祇園祭 北観音山  作事方「六角会」  2003年 

* 日程 *
     2003. 7.12 (土) 【参】  山建て  *御山胴組立  *午後三時 「御松建」
7.13 (日) 【参】  山建て  *午後二時半より「曳き初め」(参加自由)  *祇園囃子鳴り初め
7.14 (月)   宵山(宵々々山)
7.15 (火) 宵山(宵宵山)
7.16 (水) 【参】 宵山  *午後十時より「日和神楽(ひよりかぐら)」
7.17 (木) 【参】 巡行  *午前九時半出発 午後二時半帰着(柳の枝取り)
7.18 (金) 【参】 蔵仕舞
                                  【参】参加日
今年の巡行順
【さきの巡行】
1  長刀鉾 なぎなたぼこ   くじ取らず
2  霰天神山 あられてんじんやま
3  郭巨山 かっきょやま
4  山伏山 やまぶしやま
5  函谷鉾 かんこぼこ くじ取らず
6  占出山 うらでやま
7  四条傘鉾 しじょうかさぼこ
8  孟宗山 もうそうやま
9  月鉾 つきぼこ
10  油天神山 あぶらてんじんやま
11  太子山 たいしやま
12  保昌山 ほうしょうやま
13  鶏鉾 にわとりぼこ
14  白楽天山 はくらくてんやま
15  綾傘鉾 あやかさぼこ
16  木賊山   とくさやま
17  菊水鉾 きくすいぼこ
18  芦刈山 あしかりやま
19  伯牙山 はくがやま
20  蟷螂山 とうろうやま
21  放下鉾 ほうかぼこ くじ取らず
22  岩戸山 いわとやま くじ取らず
23  船鉾 ふなぼこ くじ取らず
【あとの巡行】
24  北観音山 きたかんのんやま くじ取らず
25  橋弁慶山 はしべんけいやま くじ取らず
26  鈴鹿山 すずかやま
27  鯉山 こいやま
28  八幡山 はちまんやま
29  黒主山 くろぬしやま
30  淨妙山 じょうみょうやま
31  役行者山 えんのぎょうじゃやま
32  南観音山 みなみかんのんやま くじ取らず
                                                                  
【今年の準備】

巡行の順番を決める「くじ取り式」も終了し、今年のお祭りもいよいよ間近に(京都ではもうとっくに
始まっていますが)なってきました。今年のお祭り準備(買い物)を始めないといけません。

 ・地下足袋  一足しかないので予備を買わないといけません。でも、慣らし履きをする時間はなさそう。
 ・軍足     指が全部割れてる靴下。これを山建ての時は2枚、巡行の時は3枚重ねて履きます。
          それでも翌日は足が棒のようになりますが(^^;
 ・肩当て    今年初めて使おうかと思っている、サポーターです。肩に部材を担いで蔵から出す
          わけなのですが、骨骨隆々の僕としましては、毎年肩に擦り傷を作って痛い目をして
          きました。もっと早く気づけよ>まさお
 ・電池     書くほどのことはないのですが、MDウォークマン用。巡行の時に、山の胴掛けの内側に
          こいつを仕込んで録音する予定。宵山のお囃子はだいぶ録り貯めたので、今年は巡行に
          挑戦してみようか、と。 

こんなところでしょうかねぇ。キュウリを食べないと言うわけではないし、あとはテルテル坊主でも・・・(^^)
【雨中の山建て】

 今年の梅雨はかなりしつこいようで、晴れ男をもって任ずる僕をもってしても、雨を止ませることは
出来ませんでした。7月12日午前4時30分。フロントガラスから前がよく見えないような大雨の中を
京都に向けて出発。着替えを山のように詰め込んだ、大きなバッグがお供です。
 途中、甲子園球場の横を通りがかりましたが、そこには人の大群が居ました。今日行われるプロ野球
公式戦(阪神-巨人)の当日券を買うための徹夜組の行列です。あまりの多さに少しびっくり。でも、考えて
みると、この人達も、昼過ぎには雨が止むと思っている「同志」なわけです。
名神高速に乗って30分。彼らと僕のお祈りが効いてきたのか、雲が薄くなり雨が止みました。

 -午前6時-
 今年の山建て開始。1年ぶりに地下足袋とニッカボッカに着替えて、蔵から部材を運び出します。
最初に「足場板」などの、蔵扉に近いところの部材。次ぎに大物「石持」と車軸。四本柱他の本体部材、
最後に「建具」その他。7時にはもう本体の組み立てが始まり、部材を合わせほぞ木を打ち込み、
仮縄を巻いて足場板を渡すと、縄がらみの開始です。まず高いところから縄を部材に巻き付け、
角々は樽巻きで締めていきます。8時過ぎに一回休憩、ここで雨がぱらぱら落ちてきました。藁縄は
雨に濡れると使い物にならなくなるので、屋根(正確にはお囃子台の床)にシートを被せて縄巻き続行。
みんなで暑い中(と書きたいところですが、今年は天気が悪い分だけ去年よりだいぶ涼しかったです)、
延々と藁縄を巻いてゆきます。

 -午後1時-
 昼食後、雨もいったん上がり、シートを撤去して繩巻。今年の松がトラックで運ばれて来ました。
今年は、籤引きをするじゃんけんには負けたものの、籤引き自体はまたも北観音山が勝たせて頂き、
松を選べたとのこと。2時頃には山の四方の「蝶結び」も完成して、まもなく松建てです。

 -午後2時30分-
 山の胴体部分北側に、錘となる大梃子を取り付けて縄で固定。つぎに、南側に伸ばした綱を引いて
胴体をまず横倒しにします。他の山鉾では、路上に設置したウインチを使うところが多いのですが、
北観音山では、この作業も昔ながらの人海戦術人手大作戦です。「えんやらや〜」 ギギギ・・・・
 胴体がゆっくり横倒しになり、空中に大梃子が高々と持ち上がると、松を胴体中央の取り付け位置に
差し込みます。松の立つ位置は、胴体を真上から見た場合のど真ん中より、少しだけうしろ寄りの場所。
(ちょうど真ん中の部分には、観音様をお奉りするからだと思うのですが。)
差し込んだ松を、引き起こす間に抜けない程度に固定して、綱を反対方向(北側)に延ばし換えると、
いよいよ松建ての準備完了です。
 関係者一同 + 観光客の方々。その場にいる人総出で、「えんやらや〜」のかけ声と共に綱を引くと、
山は部材のきしむ音と共にゆっくりと起きあがり、この瞬間、神様が山に降りてこられるのです。
今年の松は去年より少しスマートな感じがしました。神様もダイエットに成功されたのかもしれません。
 このあと、松の向きを決め、松が倒れないように四方にロープを伸ばし固定して、山建て初日の
作業はほぼ完了となりました。

 山建て二日目も朝方から雨が降ったり止んだり。屋根方が屋根を取り付け、同時並行で縄がらみを
続けます。午前中にほぼ全部の縄がらみが終わり(今年は海老2匹作成)、ここでいったん休憩。
昼からは、胴掛けを取り付ける木枠を取り付け、玉入れ(車輪の取り付け)をすれば、山建ての作業は
完了です。
ところが、この玉入れをなかなか始めることが出来ません。屋根方がまだお囃子台で忙しく働いて
います。実は今年北観音山ではお囃子台天井の修理を行い、塗りと金箔の押し直しをしていました。
精密に組み上げられている飾り天井ですので、わずかな厚みの違いなどがあっても嵌め込むことが
出来なくなるのです。この微調整のために、いつもより手間がかかっているとのこと。そう言われると、
下から見上げる天井は見事な輝きを放っています。

 屋根方の作業が完了すると、作業用に組まれていた足場をすべてはずし、緊張の一瞬、玉入れ。
蔵の中から表まで、30m程の間は幅が狭く、車輪を挟んで両側に人が取り付くと、ほとんどギリギリの
スペースしかありません。倒れてこられたりしたら、逃げる場所もないわけですから、ここは慎重に
慎重に・・・。 でも、毎年、「おまえら何年同じ事やってるねん!」と怒られながら、ではありますが。

 よっつの車輪を全部履き、胴飾り、飾金具を取り付け終わるといよいよ曳き初めとなります。
今年はこの頃から雨が少し強くなり始め、おやぶんにも「憶えがない」という、雨の中での
曳き初めとなりました。傘を片手に綱を持つ人たち。山は松を揺らせながら、ゆっくりと進みます。
南は百足屋町、南観音山の手前まで。戻って北は三条通、もう一度引き返して六角町まで。
少し天気には恵まれなかったものの、今年も多くの人に曳いて貰うことが出来ました。

 綱を片づけおわる頃(曳き初め用と本番用は違う綱が使われますので、曳き初め用はここで今年の
お役ご免となります)、いよいよ本格的な大雨になりました。全身ずぶ濡れになって、建具(囲いの柵)と
提灯建ての取り付けを終わり、宵山の準備も出来ました。

 午後七時。今年初めての祇園囃子が町に流れ始めます。強い雨足のせいで、通りを行き交う人の姿も
まばらではありますが、この時間が、僕にとって一番「幸せ」な気分に浸れる時なのです。
【方位のこと】

この方位とは、山建ての時に指図を出して貰う方向のことです。「柱のあたまを東に向けて」だとか、
「(車輪を)まず北に持っていって振り回す」などという風に使います。よく知られているように、京都は
碁盤目に町割りがなされた街で、北観音山も「新町通」という南北筋の路上で組み立てられます。
北を向いて道路に立つと、右手が東になり、左手は西を向きます。小学生の知識ですね。
ですが、そこはやはりその場所に住んでいない人間の悲しさ。去年までは、たとえば蒸し暑い蔵の中で
「西に持っていこう」と言われると、瞬間どっちが西でどっちが北なのか、判断がつかなくなることが
しょっちゅうありました。頭の中で向きを考えると、どうしても他の人との動作がワンテンポずれてしまい、
作業が円滑に行かなくなることもあるのです。
今年は僕にとって4回目の山建てだったわけですが、この「頭の中の地図」が、どうやら少しは
整備されたようで、東西南北を聞いて「どっちかな〜」と考えることがほとんどありませんでした。
実は、考えなくて済むようになって初めて、今まで考えていたことに気がついたわけなのですが・・・。
4回目の山建てが、今までと少し違うような気がしたのは、こういうことも関係あるのかも知れません。


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