映画感想


アマデウス ☆☆☆☆☆

この映画を観るのは数年ぶりだが、今回観て思ったのは…「モーツァルトって、いいやつじゃん。」純真でウラオモテのない人だし、仕事熱心だし、父親と妻のこともちゃんと愛してるし。サリエリが「神よ、何であんなやつに才能を…」と嘆くのは不当だわ。ちょっと言葉遣いが下品で、女好きでパーティ好きで金遣いが荒いだけ…そう、彼はロックスターなのだ、現代で言うと。(そういう歌があったっけ?)現代なら、莫大な印税が入って派手な生活し放題だろうに。可哀想なウォルフィー、著作権法のない時代に生まれたばっかりに…でも現代に生まれていても、やっぱり若死にしたかもねぇ。

ところで、モーツァルトの家にスパイにゆくメイドがどっかで見た顔だと思って良く見たら、「Sex And The City」のミランダ(シンシア・ニクソン)だったのでびっくり。若い!(2002/11)



ハリー・ポッターと秘密の部屋 ☆☆☆

前作同様、面白いが長い。長いが飽きない。飽きないが疲れる。疲れるが次作も観に行くだろう。

筋が分からないってほどではないのだが、やはり原作を読まないとほんとのところはわからないのでは、と感じながら観ていた。「原作を読まなきゃ分からん映画なんて、映画としていかがなものか」という意見も時々聞くが、私は原作とセットになってる映画もアリだと思う。そもそも、評価を映画単体で決めなきゃなんないっていう理由もないわけだし…などと言いながらも、私は本を買うつもりはないらしい。でも、姪が持ってたら借りようかな。

どこかで誰かが、ロックハート先生はケネス・ブラナーよりヒュー・グラントが適役だったと書いていたが、賛成。ケネスじゃあ、「軽薄な奴だが、女の子はみんなうっとり」って感じじゃないしな。(2002/12)



モンテ・クリスト伯 ☆☆1/2

(以下、一応ネタバレですが…みんな大筋は知ってますよね?とは言っても、実は私は子供向け省略版しか読んだ事ないんですが。)

ジム・カヴィーゼルとガイ・ピアースをフランス人だと思い込まなくてはならないとか、登場人物が全然歳を取っていないのに16年後だと思い込まなくてはならない−とかいう障害をクリアすれば、楽しめる映画ではある。テンポがいいし、俳優もいいし(除ヒロイン)、景色もセットもきれいだし、お船も見られるし。しかし、ちょっとテレビドラマっぽくて軽い印象。

その「軽さ」ですが…ヒロインが下手でラブ・ストーリーの部分が弱いって事もあるが、何と言っても、エドモン・ダンテス(カヴィーゼル)が13年も牢獄に幽閉されて虐待されていたわりに、年老いてもやつれてもいないところに原因があるように思う。脱獄した直後から元気一杯だし、それほど痩せてもいないし、顔色もつやつやしてるし、白髪にすらなっていないんだもん。恨みの深さも重みも感じられない。彼を無実の罪に陥れた伯爵(ガイピー)の方がよっぽど老け込んでいて、復讐する必要ないじゃん。(ガイピーがダンテスの方がよかったんじゃないかな、とふと思う。)

ダンテスが獄中で出会い、彼の師となる司祭の役がリチャード・ハリス。撮影時期が前だったのか、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」の時よりずっと元気。彼が登場するシーンは、この映画の中で一番面白い。惜しい人を亡くしたものです。

それからついでだが、ダンテスの従者になる人相の悪い船乗りは傑作ドラマ「OZ」でラテン系のボスを演っている人だった。映画を観ていてTVでおなじみの顔を見つけると、なんとなく嬉しい。

最後に一つだけ、細かいツッコミだが…細い紐の指輪なんて、どうがんばったって1ヶ月ぐらいで切れるんじゃないか?それともあれは、切れる度に新しいのを結んでいたって事なのか?それを「あなたを忘れていなかった証拠」として見せられても、説得力ないぞ。(2002/12)



ゴスフォード・パーク ☆☆☆☆

半端じゃなく高い期待を抱いていたのだが、裏切られなかった。

舞台は1932年、イギリスの田舎の邸宅。狩猟をしに集まった貴族たち(これがほとんどは毒殺した上に刺し殺してやりたいような嫌な連中)、彼らを観察して映画の参考にするためにハリウッドから来たプロデューサー、そして彼らの世話をする召使たち。やがて殺人が起こり、この中に犯人が…という、一見完璧なアガサ・クリスティーの世界。でも、これはマーダー・ミステリではない。では何かと言うと…ロバート・アルトマン映画。(ウッディ・アレン映画と同じく、一つのジャンルかも。)この人の場合、「群像ドラマ」と言ってしまうには、その「群像」ぶりがあまりに桁外れなので…まあ今回は「ウェディング」や「ショート・カッツ」に比べれば人数は少ないけど、その描き方の手際よさには思わず見惚れてしまう。

ひとつだけ文句を…映画自体じゃなく、字幕の事なんですが。客の一人が菜食主義者と聞いて、料理人が「鳥の代わりにウサギを用意しています」という字幕…「ウサギ」って。「ウェルシュ・ラビット(=チーズトースト)」って言ってないか?(こんな本筋に関係ない細かい所をつっこまずにいられない私って、この映画のマギー・スミスみたい?チーズトーストでも食べて寝よう。)

それから、「TVでおなじみの顔シリーズ」を続けると…映画プロデューサー役は「フレンズ」のフィービーのパパでした。(2002/12)



ディナーラッシュ ☆☆☆☆☆

前から観ようと思っていて観られないでいた「ディナーラッシュ」を、今週で終わりと聞いてあわてて観に行く。ああ、間に合ってよかった!むちゃくちゃ面白いです、これ。

「朝に味噌汁を飲みたくないなんて、日本人じゃないな」と言われて「食べ物の好みで国籍が決まるなら、私はイタリア人だ」と言い返したほどイタリア料理好きの私。この映画はおいしそうなイタリア料理がばんばん出てきて、空腹で観るのはおすすめしません。辛抱たまらなくなります。…ああ、イタリア料理が食べたい。それもこの映画のシェフの作るような批評家ウケする斬新なやつじゃなくて(イタリア料理店でワサビやイクラなんて見たくないし)、ダンカンの作る伝統的なやつを…トマトソースとミートボールのスパゲッティとか。

関係ないけど、前にNYに行った時にTVで、映画と料理番組を同時進行するという妙な番組をやっていたのを思い出した。「月の輝く夜に」の合間にイタリア料理を作ってました。この映画はあの番組に合いそうです。

ところで前に「映画の中でTVでおなじみの顔をみつけると嬉しい」と書いたけど、この映画は「見つける」どころじゃない、そこらじゅうおなじみの顔だらけ。「ER」はいるわ「ホミサイド」はいるわ「エド」はいるわ「OZ」からは集団脱獄してるわ、おお、「Sex And The City」まで!というわけで全部は書かないが、一番の注目株は「OZ」のミゲル君(この映画では副シェフのダンカン)。ええと俳優名は、カーク…これは何て読むんだ?アチヴェード?彼はブレイクしそう。髪があったころのニコラス・ケイジみたいだわ。(2002/12)



A.I. ☆☆☆

見逃していた「A.I.」をWOWOWでやっていたので観る。

このテの(近)未来物SFを観ると、必ず毎回思ってしまうのが、「こんなモノを作るほどの技術があるんなら、もっと役に立つものを作ればいいのに、絶対掃除しなくていい部屋とか」という事なのです。(もっとも、この映画ではオフィスも家庭も、掃除しているシーンはないのに塵一つ落ちていない感じだから、掃除しなくていいハイテク建築なのかも。でも住み心地は悪そうだ)「ドラえもん」を観ても同じ事を思っていたからなぁ私。ドラえもんはあんなに凄い機械をいろいろもっているのに、どうしてのび太のお母さんの家事を片付けてあげないのか?とか。そんなに家事が嫌いか私。(はい、その通りです)ウム…このへんが、私がイマイチSFファンになれない理由かも。

…なんていう下らない話は、さておき。この映画、良く出来ているのだけど、楽しんで観るにはちょっと、いろんな意味でツラすぎる。『永遠に親を愛する』ロボットを作る博士も、そのロボットが『永遠に自分を愛し続ける』ようにキーワードを入力するママも、なんだか、あんまりだよなあ。

でも、映像はやっぱり素晴らしい。こういうものを描いて安っぽさを欠片も感じさせないってのは本当に凄いと思う。水没したマンハッタンは映画館で観たかったかも。でも、この重い暗い話に映画館で2時間半つきあうのはしんどかったような気もする…(2003/3)



トゥー・ウィークス・ノーティス ☆☆☆

予告編でヒュー・グラントとサンドラ・ブロックの「トゥー・ウィークス・ノーティス」(芸のない邦題だ)をやっていた。ラブストーリーらしいのだが、ヒュー・グラントが(予告で見た限りでは…いや多分本編でも)あまりにいつものヒュー・グラントなので、かえって感心してしまった。思うのだけど、ヒュー・グラントってどの映画に出ても、さまざまなパラレルワールドにおけるヒュー・グラントを演じているみたいだ。この世界のヒュー・グラントは本屋さんだとか、こっちの世界のヒューは子供嫌いの小児科医だとか、こっちでは親の遺産で食べてる男、あちらではブリジット・ジョーンズの上司、こちらでは大富豪…でも全部同じ人間、みたいな。いっそ役名も「ヒュー・グラント」に統一したらどうだろうか。いや、けなしているわけではないのよ、だって、ヒュー・グラントを演じさせたらヒュー・グラントの右に出るものはいないのだもの。…こういう事は映画を観てから書くべきかもしれないけど、多分WOWOWでやるまで観ないと思うので、今書いておく。(2003/3)

(追記)WOWOWでやったので観ました。実際に観ても、まあ上に書いた通りだったのですが、映画そのものは意外に面白かったです。サンドラ・ブロックもヒュー・グラントもイメージ通りの役を楽々とやっている感じで(いや、実際に楽かどうかは知りませんが)安心して楽しめる映画でした。キャスティングの時点で成功確実と思われたのに結果はコケてる映画も多々ある中、これは主役の持ち味をちゃんと生かしている脚本だと思います。でも、冷静に考えれば何の取り得もない甘ったれ男をチャーミングに見せてしまうのだから、これもヒュー・グラント帝王のパワーかも。(追記 2005/6/13)



ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 ☆☆☆☆☆

と言うわけで、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」(A)を観に行った。うーん、久々に「娯楽映画を観た!」という満足感。

前作より遥かに面白かった!(いや別に前作が悪いというわけではなくて、一つの話の中で今回の方が見せ場の多い部分だったというだけなんだろうけど。)それから登場人物の一人一人がとにかく無茶苦茶カッコイイのが嬉しい。まずレゴラス王子。スノボも上手なレゴラス王子、意外に馬鹿力のレゴラス王子。いいわ、この無駄なカッコ良さ。それにモテモテ男アラゴルン。うーん、私の趣味が過去約10年で変な方向へズレてしまっていなければ、惚れていたと思う。でも何と言っても一番カッコイイのはあの…あれ、これってひょっとしてネタバレ?まあ大丈夫だと思うけど…白のあの人ですね。

それからフロドの顔はまるでCGで作ったみたいに完璧だとか、CGで作ったゴラムはまるで生身みたいに完璧だとか、アルウェン姫の顔がなんとなく下ぶくれになったのは気のせいだろうかとか、エオウィン(役の女優)は立派なアゴ割れ美人でマキシマを演らせたいとか(<『プレクエル』ネタ)、ピピン(役のビリー・ボイド)はボンデンにしては可愛いらしすぎるなぁむしろサム(役のショーン・アスティン)の方がイメージかもとか(<『M&C』ネタ)、下らない事を考えつつ、胸のすくような合戦シーンとかカッコ良い登場人物とかにぽけーと口を開けて見惚れているうちに3時間あっと言う間に経ってしまった。

アカデミーでは作品賞は獲らないだろうけど、美術・視覚効果・音響効果・衣装デザインあたりを独占しそうな。でも「シカゴ」もこのあたり強そうか。一騎打ちかな。(2003/3)



ノー・マンズ・ランド ☆☆☆

思っていたよりずっとシビアな話だった。「戦争をユーモアで批判」とか「中立地帯に取り残された敵味方の二人の兵士」という紹介文を読んでいたので、何となくその二人の兵士に敵味方を越えた友情が芽生える話かと思っていたのだ。しかし、まるっきり逆だった。二人は話してみると、セルビア側の兵士がボスニア側の兵士の昔の恋人と知り合いだったりして、最初は仲良くなれそうな雰囲気があるのだけど…結局、いったん戦争を始めてしまえば、憎しみは増える一方で減ることはないという話だった。借金のように雪だるま式に膨れ上がる。どっちが悪いとか、どっちが先に始めたとかじゃなくて、どっかでやめなければ両方破滅するまで止まらないのだ。(2003/3 イラク戦争開戦の日に)



マルホランド・ドライブ ☆☆☆

デビッド・リンチは、昔「ツイン・ピークス」を夢中になって見てたし、「ワイルド・アット・ハート」や「ストレイト・ストーリー」は大好きなのだけれども…「感覚」で映画を観るのが下手な私にはやっぱり苦手なタイプかと。そう理屈っぽいのよ私。生まれつきだからしょーがない。(2003/3)



キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン ☆☆☆1/2

タイトルバックがなんとも懐かしい60年代映画風で、それだけで「おおっ」とノッてしまった。しかも主人公がなりすますのはPAN AMのパイロット。パイロットなら無条件に信頼されて、スチュワーデスが女子大生憧れの職業、ってのにも時代を感じます。ジェームズ・ボンド(もちろんショーン・コネリーの)とかドクター・キルデアとかペリー・メイソンを参考に「役作り」するところも楽しい。ディカプリオは、めいっぱい背伸びしながら生きる役が似合ってる。実年齢より10歳年下の役だけど、10歳年上だと嘘をついてそれで通っている役だから…16歳でも28歳でもどちらも違和感ないのが凄いです。トム・ハンクスは相変わらず上手いし、哀愁ただようお父さん役のクリストファー・ウォーケンも何とも印象深いのだけど、これは(もしかしたら彼とっては初めての)レオナルド・ディカプリオの映画でした。 (2003/3)



戦場のピアニスト ☆☆☆☆

最初のうちは、エイドリアン・ブロディの顔を見るたびにあのアカデミー授賞式の「ハリー・ベリーとのディープキス」のシーンが浮かんでしまって…ああ、だから候補作は授賞式を見る前に観ておくべきなのよね。まあ、今年はいろいろあってしょうがなかったのだけど。

しかし、もちろん、幸か不幸か、映画が進むうちにそのようなことは頭からすっとんでしまった。ナチスによるユダヤ人迫害、舞台はポーランド、ってことでやっぱり「シンドラーのリスト」が思い出されるのだけど、これに比べたら「シンドラー」がいかに娯楽映画(悪い意味ではなくて)であったかがわかる。スピルバーグは「辛いシーン→辛いけどユーモラスな泣き笑いエピソード→残虐なシーン→ほっと救われるような心温まるエピソード…」とメリハリをきかせて観客を惹きつけるのだけど、この映画のポランスキーは「辛いシーン→残虐なシーン→もっと辛いシーン→さらに残虐なシーン(以下延々と繰り返す)…」という感じで、ほっとするような人間味のあるエピソードはラスト15分ぐらいまで待たないと出てこない。私は映画としては「シンドラー」の方が好きだけど(というか、あの映画は私のこよなく愛する映画の1本なのだけど)、この映画の厳しい描写もちょっと忘れられないだろうと思う。特に「飢え」の描写が、背骨にしみるほど凄かった(上映中お腹すいてたせいかもしれないけど)。いきなり殺されるのも酷いけど、ああいう風にじわじわと人間性を奪われてゆくって恐ろしいことだなあ。

しかし、ポランスキーは一生アメリカに足を踏み入れないつもりなのでしょうか。海外逃亡していると時効も成立しないと思うけど…恩赦とか、なんとかならないもんですかねえ。子供のころナチスの手を逃れ、妊娠中の奥さんをカルト教団に殺され、淫行罪で海外逃亡、逃亡中のままアカデミー賞受賞…つくづく、すごい人生だわ。

(追記)ポランスキー監督の言葉:「人生の波乱なんてものに、僕は価値を求めないね。」…そりゃそうでしょう。(2003/4)



ソードフィッシュ ☆☆

無駄な爆発が多すぎる。無駄な人死にが多すぎる。トラボルタの行動には無駄が多すぎる。ハッキングの描写も、ありゃいくらなんでも変でしょう。いや、知らないけどさ。

まあ、この映画を観た目的はヒュー・ジャックマンを鑑賞することだけなので、別にいいのだけど、その面でもサービスが足りなくて不満。(ハリー・ベリーの方はサービスたっぷりなのに。男性観客優先か。まあしょうがないか。)いや、サービスと言っても裸とかラブシーンとか、そういう意味だけじゃないのよ、この男の見せ場と言うか、キャラクターを表すシーンがもうちょっとはなくちゃ。キーボード叩いてるだけじゃねえ。汚いTシャツを着て娘に会いに行こうとしているヒューにハリーが「その格好じゃまずいんじゃない?」と言ったシーンでは、てっきりハリーが彼を高級ブティックに連れて行ってプリティ・ウーマン風「お召し替え」シーンがあるんじゃないかと思ったのになあ。(<この人、観る映画間違えてます)

どうでもいいが一応ネタバレ==>WOWOWの予告編がひどかった。「全編に張り巡らされたミス・ディレクション!」って、あらかじめ「ミス・ディレクションがある」ってわかってたらミス・ディレクションにならないじゃん。まあ、結局大したミス・ディレクションじゃなかったからいいのだけど。<==おわり (2003/4)



シカゴ ☆☆☆☆

いや、良かったのだ。良かったのだけど…99年にNYで舞台を観ている身としては、多少イヤミになるのは承知だが、舞台と比べずにはいられない。

舞台と比べると映画は「めくるめくようなゴージャス感」に欠けるのは、まあメディアの違いだからしょうがないとは思う。でも、「ムーラン・ルージュ」はもっとゴージャスだったよなあ…ミュージカルシーンを現実と繋ぐために「レニー・ゼルウィガー扮するロキシーの幻想」という設定を作っているのは、まあそれ自体はいいのだが、素晴らしい歌と踊りの途中でレニーの顔や現実のシーンにカットバックするのがどうも興ざめだ。もっとダンスをじっくり見せてよ。ミュージカルを見に行って「いきなり歌い出したりするのはどうも…」という馬鹿ども非ミュージカルファンにもなじみやすいようにということかもしれないが、ほっとけばいいんである、そんな連中。ミュージカルなんだからいきなり歌い出すのは当たり前だ。歌い出さなかったらその方がびっくりだ。野球を見に行って「だって、いきなり球打ったりするんだもの」と言っているようなものだ。

リチャード・ギアは役者の柄としては合っているが、歌とダンスがイマイチ。レニー・ゼルウィガーの声はキャラクターに合っていて可愛いけど…ムネ、何か入れるとかできなかったのかな?(すみません)それに引き換え、ゼダ姐ことキャサリン・ゼダ=ジョーンズ様の素晴らしさよ!彼女だけは、舞台版に一歩もひけをとらない。それから、「ママ・モートン」に扮したクィーン・ラティファもいい。それだけに、ヴェルマとママの歌う抱腹絶倒の「Class」(…近頃の人間はclass(品)ってもんがないわね、オナラをしてもoops(おっと)とも言いやしない)がカットされたのは残念でならない。(DVDには入ると思うけど。)

それから舞台で一番ウケていたギャグ、感傷的な記事を書く「イブニング・スター」紙の花形女性記者メアリー・サンシャインが[実は男だった](<舞台ネタバレ?)というのが映画ではなかったのは残念。

というわけで舞台と比べれば不満が残るのだが、そもそも比べるのが無理なのはわかっている。映画としては、元の舞台の力とゼタ姐のお陰で充分楽しめた。(2003/5)



ギャングスター・ナンバー1 ☆☆☆1/2

結論を言えば、この映画の最大の欠点はポール・ベタニーに老けメイクをしてじいさんになったギャングスターを演じさせなかったことだろう。多分、マルコム・マクダウェルが老ギャングスターを演じることが先に決まっていて、その若い頃の役として当時無名のベタニーを起用して、やらせてみたら凄く良かったのでどんどん出番が増えた(<このへんは想像)という事だろうから、しょうがないと言えばしょうがないのだけど…いや、二人とも演技はすばらしいのよ、それぞれに。でも、どうにも違和感がなあ…「その違和感だ。」(<「ガラスの仮面」より。これだけで分かった人は偉い)顔が似てないのはまあいいのだけど(いいのか?)声が似てないのはツラい。

しかし、私がこの映画を観に行った第一の動機は「マチュリン先生(「マスター&コマンダー」)を演じるポール・ベタニーとルーピン先生(ハリポタ三作目)を演じるデビッド・シューリスを下見すること」だったので、その面では大満足である。ふたりとも本領発揮で実に魅力的。二人ともすらっと背が高くて手足が長くて、並んで歩いてたりすると実に絵になるのだよなあ。ベタニーはどことなく気品が漂っていてチンピラには見えないのだが、サイコパスには見える。すごく見える(笑)。シューリスも立ち居振る舞いが上品でギャングには見えないが、それが逆にこの役には相応しい。

以下ややネタバレ

この映画は要するに、「ポール・ベタニーはデビッド・シューリスの地位や財産を羨んでいるのだと自分でも思っていたが、実は彼を愛していたのであった」という「太陽がいっぱい」な話なのだと思うが(え、違う?)それを軸とした過去と現在の繋がりが、ベタニーとマクダウェルが別人に見えるためにうまく流れていないのが惜しい。マクダウェル演じる老ギャングスターの行動が唐突に思えるのだ。特に最後に対決するシーンは、アパートメントも同じ、シューリスも同じ、これでギャングスターが同じポール・ベタニーだったら、過去と見事に呼応したと思うのだけど。

この映画の最大の見所と言える、ベタニーが敵のボスを「解体」(って感じだよなあ、大工道具なんて並べちゃって)するシーン…血塗れでソファーに凭れてるベタニーを見て思わず一瞬「おお、3巻のマチュリン先生」と思ってしまった悪趣味な私。(いや、まるで立場逆なんですけど…)シューリス=ルーピン先生の方は…全然つながんないですね、私の頭の中では。でもまあ、カッコ良かったからOK。(2003/6/6)



ボーリング・フォー・コロンバイン ☆☆☆☆☆

この間「ER」を観ていたら、クリスマス・イブの日に6歳のわが子を強盗と間違えて銃で撃った母親が出てきた。「恐怖心」と、グリーン先生は言った。

そこで、思い出したように、今のところ私の今年のNO.1映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」の感想。(いい加減に書かないとね。)

この映画は、去年の年末に「ゴスフォード・パーク」を観に行った時に予告編を見て、絶対観たいと思っていた。「銃による年間の犠牲者−ドイツ381  カナダ 165 フランス255 英国68 オーストラリア65 日本39 アメリカ11,127…WHY?」という字幕に続き、コロンバイン高校銃撃事件の警備ビデオに通報した教師の悲痛な声が重なり、マイケル・ムーアが「この国のどこが、他の国とそんなに違うんだ?なぜ?なぜ?」と問いかけるシーンに続く。これだけで泣きそうになった。私は感動的なシーンや悲しいシーンもさることながら、頭にすこーんと響くような、すごーく正しい言葉を聞いた時にも泣きたくなる事がある。この場合は、正しい言葉というより「的を射た疑問」なんだけど。

予告編が良過ぎる映画というのは、予告編にいい所を出しすぎていて本編を見ても予告編以上のものは何もない、という事もありがちなのだが、この映画はそうではなかった。二時間たっぷり、的を射た疑問のつるべ打ち。疑問の答えは出ないにもかかわらずこれほどの爽快感があるのは、疑問そのものにパワーがあるからだ。部分的にはかなり強引な論理もあるが不快感を感じないのは(<これは人によると思うが)、マイケル・ムーアが外から見て批判しているのではなく、その国の、その状況の真っ只中にあって思いをこめた声を上げているからだ。もちろん、観客をぐいぐい引っ張って飽きさせない構成のうまさは言うまでもない。

コロンバイン高校の警備ビデオを別にすれば、一番心に残ったは銃撃事件の被害者と共にKマートへ行くところだ。犯人に銃弾を売った、そして今も銃弾を売り続けているKマートに抗議しに、未だに身体の中に残っている銃弾を「返品」しに。

最初は戸惑っていたKマート担当者だが、一週間後に訪ねていったら意外にも「Kマートは銃弾の販売を段階的に中止する」という発表。きっとその一週間の間に、Kマートの経営会議が銃弾を売り続けることによって得られる収益とマイケル・ムーアのドキュメンタリーで悪者になることの損害を秤にかけて結論を出したんだろう。Kマートは偉い(皮肉ではなく)。

みんなが世のため人のためを思って行動するなんて無理な話なら、せめて冷静に自分の損得を考えて行動してほしいものだ。(「武装するのはアメリカ国民としての義務だ」などと力まずに。)それにくらべて、チャールトン・へストンは…あれが病気のせいなら、気の毒だけど。(2003/6/13)



パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち ☆☆☆1/2

というわけで「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」を観てきました。海洋映画は当たらない、というジンクスを吹き飛ばして世界で大ヒット中だそうで、めでたいことです。

この映画、極端に賛否両論のようで…私は「面白い」という意見も「面白くない」という意見も、両方わかる気がする。たしかに突っ込みどころを探せばキリがないし(インターセプター号を二人で操船するのはいくらなんでも無理では。それに、剣で刺しても死なないと分かっていて、延々とチャンバラをやっているのは何故?)、話がちょっとゴチャゴチャしているし、悪役の悪さも物足りないような…?なにより、「海賊」の魅力がほとんど描かれていないんだけど、それでいいのか?…「面白くない」と言うのは、極めてまっとうな意見だと思う。

しかし、私は面白かったのだ。二時間あまり、まったく飽きなかった。それは主に、「見ているだけで飽きない」ものが画面に溢れているからなのだけど。見ていて飽きないものはいろいろあるのだが、特に帆船と、ジャック・スパロウ船長かな。

このジョニー・デップ扮するジャック・スパロウ船長、映画のほとんど全部をさらっている。しかしどこがそんなに魅力的かと言うと、説明しがたいのだ。前に、映画やドラマのキャラクターは脚本家と俳優の共同作品、と書いたが、このキャラの場合は俳優が作っている部分が大きいと思う。考えてみれば彼は、特にすごい行動をしたり、気の利いたセリフを喋るわけではないのだ。ただ、あの風体、あの物腰、あの喋り方を見て(極端な言い方をすれば)観客が勝手に、この映画に出てこないジャック・スパロウ船長の物語を脳内補完してしまっているような気がする。

それはこの映画全体にも言えることで、映画の「世界」と「キャラクター」の魅力のせいで、出来の良し悪しを超えた魅力が生まれていると思う。映画の世界に乗ってしまえば、描き足りていないところは想像力が勝手に補ってくれると言うか…

これが「面白くない」と思うタイプの人は、想像力が足りないわけではなくて、そういう観方は邪道だと思うような、きわめて正統的な映画ファンなんでしょうね。感想になってないな。(いつもだが。)

ネタバレ==>ラスト、ウィルとエリザベスは海に飛び込んでジャックについて行くかと思ったんですが…あるいはウィルがエリザベスをおいてジャックと逃げるとか(<それはないだろ)うーん、残念。それともこれ、続編へのネタふりなのかな?あと、総督の「海賊行為が必要なこともある」云々のセリフは、ちょっと唐突な感じ。そんなに無理にまとめんでも…<==

(蛇足)…以下、ネタバレになるかどうかはたいへん微妙ですが、一応反転にしておきます。

==>始まる前に、「この映画はエンドロールの後にお楽しみ映像があります」と言うアナウンスがあったのはびっくりしました。エンドロール後おまけつきの映画はたまにありますが、あらかじめ教えてくれたのはこれが初めてだ…親切なのか、そうでないのか。私自身は、いつでもエンドロールの最後まで見るので関係ないのですが、必要以上に期待してしまう人もいるかも。

エンドロール後のおまけでは、「フェリスはある朝突然に」のが好き♪
<==(2003/8/21)



ミスター・ルーキー ☆☆☆

いや、楽しめました!これも「出来の良し悪しを越えた魅力」のある映画ですね。これで竹中直人の下手糞な関西弁さえなければ(と言うか、竹中直人がいなければ)、上出来の映画と言ってもいいぐらいだと思う。

野球のシーンがリアルなのがいい。エキストラの観客は阪神ファンそのものだし(と言うか、あれって甲子園にいつも来ている客と同じ人たちじゃないの?)、プレーしているのはほとんど本物の選手だし、解説者も本物。主人公の長嶋一茂もライバル役の駒田(<意外にも、けっこう演技うまい)も元プロ野球選手だし。昼間はサラリーマン、夜は覆面ピッチャーに変身する選手が主人公の映画にリアルもくそもないのだけど…そこはほら、よく言われるように、大ボラを吹く時ほど細部は真実で固めなくちゃならないのだ。ま、この世界のプロ野球には「選手登録」とか「一軍選手公示」とか言うものはないみたいだけどね(笑)。

まあ正直、野球のシーン以外の、一茂と鶴田真由(奥さん役)のシーンなんかはちょっと退屈なんだけど、あれを全部とっぱらってしまったら映画にならないからなあ。(「架空の野球中継」になってしまう。)私としては、会社のシーン(特に竹中直人)を削って、その分主人公が高校時代に野球を断念した経緯なんかをもうちょっと掘り下げたらいいのになあ、と思いました。せっかく甲子園球場を使い放題なんだから、甲子園のマウンドに対する思い入れを、もっとセンチメンタルに盛り上げる手もあったんじゃないかな。

うーんでも、ここまで書いてちょっと不安になったけど…この映画、阪神ファン以外の人も楽しめるんでしょうかね?あ、それから一つだけ突っ込みを…奥さん、の打順は三番よ、四番じゃなくて。(2003/8/27 阪神タイガース快進撃中)



バニラ・スカイ ☆☆

あートムちん、あなたがペネロペちゃんを好きなのはよーくわかったよ。だから何もそれを、2時間10分の映画にして表現せんでもよろしい

ネタバレ==>昔読んだマンガに、ラストで「Xコマ目からは夢でした」というのがあったが…この「夢オチ」はルール違反だなあ。だってコマを並べ替えちゃってるんだもの。<==

(追記)…あ、それから、「ラッセルが(一瞬)出ている」という話を聞いていたので、なんどもビデオを巻き戻してやっと確認。3分の1秒ぐらいでした。これを1度で気づいた人って尊敬するわ。(2003/9/13 トム・クルーズとペネロペがまだラブラブの頃)



フル・モンティ ☆☆☆

「イギリス田舎町ほのぼのコメディ」というジャンルを定着させた有名作品ですが、実は観たことなかったのです。いや〜暑いときは脱ぐ映画に限る…じゃなくて、えーと。あ、脱ぐと言っても、それほどみごたえのある裸というわけではないのですが。ロバート・カーライルの裸のみごたえのなさといったら、いっそ立派と言いたいぐらいですわ(笑)。

アメリカ映画ならきりっと盛り上げそうなところを、もっさり、のたのたと描写しているのが、かえって好感がもてるかも。あと、ハリウッドならあの6人のうちの1人か2人ぐらいは、もうちょっと見た目のよい男たちになったはず。残念なような、よかったような。(2003/9/14)



I am Sam ☆☆☆

サムとか、ミシェル・ファイファー演じる弁護士とか、ダイアン・ウィーストのピアノ教師とか…人物描写がやや類型的なのが残念。そのへんがいわゆる「泣ける映画」にとどまっている所以だと思う。でも俳優たちの演技はがんばっているみたいだ。残念ながら吹き替えだったので、はっきりしたことは言えないのだけど。

その中で燦然と輝いているのが、7歳の娘を演じるダコタ・ファニング。「なんかコワい」と感じるほどの天才子役って、久しぶりに見た気がする。この映画の後、売れまくっているようですが、当然でしょうね。

しかし、スターバックスのメニューのバリエーションを全部憶えられるんなら、確かにサムは少なくともその1点では私より賢い。(2003/9/14)



狼たちの午後 ☆☆☆☆

私は中学1年の頃から映画好きになりましたが、当時は実際に観に行けることは少なくて、代わりに映画雑誌を隅から隅まで読んでいました。当時は「ネタバレ」という概念はあまりなかったので、紹介記事や評論にはストーリーの展開がオチまで全て書いてありました。従って、当時の映画には「ストーリーはよく知っているが、実は観ていない」という映画がかなりあります。これも、その1本。当時「ゴッドファーザー」をテレビで観てアル・パチーノに憧れていたので、観たかったのですが、機会のないままで、ちゃんと観たのは今回初めてです。でも、中学生の時これを観てもわからなかっただろうな。

アル・パチーノの妻(男の方)を演じたクリス・サランドンは元スーザン・サランドンの夫、サル役のジョン・カザールはメリル・ストリープの恋人(この後若くして亡くなった)。いや〜みんな若い。常々アル・パチーノの声は「渋い」と思ってたのですが、若い頃は全然渋くない、むしろ高い声ですね。いつ声変わり(?)したんだろ。

…いや、だってさ、この映画に今更「感想」を書くのもねえ。(2003/9/22)



ロスト・イン・スペース ☆1/2

もちろんジョーイ(マット・ルブランク)めあてですけど。

最初の方は「ジョーイがこういう役をやっている」という感じがどうしても拭えなかったのですが、ヘザー・グレアムを口説き始めるあたりから彼らしさを発揮していい感じになってきました。でも結局ジョーイに見えちゃうのですけど。まあ、このマンガ的世界には、彼の方がはまってて、ウィリアム・ハートとミミ・ロジャースの繊細な演技の方が浮いちゃってるのですけど。役者が映画の世界にハマるかどうかって、大事ですね。

まあ、私は特にSFファンではないので、どうでもいいのですが…SFのルールとして、この話これでいいんでしょうか。全然何も解決していないような気がするんですが。

しかしマット、名前のカタカナ表記なかなか統一されませんね…(ルブランク、レブランク、ルブラン…)その辺がまたマイナー俳優ぽくて(涙)(2003/9/27)



チアーズ! ☆☆☆☆

ブロンドで可愛くて、頭が軽いとまわりには思われているけど、実は一本筋の通った信念と根性の持ち主である女の子が大活躍…つまり「キューティ・ブロンド」に似たテイストの話。「キューティ・ブロンド」よりギャグは少ないが、その分話に無理がない。見ていて楽しい、気持ちのいいカリフォルニアの青いバカ青春映画でした。

ところで、前にBSで「全日本チアリーディング選手権」というのを見た事があるのですが…いや〜、スポ根ドラマを地で行く番組でした。演技の途中で足を痛めた選手が、足を引き摺りながら最後まで演技を続けたり…大きな失敗をした組が、演技の最後までは必死でニコニコしているのだけど、終わったとたんに号泣したり…。チアリーティングのダイナミックさも凄くて、しかもこの映画と違って、支えるのも放り投げるのも全部女の子がやるのだ!(受け止めるところだけは男性が手伝うけど。)チアリーディングって、体育会系なのね!と感動したのでありました。以上、余談でした。(映画の感想より長いやん)(2003/10/4)



デンジャラス・ビューティ ☆☆☆

良くも悪くも、あらすじを聞いて想像していた通りの映画だった。サンドラ・ブロックは役に合っていてとても良いが、マイケル・ケインはもったいない使われ方。ベンジャミン・ブラットは…こんなに「本当に誰がやっても同じ」な役なら、もっと見ていて楽しいのがいいな。(でもこの人、ジュリア・ロバーツの元恋人で「セクシーな男」の人気投票では必ず出てくるのよね。何故?)あと、「私はミスコンをバカにするフェミニストやブスと戦ってきたのよ」と豪語するキャンディス・バーゲンが良いなあ。

ヒロインが「見違えるように美しくなる」ところは、やっぱり最大の見せ場なのだから、もっと時間を(映画上の時間も、設定上の時間も)かけて大げさにやって欲しかったな。(いくらなんでも2日じゃあんまり変わらないでしょう。)

ところで…ミスコンで、「容姿だけで決めてるんじゃないのよ」というポーズのつもりか、特技を披露させたりインタビューしたりするのは、余計に嫌らしいと思うのは私だけか?(この映画のマイケル・ケインも「あの年は相手が障害者だから負けた」とか言ってたけど、それもいやらしいなあ。)どうせキレイなのを選ぶに決まっているんだから、堂々と「容姿で選んでます」って言ってもいいじゃん。その代わり、同じ基準で男のコンテストもやればいい。そうすれば男女差別じゃないでしょ?

あ、あと、「OZ」のグリーン所長が出てました。サービスショット(誰へのサービスや?)つき。(2003/10/4)



インソムニア ☆☆☆

思ったより面白かった。

話自体はそれほどスリリングなものじゃないのだけど、私は主人公(アル・パチーノ)のモラル的ジレンマにどっぷり共感してしまったので、最後まで「どうなるんだろう?」とハラハラしながら見守ってしまった。

ネタバレ==>主人公が「8歳の男の子を誘拐し、拷問し、レイプして殺した」犯人のことを語ったところから、私は主人公の価値観に同調してしまったようだ。犯人(ロビン・ウィリアムズ)がつかまらなくても、真実が永遠に隠されても、主人公が悪徳警官になったとしてもかまわない。それより、真実が暴かれてこの犯人が釈放される方が嫌だ。だから、女刑事(ヒラリー・スワンク)が全てを黙っていてくれたらいいと思う。(まあ、主人公が間違えていて、その人が真犯人じゃないと言う事もありうるのだけど、この場合それはないと仮定して。)<==おわり

それにしてもあのロッジ、何で遮光カーテンをつけないんだ?(2003/10/4)



マイケル・ムーア特集 (ロジャー&ミー ☆☆☆☆☆、ザ・ビッグ・ワン ☆☆☆☆、TV「The Awful Truth」)

昨日はマイケル・ムーア・デイ。WOWOWの「マイケル・ムーア特集」で、「ロジャー&ミー」「ザ・ビッグ・ワン」「ボウリング・フォー・コロンバイン」「The Awful Truth」とぶっ続けで見た。面白かった。マイケル・ムーアは凄い。偉い。マジで尊敬する。彼を見てると元気が出てくる。彼は冷静で、忍耐強く、アイデアに溢れている。人間、言いたいことがなかなか通じないとだんだん怒鳴り声になってきたりしがちだが、彼は決して声を荒げず、決して諦めず、同じ考えを何百回も言うのを厭わない。「順調に利益を上げている企業は、従業員を大量解雇すべきではない。」「すぐに引き金を引くような人間は、身近に銃を置くべきではない。」などといった、plain and simpleな考えを。

映画の感想は(気が向いたら)後で書くとして、今日はTV番組の「The Awful Truth(マイケル・ムーアの恐るべき真実)」についてだけ。この番組で、彼は「これはおかしい」と思ったことを色んな手で皮肉っている。NRA(全米ライフル協会)に「子供たちに銃の素晴らしさを教える着ぐるみキャラ」を売り込んだり、無風地帯の選挙区に「フィカス(植物)」を立候補させたり、「黒人が黒い財布を持っていると、警官に銃と間違えられて危険だ」とオレンジ色の財布を配ったり。それでも、NRA、無風地帯の下院議員候補、NYの警官などは、少なくとも皮肉に気づいて、怒ったり苦笑いしたりしていた。

怖かったのは、テキサスの死刑賛成派と、中絶反対派だ。番組が送り込んだチア・リーダーが「死刑執行数でぶっちぎりナンバーワン!テキサス州知事ジョージ・W・ブッシュ万歳!」と叫ぶのを見て、歓声を上げるテキサス死刑賛成派のデモ隊。「病院を爆破し、医師を暗殺して中絶戦争に勝利した反対派のみなさん、おめでとう。我々中絶賛成派は白旗をあげます」と言われて「どうもありがとう。負けを認めるのは立派だわ」とにっこりする中絶反対派の女性。「我々の後には神がついている」と思っている連中には、皮肉すら通じないのだな…と、ぞっとした次第。

マイケル・ムーアに言いたい事はひとつだけ。あなたの映画をもっと見たいから、健康に気をつけて長生きして下さい。ジャンクフードはほどほどに。野菜も食べた方がいいですよ。

ちなみに…「ザ・ビッグ・ワン」を観ていて、ひとつ余計なことを考えてしまいました。「マスター&コマンダー」の宣伝が「英国軍はまだ幼い少年たちを戦場に送った」と繰り返すのは、ナイキが宣伝で「ナイキは、インドネシアのまだ幼い少女たちにスニーカーを作らせています。」繰り返すようなものだな、と。あ、いや、ナイキが何かの間違いでそんな宣伝をしたら、「なんて正直な」と褒め称えますけどね。ナイキのスニーカーは二度と買わないと思うけど。(2004/2/1)



ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 ☆☆☆☆☆

さて、映画の感想をば。(いつものように、感想になっていない感想ですが。)

一言で言えば、「偉大な作品」。いや、この1本が偉大な映画というわけじゃなくて、3部作・原作(読んでないけど)・スペシャル延長バージョンのDVD(観てないけど)と、全部合わせて「偉大な作品」なんだと思う。

それじゃこの映画単独での評価はどうよ?と聞かれそうだけど、それには「何で単独で評価する必要があるの?」と言いたい。

この映画に限らず、最近はそういう映画が多くなっていると思う。単独でも楽しめるけど、ちゃんと理解し評価しようと思ったら、シリーズの他の映画はもちろん、(あるなら)原作も、公式サイトやメイキング本の付加情報も、DVDの未公開映像も、ひっくるめて考えないといけないのだ。映画は2時間なり3時間でも、その先には無限の世界が広がっている。

映画に魅力があれば、映画そのものだけで「あー面白かった」と満足する観客と、その先の世界をくまなく旅したい熱心なファンとの両方を獲得する。後者の層の割合はどんどん増えていて、最近のヒット映画はそういうファンをちゃんと視野に入れている。なのに、映画評論というのは今だに「映画をそれだけで観る」視点しか持っていないから、私は前回書いたようなイライラを感じることに…いや、話がそれました。

ええと私は「マスター・アンド・コマンダー」(&その原作)の熱心なファンであり「指輪」シリーズに関してはファンというわけではないのですが(人間何もかもにハマるわけにはいかない)…私には、何かにハマっている時は何を見ても何を読んでも意識がそっちの方へ彷徨って行き、見ているものが頭に入らなってしまう癖があって、だからハマりが頂点に達している間は、もったいないので映画館で別の映画を観るのをなるべく避けたりしているのですが…この映画を観ている間は、「M&C」のことをほとんど思い出しませんでした。それはけっこう凄いことです、私的には。

まわりくどい上にひどい悪文になっていますが、要は「面白かった!」と言いたいわけです。

今回はキャラクターが全員、それぞれの物語の結末を迎えるわけで、それぞれに見せ場があって全体的にはこう…忙しいのですが、個人的に印象に残ったのはピピンとエオウィンでした。

ことにエオウィンは、涙が(文字通り)出るほどかっこよかった。「私は男ではない」というセリフ、今までに映画で聞いたかっこいいセリフのベストテンに入ります。(あとの9個は考えてませんが。…でもとりあえず、「私はマキシマス・デシマス・メリディアス中略今生でも来世でも必ず復讐を果たす」は確実に入るかな。あとマチュリン先生の「大丈夫か?」も。)

ピピンは大活躍でしたね。歌うシーンが特に素敵でした。いい声だ〜(王様の歌声は…イマイチ(笑))

とにかくこの、3本で1本と考えると(そう考えるべきなのですが)、アカデミー賞を「全部」さらったのも許す!と思える出来。それでもやっぱり、できれば1個ぐらいは「M&C」に回して欲しかった気はするけど…監督賞あたりを。(<主要部門かい。)

「指輪物語」と「M&C」、熱狂的ファンを持つ長大な原作を映画化して、原作ファンを納得させ、映画を観た人を原作に引き込んだということでは共通しているけれど、映画化に際してのアプローチはまるっきり対照的なのがおもしろいなあ。…いや、「指輪」の原作読んでないので何とも言えないのですけど。いや今度こそ読みます。読んで出直してきます。(2004/4/23)



美女ありき ☆☆1/2

ネルソン提督とレディ・ハミルトンの不倫の恋を描いたメロドラマ…というより、ネルソンは完全な脇役で完全にエマの話でした。ヴィヴィアン・リーは本当に綺麗で魅力的で、愛に生きた女性の一代記としては結構面白かったのですが、それにしても、ローレンス・オリビエのネルソンが、あまりにも全然まったく魅力がないんですよ。

エマ中心の話だから、ネルソンの海での活躍がほとんど描かれていないのはしょうがないのだけど、それにしたってもうちょっと英雄としてのオーラを感じさせてくれてもよかったと思う。「あれだったら、旦那のとこへ帰った方がいいんじゃ…」と思わせるようでは、メロドラマのヒーローとしてもダメダメだと思うのですが…昔の映画で不倫の話だから、いろいろと描き方に制限があったのかなあ。それとも、昔の女性観客との感覚の違いなのか。

それでも、トラファルガー海戦のシーンで「Heart of Oak」が流れて信号旗が上がるところはちょっとワクワクしました。妙に天井の高い艦内とかリコイルしない砲とか、まあ細かいことは気にしない。

ネタバレ==>下らないことですみませんが、この映画のネルソンの最後の言葉が、エマのことでもなく、有名な「神よ感謝します、私は義務を果たしました」でもなく…いや、そういう事も言うけど、その後の最後の最後の言葉が「ハーディング(部下の艦長)、キスしてくれ」なのは、いったいどういう…と、思わず考え込んでしまいました。こんなこと言うのはどうかと思うけど、その後に「このキスをエマに届けて」とか言うのかと思ったら、そうじゃなかったし…うーん。<==(2004/4/30)

そのネタバレに関する追記==>上に書いたことについて、後で分かったことがあるので補足。つまり、私はこのセリフが「実際の」ネルソンの言葉だとは思っていなかったのでした。映画の独創かと…ネルソンを演じたローレンス・オリビエがゲイだったのは有名なので、そういう偏見もあったのかも。反省。これに関しては、オーブリーの11巻の感想に書いたことを引用しておきます。


(前略)Gunroomを検索してみたのですが…(中略)…ただ別のことで、「この時代には、男性同士が腕を組んで歩くのはごく普通のことだった」というのを読みました。親しい友人同士が腕を組んだり、頬や額にキスしたり、話す時に相手の胸や膝に手を置いたり(これはジャックとスティーブンもよくやってますが)、マイディアとかジョイとかソウルとか呼び合ったり、単なる経済的理由から同じベッドに寝たりすることはごくありふれたことで、特に変だとは思われなかったそうです。ヴィクトリア時代には、もうかなり変わっていたようですが…

多分、そういうことをするとすぐにゲイだとか思う現代人の方が意識過剰なんでしょうね。

ちなみに、Gunroomでこの話が出てきたのは、ネルソンのいまわの際の言葉が「Kiss me, Hardy」(Hardyは部下の名前)だったという事実にからんででした。「美女ありき」という映画でこれを聞いた時、私も「え??」と思ってしまったのですが…何事も、一概に現代の基準で見てはダメということですね…(後略)
<==(2005/6/13)



ギャング・オブ・ニューヨーク ☆☆1/2

「父を殺された息子の復讐ドラマ」を2時間かけて一歩一歩盛り上げておいて、最後の20分でいきなり「ニューヨークの歴史」に焦点が移る。歴史を背景にした復讐ドラマでもいいのだけど、どうもうまく繋がっていないような気がした。(2004/5/3)



エニグマ ☆☆

興味深い話なのだが、映画としてはイマイチ。最後のテロップに「暗号解読によって多くの人命が救われた」と出るのだが、観て面白いのは救われる方の話だろう。しかし、この映画で主に描かれるのは人命を犠牲にして暗号のキーを手に入れる話。それも重要なのはわかるけど、輸送船団が犠牲になると分かっている所でサスペンスを盛り上げられても、観客心理としてはツラい。もう一つのプロットとの同時進行の捌き方もうまくなくて、集中力をどちらに振り向けたらいいのかわからないくて苛々した。

どちらの映画も、今まであまり知らなかった歴史の一断面を勉強できたという面ではよかった。しかし、educationalではあるがentertainingではない。(「ギャング…」の方が点がいいのはダニエル・デイ・ルイス分。)(2004/5/3)



ホット・ロック ☆☆☆☆

昔々にテレビ(吹き替え・カット版)で観たきりなのだが、結構印象に残っていたのは、やっぱり面白かったからだと確認。久々に見た若いロバート・レッドフォードはなかなか可愛くて、中学生の私が熱を上げていたのも無理はない。やっぱりちょっと今のブラピに似ている。ではなぜ今の私はブラピに興味が湧かないのだろう。好みって変わるのね。

この映画を最初に観てから四半世紀余、私が「アフガニスタン」と聞くたびに思わず心の中で「アフガニスタン・バナナスタン」と唱えてしまっていたことは内緒…(2004/5/3)



パッション ☆☆☆

私はこの映画に関してはかなり特殊な観客だと思うので、何を言ってもあまり気にしないでほしいのだが…

なつかしの日曜学校+スペイン・バロック宗教美術(たとえばこれとかこれとか)の世界でした。

マイナスポイント:あのポール・ベタニー似の悪魔(?)とか、子供の幻想とかは余計な感じがした。ところどころ、ちょっとセンチメンタルに流れるのが惜しい。これを忠実にリアルに映画化するなら、いっそもっとミもフタもないほどそのまんまに描いた方が、かえって強烈に訴えるものがあったような気がしたのだけど。メル・ギブソンの信心深さがそれを許さなかったのでしょうか。

プラスポイント:でもこれを、(おそらく、スタッフ・キャストの属する国や時代の色をできるかぎり廃するために)当時彼らが話していた言葉(アラム語)で映画化しようっていう、その志にはものすごいものがあると思う。原作(新約聖書)さえ、アラム語では書かれていないというのに。(ギリシア語。カトリックの正典はそれをさらにラテン語に訳したもの。)

「今更、聖書の忠実な映画化なんて」という人は多いようだけど、映画の歴史の中、新約聖書のまともな映画化というのは非常に少ない。こういうストレートなアプローチの映画化は、まったく初めてじゃないのかな。細かい文句はさておいて、その点だけでも非常に価値のある映画だと思う。

何よりよかったのは、ジム・カヴィーゼルのイエスだ。今までのイエスを主人公にした映画(※)、「最後の誘惑」、「偉大な生涯の物語」、「キング・オブ・キングス」、「奇跡の丘」などと比べて、一番よかったと思う。特に回想シーン(死にかけてないところ)が魅力的でした。

これは題名どおり「キリスト受難」の映画だから、無いものねだりなのですが、受難以外のところを彼で見たかったな。

ちょっと悪趣味な蛇足:歴史的&解剖学的には、釘は掌でなく手首に打つのが正しいそうです。あれでは両側の人は脚を折っても死にません。

かなりくだらない蛇足:ヘロデ王のシーンで、今にもホンキー・トンクで踊り出してくれそうな気がしていた私って…(いえ、他のキャラについては「ジーザス・クライスト・スーパースター」と比較したりしてませんでしたよ全然。ほんとです。)(2004/5/27)


※一時凝っていて、片っ端からレンタルしたのでした。

「最後の誘惑」:ウィレム・デフォー。個人的に、これ大嫌い。あんなに弱気でウジウジした男が、権力者に脅威を与えるほどのカリスマになれるわけがない。
「偉大な生涯の物語」:マックス・フォン・シドー。良いけど、ちょっと威厳ありすぎて校長先生って感じ。
「キング・オブ・キングス」:ジェフリー・ハンター。これ最低。どっかのバンドの兄ちゃんみたい。
「奇跡の丘」:うーん、よくおぼえてない…ごめん。

ちなみに、私が今までで一番良いと思っていたのは「ベン・ハー」の後姿だけの人でした。(「ジーザス・クライスト・スーパースター」は、ちょっと別物なので除く。)


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