Chapter 3-3〜告白


あはは、こんな所で更新止めていてすみません。暑くなると頭がうまいこと働かなくて…(毎年毎年、この頃になるとおんなじ言い訳をしてますが。)というわけで(?)、今回は全体に寝言モードなので、まあ、適当に読み飛ばしておいて下さい。

スティーブン、ローラの本心を見抜く。

小説でも映画でも、前後のいきさつはあまり憶えてなくても、絶対に忘れられないセリフが時々あるものです。このシリーズには、それが沢山あるのですが…このシーンのスティーブンのセリフがその一つです。

ローラ:わたくしを愛してくださいませんの?
スティーブン:もちろんだめですよ。こういう事は、双方に愛がなければ何にもならないのです。あなたが私に恋しているということはあり得ない。好意はあるかもしれれませんが、愛や欲望というような強い気持ちは、あなたの中には欠片もない。
ロ:ああ、でも、ありますのよ、ありますの!証明しますわ。
ス:お聞きなさい。私は医者ですから、あなたの心がまったく動いていないのがはっきりわかるのです。
ロ:どうしてわかるんですの?
ス:まあ、気にしないで。

L:...Cannot I make you love me?
S: Of course you cannot...these things are reciprocal or they are nothing. It is not possible that you should be enamoured of my person.You may have kindly feelings for me...but as for love or disire or anything of a stronger nature,sure there is not a breath of it in you.
L: Oh but there is, there is! And I will prove it.
S: Listen...I am a medical man, and I know for a fact that you are quite unmoved.
L: How can you tell?
S: Never mind.

Never mindじゃないよ。気になるって!夜も眠れないほど考えこんでしまいますよ(<嘘ですけど)。どうして医者だとわかるの?どうして?ねえねえどうして?と、とことん問い詰めてみたいです(笑)。

こういうセリフにこだわるのは我ながらどうかと思うけど…医者ならではってことは、やはり身体的な細かい兆候とか…?ってことは、逆の場合(つまり、本当に惚れている場合)もすぐにわかるのかしらね?

でも、スティーブンの場合、逆に本当に惚れられている場合はうっかり見逃しそうな気もする。いえ、なんとなく。それで、聞かれたら「そういう経験はない」とか言いそうな気がする。

ローラ、夫のことで脅されて情報収集をしていることを告白する。

「あなたのような方がこのような事をなさるということは、私によほど重大な頼みごとがあるのではないですか?それはもしかして、ご主人のことですか?」…スティーブンは泣きじゃくるローラを優しく巧みに誘導。ローラはぽつりぽつりと、告白を始めます。夫のためになると言われて、情報を提供していたこと…

と言っても、ローラは自分がフランス諜報局のために働いていることは全然知らなかったのです。ルシュールは抜け目なく、自分は海上保険関係の人間で、港を出入りする船の情報が欲しいだけだと言っていたので。「…あなたが密輸業者で、フランス国内と暗号の手紙をやりとりしているので、その相手と暗号を突き止めるように言われました。この任務に失敗したら、夫は殺されるのです」と泣きじゃくるローラを、そんなことはあり得ない、あなたは騙されているのですよ、と慰めるスティーブン。

…情報を渡す場所は教会の告解室です。一人だけ名前を知っている男はモロニと言って、ベネチア人です。告解室で指示を与えるリーダーらしい男の名前は知りません…彼は告解室では仕切りを開けず、顔を見せませんが、一度偶然、モロニと話しているところを見た事があります。いえ、夫が捕まっている今は、人相を明かすことはできません…

そう、ローラは女スパイと言うより、まるっきりの素人だったのです。こんな素人をドクター・マチュリンに差し向けるなんて、ルシュールは何を考えているんだろう?それって結構マヌケじゃない?…とも思えますが、それだけ美女には簡単に騙される男が多いってことでしょうか。

あるいはひょっとして、当時の男性一般は、現在に比べて基本的に女性を甘く見ていたというか、あるいは尊敬していたというか、あまり「レディでも男を騙すことがありうる」という発想がなかったのかも…

もちろん、スティーブンは別なわけですが。

ローラ、夫の手紙を見せる。

すっかりスティーブンに気を許したらしいローラは、夫のチャールズから来た手紙を彼に見せて相談します。「最近の手紙はなんだか様子がおかしいのです。チャールズは病気なのかしら?どう思われます?」

スティーブンが読んでみると、ストレートな男らしい愛情に溢れた以前の手紙に比べ、最近の手紙はたしかにおかしいようです。筆跡は見たところ同じですが、やけに短く、文章も以前の繰返し。…病気なのか、脅されて言われた通りの文を書いているのか、それとも…

もし、別人が書いているのなら…チャールズ・フィールディングが既に死んでいるのなら、フランスにとってローラはもう利用価値がない。ルシュールの顔を見てしまっている彼女は殺される危険が大きい。スティーブンはもちろんローラにはそんなことは言わず、「たしかに元気がないようですが、気持ちが沈んでいるか、ちょっと風邪でも引いただけでしょう。」

しかし、10巻を先に読んじゃった人は、もう知っているのですよね…チャールズさんがどうなったか。でも念のため、先のネタバレはしないでおきますが。

スティーブン、ローラを通じて偽情報を流すことを考える。

スティーブンは、自分は海上保険にも密輸にもまったく関係していない、でもそういう事に関わっている友人がいるので、間違えられたんだろう、と言います。でも、あなたのご主人の安全のために、モロニたちにはあなたが成功したと思わせましょう。友人に頼んで、渡しても害のない情報を教えてもらいます。あなたは一人で私を訪ねていらっしゃい。そうすれば、彼らはあなたが私の誘惑に成功したと思うでしょう…

5巻に続いてまたしても、偽情報を流す願ってもないチャンスを手に入れたスティーブン。前にも書いたけど、諜報活動においては、「敵の情報を手に入れる」「こちらの情報を漏らさないようにする」こと以上に、「敵にニセの情報を信じさせる」ことができればすごい効果を上げられるのですね。(例えば、敵の有能なスパイを「英国の二重スパイ」と名指しすることで、敵自ら処刑させたりとか。)

5巻ではこの方法で、フランス諜報部に壊滅的損害を与えることに成功したスティーブンですが、今回はやりすぎるとローラの命を危険にさらすことになるので、慎重に動かなければなりません。

スティーブン、夜明けにローラの家から帰る。

彼がローラの家を出たときは、すでに夜が明けていました。これからどう動くか考え込んでいるスティーブンは、朝の光にも、門を見張っていた男が「運のいい助平男め」とつぶやいたのにも気づかず、借り物の靴を手に持って帰ってゆくのでした。

この章を読んで、しみじみ思ったこと。スティーブンって、いい人なとこと悪辣なとことか、鋭いとこと鈍いとことかが混じり合っていて…「いろんな側面がある」というより、一つの面、一つの行動の中に相反する性格がまぜこぜになっているような気がします。そういうややこしい所がまた魅力なんですけど。