オーブリー&マチュリンシリーズ 全巻紹介
※ネタバレは押さえ気味にしてあります。



1. Master and Commander (マスター・アンド・コマンダー/海尉艦長)
記念すべき第1作。作者はシリーズ化を想定していなかったか、いたとしてもこれほどの長期シリーズになるとは思っていなかったと思われ、1〜2巻には内容がぎゅうぎゅう詰め込まれています。(邦訳:「新鋭艦長、戦乱の海へ」ハヤカワ文庫)
2. Post Captain (ポスト・キャプテン/勅任艦長)
シリーズ中最も長く、内容も超盛り沢山。またヒロインたち(ソフィーとダイアナ)の記念すべき初登場作品。最初の方は海より陸での恋愛模様が主になっていて、海外のファンの間では「ここだけジェーン・オースティンみたい」と言われていたりする。でも最大の読みどころは、試練を経てますます深まる友情。(邦訳:「勅任艦長への航海」ハヤカワ文庫)
3. H.M.S. Surprise (軍艦サプライズ号)
1〜2作は主に地中海とイギリス海峡だったが、この作品からぐっとスケールが広がってインド洋。海戦シーンは少ないものの、ギャグありシリアスあり、嵐あり恋愛あり、壊血病ありアホウ鳥ありと盛り沢山。キラキラと輝く海が見えるような、とても美しい作品で、今のところ私の一番のお気に入りです。(邦訳:「特命航海、嵐のインド洋」ハヤカワ文庫)
4. The Mauritius Command (モーリシャス艦隊)
インド洋はモーリシャス群島における実際の戦争を元にした、本格的戦記ものの趣。海戦陸戦情報戦のシーンが多いのですが、海軍内における複雑な人間関係にもスポットが当てられています。(いつの時代にも、中間管理職は辛いのね。)でも、わたくし的には、第1章におけるジャックの私生活が最大の読みどころだったりする。(邦訳:「攻略せよ、要衝モーリシャス」ハヤカワ文庫)
5. Desolation Island (荒涼の島)
オーストラリアに向かう二人ですが、災難また災難の連続で、ようよう辿り着いたは南氷洋。まあ冒険小説ってのは主人公が苦難にあわなきゃ成立しないんですけど、それにしてもよくこれだけ…。5〜7巻は3部作ぽくて、大まかに言うと一続きの話になっているんですが、これがほとんどノンストップサスペンス。読み始めたらやめられない、止まらない…(邦訳:「囚人護送艦、流刑大陸へ」ハヤカワ文庫)
6. The Fortune of War (戦争における運)
海洋冒険小説+スパイ小説という趣の一冊。アメリカはボストンを舞台に、ジャックとスティーブン、それぞれに降りかかる厳し〜い試練。とにかく、どんな時でもお互いを絶対に見捨てない二人…友情っていいわ〜(ほろり)。(邦訳:「ボストン沖、決死の脱出行」ハヤカワ文庫)
7. The Surgeon's Mate (軍医助手、または軍医の友、または軍医の…)
カナダから英国、バルト海、フランスと、5巻から続く大冒険の総仕上げ。題名通りスティーブン主役の一冊。うーん…かっこいいぞスティーブン。とにかく惚れ直しましたわ。3巻と並ぶお気に入り。
8. The Ionian Mission (イオニア海の任務)
5〜7巻があまりに疾風怒濤だったのでここらで一息、ということか、ちょっとスローな感じのする一冊。海軍の「普段の生活」がふんだんに描かれます。でも「詩」がいっぱい出てくるのは、感覚的にわからない外国人にはちと辛い…
9. Treason's Harbour (反逆者の港)
マルタ島と紅海が舞台。スティーブンとジャックの前に現れる美人の女スパイ…いや、本当なんですって(笑)。彼女を前にした二人の態度の違いに、おもわずニヤニヤ。(ジャック〜、しっかりしなさい)巨大なマスチフ犬に惚れられ、所かまわず飛びつかれるジャック。自分を誘惑する女性に向って海中微生物について講義するスティーブン。笑えるシーンの多い一冊。
10. The Far Side of the World (世界の向こう側)
映画の原作といわれている一冊(でも、ネットで拾った断片的な情報によると、脚本はかなり変えてあるようです。)英国の捕鯨船を妨害しているアメリカ船を追って、遥々太平洋まで行く二人。陰鬱な話とユーモラスな話が入り混じっていて、シリーズ中ではちょっと風変わりな一冊かも。(邦訳:「南太平洋、波瀾の追撃戦」)
11. The Reverse of the Medal (勲章の裏側)
英国に帰郷した二人ですが、思いがけない事態に直面して不幸のどん底に叩き落されることに。海ではあんなに有能なジャックが、一歩陸に上がるとどーしてこう単純なのか…(ああ、ネタバレせずにかくのが辛い)ロンドンがたっぷり出てくるのは、ちょっと嬉しかったりする。
12. The Letter of Marque  (敵国艦船拿捕許可状)
舞台はフランスの港、およびスウェーデン。前巻で失ったものを取り戻そうと苦闘する二人。心労のあまり痩せちゃったジャックが痛々しい。…やっぱり、"A friend in need is a friend indeed."(苦境の時の友こそ真の友)ですね。それも、金とコネと知恵のある友なら言うことなし。
13. The Thirteen-Gun Salute (13発の礼砲)
舞台は東南アジア。しかし、これほど情報伝達手段が限られている時代に、よく地球の裏側に植民地なんか作るよなあ、英国もフランスも。わざわざアジアまで来て情報戦争外交戦争、ご苦労さまです。しかし、スティーブンにはもっと重要な出会いが…秘境でのアジアの動物との出会いですが。
14. The Nutmeg of Consolation (慰めのナツメグ)
舞台は東南アジアからオーストラリアへ。当時のオーストラリアは囚人の流刑地だったんですね。で、当然ですが、あまり良い雰囲気ではないようです。ところで12巻で痩せちゃったジャックですが、ちゃんと元に戻っているようですのでご安心を。「彼は17ストーンの体重を…」って、1ストーン(6.35kg)増えとるやん!リバウンドって怖い。
15. The Truelove (トゥルーラブ号)別題:Clarissa Oaks (クラリッサ・オークス)
舞台は南太平洋。迫り来る中年の危機を感じるジャック(笑)。しかし、友達が医者っていうのも良し悪しですな。こんなにずけずけと物を言う、口の悪い医者では…さて、女性一般は決して嫌いではない、というか大好きなジャックですが、艦に女性が乗るのは大嫌い。確かに、今までの例でもだいたいロクなことになってないんですが、さて今回は…?
16. The Wine-Dark Sea (ワイン色の海)
舞台は南米。そもそも13巻で南米目指して船出したんですが、いろいろあって逆から来る事になってしまいました。今回のマチュリン先生の使命はペルーの独立を誘導する事なんですが、果たして…?ところで、「ワイン・ダーク・シー」っていい響きの言葉ですね。「不吉な海の色」なんだそうですけど。
17. The Commodore(艦隊司令官)
世界一周して英国に帰ってきた二人。はい、題名通り、ついにジャックはコモドーになります!しかもその使命は、アフリカ沖で奴隷貿易を妨害すること!奴隷船を片っ端から捕まえて虐待されている黒人を解放するわけです。がんばれ〜。ところで、このシリーズを読んでいて、声を出して笑ってしまうことはよくあるんですが、この本で初めて泣きました…
18. The Yellow Admiral (黄色提督)
1814年。ナポレオンは追い詰められ、戦争はいよいよ終わりに近づいています。めでたいことなんですが、ジャックにとってはキャリアの危機も意味するわけで、因果な商売です。「黄色提督」とは、形だけ提督扱いで仕事(艦隊)はない、という不名誉な立場のことだそうで。
19. The Hundred Days (百日間)
1815年。タイトルの百日間っていうのはあれですね、「ナポレオンの百日天下」…そういえば世界史で習ったような。陸上戦の行方を左右するナポレオンの軍資金を乗せた船を追い、アドリア海からジブラルタルまで地中海を行ったり来たりのサプライズ号。
20. Blue at the Mizzen(ミズンマストに青の旗)
読み始めた頃は「20巻もあるのか〜」と思っていたけど、終わりに近づくにつれ「なんで20巻しかないの〜」と思うようになってきた。とにかく、今までに読んだ中で(日本語で読んだものも含めて)一番速く読んだシリーズかも。登場人物たちは、この後どうしたのかな、なんて勝手に想像しながら、ゆっくり再読を続けます。



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