余計な忠告などしない。本当にどうでもいいんです。大事なのは…毎日、映画を撮ることが出来るって事は、とても貴重な特権なんです。

表現する手段を与えられていて、そのチャンスを充分に生かしたいと思っている。それを止められたら、僕は腹を立てます。困ります。何とかしたいと思うでしょう。そうでなければ、何があろうと僕は気にしません。

キング:CMの後もラッセル・クロウとロン・ハワードのインタビューを続けます。映画は「ビューティフル・マインド」、素晴らしい映画です。続けてご覧下さい。

*1月13日の同番組のビデオ*

キング:監督としてのロン・ハワード、俳優としてのラッセル・クロウとの仕事はどうでしたか?

ジェニファー・コネリー、女優:(ハワード監督は)人と協力して仕事する事が大好きなんです。そういう人だから、私も…自分から進んではやらないような事をやってしまうんです。彼が言うことなら、何でもやってみようと…

キング:彼を信用しているから。

コネリー:はい、彼を信用していました。それに、ラッセルも同じように感じているようでした。

キング:それから、ラッセルとの共演は?

コネリー:素晴らしい人です。とても協力的で、仕事を愛しているんです。情熱的で、彼といると気が抜けません。

*CM*

*後編につづく*

トランスクリプトはcnn.comを参考にしました。

写真はMaximus Croweの方をどうぞ。



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